<更新日:2005/01/17> <石油・天然ガス調査グループ:坂本茂樹>
インドネシア:LNG 供給削減にみる石油ガス産業の問題点
(各情報誌、Wood Mackenzie、RetaineeConsultant レポート) ・ 2004 年の 12 月、インドネシアは日本、韓国、台湾の需要家に対して、2005 年の LNG 供給の 削減を通知したと報じられた。 ・ LNG の供給削減、つまり生産不振の直接の原因は、ガス生産施設や輸送パイプラインの不具 合であるが、その背景には、ガス生産企業に長期投資をためらわせるようなインドネシア石油・ ガス事業環境の不透明さ、および、操業上諸手続きの煩わしさ・日数を要することなどがある。 ・ 併せて、石油製品に対する手厚い補助金政策が、エネルギーの市場価格体系形成を損ない、 石油下流事業および国内市場向け天然ガス事業の進展を阻害する要因であった。 ・ 現在、石油製品への補助金政策は徐々に撤廃される方向にある。 ・ 国内石油需要の拡大にも拘わらず、石油供給力の低迷に危機感が叫ばれる現在、石油・ガス 事業環境の改善が急務であり、また同時に、好機であるものと考えられる。 1. インドネシアの LNG 供給削減報道 2004 年の 12 月半ば、インドネシアのアルーンおよびボンタン LNG プラントの生産低迷に伴い、 インドネシア側が日本、韓国、台湾の需要家に対して 2005 年の LNG 供給の一部削減を通知した と報じられた。詳細は、アルーン・ガス田の生産量減少とボンタン LNG プラントにおける 2004 年 6 月の火災等事故等の影響にて、2004 年来 LNG 生産量が計画未達になっていること等を理由とし て、2005 年の需要家への供給量が一部削減される、という内容であった。最大需要国の日本に対 しては、約 11%程度の 174 万トン(30 カーゴ)の輸出削減、韓国向けおよび台湾向けは最大でそ れぞれ 100 万トンおよび 60 万トンの削減ということであった。 この LNG 供給削減の事実関係に関しては、供給側および需要家側のいずれからも公式発表は なされないが、各紙は業界筋として、さまざまな報道を行っている。複数の業界紙が、韓国ガス公 社(Kogas)筋の情報として、韓国向け LNG 削減の事実はないと報じた。また日本および台湾の需 要家は、2005 年のインドネシアからの LNG 削減に相当する量は、既に他ルートからの代替調達 を手配済であり、購入量に何ら問題はないと報じられている。インドネシアが販売契約を守るため にの代替供給用として、中東からスポット LNG を購入したとの報道も行われた。 しかし、このようなLNG 供給削減に対しては、LNG 主要供給国としてのインドネシアの信頼性を損なう懸念がある。 2. LNG 生産不振の要因 今回報道された LNG 生産不振の要因として、次の事由が挙げられている。 ①スマトラ島北部ガス田老朽化によるアルーン LNG の生産力低下 ②インドネシア政府が国営肥料会社に対する原料ガスの優先供給を指導している ③2004 年 6 月にカリマンタン島ボンタン LNG 基地で起きた火災の影響 次に、これらの要因を検証する。 (1) ガス田埋蔵量の検証 インドネシアで最初の LNG プロジェクトであるアルーンに原料ガスを供給するガス田では、既に 老朽化と埋蔵量の減退が著しい(残存可採埋蔵量:約 2tcf)。ExxonMobil が操業する主力の N.Sumatra B 鉱区では、特に 2005 年からの生産減退見込みが顕著であり、NSO/NSO Extention 鉱区の生産ガスを以って、アルーン LNG 基地への原料ガス供給を何とか賄うことがで きるような状にある。 一方、同国最大のボンタン LNG 基地に原料を供給するガス田の埋蔵量は、Total が操業する Offshore Mahakam ガス田の 22tcf をはじめ、残存可採埋蔵量合計で 31tcf を超え、原料ガスの 供給力に全く不安はない。また、最近では Unocal が深海地域で新たなガスの発見を続けており
(Makassar の West Seno、Ganal 等)、これらは 2006~2010 年にかけて生産を開始する予定で
あって、将来的にボンタン LNG 基地への原料ガス供給に大きく貢献するものと考えられる。現時点 のボンタンへのガス供給量は Total が 80%超を占めており、この比率は 2010 年頃まで継続するも のとみられる。しかし、2010 年以降は Unocal の供給比率が徐々に高まっていくものとみられる。 このように、アルーンではガス田の老朽化による LNG 生産量減少が事実であるが、ボンタンは原 料ガスの供給力に何ら問題はない。 (2) 肥料会社への原料ガスの優先供給
インドネシア政府は、アチェ州の肥料製造会社 AAF(Asean Aceh Fertilizer)向け原料ガス供給 を確保するために、アルーン LNG 基地からの LNG 輸出削減をやむ無しとしているといわれる。 北スマトラ・アチェ州の天然ガス生産量は減少しつつあるため、肥料製造会社 AAF は近年、原料 ガスの調達がままならずに、この 1 年は尿素製造プラントの休止に追い込まれていた。政府は、国
民生活に重要な肥料工場を存続させるために、あえて、貴重な外貨取得手段の LNG 輸出量の一 部削減もやむ無しと考えている様子である。肥料工場へのガス供給量は多くはないものの、アルー ン LNG プラントの生産性低迷の一因にはなるであろう。 なお、インドネシアは、石油製品に補助金政策のため、エネルギーの市場価格化が進展せず、 国内市場でのガス利用が進まないことが従来から大きな問題のひとつであった(後述)。しかし、最 近、産業用石油製品価格への補助金は廃止になった。政府が、国内の石油製品需要を天然ガス に振り向けようとしていることもあり、電力会社、肥料工場等の産業向け原・燃料ガスの販売価格は 徐々に改善しつつある。 (3) ボンタン LNG 基地に対する原料ガス供給に係わる問題 2004 年のボンタン LNG 基地の生産は低迷しており、その原因として、先述の「2004 年 6 月に同 LNG 基地で起きた火災の影響」、または、原料ガスを LNG 基地に輸送するパイプラインの不具合 等が挙げられている。 しかしながら、ボンタン LNG を巡る問題は以前から指摘されており、一過性の事故や不具合によ るものでのみはないと考えられる。 ボンタン LNG 基地への原料主要供給者である Total は、かねてからプルタミナおよびインドネシ ア政府当局(MIGAS)との間に事業運営を巡る不一致を抱え、設備投資に慎重であったと言われ る。結果的に、輸送パイプライン、またはガス田生産設備の不具合等が発生し、これが原料ガスの 供給不足になったことも要因のひとつに挙げられる。Total がインドネシア側に抱く不満は、次のよう な点にあったといわれる。 ① プルタミナは、生産が減退しつつあるアルーン LNG の補填として、採算性を除外してボンタン の LNG 生産量増加を求めることがあり、Total にはこれが不満であった。
② Total のOffshore Mahakam に係わる PSC は 2017 年に契約期限を迎え、同社は契約期限
延 長 を 求 め て い る 。 し か し 、 契 約 期 間 の 延 長 交 渉 は 、Cepu 鉱 区 を 巡 る プ ル タ ミ ナ と ExxonMobil との交渉が頓挫している例にも見るように、一般に、新たな要求項目を求められ るタフな交渉であって、長い時間を要する。多くの場合、新たな投資義務が課せられたり、また、 コントラクターの利益配分比率のうち2.5%の削減を求められる。 ③ 鉱区権益の契約期間延長の行方が不透明なこともあり、Total は上流部門への投資とそれを 回収する事業期間を勘案して 、新たな投資義務発生に対して、極めて慎重に対応している。 ④ また、日常のガス田の操業に際しては、必要な作業の許認可にあたって、不要な入札・購入備
品の過度の地元調達等の合理性を欠く要請を受けることが多い。また認可に長い日数を要す るために、必要なメインテナンス作業をタイムリーに実施できずに、操業上の不具合を生じるこ ともしばしば起こるということである。 このように、インドネシアで上流事業を行なう企業は、法制度およびその運用の不明確・不完全 さ、事業習慣の不合理性に対して、強い懸念を持つことが多いといわれる。 3. 石油・ガス産業の抱える問題 ここで、インドネシア石油・ガス産業が有する問題点を整理する。 (1) 石油・ガス法(2001 年制定) 2001 年 11 月、メガワティ前政権のもとで、新たな石油・ガス法が制定された。この新石油・ガス法 制定の主要な目的は、従来、政府機能を兼ね備え、独占的な権限を有していたプルタミナから石 油権益付与、PSC 管理などの政府機能を取り去り、これらの機能を、新たに設ける政府の管理機 構に委ねることであった。この本来の目的は、プルタミナが有した政府機能を、新設された MIGAS・BP MIGAS(石油上流部門)、BPS MIGAS(下流部門)等の政府機関に移転することによ って達成されている。 しかし、この新石油ガス法の運用を巡っては、問題点が多いと指摘されている。インドネシアの 上流外資企業にとっての不満は、この石油ガス法に定められた法規の枠組みを履行するための 具体的な法令が十分に整備されていないことであり、実際に事業を実施する際に不明確な点が 多いことである。そのために、実際の事業運営上、しばしば大きな障害を生じることがあるといわれ る。 またプルタミナを含めた政府関係当局間の権限の区分が不明確であって、責任体制が整って おらず、諸手続きの遂行が煩わしく、また非常に時間がかかるという。 例を挙げると、石油・ガス法制定によって LNG 事業の管理当局は BP Migas とされたが、当初は、 従来プルタミナの監督下にあった既存 LNG 事業がどのように扱われるのかが、はっきりしていなか った。その後、既存 LNG 事業は従来方式を踏襲して、プルタミナの監督におかれることとなった。 このように、新石油・ガス法制定後の石油・ガス事業の実施方法を巡って混乱が生じ、それに対 するインドネシア当局の対応が遅いこともあって、しばしば事業運営の滞りが発生した。 (2) 石油製品への補助金制度 インドネシア政府は、多額の補助金補填により国内石油製品価格を安価に保つ補助金政策を
取っている。民生用石油製品、特に灯油は、厨房用に広く使われているため、低所得層の生活必 需品とみなされており、低所得層救済策として、国家の価格補填によって石油製品価格を安価に 維持するという、極めて政治色の強い政策である。これは、エネルギーの市場価格形成に対する 障害になると共に、国家財政にとって大きな負担となっている。しかしながら、過去に、政府が財政 再建を目的として石油製品価格引き上げを行った際には、いずれも暴動などの社会不安を引き起 こしており、対応の難しい問題である。 この石油製品の補助金政策およびプルタミナの事業独占下において、インドネシアの石油下流 産業は健全な発展が遅れ、今日も極めて脆弱な状態にある。インドネシアは主要産油国のひとつ であるのに拘わらず、石油製品を自給する原油処理能力を持たないために、石油製品の輸入量 が多い。例えば、石油燃料の供給義務を負うプルタミナは、その支出項目の中で、「石油および石 油関連製品の輸入」が 50%近くを占めるという不自然な収支構造を有している。また昨今の原油 高価格下においては、高騰した石油製品の輸入額が増大しているので、国内の石油製品価格を 一定に維持するために、さらに多額の補助金投与が必要となっており、さらに国家財政への負担 が増している。 一方、天然ガスの国内市場においては、ガスは補助金付の安い石油製品との競合を余儀なく されているため、天然ガスの国内需要が喚起できずに、天然ガス産業の進展に対する妨げとなっ ていた。しかし、最近、政府は政策を転じて、産業用石油製品への補助金を廃止したため、国内の 天然ガス利用は徐々に進みつつある(後述)。 (3) 事業環境の透明性の欠如
2004 年 12 月にシンガポールで開催された Global Pacific Conference において、複数の参加者 から「インドネシアの石油産業の問題点は、事業環境の不透明さとあからさまな汚職である」との発 言があった旨が報道された。 事業実施に際する判断基準が不明確であり、政府当局との諸手続き方法もわかりにくい。鉱区 延長等の交渉に際しても、国際事業習慣に照らして合理的に欠くと思われる判断、決定が散見さ れる。 現在のこのような状況下で、インドネシアの上流事業に参入しようとする外国上流企業は概して 多くなく、逆に既存の資産を売却して撤退する企業もみられる。BP は 2004 年 6 月に、ジャワ島西 部に保有する Kangean ガス田権益を現地企業に売却し、インドネシアの主要資産をパプア州のタ ングーのみとした。最近、新規に石油契約を締結した企業の中では、インドネシア現地企業が過
半数を占めており、外国企業の数は従来に比べて少ない。このように、インドネシアの石油上流事 業は、以前に比べて魅力の乏しいものとなっているように思われる。 インドネシアは、なお多くの石油・ガス資源未開発地域を有するが、現在、探鉱・開発などの事 業活動は決して活発ではない。また、同国は、長らく 100 万 b/d 超の原油生産量を維持してきたが、 2004 年は原油価格高騰にも拘わらず生産量を 90 万 b/d 台へと減少させ、また同年に初めて石油 のネット輸入国となった。 石油生産量・消費量の推移(BP統計) 0 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600 1800 198 0 198 1 198 2 198 3 198 4 198 5 198 6 198 7 198 8 198 9 199 0 199 1 199 2 199 3 199 4 199 5 199 6 199 7 199 8 199 9 200 0 200 1 200 2 200 3 200 4 千b/d 石油生産量 石油消費量 (注)2004 年は実績見込みの推定 インドネシア政府は、繰り返し、石油産業の再活性化および原油生産量 100 万 b/d 超の維持を 唱えているが、それらを実現させるには、上記に述べた、わかりにくく不透明といわれて不人気な 事業環境を改善させなければならない。また、世界で最も厳しい経済条件グループのひとつに数 えられる、石油開発の経済条件を再検討することも必要であろう。 4. 石油・ガス事業環境、改善の兆し 上述したように、最近のインドネシア石油産業のパフォーマンスは、決して芳しいものではない。 一方、2004 年 10 月に成立したユドヨノ新政権が表明した経済再建への決意は、総じて好感を持っ
て受け取られている様子である。石油・ガス産業において、現時点で画期的な新政策が発表され ているわけではなく、石油製品の市場価格化への動きも一進一退の状態ではあるが、市場経済化 は徐々に進みつつあるように思われる。 プラスおよびマイナス効果をもたらす要因も併せて、最近の事例を下記に掲げる。 (1) 憲法裁判所の、石油・ガス法(2001 年制定)、電力法(2002 年制定)に対する判断 インドネシア憲法裁判所は、提訴を受けて審理を行っていた石油・ガス法および電力法に対して、 2004 年 12 月 15 日に、次のような判断を下した。 ① 石油・ガス法(2001 年制定) 石油・ガス法自体は合憲とされたが、次の 3 項目に違憲の疑いがあるとして、改定が勧告された。 ・ 「エネルギー・鉱業大臣が内外企業に石油・ガスの探査・開発を行う権限を委譲できる」のは 違憲であり、「重要産業のひとつである石油産業は国家によって運営・管理され」なければな らない。 ・ 「産出した石油・ガスの最大 25%を国内需要に割り当てる」として国民の利用できる比率に 25%の上限を設けるのは、「天然資源は国民の最大利益の為に利用される」との憲法の規定 に反する。 ・ 国民生活に影響の大きい石油・天然ガス価格は、「決定を市場メカニズムにゆだねる」のでは なく、国家がこれを運営・管理しなければならない。 ②電力法(2002 年制定) 電力法は、国営電力会社 PLN の独占を排して、電力産業に競争原理をもたらすことを目的とし て制定された。しかし今回の憲法裁判所判決は、「電力事業は国家にとって重要で、大多数の国 民の生活に影響を与える産業部門に相当するため、国家がこれを支配(運営・管理)しなければな らない」として、競争原理を指向する電力法を違憲とした。 このように、国有企業の独占を排して、エネルギー産業に市場経済化を導入することを目的に制 定された石油・ガス法、電力法が、それぞれ部分的および全面的に違憲と判定されたことは、政 府関係当局を含む経済自由化を指向する部門にとっては、打撃であった。司法権の独立が尊重 されたと見ることもできるが、経済の自由化、民営化の動きに対しては、一歩後退を示す裁定であ った。
(2) 石油製品価格、市場価格化への動き 石油製品への補助金削減は緩やかに進みしつつある。一般大衆を直接消費者としない産業用 の燃料価格は、既に補助金が廃止された。しかしながら、民生用石油製品、特に、灯油・軽油価格 は、低所得層の生活必需品への価格補填政策として微妙な政治的判断を伴う問題であるために、 大胆な削減は実施しにくい。 2004 年 12 月下旬に、プルタミナが、国内の原油生産低迷と石油輸入価格の大幅な上昇を理由 として、LPG、ハイオクガソリン等の石油製品価格を 40~60%値上げすると発表した。2005 年初め には、普通ガソリンや灯油価格も見直される予定と伝えられる。しかし、国民はいっせいに反発を 強めていると言われ、ユドヨノ新政権にとっては最初の試練であり、実現の可否は予断を許さない。 (3) 天然ガスのローカル需要拡大 インドネシア政府は、かねてからエネルギー政策に天然ガスの国内利用拡大を掲げ、天然ガス開 発の経済条件には一定のインセンティブを与える政策を取ってきた。しかしながら、国内市場向け ガス事業は、ガス価格が補助金を受けた安価な石油製品と競合するために、事業採算性に乏しく、 なかなか進展しなかった。 一方、近隣諸国の状況をみると、アセアン中進国のマレーシア、タイは、インドネシアと同様に、 自国産の天然ガス利用政策を掲げて、エネルギーの市場価格政策を進め、併せて、幹線ガスパイ プライン建設を着々と進めて、天然ガス利用拡大に成功した。こうした事例をみると、インドネシア のガス利用は、政策および輸送設備整備の双方において、著しい遅れをとっている。スマトラ、西 ナツナなど、ガス輸出プロジェクトのパイプラインは整備されているが、国内需要用の輸送設備に 目を転じると、最大消費地のジャワ島においてすら、西部と中東部を結ぶ幹線パイプラインが未完 成の状態である。 しかしインドネシア政府は、最近、石油製品への補助金政策を徐々に廃止することを決め、まず は産業用石油製品への価補助金が撤廃されたことから、ガス価格は徐々に上昇しつつあり、国内 市場向けの天然ガス事業の採算が改善しつつある。ガス販売事例も増えている様子である。 例として、最近では、次のような天然ガス販売契約締結が報道されている(2004 年 12 月)。
供給者 購入者 納入先 契約数量 契約期間 CNOOC 国営電力会 社 (PLN) 西ジャワ・チレゴン コンバインドサイクル 80MMcfd 2006~2017 アメラダ・ヘス 国営電力会 社 (PLN) 東ジャワ・グレシック コンバインドサイクル 100MMcfd 2007~2026 ExxonMobil 肥料会社 アチェ州工場 57~117 MMcfd CNOOC、アメラダ・ヘスの国営電力会社(PLN)への売価は$2.4~2.7/MMBtu という好水準と報 道されている。今後、エネルギーの市場価格化が徐々に進展するのであれば、天然ガス事業採算 の好転、ガス事業の進展を期待することができる。 (4) 今後の石油・ガス産業の発展 インドネシアの石油・ガス産業の健全な発展には、 ① エネルギーの市場価格化 ② 外国企業にとっても、合理的で透明性のある法制度、事業環境の整備(手続き等諸習慣) が必要であると考えられる。 エネルギー価格への補助金制度は、インド、イラン等の発展途上産油国に共通に見られ、撤廃 には低所得層の十分な縮少を含む国民経済の発展が必要であり、時間を要する問題ではあろう。 しかしながら、既に補助金が廃止された産業用燃料に次いで、民生用燃料価格も徐々に補助金を 廃止し、市場価格に近づけることが望まれる。 法制度・事業環境の未整備、わかりにくさは、速やかに適切な法令の整備を行うと共に、当局が 改善に対する強い意思を以って臨む問題と考える。 インドネシアのエネルギー資源ポテンシャルは、アジア産油国の中でも大きいのにも拘わらず、 その石油・ガス産業は十分な成果をみるに至っていない。経済の拡大に伴って国内石油需要が 拡大しつつあるのにも拘わらず、石油供給能力は低下しており、現在、エネルギー供給力の回復 が強く求められている。この点は、ユドヨノ新政権を初めとして、エネルギー関連当局が共有する問 題意識でもある。このように、多くが危機感を共有している現在は、インドネシア・エネルギー資源の 潜在能力を回復するために必要な諸策を断行するための好機であると考えられる。