2020年度 須磨学園中学校入学試験
国 語
(注 意) 解答用紙は、この問題冊子の中央にはさんであります。まず、解答用紙を取り出して、 受験番号シールを貼り、受験番号と氏名を記入しなさい。 1.すべての問題を解答しなさい。 2.解答はすべて解答用紙に記入しなさい。 3.字数制限のある問題については、記号、句読点も1字と数えること。 4.試験終了後、 解答用紙のみ提出し、問題冊子は持ち帰りなさい。第 2 回
一
次の対話文を読んで、後の設問に答えなさい。 苅 かり 谷 や 今の時代は、ひとりだけで何かやろうとして も a ムズカ ⌇⌇⌇ し い。複数の人たちがやったほうがいいし、それは同じ考え の人たちでなくて 違 ちが う考えの人とでもいい。ただ、複数の 人たちが集まり、集団を立ち上げようというのは、いわゆ る 注 1 共同体主義とは違う思想ですよね。 西 違いますね。共同体主義は、家族 や 注 2 コミュニティにおい て何らかの役割を担うことを個人の生にとって本質的なも の と す る 立 場 で す ね。 マ ッ キ ン タ イ ア ー( ア メ リ カ の 哲 てつがくしゃ 学者 一九二九 -)など は b テンケイ ⌇⌇⌇⌇ 的ですが 、 注 3 近代的自 由 を 注4 虚 きょもう 妄 とみる見方になりやすいのです。しかし私たちの 社会はじっさい、不特定多数の人びとと出会い、さまざま な集団を立ち上げながら営まれていく社会になってしまっ ているわけですね。だとすれば、社会的な課題として大切 なのは、自由を否定したりその虚妄さを言いつのるのでは な く て、 自 由 が 良 い も の と し て 実 感 で き る た め の〝 条 件 〟 を き ち ん と 考 え て 整 備 す る こ と に な る。 そ う 考 え て み る と 、 ア 集団を立ち上げ営む能力をどう育てるか、ということ ははずせないはずです 。 苅 谷 【 Ⅰ 】 高 校 段 階 に な る と、 同 好 会 く ら い は つ く れ る かもしれないが、小中学校だとたいていは 既 き 存 そん の学内の活 動しかない。大学だともっとグループづくりの機会は増え る。学校って、そこで 偶 ぐうぜん 然 人と知り合って、 趣 しゅ 味 み でもなん でもいいけどグループをつくるのにはいい練習の場かもし れない。失敗しても 誰 だれ にも 怒 おこ られない し c カイサン ⌇⌇⌇⌇ したって 社会的 な d セイサイ ⌇⌇⌇⌇ に 遭 あ わずに済む。集団づくりの練習がで きる場として学校をとらえ直すのは 面 おもしろ 白 い。 西 【 Ⅱ 】 学 校 の よ う な 場 所 を 何 か 用 意 し て お か な い と、そういう力は育たないと思う。 狭 せま い意味での知識はイ ン タ ー ネ ッ ト を 使 っ て の 学 習 な ど で e オ ギ ナ ⌇ ⌇ ⌇ え る で し ょ う が、関係や場面をつくりあげていく力は、学校のような集 団的な場によってしか育たない。そういう機能を学校に 与 あた えていけない理由はないわけですから、学校をそういうふ うに使っていくべきだと思っています。 苅谷 突 とつぜん 然 社会に出て何かやれと言われても無理なわけで、大 人になる準備が教育だとしたら、その経験を、失敗しても そのダメージが大きくならない 環 かんきょう 境 のもとでやるチャンス を与える。そういう意味では学校というのは優れた練習の 場だと思う 。 注5 徳 とくもく 目 主義としてではな く 注 6 リベラルな社会をつ くりたいと考えたとき、その担い手となる人たち の 注 7 結社を つくる能力は重要ですね。それを担う能力をつくるために は具体的にこういう失敗の場、練習の場が必要なんだとい うことが見えてくると、それなら学校へ行く意味もあると 思えるようになるのではないか。 西 そうですね。 苅谷 そこがつながってくれば学ぶことの意味もわかりやすく なってくる。 西 集 団 を f ソ ウ シ ュ ツ ⌇ ⌇ ⌇ ⌇ ⌇ す る 能 力 に も つ な が る け ど、 「 異 議 申 し立て」というものも練習できますよね。クラスのなかで 何かあって、ある子どもが「 X 」と思う。その とき 黙 だま っているんじゃなくて、声をあげる。ただおかしい と 叫 さけ ぶだけじゃなくて「どのようにおかしいのか」を語っ た り、 「 Y 」 と 提 案 し た り す る。 そ う や っ て 多 くの人を説得でき、なるほど集団は少しずつでも変わるん だ、という経験があれば、集団と個人とのかかわりは「同 調」とは違った関係になる。 苅 谷 そ ん な こ と も 本 当 は 学 校 で 経 験 さ れ て い い は ず だ し、 【 Ⅲ 】、なければならないのではないでしょうか。授業 の中でもできるけれど 、 イ 授業の場だけではないところで学 校という機関を利用すればいい 。 (苅谷 剛 たけひこ 彦 /西研『考えあう技術』による) 注1 共同体主義 …… 家族や地域など、血のつながりや住ん でいる場所のつながりにもとづいてできた集団を重んじる 考え方。 注2 コミュニティ … 人々が、同じ伝統や価値観を共有して いるまとまりのある社会。 注3 近代的自由 …… 日本でいうと、明治時代以降に発生し た「自由」に関する考え方。 注4 虚妄 ……… うそ。いつわり。 注5 徳目主義 ……… 正義、 勇気、 親切などを教えることで、 道徳性が形成されるという考え方。 注6 リベラルな …… 自由な。 注7 結社 ……… 共通の目的のためにつくられる団体。の設問 問 一 【 Ⅰ 】 ~ 【 Ⅲ 】 に 入 る 語 と し て 最 も 適 当 な も の を後からそれぞれ一つずつ選び、番号で答えなさい。 【 Ⅰ 】 1 しかし 2 したがって 3 たとえば 4 ところで 【 Ⅱ 】 1 やはり 2 むしろ 3 そして 4 または 【 Ⅲ 】 1 もちろん 2 けれども 3 だから 4 また 問 二 「 集 団 を 立 ち 上 げ 営 む 能 力 を ど う 育 て る か、 と い う こ と は は ず せ な い は ず で す 」( 線 部 ア ) と あ り ま す が、 なぜそのように言えるのですか。その理由の説明として最 も適当なものを次の中から一つ選び、番号で答えなさい。 1 現代社会は共同体主義と違って不特定多数の人びととさ まざまな集団を立ち上げながら営まれる社会なので、自由 が良いものだと実感できる機会が必要だから。 2 現代社会ではコミュニティの中で自分の役割を果たすこ とが最も重視されるので、自由に集団を立ち上げて運営す る能力をやしなう機会が必要だから。 3 現代社会の共同体主義は、近代的自由を虚妄とする見方 になりやすいので、本物の自由とは何かを集団の中で見出 す機会が必要だから。 4 現代社会では家族やコミュニティを重視するあまり、自 由の虚妄さを言いつのるようになるので、社会的な課題と して何が大切なのかを考える機会が必要だから。 5 現代社会は複数の人たちで集団を立ち上げようとするの で、自由とは個人の生にとって本質的なものではないと実 感する機会が必要だから。 問 三 X ・ Y に 入 る 言 葉 と し て 最 も 適 当 な も の を 後 か ら そ れ ぞ れ 一 つ ず つ 選 び 、 番 号 で 答 え な さ い 。 X 1 これはよい意見だ 2 これはおかしいじゃないか 3 これはなぜなのだろうか 4 これはどういう意味かわからない Y 1 みんなにしたがおう 2 言う通りにしよう 3 人と違うことをしよう 4 だからこうしよう 問 四 「 授 業 の 場 だ け で は な い と こ ろ で 学 校 と い う 機 関 を 利 用 す れ ば い い 」( 線 部 イ ) と あ り ま す が、 苅 谷 さ ん と 西さんの対話から、学校をどのような場所だと考えること が で き ま す か 。 一 〇 〇 字 以 上 一 二 〇 字 以 内 で 説 明 し な さ い 。 問五 対話の内容と合致するものを次の中から 二つ 0 0 選び、番号 で答えなさい。 1 苅谷さんと西さんは、学校で結社をつくることに意味 はないという点について意見が一致している。 2 苅 谷 さ ん と 西 さ ん は、 「 共 同 体 主 義 」 が ど の よ う な も のかという点について意見が一致している。 3 西 さ ん は、 「 異 議 申 し 立 て 」 を す る た め に、 少 し ず つ 集団を変えていく必要があると考えている。 4 西さんは、インターネットを使っても学習効果は得ら れないと考えている。 5 苅谷さんは、小中学生が既存の学内の活動しか経験し ないことをしかたのないことだと思っている。 6 苅谷さんは、複数の人たちと集団を立ち上げる能力は 社会に出たときに重要だと考えている。 問六 〰 〰 〰線部 a ~ f のカタカナを漢字で答えなさい。 a ムズカ(しい) b テンケイ c カイサン d セイサイ e オギナ(える) f ソウシュツ
一
次の文章を読んで、後の設問に答えなさい。 初日の出を見に山へ行こう、と最初にいいだしたのは兄だっ た。いいわね、とわたしは本心で答えた。 素 す ば 晴 らしい思いつき だ。すぐふたりで、 六 ろくじょう 畳 ひと間のアパートの部屋中を 捜 さが して、 ありったけのお金を集めた。コーヒーの 空 あきびん 瓶 に入っていた一円 や五円や十円 硬 こう 貨 か 。ズボンやオーバーのポケットも洗いざらい 捜した。それはちょっとした宝捜しの気分で、ひさしぶりにわ たしは 【 Ⅰ 】 した。思いがけず百円硬貨が出てきたりする と、ふたりで声をあげて笑ったりした。全部で二千六百円ほど あった。それを 畳 たたみ の上に一 ヶ か 所 しょ にまとめ、またわたしたちはそ れを 眺 なが めて笑いあった。二 ヶ か 月 げつ 前、二十七になったばかりの兄 は、これほど金がないとむしろせいせいするな、と陽気にいっ たものだ 。 ア いかにも兄だった 。 おまえは夜景を眺めたことは何度ある、とそれから兄はたず ねた。そうね、一度だけのような気がするわ、とわたしは考え るふりをしたあとでいった。高校生の時、花火大会を 観 み にクラ スメイトと三、四人で行ったことがあるの、あとは覚えていな い わ ね、 兄 さ ん は ど う な の。 兄 は、 そ う だ な、 俺 おれ は 一 度 も な い、と答えた。それでまた笑いあった。 夏の観光シーズンには、 他 ほか の土地からたくさんの人たちが夜 景を見る目的であわただしくやって来る。人口三十五万のこの 街に住んでいる人々は、その夜景の無数の光のひとつでしかな い。光がひとつ消えることや、ひとつ増えることは、ここを 訪 おとず れる人にとって、どうでもいいことに違いない 。 イ それ を 咎 とが める ことは誰にもできない。 考 え て み れ ば、 兄 は 山 に 登 る ど こ ろ か、 地 下 で 働 く 日 々 を 送ってきたのだ。去年の春、兄の勤めていた小さな炭鉱は閉山 した 。 注 1 組合は会社の一方的な閉山宣告 に 注2 反 はんぱつ 撥 して 、 注 3 デモや市へ の 注4 陳 ちんじょう 情 を 繰 くりかえ 返 し、自分たちの力だけで石炭を 掘 ほ り続ける組織作 りをしたが、二ヶ月もすると誰もが見切りをつけてしまった。 デマや中傷や 分 ぶんれつ 裂 。まるであっというまに夏の暑い季節がすぎ さったように熱意を失ってしまった。人々に残ったのは、 濃 こ い 疲 ひ 労 ろう と 沈 ちんもく 黙 、わずかな退職金だけだった。かわり に 注 6 職安に人が あふれた。 元々、海と炭鉱しかない街だ。それに造船所と国鉄だった。 そのどれもが、将来性を失っているのは子供でも知っていた。 今では国鉄はJRになってしまったし、造船所はボーナスの 大 おお 幅 はば カットと合理化をめぐって長期 の 注 7 ストライキに 突 とつにゅう 入 したまま だ。兄の炭鉱でも、将来の見通しを一番身近に感じていたのは おそらく組合員自身だったろう 。 ウ 街は観光客のおこぼれに 頼 たよ る 他ない 。 わたしたちの父も鉱夫で、ささいな事故のために死んだ。兄 が 高 校 生 の 時 だ。 母 は わ た し た ち が 幼 か っ た 頃 ころ 、 家 を 出 て し まった。その理由をたずねると、父は不意に 不 ふ き 機 嫌 げん になり、酒 量が増したものだ。いつしかわたしたちは、母の不在はとうて
二
い子供の手の届かない、父の沈黙の部分にある深い傷と密接に つながっているのだ、と子供心にも 了 りょうかい 解 した。とにかく父が死 んでから、母のいなくなった理由をたずねる相手がなくなった という 、 エ 変ないびつな自由を得た が、兄は高校を中退せざるを 得なかった。父のかわりに見習い鉱夫に採用され、 兄 きょうだい 妹 ふたり だけの生活がはじまった。 兄はたくましく、健康だった。わたしには 眩 まぶ しく見えるほど だった。 ※ の 鐘 かね が鳴り 終 おわ ってから、わたしたちはありったけの お金を持って、 釈 しゃ 迦 か 町 まち のアパートを出た。ロープウェイの発着 所 ま で か な り の 距 きょ 離 り だ っ た が 苦 に は な ら な か っ た。 兄 は セ ー ターの上にヤッケをはおり、わたしは 紺 こんいろ 色 のオーバーに毛糸の マ フ ラ ー を ぐ る ぐ る 首 に 巻 き、 雪 道 の バ ス 通 り を 歩 い て 行 っ た。不思議と寒くはなく、むしろ歩くほどに 汗 あせ ばんで、わたし ははしゃぎながら兄の 腕 うで にすがるようにして歩いた。そんなわ たしに、兄はしきりに照れた。それがまた、わたしを快活にし た。みっともない、と兄はいい、何をいっているのよ、とわた しはますます腕を 絡 から ませ、身体をぴったり寄せた。兄の力強い 心 臓 の 鼓 こ 動 どう が、 夜 明 け 前 の 雪 道 で 聞 こ え そ う な 気 が し、 幸 福 だった。 途 とちゅう 中 で、タクシーが一台とまった。運転手がガラスを降ろし て、どこまで行くのか、と 訊 き いた。山、とだけ兄が答えた。ふ もとまで乗って行かないか、 奥 おく さんのこともすこしは考えろ、 と運転手はいった。思わず 吹 ふ きだしそうになった。それなのに 兄ときたら 真 ま じ め 面目 くさって、 女 にょうぼう 房 は車に 酔 よ うのだ、と答えたも のだ。仕方がないな、といったふうに運転手は首を 振 ふ り、奥さ ん、 気 を つ け て 行 き な さ い、 と 大 声 を だ し た。 と う と う こ ら えきれず に オ わたしは吹きだしてしまった 。ありがとう、と兄は 運 転 手 に 張 り の あ る 声 を だ し た。 別 に 礼 を い わ れ る 【 Ⅱ 】 はない、とその運転手はいった。 タクシーが 繁 はん 華 か 街 がい のほうに姿を消してからも、わたしの笑い はおさまらなかった。二十一回のわたしの正月のうちで、一番 いい正月だと思った。 ■ カ 今でも、そう思っている 。 ( 佐 さ 藤 とう 泰 やす 志 し 『 海 かいたん 炭 市 し 叙 じょけい 景 』による) 注1 組合 … 労働組合。労働条件の改善などのために、労働 者が自主的に組織する団体。 注2 反撥 … 「反発」と同じ。 注3 デモ … 要求を通すために集団で主張を示す行動。 注4 陳情 … 公的機関に実情を伝えて改善を求めること。 注5 デマ … 事実に反するうわさ。 注6 職安 … 職業安定所。無料で仕事を 紹 しょうかい 介 する機関。 注7 ストライキ … 労働条件の改善などを求め、労働者が 一 いっ 斉 せい に業務を休止すること。 ■ 注 5の設問 問 一 【 Ⅰ 】・ 【 Ⅱ 】 に 入 る 語 と し て 最 も 適 当 な も の を 後からそれぞれ一つずつ選び、番号で答えなさい。 【 Ⅰ 】 1 ほのぼの 2 うきうき 3 わいわい 4 おずおず 【 Ⅱ 】 1 すじ 2 やま 3 由来 4 可否 問 二 「 い か に も 兄 だ っ た 」( 線 部 ア ) と あ り ま す が、 「 わ た し 」 は「 兄 」 を ど の よ う な 人 物 で あ る と 考 え て い ま すか。その説明として最も適当なものを次の中から一つ選 び、番号で答えなさい。 1 経済的な 余 よ 裕 ゆう がないことを認めず、今後の生活はどうに でもできると考えるプライドの高い人物。 2 苦しい生活の中でも、常に妹を楽しませようと気をつか うことができる、優しい人物。 3 年 ねんれい 齢 の わ り に 子 ど も の よ う に 無 む 邪 じゃ 気 き な と こ ろ が あ る 反 面、心の中では深い 憎 にく しみを持つ人物。 4 貧しい生活の中でも、なやむことなく物事を明るくとら えることができる、楽天的な人物。 5 つらい現実を忘れるために毎日陽気にふるまって、人か ら誤解されても 嘘 うそ を重ねてたくましく生きている人物。 問三 「それ」 ( 線部 イ )とありますが、どういうことを 指していますか。その内容を簡潔に表した語として最も適 当なものを次の中から一つ選び、番号で答えなさい。 1 無礼 2 無視 3 無関心 4 無遠慮 5 無意識 問 四 「 街 は 観 光 客 の お こ ぼ れ に 頼 る 他 な い 」( 線 部 ウ ) とありますが、どういうことですか。その説明として最も 適当なものを次の中から一つ選び、番号で答えなさい。 1 海と炭鉱しかなく、活気ある産業もない街なので、この 街に住む人々は観光客が経済をうるおしてくれることを期 待するしかないということ。 2 造船所はストライキをしており、炭鉱も 閉 へい 鎖 さ したが、街 の人々は、観光客を相手にした商売で収入を得ることに先 の見通しを感じているということ。 3 炭鉱の閉鎖に反対していた人々も時間が経つ内に自分た ちの力不足を感じ、再び職に就くためには観光客の力を借 りるしかないと気づいたということ。 4 造 船 所 も 国 鉄 も 将 来 性 が な く、 貧 し い 失 業 者 も 多 い の で、この街に来る観光客に 募 ぼ 金 きん をしてもらって助けてもら うしかないということ。 5 炭鉱で働いていた人々は分裂したが、わずかな退職金だ けでは生きていけないので、観光客を呼び寄せるという目 的のもとに再び事業を起こすしかないということ。 問五 「変ないびつな自由を得た」 ( 線部 エ )とあります が、どういうことですか。その説明として最も適当なもの を次の中から一つ選び、番号で答えなさい。 1 母が亡くなった原因について話したがらない父を子供心 に不気味に思っていたが、その父も亡くなったため不気味 だと感じる機会もなくなったということ。 2 母の不在の理由を聞くと父を傷つけると分かっていたの で 遠 えんりょ 慮 していたが、父が亡くなり、母の不在の理由につい て兄妹で話せるようになったということ。 3 母の不在の理由を父に聞いてはいけないと、子供ながら に な ん と な く 気 を つ か っ て い た が、 父 が 亡 く な っ た こ と で、気をつかう必要がなくなったということ。 4 いつも不機嫌な父親の 面 めんどう 倒 を見るのが 嫌 いや だったが、父が 亡くなったことでその負担がなくなり、兄妹二人だけの生 活をやっと手に入れたということ。 5 父が話してくれた母の不在の理由は子供心にも納得でき ないものだったが、父の死によって母親がいなくなった理 由が気にならなくなったということ。 問六 ※ に入る言葉を漢字二字で考えて答えなさい。 問題は、裏面に続きます。
二
問七 「わたしは吹きだしてしまった」 ( 線部 オ )とあり ま す が 、 な ぜ で す か 。 そ の 理 由 を 五 〇 字 以 内 で 説 明 し な さ い 。 問八 「今でも、そう思っている」 ( 線部 カ )とあります が、 「 わ た し 」 に と っ て「 今 」 は ど の よ う な 状 況 だ と 考 え ら れ ま す か 。 一 〇 字 以 上 二 〇 字 以 内 で 考 え て 説 明 し な さ い 。 問九 本文の表現について説明したものとして 誤っている 0 0 0 0 0 もの を次の中から一つ選び、番号で答えなさい。 1 短い一文をたくさん重ねることで、読者を小説の世界に 引きこむ効果がある。 2 「 わ た し 」 が 現 在 の 視 点 か ら 過 去 を ふ り 返 っ て い る こ と が分かる部分がある。 3 発言に「 」をつけず、改行もしないことで、会話部分 をテンポよく読み進めることができる。 4 感情を直接的に表す言葉が複数出てくることで、登場人 物の心情が読み取りやすくなっている。 5 「 兄 」 の 視 点 か ら 描 えが か れ て い る 所 と「 わ た し 」 の 視 点 か ら描かれている所が混在している。