HES-M400 シリーズの新機能
脱調レス/脱調検出
1. 概要
EtherCAT モーションコントロール機能内蔵2相マイクロステップモータドライバHES-M400シリーズにエンコー
ダ入力が追加され,脱調検出/脱調レス等の機能が付加されました。
2. 仕様
項目 仕様 備考
制御軸数 1ボードで1軸制御 最大4枚(4軸制御)までスタック可能 電源電圧(モータ駆動電圧) DC24[V] 制御部0.3[A], 駆動部は接続モータによる.
センサ電源電圧 DC24[V] センサ入力コネクタより供給.
保護機能 過熱保護 出力段のMOSFETが80℃以上で検出.
過電流保護 4[A]以上で過電流検出アラーム,
5[A]以上でヒューズによる回路保護 過電圧保護 電源電圧がDC30[V]以上で検出.
外部入力信号 センサ(±ELS,DLS,OLS) デジタルフィルタ設定可能.
エンコーダA,B相 フォトカプラ入力.分解能200[pulse/rev].
外部出力信号 脱調検出信号 脱調検出時に出力.
モータ出力 回路形式 バイポーラ 結線により6本線,8本線の ユニポーラモータも駆動可能.
制御方式 PWM定電流 周波数20[kHz]
出力電流 0.5~2.0[A] 0.1[A]刻みに変更可能.
自動カレントダウン パルス停止後,100[ms]後に有効. 0~100%の間を256分割で設定可能.
分割数 一般
分割数
5相互換分割数
()内は5相換算
5相モータと同等の分解能が可能.
1 2.5 (1)
2 5 (2)
10 (4)
12.5 (5)
25 (10)
50 (20)
62.5 (25) 80 (32)
125 (50)
250 (100)
動作温度環境 0~40℃ 結露のないこと
寸法 W40 x H115 x D100 Wの寸法は M420,M430の場合68
M440 の場合96 HE-C4001
との接続
内部入力信号 CW/CCW 指令パルス 最高応答周波数2[MHz]
SVON 励磁ON モータを励磁する.
SVRST アラームクリア アラーム検出状態を解除する.
内部出力信号 Z相 励磁タイミング 励磁位置が基準点にあるときに出力.
SVALM アラーム 各種保護機能が動作するとラッチ出力.
±ELS,DLS,OLS センサ デジタルフィルタ設定可能.
UART通信 ビットレート : 153,600bps UART通信を行い,パラメータの
読み書き,アラーム要因の読出しができる.
3. 外観
C 8
0
4
C 8
0
4
OUT
Link/Act
HES-M400
SENSOR
Link/Act OL DL -
+EL 24V -EL
IN RUN 5V
ID
H
L /B
B
ERR /A
24VGND
A MOTOR ENCODER
/EA EA EP EB
MSTS POW ALM
/EB PC EG
Made in Japan
スレーブ電源コネクタ エラーLED スレーブID
(上側:上位/下側:下位 通信モジュール電源LED 通信状態LED 通信IN側コネクタ 通信OUT側コネクタ
通信IN側LINK/ACT LED 通信OUT側LINK/ACT LED
通信モジュール ドライバモジュール
センサ入力コネクタ
各種状態LED ドライバ電源LED アラームLED
エンコーダ入力/
脱調検出出力コネクタ
モータ出力コネクタ
ドライバモジュール 電源コネクタ
HES-M410 HES-M420
4. 追加機能概要
4.1. 脱調検出モード
指令パルスと同期を失ったとき,脱調検出出力するモード.
1.位置偏差が±1.8°を超えた場合,外部にフォトカプラ出力,内部ではSVALMに出力する.
2.脱調検出状態でも励磁,動作は停止せずに継続する.(位置ずれは起こるが,保持力は発生している.)
3.復帰方法はSVRST信号によって行う. → 励磁原点に引き込み,偏差をクリアする.
○ 動作イメージ
軸の変位とトルクの関係 θ
角度
0 1.8 3.6 5.4 7.2 θ[°]
負荷トルク T
エンコーダ A
エンコーダ B
脱調検出信号 1
2 3
4 5
位相ずれがある場合(最大0.45°)
SVALM 要因 : 脱調発生
出力電流の設定値により増減
安定点
1.8°を超えると次の
安定点に向かう力が発生(脱調)
4.2. 脱調レスモード
指令パルスと同期を失ったとき,脱調から復帰するように動作するモード.
1. 位置偏差が±1.8°以内の時はINPOS出力する.
2. 位置偏差が±1.8°を超えた場合,電流位相制御をして,脱調復帰動作をする.
→ INPOS出力中 = オープンループ動作
INPOS出力なし = クローズドループ動作(脱調復帰動作中)
INPOSが出力され続けるような動作パターンであれば,オープンループ制御と同等の動作になる.
○ 動作イメージ
θ
角度 θ[°]
0 1.8 3.6 5.4 7.2
負荷トルク T
エンコーダ A
エンコーダ B
INPOS信号 1
2 3
4 5
位相をずらし,安定点に引き込む
SVALM (過負荷の場合)
t = 過負荷検出時間 t
SVALM (偏差過大の場合)
n = 偏差過大検出閾値 n
過負荷検出 4.2.1.
脱調復帰動作が設定時間以上完了しなかった場合アラームを出力する.
偏差過大検出 4.2.2.
指令位置と機械位置の偏差が設定値以上になった時にアラームを出力する.
トルク制限 4.2.3.
コンパレータにより出力トルクの制限をかけることができる.
4.3. 押し当て(センサレス)原点復帰モード
本モードは脱調レスモードの延長線上にある機能である.
脱調復帰動作が一定時間(=接触検出時間)続くとOLSを強制的に出力する.
押し当て検出時間 < 過負荷検出時間 励磁原点出力を併用し,原点復帰モード4,5の動作が可能.
(センサを検出後,逆方向EZカウントアップまで動作)
4.4. アラーム表示
アラームLEDの点滅回数で要因を判別できる.
要因 点滅回数 要因 点滅回数
過電流 1回 速度過大 6回
過熱 2回 過負荷 7回
過電圧 3回 電流検出器異常 8回
エンコーダエラー 4回 脱調検出 9回
偏差過大 回 エンコーダ接続エラー 回
CMP
出力トルク 100%
n% n = トルク制限値
CW
CCW
INPOS
OLS t
t = 押し当て検出時間 分割数 : 4で動作させた場合
1.8°/4 = 0.45
偏差 1 2 3 4 5 6 7 6 5 4 3 2
5. エンコーダコネクタピンアサイン
Pin 信号名 内容
1 EP +5V出力
2 EA エンコーダA相入力 3 /EA エンコーダ/A相入力 4 EB エンコーダB相入力 5 /EB エンコーダ/B相入力 6 PC 脱調検出出力
7 EG +5V GND
6. 回路形式
6.1. 入力回路形式
項 項 目 内 容
1 エンコーダA/B相
220Ω
ENCPOW
(エンコーダ用+5V出力)
(エンコーダ入力端子) 220Ω
GN D GN D
(エンコーダ用GN D) 5V
A(又はB) /A(又は/B)
2 接続例 差動接続
エンコーダ
220Ω
ENCPOW
220Ω
GN D
GN D 5V
A(又はB) /A(又は/B)
3 接続例 オープンコレクタ接続
エンコーダ
220Ω
ENCPOW
220Ω
GN D
GN D 5V
A(又はB) /A(又は/B)
6.2. 出力回路形式
項 項 目 内 容
1 脱調検出
PC +5V GND GN D
TLP281相当品(max 80[V], 50[mA])