第2学年3組国語科学習指導案(学習指導案)
著者 黒? 幸夫
雑誌名 研究紀要 : 希望の未来を拓く資質・能力の育成(
2年次)
巻 平成29年度
ページ 51‑54
発行年 2017‑10‑06
出版者 静岡大学教育学部附属浜松中学校
URL http://doi.org/10.14945/00010390
第2学年3組 国語科学習指導案
指導者 黒栁 幸夫 1 学習のくくり「説得する言葉・納得する言葉」(32時間)
2 共通テーマを軸とした教科カリキュラムの構想図 国語科3年間でめざす姿
○国語(言葉)を通して,思いや考えを豊かに受け取り豊かに表現したり,情報や 意見を正確に理解し適切に表現したりする生徒
○国語(言葉)に対する認識を深めながら,常によりよい言語主体(言葉の使い手)
としての生活形成をめざし,自分の世界を広げていく生徒 国語科3年間の共通テーマ
国語(言葉)に対する認識を深め,ものの見方・考え方・感じ方を高めることによってたどり着く,言葉 の魅力とは
⑧言葉の力
国語(言葉)に対する認識を深め,ものの見方・考え方・感じ方を高めることによってたどり着く,
言葉の魅力とは
⑤説得する言葉・納得する言葉 説得力があり,聞き手の納得や同 意が得られる話の構成や展開,表 現の仕方や話し方でコミュニケー ションをすることの意義や価値と は
文学的言語(散文) 文学的言語(韻文)
⑦思いをつづる
優れた随筆を読み味わい,感 性を豊かにし,自分の思いを 文章表現できる言葉の力を身 につけることによる,自分と 言葉のつながりとは
①言葉の魅力を探ろう
3年間かけて探っていく言葉の世界にふれることで見えてくる,言葉のよさとは
➃詩の世界
~その魅力を伝えよう~
日常生活の中で詠まれた詩に 込められた作者の心情や作品 の魅力に迫ることによって見 いだすことができる,短詩形 で表現する意義や価値とは
②物語の世界・小説の世界 優れた物語・小説を読み味わ うことで自分の感性が磨か れ,ものの見方や考え方が広 がることにより見いだすこと ができる作品の価値や魅力と は
③筋道を立てて自分の考えを 論じよう
筋道の通った文章の展開や内 容とは何かをとらえてコミュ ニケーションをすることの意 義や価値とは
1年2年3年
⑥短歌・俳句の魅力を探る いにしえより読み継がれる短 歌・俳句の魅力を探ることで 見いだすことができる日本人 の言葉に対する美意識とは
上段:学習の くくり名 下段:共通テーマ
論理的言語
3 学習のくくり「説得する言葉・納得する言葉」について
(1)学習の構想表
育成する資質・能力の要素 学習活動 階層レベル
(下線部 は本時の学習場面)
知識 スキル 情意
A内容 B方法 C認知 D身体 E社会 F興・関 G追究
ガイダンス(2)
≪共通テーマと共通課題の理解≫
〇自分たちの言語生活を振り返り,相手から納得や同意を得るための ロールプレイを行ったり言語文化に関するエッセーを読んで話し合 ったりする。それにより話の内容や展開,表現の仕方や話し方を工夫 することで説得力を高め,相手と自分のものの見方・考え方・感じ方 を共有することの大切さや価値に気づき,これからの学習全体の見 通しをもつ。また,共通テーマに迫るために,身の回りの課題を解決 するためのディベカッションへの見通しをもち,共通テーマや共通 課題を理解する。
3 2 - 2 3 2
4
つかむ学習(
23)
〇「生物が記録する科学―バイオロギングの可能性」・「君は最後の晩餐 を知っているか?」を読み,説明的文章に用いられている,わかりや すく的確な説明の論理展開の特徴をつかみ,説得力がある説明をす るために大切なことを「対話秘けつ集」として書き出す。(10)
1 1 1 - 1 1
2 2 2 2 2 2
〇帰納と演繹の内容やちがいをつかみ活用することで,説得力がある 説明をするために大切なことをまとめる。(2)
○自慢の商品の売り込みや,目的地までの道順の説明などを,ロールプ レイをして説明することで,状況に応じた説得力がある説明をする ために大切なことを「対話秘けつ集」に書き加える。(3)
1 1 1 - 1 1
2 2 2 2 2 2
3 3 3 3 3
○今までの学習でまとめてきた「対話秘けつ集」の内容を踏まえて,自 分のことを紹介するスピーチの内容を考える。(2)
○話の構成や展開,表現の仕方や話し方を工夫して話をしたり気をつ けて聞いたりすることで,説得力がある話をするために大切なこと をグループでまとめる 。 (本時1/2)
○書き加えられた「対話秘けつ集」や仲間のアドバイスを踏まえて,ス ピーチの内容を推敲し,グループで発表し合う。(1)
2 2 2 - 2 2 2
3 3 3 2 2
〇今までの学習でまとめた「対話秘けつ集」を踏まえながら,自分のお 気に入りの文章を相手にわかりやすく伝える。(3)
3 3 - 3 3 3
追究する学習(5)
《追究課題の設定》
〇共通課題を受けた追究課題の設定(1)
自分たちの身の回りの課題を解決するためのディベカッションの論 題(テーマ)を決めることで追究課題を明確にし,追究方法を考える。
3 3 - 3 3 3
《追究活動》《交流活動》
〇ディベカッションで語る内容をワークシートにまとめる。(2)
〇身の回りの課題を解決するディベカッションを開く。(2)
これまでの学習で広がった自分のものの見方・考え方・感じ方を生か しながら互いの主張について語り合い,共有しながら追究課題に取 り組む。
3 3 - 3 3 3
つなげる学習(2)
《振り返りの記述》《振り返りの記述の交流》
〇これまでの学習を振り返り,共通テーマに対する自己の最適解をま とめたり,仲間との交流を通して考えを深めたりする。
【期待する生徒の表れ】
・説得力があり,聞き手の納得や同意が得られる話の構成や展開,
表現の仕方や話し方でコミュニケーションをすることの意義や価 値とは何か,記述したり語り合ったりしている。 など
4 4 - 2 3 4
(2)本学習のくくりでめざす生徒の姿とその姿に迫るための具体的な手だて
本学習のくくりでは,前学習のくくり「筋道を立てて自分の考えを論じる」で学んだ,物事を筋道立てて考える 力を基盤とし,自分が考えていることを相手に正確に伝え,理解を得るために論理的に考える力や話す力を身につ けていく。私たちは自分の考えを他者に理解してもらいたいときや,物事を自分が意図するように進展させたいと き,わかりやすく説明しようと試みる。その際,わかりやすく論理的に話すための言語力が大切になるが,表現の 仕方や話し方などの態度面も重要になってくる。そのため,本学習のくくりでは,論理的に読んだり書いたりする 学習と,効果的に話したり聞いたりする学習とを行っていく。こうして培った読む力・書く力・話す力・聞く力を 駆使することによって,社会に出て取り組む仕事や協同して行う活動を,より効率的に進めることができ,他者と 協力してよりよい社会を創ることにつながるであろう。本学習のくくりを通して,説得力があり相手の納得や同意 を得る言葉とはどのようなものかを探ることで,聞き手の納得や同意が得られる話の構成や展開,表現の仕方や話 し方でコミュニケーションをすることの意義や価値を実感させたい。そこで,本学習のくくりでめざす生徒の姿を 次のように設定する。
説得力があり,聞き手の納得や同意が得られる話の構成や展開,表現の仕方や話し方でコミュニケーションを することの意義や価値とはどのようなことか,気づいている生徒
本学習のくくりでは,上記のめざす生徒の姿に迫るために,次の学習活動に取り組ませる。
まず,ガイダンスにおいて,言葉だけで物事を説明する活動を行い,夕焼け空の色や大好きな食べ物の味などを 言葉で説明する難しさを実感させる。さらに日ごろ曖昧な言葉で何となく物事を伝え合っている現状を振り返ら せる。そして,日本と海外の言語文化を比較したエッセーである「『高コンテクスト』の日本社会」を読むことで,
異文化が共存する海外では的確に言葉で伝えなければ他者との意思疎通が困難になるという実態をとらえさせる。
これにより,今後,価値観の多様化や国際化が予想される日本社会においても,論理的に話の筋道を立ててコミュ ニケーションをすることの意義や価値が高まっていくことを実感させる。さらに,学習計画表を示し,今後の学習 活動について確認させるとともに共通テーマや共通課題を提示することで,本学習のくくりにおける最適解につ いておぼろげながらにイメージさせる。
つかむ学習では,論理的な説明的文章「君は『最後の晩餐』を知っているか?」を読み取ることで,論理的な文 章展開について理解を深める。また,物事を説明する代表的な論理として,帰納的論証と演繹的論証について学び,
活用を図る。次に,自慢の商品を売り込む場合や,キャンプに必要な物を仲間に説明する場合など,自分たちで様々 な状況を設定して説明をするロールプレイを行う。追究する学習では,学んだことを生かしながら,よりよい社会 や生き方を求め,身の回りの課題を解決するディベカッションを行う。
また,この学習のくくり全体を通して生徒が見いだした説得力のある対話をするために大切なことを,「対話秘 けつ集」としてまとめさせていき,実際の対話の中で相互評価をする際に活用することで,共通テーマである論理 的な言語を用いる意義や価値について主体的に迫らせていく。さらに,ペア学習による対話,4人グループによる 話合い活動,相手を入れ替えて複数回にわたって追究途中の交流を行うなど,多様な対話の形態を取り入れる。こ うして,生徒が学習内容を身近なものとしてとらえて主体的に課題を解決したり他者と対話的に説明を行ったり することで,主体的・対話的な学びを実現し,共通テーマに対する深い学びを実現させていく。
また,学習計画表の,学習内容のまとまりごとに共通テーマに対する気づきのメモを記入させ,自分なりの考え を深めさせることで最適解を見いださせていく。
(3)本学習のくくりの共通テーマと共通課題 共通テーマ
(本質的な問い の階層レベル)
説得力があり,聞き手の納得や同意が得られる話の構成や展開,表現の仕方や話し 方でコミュニケーションをすることの意義や価値とは(レベル4)
共通課題 よりよい社会や生き方を求め,私たちの身の回りの課題を解決するために,ディベ カッションを通して話合いをしよう。
4 本時について(本時20/32)
(1)本時の目標
【国語への関心・意欲・
態度】
説得力がある話し方を身につけるために,進んで話の構成や展開,表現の仕方や話 し方を工夫して話したり気をつけて聞いたりしようとする。(AB3×F2・G2)
【話す力】
話の構成や展開,表現の仕方や話し方を工夫して話したり,気をつけて聞いたりす ることで,説得力がある話をするために大切なことをグループでまとめることが できる。 (AB3×C3・E3)
(2)学習過程
●生徒の活動 ※期待する生徒の表れ ・指導上の留意点 ○支援 ◇評価
●前時までの学習内容を確認する。
●学習課題を確認し,学習の見通しをもつ。
●4人グループになり,事前に構想した項目に もとづいて自分のことを紹介するスピーチを する。
(テーマ例)
・自分の人生を変えた出来事
・私の好きなもの,こと
・私の信念 ・私の好きな時間 など
●どのような内容や表現の仕方,話し方ならば,
さらに説得力のある紹介になるのか話し合う。
●話し合ったことを生かしながら,再度,自分 のことを紹介するスピーチをする。
●説得力がある話をするために大切なことを話 し合い,「対話秘けつ集」に書き加える。
●本時の学習を振り返り,共通テーマについて考 えたことや気づいたことを学習計画表の気づ きのメモに記述する。
・今までの学習を通してまとめた「対話秘けつ集」(説得力 がある対話をするために大切なこと)と,それを踏まえ て考えた自分のことを紹介するスピーチ原稿や内容の筋 を書いたメモを確認するように伝える。
・グループ内で交互にスピーチをすることを伝える。
・聞き手は,タブレットで話し手の様子を録画するように 伝える。
・話す内容が聞き手にとって価値があり,引き付けられる ものなのか,確認するように伝える。
・聞き手は,話し手のよさだけでなく,どのような内容や 表現の仕方,話し方があればより説得力が増すのか着目 しながら聞くように伝える。
・録画した動画を確認しながら,よかった点と改善点を話 し合い,相手に伝えるようにうながす。
〇話合いが進んでいないグループには,前時までにまとめ た,説得力がある話をするために大切なことと照らし合 わせ,それらができていたか確認しながら改善点を伝え るようにうながす。
〇話し方などの態度面のみに着目しているグループには,
どのような内容の順で話した方がわかりやすかったの か,展開や構成についても触れるように助言する。
〇個性的な表現や言葉の言い回しがあれば,それらが内容 をわかりやすくしていたのか聞き手として判断して伝え るように助言する。
〇話の内容など言語面のみに着目しているグループには,
相手の表情,話し方など,聞き手から見た印象について も伝え合うようにうながす。
・先程の話合いを生かしながら交互にスピーチを行い,改 善点をさらに探るように伝える。
・4人がそれぞれに考えたことを出し合い,共通する大切 なことを見いだし,大切なこととしてまとめるように伝 える。
〇「対話秘けつ集」に書き加える内容がまとめられないグ ループには,仲間のスピーチで説得力があった具体例を 挙げ,それらをまとめるように伝える。
・グループでまとめた「対話秘けつ集」に新たに加えたこ とを,理由とともに発表するようにうながす。
・他のグループでまとめたことを聞いて,納得できる内容 があれば,ワークシートにメモを取るように伝える。
・共通テーマに対してどのような気づきを得たのかを,こ れまでの気づきのメモを振り返りながら記入するように 助言する。
◇本時の目標について,※印のような生徒の表れが見られ たか。
仲間とスピーチをし合い,説得力がある話をするために大切なことをグループでまとめよう。
※説得力がある話し方に迫るために,進んで話 の構成や展開,表現の仕方や話し方を工夫し て話したり気をつけて聞いたりしようとし ている。
※話の構成や展開,表現の仕方や話し方を工夫 しながら話をしたり気をつけながら聞いたり することで,説得力がある話をするために大 切なことをグループでまとめている。