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Special Issue 特集論文 Invited Peer-Reviewed Article 招待査読論文 Designer-Originated Technology Innovations in Innovative Products: Roles of Industrial Designe

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Roles of Industrial Designers in Innovation

革新的な製品に含まれるデザイナー発の 技術イノベーション

Tohru Yoshioka-Kobayashi

 *1

東京大学大学院 工学系研究科 技術経営戦略学専攻 特任助教

吉岡(小林) 徹

*1 Project Research Associate, Department of Technology Management for Innovation, The University of Tokyo, t-koba@tmi.t.u-tokyo.ac.jp

Abstract : This paper introduced hypotheses on the benefit of cross-functional involvement of professional designers in new product development activities, especially into technology development. To examine the return for both invention and new product development, we surveyed cases of innovative products and 90 international design award-winning products. Our investigation revealed that involvement of designers promotes (i) new technological idea creation, (ii) improvement of productivity of the technology development team by stimulating a common understanding of the goal, and (iii) bridging technology between firms or functional teams. These technological achievements contribute to realization of new products based on innovative concepts. We also found that these technological contributions are not rare phenomena. We cannot affirm that the contributions are designer-specific, but we are able to introduce several hypotheses about the innovation creation process in cross-functional teams.

Keyword : Designer and innovation, Patent, Inventions from designers

要約:デザイナーが商品開発の上流工程から関わること,とくに,デザイナーが他の職能組織の活動に積極的に関与していくこ とは,製品・サービスのイノベーションの実現につながるのだろうか。本研究は,デザイナーによる他の職能組織の活動への関 与の一つとして,技術開発への関与が,技術開発の質を高め,かつ,製品の質を高めているのかを,市場で成功を収めた事例の 分析と,国際的なデザイン賞受賞製品90製品の調査により検証した。その結果,デザイナーの技術開発の関与は,①新たな要 素技術を着想し,新規な製品コンセプトを実現する,②技術的課題を設定するか,技術開発チーム内での共有を促し,技術者の 開発効率を高める,③他組織の技術を橋渡しし,新たな技術を生み出す,のいずれかの形で高い質の技術を生み,かつ,製品自 体の質を高めていたことが確認できた。これらはデザイナー固有の寄与とまでは断言できないが,デザイナーの強みが生きた機 能組織間連携の効果であると考えられる。

キーワード:デザイナーとイノベーション,特許,デザイナーによる技術開発 Information : Received 11 March 2018; Accepted 16 March 2018

I. はじめに:イノベーションのブラックボックスと してのデザイナー

「今度の『デザイン重視』は何度目の正直なのか」

(Morinaga, 2016)との声が上がるほど,デザインの重要 性やデザイナーの役割を説く声は時代を超えて繰り返さ

れている。とくに近年,ビジネスの現場では,製品・サー ビスの装飾や設計だけでなく,ビジネスモデルの設計や 社会や人の関係の設計・実現もデザイン活動やデザイナー の役割として含める捉え方が登場している。

実際,Kootstra(2009)やGalindo-Rueda and Millot

(2015)は,デザインのラダーモデルを提唱した上で,

欧州の企業のイノベーション活動についての調査結果を

(2)

基に,デザイン活動や職能としてのデザイナーが商品開 発の上流工程から関わり,意思決定にも関わっていくこ とが,製品・サービスのイノベーションの実現を促進す るということを示している。

しかしこれだけでは,単に職能組織の連携が新製品開 発の工程の上流に存在したためにパフォーマンスが高 まった(Ishida, 2009;Lin, Wang, & Kung, 2015;Nakata &

Im, 2010)という既知の事実を,他の角度から眺めて いるのか,デザイナー固有の寄与があったのか定かでは ない。

本稿は,新製品開発の上流工程におけるデザイナー固 有の寄与の可能性とその要因を探求する。ただし,その すべてを把握することは困難である。焦点を絞り,後述 するとおり要素技術の創出への寄与に着目し,それがデ ザイナー固有の寄与としてどのような意味を持ちうるの かについての仮説を導出する。

II. 分析の視角:デザインの要素とデザイナーの役 割,技術への寄与の可能性

1. デザインの要素と職能としてのデザイナーの役割 職能としてのデザイナーは,製品の狭義のデザインで ある意匠,すなわち,製品の外観や装飾に寄与すること が中心的な役割と一般的に認識されているが,デザイナー 側の認識(Japan Industrial Designers’ Association, 2009)

を見ると製品のデザインのあらゆる次元に関わることを 予定していることが見て取れる。製品のデザインを構成 する次元が何かについては様々な議論があるところであ るが(例えば,Iwashita, Ohira, Ishida, Togawa, & Onzo, 2015),Homburg, Schwemmle, and Kuehnl(2015)が論文 レビューを通じて整理するとおり,「美観(aesthetics)」

「機能性(functionality)」「象徴性(symbolism)」の切り 口が最も妥当なものであろう。この切り口は,自動車産 業 に お い て 製 品 デ ザ イ ン の 次 元 を 抽 出 し た 前 述 の Iwashita et al.(2015)とも矛盾していないと考えられ,

汎用的な整理と思われる。

これらの次元のうち,機能性と象徴性は直接,消費者 の購買意向を向上させることが確認されている(Homburg

et al., 2015)。美観はブランドに対する態度を向上させる というかたちで間接的に購買意向を高めるにとどまって いた。一部の製品では,美観も購買意向を向上させるが,

機能性に及ばないことも確認されている。Talke, Salomo, Wieringa, and Lutz(2009)はドイツの消費者を対象に自 動車の購買意向を分析し,外観の新規性の効果は,技術 の新規性の効果を下回っていたことを発見している。こ のように機能性が製品デザインの果たす価値は大きい。

しかし,機能性,とりわけ機能性を実現する要素技術 の開発についてはデザイナーの関与があまり行われてい ない領域であることが確認できる。そもそも,多くの場 合,技術開発は製品開発の上流工程に位置づけられ,デ ザイン活動は下流工程にある傾向がある(Veryzer, 2005)。デザイナー(ただしグラフィック・デザイナー やインテリア・デザイナーを含む)を対象にした調査で は,デザイナーが業務において技術系の担当者と協働し ているとの回答は日本で20.2%,米国では3.1%に留まっ ていることが示されている(Washida, 2015)。これはデザ イン開発活動と技術開発活動が一般的には切り分けられ ている傾向があることを示唆している。

2. デザイン活動・デザイナーの要素技術開発への関与と 技術イノベーション

ところが,デザイン活動やデザイナーの活動と技術の 開発を関連させることには,利点があることが確認され ている。

日本企業を対象にした調査では,デザイン開発が要素 技術開発への正の影響を及ぼすことが確認されている。

Hasegawa(2012)が研究開発を行う日本企業を対象にし

た調査「民間企業の研究活動に関する調査」の結果を分 析したところ,工業デザインと技術のトレードオフが生 じた場合に,両者のバランスをとるか,デザインを優先 するとしている企業の方が技術的ブレークスルーを生み 出している確率が有意に高かった。

さらに,デザイナーの要素技術開発への関与は,優れ た技術的な成果を生む傾向があることを報告する研究も ある。古くはMoody(1980)が,デザイナーが関与する ことでニーズに沿った的確な技術課題の設定を行ってい ることを指摘している。近年では,初期的な分析ながら

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Yoshioka-Kobayashi and Watanabe(2016)が日本の家電 メーカーの特許約75,000件を分析し,デザイン部門所属 者を含む特許の技術的・商業的な質が他の特許に比べて 平均的高い傾向があることを定量的に明らかにしている。

また,技術開発ではなく,大学における科学研究活動 の事例分析ではあるが,デザイナー(特に工業デザイ ナー)の研究初期段階で関与させることで,研究をどの ような分野で実用化しうるかを検討し,研究の方向性を より社会的なインパクトの大きなものへとすることがで きたことが報告されている(Driver, Peralta, & Moultrie, 2011;Moultrie, 2015)。

前述のYoshioka-Kobayashi and Watanabe(2016)はデ ザイナーの持つ技能・特性に着目しこれらの現象の説明 を試みており,(1)デザイナーが潜在的な需要を意識し てデザイン活動を行うよう教育されていること(e.g.

Gregory, 1966)や自己の評判を高めるため新規性の高い 製品を生み出すことへの動機づけがあること(Walsh, Roy, Bruce, & Potter, 1992)から,技術開発においても潜在的 な需要に基づいた課題設定を行う傾向がある可能性があ ること,(2)研究課題の視覚化やプロトタイピングを行 うことにより技術者達の開発活動を効率化する(Moultrie, Clarkson, & Probert, 2007)可能性があることを検証し,

特許データの分析からは前者についての証拠を得てい る。彼らの分析では,デザイナーを発明者に含む発明で は後の特許から引用される数が多い傾向があるが,これ は出願から10年以上経過した特許においてのみ観測さ れていた。また,デザイナーのみで生み出された発明に おいても後の特許から引用される数は多い傾向があった。

また,Hargadon and Sutton(1997)は,デザイナーは 組織をまたいで開発に関与する機会が多く,組織間の技 術知識の移転に寄与する事例があることを報告している。

このように,デザイナー固有の技術開発の貢献要素は複 数存在しており,前述の実証分析の結果は十分に根拠が あるものと考えられる。

3. デザイナーの要素技術開発への関与と製品レベルのイ ノベーション

前述の技術開発への効果があるとしても,それが技術 の質の向上に留まる効果しかないのであれば意味がない。

しかし,新製品開発の質の向上に対しても寄与している との証拠が示されている。

日本のグッドデザイン賞受賞企業を対象にアンケート 調査を行い,製品開発プロセスの中でのデザイン部門と 他の機能組織間の連携がデザインに及ぼす影響を分析 したKanno and Shibata(2013)は,デザイン部門の技術 開発活動への関与が有意に製品デザインの顧客志向性,

独自性,革新性を高めていた。

また,実務レベルでも製品開発におけるデザイナーの 技術開発への関与の重要性が主張されるようになってい る。例えば,TOTOのデザイン本部長である武田浩介氏 は「デザインと技術の垣根を取り払うべき」(Takei, Nobeoka, Washida, & Kimura, 2015)と主張している。ま た,デザイナーの深澤直人氏は「すべてのデザイナーに,

…(中略)…エンジニアリング能力が求められる時代に なった。」(Fukazawa, Nobeoka, Washida, & Kimura, 2015)

とも述べている。

4. 先行研究に残された課題

このように一見すると,デザイナーの要素技術開発へ の関与は,技術開発の質を高め,そして,製品の質を高 めるように読める。しかし,とりわけ定量的な分析に不 可避なものではあるが,デザイナーの要素技術開発への 関与と技術イノベーションとの関連を分析した研究と,

デザイナーの要素技術開発への関与と製品レベルのイノ ベーションを分析した研究成果を直ちに接続することは できない。

そこで,本研究では,デザイナーの要素技術開発への 関与が技術的な成果を生み出し,それが優れた製品の創 出につながりうるのかを検証する。まずIIIでは二次資料 を用いて国内事例の分析を行い,前述(II-2)のデザイ ナーによる技術開発への貢献についての議論の追加検証 を行う。ただ,ここでの事例分析は典型的な選択バイア スがかかっている。適合する事例のみが採用されている ることは言うまでもない。

この点を克服するため,IVではイノベーティブな製品 群を取り出し,その中でデザイナーが技術的に寄与した 例がどの程度存在したかを明らかにする。ただ,デザイ ナーが関わり得ない製品であれば,技術的な寄与がほぼ

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存在しないことは容易に予想できる。そこで,製品デザ インとして高い評価を得た製品に限って検証を行う。具 体的には,国際的なデザイン賞の上位の賞を受賞した製 品90製品を分析し,デザイナーが当該製品の要素技術 開発に寄与していたかを検証する。その方法として,特 許に着目した。特許として出願されるものは少なくとも 当該製品の企画をした企業にとっては,新規で,かつ,

経済的な価値があると考えられたということを表す。技 術イノベーションの完全な代理指標ではないものの,十 分に価値のある技術創出の成果の代理指標としては適切 である。

この検証は,言い換えると,主に美観を中心に優れた 製品デザインとして評価された製品において,職能とし てのデザイナーが意匠の創出を超えて技術の創出にも寄 与しているかを確認するものである。

III. デザイナーによる技術開発への関与があった国 内事例1)

1. ソニー『VAIO Note 505』のバッテリー配置技術 ソニーの薄型ノートブック型パーソナルコンピュータ

『VAIO Note 505』はデザイナーが参画したことで,新規 な技術の創出と革新的な製品デザインの実現に至った事 例である。

1995年からソニーは薄型のノートンブック型コン ピューターの開発にあたっていたが,通常,コンピュー ター底面部のヒンジ周辺部に配置するバッテリーの厚み の制約から,理想の薄さに至ることができないでいた。

1996年,同社デザインセンターの主査であったインダス トリアル・デザイナーの後藤禎祐氏がこの開発に加わり,

独自のモックアップを示した上で,当該モックアップに 近い形状を実現させる際の制約要因であったバッテリー について,技術者では考えない発想を提供した。場所を 取り,製品の厚みにつながってしまっていたバッテリー を,ディスプレイと本体をつなぐヒンジ部に円筒状に納 める解決策を提案したのである。この発想は技術者にとっ ては「思わず声を上げた。我々にはそんな発想がなかっ た」(Nikkei Business, 1998)ものであった。

このアイディアはすぐに特許化された(特許第3125873 号,第4269363号,第4776062号)。1990年代後半,リ チウムイオン電池について円筒形で市場をリードするソ ニーと,角形で追随を図るエイ・ティーバッテリー(東 芝と旭化成の合弁。2004年解散)が争っていた(Nikkei Business, 1996)。円筒形のバッテリーを生かしたこのデ ザインは,ソニーに蓄積されていた技術があってこその ものであった。

これにより,当時としては画期的な薄型のノートブッ ク 型 パ ー ソ ナ ル コ ン ピ ュ ー タ 『VAIO Note 505』

(PCG-505,1997年発売開始)を実現し,大きな売上を 達成した。ヒンジ部は図1のとおり,特徴的な丸さを帯 びており,後にVAIOシリーズのブランドを表す形状と して引き継がれていった(Japan Patent Office, 2010)。

この事例は,デザイナーが,組織内の技術を橋渡しし つつ,製品デザインにも寄与する技術開発目標を設定し たことが奏功したものと理解できる。

2. FOMA 用着せ替え携帯電話端末のアンテナ機構 2004年にA社から発売されたNTT DoCoMoの第三世 代通信(FOMA)用携帯端末は,外装をユーザーが交換 することができる(着せ替えができる)端末としてFOMA 向けに展開された初の携帯電話端末である。

着せ替えを可能にするためには取り付けの機構がある ため,どうしても厚みが出ざるを得ない。当時,厚みを 少なくすることが各社の競争の要点であった。しかも,

着せ替えのためには,A社の機構設計で条件となってい る三角トルクネジでは不都合があった。インハウスデザ イナーのX氏はA社の事業部門長と機構設計担当者と密 なコミュニケーションを取り,六角の特殊なネジを用い ることで着せ替えパネルの装着を可能にし,しかも,一 定の厚みがでることをかえってアンテナの利得を向上さ せることにつなげるようなアンテナ配置とすることで不 利な点を利点とする解決をはかった。

これにより展開された同端末は,同年のFOMA向け端 末で第二位の売上をあげた(以上,Kanki & Osanai, 2008)。

(5)

3. 三菱電機 蒸気レス炊飯器『NJ-XS10J』の工業デ ザイン

三菱電機が2008年から発売を開始した蒸気レス炊飯 器『NJ-XS10J』は,インダストリアル・デザイナーが革 新的な製品のアイディアを生み出し,それに共感した技 術開発部門と協働して開発を進め,炊飯の新たな機構を 生み出し,革新的な製品デザインを有するヒット商品に つながったものである(Japan Patent Office, 2012)。

既存の炊飯器は蒸気を出し,その結果,家具を傷めて しまうことが課題であった。そのため,炊飯器は他の調 理家電と一体的に配置することができなかった。しかも,

蒸気の処理の関係上,形状がフルフェイス・ヘルメット 状にならざるを得ず,冷蔵庫,電子レンジなど直方体形 状が中心的な調理家電にあって一体感がないものとなっ ていた。これに問題意識を持ったインダストリアル・デ ザイナーが,2004年に蒸気が出ないことを要点とする音 楽コンポのような炊飯器をコンセプトモデルとして提案 したところ,家電分野の基礎研究部門の管理職クラスの 技術者の共感を得て,蒸気を排出しない炊飯器の探索的 研究を行うに至った。

ところが,排気機構の改変に焦点をあてた当初の探索

的研究ではうまくいかなかった。一時の研究の中断を経 て,2006年にビルトイン型の冷却機構を模索したとこ ろ,想定外に小さな冷却機構を実現可能であることがわ かり,中堅技術者とインダストリアル・デザイナーが協 働して開発を進めたところ,小型の水冷式冷却機構の開 発に成功し,フラットな上部を有し,キッチン家具の中 に設置可能な炊飯器が完成したのである。この炊飯器は 販売後10か月で4万台以上も販売される大ヒット商品 となった(Miyao, 2010)。図2のとおり,四角く独自の 質感を有したその工業デザインは高く評価され,2008年 にはグッドデザイン賞,及び,キッズデザイン賞(経済 産業大臣賞)を受賞した。

4. カシオ計算機 変形可能なデジタルカメラ『EXILIM EX-TR100』の機構

2011年にカシオ計算機が発売したデジタルカメラ

『EXILIM EX-TR100』は,図3に示したとおり,液晶モ ニター及びモニターを囲むように設けられた外側フレー ムが回転し,ビデオカメラのような形状や,据え置きで きる形状に変形できる,ユニークな構造・工業デザイン を有している。この製品のコンセプトと設計はインダス ソニー『VAIO note 505』

(画像出所)ソニー株式会社Webサイト2) 図 1  

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トリアル・デザイナーによって行われた。

本製品の工業デザイン実現の障壁は,デバイスの選択,

そして,特異な外形をもつ筐体の構造であった。デバイ スについては,コンセプトモデルを実現しようとすると 汎用品では困難であることがわかった。企画担当者や設 計担当者と議論が何度も交わされ,最終的には,根幹の

コンセプトは維持しつつも外形のデザインはコンセプト モデルから修正された。筐体については,その素材の選 択,そして,生産工程の技術的な課題が議論となった。

EXILIM EX-TR100を提案したデザイナーは,筐体の設計

の議論に加わり,従来にない機構の開発を支援した。最 終的に,機構上の課題はのちに特許化される技術によっ 三菱電機『NJ-XS10J』

(画像出所)三菱電機株式会社Webサイト3) 図 2  

カシオ計算機『EXILIM EX-TR100』

(画像出所)カシオ計算機株式会社Webサイト4) 図 3  

(7)

て解決した。生産工程の課題は,設計部門が金型メーカー と粘り強く議論を行い,新たな製造プロセスを開発して 解決した。このように,デザイナーが技術部門での開発 に加わったこと,設計部門がコンセプト実現のための技 術的課題を積極的に解決したことで,市場に対してイン パクトのあるコンセプト・外観を実現することが出来た のである。

EXILIM EX-TR100は海外を中心に爆発的なヒットを

見せた(以上,Akiike & Yoshioka-Kobayashi, 2015)。

IV. 国際的デザイン賞の分析

1. 分析手法

2015年に国際的なデザイン賞であるiF賞(ドイツ)

Gold Award,IDEA(アメリカ)のGold Award,グッドデ ザイン賞(日本)の大賞および金賞,red dot award(ド イツ)のbest of best,K-Design(韓国)の受賞製品計 150製品の中で,当該デザイン賞のサイトでデザイナー 名(ただし,本稿が議論している職能としてのデザイナー に限られてはいない)が開示されている90製品を調査 対象とした5)

これらの製品について,当該製品を企画した企業(多 くの場合,製造も担っている)から,2012年~2015年 までに出願され,かつ,当該デザイナーを発明者として 含み,さらに,特許の図面や記述から当該受賞製品に明 確に関連することが確認できたものを抽出した。なお,

重要な特許は米国または欧州で出願される傾向があるこ とから,対象は米国特許または欧州特許とした。目視で 特定していることから,最も関連性が強い1件のみを取 り上げた6)

その上で,上述のとおり,デザイン賞にいうデザイナー が職能としてのデザイナーでない可能性を踏まえ,当該 技術の発明者となった者がどのような経歴を持つのかを,

インターネット上で調査した。主にはLinkedInなどの職 業上の経歴を自ら公開するサイトを参照した。調査して も見つからなかった場合,当該デザイナー名,かつ,同 一の企業から出願された技術的な特許を調べ,平均して 毎年1件出願がある者は技術者とみなした。

さらに,職能デザイナーを含む発明については特許の 明細を読み,当該製品の要素技術に関わるか否かを目視 で判断した。製品の技術面での中核要素は当該製品の受 賞理由や製品のWebサイトでの記述を参照した7)。この 他,製品の外観に係るものであるか,内部構造に係るも のであるかも区分した。ただし,製品外観・内部構造に ついては,製品の美観を実現しようとすると不可避な要 素技術を特許として出願したものと,製品外観・美観を 構成する要素を技術として表現し,製品の意匠を特許と して保護しようとしたものの2種を含んでいる。両者に ついては区別ができていない。

加えて,米国特許であった場合は当該特許の引用情報 を調べ,組織内の異なる発明者チームによる特許を多数 引用しているかを調査し,組織内の技術の橋渡しに寄与 しているかも検証した。

2. 分析結果

分析結果を図4に示す。デザイナー名が明示されてい る90製品のうち,16製品は当該受賞デザイナー(図で は受賞者と表記)を発明者とし,かつ,当該製品との関 連性が確認される特許出願があった。このうち,12製品

(13%)は職能デザイナーによるものであることが確認 できた。決して割合としては大きくないが,職能として のデザイナーがデザイン賞受賞製品に密接に関連する特 許の創出に関与する例は極めて例外的なものではないこ とが少なくとも確認できる。

職能デザイナーによる発明を分類したものが表1であ る。全ての特許が外形の実現,または,内部構造に関わ るものであった。要素技術の創出に職能デザイナーが関 わっているものも3件存在していた。他方で,自己引用 のある特許はわずか2件であり,それもそれぞれ1件ず つの引用に留まっていた。組織内の技術の橋渡しは本調 査ではみられなかった。

3. デザイナーによる要素技術創出事例

技術者の関与がなく要素技術の創出を行っていたもの は,確実にデザイナーが技術的課題を設定し,かつ,自 ら解決したと理解できる。そのような例がsquiddies社に よる手釣り用リールのflip reelである。これは糸と針だ

(8)

けで行う釣りで用いるリールである。容易に糸が巻きつ けられる作りになっているだけでなく,仕掛けを巻きつ けて持ち運ぶときには怪我の原因となる針が樹脂の中に 収納されるようになっている構成が要素技術となって いる。

米国特許出願2016/0044904は,このリールに係る特許 出願である。デザイン賞の受賞デザイナーとなった2名 の工業デザイナーが発明者である。欧州,カナダでも出 願されており,同社としては重要な技術と捉えているこ とがうかがわれる。

デザイン賞受賞製品のうち受賞者による関連発明が存在する製品の割合 図 4  

職能デザイナーによる関連発明が存在する製品の当該発明の区分 表 1  

(9)

4. デザイナーによる技術的課題設定または課題の共有促 進と考えられる事例

技術者とデザイナーが関わった技術開発成果のうち,

デザイナーの影響が推測されるものが,サムスン電子の 首振り型LEDランプ,Swivel PAR38 LED lumpである。

これは特徴的な形状をしたLEDランプであり,家庭用 ソケットにつなぐことができ,図に示したとおり首振り によってスポットライトとして用いることが出来るもの

である。

米国特許登録9574753号は,このLEDランプに係る ものである。薄型の筐体にヒンジ部,回路部が収納され ていることが特徴である。発明者4名中2名がデザイ ナーであり,形状が先にあって技術開発が行われたか,

技術開発そのものにデザイナーが深く関与した可能性が 推測される。

squiddies 社『flip reel』

(出所)squiddies社Webサイト8)

(注)左が使用時,右が持ち運び時 図 5  

サムスン電子 Swivel PAR38 LED lump および米国特許 9574753 号

(出所)iF賞Webサイト9) 図 6  

(10)

V. 議論

1. デザイナーの技術開発への関わり方

国内事例の分析,そして,国際的デザイン賞受賞製品 の分析から,デザイナーが技術の創出に関与し,技術的 に新規な成果を生み出すとともに,それが用いられた製 品が革新的なもの,または,高いデザイン性を有するも のと評価される結果につながる事例があることが確認で きた。しかも,国際的デザイン賞受賞製品の分析で明ら かになったとおり,そのような事例は,極めて稀な事例 ではないことも確認できた。

その関わり方は次の3つに区分できる。

・デザイナーが自ら要素技術を着想し(例:『flip reel』),試行錯誤により着想の質を高める

・技術的課題を設定し,技術者とともに開発する(例:

蒸気レス炊飯器,『EX-TR100』)

・他組織の技術を橋渡しする(例:『VAIO note 505』)

それぞれの関わり方の中で,デザイナーの強みである,

創造的な着想や,視覚化やプロトタイピングの技能が寄 与していると考えられる。

2. 要素技術の着想への寄与の理論上の位置づけ

もっとも,着想の提供や着想の質の向上については,

デザイナー固有の寄与と断定することは難しい。デザイ ナーが商品と消費者との接点を取り扱うため,市場志向 性(Onzo, 2013)を製品開発チームに加える傾向がある という可能性は考えられるが,そうであるならば,デザ イナー以外にもこれを実現することができる。リード・

ユーザーによるイノベーションの実現(Ogawa, 2013;

von Hippel, 1986)もまた,市場志向性を新商品開発に導 入し,かつ,試行錯誤を実現するものである。

市場志向性が技術開発段階に加わることで,技術起点 になりがちな研究開発の探索傾向が変わり,市場のイノ ベーションの生まれやすくなる(Kawakami, 2005)こと は既に知られている。この市場志向性の研究開発段階へ の導入において研究開発の担い手が誰であるべきかにつ いては特段議論が行われていないが,本研究が確認した 事実に基づくと,敢えて技術者・科学者の役割として分

業を徹底する必要はないことがわかる。その一つの職種 がデザイナーであったことが確認できたと理解するべき だろう。

もっとも,着想を出して実現できるとの仮定はあまり にも楽観的すぎる。デザイナーにせよリード・ユーザー にせよ,一定の実装や試行錯誤ができる者である。その ため,技術者に匹敵する貢献がなしうるのではないか。

ここから次の仮説が導出できる。

仮説1:非技術者であっても,市場に近い着眼点を

持ち,かつ,着想の検証が可能な技能を持つ者が技 術開発に加わることで要素技術の市場志向性が高ま り,その技術を実装した製品がイノベーションにつ ながりやすい。

3. 技術開発・新製品開発組織内での貢献の理論上の位置 づけ

技術課題の共有や組織内での技術の橋渡しについても 同様であり,デザイナーに固有とまではいえないが,特 徴的な貢献であると考えられる。

Moultrie(2015)が主張するように,デザイナーは科 学・技術の開発において,異分野をつなぐboundary object を作り出すことに大きく寄与する。彼らの議論によると,

デザイナーは科学・技術については必ずしも専門家では ないが,その抽象的な要素を理解する傾向があるため,

異なる知識の背景を持つ者同士の理解を促すという。確 かに,デザイナーはデザイン活動において多様な製造技 術の理解や製品安全の理解など幅広い科学・技術の理解 が不可欠であり(Esslinger, 2009;Green & Bonollo, 2002),科学的・技術的な知識を抽象的な形で幅広く理 解する傾向があるのかもしれない。

このようなboundary objectは,職能組織間の連携で行 う新製品開発で生じがちな内部対立(Ancona & Caldwell, 1992;Song, Montoya-Weiss, & Schmidt, 1997)を緩和す ることに寄与しうる。これらの内部対立の要因は,組織 内言語や文化の違いに起因する機能組織間のコミュニ ケーション不全・対立である。抽象度が高いコミュニケー ション手段は,ある種の同床異夢を生み,円滑な開発が 実現できるのかもしれない。その点では,イノベーティ ブなプロジェクトにおける,複数の正当化事由の使い分

(11)

けが寄与するとのTakeishi, Karube, and Aoshima(2012)

の議論に通じるものがある。

さらに言えば,そのような抽象化そのものが卓越した 技術の実現に寄与している可能性がある。認知科学の知 見によると,発明は抽象的な問題解決知識から生まれる

(Finke, Ward, & Smith, 1992;Gorman & Kagiwada, 1995)。

卓越した発明は技術的な要素の新規な組み合わせであり

(e.g. Fleming, 2001),抽象的によって新たな組み合わせ が触発されているのかもしれない。これらの議論から次 の仮説が提示できる。

仮説2:抽象的な思考ができる者が,異なる背景を

持つ者同士を共通の方向に向かわせることができる

boundary objectを技術開発に加えることで職能組織

間連携や異分野連携が進み,要素技術の革新性が高 まり,その技術を実装した製品がイノベーションに つながりやすい。

4. デザイナーの特殊性

これまでの議論では,デザイナーに固有な性質が貢献 しているというよりは,デザイナーに強みのある技能・

思考が技術開発と新製品開発で貢献している可能性があ るということが,既存の理論の枠組みで捉えることがで きた。では,デザイナーの特殊性を敢えて議論する必要 はないのだろうか。

しかし,そうは思えない。着想,具体化,そして,合 意形成のプロセスで寄与する技能・思考法を有している ところには特殊性がある。デザイナーの活動を,芸術活 動のような個人の創造的活動として捉えてしまうと,合 意形成への関与そのものが見過ごされてしまうが,その ような見方は適切ではないように思われる。組織内で合 意形成を促進する技能を持つ者は必ずしも多くない。こ こにデザイナーの特殊性があるのではないか。

VI. 結論

1. 結論と示唆

本研究からは,デザイナーに強みのある技能・思考が 技術開発の質を高め,しかもそれが市場志向性も高めて

いる可能性が確認できる。他方で,デザイナー固有の貢 献と言い切ることは難しく,むしろ先行する研究で指摘 されてきたイノベーションの実現パターンの一例である か,それらの理論を詳細化するてかがりを見つけたに留 まる。

とはいえ,実務の観点からの意義は小さくない。組織 としては,デザイン部門と技術開発部門の分業を徹底す るべきではなく,少なくとも必要に応じてデザイン部門 が技術開発に侵食することを認めた方が,技術開発にお いても,新製品開発においても好ましい結果を生む可能 性があることを,本研究は確認した。

しかも,このような侵食は,必ずしもデザイナーが技 術的成果の総収に寄与しなくても意味があると考えられ る。Rubera, Griffith, and Yalcinkaya(2012)が主張すると おり,技術イノベーションを伴った新製品は顧客に直ち にその価値が伝わるものではない。技術の価値を最もよ く伝えるものが,製品の意匠である(Hoegg & Alba, 2014)。デザイナーが技術開発の段階で加わることで,

より技術の価値を伝える意匠を生み出す可能性が増すと 推測される。

2. 限界

ただし,この研究には大きな課題が残されている。事 例にせよ,特許にせよ,デザイン賞受賞製品にせよ,そ れらは試行錯誤の中で生き残った成果である。生存バイ アスがかかっており,成果創出に至らなかった失敗事例 は観測されていない。デザイナーを技術開発へ関与させ る取組は,平均的には技術開発,製品開発の効率を低下 させる可能性は残されている。とくに,技術者にとって は,工業デザイナーを交えた異部門連携での研究開発チー ム内での効率的な振る舞い方についての学習機会がない ため,両者の協働は失敗確率が高い(Okudan & Zappe, 2006)。

設計技術者とデザイナーの間ではより両者の関係に困 難が伴う。Pahl, Wallace, and Blessing(2007)は,エンジ ニアのうち機能設計を担当する者と工業デザイナーとの 間で目指すものが一致していないことも両者の間で距離 を作る要因となっていると議論している。両者の顕著な 差は,工業デザインにおいて美観が注目されがちな点で

(12)

ある。機能設計活動においては機能によって外形が決定 される(form follows function)傾向があるが,工業デザ イン活動では外形を基に機能を決定する(function follows form)傾向があることが対立の要因となっているという。

Kim and Lee(2014)は,韓国の製造業企業の工業デザイ

ナーおよび設計担当者に対する聞き取り調査から,スケ ジュール感の違いをはじめとして両者の間で業務の進め 方に関する齟齬が生じていることが明らかにした。工業 デザイナーは設計担当者を創造的でないと捉え,設計担 当者は工業デザイナーを柔軟性に欠くと評価しているこ とが報告されている。本稿で紹介したカシオ計算機の

『EX-TR100』の例では事前の綿密な調整が設計技術者と デザイナーの協働を実現したことを報告しており,一般 には連携が容易でないことを示唆している。

3. 将来の研究課題

このように,デザイン部門と技術開発部門の協働が有 効であるとしても,それが機能するための組織マネジメ ントについては検討されなければならない。Yoshikubo and Suzuki(2005)が指摘するとおり,デザイナーと他 の部門の連携には,デザイナーが用いる感性的な用語を,

他の機能組織が合理的に納得可能な形で伝える必要があ る。高画質デジタルカメラの黎明期に縦型のデジタルカ メラとして登場し,爆発的なヒットとなった富士フイル ムの『FinePix700』の事例を分析したAkiike and Yoshioka- Kobayashi(in press)は,感性的な側面だけでなく,合 理的な側面を併せ持つ新規な意匠であったことが,当該 デザインの採用の要因となっていることを指摘している。

デザイン部門と他の機能組織部門の連携が有効に機能す る条件については研究の蓄積が必ずしも十分とは言えず,

さらなる研究が行われるべき課題である。とりわけ,デ ザイナーは経営に対する距離が遠い傾向がある(Washida, 2014)。これが協働が機能することを妨げている可能性 も考えられる。デザイン組織自体の変革もその条件であ るのかもしれない。

謝辞

本研究は科学研究費補助金若手(B)(16K17162)の成 果である。本研究の多くは,共同研究者である勝又壮太

郎准教授(大阪大学),秋池篤准教授(東北学院大学)と の議論に示唆をうけたものである。この場を借りて感謝 を申し上げる。

1) 本節の記述はYoshioka-Kobayashi(2015)に基づいた。

2) http://www.sony.jp/products/Consumer/PCOM/VAIO/Note505/

index.html

3) http://www.mitsubishielectric.co.jp/ldg/wink/

displayProduct.do?ccd=102013&pid=5000002413 4) http://casio.jp/dc/products/ex_tr100/overview/

5) 本データセットの詳細な作成過程は,同データを用いて国 際的デザイン賞が知的財産権,とりわけ意匠権によってど の程度保護されているかを調査したYoshioka-Kobayashi and

Akiike(2017)(ただし,55製品に限られる),Yoshioka-

Kobayashi, Fujimoto, and Akiike(2018)(本分析で用いた150 製品の分析結果である)において報告されている。要点を 簡潔に述べると,特許調査・意匠調査に専門性をもつ著者 2名(うち,1名は弁理士)が目視で関連する意匠・特許を 検索したものである。

6) この手法では外観に関する発明が優先的に選択されること となる。

7) 恣意性は排除できていない。

8) https://squiddies.tv/

9) https://ifworlddesignguide.com/entry/150372-swivel-par38- lamp

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吉岡(小林) 徹(よしおか(こばやし) とおる)

1982年生まれ。大阪大学大学院法学研究科博士前期課程修 了後,株式会社三菱総合研究所を経て,2015年東京大学大 学院工学系研究科博士課程修了(博士(工学))。同年,一 橋大学イノベーション研究センター特任講師。2016年より 現職。専門は知的財産マネジメント,知的財産政策。

(16)

デザイン賞受賞製品のうち受賞者による関連発明が存在するもの

(補遺)表 2  

(17)

デザイン賞受賞製品のうち受賞者による関連発明が存在するもの

(補遺)表 3  

参照

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