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、京都大学放射線生 物研究センターがん細胞生物学分野

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Academic year: 2021

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放射線生物研究 Radiation Biology Research Communications 52(3), 277-290, 2017

- 277 -

<総 説> Review

がん特異的グルコース代謝経路による放射線抵抗性と 放射線治療増感への展開

京都大学大学院医学研究科放射線腫瘍学・画像応用治療学

1

、京都大学放射線生 物研究センターがん細胞生物学分野

2

、科学技術振興機構(JST)さきがけ

3

後藤 容子

1*

、中島 良太

1

、原田 浩

2,3

(2017年821日掲載決定)

Metabolic reprogramming-mediated radioresistance

1Department of Radiation Oncology and Image-applied Therapy, Kyoto University Graduate School of Medicine. 2Laboratory of Cancer Cell Biology, Department of Genome Dynamics, Radiation

Biology Center, Kyoto University. 3PRESTO Japan Science and Technology Agency (JST).

Yoko Goto1*, Ryota Nakashima1, Hiroshi Harada2,3 (Accepted for publication 21 August 2017)

放射線治療技術の進歩は目覚ましく、これまで以上にがん病変に集中的に高線量を投与し、周囲 の正常組織への線量を低減することが可能になっている。この技術を用いてより効果的に放射線治 療を行うには、がんの放射線治療抵抗性メカニズムを解明し、高線量を投与すべきがんの分画を明 らかにすることが必要である。放射線腫瘍学において、低酸素は化学的、生物学的なメカニズムで 放射線抵抗性をもたらすため、注目を集め続けている。低酸素応答において特に重要な役割を果た す低酸素誘導性転写因子の1つHypoxia inducible factor 1(HIF-1)は、がんの悪性化や放射線 抵抗性に深く関与している。ワールブルグ効果として知られる、酸素の有無に関わらず解糖系を亢 進してATPを産生するという代謝特性を多くのがんは有しているが、この好気的解糖の誘導におい

HIF-1が中心的な役割を果たしていること、またHIF-1がこのグルコース代謝のリプログラミン

グを介して放射線抵抗性をもたらしていることが明らかになってきた。本稿ではHIF-1による放射 線抵抗性の機序について、特にがん特異的なグルコース代謝に注目し、概説する。

* 〒606-8507 京都府京都市左京区河原町聖護院54 54 Shogoin Kawahara-cho, Sakyo-ku, Kyoto 606-8507, Japan.

TEL: +81-75-751-3763, FAX: +81-75-771-9749, E-mail: [email protected]

(2)

- 278 -

キーワード:グルコース代謝リプログラミング、HIF-1、放射線治療

Advances in radiotherapy technology have been impressive, and it became technically possible to administer higher doses to tumors and to reduce the dose to surrounding normal tissues. In order to conduct radiotherapy more effectively using this technique, it is necessary to elucidate the molecular mechanisms underlying radioresistance of cancers and to clarify the radioresistant fractions to which higher dose should be administered.

In the field of radiation oncology, tumor hypoxia has continuously received considerable attention as it provides radioresistance by chemical and biological mechanisms. Hypoxia inducible factor 1 (HIF-1), which plays an important role in cellular hypoxia response, is deeply involved in cancer malignancy and radioresistance. Most types of cancers have a metabolic property of promoting the glycolysis system to produce ATP regardless of the presence or absence of oxygen, which is known as the Warburg effect. It has become clear that HIF-1 plays a vital role in this aerobic glycolysis, and that HIF-1 has brought radioresistance through this reprogramming of glucose metabolism. Herein, we will review the latest knowledge about the mechanisms of HIF-1-mediated radioresistance, especially focusing on cancer-specific glucose metabolism.

Key words: Metabolic reprogramming, HIF-1 (hypoxia-inducible factor 1), Radiotherapy

背景

がん治療の三本柱は手術、放射線治療、化学療法である。手術と同様に局所治療である放射線治 療は、切らずに治せるということ、また臓器を温存できることに大きな利点がある。

近年の放射線治療技術の進歩は目覚ましい。高精度放射線治療が進歩し、強度変調放射線治療

(IMRT)や画像誘導放射線治療(IGRT)が可能になり、これまで以上にがん病変に高線量を投与し、

周囲の正常組織への線量を低減できるようになってきている。この技術を用いてより効果的に放射 線治療を行うには、がん細胞の特性、特に放射線治療抵抗性のメカニズムを解明し、高線量を投与 すべき分画を明らかにすることが肝要である。

固形腫瘍においては腫瘍の増殖速度と血管形成のアンバランスから、血管から十分な酸素が供給 されない低酸素領域が存在する。放射線腫瘍学において、低酸素は化学的、生物学的なメカニズム で放射線抵抗性をもたらすため、注目を集め続けている。放射線は水分子と反応してフリーラジカ ルを産生し、DNAに損傷を与える。酸素分子はDNA損傷を酸化して固定し、損傷をより修復困難で 致死的な状態にする。このため、低酸素下と比較して通常酸素存在下では多くの致死的なDNA損傷 が形成される。このような放射線化学的なメカニズムに加えて、低酸素環境下で活性化する一連の 遺伝子群によって細胞が放射線抵抗性を獲得するという放射線生物学的なメカニズムが、近年の分 子生物学の発展により解明されつつある。低酸素応答において特に重要な役割を果たすのが低酸素

参照

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