<東日本大震災特集>
食品中の放射性物質に関する暫定規制値の考え方と 放射能濃度から預託線量への換算方法
財団法人 電力中央研究所 原子力技術研究所 放射線安全研究センター 浜田信行*、荻野晴之
1.はじめに
平成23年3月11日14時46分に、太平洋三陸沖を震源としたモーメントマグニチュード9.0の地震
(国内観測史上最大、世界で4番目の規模)が発生した。この東北地方太平洋沖地震では、それに 伴う大きな津波も襲来し、東日本大震災と呼ばれる大きな震災となった。東京電力の福島第一原 子力発電所(福島県双葉郡の大熊町と双葉町に跨がって所在)の沸騰水型軽水炉は、地震直後に 自動停止したが、14メートルを越える津波によって損傷を受けた。同日19時3分に、内閣総理大 臣は、原子力災害対策特別措置法に基づいて、同発電所の事故に関わる原子力緊急事態宣言を発 令した。同日20時50分と21時23分に、同発電所の近隣住民に対する避難や屋内退避の指示が出さ れたが、その対象範囲は原子炉の事故状況の変化を受けて拡大されていった。翌朝4時30分に、
同発電所の正門付近における実効線量の線量率の上昇が確認され、その後、各地で線量レベルの 上昇が認められた。線量レベルの増減はあるが、同年4月28日の時点でも放射性物質の放出は続 いており、事故の収束は同年末になる可能性がある。
同年3月17日と4月5日に、厚生労働省医薬品食品局安全部長は、食品衛生法(飲食による衛生 上の危害発生の防止による国民の健康保護を目的)の規定に基づいて、食品中の放射性物質に関 する暫定規制値を設定するとともに、暫定規制値を超過する食品は、同法の第6条第2号に該当す るとして、摂取しないよう各自治体に通知した。ちなみに、食品とは、摂取する飲食物の総称で ある。同年3月16日以降、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、千葉県、東京都で生産された一部 の野菜、原乳や魚介類に暫定規制値を上回る放射性セシウム(134Csと137Cs の合計で~ 82,000 Bq/kg)や放射性ヨウ素(~ 54,100 Bq/kgの131I)が検出されたことを受けて、3月21日から一時 的に出荷や摂取が制限された。また、3月17日から3月28日まで、福島県、茨城県、千葉県、東京 都、栃木県、埼玉県の一部の水道水に、暫定規制値を上回る放射性ヨウ素(~ 965 Bq/kgの
キーワード:食品、暫定規制値、預託実効線量、甲状腺預託等価線量、預託線量換算係数 *〒201-8511 東京都狛江市岩戸北2-11-1
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放射線生物研究 46(2),2011 P127 ~ 139
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