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―生徒と共同して作成したルーブリック評価で主体的で深い学びに―

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(1)

英語

パフォーマンス課題とルーブリック評価で育成する発信する英語力

―生徒と共同して作成したルーブリック評価で主体的で深い学びに―

澤田 真実

はじめに

コミュニケーション能力を身につけるために は,自分の言いたいことを既存の知識や語彙を使っ て即興で相手に伝えたり,相手が話したことを理解 し,質問したりする力を身につけるための言語活動 が必要である。

そこで,本実践では「話すこと」「書くこと」を 重点的に研究し,毎回の授業でペアによるスモール トークやスピーチ,音読,リテリングなどの活動を 通して,繰り返し英語を話すことにより,自ら話す 内容や表現方法を工夫し,会話を楽しむことで,即 興的会話力を高めさせたい。本研究における「即興 的会話力」とは,コミュニケーションの場において,

相手を意識しながら,相手が伝えようとすることに 適切に応じ,相手に質問したり,自分の意見などを 相手に伝えたりすることができる力とする。

まず,「逆向き設計」論に基づき単元構想を行い,

リアルな文脈において,知識やスキルを統合して使 いこなすことを求めるような課題であるパフォー マンス課題を適切に設定する。そして,生徒がどの ような表現方法を求めているか,生徒にとってどん な支援が必要か,どんな力をつけさせたいかを明ら かにしたい。また,与えられたパフォーマンス課題 を解決するために,毎回の授業の中で学習した知識

や語彙をどのように自分の言葉に直し,伝えればよ いのか,思考・判断し,英語で相手に伝える表現力 を高めさせたい。

次に,主体的に学びを深めるために,ルーブリッ ク評価を設定する。教師が学習過程の途中の評価に 用いる評価項目を,生徒とともに作成し,生徒の到 達度によって修正を加えたり,項目を増やしたりし て,生徒と教師が共有することにより,生徒が主体 的に学習に臨むようにしたい。それが自律した英語 学習者として成長することにつながると考える。

図1 今年度の研究のイメージ図 本論の要旨

令和年度から,中学校学習指導要領が全面実施される。中学校外国語におけるアウトプットのうち の一つである話すことは「やり取り」と「発表」の二分野に分かれ,ますます即興で伝えあうことがで きる力,すなわち即興的会話力が求められるようになった。そこで,本研究では,即興的会話力を身に つけるために,授業の帯活動や各活動のなかで即興性の高い言語活動をたくさん行い,教師や生徒同士 での会話テストでどれだけ即興で会話を続けることができるかを見ることにした。生徒の発話を増や すために,とにかくアウトプットの回数を増やすことを優先させた。

さらに,主体的で深い学びのために,ルーブリック評価を設定し,評価指標とする。本来教師が指導 の途中の評価に用いる評価項目を,生徒とともに作成し,生徒の到達度によって修正を加えたり,項目 を増やしたりして,生徒と教師が共有することにより,生徒が主体的に学習に臨むようにしたい。また,

パフォーマンス課題を課す際に,生徒にルーブリック評価による「見える評価」を提示する。その結果,

「話すこと」と「書くこと」で必要な要素や方法を生徒が理解し,主体的に英語学習をすすめるきっかけ になると考え,本主題を設定した。

キーワード ルーブリック評価,逆向き設計による単元構想,即興的会話力,パフォーマンス課 題,生徒との共同ルーブリック作成

(2)

英語

パフォーマンス課題とルーブリック評価で育成する発信する英語力

―生徒と共同して作成したルーブリック評価で主体的で深い学びに―

澤田 真実

はじめに

コミュニケーション能力を身につけるために は,自分の言いたいことを既存の知識や語彙を使っ て即興で相手に伝えたり,相手が話したことを理解 し,質問したりする力を身につけるための言語活動 が必要である。

そこで,本実践では「話すこと」「書くこと」を 重点的に研究し,毎回の授業でペアによるスモール トークやスピーチ,音読,リテリングなどの活動を 通して,繰り返し英語を話すことにより,自ら話す 内容や表現方法を工夫し,会話を楽しむことで,即 興的会話力を高めさせたい。本研究における「即興 的会話力」とは,コミュニケーションの場において,

相手を意識しながら,相手が伝えようとすることに 適切に応じ,相手に質問したり,自分の意見などを 相手に伝えたりすることができる力とする。

まず,「逆向き設計」論に基づき単元構想を行い,

リアルな文脈において,知識やスキルを統合して使 いこなすことを求めるような課題であるパフォー マンス課題を適切に設定する。そして,生徒がどの ような表現方法を求めているか,生徒にとってどん な支援が必要か,どんな力をつけさせたいかを明ら かにしたい。また,与えられたパフォーマンス課題 を解決するために,毎回の授業の中で学習した知識

や語彙をどのように自分の言葉に直し,伝えればよ いのか,思考・判断し,英語で相手に伝える表現力 を高めさせたい。

次に,主体的に学びを深めるために,ルーブリッ ク評価を設定する。教師が学習過程の途中の評価に 用いる評価項目を,生徒とともに作成し,生徒の到 達度によって修正を加えたり,項目を増やしたりし て,生徒と教師が共有することにより,生徒が主体 的に学習に臨むようにしたい。それが自律した英語 学習者として成長することにつながると考える。

図1 今年度の研究のイメージ図 本論の要旨

令和年度から,中学校学習指導要領が全面実施される。中学校外国語におけるアウトプットのうち の一つである話すことは「やり取り」と「発表」の二分野に分かれ,ますます即興で伝えあうことがで きる力,すなわち即興的会話力が求められるようになった。そこで,本研究では,即興的会話力を身に つけるために,授業の帯活動や各活動のなかで即興性の高い言語活動をたくさん行い,教師や生徒同士 での会話テストでどれだけ即興で会話を続けることができるかを見ることにした。生徒の発話を増や すために,とにかくアウトプットの回数を増やすことを優先させた。

さらに,主体的で深い学びのために,ルーブリック評価を設定し,評価指標とする。本来教師が指導 の途中の評価に用いる評価項目を,生徒とともに作成し,生徒の到達度によって修正を加えたり,項目 を増やしたりして,生徒と教師が共有することにより,生徒が主体的に学習に臨むようにしたい。また,

パフォーマンス課題を課す際に,生徒にルーブリック評価による「見える評価」を提示する。その結果,

「話すこと」と「書くこと」で必要な要素や方法を生徒が理解し,主体的に英語学習をすすめるきっかけ になると考え,本主題を設定した。

キーワード ルーブリック評価,逆向き設計による単元構想,即興的会話力,パフォーマンス課 題,生徒との共同ルーブリック作成

2.研究の具体的方法

①パフォーマンス課題の設定

教科書の各課を始める前に,生徒にこの課が終了 してから取り組むパフォーマンス課題をあらかじめ 提示しておく。教科書で学習する知識やスキルを統 合して使いこなすことを求めるような課題を設定す る。以下がパフォーマンス課題の一覧である。

学習課題 つけさせたい力

/HVVRQ

先 生 を 紹 介 しよう

学校の先生から一人を 選び,KHやVKHを用い て紹介する。

/HVVRQ 大 切 な も の の 紹 介 を し

よう 6KRZDQG7HOOで,自分 の大切なものについて スピーチをする。一般動 詞とEH動詞を用いて,

簡単な紹介文を書く。

/HVVRQ 買 い 物 を し よう

ペアで好きなお店での 買い物を想定し,$/7の 前で店員と客の会話を する。数の数え方や「い くつ~ですか。」,命令 文を用いて自由に買い 物をさせる。

/HVVRQ

自 分 の 好 き な 人 を 紹 介 しよう

好きな人物やキャラク ターを紹介するスピー チをする。キーワードポ スターを作成し,三単現 の V を用いて以前のス ピーチよりも長い英文 を,原稿なしで読む。

/HVVRQ パ ラ リ ン ピ ッ ク の ス ポ ー ツ を 紹 介 して,みんな で 見 に 行 こ う!

パラリンピック,もしく はオリンピック競技か ら一つ選択し,そのスポ ーツの由来やルールな どをタブレットで調べ る。FDQやFDQQQRWを用 いて「~をできる,して も良い」「~できない,

してはいけない」の2つ の表現をして,説明す る。

/HVVRQ 滋 賀 大 学 附 属 中 学 校 と ア メ リ カ の 学 校 の 違 い っ て な ん だ

教科書で学んだ違い以 外にもタブレットを用 いて,いろいろな視点で 違いを見つける。FDQや 現在進行形を用いて,

ろう? 「第一に~である」「第 二に~である」と順番に 違いを論述する。写真を 貼付して,写真を説明す る際は現在進行形を用 い,それ以外の事実は現 在形を用いて表現させ,

現在形と現在進行形の 違いを場面によって使 い分ける。

/HVVRQ ブ ロ グ を 作 って,コメン ト を 書 き 合 おう

過去形を用いて,今まで で印象に残った思い出 についてブログとして 書く。人グループで仲 間のブログを読み,コメ ントを書く。

2ULJLQDO お 気 に 入 り の 本 を み ん な に 紹 介 し よう

自分の好きな本(マンガ や絵本でも可)を一冊選 び,内容やキャラクター の紹介,自分の感想や意 見などを入れ,スピーチ を行う。キーワードポス ターと書画カメラを用 いて,スピーチを行う。

Let’s 5HDG

レ シ テ ー シ ョ ン 大 会 を しよう

$OLFH DQG +XPSW\

'XPSW\ の読み物教材で レシテーションを行う。

各クラス1名ずつ優秀 者を選び,その生徒のレ シテーションをビデオ 撮影し,小学生に見せ る。(小中交流の一部と して)

2ULJLQDO 自 己 紹 介 を しよう

1年生の学習内容から 2つ選択し,その表現を 用いてスピーチを行う。

スピーチの前に,「スピ ーチの聞き所」を提示さ せ,そこに注目してスピ ーチを聞かせる。

各単元を学習する前に,単元が終わった後の生徒 が成長した姿をまずイメージした。そこから,授業 をデザインした。ゴールを達成するために,「年間」,

「単元」「一単位時間」でどんな教材を扱い,教材 や活動を設定した。目標の達成度(タスクの達成度)

を評価するためのパフォーマンス課題を準備し,授 業で行う最後の活動から順に考え,一つ一つの活動

外国語(英語)

(3)

につながりがあるか,またゴール達成に向けどんな 目的があるかを重点においた。一番大切にしたこと は,生徒が活動を通して「できた!」と思うことで ある。授業の中に必要な知識や練習活動を取り入れ,

スモールステップでゴールを目指した。

また,学習課題は様々な形で表現させた。時には スピーチをさせたり,時にはレポート形式で書かせ たり,インタビュー形式で会話活動をさせたりする など,とその単元の到達目標に準じた活動を選択し て実施することにした。また,優秀作品は廊下に掲 示して仲間の発表を見て確認できるようにした。

②ルーブリック評価の提示

パフォーマンス課題を評価するときに,ルーブリ ックを用いた。ルーブリックとは,生徒や学生の学 習到達状況を評価するための評価基準のことである。

各観点で段階的な文章表記になっているので,誰 でもブレのない評価をすることができる。教師にも 生徒にもわかりやすく,また,互いに共有できるよ うに,何をどうすればよいかを具体的か(文章化)

した。パフォーマンス課題を提示する際に,まず,

教師がパフォーマンス課題に対する予備的ルーブリ ックを作成し,それに基づき,モデルパフォーマン スを行い,到達するべき具体的なモデルを生徒に示 した。その後,教師のモデルとこれまでのパフォー マンス課題の経験を元に,「相手に伝わる」ための 要素を生徒に考えさせた。生徒の意見が一番多かっ た要素をルーブリックに追加し,生徒と教師が話し 合いながら,一緒にルーブリックを改良していくこ とにした。

項 目

評価規準 点

ア イ コ ン タ ク ト

友だちの顔を見ながら話し,ほとんど 原稿に目を落とすことがない。 5 英文の最後は顔を上げ,前を向いて話

そうとしている。 3

紙を見ながら話し,ほとんど下を向い

ている。 1

発 音

正しい発音で話し,イントネーション,

強弱をつけて話せている。 5 発音には気を付けているが,強弱がな く,日本語のような読み方になってい る。(もしくは逆も)

ほとんど日本語のような発音で話して

いる。 1

教室の後ろまで声が届いている。 5 教室の真ん中まで声が届いている。 3

声が小さく,何を言っているのかなか なか聞き取れない。

表1 最初のスピーチでのルーブリック評価

初めてのスピーチで生徒が一番印象に残った仲間 のスピーチが,疑問文を用いて学級全体に「~は好 きですか。」問いかけるものであった。生徒のスピ ーチの感想には,「$さんのスピーチでは,質問に対 して,“Yes, I do!”と答えて,スピーチを聞くこ とができたのが楽しかった。」と書いてあった。生 徒も初めてのスピーチを楽しみ,仲間の良いところ を自分のものとして吸収しようとしていた。

そこで, 回目のスピーチではルーブリックに生 徒の意見で多かった「質問」を入れることにした。

ただ質問を投げかけるだけでなく,答えに反応し,

聞き手との対話をしながらスピーチしてほしいと考 え,ルーブリックを改良した。その改良したルーブ リックを下に示す。

項 目

評価規準 点

ア イ コ ン タ ク ト

友だちの顔を見ながら話し,ほとんど 原稿に目を落とすことがない。 5 英文の最後は顔を上げ,前を向いて話

そうとしている。 3

紙を見ながら話し,ほとんど下を向い

ている。 1

発 音

正しい発音で話し,イントネーション,

強弱をつけて話せている。 5 発音には気を付けているが,強弱がな く,日本語のような読み方になってい る。(もしくは逆も)

ほとんど日本語のような発音で話して

いる。 1

声 の 大 き さ

教室の後ろまで声が届いている。 5 教室の真ん中まで声が届いている。 3 声が小さく,何を言っているのかなか なか聞き取れない。

質 問

みんなに質問を投げかけ,答えに反応 しながらスピーチができている。

みんなに質問を投げかけるが,答えに は反応せず,スピーチを進めていって いる。

質問をなげかけていない。 1 表2 生徒と改良したルーブリック評価

③帯活動

本研究の「即興的会話力」を身につけるために,

(4)

毎回の授業でスモールトークを行った。本校では,

3学年共通の帯活動として,スモールトークを行う ことにした。年生では分間,年生では分間,

年生では 分間,決められたトピックで会話を続 ける。学年共通のトピックを与えた。年生は,疑 問文を作って相手にたずねることは難しいと考え,

ワークシートに会話で使えそうな単語や疑問文,表 現,そしてリアクションを載せて,ワークシートを 見ながら会話させるようにした。対話の中に「相づ ち」や「聞き返すこと」などを取り入れ,相手の伝 えようとすることを理解しながら,適切に応じられ るようにワークシートを工夫した。また,対話の中 で即興的に「相手に聞いてみたいことを質問する」

「自分の意見や考えを伝える」など,会話の展開に 合わせて表現できるように,ワークシートに「お助 け表現」として紹介した。「間違ってもいい。」「自 分の言いたいことを既存の知識を使って英語で伝え る 」 を 目 標 に DFFXUDF\正 確 さで は な く , IOXHQF\流ちょうさを強調した。生徒同士で分間 の会話を終えた後は,必ず教師が何人かの生徒にト ピックの質問をし,教師と即興で話す機会を設けた。

ほぼ毎回の授業でスモールトークを重ねると,多く のトピックで話すことになる。個トピックが終了 するごとに,スピーキングテストを行った。方法は,

ペアで$/7のところへ行き,今まで話したことのあ るトピックを一つくじで選ぶ。選んだトピックで一 分間自由に会話をし,$/7 がルーブリック評価に基 づき,評価をした。

資料 $/7とのスピーキングテスト風景

④ペア活動,グループ活動

授業中に「即興的会話力」を身につける活動とし て,ペアやグループでの活動を多く取り入れた。具 体的には,リテリングやライティング活動である。

例えば,教科書の内容理解後に教科書の挿絵を提示 し,挿絵の中の誰か,もしくは何かになりきって,

その絵から想像できるストーリーを考えさせた。扱

った文法事項を必ず1文は入れることを条件とし た。まずは,挿絵をペアに見せながら,相手に自分 の言葉でオリジナルストーリーを話す。そして,話 したストーリーをライティングで文章化させた。

資料 リテリングのワークシート(生徒作品)

2-①で先述したパフォーマンス課題の一つであ るスピーチの練習もペアでさせた。多くの仲間と練 習をすることによって,自信を持ってスピーチがで きると考え,10回以上ペアを変え,練習をさせた。

また,スピーチをする際に,あらかじめ書いた原稿 を暗記して発表するのではなく,キーワードポスタ ーを作成させ,キーワードから連想して自分の言い たい内容をスピーチできるようにした。

資料 スピーチで使用したキーワードポスター

(生徒作品)

につながりがあるか,またゴール達成に向けどんな 目的があるかを重点においた。一番大切にしたこと は,生徒が活動を通して「できた!」と思うことで ある。授業の中に必要な知識や練習活動を取り入れ,

スモールステップでゴールを目指した。

また,学習課題は様々な形で表現させた。時には スピーチをさせたり,時にはレポート形式で書かせ たり,インタビュー形式で会話活動をさせたりする など,とその単元の到達目標に準じた活動を選択し て実施することにした。また,優秀作品は廊下に掲 示して仲間の発表を見て確認できるようにした。

②ルーブリック評価の提示

パフォーマンス課題を評価するときに,ルーブリ ックを用いた。ルーブリックとは,生徒や学生の学 習到達状況を評価するための評価基準のことである。

各観点で段階的な文章表記になっているので,誰 でもブレのない評価をすることができる。教師にも 生徒にもわかりやすく,また,互いに共有できるよ うに,何をどうすればよいかを具体的か(文章化)

した。パフォーマンス課題を提示する際に,まず,

教師がパフォーマンス課題に対する予備的ルーブリ ックを作成し,それに基づき,モデルパフォーマン スを行い,到達するべき具体的なモデルを生徒に示 した。その後,教師のモデルとこれまでのパフォー マンス課題の経験を元に,「相手に伝わる」ための 要素を生徒に考えさせた。生徒の意見が一番多かっ た要素をルーブリックに追加し,生徒と教師が話し 合いながら,一緒にルーブリックを改良していくこ とにした。

項 目

評価規準 点

ア イ コ ン タ ク ト

友だちの顔を見ながら話し,ほとんど 原稿に目を落とすことがない。 5 英文の最後は顔を上げ,前を向いて話

そうとしている。 3

紙を見ながら話し,ほとんど下を向い

ている。 1

発 音

正しい発音で話し,イントネーション,

強弱をつけて話せている。 5 発音には気を付けているが,強弱がな く,日本語のような読み方になってい る。(もしくは逆も)

ほとんど日本語のような発音で話して

いる。 1

教室の後ろまで声が届いている。 5 教室の真ん中まで声が届いている。 3

声が小さく,何を言っているのかなか なか聞き取れない。

表1 最初のスピーチでのルーブリック評価

初めてのスピーチで生徒が一番印象に残った仲間 のスピーチが,疑問文を用いて学級全体に「~は好 きですか。」問いかけるものであった。生徒のスピ ーチの感想には,「$さんのスピーチでは,質問に対 して,“Yes, I do!”と答えて,スピーチを聞くこ とができたのが楽しかった。」と書いてあった。生 徒も初めてのスピーチを楽しみ,仲間の良いところ を自分のものとして吸収しようとしていた。

そこで, 回目のスピーチではルーブリックに生 徒の意見で多かった「質問」を入れることにした。

ただ質問を投げかけるだけでなく,答えに反応し,

聞き手との対話をしながらスピーチしてほしいと考 え,ルーブリックを改良した。その改良したルーブ リックを下に示す。

項 目

評価規準 点

ア イ コ ン タ ク ト

友だちの顔を見ながら話し,ほとんど 原稿に目を落とすことがない。 5 英文の最後は顔を上げ,前を向いて話

そうとしている。 3

紙を見ながら話し,ほとんど下を向い

ている。 1

発 音

正しい発音で話し,イントネーション,

強弱をつけて話せている。 5 発音には気を付けているが,強弱がな く,日本語のような読み方になってい る。(もしくは逆も)

ほとんど日本語のような発音で話して

いる。 1

声 の 大 き さ

教室の後ろまで声が届いている。 5 教室の真ん中まで声が届いている。 3 声が小さく,何を言っているのかなか なか聞き取れない。

質 問

みんなに質問を投げかけ,答えに反応 しながらスピーチができている。

みんなに質問を投げかけるが,答えに は反応せず,スピーチを進めていって いる。

質問をなげかけていない。 1 表2 生徒と改良したルーブリック評価

③帯活動

本研究の「即興的会話力」を身につけるために,

外国語(英語)

(5)

他には,人グループでの活動として,自分が作成 したブログをグループのメンバーに読ませ,その内 容に対してコメントを制限時間内に書かせるという 活動も行った。分からない単語は辞書を用いてもよ いが,表現等は即興で書かなければならない。ペア やグループ活動を多く取り入れた理由は,教師には なかなか質問しにくい生徒でも,仲間となら理解し ていないことを教え合うことができると考えたから である。また,仲間の英文を読んだり,話す内容を 聞いたりすることを通して,インプットが増え,表 現の幅が広がり身につけられる力は大きいと考え た。

3.研究仮説

本研究における仮説は,生徒は英語を「話すこ と」を通して,知識の活用を行ったり経験を積み重 ねたりすることによって,即興的に英語を発信する 力を高めることができる。帯活動や学習活動の中で,

繰り返し「英語を話すこと」を継続することで,英 語を話すことに自信が持てなかったり,知識を活用 することができなかったりする生徒も少しずつ即興 的会話力を身につけることができる。

()普段,教師に質問する生徒は限られており,

特にスローラーナーの生徒は,何をどう質問すれば 良いのか,が分からず,困っていることが多い。そ こで,ペア活動やグループ活動を通して,分からな いことも気軽に仲間に尋ねることができる。お互い に分からないことは教え合うという姿勢が身につ く。

()ルーブリック評価を使って,パフォーマンス課 題を評価することで,生徒が向かうべきところを明 確にし,共通理解が図れるので,課題や生徒の努力 が見える。よって,次のパフォーマンス課題への目 標ができ,生徒の授業へのモチベーションにつなが る。また,生徒と共同して改良を重ねるので,生徒 自身が仲間のパフォーマンス課題をよく観察し,仲 間の良いところを真似したり,一部を変えたりして,

インプットにもつながる。それが,パフォーマンス 課題でアウトプットできると,相乗効果で学級全体 のパフォーマンス課題の質が良くなると考える。

ルーブリックを作成することにより,主観や印象 で評価されがちな態度や技能がより客観的に評価で きるようになるばかりか,生徒が自己の到達状況を 客体的に把握し,明確な目標をもってパフォーマン ス課題に取り組むことができるようになるのではな いかと考える。生徒に対しては,単元で求められる 学習目標が明確になること,自分の到達度を知るこ

とができること,モチベーションを上げ,自律的・

主観的な学びを助けるということ,自己評価の客観 性が高まり,自己評価能力が高まるということが考 えられる。

4.授業実践例

この実践は,本校研究協議会の研究授業として,

1年&組で行ったものである。

()単元

/HVVRQ)LHOG7ULS

()単元設定の理由

本単元では,野外活動において,登場人物が買い 物をしたり,バードウォッチングをしたり,キャン プの後片付けをしたりする場面について,それぞれ 短い対話文が取り上げられている。楽しい野外学習 だけで終わるのではなく,その中でバードウォッチ ングをしている最中に湖に落ちているビニール袋を 見つけたり,自然のなかに咲いている花を取ろうと して注意されたりすることを通して,身近な環境問 題について気づくような構成になっている。本文か ら広げて自分の言葉に置き換えて英語で簡単なスキ ットを作ったり,ゴミが落ちている場面で登場人物 がこの後どんな行動をとるか会話の続きを考えさせ たりすることを通して,自然を大切にする気持ちを 持たせたい。

本学級の生徒は,明るく素直で,落ち着いた雰囲 気で学習に臨んでいる。英語での簡単なやりとりや クラスルームイングリッシュにも徐々に慣れてきて おり,英語での簡単な説明や指示を理解したり,$UH

\RX―"や'R\RX―"を用いた質問やZKDWを用い た疑問文にも適切に応答したりすることができてい る。期からは,「先生,辞書を使っていいですか。」

「先生,○○は英語でなんて言うのですか。」など 日本語で質問してきたとき,学年の学習内容を超え て文法や会話表現を取り入れることにしている。授 業で何度も使用するとその表現に慣れ,自分の生活 と関連付けた会話を深めていくことで,考えたり表 現したりする力が伸びると考えたからである。 期 になり,なんとか英語で伝えようと,考えながら教 師に英語で話しかけてくる場面が増えてきた。

生徒は,これまで,パフォーマンス課題において,

「大切なもの」というタイトルで学級の中でスピー チを行い,ルーブリック評価による評価を経験して いる。生徒は,スピーチでのクラスメイトの素晴ら しいところや真似したいところを挙げ,それをもと にルーブリック評価に追加したい項目を考えた。そ れで一番多かったのが,「大事なところとそうでな いところの話すスピードを変える」である。そこで,

今回のルーブリック評価の項目に追加した。前回の

(6)

他には,人グループでの活動として,自分が作成 したブログをグループのメンバーに読ませ,その内 容に対してコメントを制限時間内に書かせるという 活動も行った。分からない単語は辞書を用いてもよ いが,表現等は即興で書かなければならない。ペア やグループ活動を多く取り入れた理由は,教師には なかなか質問しにくい生徒でも,仲間となら理解し ていないことを教え合うことができると考えたから である。また,仲間の英文を読んだり,話す内容を 聞いたりすることを通して,インプットが増え,表 現の幅が広がり身につけられる力は大きいと考え た。

3.研究仮説

本研究における仮説は,生徒は英語を「話すこ と」を通して,知識の活用を行ったり経験を積み重 ねたりすることによって,即興的に英語を発信する 力を高めることができる。帯活動や学習活動の中で,

繰り返し「英語を話すこと」を継続することで,英 語を話すことに自信が持てなかったり,知識を活用 することができなかったりする生徒も少しずつ即興 的会話力を身につけることができる。

()普段,教師に質問する生徒は限られており,

特にスローラーナーの生徒は,何をどう質問すれば 良いのか,が分からず,困っていることが多い。そ こで,ペア活動やグループ活動を通して,分からな いことも気軽に仲間に尋ねることができる。お互い に分からないことは教え合うという姿勢が身につ く。

()ルーブリック評価を使って,パフォーマンス課 題を評価することで,生徒が向かうべきところを明 確にし,共通理解が図れるので,課題や生徒の努力 が見える。よって,次のパフォーマンス課題への目 標ができ,生徒の授業へのモチベーションにつなが る。また,生徒と共同して改良を重ねるので,生徒 自身が仲間のパフォーマンス課題をよく観察し,仲 間の良いところを真似したり,一部を変えたりして,

インプットにもつながる。それが,パフォーマンス 課題でアウトプットできると,相乗効果で学級全体 のパフォーマンス課題の質が良くなると考える。

ルーブリックを作成することにより,主観や印象 で評価されがちな態度や技能がより客観的に評価で きるようになるばかりか,生徒が自己の到達状況を 客体的に把握し,明確な目標をもってパフォーマン ス課題に取り組むことができるようになるのではな いかと考える。生徒に対しては,単元で求められる 学習目標が明確になること,自分の到達度を知るこ

とができること,モチベーションを上げ,自律的・

主観的な学びを助けるということ,自己評価の客観 性が高まり,自己評価能力が高まるということが考 えられる。

4.授業実践例

この実践は,本校研究協議会の研究授業として,

1年&組で行ったものである。

()単元

/HVVRQ)LHOG7ULS

()単元設定の理由

本単元では,野外活動において,登場人物が買い 物をしたり,バードウォッチングをしたり,キャン プの後片付けをしたりする場面について,それぞれ 短い対話文が取り上げられている。楽しい野外学習 だけで終わるのではなく,その中でバードウォッチ ングをしている最中に湖に落ちているビニール袋を 見つけたり,自然のなかに咲いている花を取ろうと して注意されたりすることを通して,身近な環境問 題について気づくような構成になっている。本文か ら広げて自分の言葉に置き換えて英語で簡単なスキ ットを作ったり,ゴミが落ちている場面で登場人物 がこの後どんな行動をとるか会話の続きを考えさせ たりすることを通して,自然を大切にする気持ちを 持たせたい。

本学級の生徒は,明るく素直で,落ち着いた雰囲 気で学習に臨んでいる。英語での簡単なやりとりや クラスルームイングリッシュにも徐々に慣れてきて おり,英語での簡単な説明や指示を理解したり,$UH

\RX―"や'R\RX―"を用いた質問やZKDWを用い た疑問文にも適切に応答したりすることができてい る。期からは,「先生,辞書を使っていいですか。」

「先生,○○は英語でなんて言うのですか。」など 日本語で質問してきたとき,学年の学習内容を超え て文法や会話表現を取り入れることにしている。授 業で何度も使用するとその表現に慣れ,自分の生活 と関連付けた会話を深めていくことで,考えたり表 現したりする力が伸びると考えたからである。 期 になり,なんとか英語で伝えようと,考えながら教 師に英語で話しかけてくる場面が増えてきた。

生徒は,これまで,パフォーマンス課題において,

「大切なもの」というタイトルで学級の中でスピー チを行い,ルーブリック評価による評価を経験して いる。生徒は,スピーチでのクラスメイトの素晴ら しいところや真似したいところを挙げ,それをもと にルーブリック評価に追加したい項目を考えた。そ れで一番多かったのが,「大事なところとそうでな いところの話すスピードを変える」である。そこで,

今回のルーブリック評価の項目に追加した。前回の

スピーチでは,前もって準備しておいた原稿を練習 して,学級の中で発表するというものだったが,今 回の授業では,自分が考えた命令文や禁止の命令文 に加えて,即興で感想や自分の思いなどを加えて相 手に伝える課題を与える。ルーブリック評価用紙を 生徒に渡し相互評価させることで,前回以上に表現 方法が身に着くことを期待している。

()単元の学習目標

・複数形や数のたずね方,命令文の形・意味・使用場 面を理解し,会話の中に適切に使うことができる。

・文章の内容を深く読み込むことにより,自然環境に ついて関心を高める。

()単元の評価規準

①複数形や数のたずね方,命令文に関する知識を身につ けている。【知識・技能】

②本文の内容を理解し,内容を広げて話の続きを書いた り,一部分を変えてオリジナルの会話を作ったりしてい る。【思考力・判断力・表現力】

③自分の作成した標識を用いて,自分の考えを整理しな がらペアで伝え合おうとしている。【主体的に学習に取 り組む態度】

④相手に伝わるように,ジェスチャーを用いたり,標識 をさしたりしながら,わかりやすく説明しようとしてい る。【主体的に学習に取り組む態度】

⑤これまでに学んだ表現などを積極的に使い,相手との会 話を続けようとする。【主体的に学習に取り組む態度】

()単元の学習計画全7時間)

第時:複数形を理解し,クラスメイトが持っているお 弁当の中身を聞きあう。

第時:本文を読み,様々な場面設定で複数形を使いな がら会話をする。

第時:数のたずね方を理解し,ペアが持っているお気 に入りのものの数をたずね,グループで発表する。

第時:本文を読み,会話の続きを考えて書く。

第時:命令文を理解し,オリジナルの標識を考えて発 表する。(本時)

第時:本文を読み,~か所に簡単なセリフを付け足 した会話文を考える。

第時:値段をたずねたり,説明したりして買い物の会 話をする。

()本時の目標

オリジナルの標識を作り,即興で一文以上を加えて 発表ができる。

()本時の展開

学習内容・活動

★主体的に課題を見いだす方策 導

.英語の歌を歌う。

Bad day / Daniel Powter

.お助け秒

単語や表現を学習する。

.Small Talk

What subject do you like?

ペアで分間自由に英語で会話をする

展 開

4.命令文を知る。

教師の言う動作をする。

★命令文には主語がないことに気づく。

5.Drill

Talk and Talk を使って,練習をする。

★対話文の内容や場面を意識し,どのような声のト ーンになるのか考え,感情をこめて話す。

6.学校,家,自然,交通安全その他の場面で 使える命令文または禁止の命令文を考え る。

★場面ごとの命令文を考える。

★教師が作成した見本を見て,イメージする。

.オリジナルの標識を作る。

.ルーブリック評価項目を確認する。

.オリジナルの標識の発表をする。

★即興で自分の思いや標識を作った理由などを 英語で言う。

規準③自分の作成した標識を用いて,自分の考えを 整理しながらペアで標識の内容や自分の思い,設 定した理由などを伝え合おうとしている。

ま と め

.本時のまとめをする。

()ルーブリック評価 項

評価規準 点数

ジ ェ ス チ ャ ー

標識を指さしながら英語を話すこと ができる。自然なジェスチャーもし ながら話せる。

標識を指さしながら英語を話すこと

ができる。 3

紙を見ながら話し,ジェスチャーは ない。

1 学習課題 オリジナルの標識を考えて発表し よう。

外国語(英語)

(7)

即 興 性

標識を作った理由や思いを即興で一 文以上話すことができる。

標識を作った理由や思いを単語を並 べながら,何とか伝えようとしてい る。

即興で話しているが,何を言ってい るのか分からない。

話 す ス ピ ー ド

大事なところとそうでないところを 話すスピードを変えることで,区別 できている。

スピードを変えているが,どこが大 切なところか伝わらない。

ずっと同じスピードでどこが大切な ところかわからない。

()授業の様子

7DON DQG 7DONを使って,命令文の練習を行った 際に,セリフを言う人の気持ちを考えて,感情をこ めて言うことを目標にした。生徒は,パターンプラ クティスをすることに必死で,母親になりきって怒 った様子でセリフを言ったり,子どもの立場でうる さく言う母親に対して「わかったよ・・・」と面倒く さそうに言ったりする場面がなかなかうまく言え ず,ただの練習になってしまった。

ルーブリック評価の項目の一つである「話すスピ ードを変える」が生徒と共同で作った項目であった ので,より伝わるようにスピードを変えて話す生徒 の姿があった。相互評価を何度か行い,練習を重ね ることで少しずつ発表に自信をもって話すことがで きるようになっていった。

()生徒の感想

・自分の言いたいことをどうやって相手に伝えられ るかということにとても悩みました。即興で話すの は難しかったけど,友だちが“Your idea is nice.”

や“,WKLQNVRWRR”と言ってくれて,うれしかっ たです。

・友だちが話すのが上手かった。友だちがしゃべっ ていた表現を真似したいです。

・即興で言いたいことを英語にするのが難しかっ た。でもジェスチャーや標識を指して,頑張って伝 えようとしました。もっと英語が話せるようになり たいと思った。

.成果と課題

①パフォーマンス課題とルーブリック評価について 資料4は3期に取ったパフォーマンス課題に対する アンケートの集計結果である。アンケートとの 結果を見ると,パフォーマンス課題には意欲的に取

り組むことができた生徒が多かったことが分かる。

また,ルーブリック評価を提示して,生徒と共有す ることで,自分の目標とする姿がイメージでき,明 確な目標を持つことができたと思う生徒が多かっ た。このことからパフォーマンス課題とそれを評価 するルーブリック評価が生徒の英語の発信力を伸ば す手立てとなっているということが考えられる。

しかし,パフォーマンス課題を終えてからの振り 返りが十分できていなかったため,自分のパフォー マンスを振り返り,改善することができたと感じた 生徒が半分以下であった。生徒のアンケートにも,

「自己評価と先生の評価を見比べて,振り返りをし っかりしたい」,と書かれていた。ルーブリック評 価を課題の前に提示するだけでなく,後にもう一度 提示し,次回のパフォーマンス課題への自分の課題 を見つけたり,目標を決めたりする時間を設ける必 要がある。

②帯活動やペア・グループワークを通して

はじめはワークシートを見ながら,会話をしてい るが,何度も同じトピックで会話をさせると,だん だん見なくても自然と会話がつながるようになって きた。特に,相手が話した内容に対しての反応は自 然と会話に取り込むことができていた。同じトピッ クを繰り返し生徒に話させると,生徒にとっては,

一度話した内容であることが安心感と自信になり,

ハードルが下がる。さらに,最初に話した相手の言 ったこともインプットされているので,次に話す相 手の時には発話も増え,内容の深まりも出てくるよ うに感じた。生徒同士で話しているので,教師がワ ークシートに載っていない質問を投げかけても,ほ とんどの生徒が理解し,答えることができるように なった。

また,コミュニケーションは「話す・聞く」だけ でなく「書く・読む」によっても成立することに気 づいた。人の作品を読んで自分の考えや感想を書く 活動はコミュニケーションの一つである。仲間の表 現方法でよいものを自分版に置き換え,表現が増え ているとも感じた。即興で話したり書いたりする活 動を繰り返し行うことが,表現の幅を増やし,自然 と間違いを恐れず「話してみよう」「書いてみよう」

と前向きに学習することにつながっているからであ る。また,ペア・グループワークを通じて,クラス の雰囲気が良くなっていった。一人ひとりの経験や 趣味,考えなどを英語を通して知ることができるか らである。そこから,仲間の良いところが発見出来 たり,仲間の意外な一面が見られたりして,「即興 的会話力」だけでなく「仲間づくり」にもつながっ ていった。

(8)

即 興 性

標識を作った理由や思いを即興で一 文以上話すことができる。

標識を作った理由や思いを単語を並 べながら,何とか伝えようとしてい る。

即興で話しているが,何を言ってい るのか分からない。

話 す ス ピ ー ド

大事なところとそうでないところを 話すスピードを変えることで,区別 できている。

スピードを変えているが,どこが大 切なところか伝わらない。

ずっと同じスピードでどこが大切な ところかわからない。

()授業の様子

7DON DQG 7DONを使って,命令文の練習を行った 際に,セリフを言う人の気持ちを考えて,感情をこ めて言うことを目標にした。生徒は,パターンプラ クティスをすることに必死で,母親になりきって怒 った様子でセリフを言ったり,子どもの立場でうる さく言う母親に対して「わかったよ・・・」と面倒く さそうに言ったりする場面がなかなかうまく言え ず,ただの練習になってしまった。

ルーブリック評価の項目の一つである「話すスピ ードを変える」が生徒と共同で作った項目であった ので,より伝わるようにスピードを変えて話す生徒 の姿があった。相互評価を何度か行い,練習を重ね ることで少しずつ発表に自信をもって話すことがで きるようになっていった。

()生徒の感想

・自分の言いたいことをどうやって相手に伝えられ るかということにとても悩みました。即興で話すの は難しかったけど,友だちが“Your idea is nice.”

や“,WKLQNVRWRR”と言ってくれて,うれしかっ たです。

・友だちが話すのが上手かった。友だちがしゃべっ ていた表現を真似したいです。

・即興で言いたいことを英語にするのが難しかっ た。でもジェスチャーや標識を指して,頑張って伝 えようとしました。もっと英語が話せるようになり たいと思った。

.成果と課題

①パフォーマンス課題とルーブリック評価について 資料4は3期に取ったパフォーマンス課題に対する アンケートの集計結果である。アンケートとの 結果を見ると,パフォーマンス課題には意欲的に取

り組むことができた生徒が多かったことが分かる。

また,ルーブリック評価を提示して,生徒と共有す ることで,自分の目標とする姿がイメージでき,明 確な目標を持つことができたと思う生徒が多かっ た。このことからパフォーマンス課題とそれを評価 するルーブリック評価が生徒の英語の発信力を伸ば す手立てとなっているということが考えられる。

しかし,パフォーマンス課題を終えてからの振り 返りが十分できていなかったため,自分のパフォー マンスを振り返り,改善することができたと感じた 生徒が半分以下であった。生徒のアンケートにも,

「自己評価と先生の評価を見比べて,振り返りをし っかりしたい」,と書かれていた。ルーブリック評 価を課題の前に提示するだけでなく,後にもう一度 提示し,次回のパフォーマンス課題への自分の課題 を見つけたり,目標を決めたりする時間を設ける必 要がある。

②帯活動やペア・グループワークを通して

はじめはワークシートを見ながら,会話をしてい るが,何度も同じトピックで会話をさせると,だん だん見なくても自然と会話がつながるようになって きた。特に,相手が話した内容に対しての反応は自 然と会話に取り込むことができていた。同じトピッ クを繰り返し生徒に話させると,生徒にとっては,

一度話した内容であることが安心感と自信になり,

ハードルが下がる。さらに,最初に話した相手の言 ったこともインプットされているので,次に話す相 手の時には発話も増え,内容の深まりも出てくるよ うに感じた。生徒同士で話しているので,教師がワ ークシートに載っていない質問を投げかけても,ほ とんどの生徒が理解し,答えることができるように なった。

また,コミュニケーションは「話す・聞く」だけ でなく「書く・読む」によっても成立することに気 づいた。人の作品を読んで自分の考えや感想を書く 活動はコミュニケーションの一つである。仲間の表 現方法でよいものを自分版に置き換え,表現が増え ているとも感じた。即興で話したり書いたりする活 動を繰り返し行うことが,表現の幅を増やし,自然 と間違いを恐れず「話してみよう」「書いてみよう」

と前向きに学習することにつながっているからであ る。また,ペア・グループワークを通じて,クラス の雰囲気が良くなっていった。一人ひとりの経験や 趣味,考えなどを英語を通して知ることができるか らである。そこから,仲間の良いところが発見出来 たり,仲間の意外な一面が見られたりして,「即興 的会話力」だけでなく「仲間づくり」にもつながっ ていった。

今後は,アウトプットだけでなく,インプットに かかわることに焦点をあてて,ルーブリック作成に 取り組んだり,生徒からルーブリック評価に入れる 要素をもっと出させて含めたりして,より良いパフ ォーマンスにつながるルーブリックの作成をした い。また,現段階では,教師による評価や相互評価 をしてきたが,今後は自己評価もさせて,自己評価 と他人からの評価を比較して,自分を客観的に見ら れるようにもしていきたい。

資料 パフォーマンス課題アンケート結果

<参考文献>

・「指導と評価の一体化」のための学習評価に関す る参考資料【中学校 外国語】,東証館,2020

・胡子美由紀,「中学英語 生徒がどんどん話せる ようになる!即興スピーキング活動」,学陽書房,

2018

・http://www.e-prosjp.com/report/view/40

中島洋一,バックワードデザインによる「指導案改 良」研修のすすめ-本気で,今の授業を変えたい人 へ-

・本多敏幸,「ペーパーテスト&パフォーマンステ スト例が満載!中学校外国語新3観点の学習評価完 全ガイドブック」,明治図書,2020

外国語(英語)

参照

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