• 検索結果がありません。

企業データに基づく中国の第二次・第三次産業の労 働生産性比較

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2022

シェア "企業データに基づく中国の第二次・第三次産業の労 働生産性比較"

Copied!
25
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

Kyushu University Institutional Repository

企業データに基づく中国の第二次・第三次産業の労 働生産性比較

余, 金

九州大学大学院経済学研究院 : 専門研究員

https://doi.org/10.15017/4773121

出版情報:経済論究. 171/172, pp.93-116, 2022-03-25. 九州大学大学院経済学会 バージョン:

権利関係:

(2)

企業データに基づく中国の第二次・第三次産業の労働生産性比較

Comparison of labor productivity of secondary and tertiary industries in China based on corporate data

余 洋

Yu Yang

はじめに

近年,世界的にGDPと雇用における第一次・第二次産業の割合が低下し,第三次産業が上昇する,

いわゆる「サービス経済化」という現象が見られる。改革開放政策により,特に1990年代以降に経済 が急激に発展してきた中国においても,サービス経済化の趨勢が見られる。「世界の工場」と呼ばれる 中国の製造業の生産高は2007年に日本を,2010年には米国を超えて世界一位となっていたが,2012年 にはGDPに占める第三次産業の割合は第二次産業を超え,経済成長における第三次産業の役割は一層 重要になりつつある。さらに,中国の雇用における第三次産業の割合は既に1993年から第二次産業を 上回ってきた。

本研究の主な目的は,データを使って中国における製造業とサービス業の企業間生産性,及びサー ビス業内部の企業間の労働生産性の差異を分析することである。歴史を見ると,技術の進歩などによ り,農業・製造業での労働生産性の劇的な増大が経済発展の牽引役であるため,第三次産業の発展を 果たせるために,第三次産業における労働生産性の上昇が必要不可欠であると考えられる。マクロ データによると,中国の製造業全体の労働生産性はサービス業全体より高いものの,第三次産業と一 括りされる多数の個別産業の間には生産性の大きな格差が存在する。具体的にどのような産業の労働 生産性が高いのかは容易に想像できないので,本研究はサービス業に含まれる諸産業の特性を数量的 に把握することを目的としている。研究の方法としては,2008年と2014年の中国の製造業とサービス 業分野での売上高上位500社の売上高・従業員数などのデータを使い,製造業企業とサービス企業の労 働生産性を比較する。

本論文の構成としては,第1章ではサービス業に関する基本概念と先行研究について紹介したい。

第2章では中国におけるサービス業の現状について説明したい。第3章では中国の製造業とサービス 業の企業における生産性の比較を行い,終わりに本研究の結論を述べる。

第1章 サービス業に関する基本概念と先行研究

1.1 サービス業に関する基本概念

「サービス業」,すなわち「第三次産業」とは産業分類のうち,第一・第二次産業に含まれない様々

九州大学大学院経済学研究院専門研究員

(3)

な産業の総称である。この定義は全産業から第一次・第二次産業を排除した部分,いわゆる「残余部 門」の総称であるため,その範囲は国によって違う。例えば,中国における第一次産業付随のサービ ス業及び製造業に含まれる金属製品,機械,設備修理業は元来,第三次産業ではなかったが,2012年 より第三次産業に分類されるようになった。また,日本で第三次産業に分類される電気・ガス・水道 業も中国において第二次産業に分類される。1)

中国における第三次産業に分類される諸産業は表1-1で示される通りである。大分類のうち,卸売・

小売業,運輸・倉庫・郵便業,宿泊・飲食店業のような労働集約的な産業がある一方,情報通信業,

金融業,不動産業,科学研究などのような,莫大な投資あるいは専門的な技術が必要な産業もある。

つまり,第三次産業として一括りされる産業の内部においても,性格が違う様々な産業が含まれてお り,当然各産業の置かれる状況もかなり異なっていると考えるべきであろう。本研究では,これらの 産業間あるいは産業の内部における差異について見ていたい。

表1-1 中国国民経済産業分類(GB/T 4754-2017)におけるサービス業

大分類 中分類

A) 農業・林業・牧畜業・漁業 農業・林業・牧畜業・漁業専門技術及び附随サービス業

B) 採掘業 採掘業専門技術及び附随サービス業

C) 製造業 金属製品,機械,設備修理業

F) 卸売,小売業 卸売業,小売業

G) 運輸,倉庫,郵便業 鉄道輸送業,道路輸送業,水運業,航空輸送業,パイプライン輸送業,多層 化接続運輸2)と輸送代理業,積卸・運搬・倉庫業,郵便業

H) 宿泊業,飲食店 宿泊業,飲食店業 I) 情報伝播,ソフトウェア,情報技

術サービス業

電信・ラジオ・テレビ・衛星情報伝播業,インターネット及び関連サービス,

ソフトウェアと情報技術サービス業

J) 金融業 貨幣金融サービス,資本市場サービス,保険業,その他金融業

K) 不動産業 不動産業

L) 賃貸,ビジネスサービス業 賃貸業,ビジネス関連サービス業

M) 科学研究と専門技術サービス業 研究及び試験,専門技術サービス業,科学普及・応用サービス業 N) 水利,環境と公共施設管理業 水利管理業,生態環境保護・廃棄物処理業,公共施設管理業,土地管理業 O) 住民サービス,修理とその他サー

ビス業

住民サービス業,自動車・原動機付自転車・電子製品・日用品修理業,その 他サービス業3)

P) 教育 教育

Q) 衛生,ソーシャルワーク 衛生,ソーシャルワーク

R) 文化,スポーツ,娯楽業 新聞・出版業,ラジオ・テレビ・映画・録音製作業,文化・芸術,スポーツ,

娯楽業

1) 国家統計局による分類。ただし,本研究で使用するデータベースである『中国500強企業発展報告』においてはサー ビス業に分類されるため,第3.2節と3.3節はこの資料の分類に従う。

2) 多種な交通部門による接続的な貨物運輸。

3) 清掃,ペット関連サービス業等。

(4)

サービス経済化とはペティ=クラークの法則に従い,国や地域の経済発展につれて,GDPに占める サービス業の割合が高くなり,労働人口が農業や製造業からサービス業へ集中する現象である。従っ て,サービス経済化の指標として,GDPに占めるサービス業の割合と労働人口に占めるサービス業の 割合が挙げられる。図1-1で示されるように,日米中の三か国におけるサービス業のGDPに占める比 率は1980年以降にともに上昇し,特に中国の上昇幅が大きい。米国と日本におけるこの比率は1980年 に既に50%以上であることから,この両国におけるサービス経済化の進展が早かったことがうかがえ る。一方,中国のGDPに占めるサービス業の割合は1980年に21.9%しかなく,2015年にようやく50%

に達した。

図1-2では日米中三か国における男女別の雇用者に占めるサービス業の割合が示されている。GDP におけるサービスの割合と同じように,1991年から2018年までの間にどちらにも上昇傾向が見られる。

表1-1 つづき

●出所:中華人民共和国国家統計局「三次産業劃分規定」「関於修訂『三次産業劃分規定(2012)』的通知」及び「2017 年国民経済行業分類(GB/T 4754-2017)」より筆者作成

4) 労働組合,中華婦女連合会、中国共産主義青年団等。

大分類 中分類

S) 公共管理,社会保障と社会組織 中国共産党機関,国家機関,人民政治協商会議・民主党派,大衆団体4)・社会 団体及びその他会員組織,住民自治組織及びその他組織

T) 国際組織 国際組織

図1-1 日米中のGDPにおけるサービス業の割合の推移

出所:国際連合データhttps://unstats.un.org/unsd/snaama/Basic(2019/05/19閲覧)

(5)

また,この図からいずれの国においても,女性の就業者におけるサービス業の割合は男性より高いこ とも確認できる。1991年時点で日米中三か国の男性就業者におけるサービス業の割合はそれぞれ 61.4%,54.7%,18.7%であることに対し,女性就業者におけるこの割合は84.5%,64.5%と18.8%

である。一方,2018年時点で,日米中三か国の男性就業者におけるサービス業の割合はそれぞれ 69.2%,63.6%,42.4%までに上昇し,女性就業者におけるこの割合は90.8%,83.0%と47.5%となっ た。従って,サービス業の発展は女性の社会進出にも促進効果があるとも言えるであろう。中国にお いては1980年代に卸売・小売業が大きく成長したが,多くの従事者は労働統計の対象外であったため,

1991年の時点でサービス業の従業者の割合が非常に低かった。また,中国においては2000年代半ばま でに顕著な男女の差が見られなかった。これは中国における女性の社会進出が早い段階で進んでお り,男女共働きが大多数であることが原因である。

1.2 先行研究

サービス業と製造業の生産性の比較に関する先行研究として,サービス業における雇用の重要性に ついて論じたフュックスの『サービスの経済学』(1968)を取り上げたい。注目すべきは,同書におい て1947年〜1965年の米国における雇用人口は1300万人増加したが,そのほとんどはサービス部門での 増加という事実を提示した点である。その原因については,「サービス業の一人当たり産出高が鉱工 業など他の産業に比べて,成長スピードは比較的に緩慢である」と結論をつけた。サービス業の一人 当たり産出高,つまり労働生産性の成長を遅らせる要因については,以下の3つが挙げられた。

1.当時の鉱工業部門は長時間労働が必要であるに対し,サービス部門の一人当たりの労働時間 が短い。

2.鉱工業部門の方は機械の導入や技術の進歩などにより,労働の質は速く改善できるが,サー ビス部門では労働の質を向上させるためにはかなりの時間がかかる。

図1-2 日米中の就業者に占めるサービス業の割合の推移(ジェンダー別)

出所:世界銀行データベースhttps://data.worldbank.org/indicator/SL.SRV.EMPL.MA.ZS?locations=CN-US-JP,

https://data.worldbank.org/indicator/SL.SRV.EMPL.FE.ZS?locations=CN-JP-US(2019/05/10閲覧)

(6)

3.労働者一人当たりの物的資本に格差があり,これは鉱工業部門に有利に作用している。

このうち,著者は2つ目の要因,つまり鉱工業部門における労働の品質がより速く高まったことが 最も重要であると説明した。これは当時の鉱工業における技術進歩とは密接不可分な関係にあると考 えられる。

また,フュックスは景気の変動に対して,サービス部門の賃金の変動は鉱工業部門より安定してい たとも指摘した。これも当時のサービス部門における雇用の増加に寄与していた。さらに,サービス 部門の多くの職種は女性や高齢者,パートタイムの労働者が比較的に参入しやすいため,性別・年齢 における経済格差の緩和や企業の効率的な経営にも大きく貢献していた。うち女性の雇用について は,前述の図1-2でも見られる。

実証的な研究として,森川正之(2014)が日本企業のミクロデータを使い,製造業とサービス業企 業の生産性について比較した研究を取り上げたい。森川氏はまず「サービス産業の生産性が製造業よ り低い」という産業全体の結論に疑問を抱き,日本企業45000社の2001〜2010年間の付加価値額や労働 投入量,有形固定資産総額などのデータを使い,労働生産性(LP)と全要素生産性(TFP)の産業間・

企業間格差について分析した。その結果,サービス産業の平均生産性は製造業より低いが,サービス 業内においても,企業レベルでの労働生産性と全要素生産性の格差は各産業の平均生産性の格差を大 きく上回り,特に狭義のサービス業5)における企業間の生産性格差は製造業全体における企業間格差 よりも大きいことが見られる。つまり,企業レベルで見ると,製造業企業より生産性が高いサービス 企業も多数存在する。

先行研究の考察から,労働者は第一次・第二次産業から第三次産業へ移転する理由は第一次・第二 次産業での労働生産性の増大であることが分かる。また,日本において,サービス産業内での労働生 産性の企業間格差が産業間の格差よりも大きいことが分かる。

第2章 中国における第三次産業の状況

個別の企業を見る前に,中国における第三次産業の全体の状況について説明したい。図2-1に中国 のGDPにおける産業別構成の推移を示した。1978年以降,第二次産業はほぼ一貫して40%〜50%の間 でやや横ばいとなっている傾向が見て取れることに対し,第一次産業の割合は大幅に低下する一方,

第三次産業の比率は急速に上昇してきた。また,2012年に第三次産業の割合は第二次産業を超え,

2015年に中国のGDPの50%に達した。

中国における産業別生産高の伸び率の推移は図2-2で示される。2013年以降,三次産業の成長率は 高い方から第三次産業,第二次産業,第一次産業の順であり,それ以前はほぼ同等であるか,第二次 産業が最も高い。しかし,賃金上昇などの原因により,2012年から2019年までの間に,特に第二次産 業の成長率が8.4%から4.9%までに大きく落ち込んだ。一方,2012年における第三次産業の成長率は 8%,2015年には8.8%までに上昇しており,2019年に7.2%に下落しても,大きく落ち込んだことが 5) 著者の定義ではサービス業のうち,卸売・小売業と情報通信業を除く産業である。

(7)

ない。

図2-3は中国のGDP成長における産業別寄与度,すなわちGDPの成長率の産業別構成の推移を示す。

1980年代に第一,二,三次産業の寄与度には大きな差がなかったが,1990年代以降は顕著な差異が見 て取れる。2000年以降,第一次産業の寄与度は1%以下でしかないことに対して,第二次産業と第三

図2-1 中国のGDP産業別構成の推移

出所:中華人民共和国国家統計局データより筆者作成

図2-2 中国における産業別生産高の成長率

出所:中華人民共和国国家統計局データより筆者作成

(8)

次産業の寄与度は5%程度のレベルで推移してきた。2019年のGDPの成長率は6.0%であり,うち第 一次・第二次・第三次産業の寄与度はそれぞれ0.2%,1.9%,3.8%であるため,換算すると寄与率は それぞれ3.9%,32.6%,63.5%である。つまり,GDPの成長における第三次産業の寄与は既に第二次 産業と同じかそれ以上の水準になっており,重要な役割を果たしていることは間違いないであろう。

次に中国におけるサービス業の年間生産高を見てみよう。図2-4で示される通り,1990年代初頭か らサービス業の生産高は年を追って,着実に増えてきたように見える。特に2006年以降,サービス業 の生産高は右肩上がりに伸びており,2018年には47.0兆人民元の総生産高を達成した。部門別内訳を 見ると,2018年における労働集約的サービス業であるとされる運輸・倉庫・郵便業,卸売・小売業,

飲食店・宿泊業は合計30%の割合を占めたが,年を追って漸減傾向にあった。一方,金融業と不動産 業の割合が増大しており,2018年には27%の割合を占めていた。また,サービス業の各部門における 前年比生産率は図2-5で示される。2012年から2017年までの期間において,金融業,不動産業,卸売・

小売業,飲食店・宿泊業と運輸・倉庫・郵便業は速いスピードで発展しており,5年間の成長率はそ れぞれ85.8%,72.7%,55.8%,54.0%と56.4%である。一方,2016年以降の金融業の成長スピード は6%前後に留まり,サービス業の他の主要部門よりやや低いが,全体としては顕著な差異はない。

次に,サービス経済化が就業構造に与えた影響を分析しよう。図2-6で示されるように,中国におけ る総就業人口数は2014年までに年々増加しており,2014年には7.63億人に達していたが,それ以降は 減少に転じた。産業別構成の推移を見ると,第一次産業の割合が一貫して減少する一方,第三次産業

図2-3 中国のGDP成長における産業別寄与度

出所:中華人民共和国国家統計局データより筆者作成

(9)

図2-5 サービス業に分類される各部門における生産高の前年比成長率

出所:中華人民共和国国家統計局データより筆者作成 図2-4 中国のサービス業における年度別生産高とその構成

出所:中華人民共和国国家統計局データより筆者作成

0 100000 200000 300000 400000 500000 600000

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

1978 1979 1980 1981 1982 1983 1984 1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020

Աݫ

2-4 ஦ࠅ͹γʖϑηۂͶ͕͜Ζ೧ౕพਫ਼ࢊ߶ͳͨ͹ߑ੔

ӣ༎ʀ૖ށʀ༥สۂ Թജʀঘജۂ Ӂৱవʀॕഩۂ ۜ༧ۂ ෈ಊࢊۂ ͨ͹ଠ ਫ਼ࢊ߶(ӊ࣢)

(10)

は増大している他方,第二次産業は波状に変化しながら微増することが分かる。しかも,第三次産業 の増加傾向が近年に顕著になり,つまり第三次産業は雇用に大きく寄与していることが確認できる。

また,2011年以降に第三次産業の従事者数は第一次産業を超え,2020年現在は三部門のうち最も多く の従事者を有している。

産業別の労働生産性は産業別GDPをその産業に従事する人数で割ることで得られる。図2-7で示さ れるように,中国における第一,二,三次産業の労働生産性は年々上昇してきた。ただし,三者の成 長のスピードと成果には大きな差がある。特に第一次・第二次産業は就業人口数の減少により,大き く成長してきた。2019年に第一次産業の労働生産性は1人当たり3.78万元であるに対し,第二次産業 の生産性はその約4.7倍の17.93万元/人に達していた。同年度の第三次産業の生産性は15.06万元/人 であり,第二次産業にまだ及ばなかったが,2009年の5.99万元/人の約2.5倍となり,10年間で大きな 成長を遂げたと言えるであろう。

次に労働投入の対GDP弾性値を見てみよう。労働投入の対GDP弾性値とはGDPが1%伸びる場合 に投入される労働力が何%伸びるかを表す数値である。図2-8で示されるように,第一次と第二次産 業の弾性値は年によって正の時もあれば負の時もあり,特に第一次産業は負になった時が多かった。

2003年以降の状況だけを見ると,第一次産業における弾性値はずっとマイナスで推移していたことは,

図2-6 中国における就業人口及びその産業別構成の推移6)

6) 1989年と1990年の就業人口数に大きな差がある。その原因は1989年までのデータが「三合一」労働統計によるもの であり,1990年以降のデータは国勢調査の労働統計によるものである。「三合一」労働統計とは以下の3つの統計部門 による就業人口統計の合算値:国家統計局及び労働与社会保障部による城鎮部の企業(私営企業従業者・自営業者を 除く),事業・行政部門の労働統計,国家工商行政管理総局による城鎮部の私営企業従業者・自営業者の行政登記の総 数,農村社会経済調査総隊による農村部の就業者の統計。岳希明『我国現行労働統計的問題』,「経済研究」2005年第 3期,pp.46-56。

出所:中華人民共和国国家統計局データより筆者作成

(11)

図2-7 中国における産業別労働生産性の推移

出所:中華人民共和国国家統計局データより筆者作成

図2-8 中国における産業別の労働投入対GDP弾性値の推移

出所:中華人民共和国国家統計局データより筆者作成

-2 -1 0 1 2 3 4 5 6 7

1978 1979 1980 1981 1982 1983 1984 1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020

%

2-8 ஦ࠅͶ͕͜Ζࢊۂพ͹࿓ಉ౦೘ଲGDPஆ੓஍͹ਬҢ

୊Ҳ࣏ࢊۂ ୊್࣏ࢊۂ ୊ࢀ࣏ࢊۂ

(12)

第一次産業における技術進歩によって,余剰労働力が発生し,第二,三次産業へ流出したと考えられ るであろう。また,第二次産業における弾性値も2013年以降にマイナスとなるため,第三次産業の弾 性値は2013年以降,唯一正のままで推移してきた。これは近年,第三次産業が雇用の受け皿としての 機能を発揮していると解釈できるであろう。

以上の内容をまとめると,第三次産業は中国の全体の経済発展において,ますます重要になってき た。2018年現在の中国のGDPにおいて,第三次産業は既に第二次産業を超える存在となり,その成長 スピードも第二次産業を上回っている。また,雇用面においても,第三次産業は大きな雇用効果を持っ ている。第三次産業における労働生産性は第二次産業に及ばないものの,第一次・第二次産業の高度 化により発生した余剰労働力を吸収する役割を果たしていると見られる。

第3章 企業データによる第二次産業と第三次産業の比較

ここまでは,中国の経済における第三次産業全体の現状について説明したが,本章では2008年と 2014年の中国500強企業7)の売上高と従業員数のデータを用いて,第二次・第三次産業間の労働生産性 の比較を行いたい。

3.1 全業種における500強企業のデータの比較

まずは業種を問わずに集計された500強企業の状況について紹介する。図3-1で示されるように,

2008年時点での500強企業のうち,第二次産業は335社,第三次産業は138社がある。第二次産業の内訳 は建設業32社,エネルギー生産業8社,製造業295社である。一方,2014年時点での500強企業のうち,

第二次産業は314社,第三次産業は157社がある。第二次産業の内訳は建設業が46社,エネルギー生産 業が8社,製造業が260社である。つまり,中国の売上高上位500社のうち,第二次産業の企業数は依 然として多いが,6年間で21社減った一方,第三次産業の企業数は19社増えた。第二次産業と第三次 産業の企業数の差も2008年の2.4倍から2014年の2倍までに減少した。第二次産業のうち最も多い製 造業企業だけで比較すると,6年間で企業数は35社も減り,第三次産業の企業数との差は2.1倍から 1.7倍までに減った。

会社の経営指標として,売上高・純利益・総資産・所有者持分及び従業員数が挙げられるが,この 研究で注目したいのは労働生産性であるため,売上高と従業員数のデータは重要である。従業員1人 当たりの売上高を計算することにより,製造業とサービス業企業の差異を探り出すことができるであ ろう。

まず,産業別の売上高と従業員数の基本状況について説明する。図3-2と図3-3で示されるように,

2008年時点の500強企業のうち,製造業企業295社の平均売上高は342.13億元であり,最大は1.23兆元 で,最小は93.17億元である。平均従業員数は29927人で,最大は634000人で,最小は397人である。一 方,サービス企業138社の平均売上高は588.00億元であり,最大は1.01兆元で,最小は93.05億元であ 7) 500強企業とは中国国内企業のうち,売上高のランキングで上位500社を指す用語である。

(13)

る。平均従業員数は70308人で,最大は907002人で,最小は80人である。製造業企業より,サービス企 業の方の平均売上高が高く,平均従業員数も多いという特徴がある。

2014年時点の500強企業のうち,製造業企業260社の平均売上高は884.79億元であり,最大は2.95兆 元で,最小は230.10億元である。平均従業員数は41474人で,最大は961703人で,最小は584人である。

サービス企業157社の平均売上高は1333.31億元であり,最大は2.05兆元で,最小は228.62億元である。

平均従業員数は67300人で,最大は954419人で,最小は37人である。注目すべきなのは2014年のサービ 図3-1 2008年と2014年の中国500強企業の産業別企業数の内訳(単位:社)

出所:2008年度・2014年度「中国500強企業発展報告」データより筆者作成

図3-2 年別・企業分類別平均売上高の比較

出所:2008,2014年度「中国500強企業発展報告」データより筆者作成

(14)

ス企業の平均従業員数は2008年よりも少なくなることであり,図2-6のサービス産業の状況とは大き く変わっている。つまり,2008年に比べると,2014年のサービス企業の1企業あたりの従業員数はや や減少している。

2008年と2014年の500強企業における労働生産性の状況は図3-4,図3-5と図3-6で示される。2008年 の500強企業の平均労働生産性は86.13万元/人であり,うち製造業企業260社の平均労働生産性は 114.32万元/人であり,サービス企業157社の平均労働生産性は83.63万元/人である。2014年の500強 企業の平均労働生産性は200.44万元/人であり,うち製造業企業260社の平均労働生産性は213.33万 元/人であり,サービス企業157社の平均労働生産性は198.11万元/人である。また,標準偏差を計算す ると,2008年の製造業企業における労働生産性の標準偏差は309.98であることに対して,サービス企

図3-3 年別・企業分類別平均従業員数の比較

出所:2008,2014年度「中国500強企業発展報告」データより筆者作成

図3-4 年別・企業分類別平均労働生産性の比較

出所: 2008年度「中国500強企業発展報告」データより筆者作成

(15)

図3-5 2008年の500強企業における製造業とサービス企業の労働生産性分布8)

出所:2008年度「中国500強企業発展報告」データより筆者作成

8) 従業員数が極端に少ないあるいは売上高が極端に高い企業など,他の企業のデータと大きくかけ離れているデータ は取り除かれた。例:2014年の張家港保税区旭江貿易という貿易会社は1年間2712108万元の売上高を記録したが,従 業員は37人しかないため,算出した労働生産性は1人あたり73300万元となる。

9) 上に同じ。

図3-6 2014年の500強企業における製造業とサービス企業の労働生産性分布9)

出所:2014年度「中国500強企業発展報告」データより筆者作成

(16)

業は2394.31である。2014年の製造業における標準偏差は526.96であり,サービス企業は8543.13であ る。つまり,サービス企業における労働生産性のばらつきが製造業企業より大きい。

ここまでの全業種を含む中国の500強企業に対する分析より,2008・2014年度の平均売上高・平均従 業員数の両方において,サービス企業の方が高かったことが分かる。また,労働生産性においては,

製造業企業の平均労働生産性はサービス企業の平均より高いことも分かる。一方,サービス企業間に おける労働生産性のばらつきは製造業企業より高いことも確認できる。先行研究によると,日本の サービス業に含まれる諸産業内部における企業の労働生産性の差も大きいので,中国も同じ状況であ るかどうかについては,中国のサービス業に含まれる各産業の労働生産性の差異について分析する必 要があると考えられる。

3.2 製造業500強企業とサービス500強企業の労働生産性比較

本節では製造業・サービス業別の2008年と2014年の500強の企業データ10)を利用し,それぞれの労 働生産性を比較する。

まずはデータの基本状況について説明したい。図3-7と図3-8で示されるように,2008年時点の製造 業500強企業の平均売上高は202.92億元であり,うち最大は2277.16億元で,最小は43.9億元である。

平均従業員数は19066人であり,うち最大は277028人で,最小は180人(未統計の企業を除く)である。

2008年時点のサービス業500強企業の平均売上高は183.62億元であり,最大は10107.33億元で,最小は 9.85億元である。平均従業員数は21769人であり,最大は907002人で,最小は12人(未統計の企業を除 く)である。

2014年になると,製造業500強企業の平均売上高は521.75億元であり,最大は2.95兆元で,最小は 図3-7 年別・企業分類別平均売上高の比較

10) 資料に踏まえ,ここのサービス業にはエネルギー生産業が含まれる。

出所:2008,2014年度「中国500強企業発展報告」データより筆者作成

(17)

67.1億元である。平均従業員数は25672人であり,最大は961703人で,最小は125人(未統計の企業を 除く)である。2014年時点のサービス業500強企業の平均売上高は471.16億元であり,最大は2.05兆元 で,最小は26.13億元である。平均従業員数は24616人であり,最大は954419人で,最小は14人(未統 計の企業を除く)である。2つのデータを比較すると,2014年における製造業とサービス業の平均売 上高は共に2008年の2.57倍に成長してきた。一方,製造業企業の平均従業員数は6606人,つまり 34.65%増えたが,サービス企業の平均従業員数は2847人,つまり13.08%増えたため,平均従業員数 の逆転が起きた。

図3-8 年別・企業分類別平均従業員数の比較

出所:2008,2014年度「中国500強企業発展報告」データより筆者作成

図3-9 年別・企業分類別平均労働生産性の比較

出所:2008,2014年度「中国500強企業発展報告」データより筆者作成

(18)

以上のデータを利用して労働生産性を計算すると,図3-9で示されるように,2008年度の製造業企業 の平均労働生産性は1064324元/人,サービス企業は843486元/人であり,製造業はサービス業の1.26倍 である。2014年度の製造業企業の平均労働生産性は2032365元/人,サービス企業は1914023元/人であ り,製造業はサービス業の1.05倍である。比較すると,製造業企業の平均労働生産性は1.91倍に,サー ビス企業は2.27倍になってきた。また,製造業とサービス業の平均労働生産性の差は縮まってきたこ とも確認できる。上の比較結果をまとめると,中国の経済発展につれ,製造業・サービス業両方の上 位企業の平均売上高は大きく増えているが,従業員数は製造業の方がより大きく増加している。また,

サービス業の平均労働生産性のレベルは未だに製造業の方に達していないが,その成長の幅は製造業 より大きい。

3.3 サービス業の産業間と企業間労働生産性の比較

前節では製造業とサービス業の間の売上高,従業員数と労働生産性の比較を行ったが,本節ではサー ビス業500強企業の各業種・各企業間の格差について論じたい。まずは表1-1の大分類に従い,サービ ス業の業種間の比較を行う。

サービス企業売上高上位500社のうち,各分類の企業数は図3-10と図3-11で示される。2008年度の 企業数の多い分類は不動産開発(63),小売業(59)と一般消費品流通(37)である。一方,2014年度 の企業数の多い分類は不動産開発(53),小売業(51)と銀行(43)である。また,大分類においても 図3-12と図3-13で示されるように,総数では貿易を含む卸売・小売業の企業数が最も多く,運輸・倉 庫・郵便業,不動産業及び金融業に分類される企業の数も多い。しかし,6年間の推移を見ると,卸 売・小売業,運輸・倉庫・郵便業の企業数はそれぞれ219から191,83から63へ大きく減少する一方,

図3-10 2008年度の分類別(細分類)サービス企業数(単位:社)

出所:2008年度「中国500強企業発展報告」データより筆者作成

(19)

金融業の企業数は33から58へ大きく増加し,住民サービス業・ビジネスサービス業などの企業数も伸 びている。

このデータから読み取る中国のサービス業に関するいくつかの特徴を取り上げる。まず,不動産業,

貿易と小売業の企業数は多い原因は中国の人口の多さによる住宅及び小売商品に対する需要の量が非 常に多いことにあると思われる。また,銀行は2008年度に19行しかなく,2014年度に43行になったこ

図3-11 2014年度の分類別(細分類)サービス企業数(単位:社)

出所:2014年度「中国500強企業発展報告」データより筆者作成

図3-12 2008年度の分類別(大分類)サービス企業数(単位:社)

出所:2008年度「中国500強企業発展報告」データより筆者作成

(20)

図3-13 2014年度の分類別(大分類)サービス企業数(単位:社)

出所:2014年度「中国500強企業発展報告」データより筆者作成

11) カッコ内は該当産業に分類される企業の数である。下に同じ。

図3-14 2008年度の分類別のサービス企業の平均売上高の比較11)

出所:2008年度「中国500強企業発展報告」データより筆者作成

(21)

とは,経済の発展につれ,金融サービスに対する需要が増大し,銀行の取扱額が急増したことに由来 すると考えられる。また,その内訳を見ると,華中各省及び東北地域の省都に本社を置く地方銀行が 2014年度のリストに初めて出現することが多い。その原因は主に,2008年の世界金融危機の時に,小 規模な地方銀行の大量破綻を回避するために,省レベルの大型地方銀行に再編させたという中国国内 の金融システムの強化政策にあると考えられる。

図3-14と図3-15では2008年度と2014年度の分類別のサービス企業の平均売上高が示される。2008年 度の1社あたり平均売上高が高い業種は郵便通信業(1882億元),総合保険業(922億元),エネルギー 供給業(847億元),生命保険業(788億元),銀行業(770億元)であり,2014年度の1社あたり平均売 上高が高い業種は郵便通信業(4276億元),総合保険業(3043億元),損害保険業(1570億元),生命保 険業(1394億元),銀行業(1257億元)である。2008年のデータに比較すると,2014年の上位5業種の 売上高の成長幅が大きく,特に郵便通信業は2.3倍,総合保険業の売上高は3.3倍,損害保険業は6倍 の成長を遂げた。

図3-16と図3-17では2008年度と2014年度の分類別のサービス企業の平均従業員数が示される。2008 年度の1社あたり平均従業員数が多い業種は郵便通信業(37.0万人),生命保険業(19.4万人),鉄道 運輸業(10.9万人),銀行業(8.0万人),エネルギー供給業(7.3万人)であり,2014年度の1社あた り平均売上高が高い業種は郵便通信業(47.3万人),損害保険業(26.4万人),総合保険業(8.7万人),

生命保険業(7.3万人),エネルギー供給業(6.3万人)である。2008年のデータに比較すると,2014年 の上位5業種の従業員数の変化のばらつきが大きい。最も高い郵便通信業の企業数は変わらないが,

平均従業員数は10.3万人も増えた。2008年に2番目であった生命保険業は5社から6社になったが,

平均従業員数は19.4万人から7.3万人に減った。3番目の鉄道運輸業は中国国家鉄路集団の成立によ り,企業数は18社から2社に減ったが,中国国家鉄路集団は2014年の500強企業に含まれていないため,

図3-15 2014年度の分類別のサービス企業の平均売上高の比較

出所:2014年度「中国500強企業発展報告」データより筆者作成

(22)

鉄道運輸業の平均従業員数は6000人に大幅に減少した。4番目の銀行業の企業数は19社から43社に大 幅に増えたので,平均従業員数は8.0万人から5.0万人となった。5番目のエネルギー供給業も生命保 険業とほぼ同様で,企業数は16社から23社に増加したが,平均従業員数は7.3万人から6.3万人に減っ た。まとめると,同じカテゴリに分類される企業数が多くなると,平均従業員数は少ない傾向が見ら れる。

図3-17 2014年度の分類別のサービス企業の平均従業員数の比較

出所:2014年度「中国500強企業発展報告」データより筆者作成 図3-16 2008年度の分類別のサービス企業の平均従業員数の比較

出所:2008年度「中国500強企業発展報告」データより筆者作成

(23)

平均売上高と平均従業員数を利用し,その商である平均労働生産性を計算する結果は図3-18と図 3-19で示される。結果を見ると,平均売上高が高い業種・平均従業員数が少ない業種の労働生産性は 相対的に高くなる傾向がある。2008年度の労働生産性が高い5業種は化学薬品貿易業(980万元/人),

食品貿易業(603万元/人),生産資料貿易業(560万元/人),金属製品貿易業(414万元/人)と人的資 図3-18 2008年度の分類別のサービス企業の平均労働生産性の比較

出所:2008年度「中国500強企業発展報告」データより筆者作成

図3-19 2014年度の分類別のサービス企業の平均労働生産性の比較

出所:2014年度「中国500強企業発展報告」データより筆者作成

(24)

源業(402万元/人)であり,労働生産性が低い5業種は飲食店業(13万元/人),鉄道運輸業(24万元 /人),道路運輸業(28万元/人),生命保険業(41万元/人)と港湾サービス業(50万元/人)である。

つまり,最上位業種の労働生産性は最下位業種の75.4倍であり,産業間の労働生産性のばらつきが極 めて大きいことが分かる。また,2014年の状況を見ても,上位5業種は金属製品貿易業(2511万元/人),

鉄道運輸業(1444万元/人),その他金融業(1152万元/人),化学薬品貿易業(1027万元/人)と生産資 料貿易業(764万元/人)であり,下位5業種は損害保険業(60万元/人),道路運輸業(61万元/人),

空港サービス業(63万元/人),家具小売業(64万元/人)と郵便通信業(90万元/人)である。6年が 経つと,最上位と最下位業種の労働生産性の差は41.8倍に縮小し,最上位・最下位業種の平均労働生 産性はそれぞれ6年前の2.6倍,4.6倍になった。

以上の内容をまとめると,中国のサービス業の特徴としては以下のようなものが挙げられる。大手 企業のうち,小売業,銀行,不動産の3つの分類の企業数が多いが,大分類では貿易を含む卸売・小 売業が最も多い。サービス業のうち,郵便通信業と銀行・保険業などの労働集約型産業の平均売上高 は相対的に高く,平均従業員数も多いが平均労働生産性が低い。一方,平均従業員数が相対的に少な い化学薬品貿易や金属製品貿易などの産業の平均労働生産性が高い。また,製造業の平均労働生産性

(2008年度は1.06百万元/人,2014年度は2.03百万元/人)に比べると,企業数が多い産業のうち,2008 年時点では不動産屋貿易など20の産業に属する企業の平均労働生産性は製造業より高いが,小売業や 郵便通信など16の産業に属する企業は製造業より低い。2014年においても,製造業の平均労働生産性 より高いのは不動産業や貿易など18産業,低いのは小売や郵便通信など20産業である。銀行は2008年 時点で製造業よりやや低いが,2014年になると製造業を少し上回る。したがって,サービス業全体の 労働生産性を向上させるために,技術の革新や人員の削減が重要であるが,大量の失業者が発生する 可能性もあり,社会の安定を低下させないために,政府がバランスを取った労働者政策を出すのは重 要である。

まとめ

中国のトップ500企業のうちのサービス企業と製造業企業の比較により,2008年から2014年の間に,

両方とも著しく成長したことが分かる。2014年の平均売上高は両方とも2008年の2.57倍に達していた 一方,平均従業員数はそれほど変わっていなかった。そのため,サービス業における平均労働生産性 のレベルは未だに製造業のレベルに達していないが,その成長の幅は製造業の方より大きい。また,

各企業のデータを見ると,日本と同様に,サービス企業間における労働生産性のばらつきは製造業企 業間より高いという特徴が観測できる。

サービス業の内訳を見てみると,企業数では貿易・小売業・不動産業の3つの業種が多いが,銀行 やその他のサービス業も2014年になって増加してきた。売上高ベースでは郵便通信業,保険業,銀行 の方が相対的に高く,貿易,小売業の方が相対的に低い。従業員数ベースでも郵便通信業,保険業,

銀行の方が相対的に多い。卸売・小売業の中においても小売業の方が多く,貿易の方が少ない。計算 すると,平均労働生産性は貿易の方が他のサービス産業よりはるかに高い特徴が見られる。したがっ

(25)

て,サービス産業間の平均労働生産性の差は2008年から2014年の間,差がやや縮まることも確認でき るが,労働集約的な産業の労働生産性が低い状況は変わっていない。一方,労働生産性を向上させる ための技術革新や人員削減が重要であるが,多くの失業者を発生させないためには,政府がバランス を取った政策を打ち出すのも大切だと考えられる。また,郵便通信業のような,売上高も従業員数も 多い産業だが,その労働生産性が極めて低いという特徴があるため,聞き取り調査などによる更なる 分析が必要だと考えられる。

参考文献

日本語

● 羽田昇史,中西泰夫(2005).『サービス経済と産業組織』.同文舘出版.

● フュックス, V. R.(1968).『サービスの経済学』.江見康一訳,日本経済新聞社.

● 森川正之(2014).『サービス産業の生産性分析――ミクロデータによる検証』.日本評論社.

中国語

● 中華人民共和国国家統計局.「2017年国民経済行業分類(GB/T 4754--2017)」.http://www.stats.gov.cn/tjsj/

tjbz/hyflbz/201710/t20171012_1541679.html(2021/11/12閲覧)

● 中華人民共和国国家統計局.「関於修訂『三次産業劃分規定(2012)』的通知」.http://www.stats.gov.cn/tjsj/tjbz/

201804/t20180402_1591379.html(2021/11/12閲覧)

● 中華人民共和国国家統計局.「年度数拠」各年版.http://www.stats.gov.cn/tjsj/ndsj/(2021/11/12閲覧)

● 中華人民共和国国家統計局.「三次産業劃分規定」.http://www.stats.gov.cn/tjsj/tjbz/201301/t20130114_8675.

html(2021/11/12閲覧)

● 中国企業聯合会,中国企業家協会(2008).『2008 中国500強企業発展報告』.企業管理出版社.

● 中国企業聯合会,中国企業家協会(2014).『2014 中国500強企業発展報告』.企業管理出版社.

参照

関連したドキュメント

一企業による家計からの生産要素の購入と所得の発生一

授権により上場企業の国有法人株主となった企業は,国有資産管理局部門と

 第Ⅱ部では,主導的輸出産業を担った企業の形態

現代の企業は,少なくとも目本とアメリカ合衆国においては,その目標と戦略

・企業は事業部単位やプロジェクト単位のような比較的広義の領域(Field)毎において、

 これを,海外トレーニー制度を実施中の企業にしぼり,製造業・非製造業別

はじめに 第一節 研究の背景 第二節 研究の目的・意義 第二章 介護業界の特徴及び先行研究 第一節 介護業界の特徴

産業廃棄物処理業許可の分類として ①産業廃棄物収集・運搬業者 ②産業廃棄物中間処理 業者 ③産業廃棄物最終処分業者