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洛中洛外図屏風「歴博甲本」と「歴博乙本」の人物データベースによる比較

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Academic year: 2021

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[論文要旨]

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  国立歴史民俗博物館が所蔵する二つの初期洛中洛外図屏風 「歴博甲本」 と「歴博乙本」 について、 描かれた人物すべて (甲本=一四二六人、 乙本=一一七二人) をデータベー ス化する作業を終え、横断検索も可能となったため、両者のデータを定量的に比較す る形で、その違いについて、特に不明な点が多かった乙本について考察を試みた。

  乙本は全体的に甲本よりも簡略化されており、またひとつの場面に、場面と関わる 形で特定の種類の人物を集中させる傾向が見られる。生業の種類が少ないことや、僧 侶を宗派別に描かないことなど、人物に個性が乏しく、また男性の老人が全く見られ ないことや尼僧をほとんど描かないなど、偏りもかなり著しい。

  しかし、それは単純に甲本よりも質と量が下がったことを意味するのではなく、乙 本独自の観点ないし嗜好から選択が行われた結果でもある。尼僧が排除される一方で 着飾った女性が目立つし、振売や農民について、野菜を扱った独自の場面が多く見ら 洛中洛外図屏風 「歴博甲本」 と「歴博乙本」 の人物データベースによる比較

Use of the Character Database for Comparison of Rekihaku A and B V ersions of Folding Screens of Scenes in and around Kyoto

KOJIMA Michihiro, MORISHITA Kana, OYABU Umi

人物データベース作成の経緯

「歴博甲本」 の人物像と 「歴博乙本」 の人物像の項目別比較 まとめ 小島道裕 森下佳菜 大薮

れる。祭礼については、神輿が渡御する祭礼を二つ描き、内裏でも賑やかな三

さぎちよう

毬杖の 場面を描いており、全体を華やかに仕立てようとする意識が見られる。

  このような差は、発注者や絵師の個性でもあろうが、時代差の問題と考えられるも のも多く見られる。尼僧が少ないことは、後家尼の地位が下がって、家長として表に 出 な く な っ た た め と 思 わ れ る し、 ま た、 兜 に「 変 り 兜 」 的 な も の が 見 ら れ る こ と や、 幟旗など多様な指物が見られること、髷では「丁髷」に近い髷が多いことなども、甲 本よりも時代が下がったことによる近世的な現象と見ることができよう。作品の年代 観としては、乙本の年代をおよそ一五八〇年代、豊臣期ころとした従来の推定と本稿 での検討結果に違和感はなく、大きな変更は必要ないと思われる。 【キーワード】洛中洛外図屏風、歴博甲本、歴博乙本、人物画像、データベース

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