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建設業労働災害の発生動向に関する一考察

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Academic year: 2022

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(1)6‑306. 土木学会第59回年次学術講演会(平成16年9月). 建設業労働災害の発生動向に関する一考察. 1. はじめに. (独)産業安全研究所 (正会員). 鈴木芳美. (独)産業安全研究所. 花安繁郎. (正会員). 別にその推移を示したものである。全体では最近の. 労働災害の発生動向は,その背景に横たわる産業. 20 年間で 110 万人(1980 年)から 60 万人(2000 年). 構造や就業構造と深く係わっている。本研究は,現. と約 45%減少を見ている。建設業では,この間 22 万. 在大きく変容しつつある我が国の産業構造・経済動. 人から 7 万人へとほぼ7割減少し,その構成比も 20%. 向を視座に入れ,今後の我が国の労働災害発生動向. から 11%へと減少した。. を産業経済動向等との関連で分析を試みるため,そ. 700 0. の前段として,主に労働災害発生件数の推移に着目. 600 0. 死 亡労 働災 害件 数. するとともに,建設業に関連した経済指標との関連 について試行分析を行った結果を報告する。 2. 我が国の労働災害発生状況の推移 2‑1 死亡労働災害の推移について. 500 0 400 0 300 0 200 0 建設 業. 我が国の労働災害の発生状況を長期的・概括的に. 100 0. 見てみると,全産業で見た場合,1960年代には毎年6,. 製造 業. 0 196 0. 全産 業 196 5. 197 0. 197 5. 198 0. 198 5. 199 0. 199 5. 200 0. 000人を越していた被災者数は,図1に示されるよう. 200 5. 年. に,1970年代前半にその急激な減少を見た後,現在. 図1 我が国の労働災害発生状況の推移. に至るまで微減傾向が継続し,今日では年間2,000人 死 傷 災 害 に占 める 死 亡 災 害 の割 合 (% ). 以下となっている。 この間の建設業における死亡労働災害の割合は, 概ね全産業の 4 割前後で推移し,現在でもその比率 は大きく変わっていない。すなわち建設業における 死亡労働災害の発生状況は,全産業に見られた傾向 と全く軌を一つにしており,1985(昭和60年)年以 降に毎年1,000人前後で推移していた死亡者数は, 1. 3 .0. 2 .5. 2 .0. 1 .5. 製造 業. 1 .0. 建設 業 .5 19 7 0. 全産 業 197 5. 198 0. 1 98 5. 1 99 0. 19 9 5. 20 0 0. 997(平成9年)年に1,000人以下となり現在に至って. 2 00 5. 年. いる。. 図2. 死亡労働災害の割合の推移. 2‑2 死亡労働災害の割合の推移について 死亡労働災害の微減傾向が現在まで継続している 一方で,死傷労働災害に占める死亡労働災害の割合. 120. を見た場合には,図2に示されるように,1980年代中. 100. った増大傾向は現在まで継続し,最近では1970年代 の水準を超えた状況が続いている。. 鉱 業. 人 数 (万 人. 頃までの減少傾向は反転し,1980年代後半から始ま. 熱 供 給 業. 80. 漁 業 林 業. 60. 運 輸 業. 40. 2‑3 労災保険の給付状況について 労働災害に係る被害に関して具体的に金額で示さ. 20. れるものとして,労働者災害補償保険(いわゆる労. 0. 建 設 業 製 造 業 その 他. 75 77 79 81 83 85 87 89 91 93 95 97 99 01. 災保険)による給付支払いに関するものがある。. 年度. 図 3 は,労災保険の新規受給者すなわちその年度に 新たに労働災害と認定された者の数について,業種. 図3 新規労災保険給付者数の推移. --------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------キーワード 労働災害,産業構造,建設業 〒 204-0024 東京都清瀬市梅園 1-4-6 Tel:0424-91-4512 Fax:0424-91-7846. ‑611‑.

(2) 6‑306. 土木学会第59回年次学術講演会(平成16年9月). 多い産業はここでも建設事業である. 以上述べてきたことを要約すると,労働災害の発. 金 額 (億. 9 ,0 0 0 8 ,0 0 0. 年 金 等. 生数そのものは総体として減少しているものの,死. 7 ,0 0 0. 葬 祭 料. 亡災害に代表される重傷災害では大幅な減少は見ら. 6 ,0 0 0. 遺 族 一 時 金. 5 ,0 0 0. 障 害 一 時 金. 4 ,0 0 0. 休 業 補 償. 3 ,0 0 0. 療 養 補 償. すなわち,毎年発生する労働災害そのものが減少. 2 ,0 0 0. 介 護 補 償. 傾向が続いている中で死亡災害を如何に減少させて. 1 ,0 0 0. 二 次 健 診 等 給 付. に各種労災年金給付額の増大が挙げられる。. 0. 行くかが今日的な課題であると言える。 3. 経済指標/労働災害データの関連分析の一例. 75 77 79 81 83 85 87 89 91 93 95 97 99 01 年 度. 図4. れず,その具体的現れの例として,労災保険給付特. 我が国の労働災害に関するデータとしては,従来. 労災保険支払い金額の推移. より労働省(現厚生労働省)から上述したような詳. このように建設業をはじめ,林業,鉱業,等での. 細な統計データが公表されている。一方,我が国の. 減少割合が大きい一方で,その他(サービス)産業. 産業構造の変容に関するデータ,特に諸経済指標等. では変化が見られずほぼ同じ数で推移している。ま. に関連する諸データには,各種の多様なものが公表. た,かつては製造業が多くを占めていた受給者は,. されている。例えば,建設業関係では建設省(現国. 今日ではその半数がその他事業(サービス産業)で. 土交通省)による建設投資等のデータなどがある。 これらの統計データは当然のことながら,データ. 占められるようになっている。 さらに,図 4 は労災保険給付支払い金額の推移を. 項目や計上数値で必ずしも相互に整合の取れるもの. 示したものである。労災保険による給付には,療養. ではないが,その点を踏まえた上で,今回は一例と. 補償給付(労働災害により治療を要する場合に支払. して,図5に建設業における休業4日以上の労働災害. われる)はじめ,休業補償給付,傷病補償年金,障. 発生件数と建設投資額との関連の年度ごとの推移を. 害補償年金,遺族補償年金及び葬祭料,介護補償給. 示した。本図からは,1960年代半ばから今日に至る. 付,二次健康診断給付などがある。. までの建設業における労働災害の発生状況を,大き. 産業別にこれらの給付状況を見ると,どの産業も. く5つの時期に分けて考えることができる。. 保険給付額は増加しているが,とくにその他事業(サ. すなわち,1)グラフ上方を右方へ推移した高度経. ービス産業)の伸び(1980 年度に比し約 2 倍)は著. 済成長前期,2)グラフ中央を下方推移した高度経済. しい。全体では,給付総額は 1980 年度 5,700 億円か. 成長後期,3)さらに右方推移のバブル経済期,4)グ. ら 1996 年度 8,400 億円へと約 5 割増加し,ようやく. ラフ右方に各年度のプロットが集中するバブル崩壊. 1997 年度の 8,500 億円をピークに以降減少に転じて. 期,5)左方推移に移った現在,の5期である。. いる。給付額の最も多い建設事業はこの間,1980 年. 今後は,このような諸分析データに基づく中長期. 度の 2,000 億円から 2001 年度の 2,700 億円へと 35 %. 的な産業構造・産業経済の変容とそれに伴う労働災. 増加している。. 害の発生動向の予測的分析を含めた展開を予定して. 見ると,1970 年代前半までは多くを占めていた療養 補償給付はその後の伸びは大きくなく,1980 年度以 降はほぼ一定の給付額であるのに対し,各種の年金 給付額は年々増加し,今日(2001 年度)ではその 49.2 %とほぼ半分を占めるに至っている. 労災保険給付額のうちの年金給付が占める割合の 推移を業種別に調べると,この 20 年ほどで全年金給 付額はほぼ倍増しているが,増加率の高い業種は, 建設業 1.96 倍,製造業 2.04 倍,運輸業 2.22 倍,そ. いる。 建 設 業 での労 働 災 害 死 傷 者 数 (休 業 4日 以 上 、人 ). また,同図から各年の給付種類別の支払い状況を. 120000. 1980 1970. 1975. 100000. 高度成長前期 ↑ ← 高度成長後期. 80000. 1985 バブル経済期 →. 1990. 60000 バブル崩壊期 →. 1995. 40000 現. 在. 2000. →. 20000 0. 20. 40. 60. 80. 建設投資額(兆円). の他の事業 3.51 倍となっている.各種年金給付額の 図5 建設投資額と建設労働災害件数との推移状況 -----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------参考文献:花安、統計的アプローチによる産業災害のリスクマネージメントに関する研究、日本機械学会関西支部第 79 期総会基調講演、2004 年 3 月.. ‑612‑. 100.

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