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sl ( 高 粘 度 改 質 アスファルト) 表 -1 実 験 に 用 いた 排 水 性 混 合 物 の 配 合 使 用 材 料 名 配 合 骨 材 6 号 砕 石 配 合 砂 率 (%) 石 粉 アスファルト(%)

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Academic year: 2021

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【土木学会舗装工学講演集 第6巻 2001 年 12 月】

ポーラス舗装トップコート工法の

空隙詰まり特性に関する研究

大道賢

・光安正純

・山之口浩

・丸山暉彦

4 1正会員 日進化成株式会社 工事部開発グループ(〒530-0027 大阪市北区堂山町 1-5) 日進化成株式会社 工事部(〒162-0825 東京都新宿区神楽坂 1-15) フェロー会員 工学博士 長岡技術科学大学講師(〒940-2188 長岡市上富岡町 1603-1) 正会員 工学博士 長岡技術科学大学教授 環境・建設系(〒940-2188 長岡市上富岡町 1603-1) ポーラス舗装におけるトップコート工法の透水性能向上や粉塵物質の空隙詰まり抑制効果について解明してき たが、施工上の基本となる樹脂散布作業における樹脂硬化前の界面特性も「空隙詰まり」に関係することがわかっ た.本研究では先に求めた施工後の硬化樹脂材と水との濡れ(水との界面張力、γsl)のほかに、施工時の硬化前 樹脂材とアスファルト混合物表面との界面特性(付着濡れ仕事量、Wa など)から検討することで、排水性トップ コート工法の施工時空隙詰まり防止と施工後の粉塵物質回復性能(防塵機能)を解明し、本工法のより適切な施工 方法に向けて検討した.

Key Word:porous asphalt, topcoat for porous asphalt, voids blocking, recovery performance, adhesional wetting

はじめに 排水性舗装は、当初は1980年代ヨーロッパで開 発され普及してきたが、現在はむしろわが国でその施 工面積を増大しており、この傾向は21世紀にも続く ものと予想される.そしてそれは排水性トップコート 工法を適用することで、ポーラス舗装としてより機能 を高度化でき、また、より多様なニーズにも対応でき る(多様化)こと1)と無関係ではない. ポーラス舗装トップコート工法は、排水性舗装の台 頭しはじめた1990年初頭にすでに一部で試みられ てきたが2)3)、本格的には、近年の骨材飛散(フレッ ティング破損)現象に対して4)技術開発と工法展開が はかられて、施工面積が2000年時点で30万m2 をこす実績となっている5).これはその基本的な機能 が評価されつつあると共に、種々の多様化へ向けての 応用技術の研究がすすめられてきたためでもある. 先に6)、ポーラス舗装におけるトップコート工法の 機能の高度化について検討してきたが、最近の排水性 舗装の問題点は基本的な骨材飛散破損より、むしろ舗 装体上部の空隙詰まりによる機能(騒音抑制、雨天時 安全)の低下を生じること7)に移ってきている.そし てこの「空隙詰まり」は排水性トップコート工法を適 用することによる散布樹脂膜と水との濡れ具合、界面 特性から考察して、その抑制効果の高いことを明らか にした6).ここでは、これらをうけて、先に求めた散 布後の硬化樹脂材と水との濡れ(水との界面張力、γ sl)のほかに、散布時の硬化前樹脂材とポーラスアス ファルト混合物表面との界面特性(付着濡れ仕事量、 Wa など)から空隙詰まり現象を検討することで、工 法施工時の空隙詰まり防止や施工後(供用時)の粉塵 物質に対しての空隙詰まり回復性能(防塵機能)を解 明し排水性トップコート工法の適切な施工方法に向け て検討するものである. 1.研究の目的 ポーラス舗装の「空隙詰まり」については、その現 場状況は舗装体上部(表面部)2∼3㎝以内にあり7) またその現実的には機能回復について種々の検討が なされている8∼10).排水性トップコートを施工する と、その界面特性から空隙詰まり物質が付着しづらく、 透水性の向上(透水係数変化率kf)と空隙詰まりの 抑制効果(残存透水率kr)が改善される.しかしな がらトップコート施工にあたっては、その散布量が多 すぎる場合などは、舗装体下部(基面部)にまで樹脂 が浸透し、それがダレとなって途中で空隙閉塞を生じ ている状態が想定される.つまり施工(散布)時点に

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おける硬化前の樹脂材について、その界面特性を検討 することが重要であり、排水性舗装の「空隙詰まり問 題」は、トップコート工法適用において以下の条件下 で考えなければならない.つまりその必要とされる性 能と共に示すと以下の場合である. 1) 施工時・・・アスファルト(混合物)+硬化前樹脂 との界面問題(第1条件) イ. 空隙閉塞(樹脂による空隙詰まり)防止特性 2) 施工後(供用後)・・・硬化樹脂+水との界面問題(第 2条件) ロ. 土砂による空隙詰まり抑制能力 ハ. 空隙詰まり回復性能(防塵機能) 上記ロ.については、先に材料(樹脂)と水との界 面張力、γsl で説明できた6).そしてハ.については、 たとえ空隙詰まりが生じたとしても高圧洗浄などに よる機能回復が効果的であると考えられている10) こでは第1条件である施工時の界面特性であるイ.に ついて検討するものである.また施工時の因子として は厳密には以下が関係するが、ここでは①の材料因子 のみに限定して、一部について舗装体空隙率を変えて 実験した. ① 材料因子(樹脂の種類、界面特性) ② 散布条件(散布量など) ③ 外的条件(温度や舗装体空隙の量や質など) そして、最適施工(散布)条件を定めるのに必要と される材料(樹脂)の基本特性ならびに評価指標は以 下のものを重要な因子と考えた. 1)ポーラス舗装体のすみずみまで浸透し均等にいき わたる →ダレのない膜厚の形成→散布時粘度11)(p) 2)浸透したものがよく濡れる →液体(樹脂)の固体(アスファルト)への付着 →界面特性、付着濡れ仕事量12)など(γl、Wa) 3)均一な膜厚で硬化する →異常硬化や硬化不良→ゲル硬化や可使時間 このうち3)については、樹脂材料の基本的な特性 であり13)、極端に舗装体温度(気温)が高い場合、低 い場合を除いてあまり問題になることがないので検 討からはずした.従って今回の研究の主眼を1)2) と考えて、空隙詰まり問題について樹脂材料の散布粘 度(p)と界面特性の2つから考察した.ここで界面 特性は、先の検討では、MMA樹脂などの硬化性樹脂 を用いた場合、水との濡れから考えて14)、空隙詰まり 物質が付着しづらい指標である個体と液体の付着力 を示す界面張力(γsl)を用いた.しかし、今回の実 験では、樹脂散布時のアスファルト(個体)と樹脂(液 体)の濡れやすさが問題であり、よって濡れの広がり を示す付着濡れ仕事量(Wa)より評価を行った. 2.試験方法 2−1 使用材料 1)排水性混合物の配合とアスファルトの特性値 実験に使用した排水性混合物の配合を表−1に、排 水性舗装用アスファルト(高粘度改質アスファルト)の特 性値を表−2示した. 2)使用樹脂の配合検討 実験に使用する樹脂材料は、散布樹脂粘度(p)と界 面性状(付着濡れ仕事量Wa)を変化させ用いなければ ならない.しかし、付着濡れ仕事量(Wa)については 直接求めることができないので、付着濡れ仕事量に関 係し、直接求めることができる樹脂の表面自由エネル ギー値(γl)と粘度(p)を調整し実験に供した. 1 2 3 骨材 6号砕石 85 87.5 90 配合 砂 10 7.5 5 率(%) 石粉 5 5 5 5 4.6 4.4 20 22.5 25 20.0 22.5 24.9 目標空隙率(%) 平均空隙率(%) 表-1 実験に用いた排水性混合物の配合 配合№ 使用材料名 アスファルト(%) 性状項目 単位 測定値 針入度 1/10mm 45 軟化点 ℃ 97.5 伸度(15℃) cm 100+ タフネス N・m 31.4 テナシティ N・m 23.9 60℃粘度 Pa・s 10.0+ 表面自由エネルギー(γs) (mN/m) 49.3 水との界面張力(γsl) (mN/m) 61.3 表-2 実験に用いた排水性舗装用高粘度アスファルト 5 10 15 20 25 Ⅰ 31.6 30.8 29.9 29.3 分離 Ⅱ 32.8 32 31.4 31 30.8 Ⅲ 33.4 33.3 33.2 33.2 32.8 Ⅳ 35.3 35.5 35.5 35.9 36 希釈モノマー モノマー添加率 (%) 表-3 樹脂の希釈モノマー添加率と樹脂の表面自由エネルギー値(γl)の関係 注、高分子モノマー1:MMA樹脂のメチル基をC12のアルキル基と置換したモノマー    高分子モノマー2:MMA樹脂のメチル基を芳香族が付加したアルキル基と置換したモノマー (単位:mN/m)   高い ← 粘度 → 低い № 高分子樹脂モノマー1 MMA樹脂モノマー スチレン樹脂モノマー 高分子樹脂モノマー2 低い ↑ γl ↓ 高い

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ここで、排水性トップコート工法に使用される樹脂 は、ビニルエステル樹脂とMMA樹脂モノマーを混ぜ 合わせた基本となる樹脂(ベース樹脂)に粘度調節用 樹脂としてさらにMMA樹脂モノマーを添加し、製造 している.そこで、今回の実験で使用する樹脂を決定 するため、まずこの基本となる樹脂に数種の希釈用モ ノマーおよびその希釈率を変化させて添加し製造し、 粘度の概略値(0.2Pa・s)をベースにし樹脂の表面自由 エネルギー値(γl)を測定することにより、調整を行 うことにした(表−3).また粘度(p)の調整は、各 希釈モノマーの添加率により、求める粘度に調整した. 3)使用樹脂の決定 上記2)にもとづいて、実験に使用する樹脂を以下 の2グループとした. グループ1:粘度(p)の変化を確認するためのもの 樹脂散布時の表面自由エネルギー(γl)を一定とし、 粘度(p)を変化させたもの(表−4).ここで、排水 性トップコートで使用される樹脂は、ベース樹脂に対 する希釈モノマーにMMA樹脂が使用されており(希 釈量は 10%前後)、その標準的なγl は約 32mN/m であ る(表−3の№Ⅱ).しかし、今回の実験ではスチレン 樹脂モノマーが希釈率とγl との関係において一定し た値を示したので、表−3の№Ⅲの組み合わせを標準 とし、γl の基準値は 33.2mN/m とした. グループ2:付着濡れ仕事量(Wa)の変化を確認す るためのもの 粘度(p)を一定とし、表面自由エネルギー値(γ l)を変化させたもの(表−5).ただし、現実にはγ l は 30∼36mN/m の範囲で、また散布時の標準粘度(P: 0.2∼0.35Pa・s)の範囲で一定にする必要があるが、 この範囲に調整しようとした場合、樹脂の分離等の問 題が生じたため、この結果散布時の標準粘度範囲の上 限(バインダ№⑤、⑧)と下限(⑥、⑦)のもので、 実験に使用した. 2−2 測定方法 測定に使用した機器類は以下のものである.なお樹 脂による空隙閉塞の評価には透水係数変化率(kf)お よび空隙詰まり残存透水率(kr)を用い、これらの測 定はすべて一定温度 20℃で行った. 1)散布時粘度(p)の測定 使用樹脂の粘度測定は汎用型のB型回転粘度計 (JIS K 7117)を用いた. 2)界面特性 ①液体の表面自由エネルギー値(γl)の測定 樹脂の表面自由エネルギー値(γl)の測定には表 面張力測定器(協和界面活性科学(㈱DIGI-O-MATTIC ESB-Ⅳ(写真−1))を使用した. ②付着濡れ仕事量(Wa)の算定 個体表面に液体が付着する場合の濡れの仕事の形 態には2つの型がある12)1つは個体に液体が付着し た場合で濡れ角度θ=0°のときで、個体表面上を液 体は濡れ拡がろうとする仕事の形態(Ws:spreading wetting).もう一つはθ≦180°のときで固体上の液 体は濡れ角度を一定に保とうとする付着濡れ仕事の 写真−1 使用した液体の表面張力計 表面自由 エネルギー 粘度 γl P mN/m Pa・s ⑤ 高分子樹脂 モノマー1 15 29.9 0.34 ⑥ MMA樹脂 モノマー 12.5 32.3 0.21 ⑦ スチレン樹脂 モノマー 16.5 33.2 0.24 ⑧ 高分子樹脂 モノマー2 40 36.2 0.33 モノマー添加 率(%) 表ー5 表面自由エネルギーの影響を調べるための希釈モノマーの 種類と添加率におけるγlとp(グループ2) 樹脂№ 希釈モノマー  備考:樹脂№⑦は②と同じ 散布時粘度 (20℃) 表面自由 エネルギー P γl Pa・s mN/m 0-2 5.0 1.12 33.4 ① 8.0 0.50 33.3 ①-2 8.0 0.51 33.3 ② 16.5 0.24 33.2 ③ 25.0 0.14 32.8 ④ 30.0 0.10 33.4 表-4 粘度変化による影響を調べるため希釈モノマー(スチレン樹 脂)の添加率を変えた場合のγlとp(グループ1) 樹脂№ 希釈モノマー モノマー添加率(%) スチレン樹脂 モノマー     (0-2は追加作成、①-2はブランク用) 備考:樹脂№0-2および①-2は2回目の実験で用いた樹脂。

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形態(Wa:adhesional wetting)である12).トップ コート工法の場合の固体(アスファルト)と液体(樹 脂)との濡れ、および硬化後樹脂と水との濡れの状態 を写真−2に示したが、両者ともθ≠0°である. そしてこの固体表面上に付着した液体(付着濡れ) が接触角度を一定に保とうとする力の働きを図−1 にしめす.ここで施工時の樹脂散布時の状態は、θ≠ 0°であるので付着濡れ(adhesional wetting)の型 であり、このときの仕事量は式−1で表される.付着 濡れ仕事量(Wa)を求めるには、γl は表−4,5で 求まっており、またγs およびγsl は先の検討6)の方 法を用いることにより測定することができる.しかし 式−1に Young の式(式−2)を代入すると式−3が 求まり、付着濡れ仕事量(Wa)はγl および固体と液 体の接触角度(θ)を測定するだけでよい.つまり式 −3を用い、表−4,5に示したγl および、アスフ ァルトと樹脂の濡れ角度を測定しWa を求めた. なおアスファルトと樹脂の接触角度は接触角度 (θ)は自動接触角計(協和界面活性科学㈱FACE 自動 接触角計 CA-Z 型)により測定した. Wa=γs+γl−γsl ・・・式−1 γs=γlcosθ+γsl ・・・式−2 Wa=γl(cosθ+1) ・・・式−3 ここで θ:固体と液体の接触角度 ° Wa:付着濡れの仕事量(固体と液体の接触により両 者の表面自由エネルギーが減少する量)mN/m γl:液体の表面自由エネルギー(液滴の表面積を小 さくしようとする力)mN/m 写真-2 2つの場合(施工時、施工後)の付着濡れ (θ≠0°)の状態 図−1 液体が固体に接触したときの界面特性 (接触角度(θ)を一定に保とうとする力の働き) γsl:界面張力(固体と液体の界面に残存する自由エ ネルギー)mN/m 3)供試体の作製 供試体は、高粘度改質アスファルトを用いた表−1 に示す排水性混合物について、表−4,5の各樹脂を トップコートし作製した.なお樹脂の散布量は施工時 の上限側をとって 0.6kg/㎡の2回散布とし、作製は 20℃の温度雰囲気下で行った. 2−3 空隙閉塞の評価指標 1) 透水係数変化率(kf) 透水係数変化率(kf)は樹脂散布前後の透水係数を 室内透水試験器を用い式−4を用い算定した.透水試 験方法は、先に6)行ったと同様の大川らが提案した方 法を用い動水勾配2%での透水係数を求めた. kf=(ka/kb)×100 ・・・式−4 ここで kf:透水係数変化率(%) ka:樹脂散布後の透水係数(cm/sec) kb:樹脂散布前の透水係数(cm/sec) 2)空隙詰まり残存透水率(kr) 室内透水試験器を用い、粒度を調整した空隙詰まり 物質を供試体表面から流し込む先に行ったと同様の 方法で求めた.すなわち、流し込み回数5回ごとに乾 燥を行い透水係数を測定し残存透水率(kr)は式−5 により求めたが、ここで重要となることは、その透水 係数の測定方法である.空隙詰まりが進行するに従い 透水係数が低下し、流速は 10−1cm/sec 以下になり、 流速が 10−2∼10−1cm/sec 以下では水の流れの状態が 乱流から層流に変化し、層流域の透水係数は乱流域の 透水係数よりかなり大きく求められる15)したがって、 通常 の 水頭差を固定した方法(舗装試験法便 覧 5-3-5)では空隙詰まりを生じ、乱流域から層流域に 透水係数が変化すると、この変化による透水係数が異 なるため適切に評価できない16)そこで透水試験の方 法は水頭差を数点変えて流速を変化させ、乱流域から 層流域まで評価できる大川らの方法を用いて透水係 数(水頭差2%)を求め評価を行った. kr=(kn/k0)×100 ・・・式−5 ここで kr:空隙詰まり残存透水率(%) kn:流し込み回数n回目の透水係数(cm/sec) k0:流し込み回数 0 回の透水係数(cm/sec)

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3)空隙詰まり回復性能 空隙詰まりを生じポーラス舗装体の機能が低下し た場合、高圧洗浄等により機能回復作業が行われてい る.この作業に対しトップコート工法の空隙詰まり回 復効果(防塵機能)を確認するため、空隙詰まり残存 透水率(kr)を測定したあとの供試体について、その 表面の空隙つまり物質を掃除機による吸引により除 去し(写真−3)、その表面状態を評価した. 3.測定結果とその解析 3−1各測定結果と付着濡れ仕事量(Wa)などの 算定結果 作製した各樹脂の界面特性などの測定値、付着濡れ 仕事量(Wa)などの算定値、および透水試験より求 められた結果などを表−6に示す.なお、硬化樹脂と 水との濡れ仕事量(Waa)および界面張力(γsla) についても求めた結果を備考に示す. 写真−3 空隙詰まり物質除去作業状態 3−2 解析結果 1) 塗布時粘度(p)と透水係数変化率(kf)、空隙つま り残存透水率(kr)の関係 粘度(p)と透水係数変化率(kf)および空隙詰ま り残存透水率(kr)の関係を図−2,3に示す.なお、 図2,3の白抜き記号は、kf と kr の下限側を求めて 適正な粘度範囲を確認するため、γl の値を一定 (33.2mN/m)として、さらに高粘度の樹脂を作成し(表 −4,6参照)追加試験を行った測定値である.これ より、樹脂の表面自由エネルギー値(γl)が一定の

p γl θ Wa γsl Waa γsla

Pa・s mN/m ° mN/m mN/m 20% 22.5% 25% 20% 22.5% mN/m mN/m 0-2 1.12 33.4 71.6 43.9 38.8 104.8 91.8 95.2 22.9 40.8 70.9 62.1 ① 0.50 33.3 61.4 49.2 33.4 139.8 128.6 134.0 42.2 49.8 67.8 59.5 ①-2 0.51 33.3 61.8 49.0 33.6 126.3 113.4 116.7 31.8 46.1 - - ② 0.24 33.2 53.3 53.0 29.5 119.5 112.4 128.8 33.8 42.8 66.6 55.9 ③ 0.14 32.8 47.3 55.0 27.1 114.9 125.6 117.8 19.3 24.2 66.5 49.0 ④ 0.10 33.4 45.6 56.8 25.9 107.3 108.7 82.9 14.8 27.1 57.3 47.7 ⑤ 0.34 29.9 42.6 51.9 27.3 109.2 121.9 98.9 28.2 38.2 72.0 50.8 ⑥ 0.21 32.3 45.2 55.1 26.5 104.5 124.3 105.3 21.6 32.8 70.9 52.3 ⑦ 0.24 33.2 53.3 53.0 29.5 119.5 112.4 128.8 33.8 42.8 66.6 55.9 ⑧ 0.33 36.2 46.5 61.1 24.4 99.7 103.4 86.6 16.5 24.3 96.5 44.4 空隙率 (%) 空隙率 (%) グループ1 グループ2 硬化後樹 脂と水の濡 れの仕事 量 硬化後樹 脂と水の界 面張力 % % 表-6  作成した樹脂の各測定結果と算定結果 樹脂№ 粘度 表面自由エネルギー値 アスファル トと樹脂の 濡れ角度 濡れの 仕事量 界面張力 透水係数変化率(kf) 空隙詰まり残存透水率 (kr) 備  考

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場合、粘度(p)は図−2,3からkf およびkr と 関係があり、適正な粘度範囲で空隙閉塞の防止効果が 高いことを示している.これは散布時粘度(p)が低 い場合樹脂のダレる量が増し、そのため空隙を詰まら すと考えられ、高すぎる場合は、樹脂がダレずに、舗 装体上部を覆ってしまうためである.それは、写真− 4に示すように散布する樹脂が適切な粘度範囲であ れば空隙を閉塞せず良好な被膜状態を示すためであ り、その適正な粘度は 0.25∼0.5Pa・s の範囲にある. 2)界面特性、表面自由エネルギー値(γl)と透水 係数変化率(kf)、空隙詰まり残存透水係数(k r)の関係 樹脂の表面自由エネルギー値(γl)と透水係数変 化率(kf)および空隙詰まり残存透水率(kr)の 写真−4 散布樹脂の2つの被覆状態 関係を図−4,5に示す.γl は液体の界面特性を表 す指標であり付着濡れ仕事量(wa)に関与するが、 これらの図よりγl とkf およびkr との関係は明確で はなく、空隙閉塞の関係に大きく作用していないとい える. 3)濡れの仕事量(Wa)と透水係数変化率(kf)、空 隙つまり残存透水係数(kr)の関係 濡れ仕事量(Wa)と透水係数変化率(kf)および 空隙つまり残存透水率(kr)の関係を図−6,7に示 す.なお、図中の白抜き記号(表-6の0-2,①-2) は、図2,3と同様に kf と kr の下限側を求めるため、 追加試験から求めた値をプロットしたものである.こ れより、空隙閉塞には濡れの仕事(Wa)が関係して いることがわかる.そしてこの関係はkf よりもkr の方が舗装体空隙率との関係がより明確で、同じWa なら空隙率が大きいほど kr は大きい. そして、図−7より、空隙閉塞防止にはアスファル トに対する付着濡れ仕事量(Wa)は粘度と同じく濡 れの仕事量(Wa)の適正な範囲を示し、写真−4に 示すようにWa が大きすぎると空隙閉塞を生じ(kr が 小さい)、あまりWa が小さいと、濡れにくく浸透しに くいために残存透水率kr も小さくなり、適正なWa は概略 50∼55mN/m と考えられる.

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4)透水係数変化率(kf)と空隙詰まり残存透水率(kr) の関係 空隙閉塞の評価指数、透水係数変化率(kf)と空 隙詰まり残存透水係数(kr)の関連性をみたのが図 −8である.図−2,3や図−6,7においてもkr の方がkf よりもいずれの関数に対してもバラツキが 小さく、評価方法としては適切と考えられる.しかし 試験の上で一次的手段としてはkf が有用であり、一 連のデーターより、トップコートの有効性はkf>120 ∼130 とみることができそうである. なお、図−7の中に空隙率 25%をプロットしたもの は図−8の関係を用いて求めたものである. 5)空隙詰まり回復機能と硬化樹脂の界面張力(γ sla)の関係 先の2−3.3)の空隙詰まり回復性能の観察を行 いその結果を写真−5に示す.これより硬化樹脂のγ sl が小さいほど土粒子の付着が認められなくなり、γ sl が大きいほど土粒子がバキュームでは吸い取られ にくい結果を示す.これより空隙詰まり回復機能は硬 化後の樹脂と水との濡れ仕事量γsl により左右され、 γsl が小さいほどその機能が発揮できると考えられ る.ここで硬化樹脂の濡れの仕事量(Waa)について も同様な傾向があるが、硬化樹脂と水との界面張力 (γsla)の方がより明確である.したがって先に6) 硬化樹脂と水との界面張力(γsl)が小さいほど空隙 詰まり効果が高いことが判明したが、写真−5からも 同じ傾向であるといえ、空隙詰まりを生じにくいもの は、たとえ生じても回復が容易であるといえそうであ る.そしてその効果からは概略γsl は 50mN/m 以下が 望ましいようである. 4.2層式トップコート工法への応用 本研究では空隙閉塞特性を、表面部 2∼3 ㎝につい て散布樹脂などがダレないで均質に樹脂被覆するた めのトップコート工法の効果を検討してきた.これま での施工経験から排水性トップコート工法は、経済性 と共に空隙詰まり抑制能力と回復性能(防塵機能)か らにおいて、この表面部の樹脂被覆だけが重要である. しかしながらより高機能や高耐久性を考えたとき、よ り高空隙率(たとえば 25%以上)で、厚層(例えば 5 ∼6cm)のポーラス舗装が要求されたとき、全厚(基 面部)についても、より均一な膜厚ですみずみまで浸 透被膜させ、かつ表面部については種々の本来の機能 を持たせるような排水性トップコート、いわゆる2層 式トップコート工法の適用性が出てくる.舗装工法に あっても2層式の考えはある17)が、トップコート工 法についてそれは現実に散布量を確保するなどのた めに2回散布を行なっていることからも容易に考え られる.これまでに検討した本工法の応用として、2 層式トップコート工法の実例のいくつかを挙げる.な お、これらに使用される各種樹脂は、その目的に合致 した施工粘度(p)と界面特性(Wa、γsl など)を 持つ必要があり、水性化(エマルジョンタイプ)や親 水基(光触媒タイプ)などの効果18)∼21)が関係する. 写真−5 空隙詰まり回復性能効果(防塵性能)の状態

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1)若返り再生(表面部)・耐水性強化(全層)トップ コート工法 ポーラス舗装体の空隙にアスファルト乳剤と変性ポ リアミン系剥離防止剤を主成分とするエマルジョンタ イプ若返 剤を散布する17)ことで、舗装体強化と表 面部再生をはかる. 2)舗装冷却兼用耐久性トップコート工法(全層) 舗装直後のポーラス舗装体の交通開放を早めるため、 冷却を兼ねたエポキシ樹脂エマルジョンを散布・浸透 させて19)20)舗装体強化と空隙詰まり抑制効果をはか る. 3)NOx除去用トップコート工法(表面部) ポーラス舗装体表面部に排水性トップコートと組 み合わせた光触媒酸化チタンを固定する21)ことで(図 −12)NOx低減効果の機能を持たせる. 4)その他、視線誘導等のための識別用明色トップコ ート工法(表面部) 明色トップコート工法は、高速道路サービスエリアの パーキングエリアの大型車両の区画標示等に実績が多 いが、今後車線区別など安全対策面での適用が期待さ れ、表面部対処のトップコート工法の典型例といえる. 5.まとめ ポーラス舗装トップコート工法における「空隙詰ま り問題」は施工後(供用後)の硬化(固体)樹脂と水 との界面特性(γsl)および施工時のアスファルト混 合物(固体)と硬化前(液体)樹脂との界面特性(p ならびにWa)の2つから考えなければならない.本研 究では主として後者のアスファルト(固体)と樹脂(液 体)との界面特性を測定して、その透水性向上(kf) と空隙詰まり防止効果(kr)を検討した.また、空隙 詰まりは表面部2∼3cm にとどまるので、この部分に ついての界面特性をより確実に強化することが肝要で あり、より合理的な排水性トップコート工法としての 図−9 光触媒を固定した排水性トップコートの断面図 2層式工法を提案した. ここで得られた結果は以下である. 1)散布樹脂のダレによる空隙閉塞を生じさせないた めには噴射できる範囲内(p<0.5Pa・s)で、その 散布粘度は高い方が良い.舗装体表面部 2∼3cm を均 一に膜厚形成させるに適切なトップコート樹脂の施 工時散布絶対粘度の適正範囲は 0.25∼0.5(Pa・s) である. 2)空隙詰まり特性(空隙つまり残存透水率kr)は散 布樹脂(液体)の界面特性、即ち付着濡れ仕事量(W a)と関係する.散布した樹脂がアスファルト混合物 に均一な膜を生じ、空隙詰まり防止効果を発揮する にはその樹脂材の付着濡れ仕事量Wa が適正な範囲 でなければならず、その適正範囲な 50∼55(mN/m) である.それは舗装体の空隙率によっても左右され、 空隙率を大きくできれば(22.5%以上)、濡れやすさ Wa は空隙率 20%の場合より大きくてもよい. 3)樹脂散布施工時のダレによる空隙閉塞を生じさせ ないためには、散布時の粘度(p)と散布樹脂材料 の物性(Wa)の2つを適切に選定しなければならな い.即ち、冬季施工においては、一義的にノズルの 噴射のできる粘性の確保(P<0.5Pa・s)が重要であ り、また夏期においては温度が上がり粘度が低下し やすくなるので、適切な界面特性(Wa<55mN/m)を 持つ樹脂材料を選択する必要がある. 4)樹脂散布施工後の粉塵物質による空隙詰まり回復 性能(防塵機能)は、先に求めていた硬化樹脂と水 との界面特性γsl で関係づけられそうで、γsl が小 さいほど空隙詰まりの回復性能も高い.これは先に えられた空隙詰まり抑制特性(空隙詰まり残存透水 率kr)と同じ結果であり、空隙詰まり抑制効果が高 い、界面張力γsl の値の小さい樹脂を用いた排水性 トップコートは、たとえ空隙詰まりを生じても、そ の機能回復が容易であるということになる.定量的 な評価は残るが、硬化樹脂のγsl は概略 50mN/m 以 下が望ましい. 5)表面部強化トップコート工法として2層式工法 の具体例を、エマルジョンタイプ(若返り再生用、 舗装体冷却用など)、光触媒固定(NOx 除去用)や明 色タイプ(安全、識別用)についてあげた. あとがき 排水性トップコート工法の空隙詰まり特性を明らか にすることから、適切な施工方法を見いだすための足 がかりを得た. それはまず施工(樹脂散布時点)で、ダレによる閉 塞を生じないこと(空隙閉塞防止)、次に施工後硬化樹 アナターゼ型酸化チタン +アモルファス型酸化チ 排水性トップコート 排水性混合物 アモルファス型酸化チタン

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脂と水との界面で、透水性の低下が小さいこと(空隙 詰まり抑制)、そして詰まっても、その機能回復が容易 である防塵機能を持つこと(空隙詰まり回復)の3つ である. 各条件下での界面特性から、それぞれの機能効果を 求めたが、ここで得られたものは基本的な限られた条 件下のものである.今後は、さらに樹脂散布量や舗装 体空隙率の変化による界面特性に与える影響と共に、 空隙詰まり防止機能の保持期間やその費用対効果を実 道での試験施工を通じて調査をおこない、これらに適 合する樹脂材料のさらなる基本的な解明と技術開発が 重要である.またより合理的な排水性トップコート工 法としての2層式工法の適合性などについても検討す る必要がある.最後に実験にさいしていろいろとご助 言を頂いた大日本インキ化学工業㈱関西ポリマー研究 所の植野慎也博士と中川修博士に紙上を借りてお礼を 申し上げます. 参考文献 1)大道賢,山之口浩,丸山暉彦:ポーラス舗装の多機能 性と高度化による適用性の検討,第8回北陸道路舗 装会議報文集,pp. 37-40,2000.6 2)根本信行,向後憲一,溝渕優:排水性舗装機能高度化 に関する一検討,舗装 Vol.27,№4,pp.18-24,1992.4 3)佐藤友邦,菅原賢司,西海昌彦:寒冷地における排水性 舗装の摩耗対策(山形自動車関沢 IC~山形蔵王 IC 間 での追跡調査),舗装 Vol.28、№5,pp23-29,1993.5 4)渡邉三男:タイヤチェーン装着車両による排水性舗 装 の 骨 材 の 剥 奪 ・ 飛 散 被 害 , 舗 装 Vol.33, № 10,pp.32-37,1998.10 5)田中徹夫,山之口浩,福富眞:排水性トップコート工 法の性能と適用性,第 23 回日本道路会議一般論文集 (C),pp.260-261, 1999.10 6)大道賢,中川修,山之口浩,丸山暉彦:排水性トップコー ト工法のポーラス舗装体における機能向上効果,土木 学会舗装工学論文集第 5 巻,pp.31-38,2000.12 7)田中俊彦,打田久男,加藤義輝:排水性舗装に関する 調 査 ( 九 州 地 建 の 実 例 )( 下 ), 舗 装 Vol.35/ № 3,pp.15-20,2000.3 8)増山幸衛,草刈憲嗣,福井洋二,岡野博国:排水性舗装 の機能回復の現状,道路建設№581,pp.33-41,1996.1 9)根本信行,秋葉國造、植野慎也,三田俊夫:除塵性樹脂 を利用した排水性舗装の機能維持方法の検討,土木学 会第54回年次学術講演会論文集,pp.352-353,1999.6 10)矢野安賞,小林茂男,光安正純:高圧洗浄による機 能回復後排水性トップコート工法の適用例,第 23 回 日本道路会議一般論文集(C),pp.356-357,1999.10 11)植木憲二:塗料の選び方・使い方〔改訂2版〕,日 本規格協会,pp.73-87,1998.2 12)近藤保:界面化学第 3 版,三共出版,pp.63-67,1992.3 13)浅見高:プラスチック材料講座アクリル樹脂,日刊 工業新聞社,pp.24,1970 14) 井本稔: 表面張力の 理解の た め に , 高分子刊行 会,pp.73-93,1993.6 15)帆苅浩三:排水性舗装の透水特性と定水位透水試 験方法,ポーラスアスファルト研究会第2回研究発表会試料 Ⅲ-1,1996.3 16)大道賢,今井寿男,齊藤丈司:排水性トップコート 工法の空隙詰まり抑制効果とその測定方法,第 24 回 日本道路会議一般論文集(C),pp.188-189,2001.10 17)Bochovevan,Ir,G.G:ASPHALT(TWO-LAYERED)-OPTIMISI NG,2nd E&E congress Barcelona-2000, Proc.0229.uk,2000

18)井上賢志:アスファルト舗装の構造およびその施工方 法,特開平 6-4961,1994 19) 井上賢志:排水性舗装の施工方法およびその構造, 特願平 10-117757,1998 20)北川和男,島村哲朗,松田嘉宗,大道賢,山之口浩: フェノール樹脂リサイクルから得られるエポキシ 樹 脂の排水性トップコートへの利用,第 56 回土木 学会年次学術講演会,2001.10 21)斉藤丈司,帆苅浩三,山之口浩:光触媒を利用した 排水性トップコート工法の開発,第 24 回日本道路会 議一般論文集,2001.10

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The study on characteristic on voids blocking of topcoat for

porous asphalt

Masaru OHMICHI・Masazumi MITUYASU

Hiroshi YAMANOKUTI・Teruhiko MARUYAMA

In the previous study on the effect on improving water permeability and restraint of voids blocking of topcoat for porous asphalt, it was found that depend on the condition for the spray application of resin, there are oppositely some possibility to lead to accelerate voids blocking. In this study, in addition to wetting properties between the resin applied and water (surface tension against water, γsl), adhesional wetting properties (work load of water, Wa, etc.) between the resin and asphalt mixes surface during application were discussed, and the mechanism of the voids blocking during application and its recovery performance were investigated, and appropriate application methods were suggested.

参照

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