• 検索結果がありません。

内生的技術進歩下での段階的教育選択と経済成長

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "内生的技術進歩下での段階的教育選択と経済成長"

Copied!
33
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

著者 四谷 晃一

雑誌名 經濟學論叢

巻 61

号 3

ページ 533‑563

発行年 2010‑01‑20

権利 同志社大學經濟學會

URL http://doi.org/10.14988/pa.2017.0000012507

(2)

【論 説】

内生的技術進歩下での段階的教育選択と 経済成長

四 谷 晃 一  

1 は じ め に

 教育の形態は多様であり,形成される技能や知識もまたその形態によって異な る.近年の経済成長理論の文脈では,それらを一般的な学校教育と職業訓練や職場 経験といった形態とに二分し,それぞれがマクロ経済に及ぼす影響を分析すると いう方法が採られることが多い.その際にカギとなるのは,学校教育から得られ る知識の方が一般性,汎用性の面で相対的に優れているという,Nelson and Phelps

(1966),Schultz (1975)に依拠する考え方である.この考え方に沿って,知識または

技能を分類し,個人のそれぞれの知識に対する投資行動とマクロ経済環境との相 互依存関係に着目することで,経済成長に関連する諸問題に理論的に接近するこ とができるからである.たとえば,学歴間と学歴内での所得格差の拡大について

分析したGould et al. (2001),一般目的技術の浸透メカニズムを説明したHelpman and

Rangel (1999),専門職教育と普通教育に対する公的補助政策と経済成長の関係につ

いて分析したKrueger and Kumar (2004),労働環境の突然の変化により企業特殊的技 能が陳腐化するリスクに焦点を当てたMaki et al. (2005),経済成長率と教育水準との 間に負の相関関係が生じ得ることを示したYotsuya (2002)などがその例である1)

1) 労働者の技能を他の基準で分類した理論研究も多くある.それらのほとんどは技能を特定 の生産技術や生産設備と結び付けることで差別化したもので,一般性に長けた技能が果たす 役割については捨象されている.新技術の開発,普及の周期性について分析したJovanovic and Nyarko (1996)のビンテージモデルやRedding (2002),不平等の変遷について分析したCaselli (1999),Violante (2002)などが例として挙げられる.

(3)

 その一方で,こうした分類では,段階的構造をもつ学校教育の役割を一元 的に捉えるか,または,(暗に)ある特定の教育段階が果たす役割のみに注目 するといった簡略化がなされる場合が多い.しかしながら,広範な基礎学力 の習得に多くの時間が割かれる小,中学校などの初等中等教育と,それらを 前提として高度で専門的な知識を提供する大学,大学院といった高等教育で は,マクロ経済効果の波及経路は異なったものになると考えられるだろう.

また,経済発展の度合いなどによってそれぞれの教育段階を拡充した場合の 効果も変化するだろう2).これらの点を明らかにし,限られた教育資源を各教 育課程に適切に配分することは重要な政策課題の一つでもある.したがって,

各教育段階がどのように作用し合い経済成長に影響を及ぼしているのかを理 論的に探ることは一定の重要性をもつといえる.

 こうした問題意識に基づき,本稿では,初等中等教育と高等教育の二段階 の教育課程が存在する内生的成長モデルを構築し,各教育課程が提供する技 能を差別化することで,個人の教育水準選択と経済成長との関係について分 析する3).技能の差別化については,教育が技術変化に対する適応能力と新技 術や新製品を生み出す創造的な能力を高める点を強調した前述のNelson and

Phelps (1966),Schultz (1975)に準拠する.つまり,より高い教育課程を修了す

るほど新技術に対する適応能力,開発能力が高まると考える.具体的には,

個人は初等中等教育を修了することで技術進歩に適応可能となり,さらに高 等教育を修了することで自らR&D活動を行い新技術を開発する能力を獲得で きると想定する.また,経済成長については,Grossman and Helpman (1991)

Aghion and Howitt (1992)に倣い,独占レントの獲得を目的とした個人のR&D

活動がそのエンジンとなる状況を想定する.R&Dによってより優れた技術を 開発した場合,個人には一定期間その技術を独占的に使用する権利が与えら

2) こうした点については,Mankiw et al. (1992),Benhabib and Spiegel (1994)といった人的資本 と経済成長に関する先駆的な実証研究と,Barro and Lee (1994),Pritchett (2001),Temple (2001) など,それに続く多くの実証研究から示唆に富むさまざまな結果が得られている.

3) ただし,職場での訓練や経験が経済成長に果たす役割についての検討は捨象される.

(4)

れる.これにより,個人にとって高等教育を修了しR&Dを行う誘因が生まれ ることになる.

 モデルでは,独占レントの大きさに依存してどれだけの個人が新技術の開 発能力を身につけR&Dを行うかが決まる.そして,独占レントは新技術を用 いた生産体系に適応可能な労働力が豊富であるほど大きくなる.つまり,初 等中等教育を修了した労働者が多いほど,高等教育修了者がR&Dを行う誘 因が高まる.この意味で,初等中等教育の拡大は間接的に経済成長を促す役 割を果たすことになる.一方,どれだけの個人が初等中等教育を受けるかは,

学齢期間中に起こる技術進歩の規模に依存して決まる.労働年齢に達した際 に優れた技術が生まれていたとしても,技術進歩への適応能力を獲得してい なければその技術を用いる部門で働く機会が失われるからである4).したがっ て,各期の技術進歩率(高等教育を修了しR&Dを行う者の数)の間には,個人の 初等中等教育に対する投資行動を通じて補完関係が生じることになる.

 この補完関係により,均衡における初等中等教育就学率と技術進歩率は時 間とともに上昇する.それにともない経済も成長するが,その過程は次の二つ の異なる段階から成ることが示される.まず,初等中等教育就学率が低い成 長の初期段階では,高等教育修了者のうち一部しかR&Dに参入せず,残りの 者は技術進歩に直接貢献する能力を得たにもかかわらず既存の技術部門に労 働者として残留することを選択する.また,高等教育の就学率自体も低水準 のまま上昇しない.これに対し,初等中等教育がある程度発達した後は,高等 教育修了者は全員R&Dを行うことを選択し,かつ高等教育の就学率も時間と ともに上昇していく.このような成長局面の変化が生じる背景には,学習能力 が高く教育コストを低く抑えられるため,R&Dを行うか否かに関係なく高等 教育を修了することを選択する個人の存在がある.R&Dの成功から得られる 独占レントが小さい局面では,こうした個人のうち一部が既存の技術部門に労

4) 教育を受け一般的な知識を身に付けない限り新技術を使用できないという意味では,ここで 考える技術進歩はGalor and Moav (2000),Gould et al. (2001)などで取り上げられている技能偏 向型技術進歩と共通の性質をもつといえる.

(5)

働者として残留することになる.そして,初等中等教育の拡大にともなう技術 進歩率の上昇は,彼らがR&Dを行うことへ選択を変更することによりもたら される.したがってこの局面で高等教育の拡大は起こらない.一方,独占レン トが十分大きくこうした個人が全員R&Dに参入している局面では,初等中等 教育の拡大にともないR&Dへの追加的参入が促される.このため,新技術の 開発能力を得る目的で追加的な高等教育就学者が現れることになるのである.

 経済が成長過程で二つの異なる局面を経験することにより,均衡における 動学システムは非凸となる可能性がある.実際,本稿のモデルでは,この理 由により上述の両方の成長局面に局所的に安定な定常状態が同時に存在し得 ることになる.したがって,初期条件によっては,経済は成長の初期段階,

すなわち初等中等教育と高等教育の就学率,および技術進歩率が低い状態で 停滞し続ける「経済発展の罠」に陥る可能性がある.その状況では,高等教 育修了者の一部は,技術進歩に直接貢献し得る能力を身につけながらそれを 必要としない職業を選んでいる状態にある.この意味において,経済成長の 観点から人的資源の配分に無駄が生じることになる.

 以上と類似した帰結は関連するいくつかの研究からも得られている.たと えば,R&Dと教育の補完性により経済発展の罠が生じることを示したものに

はRedding (1996)がある.ただし,彼のモデルでは教育は一元的に捉えられて

おり,異なる段階の教育がどう作用し合い成長に影響を及ぼすかについては 分析されていない.人的資源の非効率な配分が低成長の要因となる状況に注 目した研究にはMurphy et al. (1991),Yotsuya (2002)などがあるが,これらも手 法,目的において本稿と異なる.Murphy et al.は個人の職業選択に焦点を当 てる代わりに教育水準を外生変数として扱っている.また,Yotsuyaでは教育 水準と経済成長率の間に負の関係が生じる状況に分析の主眼がおかれている.

 以下,第2節でモデルを提示し,第3節で経済の一般均衡を導出する.そ して,経済の成長段階に応じて均衡が二つのタイプに分類されることを示す.

第4節では均衡動学分析を行い,均衡のタイプの変化によって経済発展の罠

(6)

が生じ得ることを示す.第5節は結論である.

2 モ デ ル 2. 1 基本設定

 2期間生きる個人からなる世代重複経済を考える.各世代において個人は

区間[0, 1]に連続的に存在するものとし,人口成長は考えない.また個人の初

期保有は時間1のみである.各世代が生産活動を行うのは第2期のみで,第 1期は教育と余暇に充てられる.いま,t期に第2期を過ごす世代を世代tと 呼ぶことにすれば,世代tの個人はt−1期に時間1を教育と余暇とに振り分け,

余暇から効用を得る.t期には,すべての時間を生産活動に費やし,得られた 所得を消費に充てることで効用を得る.世代tの個人の生涯効用V

    V=xt−1ct (1)  

で与えられる.xは余暇時間,cは消費であり,下付きの文字は期を表す5)

2. 2 教育投資の効果

 本モデルには初等中等教育と高等教育の2段階の教育過程が存在しており,

各世代の個人は第1期の期首に,どの段階までの教育を受けるか選択せねば ならない.ただし,各教育課程を修了するのに要する時間は個人の生まれもっ た学習能力に依存して異なる.ここでは,個人は区間[0, 1]内に先天的な学 習能力の低い順に一様に分布しているとし,能力a[0, 1]を持つ個人が一つ の教育課程を修了するにはγ(a)だけの時間が必要であると仮定する.つまり,

能力がaの個人が初等中等教育を修了するにはγ(a)の教育時間が必要であり,

さらに高等教育まで修了する場合には2γ(a)の時間が必要であるとする.た

だしγ(.)はγ′(.)<0およびγ″(.) ≥ 0を満たす.つまり,能力が高い個人ほど

各教育過程をより短時間で修了でき,また能力の上昇にしたがって修了に要

5) この効用関数の定式化はやや一般性に欠けると言わざるを得ない.ただし,道程は若干煩雑 となるものの,本モデルの主要な帰結はより一般的な効用関数V=lnxt−1+lnctの下でも導出す ることができる.

(7)

する時間差は小さくなるとする.さらに,関数γ(.)は     2γ(0)<1,  γ(1)>0

を満たすと仮定する.左の不等式は,能力によらずすべての個人が第1期内 に高等教育まで修了できることを保証するものであり,右の不等式は能力が 高い個人がコスト無しで教育課程を修了する可能性を排除するものである6).  教育を受けることで個人が得られる能力は二つある.既存技術に対する労 働生産性の上昇と,技術進歩に対する適応能力および新技術の開発能力の獲 得である.ただしこれらの能力をどの程度獲得できるかは修了した教育課程 により異なる.既存技術に対する労働生産性については,教育を受けない場 合には任意の既存技術に対して労働生産性は1であり,初等中等教育を修了 した場合にはqlへ,また高等教育を修了した場合にはqhへ上昇するとする (1<ql<qh).

 次に,新技術に対する適応能力および開発能力についてであるが,次節で 述べるように,この経済では消費財の生産に加え新技術の開発を目的とした

R&D活動が各期の期間中に一部の個人によって行われる.第j期の期間中に

開発された生産技術をAjで表すことにすれば,世代tの出生時であるt−1期 の期首には{A0, A1, … , At−2}だけの生産技術が存在しており,加えて第1期

(t−1期)中と第2期(t期)中にもそれぞれAt−1,Atという新しい技術が開発 される.こうした環境に対する各教育課程修了者の適応能力は次のとおりで ある.まず,教育を受けない場合,世代tの個人は新技術に対する適応能力 を持たず,出生時にすでに存在する技術{A0, A1, … , At−2}を労働生産性1で 使用することしかできない.つまり,t−1期中とt期中に開発される新技術 に対する労働生産性は0である.これに対し,初等中等教育を修了すれば新 技術に適応可能となり,t−1期およびt期中に開発されるAt−1,Atも既存技 術と同様にqlの生産性で使用できるとする.ただし彼ら自身がR&D活動に

6) 関数γ(.)は各教育課程における教育の質を反映していると解釈できるだろう.ここでは単純

に同一の関数を用いているが,各教育段階で投入される物的,人的資源の質や量の違いなど,様々 な要因により関数γ(.)の形状は異なったものになると考えられる.

(8)

携わる能力は得られない.最後に,高等教育を修了した場合には,新技術に 対する適応能力と開発能力の両方が得られるとする.つまり,At−1,Atを含 む任意の技術をqhの生産性で使用できることに加え,彼ら自身が新技術の開 発を目的としたR&D活動を行うこともできるとする.

2. 3 消費財生産と技術進歩

 消費財はR&D活動によって生まれた任意の生産技術と労働を使用して生産 される.どの生産技術を用いるかによらず生産される財は同質で,競争市場 で取引されるものとし,価格を1で基準化する.また,各期の生産は二つの 部分期間に分けて行われる.前半(部分期間1)の長さは1−λ,後半(部分期間2)

の長さはλである(0<λ<1).部分期間1ではその期の期首までに開発され た生産技術を用いて生産が行われる一方,一部の個人が新技術の開発を目的

としてR&Dを行う.そして,部分期間2には部分期間1のR&Dの結果生ま

れた新技術を含めた任意の技術を用いて消費財生産が行われる.よって,各 部分期間の総生産量をそれぞれYt, 1Yt, 2で表せば,t期の総生産量は

    YtYt, 1Yt, 2 ,ただし,Yt, 1=∑

j=0

t−1AjHt, 1j , Yt, 2=∑

j=0

t AjHt, 2j (2)  

で与えられる.HjAj部門に投入される効率単位当たり労働量(=労働時間

×労働生産性)である.(2)より,Aj部門で働いた場合,効率労働当たりでAj の賃金が得られることになる.

 すでに述べたように,消費財生産の一方,各期の部分期間1には新技術の開 発を目的としたR&D活動が行われる.ただし前節での想定よりR&Dを行え るのは高等教育修了者のみである.つまり,t期の部分期間1のR&Dは,世 代tのうちt−1期に高等教育を修了し,かつt期にR&Dを行うことを選択し た者によって行われる.以下この選択を行った者の数をNrtで表すこととする.

Ntrの各メンバーが行うR&Dに関しては次の二つのスピルオーバーを想定 する.一つ目は新技術の開発者に与えられるパテントの期間についてである.

新技術Atの開発者は部分期間2の間Atの使用に関する独占権を得ることが

(9)

できるが,部分期間2(t期)の期末にAtは経済全体にスピルオーバーし,パ テントは消滅するとする.したがって,各期の部分期間2には独占部門が存 在することになるが,部分期間1の消費財生産はすべての技術部門で必ず競 争的となる.もう一つは,Romer (1990)やGrossman and Helpman (1991, Ch.3) などで想定されている,R&D部門内での知識のスピルオーバーである.すな わち,R&Dの生産性はR&Dへの参入者の増加とともに上昇するものとし,

本モデルでは次のように定式化する.

    gt−1At

At−1−1=θNrt  (0<θ<1) (3)  

つまり,R&Dによってもたらされる新技術の技術進歩率gt−1は,R&Dを行っ

た者の数Ntrに比例するとする7).ただし,Ntrのメンバーのうち新技術Atの 使用に関する独占権を得ることができるのは一人のみであるとし,誰がその 権利を得るかは無作為に決定されるものとする8)

2. 4 個人の行動

 世代tの個人は生涯効用(1)を最大化するようt−1期の期首に教育水準を 選択し,t期の各部分期間の期首にそれぞれの部分期間中どの技術部門で働く か(または自らR&Dを行うか)を選択する.個人の取り得る選択はt−1期に行 う教育水準の選択に応じて次の4つに絞ることができる.

 まず,t−1期に教育を受けないことを選択した場合には,t期に使用できる

技術は{A0, A1, … , At−2}に限られる.Aj部門で働いた場合の効率労働当たり

賃金はAjだから,t期を通してAt−2部門で働き(1−λ)At−2+λAt−2At−2を 得ることが最良の選択であることは明らかである.したがって,教育を受け

7) Romer (1990),Grossman and Helpman (1991, Ch.3)では,R&Dへの参入者の増加とともに参 入費用が減少することによって表現されている.

8) 本モデルでも,Grossman and Helpman (1991),Aghion and Howitt (1992)と同様,R&Dの成果 は不確実であると想定しても問題はない.その場合には,(3)の代わりにR&Dの成功確率を参 入者の増加関数として定式化することで,主要な帰結はすべて導出できる.また,彼らのモデ ルでは企業家が労働者と明確に区別されているのに対して,本モデルでは各々の選択によって 個人が企業家と労働者に分割されるという点で異なる.

(10)

ない場合の生涯効用Vuは下式で与えられる.

    Vu=1×At−2=At−2 (4)  

 初等中等教育を修了することを選んだ場合の技術選択はこれよりもやや複 雑である.t−1期中に(世代t−1のR&Dによって)生まれた新技術At−1は,

スピルオーバーによりt期には競争的に使用される.初等中等教育修了者は At−1に適応可能だから,彼らは部分期間1の間At−1部門で働きAt−1(1−λ)ql の賃金を得る.次に,t期の部分期間2には世代tのR&Dによってさらに新 しい技術Atを独占的に使用する部門が生まれている.よって,個人は部分期 間1と同じAt−1部門に留まるか独占部門に移るかを選択せねばならない.独 占部門に移る方が得策となるのはAt−1部門に留まる場合と同等以上の賃金が 得られる場合である.ここでは簡単化のため,独占部門はAt−1部門に留まる 場合とちょうど同じ賃金であるAt−1λqlで彼らを雇用することができると仮 定する.したがって,部分期間2の部門選択に依らず,初等中等教育修了者 がt期に得る賃金はAt−1(1−λ)qlAt−1λqlAt−1qlとなる.これと,(3)よ りAt−1=(θNrt−1+1)At−2であることから,能力aの個人が初等中等教育を修 了した場合に得る生涯効用Vlは下式で与えられる.

    Vl(a, Nt−1r )=(1−γ(a))At−1ql=(1−γ(a))(θNt−1r +1)At−2ql (5)  

 最後に,第1期(t−1期)に高等教育を修了することを選択した場合には,第 2期(t期)にも労働者として働くかR&Dを行うかという選択に直面する.労働 者になることを選んだ場合の行動パターンは初等中等教育修了者と同様である.

すなわち,部分期間1にはAt−1(1−λ)qhの賃金を得る.また,部分期間2には At−1部門に留まるか独占部門に移るか選択せねばならないが,いずれにせよ得 られる賃金はAt−1λqhとなる.したがって,高等教育を修了しR&Dを行わない ことを選択した場合の能力aの個人の生涯効用Vhは下式で与えられる.

    Vh(a, Nt−1r )=(1−2γ(a))At−1qh=(1−2γ(a))(θNt−1r +1)At−2qh (6)  

 一方,R&Dを行うことを選択した場合には部分期間1がその活動に充てら れる.部分期間2には,1 /Ntrの確率で新技術Atを独占的に使用し消費財を

(11)

生産することで独占利潤πを得ることができる.新技術の独占使用権を得た 者が消費財生産を行うにあたって雇用できるのは,世代tのうち新技術に適 応可能な人材,つまり初等中等教育修了者と高等教育を修了し労働者となる ことを選んだ者である.これらの労働者にはAt−1部門に留まった場合と同額 の賃金を支払えばよいから,πは

    π=At[λqlNtl+λqhNth]−At−1qlNtl+λqhNth]=At−1gt−1λ(qlNtl+qhNth)        =(θNt−1r +1)At−2θNtrλ(qlNtlqhNht)

となる.ただしNtlは世代tの初等中等教育修了者数であり,Nhtは高等教育

を修了しR&Dを行わない者の数である9).よって,能力aの個人がR&Dを

行うことを選択した場合の生涯(期待)効用Vrは下式により与えられる.

    Vr(a, Nt−1r )= 1

Ntr(1−2γ(a))π=(1−2γ(a))(θNt−1r +1)At−2θλ(qlNtl+qhNth)(7)  

 結局,世代tの個人は第1期中の技術進歩率θNt−1r を所与の下で,自らの 学習能力に応じて以上の4つのうちで最も望ましいものを選ぶ.教育水準選択 は第1期の期首に行われるから,t−1期の期首にNtu,NtlおよびNht+Ntrが決 まる.Nutは世代tのうち教育を受けないことを選んだ者の数であり,NutNtl

+Nht+Ntr=1である.そして,t期の期首に,高等教育修了者がこれらも既知

の下でR&Dを行うか否かを選択した結果,NtrNhtが決定されることになる.

3 一 般 均 衡 3. 1 部分問題

 世代tの各個人にとって4つの選択のうちどれが最適となるかは,自らの学 習能力at−1期の技術進歩率θNt−1r など様々な要素に依存する.とくに,

Vu, Vl(a, Nt−1r ), Vh(a, Nt−1r )が同世代の行動と独立に決まるのに対し,独占利潤 πがNtlNhtの増加関数となることから,Vr(a, Nt−1r )は同世代の行動にも依

9) 生産関数の効率労働に関する線形性より,独占利潤 π は新技術に適応可能な者すべてを雇用 することで最大化される.また,同じく生産関数の効率労働に関する線形性と生産技術のスピ ルオーバーの仮定より,独占部門以外では消費財は各個人によって自家生産,自家消費される と想定を単純化しても話は変わらない.

(12)

存する.そこで,本節ではまずR&Dを行うという選択肢を排除した部分問題     max {Vu, Vl(a, Nt−1r ), Vh(a, Nt−1r )}

を解くことで最大化問題を二者択一の問題に簡略化する.その後,次節で各 個人の最適選択と均衡における人口配分を導出する.

 第 1 図では,各学習能力の個人が,教育を受けないこと,初等中等教育を 受けること,高等教育を受け労働者として働くことのそれぞれを選択した場 合に得る効用が(4),(5),(6)をもとに描かれている.(4)よりVuは学習能力 に依存しないのに対し,(5),(6)よりVl(a, Nt−1r )とVh(a, Nt−1r )は学習能力に 関して単調増加的であり,∂Vl(a, Nt−1r ) /∂a<∂Vh(a, Nt−1r ) /∂aが成立する.し たがって,高等教育を受けて労働者となることと初等中等教育を受けること

第 1 図

(13)

が無差別となる能力,および教育を受けないことと初等中等教育を受けるこ とが無差別となる能力の一意的存在が保証される.それぞれをa

¯で表す こととすれば,(4),(5),(6)よりa

¯は     a¯:γ(a¯)=qh−ql

2qh−ql (8)  

    a

¯(Nt−1r ):γ(a

¯)=1− 1

Nt−1r +1)ql (9)  

で定義され,次の補題が成立する.

補題 1 パラメーターが以下の条件を満たす場合a(0, 1)内に一意に存在 し,a[0, a¯)ではVl(a, Nt−1r )>Vh(a, Nt−1r )が,a(a¯, 1]ではVl(a, Nt−1r )

<Vh(a, Nt−1r )が成立する.

       

γ(1)< qh−ql

2qh−ql<γ(0) (10)  

    一方,以下の二つの条件が満たされる場合,a

¯(Nt−1r )はNt−1r によらず a(0, a¯)内に一意に存在し,a[0, a

¯(Nt−1r ))ではVu>Vl(a, (Nt−1r )が,

a(a

¯(Nt−1r ), aa¯]ではVuVl(a, Nt−1r )が成立する.またa

¯(Nt−1r )はNt−1r に関する減少関数となる.

       γ(0)>1 1

(θ+1)ql (11)  

        qhql >1

2qh−ql (12)  

 証明 (5)(6), より,(10)が満たされる場合Nt−1r に依らずVl(0, Nt−1r )>Vh(0, Nt−1r ) かつVl(1, Nt−1r )<Vh(1, Nt−1r )が成立し,(0, 1)が保証される.また,

0<∂Vl(a, Nt−1r ) /∂Nt−1r であるが,(4),(5)より(11)の下ではVu>Vl(0, 1) が成立し,(4)(5), ,(8)より(12)の下ではVuVl(aa¯, 0)が成立する.よっ て,(11),(12)が満たされる場合にはNt−1r に依らずa

¯(Nt−1r )(0, a¯)が 保証される.残りは上の議論と,(9)より

       a

¯′(Nt−1r )= θ γ′(a

¯) (θNt−1r +1)2ql<0 (13)  

(14)

   が成立することよりしたがう.  □

 a¯がNt−1r と独立に決まるのは,初等中等教育以上を修了した者は全員新技術に 適応可能であることによる.これにより,第2期に労働者として働く限り,初等 中等教育修了者と高等教育修了者の生涯効用はt−1期の技術進歩率 θNt−1r の上 昇とともに同率で増加する.したがってNt−1r と独立に決まる.これに対し,

教育を受けない者は新技術に適応できないから,第2期の賃金はt−1期の技術 進歩率と独立に決まる.よって,t−1期の技術進歩率の上昇とともに,任意の個 人にとって教育を受けることが相対的に有利となる.すなわちa

¯(Nt−1r )はt−1期 のR&DのサイズNt−1r の増加とともに低下する.補題1より,(10),(11),(12)の 下では任意の0 ≤Nt−1r <1で0<a

¯(Nt−1r )<a¯<1が保証されるから,部分問題の

解については次の補題が成立する.

補題 2  (10),(11),(12)の下では,部分問題の解として,a[0, a

¯(Nt−1r ))の個 人はVu,すなわち教育を受けないことを選択し,a[a

¯(Nt−1r ), aa¯)の個

人はVl(a, Nt−1r ),すなわち初等中等教育を受けることを選択する.そ

して,a[aa¯, 1]の個人はVh(a, Nt−1r ),すなわち高等教育を受け労働者と

なることを選択する.

  証明 上の議論より明らかである.  □

 補題2より,世代tの個人の効用最大化問題は二者択一の問題へと簡略化 される.つまり,a[0, a

¯(Nt−1r ))の個人にとっては

    max {Vu, Vr(a, Nt−1r )} (14)  

が,また,a[a

¯(Nt−1r ), aa¯)の個人にとっては以下が解くべき問題となる.

    max {Vl(a, Nt−1r ), Vr(a, Nt−1r )} (15)  

ただし選択のタイミングに注意が必要である.第2期にR&Dを行うには第1 期に高等教育を修了しておく必要があるから,これらの個人は実質的には第1 期の期首にR&Dを行うか否かの選択をせねばならない.しかしながら,π は 事後的に決まるNtlNhtのサイズに依存するため,その時点でVr(a, Nt−1r )は未 定である.したがってa[0, a

¯(Nt−1r ))とa[a

¯(Nt−1r ), a¯)の個人は,同世代の個人

(15)

の行動を予想した上で,それぞれ(14)と(15)を第1期の期首に解くことになる.

 これに対し,a[aa¯, 1]の個人はR&Dを行うか否かにかかわらず高等教育を 受けることを選ぶから,彼らがR&Dに関する意思決定を行うのは第2期の期 首である.(6),(7)より,効用最大化問題は

    max {qh, θλ(qlNtlqhNht)} (16)  

と定式化される.つまり,第2期の期首にR&Dを行う場合と労働者として 働く場合の所得とを比較し,より多い方を選択することが最適となる.その 時点では世代tの教育選択は終了しているから,a[aa¯, 1]の個人は,Nut,Ntl, およびNhtNtrを既知の下で(16)を解くことになる.

3. 2 合理的期待均衡

 t期の合理的期待均衡は,世代tの個人の人口配分(各個人の選択)に対する 対称的期待が自己実現する状況であり,(14),(15),(16)を後ろ向きに解くこ とで導出される.

 第2期の期首に(16)を解くa[a¯, 1]の個人にとっては,R&Dへの参入,退 出が自由であるとすれば,R&Dを行う方が高い所得を得られる限りNtrの一 員になることが最適となる.しかしながら,彼らのR&Dへの参入にともない Nhtは減少し,R&Dから得られる所得は減少していく.よって,彼らの参入

はR&Dを行う場合と労働者となる場合の所得が均等化する

    qh=θλ(qlNtl+qhNht) (17)  

が成立する状況で止まることになる.つまり,R&Dへの自由参入の結果,

Vh(a, Nt−1r )とVr(a, Nt−1r )が無差別となるようa[a¯, 1]の個人はNtrNhtに振 り分けられる.補題2より,Nhtの一員になり得るのはa[a¯, 1]の個人のみだ から,(17)を満たすNhtが彼らのうち労働者として働くことを選択する者の数 であり,Ntrは1−Nhtで与えられる.(17)より,NhtNtlと負に相関するこ とがわかるが,これは初等中等教育修了者の増加とともに独占利潤が増加す

るためa[a¯, 1]の個人のR&Dへの参入が促されることによる.とくに,Ntl

(16)

    qh≤θλqlNtl (18)  

を満たすほど大きい場合には,a[a¯, 1]の個人が全員R&Dへ参入したとして

もR&Dを行うことで労働者となる場合に得る賃金以上の所得を得ることがで

きる.よって彼らは全員R&Dを行うことを選び,Nht=0となる.逆に,

    qh≥θλ[qlNtlqh(1−a¯)] (19)  

となるほどNtlが小さい場合は,彼らが全員労働者となったとしてもR&Dか ら得られる所得は労働者となる場合の賃金以下となる.よって彼らがR&Dを 行うことはなく,Nht=1−a¯となる.

 次に,a[0, a

¯(Nt−1r ))とa[a

¯(Nt−1r ), a¯)の個人は,a[a¯, 1]の個人が第2期 に上のように行動することを前提として,第1期にそれぞれ(14),(15)を解く.

補題2より,Ntlの一員になり得るのはa[a

¯(Nt−1r ), a¯)の個人のみ,すなわち Ntla¯−a

¯(Nt−1r )であるが,彼らの最適選択はNtl=a¯−a

¯(Nt−1r )の下で(18)が 成立するか否か,つまり

    qh≤θλql[−a

¯(Nt−1r )] (20)  

が成立するか否かによって二種類に分類されることになる.

 (20)が成立しない状況では,任意の0≤Ntla¯−a

¯(Nt−1r )の下で独占利潤は

a[a¯, 1]の個人全員をR&Dに吸収するほど大きくなり得ない.よってa[a¯, 1]

の個人は(17)にしたがってNtrNthに振り分けられ,結果Vh(a, Nt−1r )と Vr(a, Nt−1r )は均等化する.とくにNtla

¯(Nt−1r )の下で(19)が成立する場合 には,R&Dから得る所得が労働者となる場合の賃金を上回ることはないから,

Nht=1−かつVh(a, Nt−1r )≥Vr(a, Nt−1r )となる.いずれにしてもVr(a, Nt−1r )は Vh(a, Nt−1r )以下となるから,(14)の解はVu,(15)の解はVl(a, Nt−1r )となり,

a[0, a

¯(Nt−1r ))の個人にとっては教育を受けないことが,またa[a

¯(Nt−1r ), a¯)の 個人にとっては初等中等教育のみ受けることが最適選択となる.したがって,

均衡における人口配分は次のように決まる.

命題 1  (10),(11),(12)の下で(20)が成立しない場合,t期の均衡人口配分は 以下のように決まる.

(17)

       Nut(Nt−1r )=a

¯(Nt−1r )        Ntl(Nt−1r )=a

¯(Nt−1r )

(21)  

       Nht(Nt−1r )=1 θλ−ql

qh[a¯−a

¯(Nt−1r )]

       Ntr(Nt−1r )=(1−a¯)−Nht(Nt−1r )     ただし,Ntl=a¯−a

¯(Nt−1r )の下で(19)が成立する場合にはNht=1−a¯,

Ntr=0となる.

  証明 上の議論より明らかである(第 2 図参照).  □

 この均衡の特徴は,新技術を開発できるa[a¯, 1]の個人のうち一部しか 第 2 図

(18)

R&Dを行わない点である.これは初等中等教育の修了者が少ないことによる.

新技術を開発しても,労働者がその技術に適応できるだけの教育を受けてい なければ十分な独占利潤は得られない.(20)が成立しない状況は,a[a¯, 1]の 個人が全員R&Dを行うには新技術に適応可能な労働者が過少であることを意 味している.よって,a[a¯, 1]の個人のうち一部は,新技術の開発能力を持 つにもかかわらず労働者として働くことを選ぶことになる.

 これに対し,(20)が成立する場合は,仮にa[a

¯(Nt−1r ), a¯)の個人が全員初 等中等教育のみ受けることを選ぶならば,a[a¯, 1]の個人が全員R&Dを行っ たとしてもなおR&Dから得られる所得が労働者となる場合の賃金以上とな る.つまりNtl=a¯−a

¯(Nt−1r )ならばNht=0であってもVh(a, Nt−1r ) ≤Vr(a, Nt−1r ) が成立する.したがって,aa

¯(Nt−1r ), a¯)のうち十分能力の高い個人にとって

Vl(a, Nt−1r ) ≤Vr(a, Nt−1r ),すなわち高等教育を受けR&Dを行うことが最 適選択となり,彼らの中からR&Dへの新たな参入者が生まれることになる.

ただし,新たな参入にともないNtlの減少を通じてR&Dを行う場合の所得は 減少するから,Vl(a, Nt−1r )=Vr(a, Nt−1r )となった時点で参入は止まり,各選 択者の人口配分が決まる.t期の均衡はこの参入者数に対する期待が自己実現 する状況として定義される.

命題 2 (10),(11),(12)の下で(20)が成立する場合,Ntl=â−a

¯(Nt−1r ),Nht=0 の下でVl(â, Nt−1r )=Vr(â, Nt−1r )を満たす能力水準â,つまり

       â(Nt−1r ): 1−γ(â)

1−2γ(â)=θλ[â−a

¯(Nt−1r )] (22)  

    がa

¯(Nrt−1)<a≤に一意に存在し,t期の均衡人口配分は以下のように 決まる.

        Nut(Nrt−1)=a

¯(Nt−1r )         Ntl(Nt−1r )=â(Nt−1r )−a

¯(Nt−1r )

(23)  

        Nht(Nt−1r )=0

        Nrt(Nt−1r )=1−â(Nt−1r )

(19)

  証明 まず均衡ではNht=0となることを示す.Nht>0が実現するのは Vr(a, Nt−1r ) ≤Vh(a, Nt−1r )となる場合に限られるから,Nht>0と期待する ことはVr(a, Nt−1r )がVh(a, Nt−1r )以下になると期待することを意味する.

よってa[a

¯(Nrt−1), a¯)の個人にとってR&Dを行うことは最適となり得ず,

Ntla

¯(Nrt−1)となる.しかし,(20)が成立することより,Ntla

¯(Nt−1r )

ならばa[a¯, 1]の個人は全員R&Dを行うことを選ぶためNht=0となり,

Nht>0という期待は実現しない.よって均衡では必ずNht=0となる.次 にNht=0の下でae以上の個人がR&Dに参入すると期待する状況を 考える.この場合Vr(a, Nt−1r )はVr(a, Nt−1r )=(1−2γ(a)) (θNt−1r +1)At−2    θλql[ae−a

¯(Nt−1r )]で与えられ,aeに関して単調増加的となる.また,(20)

が強い意味で成立するならば,qh=θλql[aã−a

¯(Nt−1r )]を満たす能力水準ãa

¯(Nt−1r )<aã<a¯に一意に存在し,ae<ãではVr(a, Nt−1r )<Vh(a, Nt−1r ),

   ãaeで はVr(a, Nt−1r )>Vh(a, Nt−1r )か つ∂ Vr(a, Nt−1r ) /∂ a∂ Vh(a, Nt−1r ) /∂ aとなる.よって,ae<ãの場合にはを下回る能力の個人が

R&Dに参入することはなく,R&Dへの参入者の下限はとなる.つま

り期待aeを上回る.一方,ã≤aeの場合にはR&Dへの参入者の下限 はVr(a, Nt−1r )とVl(a, Nt−1r )が均等化する能力水準

      1−γ(a)

1−2γ(a)=θλ(ae−a

¯(Nt−1r ))

   で決まる.上式を満たす能力水準はae=ãで最大値をとり,aeの増 加とともに単調に低下するから,aeでは必ずを下回る10).以上よ り,ã<ae<a¯に(22)を満たす能力水準âが一意に存在し,Nht=0かつ aeâ(つまりNtr=1−âNtlâa

¯(Nt−1r ),Nuta

¯(Nt−1r ))という期待は自己 実現する(第 3 図参照).とくに,(20)が等号で成立するならば,ae=a¯で

10) もしãaeのあるaeにおいてVr(¯a(Nt−1r ), Nt−1r )=Vl(¯a(Nt−1r ), Nt−1r )が成立するならば,

そのaeを上回る状況ではR&Dへの参入者の下限はVr(a, Nt−1r )=Vuを満たす能力水準で決ま ることになる.ただし,この能力水準もaeの増加とともに単調に低下するから,この場合に も得られる結論は変わらない.

(20)

Vr(a, Nt−1r )=Vh(a, Nt−1r ),a

¯(Nt−1r ) ≤ae<a¯ でVr(a, Nt−1r )<Vh(a, Nt−1r )    となるから,ae=a¯だけが自己実現する.よって均衡配分はNth=0, Ntr

1−a¯,Ntl=a¯−a

¯(Nt−1r ),Nut=a

¯(Nt−1r )となる.(この場合,ではVh(a, Nt−1r )

Vl(a, Nt−1r )であるから,âとは一致する.)  □

 この均衡では,新技術に適応可能な初等中等教育修了者が十分に多いた め,新技術の開発能力を持つa[a¯, 1]の個人は全員R&Dを行うことを選択 する.また,当初は初等中等教育のみ受けることを選んでいたa[a

¯(Nt−1r ), a¯) 第 3 図

参照

関連したドキュメント

The solution is represented in explicit form in terms of the Floquet solution of the particular instance (arising in case of the vanishing of one of the four free constant

The asymptotic behavior (for increasing particle numbers) of this model is studied in the situation when the coagulation kernel grows sufficiently fast so that the phenomenon

Kilbas; Conditions of the existence of a classical solution of a Cauchy type problem for the diffusion equation with the Riemann-Liouville partial derivative, Differential Equations,

We shall see below how such Lyapunov functions are related to certain convex cones and how to exploit this relationship to derive results on common diagonal Lyapunov function (CDLF)

Then it follows immediately from a suitable version of “Hensel’s Lemma” [cf., e.g., the argument of [4], Lemma 2.1] that S may be obtained, as the notation suggests, as the m A

[Mag3] , Painlev´ e-type differential equations for the recurrence coefficients of semi- classical orthogonal polynomials, J. Zaslavsky , Asymptotic expansions of ratios of

In section 4 we use this coupling to show the uniqueness of the stationary interface, and then finish the proof of theorem 1.. Stochastic compactness for the width of the interface

Due to Kondratiev [12], one of the appropriate functional spaces for the boundary value problems of the type (1.4) are the weighted Sobolev space V β l,2.. Such spaces can be defined