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巻 頭 言

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Academic year: 2021

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巻 頭 言

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 本COEがスタートしてから二年半がすぎた。リーダー以下事務局も含めた全構成員 の努力によって、所期の目標からすれば十分とはいえないまでも、それなりの成果は 挙げてきた。三年目以降情報発信と理論化に重点を移行するという目標も、その実現 に向かって着実に一歩を踏み出しつつある。そして、このような段階に対応するため に、中間評価報告書でも明らかにしているように、研究課題の整理・統合とより柔軟 で機動的な組織への改編の方針を提起し、推進会議で承認を得た。中間評価の結果は まだ出されていないが、われわれとしては、当初の計画通り、第二段階への移行の準 備を整えたと考えている。

 この第二段階への移行に当たって、われわれが想起しなければならないことは、事 業計画の柱の一つでもあり、評価基準の一つでもあった「社会に対してどのような貢 献が期待されるか」という課題である。もちろんデータの集積、分析手法の開発、研 究成果としての論文・データベースの公開・シンポジウムの開催等による知識の共有 化等も立派な社会への貢献にちがいないが、ここではもう少し直接的な社会貢献の問 題を検討する必要があると、われわれは考えている。

 社会・人文科学の場合、自然科学の発明・発見のように目に見えやすい貢献はなか なか困難であることはいうまでもない。しかし、社会・人文科学は、その研究対象が 生活する人間に直接関わり、生活の場である「地域」そのものであることが少なくな い。したがって、その社会への貢献は、生活する人間と「地域」に対するものでなけ ればならない。われわれが、第二段階において中心的課題として設定した「新しい展 示方法の開発」と「地域における統合情報発信」という課題は、まさにそうした社会 への貢献という課題に応えようとするものである。

 安易な実用主義的「貢献」ではなく、確実な調査・研究の成果を踏まえた学問的水 準に立った展示・情報発信の実現による「貢献」は、その準備作業自体が学問活動の 重要な一環を占めることを自覚したい。ともすれば学界的功績を挙げることに関心を 向けがちな研究者として自戒の念を込めつつ、広い視野に立って市民の参加、自治体 からの協力をえつつ、新しい試みに挑戦していきたい。

橘川  俊忠

日本常民文化研究所所長・COE事務局長

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