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総合診療医専門医について―新しい専門医制度―

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Academic year: 2021

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■はじめに

早いもので総合診療の道に進んで20年目を迎えた。海 外留学を経て,総合診療のCore valueの提案1),病院総 合医のための取り組み2〜4),そして最近では小病院での 家庭医療的な取り組みの紹介5)等,長らく学会内で活動 してきた。

富山大学総合診療部を立ち上げてからは今年で10年目 を迎えるが,そろそろ今までの取り組みの成果が出始め ているところである。総合診療部の医局員は,総合内科 系(内科認定医,総合内科専門医)と家庭医療系(家庭 医療専門医)に分かれるが,卒後10年では両方の取得と 最近ではER型救急にも携わる医局員も出てきている。

特に,家庭医療の領域では富山大学総合診療部は全国的 にも進んでいる部門である。そこで,今回,プライマ

リ・ケアや家庭医療について,学会の流れや当部の取り 組みについて紹介する。

■日本プライマリ・ケア連合学会

日本プライマリ・ケア連合学会は,3つの学会(日本 プライマリ・ケア学会(1978年設立),日本家庭医療医 学 会(1986年 設 立),日 本 総 合 診 療 医 学 会(1993年 設 立))が2010年4月に合併して設立された学会である。

2013年3月31日現在で,会員数が7773名の規模の大きな 学会へと成長した。合併の目的は,類似する学会が3つ 存在したままではその役割が国民にとって不明確である という指摘を受け,国民や医療界に改めて「総合医・家 庭医の役割」を明確にし,その重要性を認識してもらう ためとされている。学会には認定医と専門医の二つがあ

総合診療医専門医について

―新しい専門医制度―

山城清二

・三浦太郎

・川渕奈三栄

・渡辺史子

・中垣内浩子

・黒岩麻衣子

小浦友行

・吉田樹一郎

・北啓一朗

・室林

・小林直子

・南 眞司

Japan Primary Care Association certified general physician

―New certified family physician―

Seiji YAMASHIRO

,Taro MIURA

,Namie KAWABUCHI

,Fumiko WATANABE

,Hiroko NAKAGAITO

, Maiko KUROIWA

,Tomoyuki KOURA

,Kiichiro YOSHIDA

,Keiichiro KITA

Osamu MUROBAYASHI

,Naoko KOBAYASHI

,Shinji MINAMI

Department of General Medicine, Toyama University Hospital

Nanto Family and Community Medical Center

Department of General Medicine, Nanto City Hospital

プライマリ・ケア領域の3学会は,2010年4月に合併し日本プライマリ・ケア連合学会になった。学 会専門医の名称は今までは家庭医療専門医であったが,今回の専門医制度の見直しにより総合診療専門 医へ変更され,基本領域の19番目の専門医に加えられた。新しい専門医制度は2015年の卒業生から適用 される。今回,専門医制度の動きと富山大学総合診療部の取り組みを紹介する。

Abstract

The Japan Primary Care Association started after three societies of primary care relatied medicine merged in april, 2010. The name of the certified family physician will be changed to the certified general practitioner, the 19

th

specialty, under the new medical specialist system in 2015.

We introduce the recent trend of the medical specialist system and our department of general medicine.

Key words : general practitioner, certified family physician, new medical specialist system

富山大学附属病院総合診療部

南砺家庭地域医療センター

南砺市民病院総合診療科

富山大医学会誌 24巻1号 2013年

68

(2)

り,本稿では専門医制度について解説する。

家庭医療専門医

学会は,専門医制度として旧家庭医療学会が作成した 後期研修プログラム(バージョン1.0)6)を踏襲し,家庭 医療専門医の名称を使用した。家庭医療専門医の到達す べき研修目標は,家庭医を特徴づける能力,家庭医が持 つ医学的知識と技術,すべての医師が備える能力,そし て教育・研究の4項目である(4項目の研修目標は更に 詳細に記載されているが,本稿では省略する)。これら の項目を研修するために,必修研修(診療所6か月,総 合的な内科6か月,小児科3か月)と選択研修(必修研 修期間以外)が必要で,最短3年間で専門医の受験資格 を取得できる。

富山大学総合診療部は,2010年4月の学会合併時にひ とつのプログラムを立ち上げた。南砺市民病院と連携し た,富山大学総合診療部−南砺市民病院 家庭医/総合 医育成―後期研修プログラム(愛称:NANTO家庭医養成 プログラム)である。この3年間で5名の医師がプログラ ムに参加し,今年初めて修了生を輩出することができた。

■専門医制度改革の概要7)

各領域の専門医はその学会が自律的に独自の方針で専 門医制度を設けて運用していた。しかし近年,専門医制 度を運用する学会が乱立し,認定基準が統一されない状 況が起こり,その結果,専門医として有すべき能力につ いて医師と患者との間に捉え方のギャップが生じる等,

患者にとって明瞭な仕組みなっていないという批判がで てきた。さらに,医師の地域偏在や診療科偏在の課題解 決も含めて,専門医制度を見直す必要に迫られたのであ る。そこで,厚生労働省は2011年度(平成23年度)に「専 門医の在り方に関する検討会」を立ち上げ,専門医制度 全体の見直しを始めた。17回もの討議を経て,2013年4 月に最終的な報告書が発表された。

その報告書では,中立的な第三者機関を設立し,その 機関が専門医の認定と養成プログラム評価・認定を統一 的に行う仕組みを導入することを提案した。また,中立 的な第三者機関を日本専門医機構(仮称)とする案が示 された(日本専門医制評価・認定機構http://www.japan- senmon-i.jp/より)。

そして,総合診療関係では,総合診療専門医の専門性 について「領域別専門医は『深さ』が特徴であるのに対 して,総合診療専門医は『扱う問題の広さと多様性』が 特徴であり,専門医の一つとして基本領域に加えるべき である」とされている。そして,総合医あるいは家庭医 と呼ばれていた名称を「総合診療医」とし,基本領域の 専門医18領域に加え,第19番目の領域として「総合診療 専門医」となった。新専門医制度は2015年の卒業生から 適用され,2017年度(平成29年度)から開始されること になった。尚,サブスペシャルティ領域では20領域の専 門医制度が認定されている。(参考1)

■総合診療専門医

新たな専門医制度導入にあたって,日本プライマリ・

ケア連合学会は新制度に対応した改訂後期研修プログラ ム(バージョン2.0)7)を作成した。そして,2015年度か ら改訂プログラムが運用できるようにした。バージョン 2.0が1.0と異なるのは,必修研修に救急3か月と内科

(専門内科)6か月が加わり,指導医の配置の強化と大 中小病院と診療所の連携の幅が広がった為である。

プログラムの一例:

(週刊医学界新聞2012.10.8池田康夫氏 どうなる?専門医制 度 より)

山城ほか:総合診療医専門医について

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(3)

富山大学総合診療部は,改訂プログラムとして富山大 学総合診療部−南砺市民病院−連携病院 総合診療医育 成―後 期 研 修 プ ロ グ ラ ム(愛 称:と や まNANTO- RENKEI総合診療医養成プログラム)を作成し,現在学 会へ申請中である。このプログラムの特徴は,大学病院

―地域の6病院―診療所の連携で運用されるもので,地 域枠・特別枠の学生のキャリアパスにも適応できるよう に調整したことである。また,地域医療で孤軍奮闘して いる病院を応援することも念頭に置いている。多くの研 修医がこのプログラムに参加できるようにこれからも内 容と質の向上に努めていくつもりである。

■おわりに

本年9月に当総合診療部では,富山県で初めてとなる 3名の家庭医療専門医(小林直子医師,渡辺史子医師,

三浦太郎医師)が誕生した。各々異なる後期研修プログ ラムを修了し,富山に集まって来た気鋭の医師たちであ る。今後は,富山の地域医療で活躍してもらうと同時に 学生や研修医の指導にも携わることになる。今回,3名 の医師には 家庭医への道 というテーマで後期研修を 振り返り,家庭医を目指した動機や後期研修を修了する までの経緯をまとめてもらった。多くの学生や研修医の 参考になることを期待する。

1)山城清二:総合診療のcore valueと活動の場。総合診療 医学

10: 5―8, 2005.

2)山城清二:病院総合医を目指す人のために。総合診療医 学

13: 109―116, 2008.

3)山城清二,山本亮,岸田直樹:鼎談病院総合医のこれか ら。JIM

21: 670―677, 2011.

4)山城清二:病院総合医セミナーの意義と課題。日本プラ イマリ・ケア連合学会誌

35―2: 130, 2012.

5)山城清二:ワークショップ14病院総合医の集い 小病院 の病院総合医の役割を考える。日本プライマリ・ケア連 合学会誌

35―4: 319―321, 2012.

6)特定非営利活動法人 日本家庭医療学会認定 後期研修 プログラム(バージョン1.0)平成18年(2006年)2月 12日.

7)丸山泉,前野哲郎,草場鉄周:新たな専門医制度導入に あたっての当学会の活動方針について。日本プライマ リ・ケア連合学会発行,2013.

(参考1)日本専門医制評価・認定機構の各種データより http://www.japan-senmon-i.jp/data/index.html

18基本領域専門医と20subspecialty領域専門医数(平成24年 8月現在)

小林直子医師,渡辺史子医師,三浦太郎医師

富山大医学会誌 24巻1号 2013年

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参照

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