未翻刻・未影印の垂
梗概を次に記す︒ ﹁小督物語﹄は︑松本隆信﹁増訂室町時代物語現存本簡明目録﹂に収められ︑﹁祇王﹂﹁横笛草子﹂﹁大原御幸の草子﹂
などと同様に﹁平家物語﹄に取材した女人説話の︑室町物語である︒
本耆は黒川真道の手による大正六年の新写本である︒その奥書を記せば︑次の通りである︒
此の小督物語は上巻はかりなり零本といへとも写しおきぬ
他日全本を得たらん時はまた参考ともならんとおもへはなり
大正六年五月黒川真道識
このように︑本耆は下巻を欠いた零本だが︑親本の所在が不明なうえに他に伝本の所在を聞かない孤本である︒また︑
未翻刻・未影印の資料であるので︑ここに紹介するものである︒ 調査報告七十一
後白河の皇子高倉帝が恋慕の思いに沈んでいたので︑中宮より桜町中納言しけのりの娘で禁中一の美人にして琴の
黒川文庫蔵﹃小督物語﹂解題・翻
刻
●
影
渡邊亜 印
紀
− 6 9 −
上手である小督という女房を送られる︒小督は冷泉の大納言みちふさが︾少将の頃相思相愛であった仲である︒みちふ
さは帝へ上がった小督への恋慕を訴えるが︑小督は退ける︒入道相国清盛は二人の婿を虜にした小督を激怒する︒そ
れを知った小督は密かに宮中を出奔する︒小督失院後の主上の悲嘆はこの上ない有様である︒入道が召使いの伺候さ
え阻止したため主上はいっそう小督追慕の情を増してゆく︒ある夜主上は宿直の弾正の大弼なか国に︑嵯峨野に隠棲
しているという小督の探索を命じる︒笛の名手であったなか国は︑小督の琴の音を標に探索の決意をする︒寮の馬を
賜ったなか国は嵯峨野を小督の爪音を求めて坊裡う︒亀山あたりでなか国は﹁想夫恋﹂の爪音に小督であることを確
信して︑琴に横笛を吹き合わせて来訪を告げる︒
︑王2このように︑﹃小督物董は内容的に︑﹁平家物語﹂諸本における灘眼督﹂證の前半部に重なる︒そして︑その本文は︑ /
読み本系諸本に比して︑語り本系諸本のそれに近い︒語り本系諸本間における﹁平家物語﹂﹁小督﹂證の比較においては︑
注3同一本文の箇所が少なくはない︒しかし︑巻の位置から生ずる異同を除いたうえで︑﹃小督物語﹂と語り本系諸本とを細
かな語句レベルの差異にも注目して比較すれば︑﹁小督物置は全体として︑譲鯲本系諸本中最も古態を有しているとい
われる屋代本よりは︑後出とみられる一方︑八坂系の本文の影響を受けているようである︒
高倉天皇が仲国に対して小督への恋慕の情を訴える場面を例にして︑一方本︑八坂本と︑﹃小督物語﹄を比較しよう︒
注5まず一方本と八坂本を以下に示す︒なお︑一方本には覚一本を使用する︒
⁝かくて八月十日あまりになりにけり︒さしもくまなき空なれど︑主上は御涙にくもりつ︑月の光もおぼろにぞ御覧
ぜられける︒や塾↑深更に及んで︑﹁人やある︑ノー﹂と召されけれども︑御いらへ申ものもなし︒弾正少弼仲国︑其
夜しも御宿直に参ヅてはるかにとをう候が︑﹁仲国﹂と御いらへ申たれば︑﹁ちかう参れ︒仰下さるべき事あり﹂︒何
− 7 0 −
七 十 一 黒 川 文 庫 蔵 『 小 督 物 語 」
次に︑覚 そこで︑二
通りである︒
おつる涙やをとなしの滝
■0日100日I日日日日9t16J■8や蚤ありて︑たんしやうの大
国これに候一と御いらへ申だ
I
南子jものJbなし︒ も︑た︑ひとりつくjく︑とおはしましける︒や︑しんかうにおよんで﹁人やある111﹂とめされけれとも︑御いらへ 事やらんとて御前ちかう参したれば︑⁝︵覚一本︶さやけき月のひかりもおほろにして御らんせられける︒ ⁝頃は八月十日余りのことなれば︑さしもくまなき空なれ共︑御泪にくもりて月の光そ朧なり︒主上﹁人やはノ︑﹂と仰けれ共︑おいらへ申者もなかりかるに︑や︑あって︑弾正の大弼仲国︑其夜しも御前にちかふ御宿直申て候らひけるが︑﹁仲国﹂とおいらへ申て参りたり︒﹁いかに仲国ちかふ参れ︑仰合すへき事あり﹂︒と仰ければ︑仲国御前ちかふそ参りたる︒:.︵八坂本︶.ころは八月十日あまりの事なれば︑さしもくまなき空なれとも主上はおもふにたえかね︑御涙にくもらせ給ひて︑ 覚一本︑八坂本と︑﹁小督物語一を比較してゆくが︑ここでは︑﹃小督物語﹂本文に傍線を付すという形式で表す︒一方本に近い本文をl︑八坂本に近い本文を︲!︲︲i︑両本に共通する本文をIによって示せば︑以下の
恋詫てひとりふせやに夜もすがら
たんしやうの大ひつ仲国︑
i
と御いらへ申たてまつる︒ そのよおりしも御とのゐにまいって︑はるかにほととをく候ひけるが︑﹁仲﹁なんちちかふまいれ︒おほせくださるべきむれあり﹂︒と仰せければ︑﹁何 ひころはしいかくわんけんさまノく〜の御ゆうらんありしかと1
11
1
!
︒§ノk〃︑〃︒︑〃ロ︑峰ととをく候ひ
Iくlllllllllll
− 7 1 −
のように︑清滞の枇暴晤
家諸本には見られない︒ 以上のことからも︑﹁小督物語﹂は︑一方︑八坂両流の本文に近いと思われるのである︒室町期以降の成立になると思われる当道系諸本をめぐっては︑﹁﹁取り合わせ本﹂とも呼ぶべき︑複数本文を寄せ集めて
注6いるものがあり︑それらは﹁平家物語﹄諸本の流布状態を考える上で重要な課題をはらむ﹂といわれる︒﹁小督物語﹂の
本文における現象は︑そのような問題を考えるうえで︑注目してよいであろう︒
以上のように﹃小督物語﹂は︑本文的に﹁平家物語﹂の影響の強い作品ではあるが︑単なる切り接ぎの物語というわけ
ではないようである︒前述の傍線のない部分は平家諸本にはないからである︒すなわち︑
恋詫てひとりふせやに夜もすがらおつる涙やをとなしの滝
のように︑清盛の枇暴によって小督を失い伺候する者もいない孤独のさなかに︑﹁主上が和歌を詠む﹂という設定は︑平
このように︑登場人物が場面に応じて詠歌するという設定において︑﹁小督物語﹂の独自性を見ることができる︒
物語中の他の詠歌をあげれば︑次のようになる︒
①高倉帝に召された小督が︑少将みちふさとの別れを悲嘆しての詠歌︒
君をわかおもふこ塗ろは大原やいつしかとのみすみやかれつ蚤
口
事やらん﹂と思ひたてまつり︑御まへちかふそ参しけり︒*八坂本︑および﹁小督物語﹂について︑私に句読点などを加えている︒ 二小督物語﹂︶
− 7 2 −
七 十 一 黒川文脚職「小督物語』
これらの和歌のうち︑②11.③11が軍家物量諸本中唱識Iその他は﹁小督物董だけのものである︒
﹁小督物語﹄ではこのように︑詠歌の設定︑およびそれに付随した本文の加筆が︑すべての登場人物の詠歌の場面で行
われており︑それが﹃小督物語﹂独自の特徴となっている︒
(7 ⑦
我恋はあひそめてこそまさりけれしかまのかちの色ならねども
②少将が︑小督への未練の思いをその局に投げ入れて託した詠歌︒
おもひかね心はそらにみちのくのちかのしほかまちかきかひなし
③②を退けられた少将が︑小督の前を退散するときの詠歌︒
1玉つさをいまは手にたにとらしとやさこそこ︑ろにおもひすつとも
2くれなゐに涙のいるも成にけりかはるは人のこ砥ろのみかは
④清盛に疎まれた小督が︑内裏から出奔するときの詠歌︒
別路の草葉をわけんたひころもたつよりかねてぬる︑袖かな
⑤小督を失い失意の高倉帝が︑南殿にて月の光に小督を思う詠歌︒
1涙さへ出にしかたをなかめつ樋心にもあらぬ月をみし我
2秋の夜の月にこ礎ろのあくかれて雲ゐに物をおもふころ哉秋の夜の月にこ騨彰
前述の高倉帝の詠歌︒
嵯峨野の小督探索を勅命された仲国が︑池にて月光をめでる詠歌︒
や力行駒にかけをならへて廣澤の池のおもてのつきそさへけし
− 7 q −0 辺
注 これらのことから︑﹃小督物語﹄には︑たとえば近世初頭成立の仮名草子﹃薄雪物語﹄へと繋がるような和歌訓蒙書的
な要素を見て取ることも︑可能であろう︒
いずれにせよ︑本文的にはほぼ﹁平家物語﹄に拠りながら︑﹃小督物語﹂は︑﹁平家物語﹂﹁小督﹂謹の単なる模倣で終
わらせることをせずに︑和歌を増補するという方法を導入することで︑物語草子としての文芸性の獲得を目指しているよ
うである︒
1各諸本が巻六に﹁小督﹂を置くことに対して︑屋代本のみ巻三に﹁小督﹂を位置づけている︒
2﹃平家物語﹂諸本における﹁冷泉隆房﹂の名を﹃小督物語﹄では﹁冷泉みちふさ﹂としている点は異なっている︒
4渥美かをる氏︑山下宏明氏など︒
5本文引用にあたっては以下のテキストを使用した︒
覚一本⁝﹁平家物語﹄︵新日本古典文学大系岩波書店︶
八坂本⁝﹁八坂本﹂︵影印︶︵山下宏明解説大学堂書店︶
6山下宏明﹃平家物語の生成﹄第二章当道系諸本の問題︵昭和五九︑明治書院︶
7典拠は滕原隆房﹁鼬訶﹄であることが先学によって明らかにされている︒
3注1
− 7 4 −
七 十 一 黒川文庫蔵『小督物語』
表紙
形態料紙
見返し外題
内題
本文
丁数奥書
印記
備考 以下に書誌を示す︒
﹁小督物語﹂︵外題︶上巻一冊︹大正六年写︺番号黒川狐
原装本文共紙︒︵二十四・三×十六・六糎︶
仮綴︵四つ穴︶︒
前表紙右上に円朱印﹁物語﹂︑初丁オに単郭長方朱印﹁黒川真道蔵書﹂︒
上巻のみの零本であり︑黒川真道による大正六年の新写本︒後ろ見返しに﹁此の小督物語は上巻はかりなり零本
といへとも/写しおきぬ他日全本を得たらん時はまた参/考ともならんとおもへはなり/大正六年五月黒川真
道識﹂とある︒ 全十五丁︒ 半葉十八字内外︒漢字仮名交じり︑読み仮名はなし︒あり︒備考参照︒ なし︒ 後ろ見返しに奥書あり︒備考参照︒表紙左肩に﹁小督物語﹂と打付で墨書 仮綴半紙︒
再 『 ー 一 イ 、 −
翻刻に際して︑以下の方針をとった︒
1本文は底本に忠実であることに務めたが︑漢字・異
体字は現行の書体に改めた︒
2底本の見せ消ちや訂正文字はそのまま残しルビで示
した︒
3底本の補入はそのまま残しIで示した︒
4底本の丁の末尾を﹂で示した︒
むかし後白川の院のわうし高くらの院と
申せしみかとは平家の大しやう大臣清盛
入道相国の御むこにておはしますいつの
ころよりかれんほの御涙におほしめししつ
ませ給ひたるを巾なくさめまいらせん 小督物語 ︷翻刻一
﹂︵前表紙︶
﹂︵前見返し︶ とて中宮の御かたより小督と申女房をまいらせらるそもこの女房と申は桜町の中納言しけのりのきやうのむすめ禁中一のひしんならひなきことの上手にてそましノーけるれんせいの大なこんみちふさのきやういまたせうしやうなりしときみそめたりしにうはうなりはしめは歌をよみ文をはつくされけれとも玉つさの数のみつもりてなひくけしきもなかりしかさすか情によはるこ魁ろにやつゐにはなひき給ひけりされとも今は君へめされまいらせてせんかたもなくかなしくもたえこかれあかぬわかれのなみたに
や袖しほたれてほしあへす昼はひねも
すにせんさいをつくl︑となかめ夜はまと
ろむひまもなくゑいし侍りし也
君をわかおもふこ︑ろは大原や
いつしかとのみすみやかれつ猫 ﹂︵2オ︶ ﹂︵1才︶﹂︵1ウ︶
毎 戸
一 / b −
七 十 一 黒 川 文 庫 蔵 『 小 督 物 語 』
我恋はあひそめてこそまさりけれ
しかまのかちの色ならねとも
とさまノーうちなかめ少しやういかに
もしてこかうの跡を今一度みたてまつる
事もやとそのこと髄なくつれはさんたい
ま力せられけりこかうの殿のおはしけるつほ
れのへんかなたこなたへた魁すみありき
もしも御すかたなり共みたてまつらほ
しくおほしめし給ひけれともこかうの
殿はわか身君へめされまいらせぬる
うへは少しやういかに申すともこと葉を
もかはすへからすとてつての情をたにも
かけられす
少しやうもしやと一首の歌をよふてこ
かうの殿のましノーけるつほねのみすのう
ちへそなけ入給ひける
おもひかね心はそらにみちのくの
ちかのしほかまちかきかひなし ﹂︵3ウ︶ ﹂︵3オ︶ 一︵ワ︼ウ︶小督のとのは御らんしてやかて返事もせまほしうはおもはれとも君の御ため御うしろめたしとやおもはれけん手にたにとりても見給はすやかて上わらはにとらせてつほのうちへそなけ出さる少しやうなさけなううらめしけれともさすか人もこそみれと空おそるしくおもひ給ひていそきとりてふところに引入て出られけるかなを立かへり
玉つさをいまは手にたにとらしとや
さこそこ鼬ろにおもひすつとも
くれなゐに涙のいるも成にけり
かはるは人のこ熟ろのみかは
今はこの世にてあひみん事もかたけれは
一﹂いきていてとにかくに人をとひしと
おもひくらさんよりはた嵐しなんとのみ
ねかはれける清盛入道しやう国このよ
しをつたへき泌給ひてつくI︑としあ
ー
4 オ
﹂︵4ウ︶
一︵5才︶
ワ ワ ノ イ
んし給ふに中宮と申すも御むすめれい
せんの少しやうも又むこになり小督の殿に
二人のむこをとられては世の中よかるまし
いかにもして小督の殿をめしおひてうしな
はんとその給ひけるか︑りけるところに小
督の殿このよしき︑給ひてわか身の上はとも
かくもなりなん君の御ため御心くるしと
おもはれけれ
別路の草葉をわけんたひころも
たつよりかねてぬる︑袖かな
とゑひしつほれの柱にかきつけある夜た
いりをはうちまきれいて茜ゆくゑもしら
すそうせられける主上このよし御らんして
御なけきなのめならすひるはよるのおと
とにのみ入せ給ひて御なみたしつませ
おはしますよるは南殿にしゆつきよなり
て月の光を御らんして
涙さへ出にしかたをなかめつ觜 ﹂︵6オ︶ ﹂︵5ウ︶一︵6ウ︶ 心にもあらぬ月をみし哉秋の夜の月にこ︑ろのあくかれて雲ゐに物をおもふころ哉
とうちなかめてなくさませましましける
きよ盛入道しやう国はこのよしうけたま
はってさては君は小督ゆへにおほしめし
しつませ給ひけん也さらんにとりては御かい
しやくの女房たちをもまいらせられす
さんたいし給ふ人ノーもそれまれけれは
入道のけんいには︑かつてまいりかよふ
臣下もなし男女うちひそめて禁中
いまノーしうそみえたりけるころは八月十
日あまりの事なれはさしもくまなき
空なれとも主上はおもひにたえかね御
涙にくもらせ給ひてさやけき月のひ
かりもおほろにして御らんせられける
ひころはしい歌くわんけんさまノーの御ゆ
うらんありしかともた︑ひとりつくノーと ﹂︵8オ︶ ﹂︵7ウ︶ ﹂︵7︐オ︶
− 7 8
七 十 一 黒 川 文 庫 蔵 『 小 督 物 語 」
おはしましけるや鞠しんかうにおよん
て人やあるj︑とめされけれとも御いらへ
申ものもなし
恋詫てひとりふせやに夜もすから
おつる涙やをとなしの滝
や︑ありてたんしやうの大ひつ仲国そのよ
おりしも御とのゐにまいつてはるかにほ
ととをく候ひけるか仲国これに候と御
いらへ申たてまつるなんちちかふまいれ
おほせくたさるへきむねありと仰せ
けれは何事やらんと思ひたてまつり
御まへちかふそ参しけりなんちもしこ
かうか行衞やしりて侍らはありのま︑
に申せと仰せけれはいかてかしりまいらせ
候へきと申上けりまことやこかうはさかのへ
んかたあり戸かやしたる内にあると申す
もの&有そとあるしか名をはしらす共たつ
ねてまいらせてんやと仰せけれは仲国う ﹂︵9オ︶一︵9ウ︶ |︵8ウ︶け給りあるしのなをしりまいらせてはいかてか尋あひまいらせ候へきと申けれは主上けにもとて御涙せきあへさせましまさすそのときなか国御有さまをみたてまつりともにあわれをもよほしたてまつりし也涙のひまよりもつくj\ものをあんするにまことやこかうのとのはこと引たまひしそかしこれほと月のさやかなるに君の御事恩ひいてまいらせてことひき給はい事はよもあらしたいりにてこと引たまひし時なか国ふえのやくにめされまいらせしかは小督の殿のことの音はいつくにてもき︑ちかへは申まし
基﹄いさかのけをいく程かあるへしうちまはってた
っね申さんにはなとか間出さてはあるへきとお
もひつ︑さ候は︑あるしかなはそんし申
さすともすいふんたつねまいらせ候へきた
とひたつねあひまいらせ候とも御耆なと候は
すはうわのそらとやおほしめされ候はん
L 一
へ
11 オ
ン
|︵岨オ︶
|︵皿ウ︶
− 7 Q −
』 ぜ
すらん御言を給はり候へまいり候はんと﹂nゥ︶
申あけけれはしゆしやうけにもとてやかて
御言あそはしてそくたされけるすなはち
りやうの御馬にのりてゆけと仰せけれは
なか国りやうの御馬給ってもち月にむ
ちをあけにしをさしてそあゆませけるほ
とに廣澤の池のみきはにつきしかはく﹂Eォ︶
まなき月おもしろく見え侍りけれは
行駒にかけをならへて廣澤の
や力池のおもての月そさへけし
とうちなかめゆくほとにをしかなくこの山
里と詠じけんさかのあたりの秋のころさこそ
は哀にもおほえけめかたおりとしたる家を﹂Eゥ︶
見付ては此うちにもやおはすらんとひかヘノー
き撞けれともことひくところはなかりけりた︑し
御堂なとへもまいり給へる事もやあるらん
としやかたうをはしめてたうノーをみまわ
れとも小督の殿ににたる女房たにもなかり けりこはいかにいか︑はせんむなしくまかりかへ﹂Eォ︶りたらんは君の御なけきいよj︑まさりなかj︑まいらさらんよりあしかるへしこれよりいつくへもまよひ行はやとは思へ共いつくをかわう地ならぬ身をかくすへきやともなしとやせんかくやとたれにとふへき人もなしあんしわつらふてしはしと︑まりいたりしあり﹂両ゥ︶さまはかのもろこしのやうきひのこんはくをたつねかねたるありさまにもことならすやつらj\ものをあんするにまことやほうりんは程ちかけれは月のひかりにさそはれてまいり玉へる事もやとそなたへむひてそあくかれけるところに亀山のあたりちかく松﹂耐ォ︶の有かたにかすかにことそ聞えけるみれの嵐か松風かたつぬる人のことのねかおほつかなくはおもへとも行てみはやとおもひつ︑こまをはやめて行程にかたおり戸
したるうちにことをそひきすまされ
− 8 0 −
七 十 一 黒川文庫蔵「小督物語』
考ともならんとおもへはなり たるひかへてこれを聞けれはいかてかき蛍は﹂︑ゥ︶たかへし少もまかふところもなく小かうの殿のつまおと也かくはなにそとき融けれはおっとおもふてこふとよむ想夫恋といふかくなりけり仲国よくノーき魁まいらせてされはこそ君の御事おもひいたし給ひてかくこそおほえけれこのかくを引給ふ事のやさし﹂Eォ︶さよと思ひこしよりやうてうぬきいたしちつとならひてかとをほとj︑とた斑けはこと
をはやかてひきやみたまひぬ﹂Eウ︶
此の小督物語は上巻はかりなり零本といへとも写しおきぬ他日全本を得たらん時はまた参大正六年五月黒川真道識
﹂︵後見返し︶﹂︵後表紙︶
− 8 1 −
︵前表紙︶
. = ̲ , , 望 一 一 一 毒 一 二 句 →
喝咋 罐繋篭鷲蕊蕊
函叫閏關陶一
むうj骨州劇凡乃?jLさ今j〆塊七
→ノマIみうとハユー童謡の本lやりへ艮膿冷奮
へ乃抽咽︵心汐cjtなf︑J2虻︑つう
Jろiりう§んみ︵必像凱砂らI針J1向
:糸鴛りりj人乳府ドースタ77の灼了をん
と/て守承る心︐ji7小儒ll寺方を︲p啓貼 卸玲
….̲,.̲△全一̲&…色一世.・ム、"=̲と観一苧,.,、Lt‑f、F里圭上、、・・砦蒔・心 ・菫,舎一も.‑
︵前見返し︶
ニ オ
…
− 8 2 −
七 十 一 黒川文庫蔵『小督物語」
『
…斜鍛鐇…………;……一一 …、…ー!
をF1l皇ですtん肺く?札け魚4と︑とみつ?
の︾職乃iつじ〜イ其ズリーをJIj亭←ふう
八J−1⁝す︐催JjP;く/ろ1卓っ升︲
︑iうり草99術1#41.かり一ぢへ多
々§れ︑千らい/1掛彌ててんケ鍔il︿72ノうIノ︑o
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黒川文庫蔵「小督物語」
七 十 一
… = ・ … ' 一
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鋒?無う4Iきく甥?Eろ黙の含tt
か§も〃7・りん謬恒︵心や勿晒ム等11と 槙ヶ2催1膿鍵臭迩Iすみ︑凸典Ijを砿;?くいKシこけ︑/〜と暹誇
1人八〃わ〃よ命I︐えP3︲iそ6杵も己人蔚羨 聯︐いノ今jざえr1八八i1Y〜雛?守人卜﹄のI
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