Factors which Contribute to the Quality of Life in University Students (2): Comparison with vocational school students

大 学 生 のQOLに 関連 す る要 因の検 討(2)

専 門学校生 との比較

茂 原 直 樹*・ 内 山 聡**・ 若 松 拓 也***・ 大 木 桃 代****

Factors which Contribute to the Quality of Life in University Students (2): Comparison with vocational school students

Mohara Naoki, Uchiyama Satoshi, Wakamatsu Takuya & Ohki Momoyo

1.序 論

QOL(QualityofLife)は1960年 代 、 先 進 国 に お け る 経 済 的 指 標 と して 扱 わ れ た こ と に よ り、

広 く知 られ る概 念 と な った 。 現 在QOLは 、 医 学 、老 年 学 、 心 理 学 な どの 分 野 で 幅 広 く用 い られ て い る が 、 定 義 は 明 確 で は な く、研 究 者 に よ っ て様 々で あ る 。

QOLの 最 も定 着 した 訳 は 「生 活 の 質 」 で あ り、 も と も とは 、 障 害 や 慢 性 疾 患 な ど に よ っ て 生 活 が損 な わ れ て い る人 の、 本 来 の 生 活 水 準 を 回復 させ る とい う観 点 か ら出 て きた概 念 で あ る(中 里,1995)。 しか し、QOLは 「人 生 の 質 」 と も訳 され る こ とが あ り、 人 間 の 病 的 な側 面 ・ネ ガ テ

ィ ブ な 側 面 に 着 目す る だ け で は 不 十 分 で あ る と言 え よ う 。 昨 今 隆 盛 して き た健 康 心 理 学 で は 、

「人 間性 の 病 的 側 面(心 理 学 的 病 気)で は な く、 健 康 な面(心 理 学 的"健 康 性")に 注 目 し よ う」

(Schultz,1977上 田訳1982)と い う コ ン セ ブ゜トが あ る 。 こ の考 え 方 か らす れ ば 、 特 に疾 患 や 障 害 を抱 え て い な い 、 一 般 的 な 人 々 を も対 象 と し たQOL研 究 が 行 わ れ る こ とが 望 まれ る が 、 そ の 数 は まだ あ ま り多 くない 。

これ ま で のQOL研 究 にお い て 、 あ ま り焦 点 を 当 て られ て こ な か っ た対 象 の ひ とつ と し て 、 大 学 生 が 挙 げ られ る。 大 学 生 は 年 齢 も若 く、 身 体 的 に は特 に 問 題 を抱 え て い な い 比 較 的健 康 な 人 が 多 い た め 、 中 里(1995)が 指 摘 す る よ うな 従 来 のQOL概 念 か らす れ・ば 、 研 究対 象 と して は適 切 で は なか っ た で あ ろ う。 しか し、 人 間 の健 康 的 な 面 に も重 き を置 こ う とす る健 康 心 理 学 的 な 観 点 か らす れ ば、 大 学 生 のQOLの 特 徴 を明 らか にす る こ と に は意 義 が あ る と考 え られ る 。 ま た 、 大 学 生 は 身体 的 に は健 康 だ と考 え られ る が 、 心 理 的 な側 面 に お い て は必 ず し も健 康 だ とは 言 え ない 。 例 え ば、 親 か らの 自立 、 異 性 との交 際 、 進 路 の 選 択 な ど、 複 数 の ラ イ フ イ ベ ン トが 重 な る こ とで 、

*も は ら なお き 文 教大 学人 間科学 研究 科人 間科 学専 攻

**う ちや ま さ と し 文教 大学 人 間科学研 究科 人 間科 学専 攻

***わ か まつ た くや 文教 大 学人 間科学研 究 科 人 間科 学専 攻

****お お き ももよ 文教 大 学人 間科学 部

危 機 や葛 藤 が 生 じる と言 わ れ て い る(白 井,2002)。

この よ う な観 点 か ら、 若 松 ・内 山 ・茂 原 ・大 木(2007)は 、 大 学 生 を対 象 に したQOL研 究 を 行 っ た 。 そ の 結 果 、 「友 人 」 「両 親 ・兄 弟 」 「仕 事(ア ル バ イ ト)仲 間 」 とい う 身近 な 対 人 関 係 の 領 域 に お い て は 、 重 み 付 け 満 足 度(現 在 の 重 要 度 と満 足 度 を掛 け 合 わせ た値)が 高 い こ と、 逆 に

「外 見 」 「自信 」 「自立 」 とい う個 人 を形 成 す る 要 素 に 関 す る 領 域 に お い て は 、 重 み付 け満 足 度 が 低 い こ とが 明 らか とな っ た 。 本研 究 で は 、 大 学 生 のQOLの 特 徴 を よ り明 確 に す る た め 、 質 問 紙 調 査 に よ り専 門 学 校 生 との比 較 を行 う こ と とす る 。

専 門学 校 生 は 、 高 等 教 育 機 関 に属 して い る とい う点 で 大 学 生 と同 様 で あ る が 、 入 学 時 か ら社 会 人 と して働 くこ と を強 く意 識 して い る とい う 点 で は 、 大 学 生 と質 的 に異 な る と考 え られ る(関

口,1993,1994,2001;永 嶋,2002な ど)。

2.目 的

本 研 究 で は 、専 門学 校 生 との 比 較 を通 し、 大 学 生 のQOLに 関 連 す る 要 因 の特 徴 を よ り明 ら か にす る こ と を 目的 と した。

3.方 法

(1)調 査 時 期2006年11月 か ら2006年12月 で あ っ た 。

(2)調 査 協 力 者:関 東 の2校 の 私 立 大 学 に 通 う大 学 生265名(男 性85名 、 女 性180名)、 お よ び 関 東 の体 育 系 の 専 門学 校 に通 う専 門 学 校 生30名(男 性14名 、 女 性16名)を 対 象 と した 。 専 門 学 校 生 は 、健 康 、 介 護 、 運 動 の領 域 を専 攻 して お り、授 業 は夜 間 中 心 で 、昼 間 は 実 習 を兼 ね て働 い て い る生 徒 も多 か った 。 ま た社 会 人 経 験 の あ る学 生 も約 半 数 い た 。

(3)手 続 き:大 学 お よび 専 門 学 校 の 授 業 時 間 内 に各 教 室 に お い て 質 問 紙 を配 布 し た 。 回 収 は調 査 者 に直 接 手 渡 す か 、 学 内設 置 の 回収 ボ ッ クス を用 い た 。 調 査 は 匿 名 で行 わ れ る こ とか ら、 回 答 す る こ と 自体 が 同 意 の 意 思 表 明 とみ な され る もの と した 。 ま た 、 匿 名 で あ るた め 、 通 常 の 同 意 文 書 の 作 成 は不 可 能 で あ る こ とか ら、 同意 文 書 は用 い な い こ と と した 。

(4)質 問 紙:大 木 ・山 内 ・織 田(1998)を 参 考 に選 定 さ れ た20領 域(健 康 、 自信 、 価 値 観 、財 産 、 仕 事(ア ル バ イ ト)、 仕 事(ア ル バ イ ト)仲 間 、 遊 び 、 学 習 、 創 造 性 、 援 助 、 愛 情 、 友 人 、 子 ど も、 両 親 ・兄 弟 、 親 戚 、 住 居 、 隣 近 所 、 地 域 、 国家 、 宗 教)、 さ らに大 学 生 に 特 徴 的 で あ る

と思 わ れ る4領 域(恋 人 ・配 偶 者 、 自立 、外 見 、 イ ン ター ネ ッ ト)を 付 け加 え た 計24領 域 か ら構 成 され て い た 。24の 生 活 領 域 に つ い て 、 そ れ ぞ れ の 領 域 が 現 在 の 自分 の 幸 福 に ど の程 度 寄 与 し て い る か 、 とい う 「現 在 の重 要 度 」 と、 そ の 領 域 に 関 す る 自分 の 欲 求 や 目的 、 願 望 が どの 程 度 満 た さ れ て い るか 、 とい う 「現 在 の 満 足 度 」、 また そ の 領 域 が 将 来 の 自分 の幸 福 に どの 程 度 寄 与 す る か 、 と い う 「将 来 の 重 要 度 」 を 問 う72項 目か ら成 っ て い た 。 現 在 、 将 来 の 重 要 度 は 「重 要 で な い:0」 〜 「非 常 に重 要:2」 の3段 階 で 、 満 足 度 は 「非 常 に 不 満:‑3」 〜 「非 常 に 満 足:3」

の7段 階 で 回答 を 求 め た 。 な お 、 各 領 域 に つ い て 現 在 の 重 要 度 と満 足 度 を掛 け合 わ せ た も の を

「重 み付 け満 足 度 」 と し、 そ れ らの得 点 を合 計 した もの を 「QOL得 点 」 と した。

4.結 果

(1)現 在 の 重 要 度

そ れ ぞ れ の 領 域 に お い て 「現 在 の 重 要 度 」 の 平 均 値 を 算 出 し 、 対 応 の な い 鹸 定 に よ り大 学 生 と 専 門 学 校 生 と の 問 で 平 均 値 の 差 を 検 討 し た 。 そ の 結 果 、 「友 人 」(t(49.83)=2.83,

P<.01)、 「健 康 」(t(47.70)=3.04,P<.Ol)、 「両 親 ・兄 弟 」(t(41.98)=2.69,P<.05)、 「仕 事(ア ル バ イ ト)」(t(290)=2.06,p<.05)、 「仕 事(ア ル バ イ ト)仲 間 」(t(290)=2.25,P<.05)、 「子 ど も」(t(290)=2.05,p<.05)、 「親 戚 」(t(48.11)=4.43,P〈.001)の7領 域 に お い て 、 専 門 学 校 生 の 方 が 大 学 生 よ り も 有 意 に 高 か っ た 。 ま た 「恋 人 ・配 偶 者 」(t(290)=1.93,P<.10)に お い て 、

表1.大 学 生 と専 門 学 校 生 に お け る現 在 の 重 要 度 の 平 均 値 ・SDと 鹸 定 結 果

領 域 全 体 大学生 専 門学校 生

平 均(SD)平 均(SD)平 均(SD)

t値 有意差

友人 健康 遊 び 愛i青 住居 両 親 ・兄 弟

自信 学 習 財 産 自立

イ ン ター ネ ッ ト 価値 観

恋 人 ・配偶 者 外 見

創 造 性 仕 事 仕 事 仲 間

国家 地域 子 ど も 援 助

親戚 隣近 所 宗教

1.74(0.50) 1.67(0.54) 1.65(0.53) 1.57(0.60) 1.53(0.59) 1.52(0.59) 1.52(0.56) 1.47(0.57) 1.44(0.60) 1.41(0.66) 1.37(0.64) 1.37(0.65) 1.33(0.73) 1.29(0:65) 1.25(0.70) 1.20(0.67) 1.15(0.72) 0.99(0.71) o:9s(ago) 0.95(0.82) 0.94(0.70) 0.77(0.69) 0.60(0:65) 0.16(0.44)

1.72(0.51) 1:65(0.55) 1.64(0.53) 1.58(0.61) 1.54(0.58) 1.49(0.60) 1.52(0.57) 1.48(0.57) 1.46(0.59) 1.40(0.67) 1.41(0.63) 1.40(0.65) 1.30(0.73) 1.30(0.65) 1.25(0.72) 1.17(0.69) 1.12(0.73) 0.98(0.72) 0.97(0.71) 0.91(0.82) 0.92(0.72) 0.73(0.70) 0.59(0.66) 0.17(0.45)

1.90(0.31) 1.87(0.35) 1.70(0.47) 1.57(0.57) 1.43(0.68)

1.73(0.45) 1.50‑(0.51) 1.37(0.62) 1.30(0.65) 1.57(0.50) 1.03(0.67)

1.07(0.58) 1.57(0.63) 1.17(0.59) 1.23(0.57) 1.43(0.50) 1.43(0.63) 1.00(0.74)

1.07(0.69) 1.23(0.73) 1。07(0.58) 1.13(0.43) 0.77(0.57)

0.07(0,25)

2.83 3.04 0.58 0.07 0.93 2.69 0.16 1.01 1.37 1.68 2.95 2.97 1.93 1.16 0.13 2.06 2.25 0.11 0.74 2.05 1.06 4.43 1.63 1.93

**

**

*

**

**

十

*

*

*

***

十

大 く専 大 く専

大 く専

大 〉専 大 〉専 大 く専

大 く専 大 く専

大 く専

大 く専

大 〉専 (***p<.001,**p<.01,*p<.05,+p<.10)

専 門 学 校 生 の 方 が 有 意 に 高 い 傾 向 が 見 ら れ た 。 ま た 「イ ン タ ー ネ ッ ト」(t(35.11)=2.95,P<.01)、

「価 値 観 」(t(37.50)=2.97,P<.01)の2領 域 に お い て 、 大 学 生 の 方 が 専 門 学 校 生 よ り も 有 意 に 高 か っ た 。 さ ら に 「宗 教 」(t(52.92)=1.93,P<.10)に お い て 、 大 学 生 の 方 が 有 意 に 高 い 傾 向 が 見 ら れ た(表1)。

(2)現 在 の 満 足 度

重 要 度 と 同 様 に 、 大 学 生 と専 門 学 校 生 の 「現 在 の 満 足 度 」 に お け る 平 均 値 の 差 を検 討 し た 。 そ の 結 果 、 「友 人 」(t(40.42)=2.68,P<.05)、 「両 親 ・兄 弟 」(t(291)=2.08,P<.05)、 「恋 人 ・配 偶 者 」(t(290)=2.63,P<.01)、 「外 見 」(t(291)=2.45,p<.05)の4領 域 に お い て 、 専 門 学 校 生 の 方 が 大 学 生 よ り も 有 意 に 高 か っ た 。 ま た 「健 康 」(t(38.43)=1.79,P<.10)、 「自 信 」(t(38.60)=

2.01,P〈.10)の2領 域 に お い て 、 専 門 学 校 生 の 方 が 有 意 に 高 い 傾 向 が 見 ら れ た 。 さ ら に 「財 産 」

表2.大 学 生 と専 門 学 校 生 に お け る現 在 の 満 足 度 の 平 均 値 ・SDとt検 定 結 果

領 域 全 体 大学生 専 門学 校生

平 均(SD) 平 均(SD) 平 均(SD) t値 有意差

友 人 両 親 ・兄 弟 住 居 仕 事仲 間 イ ン ター ネ ッ ト 親 戚

価 値観 愛 清 遊 び 子 ど も 宗 教 地域

恋 人 ・配偶 者 援 助

健 康 隣近所 仕 事 創 造性 学習 財 産 自立 国家 自信 外 見

1.41(1.44) 1.16(1.60) 0.91(1.55) 0.64(1.68) o.sl(1.so) 0.49(1.30) 0.48(1.30) 0.43'(1.76) 0.38(1.58) 0.29(1.29) 0.19(1.10) 0.18(1.44) 0.08(1.90) 0.03(1.15) 0.01(1.78) 0.00(1.29)

‑0 .25(1.69)

‑0 .31(1.42)

‑0 .43(1.51)

‑0 .50(1.64)

‑0 .60(1.58)

‑0 .70(1.35)

‑0 .71(1.65)

‑0 .91(1.47)

1.35(1.46) 1.10(1.60) 0.87(1.56) 0.63(1.68) 0.54(1.50) 0.46.(1.31) 0.51(1.32) 0.38(1.78) 0.36(1.58) 0.31(1.28) 0.22(1.09) 0.17(1.50)

‑0:02(1 .90) 0.05(1.14)

‑0 .04(1..79) 0.02(1.33)

‑0 .30(1.72)

‑0 .31(1.47)

‑0 .45(1.52)

‑0 .42(1.66)

‑0 .64(1.55)

‑0 .71(1.37)

‑0 .76(1.67)

‑0 .98(1.48)

1.97(1.16) 1.73(1.55) 1.27(1.39) 0.77(1.76)

0.20(1.45) o.go(i.22) 0.27(1.11) 0.83(1.58) 0.57(1.59) 0.07(1.26)

0.00(0.79) 0.27(0.79) 0.93(1.74)

‑0 .07(1.26)

o.so(1.ss>

‑0 .17(0.91)

0.13(1.31)

‑0 .30(0.84)

‑0 .27(1.39)

‐i .20(1.22)

‑0 .23(1.81)

‑0 .60(1.19)

‑0 .20(1.42)

‑0 .30(1.24)

2.68 2.08 1.33 0.43 1.18 1.36 0.97 1.33 1.:

1.00 1.37 0.56 2.63 0.51 1.79 0.76 1.64 0.05 0.62 3.19 1.33 0.41 2.01 2.45

*

*

**

十

**

十

*

大 く専 大 く専

大 く専

大 く専

大 〉専

大 く専 大 く専

(**P<.01,*P<.05,+P〈.10)

(t(42.56)=3.19,P<.01)の 領 域 に お い て 、 大 学 生 の 方 が 専 門 学 校 生 よ り も 有 意 に 高 か っ た(表2)。

(3)将 来 の 重 要 度

同 様 に 、 大 学 生 と専 門 学 校 生 の 「将 来 の 重 要 度 」 に お け る 平 均 値 の 差 を 検 討 し た 。 そ の 結 果 、

「仕 事(ア ル バ イ ト)仲 間 」(t(40.30)=2.09,P<.05)、 「親 戚 」(t(291)=2.21,P<.05)の2領 域 に お い て 、 専 門 学 校 生 の 方 が 大 学 生 よ り も有 意 に 高 か っ た 。 ま た 「健 康 」(t(49.64)=1.89, P<.10)、 「恋 人 ・配 偶 者 」(t(39.57)=2.00,P<.10)、 「子 ど も」(t(43.18)=1.82,P<.10)の3領 域 に お い て 、 専 門 学 校 生 の 方 が 有 意 に 高 い 傾 向 が 見 ら れ た 。 ま た 「価 値 観 」(t(293)=2.38, P<.05)に お い て 、 大 学 生 の 方 が 専 門 学 校 生 よ り も 有 意 に 高 か っ た 。 さ ら に 「イ ン タ ー ネ ッ ト」

(t(37.28)=1.71,P〈.10)、 「国 家 」(t(291)=1.86,P<.10)の2領 域 に お い て 、 大 学 生 の 方 が 有 意 に 高 い 傾 向 が 見 ら れ た(表3)。

表3.大 学 生 と専 門学 校 生 にお け る将 来 の 重 要 度 の平 均値 ・SDとt検 定 結 果

領 域 全 体 大学生 専 門 学校生

平 均(SD)平 均(SD)平 均(SD)

t値 有意差

友 人 健康 自立 愛 隋 自信

恋 人 ・配偶 者 住 居

遊 び 学 習 財 産

両親 ・兄弟 子 ど も 仕 事 価 値 観

イ ン ターネ ッ ト 仕事 仲 間 創造 性 外見 国家 地域 援助 隣 近所 親戚 宗教

1.86(0.37) 1.84(0.41) 1.78(0:43) 1.76(0.47) 1.66(0.52) 1.63(0.58) 1.62(0.55) 1.61(0.55) 1.58(0.54) 1.58(0.54) 1:57(0.57) 1.55(0.64) 1.52(0.62) 1.46(0.63) 1.40(0.62) 1.39(0.70) 1.38(0.66) 1.31(0.63) 1.28(0.67) 1.25(0.64) 1.20(0.67) 0.99(0.68) 0.95(0.66) 0.26(0.54)

1.85(0.37) 1.83(0.42) 1.79(0.42) 1.75(0.47) 1.67(0.52) 1.61.(0.59) 1.63(0.54) 1.61(0.56) 1.57(0.55) 1.59(0.54) 1.56(0.58) 1.53(0.65) 1.51(0.62) 1.49(0.63) 1.42(0.62) 1.37(0.71) 1:40(0.66) 1.32(0.64) 1.30(0.66) 1.24(0.65) 1.20(0.69) 0.98(0.69) 0.92(0.67) 0:26(0.55)

1.87(0.43) 1.93(0.25) 1.70(0.47) 1.80(0.48) 1.53(0.51) 1.80(0.48) 1.50(0.63) 1.63(0.49) 1.67(0.48) 1.50(0.57) 1.70(0.47) 1.70(0.47) 1.57(0.63) 1.20(0.61) 1.23(0.57) 1.60(0.56) 1.20(0.66) 1.17.(0.53) 1.07(0.69) 1.27(0.52) 1.17(0.46) 1.07(0.52) 1.20(0.55) 0.20(0.48)

0.18 1.89 1.14 0.s2 1.42 2.00 1.23 0.21 0.94 0.84 1.57 1.82 0.47 2.38 1.71 2.09 1.58 1.50 1.86 0.19 0.35 0.66 2.21 0.60

十

十

十

*

十

*

十

*

大 く専

大 く専

大 く専

大 〉専 大 〉専 大 く専

大 〉専

大 く専

(*、ρ<.05,+P〈.10)

(4)重 み 付 け 満 足 度 お よ びQOL得 点

上 記 と 同 様 に 、 大 学 生 と 専 門 学 校 生 の 「重 み 付 け 満 足 度 」 に お け る 平 均 値 の 差 を 検 討 し た 。 そ の 結 果 、 「友 人 」(t(288)=2.49,P<.05)、 「両 親 ・兄 弟 」(t(291)=2.64,P<.01)、 「恋 人 ・配 偶 者 」

(t(290)=2.46,P<.05)、 「自信 」(t(38.87)=2.04,P<.05)、 「外 見 」(t(39.32)=2.75,P<.01)の5 領 域 に お い て 、 専 門 学 校 生 の 方 が 大 学 生 よ り も 有 意 に 高 か っ た 。 ま た 厂健 康 」(t(292)=1.72, P<.10)に お い て 、 専 門 学 校 生 の 方 が 大 学 生 よ り も 有 意 に 高 い 傾 向 が 見 ら れ た 。 さ ら に 「価 値 観 」

(t(44.65)=1.77,P<.10)、 「財 産 」(t(290)=1.89,P<.10)の2領 域 に お い て 、 大 学 生 の 方 が 専 門 学 校 生 よ り も有 意 に 高 い 傾 向 が 見 ら れ た 。QOL得 点(t(281)=1.98,P<.05)は 、 専 門 学 校 生 の 方 が 大 学 生 よ り も 有 意 に 高 か っ た(表4)。

表4、 大 学 生 と専 門 学 校 生 にお ける 重 み 付 け満 足 度 お よ びQOL得 点 の 平 均 値 ・SDとt検 定 結 果

領 域 全 体 大学生 専 門学校 生

平 均(SD) 平 均(SD) 平 均(SD)

t値 有意差

友 人 両親 ・兄弟 住居 仕事 仲 間 イ ンタ ーネ ッ ト 愛 晴

価値 観 親戚 遊 び

恋 人 ・配偶 者 地域

子 ども 援助 宗教 隣近 所 健康 仕事 創造 性 学習 国家 財 産 自立 自信 外 見

QOL得 点

2.75(2.62) 2.14(2.78) 1.42(2.63) 1.21(2.46) 0.94(2.38) 0.85(3.13) 0.82(2.14) 0.76(1.68) 0.71(2.85) 0.47(3.15) 0.32(1.91) 0.26(1.82) 0.15(1.69) 0.14(0.70) 0.13(1.43) 0.00(3.16)

‑0 .33(2.53)

‑0 .33(2.20)

‑0 .56(2.59)

‑0 .71(2.07)

‑0 .75(2.71)

‑0 .97(2.64)

‑1 .10(2.84)

‑1 .35(2.34) 6.77(24.64)

2.62(2.62) 2.00(2.76) 1.35(2.68) 1.16(2.43) 0.98(2.42) 0.76(3.17) 0.87(2.20) 0.72(1.63) 0.66(2.86) 0.32(3.12) 0.30(1.96) 0.30(1.80) 0.17(1.69) 0.15(0.74) 0.14(1.48)

‑0 .11(3.16)

‑0 .40(2.58)

‑0 .31(2.27)

‑0 .58(2.63)

‑0 .74(2.11)

‑0 .65(2.76)

‑1 .03(2.57)

‑1 .20(2.87)

‑1 .46(2.36) 5.78(25.08)

3.87(2.30) 3.40(2.69) 2.03(2.14) 1.63(2.68) 0.57(1.92) 1.63(2.66) 0.33(1.49) 1.13(2.03) 1.13(2.80) 1.80(3.11) 0.57(1.28)

‑0 .10(1.99)

‑0 .03(1.73) 0.03(0.18) o.00(aas>

0.93(3.02) 0.30(1.95)

‑0 .50(1.41)

‑0 .37(2.22)

‑0 .50(1.61)

‑1 .63(2.04)

‑0 .43(3.19)

‑0 .23(2.42)

‑0 .40(1.96) 15.17(18.85)

2.49 2.64 1.36 1.00 1.08 1.44 1.77

1.28 0.87 2.46 0.74 1.14 0.62 1....

0.52 1.72 1.44 0.64 'II

O.60 1.89 1.18 2.04 2.75

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*

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大 く専 大 く専

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大 く専 大 く専 大 く専 (**p<.01,*pG.05,+p<.10)

5.考 察

(1)現 在 の 重 要 度

専 門 学 校 生 の 方 が 大 学 生 よ り も 「健 康 」 を重 要視 して い た の は、 今 回調 査 を実 施 した 専 門学 校 が 、 健 康 ・介 護 ・運 動 に 関す る技 能 習 得 に力 を入 れ て い る学 校 で あ っ た とい う こ とが 理 由 の1つ だ と考 え られ る 。 ま た 「仕 事(ア ル バ イ ト)」 「仕 事(ア ル バ イ ト)イ中間 」とい う仕 事 に 関 連 した 領 域 に お い て 、 専 門 学 校 生 の 方 が 、 現 在 の 重 要 度 を高 く認 識 して い る こ と が 示 さ れ た 。 関 口 (1993,1994,2001)の 一 連 の研 究 に よれ ば 、 専 門 学 校 生 は 入 学 時 か ら社 会 人 と して 働 く こ と を 強 く意 識 して い る。 ま た看 護 学 生 を対 象 と した永 嶋(2002)の 研 究 で は 、 専 門 学 校 生 の 方 が 大 学 生 よ りも、 将 来 へ の看 護 に対 す る明 確 な 目標 を持 っ て い る こ とが 報 告 され て い る。 将 来 へ の 高 い職 業 意 識 の 反 映 と して、 現 在 行 っ て い る仕 事 や ア ル バ イ トに関 して も、 高 い 重 要 度 を感 じ て い る の だ と考 え られ る。

さ ら に専 門 学 校 生 は 大 学 生 に比 べ 、 「友 人 」 「恋 人 ・配 偶 者 」 「子 ど も」 「両 親 ・兄 弟 」 「親 戚 」 とい う、 比 較 的 近 しい 人 との 関 係 性 を重 要 視 して い る こ とが 示 さ れ た 。 この こ とは 、 今 回調 査 対 象 と した専 門 学 校 生 の 中 に、 社 会 人経 験 の あ る 人 が い た こ とが 影 響 して い る可 能 性 が あ る 。社 会 の 厳 しさ を知 る こ とに よ り、 安 心 感 を持 て る対 人 関 係 の 重 要 度 を よ り認 識 す る よ う に な っ た の だ と考 え られ る。 ま た専 門 学 校 生 全 体 の デ ー タ数 が 少 な か った た め 、 この よ う な社 会 人 経 験 の あ る 人 の デ ー タが 結 果 に大 き く影 響 した 可 能 性 が あ る。

「イ ン タ ー ネ ッ ト」 「価 値 観 」 「宗 教 」 の3領 域 に お い て 、 大 学 生 の 方 が専 門 学 校 生 よ り も重 要 視 して い る こ と が 示 され た 。 「イ ン タ ー ネ ッ ト」 に つ い て は 、 大 学 生 の 方 が 専 門 学 校 生 よ り も、

学 習 の 際 に イ ン タ ー ネ ッ トを用 い る こ とが 多 い(河 井,2003)た め 、 重 要 視 され て い るの だ と考 え ら れ る 。

ま た 「価 値 観 」 に つ い て は、 内省 的 に な りや す く、 自分 につ い て 考 え を め ぐ らせ や す い大 学 生 の 特 徴 が 表 れ た結 果 で あ る と思 わ れ る。 さ ら に 「宗 教 」 につ い て は 、 大 学 生 ・専 門 学 校 生 の 両 方 に お い て 、24領 域 の 中 で最 も重 要 視 さ れ て い な か っ た 。 そ の 中 で も専 門学 校 生 の 重 要 度 が 特 に 低 い の は 、 宗 教 とい う抽 象 的 で 形 の 見 え な い 事 象 に対 し、 関心 が低 い か らだ と考 え ら れ る 。

(2)現 在 の満 足 度

「友 人 」「両 親 ・兄 弟 」「恋 人 ・配 偶 者 」とい う対 人 関係 の 領 域 に お い て 、 専 門学 校 生 の方 が 高 い 満 足 度 を 示 した こ とは 、 重 要 度 と も一 致 す る 結 果 で あ った 。 社 会 を経 験 す る こ とで 、 親 密 な 人 間 関 係 の重 要 性 を よ り意 識 す る よ う に な っ た こ とが 反 映 し た の だ と思 わ れ る。 また 「友 人」に つ い て は、

専 門学 校 の授 業 や 活 動 が ク ラス 単 位 で行 わ れ て い た こ と か ら、 よ り充 実 した 友 人 関係 を 築 きや す か っ た こ と も影 響 して い る 可 能 性 が あ る 。

「健 康 」 に 関 して 専 門学 校 生 の方 が 満 足 して い る とい う結 果 は、 今 回調 査 対 象 とな っ た 専 門学 校 の 主 題 の 一 つ が 健 康 で あ るか らだ と考 え られ る 。 こ の専 門 学 校 にお け る 調査 協 力 者 は 日頃 か ら 健 康 を意 識 して い る た め 、 高 い 満 足 度 を得 られ て い る の だ と思 わ れ る。

「自信 」 に つ い て は 、専 門 学 校 生 の 方 が 大 学 生 よ り も高 い 満 足 度 を示 した 。 就 職 や 資格 ・技 術 の取 得 な ど、 比 較 的 目 的 意 識 が は っ き り して い る 専 門学 校 生 に比 べ 、 大 学 生 は ア イ デ ンテ ィ テ ィ を確 立 しづ らい 立 場 に あ る と言 え る で あ ろ う。 自己 が 定 ま ら ない た め 、 自信 が 持 ち に くい の だ と

考 察 さ れ る 。

「外 見 」 につ い て は 両 者 と も に低 い 満 足 度 を示 した が 、 特 に大 学 生 に お い て は24領 域 の 中 で 最 も低 か っ た。 そ もそ も青 年 期 は、 身体 的 変 化 に対 す る不 安 を抱 く時 期 で あ る が(島,1988)、 両 者 間 で差 が 見 られ た の は、 専 門 学 校 生 は就 職 や 技 術 習 得 へ の 目 的 意 識 が 明確 で あ り、 外 見 へ の意 識 が 分 散 され る た め で あ る と考 え ら れ る 。

大 学 生 は 専 門学 校 生 よ り も 「財 産 」 の領 域 にお い て満 足 して い る こ とが 示 され た。 経 済 的 に 自 立 して い る と は考 え られ に くい 大 学 生 が 、財 産 につ い て 満 足 して い る と い う結 果 は、 親 か ら の援 助 や 奨 学 金 制 度 が 充 実 して い る こ と に起 因 して い る と考 え ら れ る 。 また 大 部 分 の 大 学 生 が 、 配 偶 者 や 子 ど も な ど 、経 済 的 に支 え るべ き相 手 が い な い た め 、 現 在 の財 産 状 況 に満 足 して い る 可 能 性

もあ る 。 ノ

(3)将 来 の 重 要 度

「健 康 」 「恋 人 ・配 偶 者 」 「子 ど も」 「仕 事(ア ル バ イ ト)仲 間」 「親 戚 」 の5領 域 に関 して 、 専 門 学 校 生 の 方 が 大 学 生 よ り も、 将 来 にお け る 重 要 度 を意 識 して い た 。 「健 康 」 につ い て は 、 専 門 学校 生 の専 攻 の 特 性 上 、 将 来 健 康 に関 係 す る仕 事 を 目指 して い る 人 も多 い で あ ろ う こ とか ら、 妥 当 な結 果 だ と言 え る で あ ろ う。

ま た専 門 学 校 生 が 、 将 来 の生 活 にお い て対 人 関 係 の領 域 が 重 要 に な る と考 え て い る こ とが 示 さ れ た 。 こ れ は 現 在 の重 要 度 、 満 足 度 と も一 致 す る結 果 で 、対 人 関係 の 重 要 性 を 強 く認 識 して い る こ と の 表 れ で あ る と言 え る 。 「仕 事(ア ル バ イ ト)仲 間」 に つ い て は 、 就 職 へ の 意 識 が 高 い た め 、 す で に 職 場 で の対 人 関係 を念 頭 に置 い て い る の だ と言 え よ う。 ま た 「恋 人 ・配 偶 者 」 「子 ど も」

「親 戚 」 に つ い て は 、 一 生 付 き合 っ て い く可 能 性 が 高 い 人 との 関 係 性 を重 要 視 して い る の だ と思 わ れ る。 自分 の 将 来 像 を大 学 生 よ り現 実 的 ・具 体 的 に考 えて い る た め 、 配 偶 者 や 子 ど も、 親 戚 と の付 き合 い が 将 来 的 に 重 要 に な る で あ ろ う こ と を見 据 え て い る の だ と考 え られ る。

「価 値 観 」 「国家 」 に つ い て 、 大 学 生 の 方 が 将 来 に お け る重 要 度 を高 く認 識 して い た 結:果につ い て は 、大 学 生 が 現 実 性 ・具 体 性 の あ る 身近 な 問 題 だ け で な く、 抽 象 的 で 形 の見 え に くい事 柄 に 対 して も興 味 ・関心 を 持 っ て い る か ら だ と思 わ れ る。 先 の 専 門学 校 生 に関 す る考 察 と合 わ せ 、 具 体 的 で 身近 な こ とに重 点 を置 く専 門 学 校 生 、抽 象 的 で 形 の 見 え に くい こ とに重 点 を置 く大 学 生 と

い う、 相 反 す る特 性 を 見 出 す こ とが 可 能 で あ る 。 ま た 「イ ン タ ー ネ ッ ト」 に 関 して 、 大 学 生 の 方 が 重 要 視 して い た。 先 に述 べ た よ う に、 大 学 生 の 方 が 学 習 の 際 に イ ン タ ー ネ ッ トを用 い る こ とが 多 い(河 井,2003)た め 、 将 来 にお け る 重 要 度 も高 く認 識 さ れ て い る の だ と考 え られ る 。

(4)現 在 の 重 み 付 け満 足 度 お よびQOL得 点

「友 人 」 「両 親 ・兄 弟 」 「恋 人 ・配 偶 者 」 厂健 康 」 「自信 」 「外 見 」 の6領 域 に対 して 、 専 門 学 校 生 の 方 が 大 学 生 よ り も、 重 み 付 け 満 足 度 が 高 い こ とが 示 され た。

「友 人 」 「両 親 ・兄 弟 」 「恋 人 ・配偶 者 」 とい う、 親 しい 人 と の 関係 にお い て は 、 先 に も述 べ た よ う に、 社 会 人 経 験 の有 無 が 関連 して い る と思 わ れ る。 また 、 今 回調 査 対 象 とな っ た専 門 学 校 生 が 、 体 育 系 の 専 門 学 校 に通 っ て い た こ と も理 由 の1つ か も しれ な い 。 一 般 に体 育 系 の 学 生 は 、 対 人 関係 を重 要 視 し、 緊 密 な関 係 を築 きや す い と思 わ れ る 。 そ の た め 、 重 要 度 ・満 足 度 が と も に高

く、 重 み付 け 満 足 度 も高 ま っ た の だ と考 え られ る 。

た だ し、 これ ら対 人 関 係 の領 域 にお い て は 、 大 学 生 の重 み 付 け満 足 度 も他 の領 域 に比 べ て 高 い

もの で あ った 。 大 木 他(1998)の 社 会 人 を対 象 と したQOL研 究 と比 較 して み て も、 「友 人 」 「両 親 ・兄 弟 」 の領 域 にお け る重 み付 け満 足 度 は 、 社 会 人 とあ ま り変 わ らな か っ た 。 つ ま り大 学 生 に

とっ て 、 親 しい 人 と の 関係 に お け る重 み 付 け 満 足 度 は 決 して低 い わ け で は な く、 む しろQOLの 上 昇 に大 き く寄 与 して い る と言 え る。

「健 康 」 に つ い て は、 前 述 の よ う に今 回調 査 対 象 と な っ た 専 門学 校 生 の専 攻 の 特 性 が 関 与 して い る と考 え られ る 。 健 康 を 主題 と して学 ん で い る た め 、 重 要 度 も満 足 度 も高 い 値 を示 した の だ と 言 え る 。

「外 見 」 に 関 して は、 大 学 生 の 得 点 が 非 常 に 低 い こ とが 明 らか に な っ た 。 先 に述 べ た よ う に 、 就 職 や 技 術 習 得 な ど実 際 的 な こ と に 関 心 を 向 け る専 門学 校 生 は 、 外 見 へ の 意 識 が 分 散 しや す い 。 逆 に大 学 生 は 実 際 的 な こ とへ の 目的 意 識 が希 薄 な た め 、 身体 的 変 化 や周 りか ら の視 線 に過 敏 に な

り、不 安 に 陥 りや す い の だ と思 わ れ る。 また 若 松 他(2007)は 、 大 学 生 にお い て女 性 の 方 が 「外 見 」 の 重 み付 け 満 足 度 が 低 い こ と を指 摘 して い る 。本 調 査 で は、 大 学 生 群 にお け る女 性 の 割 合 が 大 きか っ た た め 、 大 学 生 全 体 の 重 み 付 け満 足 度 が低 くな りや す か っ た と考 え られ る 。

「自信 」 に つ い て は、 明確 な 目的 を持 って い る専 門 学 校 生 と、 ア イ デ ンテ ィ テ ィ を確 立 中 の大 学 生 と の差 が 表 れ た結 果 だ と考 え ら れ る 。 「外 見 」 「自信 」 とい う2領 域 に 関 して 、 大 学 生 の 得 点 が 低 い こ とは 、QOL低 下 の 大 きな 要 因 とな って い る 。

「価 値 観 」 「財 産 」 の2領 域 に対 して 、 大 学 生 の 方 が 専 門 学 校 生 よ り も、 重 み 付 け 満 足 度 が 高 い こ とが 示 され た 。 大 学 生 は 自分 の価 値 観 を重 要視 す る こ とで 、 個 人 の ア イ デ ンテ ィテ ィ確 立 を 目指 し て い る の だ と考 え られ る。 逆 に専 門 学 校 生 は 、 価 値 観 と い う形 の見 え ない 抽 象 的 な もの よ

りは 、 よ り現 実 的 で 具 体 的 な 事 柄 に 関心 が あ る の だ と言 え る。

「財 産 」 に つ い て は 、 専 門 学 校 生 の重 み 付 け 満 足 度 が24領 域 の 中 で 最 も低 か っ た 。 職 業 意 識 が 強 い 専 門学 校 生 に とっ て 、 経 済 的 な 問題 は大 学 生 よ り も切 実 で あ ろ う。 そ の た め 、 学 費 を払 わ な くて は な らな い 学 生 とい う 自分 の立 場 に、 不 満 を感 じて い る可 能 性 が あ る。

QOL得 点 は、 専 門学 校 生 の 方 が 大 学 生 よ り も高 か っ た 。 そ の 主 な理 由 と して 、 第 一 に 、 「友 人 」

「両 親 ・兄 弟 」 「恋 人 ・配 偶 者 」 とい う近 しい 人 との 良 好 な 関 係 性 に お い て 、 専 門学 校 生 の 方 が 重 み 付 け満 足 度 が 高 か っ た こ とが 挙 げ られ る。 た だ し上 述 した よ う に 、大 学 生 の 重 み付 け満 足 度 も 他 の 領 域 に比 べ れ ば 高 か っ た こ とか ら、 大 学 生 のQOLに 関 し て も、 友 人 、 両 親 ・兄 弟 との 良 好 な 関係 性 は 、 よい 影 響 を 与 え てい る と考 え られ る 。

第 二 に 、 「外 見 」 「自信 」 とい う個 人 そ の もの を形 成 す る 要 因 が 、 大 学 生 のQOL低 下 に 大 き く 影 響 して い る とい う理 由 が 挙 げ られ る。 こ の 点 が 最 も注 目す べ き大 学 生 のQOL特 性 で あ ろ う。

6.今 後 の 課 題

本 研 究 で は、 調 査 に お い て 大 学 生 と専 門学 校 生 を対 象 と した が 、 そ れ ぞ れ の専 攻 分 野 や 社 会 人 経 験 の有 無 の 特 徴 が 表 れ て しま っ た 可 能 性 が あ る。 大 学 生 は皆 、心 理 学 ・社 会 福 祉 学 ・看 護 学 な ど を専 攻 とす る、 い わ ゆ る人 間科 学 系 の 学 生 で あ っ た 。 一 方 専 門 学校 生 は、 体 育 系 の 専 門学 校 に 通 っ て お り、 健 康 ・介 護 ・運 動 に 関 して学 ん で い る学 生 で あ っ た 。 また 社 会 人 経 験 が あ る人 も少 な か らず い た 。

一 般 に 人 間科 学 系 の 専 攻、 特 に 心 理 学 を学 ぶ 学 生 は 、 比 較 的 内 向 的 で 不 安 傾 向 が 強 く、 体 育系 の 学 生 は外 向 的 で健 康 的 で あ る と思 わ れ る 。 また 社 会 人 経 験 の あ る 人 は、 よ り現 実 的 な考 え 方 を

しや す くな る と考 え られ る 。 この よ うな観 点 か ら、大 学 生 ・専 門 学 校 生 とい う立 場 の 要 因 以 外 に も 、 結 果 に影 響 を与 え た要 因 が い くつ か あ っ た可 能 性 が あ る 。 今 後 は、 専 攻 分 野 、 社 会 人 経 験 の 有 無 、 年 齢 な どの 要 因 を よ り考 慮 し、QOLに どの よ う に影 響 す る か を検 討 す る こ とが 望 ま れ る。

7.結 論

本 研 究 で は 、 若松 他(2007)の 先 行 研 究 を受 け 、 質 問 紙 調 査 に よ る専 門学 校 生 と の比 較 を通 し て 、大 学 生 のQOLに 関 連 す る 要 因 の 特 徴 を よ り明 確 にす る こ と を 目的 と した 。そ の 結 果 、「友 人 」

「両 親 ・兄 弟 」 とい う近 しい 人 との 良 好 な 関係 性 は 、 大 学 生 のQOLに よい 影 響 を 与 え は す る が 、 専 門 学 校 生 に比 べ る と寄 与 度 が 低 い こ とが 示 さ れ た 。 また 「外 見 」 「自信 」 とい う、 個 人 そ の も の を形 成 す る 要 因 が 、 大 学 生 のQOL低 下 に 大 き く影 響 して い る こ とが よ り明 らか に な っ た 。 さ ら に、 全 体 と して 大 学 生 のQOLが 専 門学 校 生 よ り も低 い こ とが 示 され た 。

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