23
塩化焙焼の反応機構特にCuに就て
植 田 安 昭
The reaction mechanism of the chloridizing roasting for the decopperizing of Pyrite・cinder.
Yasuaki UEDA
Amany of reaction must be imagined in case of the chlorination of iron and copper from its sulfides or oxides by chloridizers, i.e. C12 gas, HCI gas, NaCl, CaCl2 and MgC12 etc. The free energy changes of those reactions were calculated through the public thermodynamic data. Fro m the calculated values, it was understand that the sulfides and the oxides may be converted or not to the chloddes by those reactions. The results obtailled are summerized as foHows;
1) Using the solid chloridizitlg reagents under the oxygen or steam atmosphere and the high temperature, it se㎝s to be that chlo亘nation of the metals are carri(姐 by C12 and HCI gas which is produced by the d㏄omposition of reagents. When the above soHd reagents were used with oxygen and sulphur, the reaction which produces C12 gas wiU be expressed by the fo110wing;
2NaC1十SO2十〇2−Na2SO4十C12
2)The general metaHic sulfides can be converted to chlorides by heating with C12 gas alone, but meta伍c oxides and sulphates can not be so by treating with Cl含 or HCI gas.
3) The possibility of chlorination of iron and copper sulfides lies in the crder of
. CuS, FeS, FeS2 Cu2S and Cu20.
4) The soHd chloridizing reagents convert meta1Hc sulfideS and sulphates to chlorides by the reaction of substitution.
5) FeC130r CuC12 react like as Cl2 gas to oxides and sulfides. At the higher temperature copper chloride is present the state of Cu2C12 and its vapour pressure is sma11. Then it is ll㏄essary to keep the long time and higher temderature so that Cu2Cl2 should be sublimated completely.
れている。 吾妻,佐藤氏等(1)は花岡鉱山産の精
1.緒 論
鉱について,Cu, Znを塩化物として揮発分離し
古るくから行なわれている含銅硫化鉄焼津から Feを残津中に残す選択塩化焙焼を行つている。
Cuを回収するラーメン法や,複雑硫化鉱から W. Kangro(2)氏は硫化鉱の完全焙焼したものに、
Pb, Zn, Cuなどを回収する方法はいつれも塩化 Flnk氏(3)は亜鉛精鉱及び焼結鉱について行つて 剤として食塩を用いる。この種のいわゆる塩化焙 おり,古るくはPohle Croasdale, Mair氏等(4)が 焼では鉱石の焼結,生成金属塩化物の揮発,容器 酸化物,硫化物を高温で処理すればCu, Pb, Zn の腐蝕などの問題があるので通常600°C以下の低 る始めAg, Auを塩化物として揮発回収出来るこ 温で行う。然るに近来塩化剤として塩素ガスを用 とを認めている。 L.Reeve氏(5)はApPleby・
い,可成り高温で焙焼し塩化物を選択的に揮発せ Frodinghamの低品位鉄鉱を塩酸ガスを用い,300 しめる方法が提案され,2,3の実験結果が報告さ 〜500°Cの低温で処理し,Feを塩化第二鉄とし
24 一植 田 安 昭一
て揮発捕集した後,これを水蒸気で加水分解し塩 あろう種々の反応のFree・EnergyをKeHo9,(8)
酸を再成し,高品位酸化鉄を得た。 Ke皿ey,(9)Lange(10)氏等の数値を用いて算出し 硫酸津,塩化カルシユウムなど混合し,酸化雰 た。これらの結果から反応の平衡,生成塩化物の
囲気中で1000°C以上に加熱すればCuがCuC12 変化並びに反応速度などを考察し,とくに種々のとして揮発除去せられ,同時に焼結が出来るとい 銅化合物に対する焙焼機構や,揮発分離の可否を う特許(6)などもある。 推定した。
此等の処理法は高温において塩化物の蒸気圧が
大きいことを利用するものであるから,その大小 2・塩素ガスの発生機構
から可能性の有無が推察されよう。Fe・Cu・Zn・ 食塩のような固体塩化剤を使用した場合,焙焼
Pbなどの塩化物について温度一蒸気圧関係を示 中に起る塩素化反応は塩素ガス発生によるものと せば第1図の様になる。 置換反応による2ツに大別されている。そこでこれらの塩化剤より塩素ガス発生の状態を検討する
第1図
ため、空気、水蒸気圏中での加熱並びに硫黄,酸
㍗ 興悟晦ωα・ 黍鑛㌶蒜㍗甕㍍△讐巖議㌶
? を示せば第2図の様になる。
せ08
)@ 第2図
唄06
纏。4 ㌔ 』
→60 言・・
2・・⑭6・・8・・ … 2。・件・・ 。・ 一゜
温 度 〃C S・
R3」 堤化物の違気.圧 ・4・
寸80 これから300°C台で1気圧を示すものにFeC13が,
㌶ら・G
… 猷㍗渚豊烏
700°C前後でZnC12が・900°CでPbC12があり, これから解るように食塩,塩化カルシユウムは Cu2C12はかなり蒸気圧が低く,従つて揮発除去 極めて安定な化合物であるため空気中で加熱して
のためには相当の高温と長時間処理が必要なこと も殆んど分解は認められない。 報告によれば,
などが解る。 LSGupta(11)氏等は食塩を810。Cまで加熱して
このようにCuその他の有価金属が簡単に塩化 も全ぐ分解が起らないことを実験的に確めている
物どなり,脈石から揮発分離出来るならば,生成塩 叉E.S. Tomula,(12)Briner(13)氏等は塩化カルシ 化物は酸素又は水蒸気に対する親和力の差異によ ユウムから塩素ガスが発生し始める温度は670〜
つて選択酸化を行うとか・或いは・熔融塩電解に 700。C附近であり,この際塩化マンガンが触媒と よつて容易に粗金属とすることも出来よう。又そ して作用すること,鉱石中の酸化鉄,珪酸等と反 の際出来る塩酸ガスや・塩素ガスは再成循環出来 応して(CaO・Fe208),(CaO・SiO2)となつて塩
るはずである。 またTi・Zr塩化物のように他の 化カルシユウムが分解するのは650。C以上の温度 金属で置換したり・Kro11(7;氏の暗示している様 であることなどを認めている。(14)従つて実際に に合金並びに金属の精製等に適用されうるであろ 使用する場合,鉱石申の不純物によつてかなり分 うから・従来の低温焙焼と浸出処理の方法にくら 解温度は影響を受けるであろう。一方塩化マグネ
ベて広い利用面と特長が期待される。 シユウムは空気申加熱により簡単に分解して塩素以上のような見地から,従来の食塩による塩化 ガスを発生することが解る。
焙焼の反応機構を熱力学的に再検討すると共に, 次に水蒸気圏中で此等塩類を加熱した場合,塩
塩素ガス,塩酸ガス,塩化カルシユウム,塩化マ 化カルシユウムは約460°C,塩化マグネシユウム
グネシユウムなどによる塩化焙焼において起るで は更に低温より分解して塩酸ガスを発生すること
一塩化焙焼の反応機構,特にCUに就て一 25
が解る。A. P.Obukbov(15)氏等はMgCl2沮Cl・H20 2NaC1十SO3十%02=Na2SO4十C12 (3)
の3元系について研究を行つた結果500〜600°C (1)式は食塩に硫黄と酸素が,(2)式は亜硫酸 の温度が最適であるとしているし、河上氏(16)は ガスと酸素 (3)式は次亜硫酸と酸素とが作用し
FreeEnergyの計算結果より600°C以上で塩化マ たもので500°Cに於けるそれぞれの平衡恒数をグネシユウムは分解するとしている。実際に此等 求めるとKF 1.56×1024, K2踏&23×1043, K3=
塩類を水蒸気、空気気圏中で処理した場合、塩素 2.05×1043となり,反応式(2)による塩素ガスの ガス、塩酸ガスの発生は鉱石の性状による影響は 発生が優先的に起り,然も高温になるほどこの傾 勿論、、塩化物の吸湿性や結晶水の分解による水蒸 向は強くなることが解る。
欝麟隠竃㌶濃鷲:11 3・塩素ガスや塩酸ガスによる塩
は容易に想像されよう。 化反応
塩化剤と硫黄一酸素が作用して塩素ガスを発生 上述の諸反応で発生した塩素ガスや,塩酸ガス する場合としては、その代表例として食塩の場合 がCu, Fe等の硫化物,酸化物並びに硫化物,酸
次の3ツの反応式が考えられる。 化物並びに硫酸塩などの塩素化反応を熱力学的に2NaC1+%S2(9)+202=Na2SO』+Cl2 (1) 推察するため500°C,800°Cに於けるFree・Energy
2NaC1+SO2+02=Na2SO4十C12 (2) を計算した。これを表示すれば第1表の様になる 第‖表 硫化物、塩化物、硫酸塩化物より塩化物生成のFree・Ener駆
C12 ガス
反 応 式Cu 20+C12=Cu2C12+%02 髪Cu20+α2=CuCl2+%02 2CuO+Cl2=Cu2C12+02 CuO+Cl2=CuCl2+%02 FeO+Cl2=FeC』十%02 ハ6Fe203+%Cl2=FeCl3+
WO2
2CuS+C』=CuC12+S2 1C。S+Cl。−C。α,+%S2
Cu2S+CI2=Cu2Cl2+%S2
%Cu2S+α2=CuCl2+%S2 FeS+C12=FeC12+%S2 FeS+琴金C12=FeCl輩+%S2 FeS2+Cl2=FeCl2+S2 Fe2S2+%Cl2=FeCl3+S2 CuSO4+C12=Cuα2+%S2+
202 2CuSO4+CI2=Cu2Cl2+4S2 +402
△F773
一20,860
−17270
△Flo73 一22250
△F873
−15,520
+15,940 +18,130
△F873
+ 790
+13,750 十21,250
−44β30
−32,600
−25,710
−12,700
−31;670
−29・289
−25,770
−22,600
△F673
+51,620
+51,700
+3,030
+25,540
+15,220
−61,680
△F873
−33,450
−29,190
△F873
−20,090
−26220
−29,320
−32,960
−34,980
△F773
+36,110
−18,600
HC1 ガス
反 応 式Cu20+2HCI=Cu2Cl2+H亘0
%Cu20+2HC1=CuCl2+
H20
{2CuO+2HC1=Cu2α2+H20
[ +%0・
iCuO+2HCI=Cuα2+H20
△F・7・{△F・…
+3,360
+18230
+39,560 十25,410
Fe°+2HCI=FeCl・+H・°
h3亀38°1%Fe203+3}ICI=FeCI謬+ i +53,590 弱H20 ,
2C O欝CI=Cu2C』+H2S「乳12°
%Cu 2S+2HC1=CuC12+
%H2S+%H2
FeS+2HCI=FeCl2+H2S
l
FeS+3HC』FeCl3+H2S+
1 %H2
FeS2+2]日Cl=FeCl2+H2S+
%H2 1 FeS2+3HC1=FeCl3+弓2 H2S +%S2
CuSO4+2HCI=CuC12+H2 +%S2+202
2CuSO4+4HCI=Cu2C12+
2H2+S2+402
+24,900
,+3,320 +29,930 +9,220 +29β70
△F67銭 1 十98,740十168,210
+18,980
△F873
+22,890 十58,170
△F878
+32,050 十65,640 十70.480
−11,430
△F873
+6ρ30
+26,140
△F873
+28,480
+13,300
+34,950
十6,560
+24,300
△F77鵠
+83,580
+97,300
塩素ガスや塩酸ガスによる,塩化物生成の有無 反応されにくいことが解る。,そこでこの様な難塩
を比較すると塩素ガスの方がはるかに反応しやす 素化化合物に対しては,一般に考えられている様
いことがわかる。酸化物に対する塩素ガスの反応 な還元剤C,COガス或いは硫黄を利用した塩素化
はCu20だけで,他の大部分のものは正の値を示し が考慮されるであろう。然しながらそれと同時に
26 −一植 田 安 昭一
多くの豚石類中のあるものは易揮発性塩素化合物
を生成するから・還元剤の利用は高品位酸化物の 4.固体塩化剤による塩素化反応
場合にはよいが,低品位鉱を処理するに当つては
この点を考えねばならない。金属硫化物に対する 塩化剤として食塩塩化カルシユウムや,塩花
塩素ガスの反応は△Fの値が全部負を示すから容 マグネシユウム等を利用した場合は,1で述べた 易に塩素化されうることが解る。これに対して塩 様な各種の反応によつて発生した塩素ガスによる 酸ガス処理のものは,生成する硫化水素のFre← 塩化焙焼反応がす〜む。このほか第2表に示す様 Energyが塩酸のそれに比較して非常に小さいか な置換反応による塩素化反応が考えられる。
ら塩素化作用が弱くなるはずである。硫酸塩化合
物に対しては表に示す様にすべて正の値を取り全 第2表(2)CaC12による塩化物生成の
く塩素化作用を受けない。 Free・Energy
このように硫化物が塩素ガスにより最も塩素化 されやすいことが解つたので,此等硫化物の内ど の様な形態の化合物から優先して塩素化されうる か,その順位を表の値を利用して考察を行つてみ ること〜し,その計算の一例を示すと次の様にな
る。
2CuS十C12=Cu2C12十S2 (4)
FeS2十C12=FeC12十S2 (5)
(4),(5)式よりC12を消去
2CuS十FeC12=FeS2十Cu2C12 (6)
△F773=−19,060 △FIo73=−28,720 (6)式の△Fは負の値を示すので平衡は右側に かたよつていると考えられる。即ちFeS2,Cu2C12 が安定であるから、CuSの塩素化反応の方がFeS2 よりも起りやすいことになる。以上第1表よりこ
反 応 式
Cu20十CaC12=Cu 2C12+CaO
%Fe208+覧CaC12=FeC13+
CuSO4%CaO+CaC12=CuCI2 +CaSO4
FeSO4+CaC12=FeC12+CaSO4 FeSO4+CaC12+%02=
%FeC13・ト・%Fe203+
CaSO4
CuS+CaC12+202=CuC12+
CaSO4
Cu2S+CaCI2+202=Cu2CI2+
CaSO4
FeS+CaC12+202=FeC12+
CaSO4
FeS2+CaC12+302=・FeC12+
CaSO4+SO2
△Fo 78
+17,580
+117,160
一61,920 一20,900 一16,600
一142,300
−126,440 一133,980 一234,060
△亘、,3
+17,700
十125,760△F878
−78,190 一14,700
一 7,750△F878
−129200
一106,600 一118,970 一183,050
の様な計算結果を組合せて,塩素ガスにより塩素 第2表(3)MgC12による塩化物生成の
化されやすい硫化物の順位を示すとCuS→FeS→ Free・Energy・
FeS2→Cu2S→Cu20 となり右側のものほど難塩
素化化合物である。
第2表(1)NaC1による塩化物生成の
Free・Energy
反 応 式
lCuO+2NaCl=CuCI2+Na20
{C。。・+2N。C1−C。。C1,+N。,。
CuSO4+2NaC1=CuC12+
Na2SO4
FeSO4+2NaCI=Feα.+
Na2SO4 ヨ FeSO4+2NaC1+牙02=
%FeCl3+%Fe203+Na 2SO4 CuS+2NaC1+202=CuCl2+
Na2SO4
Cu2S+2NaCI+202=Cu2Cl2+
Na2SO4.
FeS+2NaC1+202=FeC12+
Na2SO4
FeS2+2NaC1+302=FeC』+
Na2SO4+SO2
△F678
→−88,060
+84,920
一43,240
+11,520
△F573
− 920
一123,600 一112,930 一127,000 一189,500△Fg73
△F873
十91,580+88,560
△F873
−55,810
+ 9,750
△F《ハ73
+ 3,910
△F878
−106,830 一82,030 一94,530 一159,300
反 応 式
CuO+MgC12=CuCl2+MgO
Cu20+MgC12=Cu2C12+MgO
乃Fe 200,+%MgC12=FeCl3+
弓金MgO
CuSO4+MgC12=CuCl2+
MgSO4
FeSO4+MgCl2=FeCl2+
MgSO4
FeSO4+Mgα2+%02=
%FeC13+MgSO4+%Fe203 CuS+MgC12+202=CuC12+
MgSO4
Cu2S+MgC12+202=Cu2CI2 +MgSO4
FeS+MgC12+202=FeC12十
MgSO4FeS2+MgC12+302ニFeC12+
MgSO4+SO2
△F673
_ 5,920
一11,110
十128,860一47,560
一 6,550 一 1,220 一145,090 一120,080 一133,720 一194,000△Fg73
△F873
− 4,650 一 8,940 十150,510
△F8703
53,700
+14,300
+21,760
△F87}ハ
ー127,050
一74,150
一106,300 一155,000表より食塩塩化カルシユウムではCu20が,塩
化マグネシユウムはFe203のみが正の値であつて
反応しないこと,それ以外の化合物は塩化作用を
一塩化焙焼の反応機購,特にCuに就て一 27
熔融化合物の生成は殆んど認められないであろう ∫〃
そこで常に新しい反応面が現らわれ,然も反応 ㊨ は容易に右側に進行して行くことになる。この点 づ゜
に就ては平衡恒数のみからでなく,反応速度論的 s2〃
な考察を必要とするであろう。 とシ〃
第3表FeC13,CuC12による塩素化反応 .、,
のFreeEergy.
ナ2ρ
受けることが解る。又硫酸塩化合物は塩素ガスや 生成塩化物の内FeCl3, CuCI2は鉱石申に残存 塩酸ガスで塩素化出来なかつたのであるが,此等 する未反応硫化物,酸化物と作用して低原子価塩 塩化剤との置換反応はおこりうる。 素化合物即ちCu2Cl2, FeC12に移る。所謂2次塩 然しながら清水氏(17)は食塩とMeO, Me Sとの 素化反応を起す。また塩素ガスや,塩酸ガス気圏 置換反応について600°C以下の低温で実験を行つ 中に於ける生成塩化物間の相互反応特にCu 2CI2 た結果,反応は起つたとしても痕跡程度であつた ξCuC12, FeC12≒FeC13の平衡も考えねばなら
と述べている。これはもともと生成塩化物の熔融 ぬ。焙焼中に起るであろうこの種の反応につい
点が非常に低いことや反応物質相互間に低熔融 ても△Fと温度の関係から更に検討してみよう。点化合物が生成しうること,例えばCuSとCu 2C12 酸化物,硫化物に対するFeCI3,CuC12による塩
との共晶(390°C,CuC1285%moL)などにより未 素化反応を前と同じく500°C,800°Cについて 反応化合物の表面に附着するため反応は塩化剤と FreeEnergyを示せば第3表のようになる。即ち 金属化合物との新しい接触面が常に出来ておれば 300°C以上で気体状態のFeC13による塩素化反応よいのであるが,融体中への固体の拡散は低温で な全部負の値を示し,塩素ガスの場合と同様かな は非常に小さい為,計算上反応が可能であるにも り強い反応性を示すことが解る。またCuC12の場
か〜わらず実際あまり塩化物が出来ないのはこの 合も同様塩化剤として作用し,分解してCu2C12様な理由によるものと思われる。然しながら生成 になる。
塩化物の易揮発性を利用する場合は,従来の処理
温度よりもかなり高温で焙焼するから,塩化物 第3図 は生成と同時に気化することになり,この様な低
. 」 、){し
反 応 式
3CuO+2FeCI3=Fe2q3+
3CuCI2
3Cu20十2FeCI3=Fe203十 3Cu2C12
2CuS+2FeCI3=Cu2Cl2+
2FeC』+S2
CuS+2FeCl3=CuCI2+2FeCl2 +XS2
Cu2S+2FeC13竺Cu2Cl2+
4FeCI2+%S2
Cu2S+4FeCl諸=2CuCI2+
4FeC12+%S2 FeS2+2FeCl3=3FeC12+
膓6S2
FeS2+2FeC13=3FeC12+S2 CuS+CuC12=Cu2CI2+%S2
%Cu 2S+CuC12=Cu2CI2+
%S2
FeS+2CuC12=FeCI2+Cu2Cl2 +%S2
FeS2+2CuCI2=FeCl2+
Cu2C12+S2
△F673
一46,540
−103,340
−52,510
−39,750
−33,280
−68,750
−44,380
−39,680
−16,020
−2,290
−18,210
−11,050
△F873
一22,850
−98,000
−52,200
−32,500
−18,640
−31,000
−33,480
−29,580
−19,980
−3,090
−27,750
−17,130
泥詑 パ1
ひ、詑砺、。ド輪 、2
〈ムα、・万0λ・ω0バ〜・
一長α・%εゲ克.じ
・3・ らα・す杉…在。・・α2
R83醐3:后α・,叫ごらcら並び・蹴・△F一戯
」幻イ系線図次にFe,Cu塩化物の平衡反応及び慰素,水蒸気 による酸化反応の△F一温度関係を示せば第3図の
様になる。図表から塩素気圏中でFeC12は640°C以上になるとFeC13に変ることや, CuC12は700°C 附近の温度まで安定なことが解る。 然しながら 1000°C以下の塩酸ガス気圏中に於ては, この様 な塩化物の変化は認められない。また久島氏(18)
によつても,CuC12は600°C以上でCu2C12とC12 に分解することや,Fe203がCuC12の解離に触
媒として作用するため相当低温から分解が認めら
れるとしている。結局銅塩化物はそれ自体の解離
や相互反応により,高温に於ての大部のものがCu 2Cl2の形で存在しているであろうと推察され
5.生成塩化物と酸化物並びに る。そしてCu2C12の蒸気圧は1000°Cぐらいでは 硫化物との反応 非常に小さいから,硫酸澤中の銅をこの反応によ28 一植 田 安 昭一
つて揮発せしめるためには,より高温に加熱する 物から置換反応により塩化物に変化せしめること ことが必要であろう。 は計算上可能である。しかしながら生成塩化物の 最近塩素一酸素混合ガスを用いて,Pb, Zn, Cu 熔融点が低いことや,易揮性共融成分の生成等に 等を分離揮発せしめる選択塩化焙焼法が提案され より未反応化合物の表面をおほふため,平衡恒数 ている。混合ガス気圏申に於てCu2S,FeSに対す や,塩化物の蒸気圧ばかりからでなく反応速度の る塩化物生成のFree・Energyの値が負を示すこと 面からも考察する必要のあることが解つた。
などから,更に塩素一酸素気圏申に於て,生成塩 (5)FeC13, CuC12は塩素ガスと同様可成り強い 化物特に銅塩化物がどの様な状態で存在するかを 塩化剤として作用する。また銅塩化物は高温にお
若干考察してみよう。 , いては,大部分がCu2C12の形で存在し,加熱気圏久島氏(18)は此種気圏中でCu2C12を加熱した場 によつては不揮発生のCuOの生成が起る。
合,200°C附近よりCu2C12十C12→2CuC12が・ 尚本稿は塩化カルシユウムによる硫酸津の脱銅
500°C以上では2CuC12+C12の反応が起ることを に当り,あらかじめ熱力学的数値を検討したもの 実験的に明らかにしている。然し銅塩化物に対す で,高温に於ける揮発実験の結果は次の機会に報
る酸素や・水蒸気の酸化反応は第3図にも示して 告する。以上の執筆に当り,岡元教授より懇篤な ある様に500°C以上で簡単にCuOえの酸化が起 る御指導を賜つたことを附記し,こ〜に謹しんで る。勿論硫化物を処理した場合には亜硫酸ガスの 謝意を表する。
分圧も考慮せせねばならないが,銅を高温で
文 献:
Cu2C12として気化せしめる際,塩素ガスー酸素
の分圧比によりCuOを生成しうるから,加熱気 (1)吾妻,後藤,斉藤:日本鉱業会誌
圏中の酸素濃度を考慮することが大切である。 72(1956)241
(2)W.Kangro:Erzmeta皿. 7(1954)202
6.結 論 (3)GFink:Eng and Min・J 155(1954)90 硫酸⊇存在していると考えられる種々の化④ l}:H孤db°°k°fn°鴨言〜錫艦8
合物・と9こCu・F・などを対象として・各種塩化 ⑤RLeev。、エ。f th。1,。n and Stee11n、L 剤を用いて焙焼を行つた際,起るであろう種々の (1955)No.926 反応についてFree・Energyを計算し,平衡恒数な (6)特許公報:昭和30〜4506
どから反応機構を考察した。これを要約すると次 (7)W,J. Kron:US. Pat
の様になる。 239679a March・n1946
(1)食塩等の塩化剤を酸素,水蒸気気圏中で加 ⑧旺Ke皿09:Trans A・1M・E・188(1950)862
熱した場合,分解による塩素ガス,塩酸ガスの発 (9)KK・11・y・Bu1LMi江B・L 406(1937)147 生機構を考察した・嚇一藤共存では塩素ガス⑩諱Gよ鑑tよi6。罐癬。麗lcl鐡9)、。2 発生は主として
(11) LSGupta:・C. A. 42(1948)3276
2NaC1+SO・+0・=Na・S°・+C1・ ⑫EST。mu1。、 C A 4・(・947)5694
な濃㌶鴎騰讃ミ㌫㌶驚叢::_ご2㌫71111
化物が遵化物はCu・°のみが作駆れる・そし ⑮・bkukh。▽Lav,。v、 C A 29(・935)7593
蕊琵撫灘獅ガス 罐ガスα6ぽ上著・金属理学上 ・93
③Cu及びF・などの化合物から塩化物が生成α嬬水:躰鉱業会誌67(1 F51C4;1 するのはCuS眠FeS訪Cu・S Cu・0の順である ㈱久島,採鉱冶金月報 15(1937)110