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基礎情報処理(オ)を通した適正評価と社会人情報基 礎力

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Academic year: 2021

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(1)

著者 岡本 信弘

雑誌名 久留米大学コンピュータジャーナル

巻 29

ページ 21‑30

発行年 2015‑03‑01

URL http://hdl.handle.net/11316/521

(2)

- 21 -

1.

はじめに はじめに はじめに はじめに

近年,コンピュータやインターネットが一般に広く普及し,一般社会において職種や専門分野を問わ ず,情報収集から整理・表現に至るまで,社会のあらゆる場面においてコンピュータを利用する機会が 増え理科系は必然であるが,文科系の者においてもコンピュータによる情報処理技術と技能は必要不可 欠のものとなっている。基礎情報処理では,コンピュータの基本的な使用方法について実習を通して体 験的に習得していくことを目的としている。

情報処理技術は今後の知識基盤社会,グローバル社会においては知識や技能だけではなく,それらを 活用して課題を見いだし,解決するための思考力・判断力・表現力,コミュニケーション能力,意欲等 が重視され,企業等では,思考力をはじめとした多面的な観点から基礎的要素としてその能力を求める 取組が行われるようになってきている。

そのような中で基礎情報処理(オ)Ⅰ・Ⅱは

1

年次の履修講座としての設定となっており,企業が求 める資質と能力を備えた人材育成を行うためには,入学する多様な学生に対して情報処理の活用能力の 育成と資質能力を有する学生に対応した構成を行う必要がある。

また,評価に関しても,知識や技能を身に付けているだけではなく,それらを活用して問題を解決し たり,自分の考えを的確に表現したりする力を適切に評価し伸ばしていくことは,今後の学生の成長に 寄与できるもとと考える。特にどのように評価を行うかを明確にし,学生に対して,適正評価基準を設 定し評価を行こととした。

評価を行うにあたっては,実習系の講義においては定期試験等の設定ができないため,専門高校にお ける実習系評価基準を適応した。具体的な評価は,国立教育政策研究所の「評価規準の作成,評価方法 等の工夫改善のための参考資料(情報) 」各学校における評価規準の作成,評価方法の工夫改善に資する よう,内容のまとまりごとの評価規準及びその具体例,単元(題材)の評価に関する事例,観点別評価 の 総 括 及 び 評 定 へ の 総 括 に つ い て の 考 え 方 な ど を 解 説 し た 参 考 資 料

(http://www.nier.go.jp/kaihatsu/shidousiryou.html)をベースとし,独自の評価基準を設定し学生の評価を行 うこととした。

2.

シラバスとの関係 シラバスとの関係 シラバスとの関係 シラバスとの関係 基礎情報処理 基礎情報処理 基礎情報処理

基礎情報処理( (( (オ オ オ オ) )) )を通した適正評価と社会人情報基礎力 を通した適正評価と社会人情報基礎力 を通した適正評価と社会人情報基礎力 を通した適正評価と社会人情報基礎力

岡本 信弘

Nobuhiro Okamoto

†久留米大学 非常勤講師

Part-time Lecturer Kurume University.

[教 材 研 究]

(3)

22

今回,年度当初にシラバスで履修内容の提示を提示し基礎情報処理(オ)では,社会人情報基礎力と もいえる「

Microsoft Office

」を中心に実習を

15

回行う計画を立てた。しかしながら,コンピュータに関 する受講する学生の温度差が大きく,基本的にはシラバスの内容を踏襲したものの,細かな点において 変更を行うこととした。変更点は下記の点である。

1.ガイダンス

2.コンピュータと日本語入力の基本

3. M I K A T Y P E

によるキーボードの基本入力

4.

日本語とタイピング技術(

1

5.

日本語とタイピング技術(2)

6.日本語とタイピング技術(3)

7. Word

とビジネス文書制作(1)

8. Word

とビジネス文書制作(2)

9.Word

とビジネス文書制作(3)

10.Word

機能の活用方法

11.Word

機能の応用(1)

12. Word

機能の応用(

2

13. Word

機能の応用(3)

14.Powerpoint

の基礎

15. Powerpoint

の応用

3.

求められる社会人基礎力 求められる社会人基礎力 求められる社会人基礎力 求められる社会人基礎力

「社会人基礎力」とは, 「前に踏み出す力」 , 「考え抜く力」 , 「チームで働く力」の

3

つの能力(12 の

能力要素)から構成されており, 「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な

力」として,経済産業省が

2006

年から提唱されている。

(4)

- 23 -

2013

年度の「社会人基礎力育成の好事例の普及に関する調査」によると『社会人基礎力』の目指すもの として,

3

つの行動が重要となっている。

1

つは, 『 「外(異) 」への対応 とされ,サービス化が進展す る市場において,顧客価値を 創造するためには自社・自組 織の範囲を超えた価値・魅力 の編集を求められ, 「異業種・

異分野」との連携もその重要性を増している。さらに,技術は進化と共に深化・細分化する傾向があり,

これら成果物を社会に打ち出していくためには,自らの領域を超えて顧客価値を「外」に目を向け, バ ックグラウンド(専門性,文化,価値観等)の異なる人々と協働する力,自分の専門分野と異なる「も の」 「こと」に目を向け,それらを自らのコアと結びつける力を身につけること』が求められる。

2

つ目は, 『 「学び直し」への対応技術や製品のライフサイクルの短縮化が進んでいることにあり,技 術・製品のライフサイクルが 高速化するということにより,働く人々の「学び直し」のサイクルも高速 化するということであり,このような 変化を踏まえ,企業の採用や人材育成等においても「学んだ結果」

以上に,その過程において身につけた学ぶ姿勢・行動特性・着想等を重視し,望ましい行動の再現性に 注目する傾向がみられている。 』とされるてんである。

3

つ目は情報加工に求められる『 「主体的行動」である。

ICT

化の進展等により職場環境が整備され,ツ ールもより便利なものに進化してきている。このこと自体は発展として歓迎すべき利点であるが,働く 人という視点で考えると,仕事の現場の変化の中で,業務の質も高度化する傾向があり,また一人で仕 事を進める場面も多くなることで, ますます自らが 主体者となって仕事をデザインし, 周囲に働きかけ,

巻込んでいく行動が求められている。 』ことから情報処理及び加工の面においても,求められる技術とさ れる。

「社会人基礎力」の育成に向けて課題発見・探求能力,実行力といった「社会人基礎力」などの社会 人として必要な能力を有する人材育成が必要であり,この実現に向けて,大学は学内だけに閉じた教育 活動ではなく,社会との接続を意識した教育の強化が必要であることが提言された。さらに, 「日本再興 戦略」 (2013 年6月14日閣議決定)においては,我が国の将来を担う若者全てがその能力を存分に伸 ばし,世界に勝てる若者を育 てることの重要性に鑑み,インターンシップに参加する学生数についての 目標設定や,キャリア教育から就職まで一貫して支援する体制の強化等の内容が明記されたところであ る。

今後,大学等の教育現場は,学生達が将来活躍する社会,産業界等に目を向けられた場に変わってい くことが期待され,また,教育活動においては「教える」視点だけでなく, 「学生自身にいかに経験させ,

考えさせるのか」という課題にしっかりと取組んで行かなければならない。

さらに,情報に関してもビッグデータの中から企業・個人の情報を選択し必要なもののみを加工する こと,また,情報の高速化と処理加工能力を身につけることは仕事をデザインし業務の効率化に求められ るものとなる。これが社会人情報基礎力ともいえる力であろう。

4.

情報 情報加工 情報 情報 加工 加工のスキルを上げるために 加工 のスキルを上げるために のスキルを上げるために のスキルを上げるために

前述したように,情報の基礎能力を上げるために,普通科出身と専門高校出身のスキル差を考慮しつ

つ,実習を行うために日本語入力の能力アップを図ることとした。

(5)

24

4-1.日本語入力

1

つはフリーソフトである「ミカタイプ」を使った基本的な入力の練習である。また,入力のみでは 学生の伸長が図れないため,ミカタイプの練習後に入力テストを行った。

美佳タイプの基本練習

入力練習問題(競争を促すようにする)

10

分間でタイピング数を競う練習問題(例)

10

分間でタイピング小テストを行い,タイピングの文字数により評価を行うこととした。

4-2. ビジネス文書処理

2

段階として,社会人として必要なビジネス文書を時間内でミスなく制作することを目標として,WO

による文書制作の実習を実施した。

(6)

- 25 -

練習内容

○ 文字・記号の入力

○ フォントの変更(明朝、ゴシックなど)

○ フォントサイズの変更(ポイントの変更)

○ 英数字の全半角

○ 文字書体(太字、斜体など)

○ 下線(一重線、二重線、点線、波線など)

○ 文字の配置(左揃え、中央揃え、右揃え)

○ 文字飾り(取り消し線、影付きなど)

○ 囲み線

○ 網かけ

○ 図形描画(四角形、角丸四角形)

○ 図形の配置(左揃え、中央揃え、右揃え)

○ 図形内の文字入力(横書き)

○ 図形内の文字入力(縦書き)

○ 図形の加工(線種、塗りつぶし、影、立体など)

○ 図形の書式設定(レイアウト、順序など)

○ 文字の拡大・縮小

○ 均等割り付け

○ 画像の挿入(貼り付け)

○ 画像の配置(左揃え、中央揃え、右揃え)

○ 図形描画(楕円、吹き出し、ブロック矢印、額縁など)

○ 表の挿入と配置

○ 表の加工(線種、セルの結合、網かけなど) 表-1

ビジネス文書を制作するに当たって,

WORD

の基本的な操作方法およびビジネス文書制作の基本的な ルールをマニュアル化し学生に配布するとともに,

E-learning

上にもアップロードし,事前事後の学習が できるように配慮することとし,練習内容を下記の内容とした。

上記の内容を含む問題を作成し,

WORD

の操作解説と実技テストを繰り返し行い,

WORD

を使っ

た情報加工処理技術の習得を目標に構成を行った。

(7)

26

図-2

Word

自作マニュアル

図-3 ビジネス文書練習問題

4-3 WORD

文書の応用

WORD

の応用として,表・図形処理・画像処理の処理方法学ぶ手法として,自作マニュアルを制作し 学生に配布し,理解度を深めた,ポイントとして,毎回のテストを行う前に,必ず応用(使用する機能)

の解説を行い,学生のレベル差を埋めることで,理解度と取り組み姿勢によって,評価を行う取り組み

を行った。

(8)

- 27 -

図-4

WORD

の応用マニュアル

難易度別に問題を設定し,テスト時間を

30

分としてテストを実施した。

(9)

28

図-5 練習問題

(10)

- 29 -

5.

実習評価 実習評価 実習評価 実習評価

評価に関しては,実技評価と実習内容の評価に分けることができる。

まず,実技評価に関しては,講義毎でテストの出力を評価するが,評価基準を下記の条件で評価を点数 化し作成することとした。

採点基準 点

1 文字・記号の入力(誤字、脱字、余分字、打ち切れない、スペースの有無など)

※1文字ごと

2 フォント・フォントサイズの変更(ゴシック、楷書、行書、文字ポイントなど)

3 下線(一重線、二重線、点線、波線など)

4 文字の配置(左揃え、中央揃え、右揃え)

5 文字飾り(取り消し線、影付きなど)

6 囲み線・網かけ・均等割り付け、ルビ、文字色 7 文字の拡大・縮小

8 ※1処理ごとに、または1行1処理ごと

9 画像・図形の配置(左揃え、中央揃え、右揃え、順序)

10 図形内文字の横書き、縦書き、改行位置 11 図形の加工(線種、塗りつぶし、影、立体など)

12 画像・図形のレイアウト

13 表の加工(線種、セルの結合、網かけ、配置、余分行、余分列など)

14 表内文字の改行位置 15 図形描画(他の図形)

※1処理ごと

16 画像の挿入(貼り付け) ※1処理ごとに 10点

17 図形描画の未処理

※1処理ごとに

※図形内の文字は別に減点 18 表の未完成および未処理

※1表ごとに

※表内の文字は別に減点

19 特殊文字  ※1処理ごとに 10点

20 ドロップキャップ ※1処理ごとに 10点

21 印刷

複数ページにわたって印刷された場合

2点

2点

2点

10点

10点

10点

図-6

評価点に関しては,欠席した場合,ゼロ点,公欠の場合は,学生の平均の

8

割を加算し評価点とした 本来,学生を評価する場合,学生の実態を踏まえて設定した観点別学習状況の評価規準や評価方法等 を明示するとともに,それらに基づき適切な評価を行うことが求められる。特に大学においても授業評 価の導入等により, 学生に対しての説明責任は大きくなり, 適切な評価が求められる時代となっている。

そのような中で,特に実習系の講座は評価基準を明確にし,十分踏まえながらそれぞれの科目のねらい

や特性を勘案して具体的な評価規準を設定するなど評価の在り方を工夫する必要がある。さらに,目標

に準拠した学習評価により学習状況の評価を行うことは,①学生に身に付けさせる資質や能力を目標設

定段階で明確にすることにつながること,授業において評価の機能を生かしながら意図的計画的な授業

(11)

30

が可能となる。

今回は,上記のことを踏まえて,毎回の実習評価を行い,平均を成績とした。

図-7

6.

まとめ まとめ まとめ まとめ

今回は実技系の講座を飽きることなく社会人基礎力(情報加工)を身につけさせるために,スピード 入力からビジネス文書の作成,図形から画像処理を

WORD

で行い,どのようにして適切な評価を行う かを実施したが,実技内容に関しては,毎回のテストにより,学生にとっては成長度が把握できるこが メリットとなり次回への学習意欲につながっているものと考えられる。

また評価に関しては,参考となるのは,高等学校の評価基準であろう。目標に関しても「情報及び情

報技術を活用するための知識と技能を習得させ, 情報に関する科学的な見方や考え方を養うとともに 社

会の中で情報及び情報技術が果たしている役割や影響を理解させ社会の情報化の進展に主体的に対応で

きる能力と態度を育てる」など学習の到達目標を明確化し,その実現に向けてどのような講座内容にす

るかを厳選していくことが,今後求められる。

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