川 原大 池 の淡水化 と柱状堆積 物 中の脂質 成分
近 藤 寛 ・板 倉 麻 子*
長崎大学教育学部地学教室
石 渡 良 志 東京都立大学理学部化学教室
(平成5年3月15日 受理)
Lipid Compounds in the Sediment Cores of Lake Kawahara Oike documenting it's change from Brackish Water to Fresh Water
Hiroshi KONDO, Asako ITAKURA*
Department of Geology, Faculty of Education
Nagasaki University, Nagasaki, 852, Japan
and
Ryoshi ISHIWATARI
Department of Chemistry, Faculty of Science
Tokyo Metropolitan University, Hachioji, Tokyo, 192-03, Japan (Received Mar. 15, 1993)
Abstract
Lipids from sediment cores of Lake Kawahara Oike which changed from brackish to fresh water between 1962 and 1979 were examined. The sediments of core A were black mud in the top 12 cm and grey mud from 12 to 35 cm.
The grey mud contained higher values of hop-22 (29) -ene, farnesol, phytol and 4 - methylsterols. The abundance of these compounds was certainly caused by the biological production in the brackish water lake during the time of deposition of
the grey mud.
The black mud in the top 12 cm contained n-alkanes, n-aldehydes, alkane-2-ones and n-alcohols with a high L/H and a low CPI. A high L/H and low CPI are attributed to autochthonous inputs of planktonic debris in the fresh water lake. The grey mud in the 12-35 cm range contained the same compounds as the black mud, but with a low L/H and a high CPI which are indicative of higher plant origins. The grey mud samples also have large amounts of P-sitosterol and stigmasterol which are markers for terrigenous higher plants. The characterization of these compounds in the grey
*長 崎県厳原 町立久 田小学校
mud indicate transport of higher plant debris by the river to Lake Kawahara Oike during the time the lake was brackish.
Oil pollution induced petroleum hydrocarbons were not detected in the core
samples because of the absence of an unresolved complex mixture (hump).
1.は じ め に
川 原 大 池(面 積0.13㎞2,最 大 水 深9m,淡 水 湖)は,長 崎 県 西 彼 杵 郡 三 和 町 宮 崎 の海 岸 近 くに位 置 す る海 跡 湖 で あ る(第1図)。 湖 沼 型 は 中栄 養 湖(環 境 庁,1987)な い し富 栄 養 湖(松 山 ・廣 田,1985)に 区 分 され る。 流 入 河 川 は池 田 川(流 域 面 積1.94ktn2)と,か つ て 小 池 に通 じ て い た 用 水 路 で あ る。 川 原 大 池 は,以 前 は汽 水 湖 で あ り,湖 の 出 口 に 水 門 が 設 置 さ れ た1962年 以 後 も海 水 が侵 入 し,湖 の下 部 に は海 水 が 滞 留 して嫌 気 的 とな り,高 濃 度 の 硫 化 水 素 を含 む 水 質 の 躍 層 が存 在 し て い た 。しか し,川 原 大 池 淡 水 湖 化 計 画 に 伴 い,1974 年1〜3月 に ポ ン プ に よ る 強制 脱 塩(躍 層 除 去)が 行 な わ れ,排 水 樋 門 が 完 成 した1979年 頃 に は川 原 大 池 は 淡 水 化 が 完 了 した(建 設 技 術 研 究 所,1973;長 崎 県,1979;環 境 庁, 1987)。 こ の 間 の1977年 に小 池(好 気 的 な富 栄 養 湖,淡 水 湖)が 埋 立 て に よ り消 滅 した 。 こ の よ う な 川 原 大 池 の 汽 水 湖 か ら淡 水 湖 へ の変 化 は,湖 水 や 堆 積 物 中 の 生 物 種 とそ の 活 動 に 影 響 を及 ぼ し,そ の 結 果 と して,堆 積 物 中 の有 機 物 組 成 に も変 化 を与 え て い る と考 え られ る。 そ こで 川 原 大 池 の 環 境 変 化 に よ る堆 積 物 中 の有 機 物 の 変 化 を知 る 目的 の た め,柱 状 堆 積 物 を採 取 し て脂 質 成 分 の 分 析 を行 な った 。
2.試 料 ・実 験 方 法
1991年9月20日,川 原 大 池 の 湖 心 部 付 近 か ら フ レ ー ガ ー 式 コ ア ラ ー(内 径40㎜)に よ り 柱 状 試 料A(コ ア 長60cm),B(コ ア 長18cm)を 採 取 し た 。 試 料 は2cm間 隔 で 切 断 し て 分 析 時 ま で 一20℃ に 凍 結 し て 保 存 し た 。 水 質 は 水 〆一\
ミ
質 チ ェ ッ カ ー(東 亜 電 波 工 業,WQC‑20A)にsK8ik.L .
ct 9 AIN, 1m, 5 m, WOO pH, 7I<A, 41, 4Vatri, i f tlirk: tz
ck 9 AqZ Utz. ififilrOrti
^ C, g$N-M481- 60°C-MT, CHN
(#0*N MT-500S) V1:J L Z%
WIN b , I lgJOt oiA*ILb3aido) op-c 7 —A, BOAMPLIR-
7.1( n 1 g 1N
KOH/ 2z I --)i/gify-c7o.c, 3 -y--)1/ (9:1) ---c-Nfflutz
. eA-1,--_xm 12 -7 I, 7 4 9 ill'ith15-}UXIE**,
Fig. 1. Map of Lake Kawahara Oike with sampling locations A, B.
芳香族炭化水素(PAHs)・アルデヒド・ケトン,脂肪族アルコール・4一メチルステロー ル,4一デスメチルステロールに分画した。コアーAの0−8cmの4試料は硝酸銀を添加した シリカゲルカラムクロマトグラフィーによりn一アルケンを分離した。
脂質成分の定量は,ガスクロマトグラフ(Hewlett Packard社製,5890シリーズII)を 用いた。カラムはDB−5である。昇温条件は初期温度50。C(2分),120。Cまで30℃/分,310℃
まで6℃/分,保持時間30〜40分である。各脂質成分はFimiganmatINCOS−50GC/MSに より同定した。カラムはDB−5,昇温条件は初期温度600C(1分),120。Cまで300C/分,3100C まで6。C/分,保持時間40分である。
3。結果と考察
3−1.水質
水質の観測結果は第1表に示す。pHは1m以深では7.3から7.0に低下する。表層水と 底層水の温度差は10.90Cであり,両者は1〜5mの間で移り変わる。底層水は低酸素状態 にあり溶存酸素量は0.2㎎/2,濁度は248㎎/2である。セッキー板による透明度は2mで あった。このように川原大池は,水質がpHは7.5以下,底層水は無酸素状態,および透明 度は3m以下であり,富栄養湖であること(鈴木,1963)が裏付けられる。
3−2.柱状堆積物
コアーAの表層部0−7cmは還元性の黒色泥である。7−12cmは灰黒〜黒灰色泥,12−35cm は灰色泥である。さらに35−48cmは黒色泥,48cm以深は灰色泥である。コアーBは,0−5 cmが還元性の黒色泥,5cm以深は灰色泥であり,灰色泥となる深さはコアーAよりも約7 cm浅い。これは,コアーAとBは接近しているので堆積速度の差によるものではなく,何
らかの原因によりコアーBの表層の一部が欠 D,pth S㎝ple、
如したことが考えられる.従って,コアーはC一㎞)一㎞B艶lll)
2 2−4 灰色泥が現われる深さを基準にして,コアーBlack anoxic皿ud
Aの8−10cmとコアーBの0−2cmを並べて示1窟ll躍麟鷲誹、
した(第2,5図)。コアーの観察では,現在
Table1. Properties of waters in Lake Kawahara Oike。
Surface lm 5m Bottom
Gray mud
1222−24 26 ・・13
Plant debris
28 14
15
32 、 16
Plantdebris34 1735 18
19 20
Black mud 21
22 23
48 24 25 ∵ 26 一三:27
Blackishgraymud 』28
ゴ29 :130
欝蹴口ill
pH
Temperature(℃)
Dissolved O2(㎎μ)
Conductivity(mS/尼)
Turbidity(㎎/君)
8。1
27.4
6.4
0.01
4
7。3 7.1 26.2 16.9
4.0 0.2 0.02 0.09
6 166
7.0
16.5
0。2
0.09 248
Fig.2.Discriptions of cores A,B from
Lake Kawahara Oike.
の嫌気的環境下で黒色泥が形成されたのは明 らかであり,その下の灰色泥はやや好気的な 状態で堆積し,その下位の黒色泥は嫌気的な
0
Org.carbon(%)
4 5 6 7
C/N四eightratio
8 9 10 11 曳2
CoreB A
炭素Cは多いが5〜6%と変動する。コアー Bでは炭素Cは0−2cmの黒色泥では5.9%と 多く,灰色泥ではコアーAと同様に4−8cmに 高いピークがあり,8㎝以深では約5%と少 なくなる。C/N比は,コアー表層部の黒色泥 ではコアーAが9〜10,コアーBが9以下で
830
40
50
ゆB
ζノ電、
し、
..》
含
♂
改、 A
P
隊ム
Fig.3. Vertical distributions of organic あるが・下位の灰色泥ではいずれも高くなつC and C/N ratio.
ている(第3図)。
炭素Cと窒素Nの量は,川原大池と同様な 海跡湖である鹿児島県上甑島の湖沼群のC量
C D
3.12〜4.13%,:N量0.42〜0.54%(福島ほか,L出e Ka田ahara oike 鳳 り ゆ 1990)や水月湖(上村ほか,1992)のC量4.O BlackanQxicmud
14〜35:AI iphatic hydro(}肛bons
〜9.5%に近い。川原大池のC/N比 零:c・nta皿inati・ns 9.1〜10.8は,水月湖の8〜9よりも大きい。 17 川原大池のコアー試料は,このようにC量が
多く,またC/N比が大きいことから,Cに富 む陸上の植物質有機物が多いことが示される。
とくにコアーAの12−35cmにある灰色泥は,炭 素Cが5〜6%と多く,C/N比も10以上と大、、・516
きいので,陸上の植物質有機物により富むこ とが示される。
18 19
20 21
22 23
24
B
A
25 27
26
E
率
29
F Φ 目
o
① eq ハ ハ ム
31 £30 33 32 35
34
3−3.炭化水素
炭化水素のガスクロマトグラム(第4図)
では,脂肪族炭化水素は奇数炭素優位性を示 し,n一アルカンとそれに重なるC2、,C23,
C25,C27などのn一アルケンがある。従って,
脂肪族炭化水素量は両者を合わせた量である。
0−2cmのガスクロマトグラムはC、7のピー クが高く,C、g,C2、のピークもやや高い。ま
12 20
La上e Kawahara Oike
28 36 Retentiontime/min I.S. 宰
44
㎞e Kawahara01ke 12〜14c皿
Gray mud o
14〜35:Aliphatichydrocarbons
17 (①
23 N)
N N
1畠27
o=
21
25 29
31
1415 16 19
20 22
24 26 銘 30 33 32 3534
12 20 28 36 44 Retentiontime/皿in
た,C,7とC、、の間に未同定の高いピークA Fig・4・Gaschromatogramsofaliphatic hydrocarbons fraction.
〜F(質量数466,466,474,470,466,496)
がある。このような表層部0−2cmのガスクロ
マトグラムの特徴は,コアーA,
Bとも4cmまでの試料に認められ た。下位の12−14cmのガスクロマト グラムは,C、7と炭素数が多い C23,C25,C27のピーク,および炭 素数30の不飽和ホパノイド炭化水 素Hop−22(29)一eneのピークが 高い(第4図)。
石油汚染の指標であるべ一スラ インの上昇(ハンプhump)は,O o
−2cmと12−14cmのガスクロマトグ4 ラムに認められない(第4図)。こ8 12 れは,動力船の使用が禁止され,
お また周囲に住宅が少ない川原大池2。
は,底質への人為的な油汚染がな2・
いことを示している。
C、4からC35までの脂肪族炭化δm 水素量は,コアーAの0−2cmで多4
(A) (B) (C) (D)
n一Alkanesn一Aldehydes《lkane−2−ones n一Alcohols
cmO,20.ら O.10.2 0.10.20.31 23
o
曉9/9一㏄ 一㏄ ㎎/9−OC 一 ㎎/9−OC4
8
12
格
4ノ
! 一 ,
24 (G)
n一Alkanes O、5 1.O
LIH
(凹)
(E) (F)
4−desmethy1−4−methy1−
SterOIS SterOIS ワ ヨる ヌ
団9/9一㏄
(H) (1) (J) (K) (L)
n一AldehydesAlkane−2−onesn一Alcoholsn一Alkanes n−Alcohois−
0、5 10 1、5 0.2 0.乙 0.6 1 2 4 5 6 7 3 4 5 6
L/H 1、/H LIH CPI l4一凹
ノ 4詫
,ノジ
置
/プ
1 曳
ノ グノ
吼
) }
¥
、、
ノ ノ
、 、 し
く0.68㎎/g−OC(有機炭素)である が,2−8cmでは減少し約0.24㎎/
g−OCとなる。8−14cmでは増加し 0.42〜0.50㎎/g−OCである。その 下の14cm以深の灰色泥では脂肪族 炭化水素はやや減少し,22−24cmは 少ない(第5−A図)。C、4〜C35脂肪
8
12
16
2
(鰐)
C17一Alkane C1べC2亀AL
O.1 0.2 0.3
Fig.5.
B.
(0) (P)
Falnesol Phytol
C14−C28Al.C14−C28AL C14−C28AL、4−desmethy1二S (Q) (R)
4−methy1−S.4−methy1−S.
%
0 ;め 30 14 281 2 1 2 3 1 2 0.5
ノ
ー,
!ノノ
ノ
,
Vertical profiles of lipid compounds in cores A,
族炭化水素のL/H(L≦C2。,H≧C2、)は,コアーAでは,O r8cmはLO3から0.96に下が り,8cmで急に小さくなり,8−10cmの0.62から徐々に低下する。16cm以深では約0.23とな る。L/Hが小さくなる深さ8cmは,脂肪族炭化水素量が増える深さ8cmと同じである(第 5−G図)。CPI、4−34についても,0−2cmでCPI、4−34は4.1であるが,深さ8cm以深で CPI・4−34は大きくなり5を超える(第5−K図)。
n一アルカンの起源について,陸上の高等植物は,奇数炭素優位性で,炭素数が多いC21
〜C33一アルカンに富みCPI値が高く(Tulloch,1976;Brasse116厩1.,1978),CPIは,Han and Calvin(1969)によると10を超える。植物プランクトンの緑藻類や藍藻類は,炭素数 が少ないC、5〜Clgが多く,C、7がピークである(Weete,1976)。藻類のCPIは1〜5である
(HanandCalvin,1969)。珪藻類は,n一アルカンは微量でC2、のアルケンが多い(Volkman ε∫α1.,1980)。これらのことから,コアー試料中のC27,C29,C3、などのC2、以上のアルカ
ンは高等植物起源であり,C、7などC2。以下のn一アルカンは,藻類起源とみなされる。従っ
て,表層部0−8cmの試料は,C2。以下のn一アルカンが多いためにL/Hが大きく,またCPI
が低いので,藻類の増加を示すとみられる。また,深さ8cm以深は,脂肪族炭化水素が増
え,L/Hが小さくなり,CPI、4−34が大きいので,陸上の高等植物の寄与が多いとみられ
る。なお,川原大池において緑藻類は,珪藻類,渦鞭藻類と共に主要なプランクトンであ る(建設技術研究所,1973;松山・廣田,1985)。
n一アルケンは,コアーAの0−8cmでは,C15,C、7,C2、〜C27が主要なもので,その量は 0−2cmに多く,0.116㎎/g−OCであり,脂肪族炭化水素量の約1/5である。しかし,2cm以 深では0.23〜0.030㎎/g−OCと少なく,脂肪族炭化水素量の約1/10になる。
Hop−22(29)一ene/C14−C35脂肪族炭化水素は,コアーAの0−8cmで小さいが,8−16cmで 大きくなる。16−24cmではやや小さい。コアーBの0−8cmは,コアーAの8−16cmと同様に 大きい(第5−M図)。C17の脂肪族炭化水素(%)は,深度とともに小さくなる(第5−N 図)。Hop−22(29)一eneとC、7について,淡水湖から汽水湖に変化した水月湖のコアーでは,
Hop−22(29)一eneとC、7は汽水湖になり濃度が高くなる(上村ほか,1992)。川原大池では,
コアーAの0−8cmは,淡水湖の堆積物であるためにHop−22(29)一ene/C14−C35が小さく,
8−16cmは,この比が大きいので,川原大池が汽水湖の時に堆積したものとみられる。ま た,下位の16cm以深は,この比がやや小さいので,たとえば淡水湖的な状態であったかも
しれないが,不明である。なお,Hop−22(29)一eneは,海洋の生物起源とされている
(Venkatesan,1988)が,最近,陸上の土壌起源の可能性が指摘されている(Prahl6砲」.,
1992)。
1.S。
3−4.アルデヒド・ケトン PAHs・アルデヒド・ケトンのガス
クロマトグラム(第6図)において,
コアーAの0−2cmにある32〜36分 の高いピークは,炭化水素分画にみ られた未同定物質である。40分以後 にはHop−22(29)一eneと未同定の ホパノイド類A,B,C(質量数 412,426,440)のピークがある。化 石燃料の燃焼生成物由来とされる PAHsは大きいピークがない。
n一アルデヒドはC、4〜C33が認め られ,偶数炭素優位性を示す。含有 量は,コアーAの0−2cmでは0.29
㎎/g−OCであり,その脂肪族炭化水 素量0.68㎎/g−OCの約2/5である。n 一アルデヒドは脂肪族炭化水素のよ
うに2−10cmで少ないが,灰色泥であ る10−22cmで増えている(第5−B 図)。n一アルデヒドは10cmまでは炭 素数が少ないC、4,C、6,C、8などが多
く,10cm以深では炭素数が多いC22,
C24,C26などが多くなる。そのために
Lake肱冊hara Oike
o O〜2cm
目
oθ Black anoxic mud
国喝o
口 P《Hs
o
14〜33;Alkane−2−ones▽ =n−aldehydes
▽
① 口
(
15 ①
)国
2
N N
25 1
29 0q
=
14 マ ▽ 16 ▽ 17 v
▼ ▽ 18 9 2 ▽
▽23
2
▽
4
数 A B 31 30▽ ▽ 3ず C
20 28 36
Retention timelmin
44 52
o目
Lake Kawahara Oike
1
S. 12〜14c皿Gray mud PAHs
14〜33:Alkane−2〔o興es
▽ n−aldehydes
25 27
▽23 15ワ
▽
6 17 18
▽ 罵20
マ122
マ 鯉 4
▽路▽29 31
0マ ▼ 33マ
20 28 36 、44 52
ぶロもおロもエ ハ しまロゆノロ ハ
Fig.6.Gas chromatograms of PAHs,n−alde・
hydes and alkane−2−ones fraction.
L/H(L≦C20,H≧C2、)は,0−2cmでは0.9であるが,2−4cmでの1.7から22−24cmでの 0.5へと徐々に小さくなる(第5−H図)。
堆積物中のn一アルデヒドにっいて,Albaiges6♂召1.,(1984)によるとC、4−C3。アルデヒ ドは高等植物起源のアルコールが微生物的に酸化されて生成される。また,Prahl and Pinto(1987)によるとC2。〜C32は高等植物のクチクラ層起源,Gschwend6如1.,(1982)
によるとC、5以下はプランクトン起源であるとされる。このようにn一アルデヒドについて,
その炭素数分布と起源とされる生物の関係は,脂肪族炭化水素と同様である。従って,n一ア ルデヒドは,表層部の試料での藻類の増加と,深さ8cm以深で陸上の高等植物の寄与が多 いことを反映して,n一アルデヒ ド量とL/Hの垂直分布は,脂肪族炭化水素量とL/Hの垂 直分布に類似している(第5−A,B,G,H図)。
ケトンは,クロロフィル由来のフィトールC2。H4。0からできるC、8一イソプレノイドケト ンC18H360(Brooks and Maxwe11,1975)が最も多い。GC/MSでは,C、3一イソプレノイ ドケトンC・3H260も僅かに検出された。2一ケトンは,C・4−C33が認められ奇数炭素優位性を 示し,炭素数の多いC25,C27,C2gなどに富む。表層部はC、5,C、7などの2。ケトンがやや増 える(第6図)。2一ケトン量は,コアーAの0−2cmでは0.42㎎/g−OCであり,脂肪族炭化 水素量0.68㎎/g−OCの約3/5である。コアーAでの2一ケトンは,脂肪族炭化水素やn一アル デヒドと同様に2−10cmで少なく,灰色泥の10−22cmで増える(第5−C図)。L/Hl(L≦C2。,
H≧C2、)は0−4cmで大きく,6cm以深は徐々に小さくなる(第5−1図)。
2一ケトンの起源は,C27やC2gがピークであること,土壌やピートに含まれること,C17が 多くないことから陸起源のものとされ,高等植物由来のn一アルカンや脂肪酸が微生物的な 酸化をうけて生成したとされている(Cranwel11981,19821Albaiges6!認.,1984)。2一ケ
トンも,その炭素数分布と起源となる生物の関係は,脂肪族炭化水素やn一アルデヒドと同 じとみられ,2一ケトン量とL/Hの垂直分布は,脂肪族炭化水素やn一アルデヒドの分布と同 様である。10−22cmの灰色泥は2一ケトンが多く,陸上の高等植物の寄与が増えたことによる
とみられる。
3−5.アルコール
ガスクロマトグラム(第7図)では,最大ピークのフィトールは0−2cmでは9.2㎎/g−OC であり,C、4−C28アルコール量3.8㎎/g−OCの2.4倍である。12−14cmでは不飽和セスキテル ペノイドアルコールのファルネソールC、5H260の顕著なピークがある。ファルネソールの 最大量は18−20cmの3。0㎎/g−OCであり,そこのフィトール量3.9㎎/g−OCに匹敵する。
n一アルコールはC14−C33がある。0−2cmでは最大のピークはC、6である。12−14cmではC26が ピークとなる。C、4−C28アルコール量はコアーAでは2−10cmは約1.2㎎/g−OCであるが,
10cm以深では変動する(第5−D図)。脂肪族アルコールのL/H(L≦C2。,H≧C2、)は,コ アーAの0−8cmでは2.3からL3に低下し,8cm以深ではほぽ一定となる(第5−J図)。
CPI14−28は0−8cmでは3.1〜3.9,8cm以深では高く5〜6である(第5−L図)。ファルネ ソール/C14−C28アルコールは,コアーAの18−20cm,コアーBの10−12cmが最大である(第5
−O図)。フィトール/C、4−C28アルコールはコアーAの14−16cm,コアーBの8−10cmが最大で ある(第5−P図)。
n一アルコールの起源として,陸上の高等植物は,C24,C26,C28などC22以上に富み
(Tulloch,1976),藻類は,C、6,C18
などC2。以下が多い(Cranwell,
1982)。従って,コアーAでは0−8 cmは,L/Hが大きく,CPIが低いの で藻類の増加を示し,逆に,8cm以 深は,L/Hが小さく,CPIが高いこ とから,陸上の高等植物の増加を示 しているといえる。
ファルネソールは,光合成細菌の 一種である緑色硫黄細菌(明一嫌気 条件下でH2Sを用いる)内の光合成 色素バクテリオクロロフィルc,d,
e(Gloe6!α1。,1975)に由来する と考えられ,上甑島湖沼群の貝池,
海鼠池などの堆積物(福島ほか,
1990),水月湖のコアーでは汽水期の 堆積物(上村ほか,1992)に認めら れている。川原大池のコアーでは,
コアーAの12cm以深とコアーBの5 cm以深の灰色泥は,ファルネソール/
C、4−C28アルコールが大きく(第5
−0図),この灰色泥は,海水が流入 した汽水湖で,H2Sを利用する緑色 硫黄細菌が生育した時の堆積物であ
C玉4 C15
C16
8
盈Cユ需 C、,
霞 詰
C20 C22
C24
o聲 一邸
Lake Kawahara Oike O〜2cm
Black anoxic mud C且4〜C33:n−Alcohols 32〜43:4−methy1−Sterols
40 43
c19
C21 C23 C25
切26ε 33 口 o oC28 38
C29
躍 重
も
§ も
16 24 32 40
Retention ti皿e/min C26 一oω 剛θo
O目』 盈q
40 開
← C16
C22 C24
33
38
C20 一〇
C14 C15
C17 18
19 C21
C23 C25
43
48 56
Lake Kawahara Oi ke 12〜14C皿 Graymud C14〜C331n−Alcoho星s 32〜43:4−methy1−Sterols
C32 ぢ
2
§
C33
お
2
邑
16 24 32 40
Retention ti皿e/min
48 56
Fig.7.Gas chromatograms of n−alcohols and4一 ると言ってよいであろう。なお・灰methyl−sterolsfraction.
色泥の下部22−24cmは,ファルネソー
ル/C14−C28アルコールが小さく・川 Table2.Assignment of4−methyl−sterols.
原大池が緑色硫黄細菌が少ない状態 であった環境が予想できる。
フィトールについては,フィトー ル/C14−C28アルコールはファルネ ソールに富む灰色泥が大きい。水月 湖のコアーでもフィトールは汽水湖 になってファルネソールと同様に増 加している(上村ほか,1992)。川原 大池でも,フィトールの増加は汽水 湖の環境を示している(第5−P
図)。
Peaka Identification Cnb㎎/9−0σ
31 27−nor−4α,24−dimethy1−5α一cholest−22一㎝一3β一〇128 32 4α一methy1−5α一cholest−22−en−3β一〇1
33 4α一methy1−5α一cholestan−3β一〇1 35 4α,24−dimethy1−5α一cholest−22Z−en−3β一〇1 36 4α,24−dimethy1−5α一cholest−22E−en−3β一〇1 38 4α,24−dimethyl−5α一cholestan−3β一〇1
28
280.013
29 29290,009
40 4α,23,24−trimethy1−5α一cholest−22−en−3β一〇1300.019 41 4α一methy1−24−ethy1−5α一cholest−22−en−3β一〇130 43 4α,23,24−trimethyl−5α一cholestan−3β一〇1 300.045
:See Fig,7 b:Carbon numbers
:Mean values(n=12)in Core A.
3−6.4一メチルステロール
4一メチルステロールは9種類を同定した。そのうち主要な4一メチルステロール4種類
(第2表33,38,40,43)を定量した(第2表)。4種類の総量は,コアーAでは0.4〜L7(平 均LO)㎎/9−OCである。12−20cmは1.1〜1.7㎎/9−OCとやや高い。コアーBでは 0.3〜1.3(平均0.7)㎎/9−OCである(第5−F図)。コアーAでの4一メチルステロール量 は,dinostano1(43)が最も多く,平均0.045㎎/g−OCで,4種類の52%を占める。次に多い dinosterol(40)は平均0.019㎎/9−OCで,22%を占める(第2表)。4一メチルステロール/C14
−C28アルコールは,コアーAでは12−18cmの灰色泥が大きい(第5−Q図)。4一メチルステロー ル/4一デスメチルステロールもまた,灰色泥はやや大きい(第5−R図)。深度による4一メチ ルステロール(%)の変化は,・図に示さないが,深さとともにdinostano1(43)が徐々に小さ くなり,dinosterol(40)は大きくなる。4α一methy1−cholestano1(33)は12−18cmの灰色泥では 小さく,逆に4α,24−dimethy1−5α一cholestan−3β一〇1(38)は,12−18cmの灰色泥では大きく なる傾向を示す。
4一メチルステロールは,植物プランクトンの渦鞭毛藻類に特徴的に含まれ(Shimizu6!
召1.,1976),堆積物への渦鞭毛藻類起源の有機物を示す生物指標化合物とされている。渦鞭 毛藻類は淡水産種と海産種があり,4一メチルステロールは海洋堆積物(Smith6!4」.,1982)
にも湖沼堆積物(Robinson6」α」.,1984)にも含まれる。一般にdinosterol(40)が最も多 く,dinostano1(43)も多い。川原大池は,かつての汽水湖でも現在の淡水湖でも,渦鞭毛藻 類のPeridiniumumbonat㎜(建設技術研究所,1973),Peridiniumspp.(松山・廣田,1985)
が主要な植物プランクトンである。これらの渦鞭毛藻類が川原大池のコアー中の4一メチル ステロールの起源の生物とみられる。川原大池のコアーでは,dinostanol(43)は特徴的に多
く,dinostero1(40)の1.2〜3.5(平均2.4)倍の量である。dinostanol(43)に富む原因とし て,起源となる渦鞭毛藻の種類を反映,または還元環境下で嫌気性バクテリアによりdino−
stero1(40)から生成したこと,あるいは酸化環境下で優先的にdinostero1(40)の減少
(Cranwel1,1982)が考えられる。dinostano1(43)は培養した渦鞭毛藻で最も多く,4一メチ ルステロールの約30%を占める(Harvey召!4」.,1987)ことがあり,起源となる渦鞭毛藻 の種類を反映したものと思われる。
4一メチルステロール/C、4−C28アルコールおよび4一メチルステロール/4一デスメチルステ ロールは,コアーAでは12−18cmの灰色泥が大きい(第5−Q,R図)。この灰色泥は,汽水 環境下で堆積したとみられるので,汽水湖で渦鞭毛藻類が多かったことを示している。水 月湖のコアーにおいても,dinosterol(40)は水月湖が汽水湖の時期に濃度が高くなる(上村 ほか,1992)。
3−7.4一デスメチルステロール
4一デスメチルステロールは20種類を同定した(第3表)。主要なステロールは,chole−
stero1(G),cholestano1(H)皇brassicastero1(1),campestero1(M),stigTnastero1(Q),β 一sitosterol(U),stigmastano1(V)である(第8図)。コアーの0−2cmでは,cholesterol(G)
とcholestanol(H)はピークが高く,12−14cmで低い。β一sitostero1(U)はいずれもピークが 高い。△7ステロール(R、,W)は12−14cmではピークが高い。
4一デスメチルステロール量は,0−2cmの8.5㎎/g−OCから,2−10cmの2.1〜L4㎎/g−OC
Table3.Assig㎜ent of4−desmethy1−sterols.
Peaka
Identificationb CnC D.B.d ㎎/g−oceA B C E F G H
JI l
MN
O Q
RRl
S u
VW
24−norcholesta−5,22E−dien−3α一〇1 24−norcholest−22E−en−3β一〇1
27−nor−24−methylcholesta−5,22E−dien−3β一〇l cholesta−5,22E−dien−3βro1(22−dehydrocholesterol)
5α(H)一cholest−22E−en−3β一〇1 cholest−5−en−3β一〇1(cholestero1)
5α(H)一cholestan−3β一〇1(cholestanol)
24−methylcholesta−5,22E−dien−3β一〇1(brassicastero1)
24−methy1−5α(H〉一cholest−22E−en−3β一〇1 24−methylcholesta−5,24(28)一dien−3β一〇1 24−methylcholest−5−en−3β一〇1(campesterol)
24−methyl−5α(H)一cholestan−3β一〇1(campestanol)
23,24−dimethylcholesta−5,22E−dien−3β一〇1 24−ethylcholesta−5,22E−dien−3β一〇1(stigmasterol)
24−ethyl−5α(H)一cholest−22E−en−3β一〇1 24−methyl−5α(H)一cholest−7−en−3β一〇1 23,24−dimethylcholest−5−en−3β一〇1 24−ethylcholest−5−en−3β一〇1(β一sitostero1)
24−ethyl−5α(H)一cholestan−3β一〇1(stigmastanol)
24−ethy1−5α(H)一cholest−7−en−3β一〇1
26 26 27 27 27 27 27 28 28 28 28 28 29 29 29 28 29 29 29 29
5,22 22 5,22 5,22 22 5
5,22 22 5,24 5 5,22 5,22 22 7 5 5
7
0.007 0.003 0.016 0.053 0.021 0.284 0.165 0.201 0.058
0.240 0.149 0.038 0.231 0.063 0.073 0.010 0.494 0.180 0.085 a:See Fig.8. b:Trivial names are in parentheses, c:Number of carbon atoms.
d:Positions of double bond.e:Mean values(nニ12)in core A.
に急減する。10−14cmは約2.8㎎/g−OCと多くなる(第5−E図)。主要なステロール6種類
(G,H,1,M,Q,U)と△7ステロール(R、,W)量(㎎/g−OC)は,10−18cmに多い(第 9−A図)。最も多いβ一sitostero1(U)は,コアーAでは0.2〜1.7㎎/g−OCであり,4一デスメ チルステロール量の18−26%である。第9図から,4一デスメチルステロールの組成(%)は,
8−18cmでcholestero1(G),cholestanol(H),campesterol(M)が低く,逆にbrassicasterol
(1),stigmastero1(Q),β一sitosterol(U)が高いことが示される。△7ステロール(R、,W)は 8−18cmで増加する(第9−A図)。スタノール/ステノール比(B/A,F/E,H/G,J/1,V/
U)は徐々に小さくなるが,H/G,V/Uの垂直変化は△22ステロールであるB/A,F/E,
J/1の変化と異なっている(第9−B図)。
最も多いβ一sitosterol(U)は,stigmastero1(Q)やcampestero1(M)と共に陸上の高等植 物に多く,緑藻,珪藻などの藻類にも多い(Volkman,1986)。この3種類(U+Q+M)の 量(μg/gdryweight)と組成(%)の平均は,コアーAでは52.7μg/g,41%であり,伊万里 湾(6.9μg/g,23%)な富江湾(2.22μg/g,25%)より大きい。従って,川原大池のコアー は,両湾の堆積物より陸上の高等植物や湖水中の藻類起源の有機物の寄与が大きい。β一 sitosterol(U),stigmasterol(Q),campestero1(M)が多い10−14cmは,陸上の高等植物の寄 与が増したことを示す。brassicasterol(1)は珪藻類の指標化合物であり(Volkman,
1986),量が多い8−18cmは珪藻類の寄与が多かったと考えられる。cholesterol(G)は動物プ
ランクトンとその排泄物に多く,藻類にも含まれる(Volkman,1986)。コレステロールの
割合(%)はコアーの8−18cmは低くなる。8−18cmで増加する△7ステロール(R、,W)は,緑
藻,珪藻,ヒトデ,海綿,植物などに含まれ,特 別の起源生物を示さないとされている(Cranwel1,
1982)。
海洋堆積物中の4一デスメチルステロールは,
22−dehydrocholesterol(E),cholesterol(G)など のC27ステロールが海洋の動物プランクトン,動 物遺骸,排泄物に多く,campestero1(M)などの C28ステロールが菌類,原生動物,土壌など,また stigmastero1(Q),stigmastano1(V),β一sitosterol
(U)などのC2gステロールが高等植物などの陸上 生物に多いことから,C27(E+G),C28(1+M),C2g
(Q+U)ステロールの3成分比で堆積環境が区分 されている(Huang and Meinschein,1979)。コ アーAの3成分比(第10図)では,0−6cm(1,
2,3),20−22cm(11)は河口(estuarine)または 湾(bay),6−20cm(4〜10)と22−24cm(12)は陸 域(terrstrial)に区分される。この図で12−35cmの 灰色泥は,陸上の高等植物など起源のステロール に富むことが示される。しかし,ステロールによ る堆積環境の区分は,海の藻類が陸上の高等植物 に多い4一デスメチルステロールを豊富に含むこと
Gll U
LakeXa鴨haraOike
M Q
0〜2c皿Blac臨a駆oxic剛d ム〜 ;4−de㎝et1Ψ1−8
V
1N
E J R
RIF 0 w
『
35 40 45 Retention tiロe/ロin
AB C
E
G
H Q
I RI
」
1
u
V
秤
50
、Lake Ka聯ahara Oike 12〜14c回 Gray㎜d
A〜鷺:4−desmethy1−sterols
35 40 45 50
ピ しのしユロロ し むノロ ゆもあるので・他の脂質も考慮して海洋堆積物中のFig.8.Gas chromatograms of4一 有機物の起源を検討する必要が指摘されているdesmethy1−sterols fraction.
(A)
Depth
(cm) 01
0
4−desmethy1−sterols
O2 03 04 05(㎎/9−OC)
06
(B)Stano1/Stenol
O O,2 0.4 0.6
4
8
12
76
20
24
イR1
1 一 一 一 用 M /
1 膨G //
lH¥ く 』 ご、\、 \\
、 、、 『、\ \ N、. ・・
\>Q \
孝誓一一 \\ \ン》
VIU・、J/1/
\ / ,循/A
ハ
F/Eシ l l lノ
》 八 ぐ、
、¥、13
。1
ノ 、1 、・
ノ ン
1 /!
1 //
\、、 ノ
く
HIG
Fig.9.Vertical profiles of4−desmethy1−sterols(A)and Stanol/Steno1(B).
(Volkman,1986)。
C−28 1+M3−8.淡水湖化と脂質組成
川原大池は汽水湖であったが,1962年に水 門が設けられ,1979年頃に淡水化が完了した。
約30年前に始まった川原大池の汽水湖から淡 Iacust「ine 水湖への変化は,堆積物の組成の変化として
記録されていると考えられる。コアーAは, est曜ine書e曽st「ial
。、7cm力雪黒色泥7、12cmカ§灰黒一黒灰色泥 _、、哩繍,/
・、 1fl , 12−35cmが灰色泥であり,C/N比,脂質組成も ・ ・卿剛ine 1鉦2 1hi帥e「
l P1㎝t 変化している(第3,5,9,10図)。 E+G I
O−12cmは還元的な黒色泥で,C/N比が10c−27 c躰29 以下である・その下の灰色泥は・C/N比が10 Fig。10.Distribution of C,,,C2、,C,、
以上であり,植物質有機物に富むことを示す。sterols in core A.Sterols are given in n一アルカン,n一アルデヒド,2一ケトン,n一ア table3・
ルコールについては,L/Hが大きくCPIが小さい0−10cmは,藻類の植物プランクトンな ど起源の生物の増加を示し,10cm以深は,L/Hが小さくCPIが大きく,陸上の高等植物起 源が多いことを示した。また陸上の高等植物に多いβ一sitosterol(U),stigmasterol(Q)は
8−16cmに多い。
海洋の生物起源とされるHop−22(29)一eneは,8−16cmで増えている。H2Sを利用する緑 色硫黄細菌がもつバクテリオクロロフィルc,d,eに由来するファルネソールは,12−22 cmで多い。またフィトール,渦鞭毛藻類に由来する4一メチルステロールは12−20cmに多い。
従って,8cm以深の黒灰色泥,とくに灰色泥は汽水湖の堆積物であることが示される。
このように8cm以深の黒灰色泥と灰色泥は,海水が流入する汽水湖の堆積物であること が示されるが,一方では陸上の高等植物起源のものが多いことも示す。これは,川原大池 に水門がないとき,河川水が湖を通り外海に出る環境下で,植物片などが現在よりも多く 川原大池に流入して堆積したものと思われる。
Q+U
4.ま
と め
約30年前に始まった川原大池の汽水湖から淡水湖への変化による堆積物中の有機物組成 の変遷を知るために,柱状堆積物を採取して脂質成分を分析した。その結果は次の通りで
ある。
コアーは,表層から7〜12cmまでは還元的な黒色泥,12cm以下は灰色泥である。8cmな いし12cm以深の灰色泥は,Hop−22(29)一ene,ファルネソール,フィトール,4一メチルステ ロールの濃度が高く,汽水湖の堆積物であることが示される。
n一アルカン,n一アルデヒド,2一ケトン,n一アルコールのL/HとCPIにより,コアーの 0−8cmは,植物プランクトンである藻類など起源の有機物が増え,8cm以深,とくに灰色 泥は,陸上の高等植物起源の有機物が多くなっている。陸上の高等植物に多いβ一sitostero1
(U),stigmasterol(Q)も灰色泥に多い。これは,かつて汽水湖で水門がないとき,川原大
池に河川水による植物の破片などが,現在よりも多く流入していたものと考えられる。
炭化水素のガスクロマトグラムにはハンプが認められないので,川原大池の底質は人為 的な油汚染を受けていない。
参考文献
ALBAIGEs J.,ALGABA J.and GRIMALT J.(1984):0怨G606h6卿.6,223−236.
BRAssELL S.C,EGLINToN G.,MAxwELL J.R.and P肌P R.P.(1978):Inイ4σ襯だo PoJJ惚傭,Tπ3矧b匹 耀♂ガo%αη4BJoJog吻」助6云s,69−86,Pergamon Press.
BRooKs P.W.and MAxw肌」.R.(1975):In:、4伽耀s Jη0即耽G800h6廊妙1973,977−991。
CRANwELL P.A.(1981):0響(}εooh8解.,3,79−89.
CRANwELL P.A.(1982):PmμLゆ 4R6s.,21,271−308.
福島和夫・近藤 寛・落合正宏・上村 仁・鵜崎 実 小椋和子(1990):陸水雑,51,261−268.
GLoE A。,PFENMG N.,BRocKMANN H.and TRowITzscH W.(1975):!1名oh.〃伽砺oJ.,102,103−109.
GscHwEND P.M。,ZAFIRloN O.C,MANTouRA R.F.,ScHwARzENBAcH R.P.and GAGosIAN R.B。(1982):
Enz彦名oη.S6云 7セohηoJ.,16,31−38.
HAN J.and CALvIN M。(1969):P70αぬ砿∠40鳳S砿αSン4,64,436−443.
HARvEY H。R.,EGLINToN G.,0,HARA C.M.and CoRNER D。S.(1987):Gεooh加.Cos勉06h加.∠4吻51,
3031−3040.
HuANG W.Y.and MEINscHEIN W.G.(1979):σε06h珈。Cos勉06h加.∠4磁43,739−745.
環境庁(1987):第3回自然環境保全基礎調査 湖沼調査報告書1987.
建設技術研究所(1973):川原大池水質生態調査報告書.
松山通郎・廣田敏人(1985):川原大池の自然,5−15.
長崎県(1979):第2回自然環境保全基礎調査 湖沼調査報告書1979.
PRAHL F.G.and PINTo L.A.(1987):(弛06h∫〃3.Cos吻06ん伽.z46如51,1573−1582,
PRA肌F.G.,HAYEs J.M.and XIE T.一M.(1992):L珈ηo乙066αnog飢,37,1290−1300.
RoBINsoN N.,CRANwELL P.A.,FINLAY B.J,and EGLINToN G.(1984):0忽G606h6甥.,6,143−152。
SHIMlzu Y.,ALAM M.and KoBAYAsl A.(1976):114郷.Chε解.Soα,98,1059−1060.
SMITH D。J.,EGLINToN G.,MoRRls R.」.and PouTANEN E.L(1982):0 24η尻146如5,365−378.
鈴木静夫(1963):日本の湖沼 内田老鶴圃.
TuLLocH A.P.(1976)=In Ch8痂s妙伽4研oohe吻s渉矧げハ砂伽雇晦8s,235−287,Elsevier,Amster・
dam.
上村仁・清水賢一・石渡良志(1992):1〜6ε0㎎G606h6解,8,79−81.
VENKATEsAN M.1.(1988):G806h伽.Cos解06h加。∠4磁52,217−222.
VoLKMAN J.K。(1986):0㎎0ε06hε郷.,9,83−99,
VoLKMAN J.K,EGLINToN G.and CoRNER E.D.S.(1980〉:昂罫06h6解.19,1809−1813.
WEETE J.D.(1976):In Chθ痂吻ノ伽4.B盆oohθ痂吻ノげ轍伽雇晦磯349−418,Elsevier,Amsterdam.