2019
年度修士論文報告書
リセット多期間制約サイクルモデルにおける
最適配置に関する研究
―作業者能力が工程ごとに異なる場合―
指導教員 山本 久志
首都大学東京大学院 博士前期課程
システムデザイン研究科 システムデザイン専攻 電子情報システム工学域
学修番号:
18861672張金鈺
目次
第
1章 序論
··· p.11.1 研究背景 ··· p.1 1.2 研究目的 ··· p.3 1.3 本論文の構成 ··· p.3
第
2章 リセット多期間制約サイクルモデル
··· p.52.1 多期間制約サイクルモデル ··· p.5 2.2 モデルの記号と仮定 ··· p.6 2.3 総期待費用の定式化 ··· p.9 2.4 最適配置問題 ··· p.9 2.5 作業者が工程ごとに同一処理能力を持つ場合の最適配置 ··· p.10
第
3章 期待費用の算出方法
··· p.173.1 作業者の処理能力が工程ごとに全て異なる場合 ··· p.17 3.1.1 記号と仮定 ··· p.17 3.1.2 期待費用の提案 ··· p.18 3.2 作業者の処理能力が工程ごとに2種類存在する場合 ··· p.23 3.2.1 記号と仮定 ··· p.23 3.2.2 期待費用の提案 ··· p.25
第
4章 各作業者の処理能力が工程ごとに
2種類存在する
場合の最適配置法則
··· p.314.1 作業者全員が得意工程に配置できる場合 ··· p.31 4.1.1 定式化 ··· p.31 4.1.2 最適配置法則の提案··· p.32 4.2 一つの工程に得意な作業者は配置できないが,残りの工程には全て得意 な作業者が配置できる場合 ··· p.36 4.2.1 定式化 ··· p.37 4.2.2 最適配置法則の提案··· p.38 4.2.3 数値考察 ··· p.44
第
5章 結論
··· p.57参考文献
··· p.59謝辞
··· p.62付録
··· p.63〔36 × 30 1080字〕
1
第 1 章 序論
1.1
研究背景
生産活動において,生産性の向上や生産費用の削減は企業の利益につながる重 要な課題である.生産プロセスを正確に把握し,作業者の生産速度および品質を 把握することで,製造企業の生産管理レベルを大幅に改善できる.現在の製造企 業において,生産管理は生産活動の重要な部分になった.生産プロセスを合理的 に編成し,生産資源を有効に活用し,生産活動を経済的かつ合理的に実行すると,
期待される生産目標を達成することができる.技術の開発と管理レベルの継続的 な改善により,生産管理は生産効率の向上,生産コストの削減と製品品質の安定 性の確保に大きく貢献している.
生産管理とは,財・サービスの生産に関する管理活動と定義される.具体的に は,所定の品質Q (quality)・原価C (cost)・数量及び納期D (delivery, due date)で 生産するため,またはQ・C・Dに関する最適化を図るため,ヒト・モノ・カネ・
情報を駆使して,需要予測,生産計画,生産実施と生産統制を行う手続き及びそ の活動のことである.狭義には,生産工程における生産統制を意味し,工程管理 ともいう[14] [18].生産管理の手続きは,製品計画,全般的生産計画,生産プロセ ス計画,生産スケジューリング,生産実施及び生産統制の各段階に分かれる.こ の中でも,生産プロセス計画の段階で行われるラインバランシングの問題解決は,
生産性の向上や生産費用の削減及び納期厳守の実現に極めて重要である[9].
ライン生産方式において,製品が材料から完成品にいたるまでの組立て作業は,
各作業ステーションに割り付けておき,品物がラインを移動するにつれて,加工 が進んでいく.各作業ステーションへ割り当てられる作業量を均等化することに よって,加工がスムーズに進むことを実現できると考えられる.この方法をライ ンバランシングという[9][18].
ラインバランシング問題は,Bryton[1]に提起されてから,今でも注目される分 野であり,研究成果が多く出ている.しかし,これらの研究の多くでは,作業者 の作業時間が確率的に変動するような作業者要素として考慮されてなかった.し
2
かし,作業者のモチベーション,健康状態,経験,能力水準の影響を受け,作業 時間のばらつきが生じる.この作業者要素を考慮しなければ,実際の生産活動を 正確に反映できないと考えられる[6].
本研究では,ラインバランシングによる作業者の作業能力にバラツキが存在す ることを考える.作業者の実際の作業時間は確率的に変動する場合を考慮に入れ て,最適配置の導出方法を提案する[2][5].
そこで,本論文では,作業者が異なる工程に対して処理能力が異なる場合を考 慮に入れた下で,現場への適用性を考え,最適配置の導出方法を提案する.この 際,リスクが過去の状況に依存し,複数の期間にわたり反復的にリスクが発生す る状況を想定する多期間制約サイクルモデル[19].特に,各工程において加工が 遅れた場合に,その影響が後工程に及ばない,または当該工程で人員増強等によ り後工程に影響しないリセット多期間制約サイクルモデルを用いる[10][11].
山本他[19]では,多期間制約サイクルモデルの下で,各工程に各作業者をどのよ うに配置すれば最も効率的,経済的かという問題(最適配置問題)を定義した.
また,山本他[20]では最適配置を効率よく算出できるアルゴリズムを提案した.
さらに,山本他[3]及び孔他[7]では,リセット多期間制約サイクルモデルの下で,
最適配置問題を定義し,最適配置問題を評価する期待費用の定式化と効率的に産 出するアルゴリズムを提案した.また,システムの最小期待費用をもたらすn人 の作業能力がすべて異なる場合の最適配置の法則について数値的に考察した.
その後,山本他[22]では,最適配置法則を理論的に導き出すため,その最初の段 階として,リセット多期間制約サイクルモデルにおいて,作業速度が異なる2グ ループの作業者が存在し,一方のグループの作業者が1人,他方のグループの作 業者がn1人の場合の最適配置問題を考え,ある条件下で最適になる最適配置法 則を解析的に導出した.孔他[8] [12] [13]では,同様に2グループの作業者に対し て,一方のグループの作業者が2人,他方のグループの作業者がn2人の場合を 考察した.
宋[15]では,目標作業時間が一定の場合,2グループの作業者に対して,一方の グループの作業者が 2 人,他方のグループの作業者がn2人の場合を考察した.
谷澤[16]では,目標作業時間が一定の場合,3グループの作業者に対して,初心 者と熟練者がそれぞれ1人存在し,一般者のグループの作業者がn2人の場合を
3 考察した.
趙[17]では,1人,2人及びn3人のグループが存在する場合の最適配置法則に ついて考察した.
1.2 研究の目的
先行研究において,各作業者がすべての工程に対して同一の処理能力を持つこ とと仮定し,多期間制約サイクルモデルの下で,各工程に各作業者をどのように 配置すれば最も費用が低くなるかという問題が定義され,最適配置を算出するア ルゴリズムが提案されている.最適配置法則を理論的に導き出すために,その最 初の段階として,作業速度が異なる2グループと3グループの作業者が存在する 場合の最適配置問題を考え,ある条件下で最適になる最適配置法則を解析的に導 出した.しかし,実際の生産現場のことを考えると,作業者が異なる工程に対し て処理能力が異なる場合が存在する.作業者の各工程に対する処理能力が異なる 場合は研究されていない.
本論文の目的を,作業者の各工程に対する処理能力の差異に注目した最適配置 問題を考え,ある条件下で最適配置法則を解析的に導出することとする.
1.3
本論文の構成
本論文は全5章で構成されている.
第1章では,本論文の背景と目的を述べる.
第2章では,先行研究におけるリセット多期間制約サイクルモデルの定義及び 定式化を紹介し,リセット多期間制約サイクルモデルにおける最適配置問題の定 式化を行う.そして,前章述べたように山本他[22],孔他[8][12][13],宋[15],谷澤
[16] 及び趙[17]が提案した最適配置法則を紹介する.
第3章では,直列型生産ラインを考え,リセット多期間制約サイクルモデルに おいて,作業者が異なる工程に対して処理能力が異なる場合に,期待費用の算出 方法を提案する.まずは,各作業者が全ての工程で異なる処理能力を持っている
4
場合の期待費用の公式を定理としてまとめる.その後,作業者の処理能力が工程 ごとに得意と不得意の2種類存在する場合の期待費用を提案する.
第4章では,最適配置法則を考える際に,作業者の処理能力が工程ごとに得意 と不得意の2種類存在することを想定し,次の二つの場合を検討する.一つ目は,
作業者が各自の得意な工程に配置できる場合である.この時,全員を得意工程に 配置すれば,最適配置になることを定理として提案する.二つ目は,作業者を各 自の不得意な工程に配置する工程が限られている場合である.最初の段階として,
ある一つの工程のみに不得意な作業者を配置するが,残りの工程には全て得意な 作業者を配置できる場合について最適配置法則の考察を行う.期待費用が最小に なるような最適配置法則を解析的に示し,最適配置法則として提案する.また,
提案した最適配置法則の正当性を確認するために,各作業者の作業時間が指数分 布に従うと仮定した数値実験を行う.
第5章では,本論文の結論と今後の課題を述べる.
5
第 2 章 リセット多期間制約サイクルモデル
本章では,最初に,多期間制約サイクルモデル,特にリセット多期間制約サイ クルモデルについて述べる.次に,作業者が異なる工程に対して処理能力が異な ることに注目し,リセット多期間制約サイクルモデルの記号と仮定を紹介し,定 式化を行う.そして,リセット多期間制約サイクルモデルにおける最適配置問題 の定式化を行う.最後に,先行研究を紹介する.
2.1
多期間制約サイクルモデル
直列型生産ラインとは初めに投入される材料は直列に配置された工程で順次に 加工され,最後に完成品になるような生産ラインである.
直列型生産ラインにおいては,ある期間に遅れが生じた場合,それが以降の期 間に影響を及ぼし,納期遅れや費用増加につながる.同様に,ある期間での遅れ るリスクもその期間だけではなく,それ以前の期間に左右される状況が多く考え られる.このようにリスクが過去の状況に依存し,そして複数の期間にわたり反 復的にリスクが発生する状況を想定するモデルを多期間制約サイクルモデルと呼 ぶ[19].
多期間制約サイクルモデルを図 2.1 に示す.生産ラインに材料を投入し,第 1 工程から順次に加工していき,最終工程での加工が完了する.各工程においては,
設けられているサイクル時間(目標作業時間)は制約条件である.この制約(目 標加工時間)を用いて遊休及び遅れが発生するかどうかを判別する.
多期間制約サイクル問題は個々の単一期間の間に独立性または従属性が存在す るかによって分類することができる[19].多期間制約サイクルモデルは,後工程 の作業開始時刻に影響を与えるか否かにより以下の二つのモデルに派生する.
ノンリセット多期間制約サイクルモデル
ノンリセット多期間制約サイクルモデルにおいて,各工程の加工が目標加工時 間で加工がリセットされない.各工程において加工が遅れた場合に,その影響が 後工程に直接影響を与えるモデルである.つまり,各工程の作業開始時刻は前工 程が終了した時刻となるモデルである[21].
6
図 2.1 多期間制約サイクルモデル
リセット多期間制約サイクルモデル
リセット多期間制約サイクルモデルにおいて,各工程の加工がその工程の目標 加工時間で加工がリセットする.各工程において加工が遅れた場合に,その影響 が後工程に及ばない,または当該工程で人員補強等により後工程に影響しないモ デルである.つまり,各工程の作業開始時刻は前工程の状況に左右されないモデ ルである[10].モデル上は作業時間がリセットされる.
本論文では,後者のリセット多期間制約サイクルモデルを取り扱う.
2.2
モデルの仮定と記号
本論文では,直列型生産ラインを対象に,リセット多期間制約サイクル問題を 考える.本節では,リセット多期間制約サイクルモデルの仮定と記号を,工程と 作業時間及び費用に分けて述べる.
2.2.1 工程と作業時間
本項では,工程と作業時間に関する仮定と記号を説明する.
(1) 直列の生産ラインを考え,その生産ラインの工程数をnとする.製品は第1 直列型生産ライン
サイクル時間
第 工程 第 工程 入力
材料
出力
Z 完成品 第 工程
7
工程,第2工程,…,第n工程の順で加工され,全n工程で1個の製品を加 工する.
(2) 仕掛品は,すべてZ時間で次の工程に移り加工される.すなわち,Zは各工 程の制約時間であるサイクル時間とする.各工程においては目標の作業時 間でもあるので,以後Zを目標作業時間と呼ぶことにする.
(3) 作業者の作業時間は互いに独立で,各作業者がすべての工程に対して同一 の処理能力を持つことと仮定し,作業者lの作業時間Tlは,確率密度関数
t
fl の確率分布に従うとする.ただし,tは時間を表す.この時,lに対し て,
Pl:作業者lが遊休となる確率,すなわち,Pl PrTl Zである.
Ql:作業者lが遅れとなる確率,すなわち,Ql PrTl Zである.
TSl:作業者lの期待遊休時間,すなわち,TSl EZTl I Tl Zである.
TLl:作業者lの期待遅れ時間,すなわち,TLl ETl Z I Tl Zである.
ここで,I は指標関数で,
が偽 が真 K K K
I 0
1
と定義する.
しかし,実際には作業者が異なる工程に対して処理能力が異なる場合に,2.2.1
項の (3) で紹介したことを拡張し,本論文の第3章では,新しい記号を定義する.
2.2.2 費用
本項では,費用に関する仮定と記号を説明する.各工程において,遅れや遊休 によって,作業費用が異なる.作業費用は以下のように設定する.
作業時間がサイクル時間より大きくなる場合には遅れ費用がかかり,小さくな る場合には遊休費用がかかると設定する.図 2.2 は発生する費用と作業時間の関 係を示す.図2.2の中で縦軸は作業時間を,横軸は工程を表す.
(1) 各工程において,目標加工時間Zに対して単位時間あたりCt(0)の費用が
8 発生する.
(2) 各工程において,加工時間がZ以下になった場合,単位時間あたり遊休費 用Cs(0)が発生する.
(3) 各工程において,加工時間がZ以上になった場合,単位時間あたり遅れ費 用が発生する.たたし,遅れが連続して発生する場合は連続遅れ費用が高 くなるとする. 工程連続して遅れた場合は,単位時間あたり遅れ費用CP() が発生する.ただし, 1,2,...,nである.また,0CP(1) CP(2) ...CP(n)と する.
(4) 第i工程 1inの作業時間をT i とする.なお,2.2.1項で用いたTl は作 業者lに対して,作業者lの作業時間を表しており,現在の2.2.2項で用いた
i
T が第i工程 1inの作業時間を表している.
例えば,第1工程では,目標作業時間Z までに作業時間T 1 で終了している
T 1 Z.この場合には,第1工程でかかった総費用は目標作業時間Zに対するCt
(単位時間あたり)に,T 1 からZ までの間で発生するCS(単位時間あたり)が 加算される.一方,第2工程では,目標作業時間Zまでに作業時間T 2 が終了して
図 2.2 作業時間と費用の関係 作業
時間
工程 Z
Ct Ct Ct
Ct Ct Cs
) 1 (
Cp
) 1 (
Cp (2)
Cp )
2
T(
) 1
T( )
T(i ) 1 (i
T
9
いない T 2 Z.この場合は,目標作業時間Zに対するC(単位時間あたり)に,t ZからT 2 までの間で発生するCP 1 (単位時間あたり)が加算される.第3工程で は,目標作業時間Zが終了している
T 3 Z
.この場合は,目標作業時間Zに対 するCt(単位時間あたり)が発生する.ただし,第i工程と第i1工程の場合のよ うに,2回連続して遅れた場合には,第i1工程にはZ からT i1 までの間で 2 P 2 P 1
P C C
C が発生する.
2.3
総期待費用の定式化
本節では,リセット多期間制約サイクルモデルの定式化を行う.本論文では,
システム全体の総期待費用は総加工費用及び遊休と遅れによる期待費用から構成 され,式 (2.1) のように表せる[4] [8] [12] [23].
総期待費用=総加工費用+遊休と遅れによる期待費用 (2.1) ここで,総期待費用をTC,遊休と遅れによる期待費用(以下,期待費用と略す)
を f n とする.総加工費用はnCtZ と表すことができるので,式 (2.1) は式 (2.2) のように表せる.
n
f Z nC
TC t (2.2)
先行研究では,各作業者がすべての工程に対して同一処理能力を持つことと仮 定し,期待費用が提案されている.しかし,実際には作業者が異なる工程に対し て処理能力が異なる場合が存在する.その想定をもとに,本論文の第3章では,
期待費用の新しい算出方法を提案する.
2.4
最適配置問題
最適配置問題とは,作業者をどのように配置すれば期待費用が最小となるかと いう問題である.本節では,最適配置問題を考える前に,最適配置問題に使われ ている仮定と記号について述べる.以下の記号を定義する[23].
)
(i :工程iに作業する作業者の番号
:作業者の配置
10 )) ( ) 3 ( ), 2 ( ), 1 (
( n
とすると,は作業者の配置を表すこ とになる
)
; (n
TC :配置で作業者が配置されている場合に,第1工程から第n工 程までの全n工程の総期待費用
n;
f :配置で作業者が配置されている場合に,第1工程から第n工 程までの全n工程で発生した遊休と遅れによる期待費用.
これらの記号を用いると,総期待費用は,
n; nCZ f n;
TC t (2.3)
と表される.このとき,最適配置問題は,
;
min
; * TC n
n
TC (2.4)
を満たす配置を求める問題として表される.本論文では,配置を最適配置と 呼ぶ.ただし,(2.3)式に示すように,目標作業時間Zが一定の場合,総加工費用
Z
nCt が一定なので,(2.4)式を,
;
min
; f n
n
f (2.5)
と書き直すことができる.
2.5 作業者が工程ごとに同一処理能力を持つ場合の最適配置
先行研究では,最適配置問題を考える際に,各作業者がすべての工程に対して 同一処理能力を持つことと仮定した.その想定をもとに,山本他[19]では,多期間 制約サイクルモデルの下で,各工程に各作業者をどのように配置すれば最も効率 的,経済的かという問題(最適配置問題)を定義し,山本他[20]では最適配置を効 率よく算出できるアルゴリズムを提案した.山本他[3]及び孔他[7]では,リセット 多期間制約サイクルモデルの下で,最適配置問題を定義し,最適配置問題を評価 する期待費用の定式化と効率的に産出するアルゴリズムを提案した.
11
i T T Ti
C ; 1, 2 ,, で処理能力の異なるi人の作業者がその順番で工程 1 から工 程iに配置されている場合の工程iで発生する遊休費用または遅れ費用を表すと
の時
の時
i j
j i
j i p
i i
S
i
T Z T
Z T Z Z T C
T Z T
Z C
T T
T i C
, , ,
, , ,
;
1 2
1
(2.6)
になる.ただし,0 ji1であり,工程 1 から工程iにおいて遊休となる工程 がない場合は,j0と定義する.工程数nの生産ラインにおける期待費用は次の 定理で求められる[10] [11] [18] [19] [22].
定理:
工程数nの生産ラインにおける総期待費用TCは
n n
f Z nC
TC t ;1,2,, (2.7)
で表される.ただし, 1inに対して,
i
m
Tm
T T m C E n i
f
1
2
1, , ,
; ,
, 2 , 1
; (2.8)
である.1lnに対して,
z l
l z
l l
z l
l z
l l
dt t f Z t TL
dt t f t Z TS
dt t f Q
dt t f P
0 0
(2.9)
の設定の下で期待費用TCは(2.7)式で求められる.ただし,fn;1,2,,nは以下の ように表すことができる.
n i
1 に対して,
12
1 ,
1 , ,
1 ,
, 2 , 1 , 1 , , 2 , 1
;
1 1 1 1
0
i TL
C TS C
i TS C j i h TL C
n i
f
n i
f
P S
i
j
i S i
j i P
(2.10)
である.ここで,0 ji 1inに対して,
j i P
j Q
j Q
P
j i h
j i
m m
i
j m
m j
,
0 ,
1 ,
,
1 1
(2.11)
である.
次にリセット多期間制約サイクルモデルを用いて,最適配置を証明している先 行研究を紹介する.下記に記号を定義する[4][8][17][23].
n i
1
1 ,1i2n,1i3 n,i1i2 i3に対して,
作業者A :A1,A2,A3(工程数が小さいものから並べる.)
作業者C :C1,C2 (工程数が小さいものから並べる.)
ix :x1,2,3に対して,特殊作業者が配置される工程番号
(特殊作業者:初心者または熟練者)
i1
:1人の特殊作業者を第i1工程に配置し,n1人の一般作業者を 第i1工程以外の工程に配置する配置.
i1,i2
:2人の特殊作業者を第i1工程と第i2工程に配置し,n2人の一 般作業者を第i1工程と第i2工程以外の工程に配置する配置.
i1,i2,i3
:3人の特殊作業者を第i1工程,第i2工程および第i3工程に配置 し,n3人の一般作業者を第i1工程,第i2工程および第i3工程 以外の工程に配置する配置.
表2. 1に特殊作業者の最適配置を証明している先行研究を示す.表2.1の番号
13
2を取り上げると,作業者Aが2人,作業者Bがn2人存在する場合,条件であ るQAQB,
B B A
A
Q TL Q
TL かつmax(Lo)M を満たせば,最適配置は一人目の作業者
A1を第 1 工程に配置し,二人目の作業者A2を第 n 工程に配置する配置であると いうことを意味する.この場合,上記のi1 とi2 をそれぞれ
A1
i と
A2
i で表す.
ここで,記号定義をする.m工程連続して目標作業時間Zを超えたm番目の工 程において単位時間当たり遅れ費用CP m が発生する.ただし,1mnである.
また,0CP 1 CP 2 CP n であり,CP m 1mnは,
1 1
1 1
1 1
1
1 1
1 2
1 2 1
2 1 3
2 1 3
2 1
1 2 1 1
2 1 2
1
P k
P k P
k P k
k P k k P
k k P k
k k P k k k P
k k k P k
k k P k k k P
C C
C
C C
C
C C
C
C C
C u u u
(2.12)
を満たすと定義する.ただし,k1k2 ku nである.すなわち,u1um
は同じ値を1個と数えたときのCP m 1mnの個数を表し,ko1ouは同一 値となるCP m1mnの個数を表す.また,1ouに対して
o
K K
o k
j
1
はCP m の 値がo番目に異なる値となる連続遅れ工程数を表す[8][12].
表2.1中のLoとM は,
1
1
o o
o o
j P j P
j P j
P
o C C
C
L C (2.13)
(ただし,
o
K K
o k
j
1
とする).
14
A B B
B A
A A
A
Q Q Q
TL Q TL
Q TL
M 1 1
(2.14)
である.
表 2.2 に特殊作業者の最適配置をある範囲内で証明している先行研究を示す.
表 2.2 における局所最適配置とは,特殊作業者の位置に条件がある配置の中での 最適配置を表す.
表 2.1 特殊作業者の最適配置
番 号
特殊作業者の 人数
条件 最適配置 出典
作業 者 のA 人数
作業 者 のB 人数
1 1 n1 QAQBかつ
A A B
B
Q TL Q
TL 1
1
*
iA 孔[8][12]
2 2 n2
B
A Q
Q かつ
A A B
B
Q TL Q TL
かつmax(Lo)M
iA,iA 1,n
2 1
*
孔[8][12]
3 2 n2
B
A Q
Q かつ
A A B
B
Q TL Q TL
かつmax(Lo)M
,
1,22 1
*
iA iA 孔[8][12]
15 番号
特殊作業 者の人数
作 業者 のB 人数
条件 局所最適配置
出典 作業
者 のA 人 数
熟練 者 C の人 数
4 0 1 n1
C
B Q
Q かつ
C C B
B
Q TL Q
TL かつ
Lo M max
2
1
iC nを満たす配置. 孔 [8][12]
5 0 2 n2
C
B Q
Q かつ
C C B
B
Q TL Q
TL , 2
2 1
2 2
1
i n iC iC C
を
満たす配置.
孔 [8][12]
6 3 0 n3 A B
Q
Q かつ
A
B TL
TL
1, 2, 3
1, 2, 3
*
A A A
A
A i i i i
i
ただし,iA iA iA n
3 2 1
宋 [15]
7 3 0 n3
B
A Q
Q かつ
A
B TL
TL かつ
A A B
B
Q TL Q TL
iA,iA ,iA
1,iA ,n
2 3
2 1
*
ただし, 1
1
iA , iA iA n
3 2
宋 [15]
8 1 1 n2
B
A Q
Q かつ
A A B
B
Q TL Q TL
1, 1
1, 1*
C C
A i i
i
ただし,
n iC 2,3, ,
1 ,
2
1 1 1
1
A iC i
谷澤 [16]
9 1 1 n2
B
A Q
Q かつ
A A B
B
Q TL Q
TL 及び
BA CC
B A
Q Q
Q Q TL TL
1, 1
1 1, 1
*
C C C
A i i i
i
ただし, 1
1 2
1
1 n
i iC A
谷澤 [16]
表 2.2 特殊作業者の局所最適配置,ある範囲内で証明している先行研究
16
10 1 2 n3
B
A Q
Q かつ
A A B
B
Q TL Q TL
, 1, 2
1, 1, 2
*
C C C
C
A i i i i
i
ただし,1 1
1
1
iA iC 趙[17]
11 1 2 n3
B
C Q
Q かつ
C C B
B
Q TL Q
TL
1, , 2
1, , 2
*
C A C
A
C i i i i
i
ただし,1 1
1
iC iA 趙[17]
12 1 2 n3
B
C Q
Q かつ
C C B
B
Q TL Q TL
iC,iC ,iA
1,iC ,iA
2 2
1
*
ただし,1 1
2
1
iC iC 趙[17]