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The design of the lesson in the mathematics "C-measurement" in intellectual disability education

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(1)

知的障害教育における数学科「C 測定」に関する授 業の工夫 : 「重さ」「かさ」について見当をつけ る、比べる活動を通して

著者 山元 薫, 齋藤 ちひろ, 小林 直恵, 野海 恵理, 佐 野 哲広

雑誌名 静岡大学教育実践総合センター紀要

巻 30

ページ 219‑225

発行年 2020‑03‑31

出版者 静岡大学教育学部附属教育実践総合センター 

URL http://doi.org/10.14945/00027124

(2)

知的障害教育における数学科「C 測定」に関する授業の工夫

-「重さ」「かさ」について見当をつける、比べる活動を通して-

山元 薫*1・齋藤ちひろ*2・小林直恵*2・野海恵理*2・佐野哲広*2

*1静岡大学教育学部)(*2静岡大学教育学部附属特別支援学校)

The design of the lesson in the mathematics "C-measurement" in intellectual disability education

From the concrete activity which students predict and compare about "weight" and "quantity"

Yamamoto Kaoru.*

1

Sitou Chihiro.*

2

Kobayashi Naoe.*

2

Noumi Eri.*

2

Sano Tetsuhiro.*

2

要旨

By this government-guidelines-for-teaching revision,the course instruction in intellectual disability education changed a lot. This practice report responds to the production process of a lesson of the new government guidelines for teaching. In this practice report, I practice the lesson which cherishes building a lesson based on the stage of the government guidelines for teaching, and the method of learning which improves a meta-cognition function. We were successful about the production of a lesson based on the government guidelines for teaching, and established the process of the production of a lesson. However, in the case of the student with serious intellectual disability, it was difficult to generalization in the method of learning which uses meta-cognition.

キーワード: 知的障害 教科別の指導「数学科」 新学習指導要領

Ⅰ問題の所在と目的

1新学習指導要領における知的障害のある児童生徒を 対象とした算数・数学科の指導

特別支援学校学習指導要領解説各教科等編(小学 部・中学部)(文部科学省,2018)では、知的障害教 育において身に付けるべき算数・数学の目標と内容が 特別支援学校学習指導要領解説(文部科学省,2009)

とは異なり、教科の目標と指導内容が三つの柱(知 識・技能、思考力・判断力・表現力等、主体的に取り 組む態度)で整理され、より詳細なものとなった。

知的障害教育における算数・数学の指導は、小学部 では、量や図形などについて基礎的・基本的な知識及 び技能を確実に習得し、これらを活用して問題を解決 するために必要な数学的な思考力、判断力、表現力等 を育むとともに、算数で学んだことを他の学習や生活 に活用しようとするなど、数学的に考える資質・能力 を育成することを目指すとしている。中学部の数学で は、小学部算数科の学習を踏まえて、引き続き具体物 などを用いることを通して数学の学習に関心をもち、

基礎的・基本的な概念や性質を理解するとともに、日 常生活の事象を、数学的に捉え表現したり、処理した りすることを重視している。

算数科の内容については、指導事項のまとまりとし て、1 段階では「A 数量の基礎」、「B 数と計算」、

「C 図形」、及び「D 測定」の4つの領域として、2 段階と 3 段階は「A 数と計算」、「B 図形」、「C 測

定」、及び「D データの活用」の 4 つの領域とした。

中学部数学科の内容については、1 段階では「A 数 と計算」、「B 図形」、「C 測定」、「C 変化と関 係」及び「D データの活用」、2 段階では、「A 数と 計算」、「B 図形」、「C 変化と関係」及び「D デー タの活用」の4つの領域としている。

また、小学校、中学校と同様に特別支援学校におけ る数学的に考える資質・能力を育成するための基本的 な考え方は、「数学的な見方・考え方」を働かせ、数 学的活動を通して、算数・数学の学習指導を行うこと であるとされている。「数学的な見方・考え方」とは、

算数・数学の学習において、どのような視点で物事を 捉え、どのような考え方で思考していくのかという、

物事の特徴や本質を捉える視点や、思考の進め方や方 向性を意味しており、算数・数学の学習を創造してい く上で欠くことができないとされている。この「数学 的な見方・考え方」は、新しい課題に当面した児童が、

その課題を自らの問題として捉え、既習事項を結び付 けて解決し、新しい概念を形成していく中で育成され ると示され、知的障害を対象とする算数・数学の中で も求められる力となる。

特別支援学校の指導計画の作成と内容の取扱いでは、

「指導計画作成上の配慮事項」では、単元などの内容 や時間のまとまりを見通して、その中で育むべき資 質・能力の育成に向けて、数学的活動を通して、児童 の主体的・対話的で深い学びの実現を図ることについ

  実践報告 

(3)

て示している。「内容の取扱いについての配慮事項」

では、思考力、判断力、表現力等を育成するため、具 体物、図、言葉、数、式、表、グラフなどを用いて考 えたり、説明したり、互いに自分の考えを表現し伝え 合ったりするなどの学習活動を積極的に取り入れるこ とや各領域で取り扱う内容の基礎的な事項との関連に 配慮することが示されている。あわせて、「数学的活 動の指導に当たっての配慮事項」では、数学的活動が 基礎的・基本的な知識及び技能を確実に身に付けた、

思考力、判断力、表現力を高めたり、数学を学ぶこと の楽しさを実感したりするために、重要な役割を果た すものであることから、各段階の内容に示す事項につ いては、生徒が数学的活動を行う中で指導することと している。

今回の学習指導要領の改訂の中では、上記のように 知的障害の教育が、各教科の目標、指導内容、学習評 価等と、小学校、中学校との学びの連続性を可能にす るように設計されている。

2知的障害のある児童生徒の学習上の特性等 特別支援学校学習指導要領解説各教科等編(文部科 学省,2018)では、知的障害のある児童生徒の学習上 の特性としては、学習によって得た知識や技術が断片 的になりやすく、実際の生活の場面の中で生かすこと が難しいことが挙げられている。また、成功経験が少 ないことなどにより、主体的に活動に取り組む意欲が 十分に育っていないことが多く、抽象的な内容の指導 よりも、実際的な生活場面の中で、具体的に思考や判 断、表現できるようにする指導が効果的であると記載 されている。

これまでの知的障害者の学習に関する研究の中でも、

一般に知的障害者は、抽象的思考能力が低く、直接経 験す ることや具 体物を用いる学 習が効果的 である

(Ellis,1970)とされている。Brown(1978)による と、この知的障害者の学習上の困難は、おもに認知発 達の遅れに基づくものと考えられている。この認知発 達の遅れが生じる原因として、知的障害者が1つの認 知方略を教授されても、その方略を使用することの意 義や使用状態のモニタリング及びコントロールの仕方 といった、認知に関する諸要素を十分に理解できない か ら だ と 指 摘 し て い る ( Bwlmont and Borkowaki, 1988)。このような知的障害者の認知発達を促すため にための重要な要因の 1 つとして、メタ認知を活性化 することが有効であると考えられている(宮本・林・

山下・金子・細村,1997)。Tanaka and Zigler(2005) は、知的障害者は、外的志向行動を通して、刺激集合 の形成が促進され、その結果、移行学習に向けた認知 の制御になったことを示唆している。外的志向性とは、

知的障害者の学習状態で示すパーソナリティ特性の 1 つであり、課題に含まれる様々な抽象的関係を見出す

のではなく、課題を取り巻く、具体的、状況的、そし て外的手掛かりへ依存しようとする傾向のことである。

3学習指導要領の目指す姿と思考の構造化

教育課程企画特別部会論点整理資料1(文部科学 省,2015)で示された新しい学習指導要領等が目指す 姿の中で「現代的課題」「資質能力の要素」が述べら れている。育成すべき資質・能力として、「知識・技 能」「思考力・判断力・表現力等」「学びに向かう人 間性等」に触れ、自己の感情や行動を統制する能力、

自らの思考のプロセス等を客観的に捉える力などの

「メタ認知」に関するものの育成が目指されている。

「メタ認知」とは、「人の学習や思考活動に関連する 知識 であり、学 習や思考を統制 するもので ある」

(Brown、Bransford,Ferrara,&Campion,1983;Jacobs

&Paris,1987)と定義され、メタ認知の有効性につい ては様々な研究から示唆されている。算数問題解決

(Schoenfeld,1988)においては、メタ認知に関する 教示・訓練によって課題の成績及びそれらの認知活動 に関する気づきが促進されることが報告され、評価、

モニタリング、プランニング等の自己制御過程に効果 があることが明らかになっている。

知的障害教育におけるメタ認知機能に関する研究で は、高良・今塩屋(2003)によると、個人差はあるも のの知的障害者の実行機能は自己教示によって高まる、

メタ認知的知識は自己教示に限らず経験や教示など 様々な活動や学習によって高まる、自己教示のリハー サルは内言により誘導され、行動を実行し、制御する 機能が促進される、自己教示により活性化された知的 障害者のメタ認知の実行機能は 1 年以上にわたって維 持される、ことが明らかになっている。

本実践研究においては、知的障害者が数学的活動を 行う際の思考場面に、「予測」「実測」「結果」「振 り返り」を設定することで、考えるための情報を焦点 化し、思考を構造化することを試みる。このことに よって、場面の情報に影響を受けやすく抽象的課題を 捉えにくい知的障害者であっても、般化性の高い状況 から数学的課題を見いだし解決する力を養えるのでは ないかと考える。

4知的障害教育における教科別の指導の授業づくりプ ロセス

特別支援学校学習指導要領解説各教科等編(文部科 学省,2018)では、教科別の指導の授業づくりプロセ スについて以下のように示している。

一人一人の児童生徒の興味や関心、生活年齢、学習 状況や経験を十分に考慮しつつ、指導に当たっては、

特別支援学校小学部・中学部学習指導要領第 2 章第 1 節第 2 款及び第 2 章第 2 節第 2 款における各教科の目 標及び段階の目標を踏まえ、児童生徒に対しどのよう

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な資質・能力の育成を目指すのかを明確にしながら、

指導を創意工夫する必要がある。その際には、各教科 の各段階に示す内容を基に、児童生徒の知的障害の状 態や経験に応じて、具体的に指導内容を設定するもの とする。また、各教科の目標に準拠した評価の観点に よる学習評価を行うことが重要である。図1は、上記 の内容を山元・笹原が図示したものである。

図 1 授業づくりモデル(山元・笹原,2019)

本実践では、図 1 に示す流れで授業をつくり、新学 習指導要領における教科別の指導(数学)に関する授 業づくりについてさらに明らかにしたい。

Ⅱ研究仮説

必然的な問いを包括する学習問題を受け、内発的な 問いが生起し、具体的かつ操作的な数学的活動をする ことで、思考を深め、解を導き出すことができるので はないか。また、思考の構造化「予測」「実測」「結 果」「振り返り」を図り、この思考を繰り返すことに より、般化性の高い理解を得ることができるのではな いか。

Ⅲ授業実践

以下2つの授業実践「比べ名人になろう」と「重さ キング」について報告をする。

1生徒の「測定」に関する実態

対象生徒は、a(3 年女子)、b(3 年男子)、c(2 年女子)、d(2 年男子)、e(1 年男子)の 5 人であ る。この 5 人は、中学部の中で実態に合わせて編成さ れた縦割りのグループである。通常、この 5 人で数学 の授業に取り組んでいる。

以下、「C 測定」に関する小学部 2 段階から中学部 1 段階までの指導項目と内容に基づいた個別の実態で ある。各項目について通過している項目については〇、

理解はしているが、安定して発揮することが難しい△、

理解していない×としている。

表1 「C 測定」に関する生徒の実態

a b c d e

視覚・触覚等の感覚に よって、長い、重いな どが判断できる

〇 〇 〇 〇 〇

具体物を観察し、長さ や重さに注目して一方 を「長い・高い」、他 方を「短い・低い」と 判断する

〇 〇 〇 〇 〇

視覚・触覚等の感覚に よって、高い、広いな どが判断できる

〇 〇 〇 〇 〇

具体物を観察し、高さ や広さに注目して一方 を「高い・広い」、他 方を「低い・狭い」と 判断する

〇 △ × △ 〇

量に着目し、2つの量 を 比 べ る 方 法 が 分 か り、一方を基準にして 他方と比べる

〇 △ 〇 〇 〇

一方の端をそろえて、

他方の端の位置によっ て大小判断をし、「長 い」「短い」を決める

〇 〇 △ △ 〇

長さ、広さ、かさなど の量を、直接比べる方 法で比較する

〇 〇 〇 〇 〇

測ろうとする量の始ま りを見つけ、終点とな る他方の端の位置にあ る目盛りを読む

〇 〇 △ △ 〇

長さの単位(mm、cm、

m 、 km ) や 重 さ ( g 、 kg)について知り、測 定の意味を理解する

〇 〇 〇 〇 〇

測定する対象の大きさ や形状に応じた単位や 計器を適切に選んで測 定し、量を数量化する

〇 △ △ △ 〇

かさの単位(mL、dL、

L)について知り、測定 の意味を知る

〇 〇 〇 〇 〇

長さ、重さ及びかさに ついて、およその検討 をつけ、単位を選択し たり、計器を用いて測 定したりする

〇 〇 △ △ 〇

普遍単位を基準にその 幾つ分であるか量を数 値化したり、単位を選 んだりする

△ △ × × △

身の回りの事象を量に 着目して捉え、量の単 位を的確に表現する

× × × × ×

以上、算数・数学の各生徒の数学における段階は、

生徒 a は中学部 1 段階、生徒 b は中学部 1 段階、生徒 c は小学部 2 段階から 3 段階、生徒 d は小学部 3 段階、

生徒 e は中学部 1 段階とする。

(5)

2実践事例 X

(1) 題材名「比べ方の名人になろう」

(2)題材目標

・様々な容器のかさを比べることを通して、直接比較、

間接比較、任意単位での比較、普遍単位を用いてい の比較の方法を理解する。【知識・技能】(中学部 1 段階 C 測定)

・状況に応じて、比較方法を量的感覚を踏まえて考え ながら、よりよい比較方法を選択して比べることが できる。【思考力・判断力・表現力等】(中学部 1 段階 C 測定イ、小学部 3 段階 C 測定イ)

(3)指導構想

①指導計画

学習課題 学習問題

1 次 水の「かさ」が分かる 直接比較、間接比較、

任意比較を理解する

容器を大きい順に並 べてみよう あふれる容器、あふ れない容器はどれ 2 次 計量カップの目盛りの

読み方が分かる

「少し」「半分」等 の言葉を正確に表そ

3 次 比較方法を使って、根 拠をもって、水の「か さ」の大きさを決める ことができる

根拠をもって、多い 順に並べよう

②数学的な見方・考え方を働かせる

授業では、①指導計画のように生徒が着目して思考 するように発問を設定し、学習活動を通して思考する ようにする。

<第 1 次>

長さの測定で学習した比較の仕方を用いて、水のか さに着目してどちらがどのくらい多いか調べる

<第 2 次>

実際に比べる活動を通して、高さ・太さのある容器 の特徴と、水の量の関係性に着目して量感を育てる

<第 3 次>

容器やコップ、計器の大きさに着目して任意単位の 比較や目盛りを読み取りながら比較を行う

③学習活動

授業では、具体的な操作的活動をしながら、以下の 手順で、問題が生起して思考して解決するプロセス

(予測、実測、結果、振り返り)を以下のような手続 きを繰り返すこととする。

ア見当をつける(容器の高さ、太さに着目する)

比較する方法を考える イ具体物を量る。

ウ結果を視覚化する エ上記 3 つを振り返る

(4)結果

本単元では、容器の太さと高さに着目して、容器の 中に入っている水のかさを比較した。

表 2 は、③の手続きで行った学習活動の結果をまと めたものである。〇は、予測と結果が一致していたも のである。×は、予測と結果が一致していなかったも のである。

生徒 abe の 3 人は、すべての学習活動において、太 さと高さに着目をして、太さが同じならば高さを、高 さが同じならば太さに着目をして、根拠をもってかさ を比べることができた。第3次では、6 回目の授業で 900ml と 1000ml で、7回目の授業で 400ml と 500ml を比較したが、この差は見た目で見当を付けることが 難しい様子であったが、計量カップ又は任意のコップ を使って、数個分とかさの量を数値化して、比較する ことができた。

生徒 cd の 2 人は、1回目の学習活動の予測で、容 器(中身が見える水筒とペットボトル)で比較したが、

キャップの高さまでを容器の高さと捉え、中に入って いる水のかさも多いと判断してしまった。容器の全体 的なシルエットに着目してしまい、中身の水のかさを 比べるといった点に着目が向かなかった。

生徒 c については、すべて容器の見た目の高さの高 い方を水量が多いと判断している。計量し具体的な数 値になると、水のかさを正確に理解してどちらが多い か判断することができた。

生徒 d は、1 回目は容器の見た目に影響され、予測 で失敗してしまったことを学習し、2 回目以降は、容 器の高さだけでなく太さ(底面の面積)に着目をして 比較できるようになった。

表2 実践事例 X の結果 次 授 業

回数 a b c d e

× × ×

×

× ×

3実践事例 Y (1)題材名

「重さキング」-身の回りの物の重さランキング (2)題材目標

・身の回りの物の重さに関心をもち、おおよその見当 をつけることができる。【知識・技能】(中学部 1

(6)

段階 C 測定ア)

・重さの構成要素を基に道筋を立てて、自分の考えを まとめたり、説明したりすることができる。【思考 力・判断力・表現力等】(中学部 1 段階 C 測定ア、

小学部 3 段階 C 測定イ)

(3)「重さ」に関する生徒の実態

「重さ」に関しての生徒の実態を表3に示した。デ ジタルばかり、アナログばかりを作業学習で使用した 経験がある生徒は多いものの、量感は脆弱で、自分の 体重について単位を踏まえて答えることができる生徒 はいない。また、「大きさ」と「重さ」との関係を、

大きいものほど重いと捉えている生徒が多く、素材や 量を見ただけでは、見当をつけて、「重さ」を判断す ることが難しい生徒もいる。

表3 「重さ」に関する生徒の実態

a b c d e

「 重 さ 」 の概念

言葉の意味は理解している

直 接 比 較

(重さ) 大きいものが重いと理解してい

重 さ だ け に 着 目 す る こ と が 難しい

大 き い も の が 重 い と 理 解 し ている

「 量 り 」 の理解

デジタルばかりの使用経験はある

単 位 の 理

聞いたとはあるが意味は分からない

(「g」は使用経験あり、「㎏」は分からない)

量感 持 っ た 経 験 が あ る も の は 想 像できる

持 っ た 経 験 の な い も の も 想 像 で き

極 端 な も の は 分かる

難しい 持 っ た 経 験 の な い も の も 想 像 で き

(4)指導構想

①指導計画

学習課題 学習問題

1 次 身の回りの物の大 きさの違いに気付

大きい順に並べてみよ

2 次 大きさや素材に着 目して重さを予測 する

根拠をもって、重さの 順番を決めよう 3 次 直接比べることが

難しい

重さを比べる方法を考 えよう

②数学的な見方・考え方を働かせる

授業では、①指導計画のように生徒が着目して思考 するように学習問題を設定し、学習活動を通して思考 するようにする。

<第 1 次>

視覚的な情報を基に、「重さ」を捉え、その後実際 に持ってみることで、実感を伴って量感を身に付けて いく。

<第 2 次・第3次>

第 1 次で得られた実感を重ねていくことで、根拠を もって判断できるようにする。重さを構成する要素

(大きさ・素材・中身)に着目させ、判断するように する。

③学習活動

授業では、具体的な活動をしながら、以下の手順で、

問題が生起して思考して解決うるプロセス(予測、実 測、結果、振り返り)を以下のようなプロセスを繰り 返すこととする。

ア見当をつける

目で見て予想する、手で持ってみて予想する。

イ具体物を量る。(デジタルばかりを使用)

ウ結果を視覚化する エ上記の3つを振り返る

4結果

本題材では、素材、大きさ、中身、重さ(量感)に 注目して、日常生活にある物(ぬいぐるみ、本、置物 等)の重さを比較した。

表 4 は、③の手続きで行った学習活動の結果をまと めたものである。〇は、予測と結果が一致していたも のである。×は、予測と結果が一致していなかったも のである。

生徒 abce の 4 人は、着目する点が「素材」、「大 きさ」、「中身」と増えていっても、「大きさ」が同 じ場合は「素材」に着目して、「大きさ」と「素材」

が同じ場合は、中身の「素材」に着目をする等、柔軟 に属性である「重さ」を比較することができた。また、

素材から量感を捉え、直感的に「重さ」についての比 較をすることが可能だった。素材に関する知識もあり、

布や紙より金属の方が重いことや、同じ素材ならば大 きいものの方が重いことを判断することができた。ま た、生徒 abce の 4 人については、「予測」「実測」

「結果」「振り返る」を繰り返し行うことで、複数の 属性がある場合にどのように着目すればいいのかを学 び、あわせて、量感も育っている。

生徒 c はすべての学習活動において、予測と結果が 一致しなかった。身の回りにあるものを比較する場合 には、様々な属性がある。生徒 c にとってみると複数 の要素を整理して重さを比べることは難しかった。生 徒 c は、大きさに終始、着目する傾向があり、素材に 着目がいかなかった。また、素材に対する知識も少な く、紙、布、金属、プラスティック等への量感も乏し かった。

生徒 e は、生徒 abc と同様に柔軟にみる視点を整理 することはできていたものの、素材に関する知識が少 なく、あわせてその量感も乏しかった。実際に測定す

(7)

ることによって、「こんなに重かったのか。」と実感 をもつことができ、知識として身に付けることができ た。

生徒 c は「予測」「実測」「結果」を繰り返しても、

なかなか「重さ」を推測することが難しかったり素材 の量感をつかんだりすることが難しかった。また、重 さを比べるためにはどの情報が大切なのかを選択する ことは難しかった。

表4 実践事例2の結果 授 業

回数

a b c d e

× × × ×

× × × × × × × ×

×

Ⅳ考察

1 知的障害のある生徒を対象とした「C 測定」の指導 実践事例 X、Y から、ひもや棒などの直接比較をす ることができたり、「長さ」を測ったりして具体的に 数値化できる方法での比較は、生徒 abcde の 5 人とも

「長さ」「かさ」「重さ」を比較することができた。

それに対し、容器に入っている水の量の比較や日常 生活にある物の「重さ」の比較では、知的障害のある 生徒たちにとってみると、属性を直感的に判断したり、

必要な情報と不必要な情報とを区別したりすることが 難しくなることが分かった。実際の授業では「かさ」

の比較の場合には、容器を統一して「かさ」だけに着 目する場合は、小学部 2 段階以上の算数・数学の実態 であれば、「かさ」について比較することができる。

しかしながら、容器の形状が違う等の他の条件が入っ てくると、見た目の容器の形状に注意が向き、「か さ」の属性の本質に迫ることができなかった。生徒 abe の 3 人のように中学部 1 段階以上の数学の実態で あれば、日常生活で使用する水筒やコップ等の身の回 りの容器であった場合でも、底面の面積の広さや容器 の高さなどから容器の条件を考えて、「かさ」を比較 することができると考えられる。

実践事例 Y で扱った「重さ」では、「素材」「大き さ」「中身」の 3 つの視点で考えながら「重さ」を比 較したところ、生徒 ab は柔軟に視点を変えて、難し い場合には量感を働かせながら取り組むことができた。

生徒 cd は、「大きさ」「重さ」の言葉の概念的理解 が難しく、「大きい物の方が重い」といった理解に留

まる場面もあった。また、比較する際の 3 つの視点に ついてもその属性を捉えることも難しかった。

生徒 cde は、素材に関する量感が乏しいことが多い いものの、測定を繰り返す中で量感は育っていった。

知的障害のある生徒にとって、「長さ」「かさ」

「重さ」と題材を扱う中で、比較する際に直接比較が 難しい場合や他の条件が増えれば増えるほど属性に焦 点化して思考することが難しくなった。数学の同じ段 階の目標であったとしても、取り扱う教材によって難 易度は大きく変わることが分かった。

2知的障害者の「予測」「実測」「結果」「振り返 り」の学習活動と思考の構造化

実践事例 X と Y において、生徒 abde の 4 人は、学 習活動の中で「予測」「実測」「結果」「振り返り」

のプロセスを繰り返すことで、前時の学習から分かっ たことを想起して、次の時間にその学習を生かすこと ができている。例えば、実践事例 X では、生徒 d は容 器の形に注目してしまい中身の水の「かさ」を比べる ことは難しかったが、注意の向け方の間違いを理解す ると次の授業では容器の形状を把握した後、水の「か さ」を比較することができていた。また、実践事例 Y では、生徒 e は前時である物の中身の素材の量感を間 違えてしまったことから、次からは、物の大きさと素 材、特に中に入っている中身の素材も考慮して全体の 重さを注意深く思考するようになっている。

しかしながら、生徒 c は、授業の中で「予測」「実 測」「結果」の一連の学びはできていても、「振り返 り」を次の授業や学習場面に生かすことは難しかった。

思考の構造化「予測」「実測」「結果」「振り返 り」を実践することは、生徒 abde の 4 人ように、数 学の段階が小学部 3 段階又は中学部 1 段階以上であれ ば、効果的な思考の仕方になると思われる。一方、生 徒 c のように、数学の段階が小学部 2 段階であると、

情報の精選、属性の焦点化、言葉の概念の理解も難し いため、思考の場面で構造化を図って、断片的には判 断ができても、一連の思考を統合することは難しく、

結果的には、次の授業や生活の場面に学びが般化する ことは難しかった。

3新学習指導要領に基づいた授業づくり

今回授業づくりのプロセスは図 1 に従って、学習集 団の実態に応じた段階から目標と指導内容を設定し、

生活場面から教材化を図り、授業実践を行った。この プロセスをとることで、知的障害の算数・数学の系統 性、特性や発達段階、生活を踏まえた授業づくりが可 能になった。

今後インクルーシブ教育システムの充実が図られる 中、小学校・中学校と特別支援学校との学びの連続性 が図られることが重要である。これまで、知的障害の

(8)

教科別の指導は、小学校・中学校の教科指導とは授業 のつくり方も内容も接続が難しかった。本実践報告で は、新学習指導要領に則って授業づくりを行うことに 挑戦し、新しい知的障害教育における教科別の指導の 具体的な授業づくりのプロセスを示すことができた。

参考・引用文献

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参照

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