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新型コロナウイルス感染症による活動自粛の競技ス トレス

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Academic year: 2021

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新型コロナウイルス感染症による活動自粛の競技ス トレス

著者 畝中 智史, 横山 茜理

雑誌名 北翔大学北方圏生涯スポーツ研究センター年報

巻 11

ページ 123‑124

発行年 2020

URL http://doi.org/10.24794/00003321

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北翔大学北方圏生涯スポーツ研究センター年報 第11号 2020

Bulletin of the Northern Regions Lifelong Sports Research Center Hokusho University Vol.11

新型コロナウイルス感染症による活動自粛の競技ストレス

The Stress for Athletes of the Self-Restraint by the COVID-19 畝   中   智   志 横   山   茜   理

UNENAKA Satoshi YOKOYAMA Akari

(3)

─  ─123

2021年3月 March,2021 北翔大学北方圏生涯スポーツ研究センター年報 第11号

Bulletin of the Northern Regions Lifelong Sports Research Center Hokusho University Vol.11

Ⅰ.はじめに

  2020年2月,日本を含めた世界中で新型コロナ感染 症(COVID-19)が流行し,我々の生活に大きな影響を もたらした1)。多くの施設が閉鎖し,時間短縮での活動 をよぎなくされ,大学においても対面授業の禁止(遠隔 授業への切り替え)やクラブ活動を含めた課外活動が自 粛となった。H大学においても2月末から7月末までの 約5か月間,部活動が活動自粛となった。さらに今年度 に予定されていた大会は中止および延期の判断がなされ た(11月現在も多くの大会が中止または延期,活動につ いても制限が加えられている)。

 大学における多くの部活動は,1年間を1シーズンと して活動を計画している。活動が自粛となった2~3月 は最上学年である4年生が引退し、新チームとなってス タートする時期(集団発達のモデルでの幼年期2))であ る。その時点から,急に活動再開の時期が示されない活 動自粛へと入り,予定されていた大会が次々と中止と なった学生の心理状態は複雑であったことが推察され る。

 そもそもアスリートは競技を行うなかで様々なストレ スを受けることが明らかとなっている。その中でも大学 生アスリートは,ストレスを受けることで多くの心理的 および身体的問題を抱える可能性が示唆されている3)。 そのため,今回の活動自粛においても競技ストレスに特 徴がみられると考えた。

 そこで本研究では,新型コロナ感染症による部活動自 粛期間前後の競技ストレスを調査し,活動自粛が大学生 競技者の競技ストレスに与えた影響を検討することを目 的とする。

Ⅱ.方法 1.実験参加者

 H大学男子バスケットボール部に所属する学生を対象 とした。新型コロナ感染症による活動自粛前は15名,活 動自粛後は18名であった。また,2020年度1年生は活動 自粛前の時点で入部しておらず,活動自粛そのものの経 験がない。今回の研究では,活動自粛を経験しなかった 統制群として9名の1年生の測定を行った。

2.測定項目

 スポーツ選手用ストレス反応尺度4)を使用した。こ の質問紙は,15の質問から構成される。競技ストレスの 要因である「身体的疲労感」「無気力感」「不機嫌・怒り」

「対人不信感」「抑うつ」の5項目について,どのくらい 経験したかについて5件法で回答を得た。

3.統計処理

 質問を「全くなかった」~「とても多くあった」を1

~5点で得点化し,項目ごとで平均しスコアを求めた。

各項目の平均スコアについて,活動自粛前後の比較では 対応のあるt検定を実施した。活動自粛の経験の有無に よる違いを明らかにするため,活動自粛後の2~4年生 の平均スコアと1年生の平均スコアを対応のないt検定 にて比較した。

Ⅲ.結果および考察

 自粛活動前後でのスポーツ選手用ストレス反応尺度の 各項目のスコアを図1に示した。「身体的疲労感」「無気 力感」「不機嫌・怒り」「対人不信感」「抑うつ」の5項

新型コロナウイルス感染症による活動自粛の競技ストレス The Stress for Athletes of the Self-Restraint by the COVID-19

畝 中 智 志

1)

  横 山 茜 理

1)

UNENAKA Satoshi

 1)

  YOKOYAMA Akari

 1)

キーワード:ストレス反応調査,バスケットボール部員,活動自粛経験

1)北翔大学 生涯スポーツ学部 スポーツ教育学科

(4)

─  ─124

新型コロナウイルス感染症による活動自粛の競技ストレス

目すべてにおいて,活動自粛前後で有意な差は見られな かった。

 本研究では活動自粛前後の競技ストレスについて調査 を行ったが,ストレス尺度に違いは見られなかった。こ のことから,活動自粛に関しては競技ストレスに影響を 及ぼさなかったと考えられる。しかしながら,競技スト レス状態については中期から短期で変化してくことも報 告されているため,活動自粛が終了し,部活動を行える ようになった時点でストレスが緩和した可能性がある。

したがって,活動自粛の影響そのものは自粛中に測定を 行うことで明らかになると考えられる。

 活動自粛の経験の有無による違いを明らかにするた め,活動自粛後の2~4年生と活動自粛経験のない1年 生のストレス反応尺度を図2に示した。「身体的疲労感」

(p<.01)「無気力感」(p<.05)「不機嫌・怒り」(p<.05)

において有意に2~4年生のスコアが高いことが示され た。「対人不信感」「抑うつ」の2項目においては有意な 差が見られなかった。この結果より,活動自粛を経験す ることで,「身体的疲労感」「無気力感」「不機嫌・怒り」

の3項目が影響を受ける可能性が示された。身体疲労感 は,身体の疲れを示している。したがって,活動自粛に よって運動量が低下に伴って,体力及び筋力が低下した 影響と考えられる。また,無気力感では目標や大会への モチベーションを表している。本調査を行った段階では 多くの大会が開催未定であったため,過去の大会を経験 しているがゆえに無気力感が高くなってしまったと推察 される。一方,1年生については年度で定例となってい る大会の経験がなく,また年度前半の大会中止について も実感がなかったために無気力感が高い値を示さなかっ たと考えられる。さらに不機嫌・怒りについても,2~

4年生は過去を経験していることから,過去に行えてい た練習や大会参加が不可能となる現状にいらだちを持っ ていた可能性がある。

Ⅳ.結論

 活動自粛前後での競技ストレスに変化は見られなかっ た。しかしながら活動自粛の有無の比較から,活動自粛 を経験していると「身体的疲労感」「無気力感」「不機嫌・

怒り」の競技ストレスが高くなる可能性を示唆した。本 結果をより明確に示すためには,活動自粛中の測定を行 うこと,また今後活動自粛がない状態での期間を別にし た測定を行うことが求められる。

付記

 本研究は,2020年度北方圏生涯スポーツ研究センター・

センター選定事業として実施された。また,本研究に関 して申告すべき利益相反状態はない。

文献

1)NIID国立感染症研究所:新型コロナウイルス感染 症(COVID-19) 関 連 情 報 ペ ー ジ. https://www.

niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019- ncov.html(2020年11月10日)

2)山口裕幸著:組織の変革と管理者のリーダーシップ -組織やチームを健全な成長へと導くには-.pp75

-108,有斐閣,東京,2006.

3)中込四郎・岸順治:運動選手のバーンアウト発祥機 序に関する事例研究.体育学研究,35(4):313- 323,1991.

4)煙山千尋:スポーツ選手用ストレス反応尺度の開発.

岐阜聖徳学園大学紀要,52:31-38,2013.

図1 活動自粛前後の競技ストレス

図2 活動自粛後の学年別競技ストレス

参照

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