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金 沢大学十全医学会雑誌 第

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(1)

金 沢大学十全医学会雑誌 第

84

巻 第

2・3

135‑158 (1975)

マ ウス頬筋 の神経支配 , 特 に運動終板 の超微構 造 と その顔面神経切 断後 の変化

金沢大 学大学院医学研究科耳 鼻 咽喉科 学講座 ( 主任 :梅 田良三教授 ) 金沢大学大学院医学研究科解 剖 学 第 一講座 ( 主任 :本 陣良平教授 )

羽 岡 直 樹

( 昭和

49

12

7

日受付 )

本論文 の一 部 は,第

75

回 日本耳 鼻咽喉科 学 会総会学術講演 会 および第

34

回 ヨ本解剖 学会中部地方 会 において発 表 した .

表情筋 へ の神経分布 は, ′その生理学 的特性 の 検 索

l)

や顔面神経麻痔 の研究 の方 面 か ら.その解 明 が強 く望 まれているに もかかわ らず ,なお明 らかで はな い .

表情筋 の神経支 配の問題点 と して は ,1) 個 々 の 表 情筋 への顔面神経 の枝 の分布様式 .2)運動 終 板 の 筋 内分布

,3)運動終板 の構 造特徴 ,特 に娘 弓 の 間 葉 由

来 の筋 であ る表情筋 の運動終板 と,体節 由来 の筋 の そ れ との差異 の有無 ,さ らに外眼筋

2)

や両生 類3 ) な どに報 告 された多 重支 配型 の運動終板 の存否

,4)

筋 紡 錘 や 健紡 錘 の有 無

4)5),5)表情筋 への 自律神 経線維 の分布 ,

な どがあげ られ る.

以上諸点 の解 明 のため ,著者 はマ ウス頬筋 を試料 と し,頬筋 お よびその周辺 の組織 に神経染色 を施 した連 続切片 によ り,頬筋 に達す る神経 の分枝 走路 ,筋 内 に お ける分布 を可 視光顕微鏡 ( 以下 「光 顕」 と略記 )投 影再構築 に よ って追及 し,また運動終 板 の分布 と構 造 を知 るため に, コ リンエ ステ ラーゼ活性 検 出法 ( 以下

「ChE

法 」 と略記 )お よび

ChE

活性 と神 経軸 索 の 二 重染色法 ( 以下

「ChE‑axon

法 」 と略記 ) を 使 用 し.さ らに超微構 造 の検索 には ,超薄切片 の電子 顕微 鏡 ( 以下 「電顕」 と略記 )観察 を行 な った .また神 経 の由来 を解析 す るために ,神 経切 断 によ る二 次 変性 像 を神経束 か ら運動終板 にわ た って経時的 に追 及 した .

試 料 と 方 法

実験動物 と して は , 純 系 成 熟

KH‑A

種 マ ウ ス ( Muswagner i

va

r

.

al bul a)を用 い ,その頬筋 お よ

Innervation ofthe buccinator muscle

135

び これ に入 る 神 経 を使用 した.検索 は正常 試 料 の は か ,下 記 の変性 実験 を施行 した もの に つ い て 行 な っ

た .

頬筋 お よび これ に分布 す る神経 の光 新棟本作 製 の た めの試料採取 には,上 唇粘膜 と唆筋 の一 部 を 含 め て , 頬筋 とその周 囲の筋 を一括 して取 り出 し固定液 に投 じ た .組 織化学用 な らびに電顕用試料 の採取 には ,実体 顕微鏡下 で頬筋 を単離 した .

顔面神 経切 断実験 は,茎乳突孔 と頬骨 弓最後 部 との 中間点 に縦 の皮 膚切 開 を加 え ,剥離 して顔面神経 の下 頬骨枝 と頬筋枝 を露 出 させ ,両枝 を同時 に ,また は別 個 に切 断 し,中枢側 を約

5mm

切 除 し,術 後

4, 8, 16,24

時 間

.2,3,4,5,7

日間動物 を生存 させ た後 .両側 か ら試料 を採取 した .

光 顕標本 の作 製法 は. 1

)Cajal

写 真銀法 の本 陣 変 法6 ) ,

2)Karnovsky

らの

ChE

法 7 )

.3)中村 らの

ChE・axon

8)

9

)

.

4)Nachlas

らの コ‑ ク酸脱 水 素 酵素活性 検出法 ( 以下

「SDH

法 」 と略記 )

川 ). 5)

上 記 の

SDH

ChE

活 性 の 二 重 染 色 法 (以下

「SDH・ChE

法 」 と略記 )

,6)ChE en block

法 (後 逮 )

,7)髄鞘染 色法 (

後 述 ) を行 な った . この ほか に ヘ ムア ラウム ・エオ ジン染色 ( 以下

H‑E

と略 記 )模本 を作 製 し,対照 と した .

H‑E

標本 と写真銀法標本 は

10‑12

〟連続切 片 と し . 光顕 で観察 し.鋸微描 画再構成法 によ り,顔面神 経 の枝 の走行 .頬筋 内 の神経要素 の構築 を明 らか に し,切 断 実験後 の変性神経線維 の分布 を追 うことによ り,各種

ofthe mouse

,

with specialreference to the ultrastructure ofthe motor end‑plate and its degenerative changes followingfacialnervesection.NaokiHaoka,DepartmentofOto‑rhinolaryngology (Director:Prof.R.Umeda),DepartmentofAnatomy(Director:Prof.

R

.Honjin)

,

SchoolofMedicine

,

Kanazawa University.

(2)

神経線維 の由来 ・分布 および終末様式 を検 した.

ChE

法 ,

SDH

法 ,

SDH‑ChE

法標本 は, クライ オ ス タ

ッ トによ り

25‑3O

F L 新鮮凍結連続切片 を作製 し, 光 顕 で観察 した.

ChEenblock

標本 は,マ ウスを断 頭 し, 上 唇 挙 筋 を取 り除 いて頬筋 を露出 し,頭蓋 と共 に塊 の まま

10

% formaldehyde

水溶液

10ml

0.9%

食塩水

90ml

と の混液 に

4oC 1.5

時 間固定後

,0.9%

食塩水

(4oC)

30

分 間洗漉 し

,ChE

法用基質液 に室温

1.5

時 間浸 墳 し, 赤血塩 による着色操作 を省 き,直 ち に 兼 留 水 で 洗 液 級 ,グ リセ リン液中 に浸 し.実体政教鏡下 に運動終板 の筋 内分布 を調べた.

髄鞘染色法 は,顔面神経 の下頬骨枝 と頬筋枝 の有髄 神経線維 の分布 を光顕で観察 す るための もので ,両神 経枝 を,筋 と共 に下記 の電顛標本作製操作 に従 って固 定 ・脱水 を行 ない,

propylene oxide

以 下 の 操 作 を省 き,直 ちに

Ⅹylene

で透徹 し

. parafnn

に包 埋 し

,5

J J 償 断切片 を作製 した.

電顕模本 の試料 の作製 には.

25% glutaraldehyde 2ml

Tyrode

23ml

で稀釈 した液

25ml

, Kar novskyl

l )の方法 によ り作製 した

8% formaldehyde

水溶液

12.5ml

との混 液 によ って試 料 を前 固 定 し.

ついで頬筋 を細切 し.この混液 と

2

%

OsO

d の 等 量 混液 によ り.

4oC

の もとで

2.5

時間固定 し

, Tyrode

液 で洗 液後 ,順 次 高 濃 度 の

ethanol

系 列 で 脱 水 .

propylene oxide

を使用 し,

Epon 812

に包 埋 し

12)

.この間 .脱水中 に

uranium

によ る塊 染 色 を 施 した.

切片 の作製 はガラスナイフを用 い,

LKB 4800 A Ultrotome

によ った.は じめに

1‑ 5

〟の切片 を作 り 大和 の

0.1% toluidine blue

染色法 1 : I ) を施 し,光 顕 による組織 の

orientation

に供 した . 超 薄 切 片 は シー トメ ッシュに載 せた後 .佐 藤の

Pb

染色法

14)

を施 し.

HU・12

型電顕 によ り,直接倍率

3,000‑10,000

倍 で撮影 し.必要 に応 じて拡大 陽画 を作製 した.

なお対照 と して ,外 肋間筋 と前腰骨筋 につ いて も同 様 な検索 を行 ない比較検討 した.

所 見

Ⅰ.正常所見

1.頬筋 の一般的構造

ルーペな らびに光顕所見 によると , マ ウ スの 頬 筋 は,上 顎骨 の前縁 と縫合 してい る

Premaxilla

骨 1 5 ) のほぼ中央近 くで ,上切歯の歯槽隆起 の下線 に沿 う巾 約

1mm

の部位 か ら起始

し,Premaxi

l l a 骨 の 表 面 を下方 へ進 み ,前後 の太 い筋束 と中間の

2

本 の細 い筋

束 の計

4

本 の束 に分かれ ,扇状 に広 が りなが ら走 り , 上唇の皮膚 に停止 す る (図

1

).全 長 は約

1cm

で あ る.扇状 に広々iった

4

本 の筋束 は,停止部 に近づ くと 約

10

本 の筋小束 に分 かれ ,口輪筋 の筋束 によって貫通 され ,ついで上唇の皮膚乳 頭層 に停止 す る.頬筋 に大 径 と小径 の

2

種類 の筋線維 を区分 す ることが で き る .

SDH

法 によって検す ると, コハ ク酸脱水素酵 素 活 性 は大径筋線維 に弱 く,小径筋線維 に強 く,両者 は混合 してモザイク様パ ター ンを示 している (写真

1)

. 棉 筋 の筋線維 は細 く,外 肋間筋 および前陛骨筋 のそれの

1/5‑1/6

の直径 を示 した.

電顕で頬筋線維 を検す ると,大径筋線維 と小径筋線 維 では,

mitochondria

( 以下

「mito.

」 と略 記 ) の葺 と分布 に大 きな差 が見 られ る.すなわち,小径筋 線維 の

mito.

は大径 のそれに比 して大型 で ,かっ小 径筋線維 においては, 筋線維 の外周 を縁 どって

mito.

の密 な集積 が存 す る (写真

17).

大径 と小 径 の 両 筋 線維 の

sarcoplasmic reticulum

は共 に よ く発 達 し,また

triad

は両筋線維 ともに

A

帯 とⅠ 帯 の境界部 に存在 し,いずれ も両者 間でその発達度 に著明 な差異 は認 め られなか った.

2

.頬筋 の神経支配

1)頬筋 へ分布 す る顔面神経 の走行 と末 梢分枝 実体顕微鏡観察 と神経染色標本 の連続切片 の再構築 によって ,マ ウス頬筋 は,顔面神経 の下 頬骨枝 と頬筋 枝 とか ら神経線維 を受 けてい ることを確 かめた.図

1

のよ うに.茎乳突孔 を出た顔面神経 は,顎動脈 と交 叉 す る直前 で .下頬骨枝 と頬筋枝 の

2

本 の枝 を分 か ち . 下頬骨枝 は,頬骨 弓の下方 に沿 って顔面横動脈 と共 に 前方 へ走 り,眼角動脈 と交 叉す る.また頬筋枝 は,下 頬骨枝 のやや下方 をそれ と平行 して前方 へ走 り,眼角 動脈 と交 叉す る.これ らの交叉部位 で ,眼角動脈 に伴 行す る動脈周囲神経叢か ら細 い神経束 が下頬骨枝 と頬 筋枝 に合流 す る.また眼角動脈 との交 叉部 のす ぐ末梢 側 で ,下頬骨枝 か ら出 た小枝 が頬筋枝 に吻合 す る.便 宜上 ,頬筋 の

4

本 の筋束 を ,頬骨 弓側 か ら前方 へ ,そ れぞれ

a

, ・b.

C

.

・d. と呼 ぶ ことにす る (図 1 ). 上 記 の小枝 が吻合す る部のす ぐ末梢側 で ,頬筋枝 か ら

1

本 の細 い枝 が分枝 して下 内側 に向か い.筋束

a.

の 表 面 を下方 か ら上方 に向か って分枝 しっっ筋束 に分布 す る.この枝 を第

1

分枝 と名付 ける.第 1 分枝 を分枝 し た後 の頬筋枝 の主幹 は上 ・中 ・下枝 の

3

本 に分岐 して 前上方 に向か う.この うち中枝 と下枝 か らそれぞれ 1 本 の小枝 が分岐 し, しば らく前下 方 に 走 っ た後 吻 合

し ,1 本 の神経枝 と して筋束 d. の前

2/3

に下 方 か ら

上方 に向か って分布 す る. この枝 を第

3

分枝 と呼 ぶ .

(3)

マ ウス頬筋 の神経支 配,特 に運動終板 とその二次変性

137

3

分枝

,bb:

顔 面神 経 の 頬 筋枝

,blls:

顔面神経の上唇挙筋‑の

,lzb:

顔面神経の下頬骨 枝

,aリbリ

C

.,d.

:頬筋の筋束

,aa:

眼角動脈

,

3

分枝 とほぼ同 じ高 さで ,下頬骨枝 か らの小枝 と頬 筋枝 の中枝 か らの小枝 とが吻合 し,第

3

分枝 の上沿 を はぼ これ と平行 して前下方 に走 り,筋

束 b.

C,

, お よび筋束

d.

の後

1/3

に分枝 しなが らそ れ ぞ れ

下 方 か ら分布す る.この枝 を第

2

分枝 と

呼 ぶ .顔面神経 の 茎乳突孔 か ら頬筋 に入 るまでの間を

連続切片 によ って 検 したが ,神経節 を見出 し得 なか っ

た.

頬骨 弓の下部の位置 で顔面神経 の下頬骨枝 と頬 筋枝 の線維構成 を見 ると,いずれ も大部分 が大径有髄

線維 で ,少数の小径有髄線維 が これに混 じ,無髄神経

線維 は極 めて少 ない.両棲 が眼角動脈 と交 叉す る付

近で動 脈周囲神経叢か らの無髄線維 が小束 をな して上記 の両 枝 に流入す る.このため両枝内 に無 髄 線 維 が 増 加 す る.頬筋への第

1・2・3

分枝 中 には多数 の大径 線維 と少数 の小径線維 の間に少数 の無髄線維 が束 をな

して 混 じている.第

1・2・3

分枝 が末梢 に進 み筋

に達 す ると,無髄神経線維 の多 くは これ らの枝 か ら分

かれ て顎動脈の頬筋枝 に伴行す る多数 の細 い無髄神経束

に 合流 し.動 脈の

分枝 に伴行 しつつ 自律神経終 末網 に散 布 する. 有髄神経線

維 は分散 し,筋線維 の問を縫 って運 動終板 に達 す る.

H‑E

標本 および神経染色標本 (写真鏡法 ,

ChE

axon

法)の連続切片 によって精査 したが , 頬 筋 内 に

筋紡錘 ・健紡錘 な らびに螺旋状 ない し樹枝状 の遊離神

fa:

顔面動脈

,ma:

顎動脈

,sta

: 浅側頭動脈。

経終末 を見出 し得 なか った.

また頬筋筋束 を貫通 して 口腔粘膜 に達す る三 叉神経

2

枝 よ りの頬筋 に分枝 す る神経線維 を認 めなか った

. 下頬骨枝 と頬筋

枝 を横 断像 で電 顕 に よ って 検 す る と.多数 の有髄線維

の間 に極 めて少数 の無髄線維 の存 在 が確 かめ られた.

神経線維 は運動終板 の近傍 に達す ると,髄鞘 を脱 し て無髄 とな り,数本 の枝 に分 かれ ,その末端 は肥大 し て終末軸索 とな って筋線維 表面 の樋状 の溝 に族 り込 ん で ,運動終板 の形成 に参加 す る.髄鞘 を脱 す る前 の有

髄線細 は軸索 ・髄鞘 ・ れ ,その微細

Schwann

細 胞 か ら構 成 さ 構造 は従来記載 の噂乳類一 般末 梢神経 の それ と同様 である (

Honjin

16)‑22))

.髄鞘 を脱す る 近傍 で は.髄鞘 に囲 まれて しば しば軸索 が分岐 して い る像 に接 した (写真

18).

また髄鞘 を 脱 す る部 分 は , 本 陣 ら

2

1 ) の

Ranvier

絞 輸部電顕像 の う

ち そ の 末 梢 側 を欠 いた像 を示 してい る (写真

19)

.

髄鞘 を脱 した後運動終板 に達す るまでの終末軸索無 髄部 において は,その軸索

内 に , 有 髄 部 と同 様 に .

mito.,neurofilaments

(

以下

n.f.

」 と略 記 ) ,

neurotubu

les

( 以下

「n.t.

」 と略記 )が認 め られ

るはか ,径約

500

Åの無 精粒性小胞類似 の 小 胞 が 散 在

(4)

Schwann

細胞 の細胞質 は明調であ った (写 真

19).

Schwann

細胞 の外面 に存 した

perineuralcel

lの 鞘 は.運動終板 の近 くに達す ると断裂 している. この 知 見 は,光政所 見 にい う

bell mouse of Heple (Shanthaveerappa

2:り)

に相 当す るものであろ う.

2)

頬筋 における運動終板 の分布

マ ウスを断頭 し,上 唇挙筋 を取 り除 いて頬筋 を露 出 した材料 を

,ChE

活性検出法 で塊染色 し. 実 体 顕 微 鏡 で観察 す ると,運動終板 の位置 に相 当 して

ChE

の 強 い活性 が白い斑点 と して認 め られ る ( 写真

2

). 逮 動終板 は,頬筋 の中央 よりやや停止部下瑞寄 りで ,□

輸筋 との交 叉部 よ りやや上部 に,筋線維 の走行 に対 し て直角方 向 に長 さ約

3mm

,巾約

0.5mm

の帯状 をな し て分布 している (図

2).

3)

運動終板 の光顕および電顕像

本 陣氏写真叙法 による標本 を検す ると,髄鞘 を脱 し た後 .

Doy占re

氏丘 に達 して樹枝状 に分枝 した神 経 終末分枝 は,その先端 が肥大 し.終末軸索 を形 成 し.

運動終板 の形成 に参加 す る (写真

3).ChE

染色標 本 で は,運動終板 の シナプス部が灰褐色 に染色 され ,鹿 の角状 を呈 す る ( 写真

4)

.その構造 と大 きさは, 対照 と して検 した外肋間筋 や前腰骨筋 のそれ とはぼ同様 で あ るが ,頬筋 の筋線維 は直径が小 さいため .筋線維 の 全直径 にわた って運動終板 が位置 してい る.

ChE‑ムⅩon

染色模本 で は,

ChE

活性部 は黒 色 の 濃 い沈 澱 と して ,また神経軸索 は黒褐色の線維 と して示 さ れ る . この検索 によ り神経線維 と

ChE

活性部 との局所 関 係 が明示 され

,1

本 の筋線維 に

,1

本 の有髄線維 に由来 す る 1個 の運動終板が存 す ることが 明 らか と な っ た

(写真

5).

頬筋 の筋 膜移行部 は,頬筋 と口輪筋 とが交 叉す る部 図

2

右 頬 筋 に おけ る運動 終板 の分布

運動終板 は,頬筋の中央 よ りやや下 方で,頬筋 が 口輪 筋 と交叉す る少 し上の部 で,

巾約

0.5m

帯状 をな して分布 している。 のす ぐ

下方 にあるが ,この筋 膜移行部 に一致 してかな り強 い

ChE

活性 が認 め られ .一見 ,いわゆる多重 支 配型 の

神経終末 の存在 を思 わせ る (写真

6

). しか し 写真

銀法 において もこの部 には神 経 要 素 は認 め られ ず ,また

ChE‑axon

染色模本 におい て も , 神 経 線 維 が この筋腫移行部 に見 られた

C

hE

活性 と無 関係 で あ ることが確認 された. 運動

終板 における コ リンエステラーゼ活性 と筋線維 の示 す

コハ ク酸脱水素酵素活性 を同時 に検す るために 行 な った

S

DH‑ChE

法標本 では

,SDH

活 性 の 弱 い 大径線維

の運動終板 と.

SDH

活性 の強 い小径 線 維 の それ と

の問に

ChE

活性 に差異 が認 め られなか った.

薄切

片 の電顕観察 で は,運動終板内 の終末軸索 中 に シナプス小胞

(synaptic

vesicles

.以下

S.V.

と略記) と

m

ito.

の集積 が認 め られ る.

S.V.

は径 約

500

Åの無糖粒性小胞か らな り, シナ プ ス前 膜 の 内 面 に集

まる傾向を示 し.一部の もの は前膜 の内面 に接 着 している (

写真

20)

.このほか終末軸索 内 に は , 電

0

子密度 の大

な芯 を有 す る径約

1,000A

の 大 輪 粒 性 小 胞 や ,限界膜

の外面 に放射状 の電子密度大 な小突起 を有 ○ す る径約

500A

coated vesicle

な ど が 認 め られ る (写真

20)

.また時 と して , シナプ ス前膜 が終 末 軸 索 内へ

小湾入 を形成 されているのが認 め られ ,その部 の限界膜

の外面 にt は放射状 の電子密度大 な小突起 が存 した . これ を

シナ プ ス前 膜 小 湾 入

(presynaptic caveola)

と呼ぶ .

おそ らくこの構造 は

Coated ves ic

l

そのほか

e

と関係 あ る構造であろ う (写真

2

1).

S.V.

よ りはるかに大 き く内 容 の 電 子 密

0

度小 な径

1,000‑

6,000A

の多数の空胞 や小管状 の

n.

t , が少数散在 し

,

n.f.

mito.

と共 に終末 軸 索 の 中央部

に限局 して存在 している.終末端 よ りやや離 れ た部 に存 す

n.

t

.

の一部 に,部分的 な小胞状 の くび れが見

られ ,周囲 に

S.V.

が多 く集 ま って い る (写 真

24). n

.

f

.

は終末部 に連す る前 の神経線 維 中 に は 豊富 であ るが ,終末軸

索 で は少 な く主 と して軸索 中央 部 に存 す る. 終末軸索 の

外面 は

,Schwann

細 胞 によ って被 わ れ ている ( 写真

2

1). Schwann

細胞 の外面 は , 基 底 膜 に被

われ ,その外側 に贋原綿線維 を含 む組織 間隙が あ る

. perine

uralcel

lあ るいは線維 細 胞 の突 起 と 考 え られ る非

薄な細胞突起 が ,

Schwann

細 胞 の 外 側 にあ

る距離 を隔てて存 し.不完全 に終板 部を被 って いる (写真

22)

. Schwann

細 胞 の細 胞質 は明調 で , その中 に核 ,少量 の粗

面小胞体 ,

mito..Golgi

体 , 小胞体 な

どが存 している.この ほか̀ 稀 に中心小体 (写

23), multivesi

(5)

マ ウス頬筋 の神経支配,特 に運動終板 とその二 次変性

られた.終末軸索 の外側 の限界膜 と

Schwann

細 胞 の限界膜 との 間 に ,

desmosome

構 造 を 見 出 した

( 写真

22).

シナプス前膜 は,筋細胞膜 の シナプ ス後膜 と約

500

( )

A

の シナプ ス間隙 を もって接 している. シナプ ス前 膜 にはかな り凹凸が見 られ ,部分的 に膜 が肥厚 して いる ( 写真

22).

シナプス間隙 には一層 の基底膜 様 構 造 が 介在 し,これ は

Schwann

細胞 および筋細 胞膜両 表 面の基底膜 に連続 している. シナプ ス後膜 の シナプス 前膜 に直接面す る部 はところどこ ろ膜 の 肥 厚 が 見 ら れ .深 さ約

1

〟の多 数 の接 合 襲

(junctionalfold)

を形成 してい る

24)

. シナプス間隙 に見 られた基底 膜 様 構造 は,接合聾の内腔 に も進入 してい る (写真

20‑

22)

・運動終板 に近接 す る筋 形 質

(sole plate)

中 に は,

mito..

グ リコー・ ゲ ン様頼粒 ,核 な どが 見 られ る・大径筋線維 の運動終板 と小径筋線維 のそれ との間 に徴構造上 ,差異 は認め られなか った (図

3‑A).

4)

頬筋 内動脈周囲神経叢

写真銀法模本 で観察す ると,頬 筋 内 の 動 脈 周 囲 に は.無髄神経か らな る動脈周囲神経叢が存在 して いる (写真

7

).神経叢内の無髄線 維 は

Schwann

細 胞 の網 目をったい,動脈 の外膜 および結合組織 間 を走 り 分岐 して次第 に細 くな り,所 々に小癖状腫大 を形成 す る.

ChE

標本 で は,この動脈周隣神経叢 は

ChE

活 性 を示 す .

139

頬筋 へ分布 す る動脈 を実体顕微鏡 と連続切片 によ っ て追及 す ると,頬筋 には外頚動脈由来 の顎動脈 の枝 が 分布 す る.顎動脈 は頬筋 への枝 を出 した後 .顔面動脈 の枝 であ る眼角動脈 と吻合 してい る (図

1

). 動 脈 周 囲神経叢 はこれ らの顎動脈 の分枝 に沿 って頬筋 内 に進 入す る.

顔面神経下頬骨枝 ・頬筋枝 ,頬筋 への第

1・2・3

分枝 のいずれに も少数 の無髄線維 が含 まれて い る が , これ は筋 の周囲および内部 で動脈周囲神経叢由来 の無 髄神経東 に流入す る.これの由来 につ いて は後 の変性 実験 の項で述べ る.

Ⅱ. 顔面神経切断後の神経線維 と運動終板 の変化 1.顔面神経下頬骨枝 と頬筋枝 の二次変性

1)光顕所 見

顔面神経 の下頬骨枝 と頬筋枝 を切 断す ると,切 断部 よ り末梢側 で有髄線維 は全 て変性 に陥 る.眼角動脈 と 交 叉 した両神経枝 は,前述 のよ うに第

1・2・3

分枝 を頬筋 へ出すが ,この枝 には眼角動脈周 囲神経叢か ら の無髄神経が混入 す る.その状 は有髄線維 が二次変性 に陥 った時 ,変性 しない無髄線維 と して よ く観察 され る ( 写真

8).

下頬骨 ・頬筋 両神経枝 内の有髄線維 の二次変性像 を 写真銀法 によって検す ると,術後

8

時 間後 で は.神経 線維 の走行が乱 れ ,軸索 に膨化 腫脹部 が出現 す る.術 後

16

時 間では線維 の走行の乱 れ ,軸索 の太 さの不整 は

3

神 経切 断後 の運動 終板 に お け る微構 造 変化 を示 す模 式 図

(6)

t.

≡ 葦 ≡

E

コ / 7 ‑二 三 子

=一一二ヽ

√ ‑、

翳 麗

,,a

・ '烏

.

:

:象 徴

;

A :

正常, 喜 喜

B

:術後

8

時間, C :1 ≡

6

時間, D :2

4

時間, E :2日,

F :4日,

a

:終末軸索,

C

:勝 原細線維

,mu:

頬筋線維

, p

:神経周膜細胞

, S:Sc

hwann

細胞。

切 断後

8

時間では,終末軸索内に

S.V.

の著 し

い増加 を認め る。

切 断後1

6

時間に至 る と,終末軸索内の

mito.

は大部分球状 に腫大 し

,S.

.

は減 少す る。終 末軸索は シナプス後膜か ら剥離 し,拡大 したシナプス間隙へ

,Schwann

細胞の突起 と勝 原細線 維が進 入す る。

24

時間では,

mito.

のほ とん どが密度大 な球 状物質に変化 し

,S.Ⅴ.

も完全に

電子密度大 な細頼 粒状 の崩壊物 となる。終末軸索は, これ らの崩壊物か らなる球 形の凝集塊 と化 し

,S

chwann

細 胞の細 胞質

に囲まれている。

2

日後に至 る と,凝集壕の電子密度が減 じ, さ

らに崩壊が進む。

切 断

4

日後 では, もと運動終板 内に終末軸索が位 置 した部位 は完全に

Schwa

nn

細胞に よっ

て 占め られ, これ とシナプス後膜の間に腰 原細

(7)

マウス頬筋 の神経支配,特 に運動終板 とその二次変性

さらに著明 にな り,

Schwann

細胞 が腫 大 し始 め る ( 写真

9)

.術後

24

時間では,神経線維 の大 部 分 は 梶 棒状 ない し頬粒状の断裂片 とな って 黒 褐 色 を呈 す る (写真

10).

術後

2

日では,変性軸索 が溶解 ・吸 収 さ れ軸索 の断裂片 はその数が著滅 し, 一 方

Schwann

細胞 は腫大 す る.術後

3

日か ら

7

日の間 に有髄線維 は 完全 に崩壊 し,腫大 した

Schwann

細胞 の間 に無 髄 線維 が残存 す る ( 写真

11,12).

頬筋 に分布 す る第

1・2・3

分枝 にお け る二次変性 像 は,上述 の下頬骨枝 ・頬筋枝 における変性像 と全 く 同一 である.但 しこの部 では無髄線維 が上 述 の両神経 枝 におけるよ り多 く (写真

8)

,無髄線維 が 近 くの 顎 動脈 の頬筋枝 に伴行す る動脈周囲神経叢中 に入 る状態 が観察 された (写真

7)

.写真

13

に術後

16

時 間 に お け る運動終板 に達す る 1 本 の有髄線 維 軸 索 の 変 性 を示 す .

2)電顕所 見

下頬骨枝 と頬筋枝切断後 の両枝末梢側 にお ける有髄 神経線維 の二次変性 の微構造的変 化 の 推 移 に つ い て は.

Honjin25)26)

,高橋

27)

,小坂

28)

,山 田

29)

の 報 告 と原則的 に一致す る結果 を得 た.すなわち,術後

4

8

時間では著変 はないが

,16

時間では軸索 内の

n.

f . と

n.

t

.

は崩壊 し,

mito.

はほとん どが腫 大 球 形 を 呈 し,その

crista

は乱 れ ,同時 に断裂 . さ らに小 胞化 を示 した.一部の

mito.

は縮小 し,内 ・外 の両 限界膜 が消失 し,小胞状 にな っ た

crista

の 集 積 を 含 む .基質 の電子密度 が著 しく大 とな った

mito.

が 少数散在す る場合 もあ る.また しば しば軸索 内 に径

50r0

‑2,000AO

の明調 な空胞が出現 してい る.軸索 膜 に は 凹凸が生 じ,一部の膜 の断裂が見 られ る.髄鞘 は所 々 で外翻 と内翻 を示 し,

Honjin

26)

.高橋2 7 ) らの変 形 期 に相 当す る像 を示 した .術後

24

時 間で は.軸 索 . 戟 鞘共 にその微構造の崩壊 が さらに進み .

mito.

に は 基質 の電子密度が小 とな り

crista

が 空 胞 化 す る明 詞化型 の変化 と,基質 の電子密度 が大 とな る暗調化型 の変化 との二様 の変性過程 が見 られ るが ,いずれの場 合 で もやがて無定形輯粒状物質 に崩壊 す る.変形 した 髄鞘 の板層構造 はなおよ く保 たれてい るが .二 部 に軸 索

・Schwann

膿 の軸索 内への剥離が見 られ る.

術後

2

日では,個 々の神経線維 によ って遅速が あ る が軸索 は断裂 した不整形崩壊物 と化 し,髄鞘 は

Hop・

jin

ら2 6 )の崩壊期 に入 り. もはや本来 の筒 状 構 造 を 著 しく変え ,多種多様 な断面像 を示 しっっ

Schwann

細胞質内に無秩序 に分布 し. 周期 間 線 部 に お け る 髄鞘膜 の剥離 , 疎化

myelin

の形成 ,巻込体 や髄 鞘 小胞 の出現 などへの崩壊過程 が示 され る

. Schwann

141

細胞 は腫大 し,粗面小胞体 や

mito.

の増加 が見 られ る.

このよ うな変性 は術後

4

日では益 々進行す る.軸索 と髄鞘の崩壊 は

Schwann

細胞質内で進行 し,術 後

7

日では疎化

myelin .

巻込体 および髄鞘小胞 が さ らに変化 して電子密度大 な雲状 の物 質 に 変 化 す る過 程 ,すなわち小坂

28)

の髄鞘融解像 に相 当す る変化 が 現 われ る.この時期 で は

Schwann

細胞 は著 しく肥 大 し,末梢の小神経束 で は,

perineuralcel

lか らな る神経周膜内 に,

Schwann

細胞 の突起 が多 数 充 満 し ( 写真

25)

,いわゆ る

Btingner

氏 束 の 状 態 が 観 察 された.

2.

下頬骨枝 および頬筋枝 の単独切 断後 の変化 頬筋 に分布 す る第

1・2・3

分枝 を構成 す る有髄線 維 に対す る.下頬骨枝 と頬筋枝 の関与 を明 らか にす る ため . これら両神経枝 をそれぞれ単独 に切断 し, 写 真銀法標本 によ って線維 の二次変性 を追及 した.

写真

14

は下頬骨枝切断

5

日後 の下頬骨枝 と頬筋枝 の 吻合部 を示 した もので .完全 に変性 した下 頬骨枝 に健 常 な頬筋枝 か らの線維 が混入 していることが認 め られ る.頬筋枝 を切断 した場合 には,これ と逆 の関係 が認 め られた.さ らに末梢で ,頬筋 を支配す る第

1・2

3

分枝 を両神経枝単独切 断標本で観察 す ると,いずれ の場合 で も第

1・2・3

分枝 の各 々に , 変性線維 と健 常線維 の両者 が混在 す ることが見出 された (写 真

15).

各分枝中 にお ける由来線維 の数 を検す ると,第 1と第

3

分枝 は,下頬骨枝 と頬筋枝 か らはば等量 の線維 を受 け.第

2

分枝 では頬筋枝 由来の線維 が優位 を占めてい た .

3

.顔面神経切断後 の頬筋 内神経線維終末分枝 の無 髄部 および運動終板 における変化

1)光顕所見

すでに触 れたが写真銀法標本で検す ると.術後

8

時 間で ,運動終板 の直前 の部 の神経線維 の末端 の終末分 枝 および終末軸索 に走行 の乱 れを生 じ,一 部 に断裂が 認 め られ る.術後

16

時 間で は,終末分枝および終末軸 索 は癖 状腫大 や根棒状断裂 を呈 す る (写真

13).

術 後

24

時間では,完全 に崩壊す る.

神経切断後 におけ る運動終板 の

ChE

活性 は,切 断 後

24

時間

,3,5

日で ほぼ正常 と同様 の結果 を 示 し , 差異 を識別 す ることは出来 なか った.

2)

電顕所見

術後

4

時 間 と

8

時 間で は終末分枝 の無髄 部 に特 記 す

べ き変化 は見 られなか ったが ,術後

16

時 間で .有髄 ・

無髄移行部で髄鞘 の末端 の髄鞘小輪 に乱 れが生 じ.無

髄部 の軸索 内の

n.

f .

,n.t., mito.

に有 髄 部 と

(8)

類似 の変性 が現 われ る.有髄部 の軸索 と異 な る点 は ・ 軸索膜 の一部が不鮮明 とな り径約

500

Aの小 胞 の 集 積 像 が見 られ ることであ る (写真

26).

運動終板 において は,終末軸索 内の

mito

・に最 も 早 く変化 が現 われ る.すなわち術後

4

時間で ,

mito・

の内 ・外 の限界膜が剥離 し,

mito.

の基質 と

cr sta

が外 限界膜 に囲 まれた空胞 の内部で凝集 した像 に 接 す る ( 暗調化型変化 ).

S.V.

はほ ぼ 正 常 数 認 め ら れ ,大頼粒性小胞 も存 した .シナプ ス間隙 に,径約

500

0

A

S.V.

類似 の小胞が存在すh る像 に接 した . 術後

8

時間で は,終末軸索 内 に

S.V.

が 著 し く増 加 し.特 に シナプス前膜 に強 く集合 す る傾向 を 示 し・

mito.

の一部 には,術後

4

時 間 と同 じよ うな変 化 が 見 られ る (写真

27).

大頬粒性小胞 はなお存在 してい る・

以上 の所 見を図

3‑B

に模式的 に示 す .

術後

16

時間で は,終末軸索 内の

mito

・の ほ とん ど が球形 に腫大 し,暗調化型変化 は増進す る

・S・Ⅴ

・ は かな り減少 し

,S.V.

の限界膜の電子密度 が大 と な る ( 写真

28)

.羊の時 ,大頼粒性小胞 は もはや 認 め られ なか った.また

n.

f

‥ n.

t

.

は完全 に消失 し

,Birks

3O)

,

Hunt

31)

, 山田2 9 ) らが指摘 した

S.V.

の 凝集 と電子密度増加 によ る

honeycomb structure

も出現 す る ( 写真

29)

. シナプス間隙 はその 巾 が 不 規 則 とな ってかな り拡大 す る.同時 に拡大 した シナプス 間隙へ は

, Schwann

細胞 の突起 と藤原 細 線 維 が 進 入す る (写真

28)

. シナプ ス前膜 は軽 く凹 凸 を 示 し, 一部 は不鮮明 とな る (図

3‑C).

術後

24

時間では,終末軸索 はほとん ど完全 に シナプ ス後膜か ら剥離 し,進入 して き た

Schwann

細 胞 の突起 によ って囲 まれ る.軸索膜 はその一部がなお認 め られ るが .大部分 は不鮮明 にな り消失 し, 終末軸索の 内部の大部分 は

mito.

が変化 した密度 大な物質 と

SⅤ・

が変化 した細頼粒状 崩壊物 が集合 した径

1.5‑3

〟の ほぼ球形 に近 い凝集塊 によ って占め られてい る (写真

30)

.この時 シナプス後膜 の一 部 は , 侵 入 して きた

0 Schwann

細胞 の突起 と約

500A

の間隙 を も って 接 し,

その間隙 に基底膜様構造が介在 してい る (図

3‑D)

. 術後

2

日では.終末軸索 内の凝集塊 の電子密度 が一 般 に低下 し,凝集塊 は崩壊 して分散 の傾 向 を示 す .軸 索膜 は認 め難 くな り,崩壊物質塊 は

Schwann

細 胞 の突起内に位置 し,その近 くに密度 小 な部分 が出現 する

(写真

31).Schwann

細胞 は腫大 し.細 胞 質 内 に は粗面小胞体 の増加 が見 られ る (写真

32).

また写真

31

に見 られ る よ うに , 変 性 した 軸 索 崩 壊 物 を 含 む

schwann

細胞 の突起 の外側 に多 数 の

Schwann

細 胞突起が重積 し,一部 の突起 は筋細胞 と基底膜 を介 し

て接 している

. Schwann

細胞内で増加 した粗 面 小 胞体 と

mito.

は,軸索 変性産物 の周囲 に集積 す る傾 向を示 す ( 写真

34).

この部の筋細胞質内 に

coated vesicle

が見 られ ,粗面小胞体 ,筋形質柵 ,径 約

100

Åの細線推 ,径

的200A

○ の細管構造 などの増加 が見 られ

る (図

3

‑E).

術後

4

日で は , 運 動 終 板 の終 末 軸 索 部 は完 全 に

Schwann

細胞 によ って置換 され ,終末軸索 由来の崩 壊物 はほとん どが

Schwann

細 胞 に よ って 処 理 さ れ ,

Schwann

細胞質内 に多数 の空胞 が 認 め られ る ( 写真

33)

.この時期 では,終末軸索 に代 わってこの部 を占めた

Schwann

細胞 の突起 と シナプ ス後膜 との 間 は大 きく広が り,ここに勝原細線維 が出現 す る (写 真

33).

この部 の筋細胞細胞質内 には,術後

2

日で 見 られた変化 のほか ,時 々

multivesicular body

に 類 似 した小体が見 られ る (図

3‑F).

術後

7

日で は,終末軸索 部 は

Schwann

細胞 お よ びその突起で完全 に置換 されてい る.この部の

Sch‑

wann

細胞 の核 には,かな り湾入が見 られ る

. Sch‑

wann

細胞 と シナプス後膜 の問には さ ま れ た 間 隙 は さ らに拡大 し,その間陵内藤原細線維 が著明 に増加 し ている (写真

35)

.この時期 で も. シナプ ス後 膜 に存 す る接合嚢には, 見 るべ き変 化 は な か っ た (写 真

35)

. この部の筋細胞細胞質内の粗面小胞体 と筋形質 綿 に .内腔 の拡大 している ものが多 く見 られ る.

4

.頬筋内 に お け る

collateralsprout

に よ る 神経線維 の再生現象

下頬骨枝 ・頬筋枝 の両枝 を同時 に切断 した後

7

日ま での写真銀法標本 では,頬筋内の有髄線維 は全 て変性 し,神経再生 を思 わせ る像 には接 しなか った. しか る に,下頬骨枝 は切断せず .頬筋枝 を切断 した材料 で は 頬筋枝 由来の運動終板 は変性 に陥 るが .下頬骨枝 由来 の運動終板 は健全 に残存 している.術後

5

日頃 よ り , 筋内 に残存 している健全な神経線維 か ら.本来 それに属 す る正常 な終末分枝 とは別 に細 い枝 が出て ,それが周 囲 に延長す る像 に接 した (写 真

16

). この側 枝 を

collateralsprout

と呼ぶ

. collateralsprout

は,その先端 が 1本の もののほか

.2‑3

本 に分 岐 し て近傍 の筋線維 の裏面 に広が る.

collateralsprout

はその後延長 し, 術後

15

日頃 には極 めて 長 くな る . 頬筋枝 を切断せず下頬骨枝 を切断 した 実 験 に お い て

ち,同様 な知見が得 られた.この所 見 は,骨格筋 に分

布 す る神経 の部分切断後 ,運動終板 の近 くで健全 な神

経線維 か ら

collateralsprout

に よ る運 動 終 板 の

再生像 を証明 した

Edds3

2 ) ,

Hoffrhan

の知 見 を

想起せ しめ る.

(9)

マウス頬筋 の神経支配,特 に運動終板 とその二次変性

頬筋 内を三 叉神経第

2

枝 が小束 をな して貫通 してい るが ,顔面神経下頬骨枝 ・頬筋枝 の両者 または単独切 断のいずれの場合 において も,頬筋 内 を貫通す る三 叉 神経束か ら

collateralsprout

が 形 成 さ れ る像 に 接 しなか った.

考 接

今回の検索 によ って マ ウス頬筋 が大径 と小径 の

2

種 類 の筋線維 か らなることが見出 され ,小径線維 は大径 線維 に比 して

SDH

活性 が高 く,電顕 像 で は , 小 径 線維 が

mito.

に富 み,筋鞘下 に

mito.

が集積 し, 筋線維内 に も太 い

mito.

の連鎖が多 く認 め られた .

従来動物 の骨格筋線維 は,その色 によ って赤筋線級 と白筋線維 の

2

種類が区分され , 一般 に赤筋 線 維 は ゆ っ くりした持続的収縮 を,白筋線維 は速 い収縮 を分担 していることが知 られている

34)

.噂乳動物 で は, 多 くの 筋 において白筋線維 と赤筋線維 が同一 の筋 内 に混在 し ている場合 が多 いが ,著者 の検 した頬筋 の場合 も同様 であ った.

H‑E

模本 では赤筋線維 と白筋線維 を区 分 す ることは困難であ るが ,

Ogata=35). Romanu1 36),

Gauthier

34)

が種 々の動物 の骨格筋 で指摘 した結 果 に一致 し.頬筋 において も,小径筋線維 に

SDH

活 性 が強 く,大径筋線維 に

SDH

活性 が 弱 い こ と が 判 明 した.また大径筋線維 に比 して小径筋線維 にはるか に多 くの

mito.

が存することは

,Porter:17),Nach・

mias

ら3 8 )

.Gauthier

:り)

の他種軌 こおける知 見 に一 致 す る.生化学的 に も

SDH

mito.

に局在 して い

ることが明示 されているので ,この結果 は当然 といえ よ う.注 目すべ きは,マ ウス表情筋 の一種 であ る頬筋 で は,小径筋線維 ・大径筋線維共 に ,同種 マ ウスの外 肋間筋 や前陛骨筋 の小径 および大径筋線維 との太 さを 比 べ ると,それぞれ極 めて細 く,直径 が約

1/5‑1/6

で あ った ことである. しか るに運動終板 の大 きさは頬筋 と外 肋間筋 ・前腰骨筋 との問 にさ した る差 が 認 め 難 い. したが って頬筋筋線維 に終 わる運動終板 の占め る面 積 は相対的 に極 めて大 きい と言 わねばな らない.一般 に表情筋 が他種 の筋 に比 して反応 が速 い と言 われて い るが ,この事実があるいはその原因 をなす ものか もし れない.また著者 は今回 ,顔面神経中 の大径 および小 径有髄線維 と,頬筋内の大径 および小径筋線維 との問 に,神経支 配上 の相関を見出そ うと検索 を進 め た が , 確実 な相関 を見出 し得 なか った.なお

ChE

活性 検 索

において ,頬筋筋線維 の筋 健移行部 に

ChE

活性 陽 性 像 を認 めた.これは一 見多 重支配型 の神経終末 の存在 を思 わせ るが ,非分岐型 の骨格筋線維 の筋 健移 行部 に

ChE

活性 陽性 であ ることが知 られ

39)

,また

ChE

143

性 と軸索 を同時 に染 めた著者 の検索 で ,筋 健移 行部 の

ChE

活性 陽性 の部 に軸索 の存在 を見 なか った ことか ら,多重支配型 の神 経終末 の存在 を否定 す ることがで きた.

実体顕微鏡観察 と神経染色模本 の連続切片 の再構築 によ って ,マ ウス頬筋 は,顔面神経 の下 頬骨枝 と頬筋 枝 の両者 か ら線維 を受 ける頬筋 への第

1・2・3

の各 分枝 によ って ,支配 されていることを明 らか に した .

この ことは,また両神経枝 の同時 または単独切断 によ る神経線維変性実験 によって も確 かめ られた .す なわ ち,顔面神経の下頬骨枝 ・頬筋枝 の両者 の同時切 断標 本 では,頬筋 を支配す る第

1・2・3

の各分枝 の有髄 線維 に完全 な変性像 が見 られ ,一方 ,下 頬骨枝 ・頬筋 枝 の単独切断標本 では.第

1・2・3

の各分 枝 中 に . 神経線維 の変性像 と正常 な神経線維 が混在 す る ことが 確認 された.このよ うに,頬筋 は経路 を異 にす る

2

本 の神経枝によって支配され , 両枝 由来 の神経線維 が混じ りあ って筋束 に分布 してい るので .いずれか 1本 の神 経枝 に傷害 を受 けて も,他 の 1本 の神経枝 が健存 すれ ば ,頬筋 は完全麻痔 に陥 らない と考 え られ る. この こ とは,臨床上 ,顔面外傷 による表情筋麻痔 の病像解 釈 やその治療 に重要 な示唆 を与 え るものであ る.今 回 の 著者 の下頬骨枝 もしくは頬筋枝 の単独切 断実験 によ る と,術後

5

日頃か ら,頬筋 内 に切断 されなか ったため に健全 に残存 している神経線維 の終末分枝 か ら,新 た に側方 へ

COllateralsprout

と呼 ば れ る軸 索 の小 突起が延長 し,時 と共 にこの突起 が長 くな り,おそ ら

くその運動終板 が変性 した筋線維 に向か って走 る.これ はおそ らく脱神経 された筋線維 に対 す る神経支 配 の再 生 を意味す るもの で あ ろ う.

Weiss

du), Edds

32

) ,

Hoffman

3 : i 'らは 1本 の神経束 の部分的切 断 に よ って ,

collateralsprout

を記載 してい るが ,レ 著 者 が今回見出 した頬筋 の場合 は,経路 を異 にす る

2

本 の 神経枝 に由来す る神経線維 が

1

っの筋 内 に混 じて分布 し,いずれか一方 の神経由来 の線維 が変性 した時 ,他 の神経枝 に由来す る神経線維 が ,

sprout

を 出 す こ とを示 す もので .注 目に価す るであろ う.

著者 の所見 において ,頬骨 弓の近傍 にお ける下 頬骨

枝 と頬筋枝 内 に極 めて少数 の無髄神経線維 が認 め られ

たが .その由来 は今回の実験 では判然 と しな か っ た .

おそ らく顔面神経が茎乳突孔 を出 た後 ,顎動脈 の近傍

を走 る問に,この動脈 に伴 行す る動脈周囲神経叢 か ら

受 けた無髄線維 が ,これ ら両神経枝 内 を末梢 に走 る も

のであろ う.また両神経枝 は眼角動脈 と交 叉す る部位

において ,この動脈 の動脈周囲神経叢か ら無髄神経 か

らなる小神経枝 を受 けることが連続切片 によ って確認

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