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第1章 民事法律関係、法令

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(1)

モンゴル民法典・試訳(5)

蓑 輪 靖 博 *

(目 次)

第1編 総則 

第1章 民事法律関係、法令

第1節 一般原則(第 1 条~第 7 条)

第 2 節 民事法律関係の発生原因、その保護、民事法律関係における権利、

    義務の実現(第 8 条~第 13 条) (以上 53 巻 1・2 号)

第 2 章 民事法律関係の主体 第 3 節 人(第 14 条~第 24 条)

第 4 節 法人

第1款 一般原則(第 25 条~第 32 条)

第 2 款 法人の種類(第 33 条~第 38 条)

第 3 章 法律行為

第 5 節 一般原則(第 39 条~第 55 条)(以上 53 巻 3 号)

第 6 節 無効な法律行為(第 56 条~第 61 条)

第 7 節 代理(第 62 条~第 70 条)

第 4 章 民事法上の期間

第 8 節 期間の確定、計算(第 71 条~第 73 条)

第 9 節 出訴期間(第 74 条~第 82 条)

第 5 章 有体または無体の利益に関する権利

第 10 節 有体または無体の利益(第 82 条~第 88 条)(以上 53 巻 4 号)

 

* 福岡大学法学部教授

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第 11 節 占有(第 89 条~第 98 条)

第 12 節 所有

第 1 款 一般原則(第 99 条~第 108 条)

第 2 款 所有権の発生、消滅(第 109 条~第 124 条)(以上 54 巻 1 号)

第 3 款 家族の財産権(第 125 条~第 133 条)

第 4 款 相隣権(第 134 条~第 141 条)

第 5 款 公共目的の集合住宅の所有権(第 142 条~第 149 条)

第 6 款 権利行使目的による他人の所有権の制限(第 150 条~第 152 条)

第 13 節 担保権

第 1 款 担保の一般原則(第 153 条~第 160 条)

第 2 款 動産または権利の担保の特則(第 161 条~第 164 条)

第 3 款 不動産の担保/抵当権/(第 165 条~第 181 条)

第 4 款 国家登録(第 182 条~第 185 条)(以上本号)

第 3 款 家族の財産権  

第 125 条 家族の財産、その決定

125.1. 家族の財産は、夫婦、その他の家族構成員の財産からなる。

125.2. 夫婦の財産の権利関係の一部は契約により定めることができる。

第 126 条 家族構成員の共同所有共同財産

126.1. 婚姻後の共同生活期間内に発生した財産は家族構成員の個人財産を   のぞき、家族構成員の共同所有とする。

126.2. 家族構成員の共同所有には、以下の財産が該当する:

  126.2.1. 夫婦、その他の家族構成員の労働、経済的事業活動、または    これらの者による共同の労働、経済的事業活動から取得したまたはそ    の他の収益、金銭的貯蓄、新たに生じた財産;

  126.2.2. 家族構成員の共同所有共同財産による収益で取得した不動産、

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    動産;

  126.2.3. 株の配当、有価証券;

  126.2.4. 夫婦、その他の家族構成員のいずれの名であるかにかかわら    ず、婚姻後に生じた他の財産;

  126.2.5. 家族構成員が自己の個人財産から共同所有する目的で移転さ    せた財産、金銭的貯蓄。

126.3. 家族構成員の個人財産が他の家族構成員による修理、改築、改造の   結果として著しく価値が増加し、または新たな家族になるにあたり、持   ち込まれた/集合住宅、ゲル建物、ハシャー塀、建物等/場合、共同所   有共同財産とみなすものとする。

126.4. 婚姻後、家事に従事し、子を養育し、また疾病に罹患しその他正当   と認められる理由により、収入を得なかった妻、夫、その他の家族構成   員は財産を共同所有する権利を享有する。

第 127 条 家族構成員の個人財産

127.1. 家族構成員の以下の財産は、共同所有に移転する旨の合意がない場   合、個人財産とされる:

  127.1.1. 婚姻前に取得した財産、金銭的貯蓄、財産権;

  127.1.2. 相続、贈与の手続により受領した金銭的貯蓄、財産、財産権、

   これらを売却し、交換した結果取得した財産、金銭;

  127.1.3. 個人的な需要を充たすことを目的とする財産;

  127.1.4. 知的所有物の価値および知的所有権者の報酬;

  127.1.5. 個人の才能、能力、発明の成果として得た収入;

  127.1.6. 個人財産によって取得し、専門的事業活動の実施にあたり請    求できる財産、金銭。

127.2. 家族構成員の個人財産は自己の裁量により、占有、使用、処分する

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  権利を有する。

127.3. 家族構成員は異なる合意がないかぎり、これら個人の事業活動に関   する義務については、自己の個人財産により責任を負う。

第 128 条 共同所有共同財産の占有、使用、処分

128.1. 家族構成員は共同所有共同財産を占有、使用、処分する同様の権利   を享有し、相互の合意に基づいて、財産の占有、使用、処分をする。

128.2. いずれかの家族構成員が、共同所有する不動産を処分するにあたっ   ては、成年の家族構成員が書面で提出し、公証役場による公証を受けて   承認を得るものとする。

128.3. 法律に別段の定めがないかぎり、本法 128.2. の定めにしたがった承   認を得ないで行なった法律行為の効力はない。

128.4. 婚姻後にいずれかの家族構成員が、自己の判断で他人に財産を移転さ   せ、それにより得た利益、収入を隠匿したことが明らかになった場合、 

  権利を侵害された家族構成員は侵害された権利を回復する権利を有する。

第 129 条 家族の共同所有共同財産における構成員の持分の決定

129.1. 家族の共同所有共同財産における構成員の持分は以下の場合に決定   する:

  129.1.1. 家族構成員が家族組織から離脱するにあたり、持分に関して    争う場合;

  129.1.2. 夫婦が支払を行なうにあたり、これらの個人財産では足りな    い場合;

  129.1.3. 他の家族構成員に支払わせる場合;

  129.1.4. 家族構成員が死亡により相続分割する場合。

129.2. 各家族構成員の持分財産の範囲は未成年、労働能力のない構成員す

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  べてを含め、すべての構成員に平等とする。

129.3. 離婚または婚姻の無効とみなされた、各家族構成員の持分財産部分   を決定にあたり、夫婦の健康状態、子の利益を考慮して、裁判所が異な   る決定をすることができる。

129.4. 本法 129.3. の定めをのぞき、家族構成員の持分財産部分の決定にあ   たり、裁判所は、家族の共同所有共同財産の形成に寄与した労働の関与、

  財産の範囲を考慮して減少させ、または与えないよう判決することがで   きる。

129.5. 家族構成員は軍役につき、就学し、長期療養する等正当と認められ   る理由により、家族共同所有共同財産の形成にあたり、労働または財産   による関与ができなかった場合、本法 129.4. を適用しない。

129.6. 家族共同所有共同財産からの構成員の持分決定に関して生じた争い   は、裁判所が判決する。

129.7. 家族構成員が共同で取得し、またいずれかの家族構成員が負担した   義務に基づいて取得した利益・収入が、家族の必要のために使用された   ことが証明された場合、家族構成員の共同所有共同財産から支払い、か   つその財産では足りないときは家族構成員の個人財産から支出する。

129.8. 他人に与えた損害に対する支払を回避する目的で、また違法な行為   を偽装するために、取得した利益が他の家族構成員の個人財産や共同所   有共同財産に移転させたことが証明された場合、その限度で、それらの   財産から支払わせることができる。

第 130 条 家族構成員の共同所有共同財産の分割

130.1. 夫婦のいずれかもしくはその他の成人の家族構成員の請求により、 

  婚姻が有効な期間内に、離婚後に、またはいずれかの家族構成員の持分   である個人財産が支払に足りない場合には、訴求権者の請求により、家

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  族構成員の共同所有共同財産を分割することができる。

130.2. 家族構成員は相互の合意の手続により、共同所有共同財産を分割す   ることができる。

130.3. 争いが生じた場合、家族構成員が家族構成員の共同所有共同財産か   ら分割する持分については裁判所が決定し、またその際には家族構成員   の誰にどの財産を移転させるかを定め、いずれかの構成員に移転された   財産の価額がその持分を超えたときには、その価額超過分を他の者に与   えることができる。

第 131 条 家族構成員の家族組織からの離脱

131.1. 家族構成員の一人またはそれ以上の者が家族組織を離脱する場合、 

  共同所有共同財産から持分を取得するが、家族が将来にわたって生活を   営むにあたり、必要な財産を取得する権利はない。

131.2. 財産で持分を与えることができない場合、その価額を支払う。

第 132 条 夫婦財産権契約による定め

132.1. 夫婦は、夫婦それぞれが一般的な財政、費用について責任を負う手続、

  離婚した場合に分割する財産を定め、財産権に関係するその他の条件に   ついて、本法にしたがって締結した契約に基づいて定めることができる。

132.2. 夫婦の財産権に関する契約は書面で締結し、公証役場による公証を   受けるものとし、その要件を充たさない契約の効力はない。

132.3. 夫婦は財産権に関する契約について、婚姻登録前および婚姻後いつ   でも締結できる。

132.4. 婚姻登録前に締結した契約は婚姻登録日から効力を生ずる。

132.5. 夫婦の契約において、非財産関係を定め、夫婦いずれかの権利、法   律上正当な利益を明らかに制約し、権利能力を制限した条件を定めるこ

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  とは禁止する。

第 133 条 契約の変更、終了

133.1. 夫婦の合意により、または妻、夫のいずれかの請求にしたがった裁   判所の判決により、契約を終了させることができ、かつ契約の変更、終   了についての合意は当初の契約と同様の方法で行う。

第 4 款 相隣権

第 134 条 相隣間の財産

134.1. 二者間で相互に影響を与えうる境界に接する占有地、およびその他   の不動産を相隣間の財産とみなす。

134.2. 相隣間の財産の所有者または占有者は、法律に定める権利、義務を   行なう場合をのぞき、相手方の有する権利を相互に尊重する義務を負う。

第 135 条 隣地への影響の禁止制限と禁止無制限

135.1. 相隣間の財産の一方の所有者または占有者は、自己の財産を使用す   る妨げにならない相手方による不可避の影響について禁止制限すること   はできない。

135.2. 影響が重大であるが、相手方が日常生活を営む目的で自己の財産を   使用する不可避の影響である場合、本法 135.1. に定める手続を準用する   が、その影響が通常の使用の際に存在する限度を超えるとみなされる場   合には、影響を受けた者は金銭による支払請求権を有する。

135.3. 相隣地の占有者は、自己の権利、法律上正当な利益の重大な侵害と   なる建造物を地上または地下に建造し使用することを禁止し、相手方所   有者または占有者に対して、権利侵害行為を停止させる請求権を有する。

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135.4. 本法 135.3 に定める建造物が法律に定める根拠、手続にしたがって   相隣地に定めた境界制限を越えて建造されており、相手方所有者または   占有者の権利、法律上正当な利益に明らかに反している場合、それを撤   去し、除去させる請求権を有する。

135.5. 相隣地上の建造物が損壊して相手方占有地に落下する危険に直面し   ている場合、当該相隣建造物の所有者または占有者に対し、その危険を   除去するためのあらゆる手段を講じさせる請求権を有する。

第 136 条 流水使用

136.1. 複数の占有地を通過して流れる、地下から湧出する未使用水または   廃水の方向を変更し、他の占有地に行く水量を減少させ、水質を悪化さ   せ、流れまたは地下の未使用水に対する他人の需要を制限するような状   態で使用することを禁止する。

136.2. 法律に別段の定めがないかぎり、河川の自然に流れる方向を変更す   ることはできない。

第 137 条 隣地境界を侵害する行為の承認

137.1. 土地占有者が隣人の承諾なしに隣地境界を侵害する建造物を建造し、

  かつ隣人がその境界侵害前または境界侵害行為開始直後に、当該占有者   にその行為の停止を請求しなかった場合、侵害を承認する義務がある。

137.2. このような相隣権侵害をする者は、隣人に対し、毎年金銭を支払う   ものとし、かつ各年の支払分は前年に前もって支払う義務を負う。

第 138 条 隣地を介して通過させる道路、線、管の設置

138.1. 占有地が他人の土地に囲まれて公道に出られず、また公用の電線、 

  ガス管、水道管を使用することができない場合、土地占有者は、隣地を

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  介して通過させて上記のものに接続させる道路、線、管を敷設する権利   を有する。

138.2. 本法 138.1. に定めた場合、隣人は適切な同意を与え、道、線、管を   設置する者は隣人の請求があれば、その者と合意して一括金の支払を行   なうものとし、その額について両当事者が合意により決定できないとき   は、裁判所が判決する。

138.3. 以前に使用させていた道路、線、管を隣人の同意なしに変更し、ま   た使用していない土地占有者は、本法 138.1. に定める権利を喪失する。

138.4. 占有者が自己の占有地の公道、線、管に接続した部分を他の占有に   移転させ、かつ占有地の残余部分と公道、線、管への接続を請求した場   合、新占有者には自己の土地上を介して通過させる道、線、管を敷設す   る同意を与える義務がある。

第 139 条 隣地境界地点の決定

139.1. 土地占有者は、相隣地の隣地境界地点を決定した境界標を設置し、 

  また以前に設置された境界標を回復、修繕するにあたって隣地に入る旨   隣地占有者に請求する権利を有し、両当事者の異なる合意がないかぎり、

  関連費用は等分の限度で責任を負う。

139.2. 境界地点を正確に決定できない場合、隣人達が占有している実際に   存在する面積を考慮して判断し、かつその面積を決定できない場合、争   いのある部分を当事者が等分して占有し、また合意できない場合は裁判   所が争いを判決する。

第 140 条 隣地境界地点の境界標の共同使用

140.1. 相隣占有地の境界地点、または双方が同様に使用しているハシャー   塀、もしくは他の建造物は、隣人達が平等の権利をもって使用し、かつ

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  その権利行使にあたっては相手方の有する土地使用権を妨げないように   する義務がある。

140.2. ハシャー塀、その他の建造物を使用し、維持管理する関連費用は、 

  当事者が等分の限度で責任を負う。

140.3. 境界地点を決定した境界標については、一方の隣人が他方の隣人の   承諾なしに、撤去し、変更することはできない。

140.4. 境界地点の占有地のいずれか一方が所有または占有している建造   物の構成部分の一部である壁が境界地点を決定している場合、本法   140.1.―140.3. に定める手続を適用しない。

第 141 条 相隣権の出訴期間の不適用

141.1. 本法 135.3―135.5.、138.1.、138.4.、139.1.、139.2. に定める請求にあたっ   ては、出訴期間を適用しない。

第 5 款 公共目的の集合住宅の所有権

第 142 条 公共目的の集合住宅の所有

142.1. 公共目的の集合住宅の建物内の住宅/部屋/または共同所有の対象   とならない住宅目的以外の区画部分は単独所有することができる。

142.2. 単独所有する所有の対象とならない集合住宅の建物、建造物、設備   部分は、集合住宅の所有者の共同所有となる。

142.3. 共同所有財産についての集合住宅所有者の持分は、それらの各所有   者が居住する集合住宅の面積に応じた共同区画に対する比率によって決   定される。

142.4. 単独所有については、一定の境界制限が存在する特定された住宅部   分/住宅、部屋/または建物の内の特定された他の建造物にのみ適用さ

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  れる。

第 143 条 住宅所有者組合

143.1. 公共目的の集合住宅である一つの建物に、二つ以上の世帯住宅所有   者がいる場合、共同所有財産の共同所有権を行使させ、集合住宅の使用   にあたっては通常の状態を確保させ、住宅所有者の権利、利益を保護す   る目的で住宅所有者組合/以下”組合”という/を設立する。

143.2. 複数の住宅が並んで存在する集合住宅の建物において、その住宅所   有者達がその部分ごとに一個の組合を設立することができる。

143.3. 住宅所有者組合は、法人の権利を有しない。

143.4. 集合住宅に居住する住宅所有者以外の者は必ず、その組合の構成員   となる。

143.5. 集合住宅内住戸に国有住宅または地方所有住宅がある場合、所有者   の権利を有する機関が任命した代理人が組合構成員となる。

143.6. 住宅所有者組合に関する内容は法律で規定する。

第 144 条 組合の解散

144.1. 集合住宅またはその他の財産の大部分が消滅し、損壊した場合、損   壊による損害を保険または他の方法で填補できない住宅所有者委員会は   解散するものとする。

第 145 条 集合住宅の単独所有権の発生、終了

145.1. 集合住宅の単独所有権は、法律または法律行為に基づいて発生する。

145.2. 集合住宅の単独所有権を発生させる法律行為は、公証役場による公   証を国家登録に登録する。

145.3. 各所有者が単独所有する所有の対象となる自己の住宅/部屋/また

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  はその他の区画については、法律に定めた手続にしたがい、不動産の登   録機関に登録する権利を有する。

第 146 条 集合住宅の単独所有または共同所有の対象

146.1. 単独所有の対象は本法 142 条に定める区画であり、共同または単独   所有者が他の者の権利を侵害するのではなく、かつまた建物の外観を損   なうことなく変更し、隔離させ、増改築することができる構成部分とす   る。

146.2. 単独所有する区画に置かれている場合であっても、建物の堅固な性   質、安全性を確保するために必要とされる部分、同様の所有者との共同   使用する工作物、その他の設備は、単独所有の対象とすることはできな   い。

146.3. 集合住宅の所有者は、単独所有の対象となる区画の一部分の共同所   有について法律行為の合意をすることができる。

146.4. 単独所有する住宅目的の部分について、それに割当てられる共同所   有部分を組み合わせることなしに、他人に売却し、担保に供し、その他   の形式で他人の所有に移転させることを禁止する。単独所有する住宅目   的でない部分にはこれを適用しない。

第 147 条 集合住宅の共同所有の対象に関する支払、費用の配分

147.1. 住宅所有者は、自己が所有している住宅または住宅目的以外の部分   の暖房、湯、上下水、消毒、ゴミ、電気、連結等の使用料については関   係機関に対し、共同所有の対象の使用、修繕作業に関する費用について   は住宅所有者組合に対し、それぞれに支払う。

147.2. 集合住宅の電気、または梯子、梯子通路 住宅間の区画、またはバ   ルコニー、住居内の共同使用区画、冬用扉、階段、窓、ゴミ排出管の修

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  繕に関する費用その他の公的費用を算出する際には、住宅所有者の関与   の限度を決定し、その費用は当該集合住宅内の住宅数で除する。

147.3. 集合住宅の屋根、内部通路、暖房または湯、上水の配給管の元栓、 

  配電板に接続する各階に通じる配線設備、床上の下水管設備、当該集合   住宅の地上または地下にある公共目的の貯水槽、駐車場、これらに類似   の設備等共同所有の対象に対する修繕作業、保険またはその他の関連費   用の算定にあたり、住宅所有者の関与の限度を確定し、住宅占有者の単   独所有区画、当該集合住宅の建物における単独所有に該当する公的区画   の比率に応じて支出する。

147.4. 単独所有する区画面積の決定にあたっては、住宅所有者の住宅区画   に、単独所有住宅以外の目的の区画の三分の一を加える。

147.5. 集合住宅の通常かつ安全な状態の確保、現在修繕中の問題をのぞき   賛成しない所有者は、その問題解決に関係する費用を支払う義務を負わ   ないが、この場合、その方法を実施した結果生ずる物を使用する請求権   を有しない。

147.6 集合住宅所有者組合は、共同所有の対象に対する修繕作業について、

  契約に基づいて専門機関に履行させ、かつ契約上の義務に関して他人に   与えた損害について、組合の規則、住宅所有者と締結した契約に別段の   定めがないかぎり、本法 147.2.、147.3. に定める手続にしたがって賠償   する。

第 148 条 集合住宅所有者の権利、義務

148.1. 集合住宅所有者は以下の権利を享有する:

  148.1.1. 法律に別段の定めがないかぎり、単独所有の対象は自己の裁    量で占有、使用、処分する;

  148.1.2. 共同所有の対象を目的にしたがって使用する;

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  148.1.3. 共同所有の対象を占有、使用、処分するにあたっては、自己    に割当てられた部分での投票権を有し参加する;

  148.1.4. 他の所有者の同意なしに、共同所有の対象に及び得る危害の    排除に必要な手段を講じ、生じた必要費の支払を請求する;

  148.1.5. 法律に定めたその他の権利。

148.2. 集合住宅所有者は、以下の義務を負う:

  148.2.1. 単独所有の対象を占有、使用、維持管理するにあたっては、他    の所有者の共同生活環境に関する規則に違反しない;

  148.2.2. 住宅、住宅以外の目的の区画を使用し、それを修繕変更し、改    善するにあたって、法令、規準、標準に定める要件を遵守し、他の所    有者の財産に損害を与えず、法律上正当なその他の権利、利益を侵害    しない;

  148.2.3. 共同所有の対象の使用、修繕作業、またはその他の公的費用    を算定して決定された限度で負担する;

  148.2.4. 単独所有区画にある共同所有の対象について、通常の状態を    確保し、修繕作業を行なう目的での立入りを承認する;

  148.2.5. 線、管設備の敷設に関して必要な限度で負担することを承認    する;

  148.2.6. 単独所有または共同所有の対象を他の者の使用に移転させた    場合、その者により本法 148.2.1.―148.2.3. に定める義務が履行されな    いことから生ずる義務については、共同責任を負う。

  148.2.7. 本法 148.2.4.、148.2.5. に定める義務を履行しないことから他人    に生ずる損害を賠償する。

148.3. 所有者が単独所有または共同所有の対象を使用しないまたは使用を   放棄したことは、共同所有物の使用、修繕作業に関する費用の全部また   は一部を免除する正当な根拠とならない。

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第 149 条 集合住宅所有者の請求権

149.1. 以下の違反をした住宅所有者について、他の所有者は組合構成員か   ら離脱させ、住宅所有権を他人に移転させる請求権を有する:

  149.1.1. 本法 148.2.12、148.2.2.、148.2.6. に定める義務の重大かつ度重な    る違反をし、それについて組合から書面で警告を受けた 3 ヶ月以内に    その違反を停止し、それを除去する手段を講じなかった;

  149.1.2. 本法 148.2.3. に定める義務を 6 ヶ月以上履行せず、また支払う    べき支払が単独所有住宅の価額の 20%を超える場合;

  149.1.3. その他法律に定める原因。

149.2. 本法 149.1. に定める要件を住宅所有者が任意に履行しない場合、集   合住宅所有者組合は自己の代理人を通じて裁判所に訴えを提起する権利   を有する。

第 6 款 権利行使目的による他人の所有権の制限

第 150 条 他人の土地上に建造物を建造する権利

150.1. 他人の所有地上に建造物を建造する権利を取得した者は、その権利   を第三者に相続させ、担保に供し、売却またはその他の方法で処分する   権利を有し、当該土地を自己の占有に移転させ取得する。

150.2. 土地所有者は、建造物の建造を不可欠の要件とせずより適切な使用   の可能性がある土地であっても、建造物を建造する権利を取得した者の   請求により、その占有に移転する義務がある。

150.3. 建造物を建造する権利は、必ず一定の期間を定めるものとし、かつ   その期間は 99 年を超えない。その権利を期間前に終了させる条件を設   けた法律行為の効力はない。

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150.4. 本法 150.7 に定める場合をのぞき、建造物を建造する権利は、一方   当事者の判断で終了させることを禁止する。

150.5. 建造物を建造する権利に基づいて建造した建造物は、その権利の主   たる構成部分となるが、建造物の崩壊、損壊の事実はその権利を終了さ   せる根拠とならない。

150.6. 建造物を建造する権利を他人に売却し、担保に供しまたはその他の   方法で処分するにあたり、土地所有者の同意を得る必要がある場合、所   有者は自己の権利、法律上正当な利益に対する重要な違反がないかぎり、

  同意を与えることを拒絶する権利はない。

150.7. 契約に別段の定めがないかぎり、建造物を建造する権利を取得した   者は、その権利の占有料につき、本法 137.2. に定める手続にしたがって   所有者に支払う。その支払を 2 年以上行なわなかった場合、土地所有者   は、契約を一方当事者の判断で終了させる権利を有する。

150.8. 本法 150.7. に定めた支払額は 10 年ごとに改定するよう当事者で合意   することができる。

150.9. 法律または契約に別段の定めがないかぎり、建造物を建造する目的   で取得した土地を占有する権利の終了にあたり、土地所有者にはその権   利を占有していた者に対し、当該建造物の適切な価額を支払う義務があ   る。

150.10. 土地所有者は、本法 150.9. に定めた適切な支払いの代わりに、当該   建造物がその住所地に存在する通常可能な期間につき、建造物を建造す   る目的で与えた土地を占有させる権利の期間を延長することができる。

150.11. 建造物を建造する目的で土地を占有していた者が、本法 150.10. に   定める期間延長を拒絶した場合には、適切な価額の支払請求権を喪失す   る。

150.12. 法律または契約に別段の定めがないかぎり、建造物を建造する目的

(17)

  で土地を占有している者はその権利期間の終了にあたり、土地上の建造   物またはその構成部分を収去する権利を有しない。

150.13. 建造物を建造する権利は、国家登録機関に登録させるものとする。

150.14. 本法 150.9. の定めに基づく適切な支払請求権は、建造物を建造する   同種の権利の順位によって充足され、かつこの順位を当事者の合意によ   り変更する権利はない。

150.15. 建造物を建造する権利の期間が終了する時点で、その権利が担保に   供されていた場合、担保権者は担保により充足される義務の履行請求権   を有する。

150.16. 建造物を建造する目的で土地を占有する権利が終了するにあたり、

  土地所有者は、建造物を建造する権利を有していた者が第三者と締結し   ていた賃貸借、リース契約の当事者となる。

150.17. 建造物を建造する権利の発生、その権利の取得に関する関係は、本   法に定める不動産取得の手続に関する規定を準用する。

第 151 条 不動産所有者の権利を制限する権利/地役権/

151.1. 不動産所有者は所有権行使の目的から、他の不動産所有者の権利を   以下の方法で制限する権利/以下” 地役権”という/を有する:

  151.1.1. 法律または契約の定めにより、他人の不動産を制限し、所有    者に優先して使用する;

  151.1.2. 自らの権利、法律上正当な利益を侵害する事業活動を行なわ    ずに所有権行使する旨、他の所有者に依頼する;

  151.1.3. 地役権により権利制限を受ける所有者に対し、地役権者の不    動産に関して一部の権利行使を制限する。

151.2. 権利者が地役権を行使するにあたっては、当該不動産所有者の法律   上正当な利益を侵害しないようにする義務がある。

(18)

151.3. 当事者の合意がある場合、地役権者は権利制限を受ける者に対し、適   切な支払、報酬を定められた期間にわたって、定めにしたがい支払う。

151.4. 建造物の場合、地役権者はその全体について完全に保有し、適切か   つ正当に使用する義務を負い、かつそれに関する費用については、権利   制限を受ける者が単独でまたは一部につき責任を負うよう当事者で合意   できる。

151.5. 地役権者の占有土地またはその他の不動産が複数の所有者に分割し   て移転された場合、地役権により権利制限を受ける所有者の権利を悪化   させないかぎり、依然として各所有者全員で地役権を保有する。地役権   が分割された土地その他の不動産のいずれかの部分のみに適用された場   合には、他の部分の地役権は終了するものとする。

151.6. 地役権による権利制限を受ける者の占有土地が複数の所有者に分割   して移転された場合、それ以前に地役権により制限を受けていた土地を   のぞき、土地の権利制限から免れる。

151.7. 地役権者の権利行使を複数の者が妨害した場合、妨害排除請求権を   有する。

151.8. 所有者でない者は法律または契約の定めに基づいて生活の必要性を充   たす目的で地役権を有する者と同様の地役権を享有することになるが、そ   の場合、地役権を他人に移転する権利はない。

151.9. 地役権の行使に対して困難かつ重大な被害を及ぼす場合をのぞき、権   利制限を受ける所有者は地役権を自己の占有地の他の部分に移転する権   利を有する。権利を制限していたいかなる法律行為も効力はない。

151.10. 本法 151.9. の定めによる地役権移転に関する費用は、権利制限を受   けた所有者が責任を負う。

第 152 条 他人の財産の制限により占有、使用する権利/用益権/

(19)

152.1. 果実を受け、利益を取得する目的で他人の財産を制限し、占有、使   用する権利を用益権という。

152.2. 用益権占有者は、第三者の所有に移転させる方法で処分する場合を   のぞき、その財産の所有者と同様占有、使用する権利のみ有する。ただ   し、その財産を第三者の担保に供し、リースする場合には必ず所有者の   同意を得るものとする。

152.3. 用益権が終了すると、当該財産の所有者は用益権占有者が第三者と   締結した契約の当事者となる。

152.4. 用益権を取得するにあたり、当該種類の動産、不動産の取得に関す   る本法に定める手続きを準用する。

152.5. 用益権は有償もしくは無償で、期間を定めもしくは定めないで、ま   たは用益権占有者の死亡により定めることもできる。

152.6. 用益権は、以下の原因で終了する:

  152.6.1. 用益権占有者たる人が死亡し、法人が解散した;

  152.6.2. 用益権占有者または所有者が一人の者となった;

  152.6.3. 用益権の期間が終了した。

152.7. 本法 236―240 条に定める原因により用益権が終了した場合、用益   権占有者には当該財産を所有者に移転させる義務がある。

152.8. 用益権占有者は、所有者の同意なしに用益権の対象またはその使用   目的を変更することはできない。

152.9. 占有地の場合に、用益権占有者は当該土地の経済的目的に対する重   大な変更なしに使用し、またはその他不可避の必要性から建造物を建造   し、設備を設ける権利を有する。

152.10. 当事者は用益権の対象の現状価値を把握するために自己の費用で専   門家を任命することができる。

152.11. 用益権の対象が物の複合体である場合、その一覧表を作成し、両当

(20)

  事者がその一覧表に署名して保証するものとし、かつ一方的な請求と費   用により権利を有する者が公証を受けるか、またはその問題を処理する   適切な機関、専門家に上記一覧表を作成させることができる。

152.12. 法律または契約に別段の定めがないかぎり、用益権占有者は、すべ   ての権利期間内において、用益権の対象の必要な修繕、通常の経済的状   態を確保し、その管理に関する費用、税、支払いについて責任を負い、

  用益権の対象を自己の財産と同様に保護する義務を負う。ただし、用益   権の対象に対する通常の使用による老朽化の損傷については責任を負わ   ない。

152.13. 保険条件を充たした場合、当該財産の所有者は用益権占有者と同様、

  保険者に対する保険金の支払請求権を有する。

152.14. 用益権の対象が滅失し、毀損し、またそのすべて完全な状態を確保   するために当初の予想を超える多額の費用が必要となった場合、さらに   当該対象において第三者が何らかの請求をしている場合、用益権占有者   は、所有者に対し、きわめて速やかに通知する義務がある。所有者が上   記状態の填補に関して必要な請求手段を講ずるにあたり、用益権占有者   は拒絶権を有しない。

152.15. 用益権占有者が自己の費用で、所有者が事前に通知した本法 152.14.

  に定める必要な手段を講じた場合、用益権の終了にあたって、分離でき   る修繕部分、価値を増加させた部分を分離して取得し、またその所有者   に対し、その価額の支払請求権を有する。

152.16. 用益権占有者は当該財産のある物、一部の価値を増加させる目的で、

  新たな物、対象と交換した場合、用益権の終了にあたって、古い物、対   象の代わりに、新たに持ち込んだ物を所有者に移転する。

152.17. 用益権占有者は、通常の経済的使用に反してまたは通常の範囲を超   えて取得した果実、利益の所有者になった場合、所有者に対して、それ

(21)

  に関して用益権の対象に生じた損失を支払う義務がある。

152.18. 所有者の同意なしに用益権を移転したり、それに重ねて用益権を設   定することは禁止する。

152.19. 用益権の対象が権利である場合には、用益権占有者の同意のみによ   り、法律行為に基づいてその権利を変更し、無効とすることができる。

第 13 節 担保権  

第 1 款 担保の一般原則  

第 153 条 担保

153.1. 義務履行者が担保により確保された義務について、法律または契約   の定めにしたがった履行をしなかった場合、担保権者で義務履行受領者   である者は、他に優先して担保の対象の価値から請求を充足させる権利   を有する。

153.2. 担保権の発生により、当該当事者は義務の履行を優先して請求する   権利を享有する。

153.3. 担保発生の時に確定できる将来生じ、条件が達成された請求を確保   するにあたり、担保を実行することができる。

153.4. 担保権は元本請求、それと通じる他の従たる権利、本法 88 条に定め   る果実にも同様に及ぶ。

第 154 条 担保の対象

154.1. 動産、不動産、他人の所有に移転することができる財産権は担保の   対象となる。

154.2. 担保の対象が請求権であり、かつ義務履行者が義務履行期間前に履

(22)

  行された場合、その履行されたものが担保の対象となる。

154.3. 担保の対象は他人の所有財産でもよい。この場合、当該財産の担保   権設定者の所有に移転したことによって、担保により確保された請求が   発生する。

154.4. 担保の対象は、将来発生する財産でもよい。この場合、当該財産が   発生し、担保権設定者の所有に移転されたことによって、担保により確   保された請求権が発生する。

154.5. 本法に定める場合、一つの担保の対象が複数の者により担保された   場合、担保契約が成立した順番で請求権が確保される。

154.6. 当該財産を占有していたが、担保権を持たない者が占有権を証明す   る文書を移転させる方法で当該財産に担保権を設定した場合、担保権者   は担保権設定者の設定した担保権がないことを知らず、知ることができ   なかった場合、担保権者を誠実な占有者とみなす。

154.7. 本法 154.4. に定める担保権者が誠実な占有者の場合、他の第三者に   優先する権利を有する。

154.8. 担保の対象を交換する目的で、両当事者の合意により、担保契約を   変更することができる。

第 155 条 担保権の移転

155.1. 義務履行受領者が担保によって確保される請求を第三者に移転させ   るにあたり、担保権は新たな義務履行受領者に移転する。

155.2. 財産、他人に移転することができる有価証券、さらに財産権を移転   するにあたり、それらの取得における手続を準用する。

155.3. 担保の対象の他人に対する移転が第三者の権利と抵触する場合、当   該第三者が義務履行受領者の請求に充足する方法で、自ら担保権を移転   取得することができる。

(23)

第 156 条 担保契約

156.1. 担保契約は書面で締結する。

156.2. 不動産の担保契約は公証役場による公証を受け、国家登録に登録し、

  かつ契約書に両当事者の名、住所/居住/地、担保により確保される請   求、その額、義務履行充足期、担保の対象、その所在地、価額を記載する。

156.3. 本法 156.1.、156.2. に定める要件を充たさない契約の効力はない。

156.4. 当事者のいずれかの請求がある場合、動産担保契約について、公証   役場による公証を受け、登録機関に登録することができる。

第 157 条 担保物について両当事者が享有する権利、負担する義務 157.1. 担保権者は以下の権利を享有する:

  157.1.1. 担保により確保される請求の限度で、担保の対象の果実を取    得する;

  157.1.2. 担保の対象を売却した総価額から、他の義務履行受領者に優    先して自己の請求を充足させる;

  157.1.3. 本法 157.2.2. に定める期間内に、担保設定者が請求を充足する    他の方法を選択し、または他の対象を担保に供しないかぎり、本法に    定める手続にしたがって担保の対象を売却する;

  157.1.4. 担保設定者が本法 157.6.1. に定める義務を適切かつ正当に履行    していないとみなされた場合、担保の対象を自己の占有に移転させる    よう請求する;

  157.1.5. 担保の対象を占有移転して取得する場合、すべて完全な状態    を確保し、それに関して支出した必要費は担保設定者に請求する。

157.2. 担保権者は以下の義務を負う:

  157.2.1. 自己の占有に取得した担保の対象が消滅し、相当の価値が減    少する客観的状況になった場合、担保設定者はきわめて速やかに通知

(24)

   する;

  157.2.2. 本法 157.2.1. に定める場合、担保設定者が請求を充足する他の    方法を選択し、または他の対象を担保に供することが可能な期間を示    してあげる;

  157.2.3. 本法 157.1.3. の定めにしたがい、担保の対象を売却して取得し    た金銭を担保期間が終わるまで保有する。

157.3. 義務履行受領者の請求を確保する目的で、複数の対象を担保に供す   る場合、契約に別段の定めがないかぎり、担保権者は請求を確保する担   保の対象を選択する権利を有する。ただし、当該請求を充足するにあた   り、請求できる額、範囲を超えてはならない。

157.4. 担保権の実行を妨害する状況が生じた場合、担保権者は本法 92 条に   定める権利を享有する。

157.5. 担保設定者は以下の権利を享有する:

  157.5.1. 担保物を占有に留めておく期間内は、その果実を取得する;

  157.5.2. 本法 157.2.1 に定める状況になった場合、担保の対象の返還を    請求し、担保権者の請求を充足する他の方法を申出ることができる;

  157.5.3. 担保権者が本法 157.1.5. に定める義務を適切かつ正当に履行し    ないとみなされる場合、担保権者は担保の対象をその全体について完    全に留めておくことができる第三者に移転させるよう請求する;

  157.5.4. 担保の対象を公告売買により売却して取得した収益から義務    履行受領者の請求、その他公告売買の実施に関する必要費を控除した    残額を自らに移転させるよう請求する;

157.6. 担保設定者は以下の義務を負う:

  157.6.1. 自己の占有にある担保の対象の全体について完全な状態を確    保する;

  157.6.2. 担保契約を締結する時点で、担保に供される財産に対する第

(25)

   三者の請求が存在する場合、担保権の発生について通知する。

157.7. 担保により確保される請求にあたり、担保設定者が義務履行者でな   い場合、義務履行者が義務履行受領者に行い、また担保設定者が反対請   求を行なう権利を有する。

157.8. 担保により確保される請求が義務履行者及び第三者/担保設定者/

  の財産によって同様に確保されている場合、担保設定者は義務履行受領   者に対し、まずは義務履行者の財産から請求の充足を始めるよう請求す   る権利を有する。

第 158 条 担保権者による請求の充足

158.1. 請求権が発生し、義務の履行を充足する期間を徒過した場合、担保   の対象を売却し、その他の形式で転売する方法で、担保権者の請求を充   足する。

158.2. 義務履行者は義務履行受領者に適切な支払を行うことにより、担保   権者の請求を充足したものとみなす。

158.3. 金銭支払請求の全部または一部を充足する期間が到来した場合には、

  担保権者は担保の対象の転売請求権を有するが、単に自己の請求を充足   する場合にのみこの権利を享有する。

158.4. 担保により確保される請求を充足するために、法律により重要な関   係を有する何らかの行為を必ず行なうことが不可欠の要件である場合、

  担保権者は担保設定者にその行為を行なう請求権を有し、かつ担保権設   定者は 14 日以内に、その行為を行なわない場合、担保権者はこの行為   を担保設定者の名で第三者と行なうことができる。

158.5. 担保の対象が複数の者の担保に供されていた場合、最初に担保を受   けた者がその対象の転売請求権を有し、かつその者がこの権利行使を放   棄した場合、後順位担保権者が請求権を行使する。

(26)

第 159 条 担保の対象の売却

159.1. 法律または契約に別段の定めがないかぎり、担保の対象は本法に定   める手続にしたがって公告売買により売却する。

159.2. 担保設定者が請求した場合、担保の対象を売却する前に専門家によっ   てその価額を設定させることができ、かつその関連費用は担保設定者が   責任を負う。

159.3. 担保の対象を売却する作業にあたっては、担保の対象の所有者が参   加し、その対象を購入する申込をすることができる。

159.4. 担保の対象の価額を支払わない場合、購入する権利が消滅する旨を   公告売買参加者に説明しなければならない。

159.5. 担保の対象は、法律上正当かつ誠実に取得した者に、権利の制限な   しに移転する。

第 160 条 担保権の終了

160.1. 以下の場合に、担保権は終了するものとする:

  160.1.1. 担保による確保された請求が終了した;

  160.1.2. 担保権者が担保設定者または所有者に、担保の対象の放棄を    通知した;

  160.1.3. 担保権者が占有している担保の対象を担保設定者に返還した;

  160.1.4. 所有権を有する担保権者に担保の対象を移転した;

  160.1.5. 担保の対象が消滅し、存在しなくなった;

  160.1.6. 法律に定めるその他の原因。

160.2. 本法 160.1.3. に定める場合、担保による確保された第三者の請求が依   然として存在している場合、担保権は終了しない。

160.3. 本法 160.1.4.、160.1.5. に定める原因をのぞき、担保権が終了した場合、

(27)

  担保権者は担保の対象を担保設定者または所有者に返還する義務を負う。

第 2 款 動産または権利の担保の特則  

第 161 条 担保により確保される請求の移転

161.1. 義務履行者は担保により確保された請求を移転する方法で、担保権   を他人に移転することができる。

161.2. 請求を移転した場合、担保の対象を移転することができない場合、 

  担保権は発生しない。

第 162 条 同意を要する場合

162.1. 法律または契約に別段の定めがないかぎり、以下の場合には、担保   権者、担保設定者はそれぞれ相手方との合意を得る義務を負う:

  162.1.1. 担保権者が担保の対象を担保する場合、担保設定者と;

  162.1.2. 担保設定者が担保の対象について第三者と法律行為を行なう    場合、担保権者と。

第 163 条 動産または権利の売却

163.1. 担保の対象の証券取引所または市場における価格が定まっている場   合、担保権者はその対象について、特定売却機関を通じて売却するよう   委任することができる。

163.2. 担保権者は担保の対象の売却、売却価額について所有者に事前通   知する義務を負う。この通知後、14 日以内に担保の対象を売却するこ   とはできない。

(28)

第 164 条 権利の担保

164.1. 権利の担保にあたっては、本法 153―160 のうち関連する規定を準   用する。

第 3 款 不動産担保/抵当/

 

第 165 条 抵当

165.1. 義務履行受領者が他の義務履行受領者に優先して、自己の請求を確   保させるために特定の不動産が担保に供されることを抵当という。

165.2. 不動産から義務履行受領者の請求を充足することになる最高限度価   額を定めるにあたっては、国家登録に記録しなければならない。

165.3. 不動産所有者と義務履行受領者等相互が合意し、抵当により確保さ   れた請求を他の請求と交換することができるが、その変更を国家登録に   登録する。

165.4. 義務履行受領者の請求が複数の不動産の抵当により確保されている   場合、各不動産を当該請求全部の確保にあたって使用し、かつ義務履行   受領者が請求を充足させるにあたって、いずれかの不動産を選択するこ   とができる。

165.5. 通常か否かにかかわらず経済的な事業活動によって取得した他人の   所有に移転していない不動産の構成部分、果実に対しても、抵当は同様   に適用される。

165.6. 契約に別段の定めがないかぎり、抵当の対象物となる不動産の価額   から、元本義務から生ずる利息、罰金、損害または裁判費用を支出させる。

(29)

第 166 条 抵当の登録

166.1. 抵当は国家登録に対する登録により生ずる。

166.2. 不動産の所有者、義務履行者、義務履行受領者は、抵当により確保   される請求額、その利息、請求を履行する期間等を共同で定めた文書を   作成し、不動産所有者、義務履行受領者は法律に定めた手続にしたがい、

  抵当を登録する。

第 167 条 保証抵当

167.1. 義務履行受領者が抵当権の登録を証明しないまま、単に自己の請求   を証明する方法で、抵当権を確保する法律行為の合意をした場合、その   抵当の国家登録にあたっては保証抵当と登録する。

167.2. 公告されたまたは認証された有価証券の支払義務に関する請求の場   合、保証抵当を設定することができるが、この場合保証抵当としての登   録を請求できない。

第 168 条 抵当の所有者に対する移転

168.1. 義務履行受領者の請求が終了し、またはそれらが請求を放棄した場   合、抵当は不動産の所有者に移転する。

168.2. 本法 168.1. に定めた場合に、所有者が抵当を終了させ、国家登録か   ら抹消させ、または依然として登録した順位を維持し他の者に移転させ   ることができる。

168.3. 不動産所有者が抵当を終了させるよう第三者に対して義務を負って   おり、かつ不動産および抵当を相手方に移転する場合、これについて国   家登録に事前記録することができる。

168.4. 不動産所有者自らが担保権者に義務を負わない場合でも、自ら義務   を負った者と同様に権利を享有し、かつ請求の効力がないとみなしたり、

(30)

  その範囲を縮減する旨の請求権を有する。

第 169 条 義務履行受領者の請求の充足

169.1. 義務履行受領者の請求を充足する期間が到来し、義務履行者に義務   を履行させる権利を有することになった時から、不動産所有者には、義   務履行受領者の請求を充足する義務がある。

169.2. 所有者が義務履行受領者の請求を充足した場合、国家登録の変更を   行い、抵当を終了させるにあたっては、義務履行受領者に対し請求証書   を返還請求する権利を有する。

169.3. 所有者自らが義務を負わない場合、担保権者の同意により、当該義   務を履行することで、義務を負った者から義務を移転取得することがで   きる。

第 170 条 義務履行受領者の権利保護

170.1. 所有者には、抵当の対象となる不動産の客観的な価額を定める義務   を負う。

170.2. 不動産に危険が生ずる客観的な状況にある場合、義務履行受領者は、

  所有者にその危険の排除が可能な期間を定めることができる。その期間   終了にあたり、所有者が危険を排除する手段を講じなかった場合、義務   履行受領者はきわめて速やかに、当該財産から自己の請求を充足させる   権利を有する。

170.3. 不動産に保険がかけられている場合に保険条件を充たしたときは、保   険者は義務履行受領者にこれに関する通知をした後、被保険者に保険金   を適切に支払う義務がある。

170.4. 当該財産の回復修繕にあたり、保険金の適切な支払を使用しないと   判断する根拠がある場合、義務履行受領者は被保険者に対して保険金が

(31)

  支払われないよう必要な手段を講じる権利を有する。

170.5. 所有者かつ、抵当の対象となる不動産のすべて完全な状態を確保す   るために負担した義務を適切かつ正当に履行できないことが明らかな場   合、義務履行受領者は不動産を自己の占有に移転させる請求権を有する。

第 171 条 所有者が法律行為を行なう権利に対する制限の否定

171.1. 抵当の対象となる不動産を使用せず、他人の所有に移転せず、他の   状態で第三者に権利を与えない義務を所有者に負わせる法律行為は効力   がない。

171.2. 抵当の対象について所有者と第三者が締結した法律行為が有効か否   かは、義務履行受領者の同意にかかる。

171.3. 義務履行受領者の請求の全部または一部を充足しない場合、不動産   所有権を移転する旨を合意した法律行為は効力がない。

第 172 条 抵当および請求の移転

172.1. 抵当およびその原因となっている請求は、本法 87.1. に定めにしたが   い、不可分一体なものとしてのみ、他の者に移転することができる。

172.2. 新たな義務履行受領者は公証役場による公証を受けた抵当証書の移   転を受け、それを新たな義務履行受領者である旨国家登録に登録した場   合に請求が移転したものとみなす。

172.3. 請求が新たな義務履行受領者に移転した後、義務履行者が旧義務履   行受領者に対して負担する義務を履行し、かつその請求の移転について   通知しなかった場合、旧義務履行受領者は義務履行者が履行した義務の   限度で、新たな義務履行受領者に対して義務を履行する。

172.4 抵当および請求は以前の義務履行受領者にあった限度で、新たな義   務履行受領者に移転する。

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