• 検索結果がありません。

業種構成とその特徴 ―capital city tourism に着目して ―

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "業種構成とその特徴 ―capital city tourism に着目して ― "

Copied!
13
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

- 69 -

ワシントン D.C. ジョージタウンにおけるメインストリートの

業種構成とその特徴 ―capital city tourism に着目して

Distribution of Business Categories and the Characteristics of Two Main Streets in Georgetown, Washington D.C.: From the Capital City T ourism Perspective

和 田 英 子

・ エランガー ラナウィーラゲ

**

Eiko Wada Eranga Ranaweerage

Ⅰ. はじめに

近年観光学では,これまで“観光”であると捉えられ てこなかったものが注目されつつある。なかでも,交 通利便の優位性や様々な種類の施設が存在するといっ たような“都市”としての特徴は多くの観光客を惹きつ けてきたにも関わらず,70年代頃より始まっていた都 市観光の研究は,注目されることもあまり無く,未だ 理論と概念の構築を欠いている(Page 1995)。都市の 中でも“首都”は,国際空港などからのアクセスも良く,

他国からの訪問者にとってのゲートウェイであり,ま

た,多くの場合歴史的な施設や発達した商業施設を有 しており,多くの観光客が訪れている。同時にビジネ ス機能の中枢であることも多く,Law(1996)は都市 観光の中の都市の分類で,“首都”はビジネスとレジャ ーの双方を満たすもので,様々な種類の観光客を呼び 寄せられるとしている。そして首都は,単なる大きく 有名な“都市”であるだけでなく,その国のナショナ ル・アイデンティティを示すという重要な役割を果た す。Hall(2002)は都市観光の中の一形態として,特 に首都をその対象とした,これまでほとんど焦点を当 てられることのなかったcapital city tourismという視点 から首都機能と観光の関連性を概論している。それ以 外にも近年capital city tourismに着目した研究が台頭し つつあり(例えばMaitland and Ritchie 2010),観光学の 対象が広範に及ぶ昨今の現状を鑑みても,capital city

tourismは注目すべき観点であろう。

摘 要

近年,「観光」は多様化し,ひいては「観光地」も多様化しつつある。伝統的に「観光地」と見なされてきた 地域への注目は,地理学や観光学,社会学を始めとして学術的にも大きいものであるが,近年では都市観光 研究が注目されつつあり,なかでも首都をその対象にしたcapital city tourismという視点が台頭してきた。そ こで本論文は,アメリカ合衆国の首都ワシントンD.C.のジョージタウン地区を研究対象地域とした。国際的 にも重要な役割を果たし,政治的な施設などを中心に観光地としても有名なワシントンD.C.だが,その中心 部に近接する高級住宅街ジョージタウンはBusiness Improvement District(BID)にも制定された中心市街地で あり,この地区を通る二つの通りMストリートとウィスコンシン・アベニューは互いに交差しており,多く の商業施設が並ぶ。二つの通りはどちらも住宅街に近接しながら,業態について明確な相違を有し,Mスト リートには多数の業種が存在し,観光客など多様な客層を前提としている一方で,ウィスコンシン・アベニ ューはいくつかの業種に集中しており,目的の定まった住民のような客層を前提としていることが明らかと なった。この調査結果は,ジョージタウンで利用可能な公共交通機関と関わりがあった。Mストリートは近 隣の地下鉄の駅やワシントンD.C.中心部へ行くために有用な道路であり,観光者向けの循環バスの一つはウ ィスコンシン・アベニューを通るものの,停留所をMストリートとの交差点付近にのみ設置していた。この ことから,Mストリートには観光客が訪れる傾向が強く,そのために多くの業種が存在していると考えられ る。

首都大学東京大学院都市環境科学研究科地理環境科学専 攻博士後期課程

192-0397東京都八王子市南大沢1-1(8号館)

e-mail [email protected]

**首都大学東京大学院都市環境科学研究科環境科学科学専 攻博士前期課程

192-0397東京都八王子市南大沢1-1(9号館)

(2)

- 70 - Huang and Lee(2009)はこの視点から,ワシントン D.C.を事例にオンライン上でのイメージを探り,観光 目的地としてだけでなく首都としての威信をもアピー ルしていると明らかにした。すなわち首都の場合,単 に見所が多い観光地であるだけでは不十分で,国の「首 都」であることを感じさせることが望ましい。アメリ カ合衆国の首都ワシントン D.C.は金融や政治といっ た面において,世界の中枢とも言えるエリアである。

また同時に,観光地としても人気があり,大統領府で あるホワイトハウスを始め,巨大なスミソニアン博物 館群などは観光スポットとして著名である。ワシント ンD.C.は州ではなく連邦政府直轄地であり,陸上面積 は約160平方キロメートルと,東京都八王子市よりや や狭い程度である。

観光のできる政治的施設などが多数存在するワシン トンD.C.中心部だが,その北西方向に,高級住宅地と して名高いジョージタウンという地区がある(図 1)。 古くは津田塾大学創設者の津田梅子が岩倉使節団の女 子留学生として渡米した際に,また,ジョン・F・ケ ネディ元大統領は上院議員時代にジョージタウンに居 住していた。ジョージタウンは住宅街であり,ワシン トンD.C.中心部のような“首都”を体現するような有名 な,あるいは政治的なモニュメントや施設こそないが,

ヨーロッパのような歴史を感じさせる建物群に,コー チCOACH,日本でも近年出店を増やしているH&M, トミー・ヒルフィガーTOMMY HILFIGER,J.Crew,ラ ルフローレンRalph LaurenやGAP,ZARAといった著

名なブランドやメーカーの衣料品店が入店するストリ ートがあり,いわゆるショッピングタウンとしての側 面をも有している。それ以外にも,ジョージタウンの 中で最も有名な観光スポットとして“オールド・ストー ン・ハウス”という1700年代中期に建てられたワシン トンD.C.最古の建造物がある。ジョージタウンはホワ イトハウスからは直線距離で2kmほどと,中心部へも 近接しているため,多くの観光客が訪れている。

このような商業機能を有していることから,ジョー ジタウンはアメリカの中心市街地活性化政策である

“ビジネス改善地区Business Improvement District(BID)” の一つでもある。大谷らほか3名(2004)によればBID とは,衰退状況にある中心市街地に対して活性化のた めの特別負担金を地区内の事業者から徴収でき,その 負担金は地域内の NPO により運営される,まちづく りに対する目的税の導入制度のことである。ジョージ タウンは1999年にBIDとなり,2009年度のアニュア ルレポートによると,地域や街並みの美化のために街 灯に花かごの設置,自転車を留めるための金具を歩道 に増設,清掃活動のほか,集客やPRを兼ねたイベン トの開催,ホームレス支援などの福祉活動を行ってい た1)。ジョージタウンの中でBIDに制定されているの は,先述したような著名なブランドが軒を連ねている Mストリートと,Mストリートと交差するウィスコン シン・アベニュー,そしてポトマック川沿いに伸びる Kストリートの3つを基軸に,各通りをつなぐ細い通 りや隣接する通りの一部区間をその範囲としている。

つまりこれら三つの通りは,ジョージタウンにとって も,ワシントンD.C.にとっても重要な商業集積地域で あると言えるだろう。

これらを踏まえて,本研究ではジョージタウンをワ シントン D.C.の有する観光資源の一つとしてとらえ,

特にメインストリートあるいはショッピングエリアと して集客を見込めるBID範囲の中の二つの通りを対象 に業種の調査を行い,その分布と特徴を明らかにする ことを目的とする。また,その分布の特徴とジョージ タウンへのアクセシビリティとの連関を,利用可能な 公共交通機関の面から考察する。対象とする通りの一 つは東西に伸びるMストリート(正確にはジョージタ ウンを通っているものはMストリート・ノースウェス ト M Street NWという)で,西端を35thストリート NWおよびポトマック川にかかるキー橋との交差点付 近に,東端をトーマス・ジェファーソンストリートNW との交差点付近とし,およそ760mの範囲である。も う一つはウィスコンシン・アベニュー(正確にはウィ 1 ジョージタウンの位置

Google Map上に破線で囲った部分がジョージタウンである)

(3)

- 71 - スコンシン・アベニュー・ノースウェスト Wisconsin

Avenue NWだが,以後省略してウィスコンシンとする)

である。この通りは南北に長く,ワシントンD.C.の北 西メリーランド州ベセスダまで伸びている。この通り とMストリートとの交差点を南端とし,北端をQス トリートとの交差点付近とする約600mを調査範囲と した(図2参照)。これら二つの通りは衣料品店や飲食 店などが軒を連ね,昼夜を問わず多くの人で賑わって おり,ジョージタウンの主要な商業施設はこの二つの 通りに集中しているといえる。

Ⅱ. 業種の分布から見た通りの特徴

二つの通りに対して業態調査を行い,業種とその店 舗数を明らかにした。調査結果は2010年6月26日,

27日時点のものである。業種はアクセサリーや貴金属,

時計類の販売店を含む「衣料品店」,「飲食店」,エクス テリア・インテリア雑貨含む「家具店」,「雑貨店」,美 容院やマッサージ店,ネイルサロン,化粧品店など美 容に関連する「美容系」,そして「その他」の六つに分 類した。「衣料品店」と「飲食店」のカテゴリーについ ては扱う主要商品によりさらに細分化した。衣料品店 および飲食店についてはターゲットの性別や年齢,も しくは主要販売物により分類し,「男性向け衣料品店」,

「女性向け衣料品店」,「子供向け衣料品店」,そして特 定の性別や年齢をメインターゲットとしない「総合衣

料品店」,アクセサリーや時計,鞄などの「服飾小物店」,

「靴屋」の六つの小カテゴリーとした。「飲食店」も同 様に,ファーストフード店やカフェなどのイートイ ン・スペースを有するものを「軽食店」,酒類の提供を 中心に行うものを「パブ」,昼食および夕食の提供を中 心に行うものを「レストラン」と分類した。

各通りの両側の業種構成を調査し,通りごとの違い だけでなく,店舗の向きによる違いと各通りをブロッ ク分けしたときの特徴をそれぞれ考察した。これは調 査対象の二つの通りが交わっていることと,通りの両 側の後ろ側が住宅街である場合とそうではない場合が あることから,業種構成に相違が生じているのではな いかとの推測によるためである。

2.1 各通りにおける店舗構成

各通りにおける業態を調査した結果,相違が見られ た。Mストリートとウィスコンシンの各業態数は図3 の通りである。また,分布は図4に示した。Mストリ ートは業態の数のばらつきが大きく,標準偏差の値は 約7.7であり,「その他」が突出していることからも,

様々な業種が出店していることがわかる。業態別に見 てみると,衣料品店の中では,「総合衣料品店」が最も 多く,次いで「女性向け衣料品店」が出店していた。

特定の性別や年齢をメインターゲットとしない「総合 衣料品店」ではあるが,ショウウィンドウには女性用 衣類を着用したマネキンが多く飾られていたこと,客 2 研究対象地域

(筆者作成。図中のアルファベットと番号は任意に設定したブロック番号であり,MMストリートを,Wはウィス コンシン・アベニューのブロックを表す。また,図が煩雑になるため調査対象とした建物以外の住宅などは省略した。

(4)

- 72 - の目につきやすく入店しやすい1階部分に女性用衣類 のコーナーを設けている店が多数存在していたことに 留意したい。また,飲食店のカテゴリーでは「軽食店」

よりも「レストラン」がやや多く出店していた。

一方ウィスコンシンでは,Mストリートと比較する と「その他」が半分程度であり,各業種の出店数のば らつきが少ない。標準偏差の値は約4.7であった。そ して顕著な業種は衣料品店カテゴリーである。最も多 いのは「男性向け衣料品店」であり,次いで「総合衣

料品店」と「女性向け衣料品店」が同数であった。ま た,少数ながらも「子供向け衣料品店」が存在してい た。以上より,Mストリートは多種多様な店が立ち並 んでいるが,なかでも女性を主要な客層に据えた「衣 料品店」と共に,「軽食店」と比較して客単価の高いで あろう「レストラン」が多く存在していることが明ら かになった。その一方でウィスコンシンは業種のばら つきが少なく,「衣料品店」,「飲食店」,「美容系店」,

「家具屋」といったカテゴリーに集約されていた。特

3 各通りにおける業種数(2010年)

現地調査により筆者作成

14 11

5 0 2 4 9

5 14

8 10

1 32

11 11 12 16

3 8 7 9

1 7 8 9

0 17 0 4

10 20 30 40

衣料品店 飲食店 その他

Mストリート(標準偏差7.7

ウィスコンシン・アベニュー(標準偏差4.7

4 Mストリートおよびウィスコンシン・アベニューの業種の分布

20106月調査により筆者作成。調査対象範囲内の建物のみ記載している。図中の空白部分の大半は住宅であり、見づらくなるため割愛した。

(5)

- 73 - に「衣料品店」のなかでも「男性向け衣料品店」が多 く存在していることが特徴的である。そのため,ウィ スコンシンは明確な目的を持った客の来訪を前提とで きることになろう。

2.2 店舗の向きによる業種構成の違い (1) M ストリート

M ストリートの北側と南側の業態構成を調べた結 果,違いが見られた(図5)。双方ともに最も多いのは

「その他」であったが,北側は各種業態がほぼ揃って いたのに対し,南側は出店していない業態があった。

顕著な相違点は二つあり,一つは「衣料品店」カテゴ リーである。北側では「総合衣料品店」が,南側では

「女性向け衣料品店」が突出していた。さらに北側は

「衣料品店」カテゴリーでは「子供向け衣料品店」を 除き,各種が存在していたが,南側では「靴屋」と「服 飾小物店」が存在していなかった。また,もう一つの 相違点は「家具店」の数である。北側では一軒のみで あったが,南側では七軒と多い。この立地については 後述する。

以上の顕著な相違点があげられるが,北側と南側で は建物自体の構成がやや異なる点にも留意したい。双 方とも長屋状の建物を共有壁により区切り,複数のテ ナントが横並びで,あるいは1階と2階で異なるテナ ントが入店しているというのがたいていのケースだが,

南側には“The Shops at Georgetown Parks”という一種の ショッピングモールがあり,これは1ブロックを丸ご と利用している。Mストリートに面しているその外観 は,一部を除いて個々の建物のようにも見え,一つの 統一された建物にテナントが入店しているわけでは決 してない。

(2) ウィスコンシン・アベニュー

ウィスコンシン・アベニューの近隣は両側ともに住 宅街が広がっている。西側と東側の業態構成はほぼ類 似していたが(図 6),顕著に異なる点が一つあった。

それは「男性向け衣料品店」の数である。西側に 12 店と多く存在していた。これは東側の3倍にものぼる。

2.3 ブロックによる業種構成の違い

これまで各通りの各業態の総数と各通りの両側の業 態数の相違点や特徴を明らかにしてきた。次にブロッ ク毎の業種構成を,各通りの両側を総合して見てみる。

(1)M ストリート

ストリートは図3に示したように,六つのブロックに

分割した。第1ブロックは西端から始まるが,南側に 建物が無いため,必然的に北側のテナントのみカウン トしている。ここでは,ブロック毎に細分化して北側 と南側の業態の特徴を見ていきたい(図2)。第1ブロ ックはMストリートの西端付近になり,北側のテナン トのみになる。このテナント群の西隣りはジョージタ ウン大学の施設の一部となっている。このブロックは

「その他」が多いという点が特徴的である(図7)。第 2 ブロックからは北側と南側の双方のテナントが存在 することになる(図8)。このブロックで特徴的なのは 南側に存在する「家具店」の多さである。Mストリー ト全体の業態数をみた本章の2.1で「家具店」の総数

5 Mストリート両側の各業種数

(現地調査により筆者作成)

6 ウィスコンシン・アベニュー両側の各業種数

(現地調査により筆者作成)

11 2 2

2 4 4 4 7 1

4 1

17 6

3 9 3

5 1

7 7

6

15 6

総合 女性向け 男性向け 子供向け 服飾小物 靴屋 軽食店 パブ レストラン 家具店 美容系 雑貨店 その他 空き

衣料品店飲食店の他

北側 南側

()

7 5

12

3 4 3 1 5 4 4

9 1

4 6

4 3

5 3 6

2 4 5

8 3 総合 女性向け 男性向け 子供向け 服飾小物 靴屋 軽食店 パブ レストラン 家具店 美容系 雑貨店 その他 空き

衣料品店飲食店の他

西側 東側

()

(6)

- 74 - が8であることに言及したが,そのうちの7店が第2 ブロック中の南側に存在していた。また,このブロッ クでは「衣料品店」も一軒にとどまっていた。第3ブ ロックは距離が短いことも理由に挙げられるが,特定 の業種に偏った分布ではないと言える(図9)。第4ブ ロックは M ストリートの各ブロックの中で最も距離 が長く,同時にテナント数の多いブロックである

(図10)。南側には先述のショッピングモール“The Shops at Georgetown Park”がある。また,この範囲の東 端はウィスコンシン・アベニューとの交差点になって いることもあり,多くの来訪者を望めるだろう。この ブロックでは北側,南側ともに「衣料品店」カテゴリ ーの業態が多く出店していた。しかしながら北側では

「総合衣料品店」が,南側では「女性向け衣料品店」

が多く存在しており,これらは互いに通りを挟んだ反

対側での出店が無かった。第5ブロックの西端はウィ スコンシンとの交差点から始まる(図11)。このブロ ックは南側のテナント数の方が多く,また「その他」

の業態が多い。そして北側と南側を合わせてみると,

「衣料品店」カテゴリーの各業態よりも,それ以外の 業態が目立つ。そして「レストラン」に関しては,第 4ブロックが北側4店,南側2店だったのに対し,第5 ブロックでは北側2店,南側4店となっていた。最後 に第6ブロックを見てみると,この範囲内では,南側 のテナント数の方が多くなっている(図 12)。これは 北側に“オールド・ストーン・ハウス”というワシント ンD.C.のなかで現存する最古の建物があり,現在観光 名所の一つとなっていることの影響と考えられる。こ のブロックでは北側に二軒,南側に三軒,合計五軒の

「美容系店」が存在しており,ブロック全体に占める 7 Mストリート,第1ブロック業種数

(現地調査により筆者作成)

8 Mストリート,第2ブロック業種数

(現地調査により筆者作成)

1

1

5 1 総合 女性向け 男性向け 子供向け 服飾小物 靴屋 軽食店 パブ レストラン 家具店 美容系 雑貨店 その他 空き

衣料品店飲食店の他

北側

1

3

2

4 1

7

6 3

総合 女性向け 男性向け 子供向け 服飾小物 靴屋 軽食店 パブ レストラン 家具店 美容系 雑貨店 その他 空き

衣料品店飲食店の他

北側 南側

9 Mストリート,第3ブロック業種数

(現地調査により筆者作成)

10 Mストリート,第4ブロック業種数

(現地調査により筆者作成)

1

1

1 2 1

1

1

2 総合 女性向け 男性向け 子供向け 服飾小物 靴屋 軽食店 パブ レストラン 家具店 美容系 雑貨店 その他 空き

衣料品店飲食店の他

北側 南側

8 2

1 2 1 1

4

1 2 2

5 3

2

2

3 総合

女性向け 男性向け 子供向け 服飾小物 靴屋 軽食店 パブ レストラン 家具店 美容系 雑貨店 その他 空き

衣料品店飲食店の他

北側 南側

(7)

- 75 - 割合が他のブロックと比較してやや高いといえる。

さらに「衣料品店」に関しては北側に「服飾小物店」

が一軒,南側に「女性用衣料品店」が三軒あることか ら,南側のテナントがやや女性向きだといえるだろう。

以上より,西から1ブロック毎にMストリートの業 態分布を概観すると,第1ブロックでは北側にのみ複 数の業態が存在し,第2ブロックでは南側に「家具店」

が集まっており,それ以外には全体的に「衣料品店」

以外の業種が多い。第3ブロックは狭い範囲で衣料品 関係の店と飲食店があり,人通りの多く面積の広い第 4 ブロックは「衣料品店」カテゴリーの各種が数多く 存在し,それらが中心となった業種構成であった。第 5 ブロックに入ると衣料品関係の店舗は存在するもの の,中心的存在といえるほど多くはない。また,他の

ブロックと比べて飲食店が多く存在している。調査範 囲の東端である第6ブロックは北側にテナントは少な く,南側に「女性向け衣料品店」や「美容系店」が多 く存在していることから,やや女性向けのエリアとい えるだろう。

(2)ウィスコンシン・アベニュー

ウィスコンシン・アベニューは他の通りの影響をM ストリートとは異なったかたちで受けている。Mスト リートは東西を走っており,それに対して南北を走る 通りが垂直に交わっていたため,北側と南側をほぼ同 じ距離でブロックに分割できた。しかし,南北に走る ウィスコンシンは西側と東側で,それぞれから伸びる 通りがウィスコンシンを突き抜けず,T字路のように ウィスコンシンで行き止まりのようになってしまって いる。そのため,西側と東側を任意にブロック分けし た。第1ブロックは西側,東側ともにNストリートと の交差点まで,第2ブロックは西側がNストリートか らOストリートまでの間で,東側がNストリートから ダンバートン・ストリートまでの間,第3ブロックは 西側がOストリートからPストリートまでの間,東側 がダンバートン・ストリートからOストリートまでの 間,第4ブロックが西側,東側ともにQストリートの 交差点までとした(図2)。

まずMストリートとの交差点に近い第1ブロックを 見てみると,「衣料品店」カテゴリーの店を中心とした 業態構成であることがわかった(図 14)。特に,西側 は「衣料品店」カテゴリー以外の「飲食店」関係や「家 具屋」,「美容系店」が存在していた一方で,東側は「そ の他」と「衣料品店」カテゴリーのみの業態であった。

このように両側に「衣料品店」カテゴリーが集中して いたのは,知名度の高いブランドあるいはメーカーの 出店による。例えば,西側はMストリートとの交差点 に 大 き な 店 舗 を 構 え る“UNITED COLORS OF BENETTON”の他に“Abercrombie & Fitch”,“GAP”が,

東側にはOストリートとの交差点に“GAP Kids”がある ほか,M ストリートに近づくにつれ“DIESEL”,

“RALPH LAUREN”,“Adidas”,改装中の“NINE WEST”,

“bebe”,開店準備中の“UGG”など日本をはじめとして 世界中に出店し,高い知名度を有するブランドが軒を 連ねている。これらのテナントの林立は,多数の幅広 い来訪者を前提とし得る M ストリートの影響を受け ていると考えられる。

11 Mストリート,第5ブロック業種数

(現地調査により筆者作成)

12 Mストリート,第6ブロック業種数

(現地調査により筆者作成)

1 1

2

2 2

1 2

2 4 3

4 1 総合 女性向け 男性向け 子供向け 服飾小物 靴屋 軽食店 パブ レストラン 家具店 美容系 雑貨店 その他 空き

衣料品店飲食店の他

北側 南側

1

1 2

4 3

1 1

3

2 2

総合 女性向け 男性向け 子供向け 服飾小物 靴屋 軽食店 パブ レストラン 家具店 美容系 雑貨店 その他 空き

衣料品店飲食店の他

北側 南側

(8)

- 76 - そして第2ブロックは狭い範囲設定だが,西側の半 分程度をホテル“The Georgetown Inn”が占めている(た だしこのホテルの一階部分はテナントが入っている)。 そのため全体的にテナント数は少ないが,業態が少数 に集中しているということはなかった(図 15)。最も 多いのは「レストラン」で,次いで「男性向け衣料品 店」である。東側の業種は,第1ブロックでは「衣料 品店」カテゴリーに集中していたが,第2ブロックで は「靴屋」と「服飾小物店」が一軒ずつあるのみで,

それ以外のカテゴリーの業種であった。第3ブロック は西側と東側の全てが対面しているとはいえない範囲 設定だが,業態には顕著な特徴が現れている(図16)。

「衣料品店」カテゴリーの業態が多いが,西側は「男 性向け衣料品店」と「靴屋」が多く,特に「男性向け

衣料品店」は「女性向け衣料品店」を大きく上回って いた。一方の東側は「その他」を除き最も多い「女性 向け衣料品店」が「男性向け衣料品店」よりも1店だ け多いにとどまっており,それ以外の「衣料品店」カ テゴリーに対しても大差があるわけではなかった。最 後に,第4ブロックでは西側に「その他」が多いが,

それ以外の業態に関しての両側の大きな違いは見受け られない(図17)。しかしながら,やはりここでも「女 性向け衣料品店」より「男性向け衣料品店」の方が多 く存在していた。

以上より,ウィスコンシンの南端より1ブロック毎 に概観すると,第1ブロックは近接するMストリート の第4ブロックの業態構成によく似た「衣料品店」カ テゴリー中心となっており,第2ブロックになると特 13 ウィスコンシン・アベニュー,第1ブロック

業種数

(現地調査により筆者作成)

14 ウィスコンシン・アベニュー,第2ブロック 業種数

(現地調査により筆者作成)

4 2 1

1

1 1 1 2

1

3 2

1 3

2

2 2 総合 女性向け 男性向け 子供向け 服飾小物 靴屋 軽食店 パブ レストラン 家具店 美容系 雑貨店 その他 空き

衣料品店飲食店の他

西側 東側

1 1

3 1

2 1

3 1 1 1

2 1

1 1 総合 女性向け 男性向け 子供向け 服飾小物 靴屋 軽食店 パブ レストラン 家具店 美容系 雑貨店 その他 空き

衣料品店飲食店の他

西側 東側

15 ウィスコンシン・アベニュー,第3ブロック 業種数

(現地調査により筆者作成)

16 ウィスコンシン・アベニュー,第4ブロック 業種数

(現地調査により筆者作成)

2 1

5

1 3 1

1 1 3

2 1

1 2

2 2

4 総合 女性向け 男性向け 子供向け 服飾小物 靴屋 軽食店 パブ レストラン 家具店 美容系 雑貨店 その他 空き

衣料品店飲食店の他

西側 東側

1 3 1

2

2 2 1

6 1

2 1

3

1 2

1 1

総合 女性向け 男性向け 子供向け 服飾小物 靴屋 軽食店 パブ レストラン 家具店 美容系 雑貨店 その他 空き

衣料品店飲食店の他

西側 東側

(9)

- 77 - に西側で「男性向け衣料品店」の数が増加し,中心的 存在となる。この傾向は第3ブロックも同様で,両側 の「男性向け衣料品店」の合計数は最も多い。また,

それ以外の「衣料品店」カテゴリーの業態もそれぞれ 存在し,このブロックの中心となっている。第4ブロ ックではやはり「男性向け衣料品店」を含めた「衣料 品店」カテゴリーの業態が出店しているが,それ以外 の業態も見ることができる。特に「軽食店」の数は四 つのブロックの中で最も多いが,ウィスコンシンの特 徴として,Mストリートから離れるにつれて「軽食店」

の数が増加する傾向が明らかになった。また,全体的 には,第1ブロック以外のすべてで,「衣料品店」カテ ゴリーの中では「男性向け衣料品店」が最も多かった。

時に,第1ブロック以外の全てにおいて「パブ」は存 在しなかったこともウィスコンシンの性質を表す1つ の特徴であろう。

2.4 小括

Mストリートとウィスコンシン・アベニューの両通 りの業態を全体的に,そして細分化させてその実態を 明らかにした。通りとして全体を見たときの特徴は,

Mストリートは,今回代表的なカテゴリーをいくつか 設定したが,それ以外の「その他」が最も多く存在す ることからわかるように,様々な業態の混在が見られ た。一方ウィスコンシンは「衣料品店」カテゴリーの 中でも「男性向け衣料品店」を中心としながら,特定 の業態が集積していることが明らかになった。

また,Mストリートでは北側と南側の業態にも違い が見られた。北側では「その他」以外では圧倒的に「総 合衣料品店」が多く,次いで「レストラン」だった。

南側で最も多いのは「女性向け衣料品店」で,「美容系 店」,「家具店」,「レストラン」がほぼ同数で後に並ぶ。

それ以外の特徴は,北側に少なかった「家具店」が南 側に多いこと,南側に少なかった「パブ」が北側にや や多く存在することであろう。

そして各通りをいくつかのブロックに区切り,通り の端からのおおよその距離でどのような業態の違いが あるかを見た。まず,Mストリートでは西端の第1ブ ロックには北側にのみテナントが有り,様々な種類の 業種で構成されていることが明らかになった。

Ⅲ.公共交通機関

本章ではジョージタウン地区で利用可能な公共交通 機関を扱う。図17はジョージタウンの近隣地区を含む 地図上に駅名や交通機関のルートなどを記したもので ある。

3.1 ワシントンメトロ (1) 地下鉄

ワシントン D.C.には代表的な公共交通機関の一つ として,隣のメリーランド州およびバージニア州へも アクセスできる地下鉄があり,住民のみならず観光客 に と っ て も 重 要な 交 通 手段 と な っ て い る。The Washington Metropolitan Area Transit Authority(以下ワシ ントンメトロもしくは地下鉄)により運営され,現在 5つのラインがあり,ワシントンD.C.中心部から放射 状に広がっている 2)。すでに何度か触れたとおり,ジ ョージタウン地区にはワシントンメトロは乗り入れて おらず,駅が無い。そのためジョージタウン地区の住 民および来訪者は近隣の駅を利用するほかはない。西 側にポトマック川を挟んだバージニア州のロズリン駅 あり,これは2つのラインの乗換駅として有用である。

そして東南にフォギーボトムGWU駅,東北にデュポ ン・サークル駅がある。ロズリン駅とフォギーボトム GWU 駅からジョージタウン地区の入り口付近までは どちらも約1km,デュポン・サークル駅からは約1.6km と,各近隣駅からの徒歩圏内である。これらの駅へは Mストリートが最も近く,ウィスコンシン・アベニュ ーはこれらの駅を利用する際,Mストリートを通らざ るを得ないと言えるだろう。

(2) バス

ジョージタウン地区をはじめとした地下鉄が乗り入 れてないエリアでも,ワシントンD.C.にはワシントン メトロの運行する路線バス(以下メトロバス)のルー トがはりめぐらされており,重要な交通手段となって いる3)。運賃も一部の長距離を除いて1.25ドルである。

メトロバスはウィスコンシン・アベニューとMストリ ート,どちらも複数の路線が走っており,停留所も多 く,おおよそ十数分間隔でバスに乗ることができる。

また,ジョージタウン地区ではPストリートやOスト リート,Qストリートなどにもバスが通っている。も ちろん,近隣の駅を通る路線があるため,近郊からの 来訪者,ジョージタウンの住民双方にとって重要な役 割を果たしていると言える。

(10)

- 78 - 3.2 循環バス

(1) DC CIRCULATOR

ここでワシントンD.C.の各地を巡る代表的な2つの 循環バスに注目したい。一つは“DC CIRCULATOR”で ある(以下,サーキュレーターバス)。これは有名な施 設や観光スポットや,地下鉄ワシントンメトロの駅へ 行くことができ,五つのラインがある。その中のいく つかのラインではルートが交差し,その付近の停留所 で乗り換えることは可能であるが,すべてのルートが 重なる場所はない。また,運賃は各線とも距離を問わ ず1ドルである。そして,路線によって異なるが,停 留所間の距離は長くなく,必ずしも観光名所などの有 名なスポットにのみ焦点を当てたものではない。バス の車体も一般的なリムジンバスに近い。そのため,路 線バスとして,観光客だけでなく近隣の住民も利用し ていると考えられる。ウィスコンシン・アベニューを 通るラインが一つあり,それはルートの北限をウィス コンシンに持ち,Mストリートの東側を通り,フォギ ーボトムGWU駅のそばを通過し,Kストリートを経 て,ワシントンD.C.の交通の要でもあるユニオン駅ま で,ワシントンD.C.を東西に横断するものである。こ のラインは停留所も多く,ほぼ2ブロックごとに乗降 が可能である。また,このラインはKストリート以東 でその他三つのラインのルートと重なっている。

(2) OLD TOWN TROLLEY

そ し て も う 1 つ の 循 環 バ ス は“OLD TOWN

TROLLEY”というものである(以下,トロリーバス)。

これは“TOROLLEY”の名からもわかるように,車体は

本来のトロリーバスを模したデザインで,一般的なリ ムジンバスとはやや異なる。路線は四つあり,前述の サーキュレーターバスの各ラインのルートと同様に,

それぞれのラインで有名な施設や観光スポットをめぐ る。しかしトロリーバスはサーキュレーターバスとは 異なり,チケットを売店で購入しなければならず,そ の値段も二日間のフリーパスが35ドルである。さらに 停留所は限られており,四つのラインの停留所の総数 は19のみであった。これらの停留所はすべて観光スポ ットなどである。そしてウィスコンシン・アベニュー を通るラインはあるものの,ウィスコンシンに停留所 はなく,最も近いもので南下してMストリートとの交 差点付近にある17番停留所だった。これはすぐ近くの ショッピングモール“The Shops at Georgetown Parks”を その目的地とするものである。また,トロリーバスは M ストリートとウィスコンシンの交差点を通過する のみで,M ストリートを直接走っていない。つまり,

トロリーバスは観光に特化した循環バスであり,近隣 住民が日常的に利用する交通手段ではないことがわか る。

17 サーキュレーターバスとトロリーバスのジョージタウン地区を含むルートと停留所

Google Map上に筆者がルート,停留所および駅名や施設名を加筆したもの。図中にはジョージタウンを通過するルートのみを記し、その他は

省略。

(11)

- 79 - 3.3 小括

以上のようにジョージタウン地区へアクセスできる 代表的な交通機関には,ワシントンメトロの運行する 地下鉄および路線バス,そして2種類の循環バスとい う4つがあげられる。もちろん,そのほかの交通手段 も可能で,上記のものに加えてタクシーやレンタサイ クルなどがある。近郊の住民であれば自家用車でジョ ージタウンへ,特にMストリートやウィスコンシン・

アベニューに来ることは当然可能であるが,駐車スペ ースが十分であるとは言い難い。また,本章では取り 上げなかったが,ジョージタウン地区および近隣の駅 を周回する“GUTS バス”があり,これはジョージタウ ン大学の学生と教職員のみ乗車することができる4)

ジョージタウン地区の中でも本稿の対象地域とした Mストリートとウィスコンシン・アベニューの一部区 間にとって,これらの公共交通機関とどのような関わ りがあるかを小括したい。まず,地下鉄については,

直接ジョージタウンに乗り入れていないため,二つの 通りにとって直接影響があるとは考え難い。しかしな がら,最寄りの近隣の駅へのルートを持つメトロバス や循環バスはMストリートを通過し,駅にアクセスす るのに効果的である。さらにこれらは運賃が数ドルと 安価である。したがってジョージタウン地区への出入 り口の役割を M ストリートは果たしていると言える だろう。

そしてメトロバスとサーキュレーターバスはウィス コンシンと M ストリートに複数の停留所を構えてお り,安価な運賃から,乗客の目的を問わず利用されて いると考えられる。しかし,循環バスのなかでも観光 に特化したトロリーバスは,ウィスコンシンを主要な ルートとして通るものの,南下するとウィスコンシン とMストリートとの交差点を通過するルートと,南側 に4ブロックほど進んだあたりをMストリートと平行 に走るKストリートを通過するルートをとっていた。

そしてウィスコンシンには停留所は無いが,ウィスコ ンシンとMストリートの交差点付近に停留所が有り,

それはMストリートの1ブロック全てを占めているシ ョッピングモールを目的地とするものであった。すな わち,Mストリートは観光という視点からみて,ジョ ージタウンで重要な役割を果たしていると言える。そ の一方で,停留所の無いウィスコンシンは,観光とい う観点でとらえられない通りということになろう。

Ⅳ.考察

ⅡとⅢでジョージタウンの二つのメインストリート,

Mストリートとウィスコンシン・アベニューの業態分 布と,ジョージタウンにおける主要な公共交通機関を 明らかにした。本章では二つの通りの業態分布の相違 を通りの地理的要因から,そして公共交通機関との関 わりから考察したい。

4.1 地理的要因

Mストリートとウィスコンシン・アベニューの両通 りは互いに近接し,垂直に交差していた。そして双方 とも通り沿いは商業テナントが入店しており,様々な 業態の店が立ち並んでいた。そしてどちらの通りも住 宅街に近接している。しかしながら,Mストリートは 数多くの業態が存在し,一方のウィスコンシンでは業 態の数はMストリートほど多くなく,いくつかの業態 に集中していた。そして二つの通りが交わる交差点付 近では,各通りの両側ではともに「衣料品店」カテゴ リーを中心とした業態構成で,その中でも「総合衣料 品店」と「女性向け衣料品店」が多く存在していた。

すなわち業態の数が多い M ストリートは様々な種類 の客層とその目的を受け入れることができ,ウィスコ ンシンは目的がある程度限られた客を前提としている と考えられる。

まず,Mストリートはジョージタウン地区だけでな く,ワシントンD.C.を東西に横断する通りである。ジ ョージタウン地区における M ストリートのロケーシ ョンは,住宅街に近接しているとはいえ,東西に伸び る通りの南側はポトマック川に近い。さほど住宅街が 広がっているとは言えず,商業集積が続く。また,調 査範囲内の M ストリートの西端はハイウェイやパー クウェイといった幹線道路に近接しており,さらにロ ズリン駅へ行くためには通らなければならない。また,

東端はフォギーボトムGWU駅とデュポンサークル駅 に行くために通るルートである。つまり他地域からの アクセスするとき,Mストリートを通過する可能性が 高いと言える。対して南北に走るウィスコンシン・ア ベニューは,調査範囲以降を見ると,南端はポトマッ ク川河川敷付近だが,北端はメリーランド州の高級住 宅地ベセスダに達する。また,調査範囲内外を問わず,

ウィスコンシンは通りの両側の背後は住宅街が広がっ ており,直結している。そのためMストリートと比較 して,住宅街に対し近接性をより有していると言える だろう。

(12)

- 80 - このように,Mストリートは近郊からのアクセスに 便利であり,通りの北側のみが実質上住宅地に隣接し ている一方で,ウィスコンシン・アベニューは住宅街 からアクセシビリティが非常に良いであることがわか る。ウィスコンシンの方が近隣住民の利用頻度が高い 可能性が大きく,Mストリートは近隣住民だけでなく,

観光客などの非住民の来訪者がアクセスしやすい位置 にある。それゆえ住民が利用しやすいウィスコンシン には,商店街のようにある程度の限定された目的を持 った来訪者を前提とするため,特定の業種が同数程度 見られ,Mストリートには住民だけでなく非住民をも 見込んでいるため,多数の業種が存在していたと考え ることができる。特にウィスコンシンには「男性向け 衣料品店」が多く5),そしてMストリートには存在し なかった「子供向け衣料品店」が少数ながら存在して いたという特徴は,ウィスコンシンの業態が近隣住民 の生活に密着していることの証左の一つになろう。一 方の M ストリートでは有名ブランド店を始めとする

「総合衣料品店」や「女性向け衣料品店」などの強い 集客力を持った業態が多いのは,住民を主要な客層と しないことの表れであるといえよう。

4.2 交通事情との関わり

ジョージタウンにおいて利用可能な主要な公共交通 機関は,路線バス“メトロバス”と二つの循環バスがあ り,これらを利用してジョージタウンとワシントン D.C.中心部などへアクセスできること,また近隣の地 下鉄の駅へもアクセスできることとしてまとめられる。

特に,路線バスと二つの循環バスのうちの一つ“サーキ ュレーターバス”は運賃も安価で,有名な施設や観光ス ポットをめぐるルートがある一方で,Mストリートと ウィスコンシンの両方を通るルートもあり,そしてど ちらにも停留所が数ヶ所あることから,観光客のみな らずジョージタウンの住民にも利用されていると言え るだろう。そして同時にこれらは近隣の駅へも向かう。

すると,これらの近隣の駅へ向かうルートはMストリ ートを通過する。つまり,公共交通機関を利用する場 合,Mストリートはジョージタウンの出入り口として の役割を果たしていることになる。

ただしサーキュレーターバスは,Mストリートに関 してはウィスコンシンとの交差点以東のみをそのルー トに含んでいる。このバスは住民にも十分利用され得 ると推測されるが,ルート選択に観光要素が強く影響 していた。そのため,この観光バスは交差点以西のM ストリートには重要性を見出していないと言える。さ

らに,もう一つの循環バス“トロリーバス”は特に観光 に特化したもので,ウィスコンシンを通るがそこには 停留所は無く,Mストリートとの交差点付近に停留所 があり,それはMストリート沿いのショッピングモー ルを目的地としたものだった。するとウィスコンシン は観光客向けの通りではない,特別観光スポットは無 いと見なされていることになる。そしてMストリート にあるショッピングモールは,観光にとって有用であ るからバスが停車する。しかしトロリーバスはMスト リートを通らず,南側のポトマック川沿いを走るKス トリートをそのルートとしていた。すなわちトロリー バスはウィスコンシンには観光要素ととらえておらず,

M ストリートに関してはウィスコンシンとの交差点 付近にのみ観光要素を見出していると言えるだろう。

観光という観点からみたとき,ウィスコンシンにはあ まり価値が無く,Mストリートについても交差点付近 を中心とした徒歩圏 6)にのみ“買い物”などの観光目的 を達成し得る期待ができると考えられる。そのため,

Mストリートには多数の業態があり,特に二つの通り の交差点付近の業態は類似していると考えられよう。

また,二つの通りの業種構成と循環バスの関係につ いても考察したい。Mストリートの南側,西端の1ブ ロックに集中していた「家具店」は,いわゆるベッド やチェストなどの一般的な,可動性を有する「家具」

というものよりも,ショウルームを含めた家の内装に 関わるものを扱う店が多かった。そしてこれらはウィ スコンシンとの交差点以西にしか分布していない。ま た,ウィスコンシンにも同数の「家具店」があったが,

これらは各ブロックと両側で分散して分布し,その多 くがインテリア雑貨や一般的な家具を扱うタイプの店 であった。このような近隣住民に需要がある「家具店」

の分布は,二つの観光循環バスが観光スポットとして 重要視していないエリアに相当することがわかる。サ ーキュレーターバスは M ストリートの西側をルート から外し,トロリーバスはウィスコンシンに停留所を 設置せず,Mストリートとの交差点付近に停留所を設 置するのみでMストリートも通らないためである。

また,それ以外の業態について,Mストリートの西 端の北側,1 ブロック目には「その他」業種が多かっ たが,ここにレンタサイクルを行う店があったことも 注目に値する。そのような店は今回の調査範囲ではこ の場所にのみ存在していた。もしこの店を利用するな らば,ポトマック川を挟んだ最寄りの駅であるロズリ ンから来た場合,ジョージタウン地区にとって,そし て2つの通りにとって近隣住民以外によるアクセスの

(13)

- 81 - 拠点となり得るだろう。するとやはり,Mストリート はジョージタウン地区にとっての出入り口的な存在と なる。

Ⅴ. おわりに

以上の分析結果を踏まえると,Mストリートには業 態の数が多いが,ウィスコンシンはある程度限られた 業態数であり,なおかつ両者が交差する近辺では特定 の業種の集中が見られた。このことは,対象としてい る客層の相違や,地理的要因,そして交通事情を反映 していると言える。

本研究はcapital city tourismという視点に注目し,観 光地として優位な首都ワシントン D.C.の中心部では なく,これまで研究の対象とされることの少なかった,

中心部と近接する住宅街ジョージタウンのメインスト リートにおける商業施設の業種の分布を明らかにした。

首都に近接するエリアの現状を調査し,中心部へ,そ して近隣の駅へアクセシビリティの良いストリートが,

より観光者向けとなっていることが明らかになったこ とを示すことができた。首都を象徴するエリアではな いものの,首都の中心部に近接する一つの住宅街が観 光の影響を受けた業種構成となっていたことを明らか にできたのは,今後capital city tourismの研究が進んで いく中で,首都中心部以外にその対象を求める意義を 本稿は示すことができたのではないか。しかし,より 考察を深めるためには,交通機関の利用可能となった 年代と両通りの業態分布の推移などの調査が必要であ ろう。また,本稿では近隣住民や観光客に対する直接 的な調査を行うことはできなかった。これらは今後の 課題としたい。

1) ジョージタウンのBIDとしての活動,2009年度のアニュ アルレポートは以下のオフィシャルサイトから知ることが できる。 (最終閲覧日 2010 114日)

2) ワシントンメトロの路線図の詳細は紙面の都合上割愛す るが,詳細はワシントンメトロのオフィシャルサイトから見 ることができ(最終閲覧日2010 1030日)

3) メトロバスのラインおよび各ルートは膨大なため本文お よび図解はしないが,詳しくは以下のURLを参照のこと。

(最終閲覧日2010

1031日)

4) 本来であればバスへ乗る際に,学生証などジョージタウン 大学へ所属していることを証明するものの提示が必要であ るが,筆者が利用したときは,証明書の提示は必ずしも必要 ではなかった。

5) ウィスコンシン・アベニューに多数存在していた「男性向 け衣料品店」の多くが所謂仕立屋を含む,男性向けスーツを ショウウィンドウに陳列している店であった。

6) “交差点付近にはウィスコンシン・アベニューの一部をも 含む。

謝辞

本研究は筆者らが参加した首都大学東京とジョージタウン 大学による2010 年度アメリカ科学英語短期研修の滞在中に 調査を行ったものである。貴重な機会を与えてくださった両 大学とその関係者,および様々なアドヴァイスを下さった首 都大学東京大学院都市環境科学研究科観光科学域の菊地俊 夫教授にこの場をお借りして感謝申し上げます。

参考文献

大谷英人・伊藤公洋・東崎正哲・吉本早織 2004. 研究の目的 等及びBusiness Improvement DistrictTMOの概要 米国 Business Improvement Districtから見る日本のTMOへの 示 唆 ~ 米 国 バ ー ク レ イ 市 の Downtown Berkeley Associationと高知TMOの比較研究から~その1. 日本建築 学会四国支部研究報告集20045: 71-72.

Georgetown BID;(最終閲覧日

2010114日)

Hall, C.M. 2002. Tourism in capital cities. Tourism: An International Interdisciplinary Journal 50(3): 235-248.

Huang, W and Lee, B. 2009. Capital City Tourism: Online Destination Image of Washington, DC. Information and Communication Technologies in Tourism 2009.7: 355-367.

Law, C.M. 1996. Tourism in Major Cities. International Thomson Business Press: 266.

Maitland, R. and Ritchie, B.W. (eds.) 2010. City Tourism: National Capital Perspectives. C a B Intl.

Page, S. J. 1995. Urban Tourism. Routledge: 269.

Washington Metro;(最終閲覧日2010

1031日)

(投稿:20101111日)

(受理:2010111日)

参照

関連したドキュメント

戦略的な広域観光プロモーション  「海の京都」の統一的なテーマ・コンセプトによる観光プロモーション

れ ば、50 ∼ 100 ㎞ 走 る ことも可能です。矢板 市は、県都宇都宮市や 日光市、那須町などの 全国的に知名度のある 観光地から 30

観光マップ ○都道府県・市区町村への外国人の滞在状況を、月別に、

木カーネルと SVM を用いる手法と,部分木を素性とし,それを弱学習器とする boosting テキスト分類アルゴ リズムである

「European Green Capital(欧州グリーン首都)を表彰 する制度を 2010 年からスタートさせた.こうした EU な

○A 大学:ホスピタリティを含む数多くの観光系科 目を履修している 2∼4 年生 ○B

た場合の分析対象 Tweet 数が,日本語名で検索した場合の 分析対象

落で、周辺には水田が広がっている。寺社が多く立地