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研究開発投資の経済的・社会的波及効果の

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(1)

NISTEP NOTE(政策のための科学) No.4

研究開発投資の経済的・社会的波及効果の 測定に関する主な研究論文の抄録集

2013

3

文部科学省 科学技術政策研究所

SciSIP

(2)

NISTEP NOTE(政策のための科学)は、科学技術イノベーション政策における「政策のための科 学」に関する調査研究やデータ・情報基盤の構築等の過程で得られた結果やデータ等について、

速報として関係者に広く情報提供するために取りまとめた資料です。

NISTEP NOTE(Science of Science Technology and Innovation Policy) No.4

Summaries of Selected Research Materials on Measurements of Economic and Social Impacts of

Research and Development Investments March 2013

SciSIP Research Unit

National Institute of Science and Technology Policy (NISTEP) Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology (MEXT)

Japan

本資料は、株式会社三菱総合研究所への2011年度の委託により得られた結果を、科学技術 政策研究所が取りまとめたものです。

本資料の引用を行う際には、出典を明記願います。

(3)

研究開発投資の経済的・社会的波及効果分析の測定に関する主な研究論文の抄録

文部科学省 科学技術政策研究所 SciSIP 要旨

本報告書は、研究開発投資の経済的・社会的波及効果の測定のための手法などについての研 究のうち、2000年以降に公表された学術論文等の中から関連する主要なキーワードを用い選択及 び抄録を作成したもので、この研究領域における最近の研究動向の把握を目的としたものである。

Summaries of Selected Research Materials on Measurements of Economic and Social Impacts of Research and Development Investments

SciSIP Research Unit, National Institute of Science and Technology Policy (NISTEP), MEXT

ABSTRACT

This Note aims to obtain an overview of the current trend of studies on the measurements of economic and social impacts of research and development investments. Research materials were obtained using keywords related to the research areas since the year 2000.

(4)
(5)

目次

研究開発投資の経済的・社会的波及効果の測定に関する主な研究論文の抄録集 ... 1

1.概要 ... 1

2.研究開発投資の経済的波及効果の測定に関する研究論文(和文) ... 3

(1) 日本特許におけるIPCの分類毎のサイエンスリンケージの計測 ... 3

(2) 「技術の寿命は縮まっているか?」 ... 4

(3) 技術寿命の短期化と財務構造へ与える影響... 5

(4) 研究開発の循環性、収益性の検討 設備投資との比較を中心に ... 5

(5) R&Dのスピルオーバー効果分析 ‐日本のハイテク産業における実証 ... 7

(6) R&Dの資本化について... 8

(7) 産業技術政策をめぐる現状と課題 ‐ 企業の研究開発活動を中心に ‐ ... 10

(8) 電気機器産業における特許の利用状況と企業パフォーマンスの関係性についての実証 研究 ... 10

(9) NEDO研究開発プロジェクトの社会・経済等への効果の定量的把握手法に関する調査 ... 11

(10) 公的資金による研究開発プロジェクトの費用便益分析手法に関する研究:公的研究開 発投資による製品の価格低減効果についての検討... 13

(11) 公的資金による研究開発プロジェクトの費用便益分析手法に関する研究:公的研究開 発投資による経済的・社会的便益の分析 ... 14

(12) 特許の価値と陳腐化率 ... 15

(13) 特許評価手法... 16

(14) 無形資産の計測と経済効果 マクロ・産業・企業レベルでの分析 ... 17

3. 研究開発投資の経済的波及効果の測定に関する研究論文(欧文) ... 20

(15) Measuring up Research & Development Counts for the Chemical Industry .. 20

(16) Publicly Funded Science and the Productivity of the Pharmaceutical Industry ... 22

(17) Measuring the economic benefits from R&D: improvements in the MMI model of the United Kingdom National Measurement System ... 23

(18) Federal R&D in the Antiterrorist Era ... 25

(6)

(19) MEASURE FOR MEASURE; CHEMICAL R&D POWERS THE U.S.

INNOVATION ENGINE ... 26 (20) U.S. R&D and Japanese Medium Term Cycles ... 28 (21) Opportunities for Improving the Drug Development Process: Results from

a Survey of Industry and the FDA ... 29 (22) The Internationalisation of Business R&D ... 31 (23) Inovations, Research and Development in European Union: Impact on

Regional Economy ... 32 (24) Measuring the Price of Research and Development Output... 34 (25) Economic and Social Returns on Investment in Open Archiving Publicly

Funded Research Outputs ... 34 (26) The effect of participation in government consortia on the R&D productivity of firms: a case study of robot technology in Japan ... 36 (27) A compared R&D-based and patent-based cross impact analysis for identifying relationships between technologies ... 37 4. 研究開発投資の社会的波及効果に係る研究(欧文のみ) ... 38 (28) The Effect of R&D Intensity on Corporate Social Responsibility ... 38 (29) Assessing Innovations in International Research and Development Practice 38

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1

研究開発投資の経済的・社会的波及効果の測定に関する主な研究論文の抄録集

1.概要

本稿は、「科学技術イノベーション政策における政策のための科学」に関する調査研究である

「研究開発投資の経済的・社会的波及効果を測定についての海外動に関する調査」として、2011 年度の株式会社三菱総合研究所への委託事業により得られた結果の一部を取りまとめたものであ る。研究開発投資の経済的・社会的波及効果の測定に関連する 2000 年以降に公表された研究 論文の検索の実施、該当した論文の内容の調査により、この研究領域における最近の研究動向の 把握を行ったものである。なお、論文検索のキーワードは、「研究開発投資」、「経済的波及効果」、

「社会的波及効果」、「陳腐化率」、「タイムラグ」、「マクロ経済モデル」を用い、研究論文129 編(和 14編・欧文15編)が選ばれた(表1及び表2)。

1 研究開発投資の経済的波及効果の測定手法に関する主な研究論文(和文)

論文の表題

(1) 「日本特許における IPC の分類毎のサイエンスリンケージの計測(2004)」(玉田俊平太、内藤裕 介、玄場公規、児玉文雄、鈴木潤、後藤晃)

(2) 「技術の寿命は縮まっているか?(2004)」(蜂谷義昭)

(3) 「技術寿命の短期化と財務構造へ与える影響(2005)」(蜂谷義昭)

(4) 「研究開発の循環性、収益性の検討 -設備投資との比較を中心に-2005)」(蜂谷義昭)

(5) R&Dのスピルオーバー効果分析 -日本のハイテク産業における実証-(2005)」(冨田秀昭)

(6) R&Dの資本化について(2006)」(川崎泰史)

(7) 「産業技術政策をめぐる現状と課題-企業の研究開発活動を中心に-(2006)」(経済産業省産 業技術環境局)

(8) 「電気機器産業における特許の利用状況と企業パフォーマンスの関係性についての実証研究

2007)」(西口泰夫、松宮毅)

(9) NEDO 研究開発プロジェクトの社会・経済等への効果の定量的把握手法に関する調査

2008)」(NEDO、株式会社テクノリサーチ研究所)

(10) 「公的資金による研究開発プロジェクトの費用便益分析手法に関する研究(1):公的研究開発投

資による製品の価格低減効果についての検討(2008)」(幸本和明、吉田准一、岸岡三春)

(11) 「公的資金による研究開発プロジェクトの費用便益分析手法に関する研究(2):公的研究開発投

資による経済的・社会的便益の分析(2008)」(幸本和明、吉田准一、岸岡三春)

(12) 「特許の価値と陳腐化率(2010)」(中西泰夫、山田節夫)

(13) 「特許評価手法(2008)」(大津山秀樹)

(14) 「無形資産の計測と経済効果 - マクロ・産業・企業レベルでの分析 -(2010 年)」(宮川努(経 済産業研究所)、金 榮愨(専修大学))

1 研究開発投資による社会的波及効果に関する論文のうち、調査資料No. 219で取り上げた学術論文 については、同調査資料に収集しその内容を整理しているため、本Noteでは調査対象外とした。

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2

2 研究開発投資の経済的・社会的波及効果の測定手法に関する主な論文(欧文)

論文の表題

研究開発投資の経済的波及効果の測定手法に関する主な論文

(15) MEASURING UP RESEARCH & DEVELOPMENT COUNTS FOR THE CHEMICAL INDUSTRY 2001)」(The Council for Chemical Research

(16) Publicly Funded Science and the Productivity of the Pharmaceutical Industry (2001) (17) Measuring the economic benefits from R&D: improvements in the MMI model of the

United Kingdom National Measurement System (2003)(Steven Bowns, Ian Bradley , Paula Knee, Fiona Williams , Geoffrey Williams)

(18) Federal R&D in the Antiterrorist Era (2003)」(Roger G. Noll, Stanford University (19) MEASURE FOR MEASURE; CHEMICAL R&D POWERS THE U.S. INNOVATION

ENGINE2005)」(The Council for Chemical Research

(20) U.S. R&D and Japanese Medium Term Cycles 2006)」(R. Anton Braun、岡田 敏裕、

須藤 直)

(21) Opportunities for Improving the Drug Development Process: Results from a Survey of Industry and the FDA (2006)」(Ernst R. Berndt, Ph.D., Massachusetts Institute of Technology and NBER Adrian H. B. Gottschalk, M.B.A., S.M., Biogen Idec Matthew W. Strobeck, Ph.D., Westfield Capital

(22) The Internationalisation of Business R&D2008)」(OECD

(23) Innovations, Research and Development in European Union: Impact on Regional Economy2009)」(Ignas DZEMYDA,Borisas MELNIKAS

(24) Measuring the Price of Research and Development Output(2009)」(Adam Copleand, Dennis Fixler

(25) Economic and Social Returns on Investment in Open Archiving Publicly Funded Research Outputs2010)」(John HoughtonBruce Rasmussen and Peter Sheehan (26) The effect of participation in government consortia on the R&D productivity of firms: a

case study of robot technology in Japan(2010)」(Sebastien Lechevalier, Yukio Ikeda, and Junichi Nishimura

(27) A compared R&D-based and patent-based cross impact analysis for identifying relationships between technologies (2010)」(Dirk Thorleuchter, Dirk Van den Poel, Anita Prinzie

研究開発投資の社会的波及効果の測定手法に関する主な論文

(28) The Effect of R&D Intensity on Corporate Social Responsibility2010)」(Robert C.

Padgett and Jose I. Galan

(29) Assessing Innovations in International Research and Development Practice2010)」

Laxmi Prasad Pant

(9)

3

2.研究開発投資の経済的波及効果の測定に関する研究論文(和文)

(1) 日本特許におけるIPCの分類毎のサイエンスリンケージの計測

玉田 俊平太、内藤 裕介、玄場 公規、児玉 文雄、鈴木 潤、後藤 RIETI Discussion Paper Series 04-E-034 (2004)

(a) 目的

本研究は、国内の特許考案者に参照された既知の論文をノイズの少ない形で計測することによ り、技術変化に対し科学がどう影響しているかを明らかにする。

(b) 手法

バイオテクノロジー、ナノテクノロジー、IT、環境関連技術の4分野(第二次科学技術基本計画 における基本計画)を対象とし、1993年から200110月までの特許公報と公開公報をもとにデ ータベースを構築した。具体的には、各分野300件のサンプルを無作為に抽出し、平均論文引用 数に基づき特許技術と科学の関連性について分析を行った。また、特許本文中の引用論文につ いては、プログラムを用いて自動抽出を行った。

(c) 結論

分析の結果、特許技術の科学との連関性の強さを表すサイエンスリンケージ指標(論文等被特 許引用文献数)が、国際特許分類(IPC)の分野ごとに大きく異なり、新技術の創造プロセスが技術 分野ごとに異なっている。

(d) 概要

1995年から1999年の特許公報で広報された約65万件の特許のうち、600カテゴリーの技術 分野に含まれるものについて分析を行った。この結果、平均引用論分数が多かった特許のサブク ラス2のうち、上位10位の6つのサブクラスが、欧州の上位10位にもランクしており、日本と欧州で パターンが類似していることがわかった。このことから、科学と技術の関係はその技術がどこで生ま れたかで異なるのではなく、技術のサブクラスターごとに科学知識への依存に差があることがわか った。

また、分野別の傾向を見ると、「バイオテクノロジー」が高い傾向にあるが、その他に、「IT関連」、

「物理学」のセクション のサイエンスリンケージも比較的高いことがわかった。「物理学」のセクション に該当するサブクラスのうち、上位に入ったサブクラスは、「G03C写真用感光材料(5位)」、

G09C暗号または暗号化または暗号解読装置(11位)」、「G06E光学的計算装置(18位)」、

2 特許公報では各特許を、国際特許分類に基づきそれぞれ一つの技術分野に分類している。国際特 許分類ではすべての技術部門が 8 セクションに分かれ、セクションはさらに細分化される。具体的に は、セクションはクラスに、クラスはサブクラスに分類される。

(10)

4

「G10L音声の分析または合成(19位)」などであった。

(2) 「技術の寿命は縮まっているか?」

蜂谷 義昭: 今月のトピックス No.72 日本政策投資銀行 2004 (a) 目的

本研究は、日本国内の製品寿命年数の動向、特許の残存率曲線を分析した上で技術寿命の 短命化の動向を把握する目的で実施された。

(b) 手法

民間企業に製品寿命に関するアンケートを実施し現状を把握する。Bosworth1978)の手法に より、特許の残存率曲線を用いて陳腐化率を推計し、技術の寿命が縮まっているか否かを定量的 に把握した。

(c) 結論

民間企業に対するアンケート結果によると、収益期間(製品寿命)・製品ライフサイクル数はとも に減少傾向にあることがわかった。つまり、製品に体化されている技術の寿命短期化が示唆され た。

また、特許の残存率曲線の調査に基づく分析では、特許権の消滅ペースに加速が見られ、技 術の陳腐化が進んでいることが示唆された。実際、陳腐化率を推計した結果、陳腐化率は徐々に 上昇傾向にあることがわかった。更に、陳腐化率上昇の原因は特定の技術に限らず、個々の技術 の陳腐化が広く進行してきたことに依ると考えられ、陳腐化率から技術寿命を算出すると80年代 後半に10年を下回りその後も短命化が続いているとの結果が得られた。

以上のように、特許データに基づく定量的なアプローチからも、近年技術の寿命が縮まっている 可能性が高いことが裏付けられた。これは、企業にとって技術開発に関する迅速な意思決定や技 術の有効活用などの重要性が一層高まっていることが示唆された。

(d) 概要

民間企業に対して製品寿命に関するアンケートを実施した結果、製品に体化されている技術の 寿命の短命化が示唆された。

1980年代、陳腐化率は上昇傾向にあった。また、特許の残存率曲線は、1968年から1990 代にかけて徐々に特許の消滅ペースが速まっており、技術の陳腐化している。また、陳腐化率から 技術寿命を算出すると80年代後半には10年を下回りその後も短命化していると考えられる。

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5 (3) 技術寿命の短期化と財務構造へ与える影響

蜂谷 義昭: 調査 No.78 日本政策投資銀行 (2005)

(a) 目的

本研究は、マクロデータを用いた定量分析により、技術寿命の短命化とそれが企業の財務構造 へ及ぼす影響に関する事実検証を行うことを目的に実施された。

(b) 手法

先行研究3で実施されたアンケート調査において確認された「製品・技術の寿命(ライフサイクル) の短期化の可能性」を客観的に裏付けるために、特許データを用いて数値的分析を行った。

(c) 結論

特許データを分析した結果、技術の陳腐化率が年々上昇傾向にあることが判明した。陳腐化率 から計算される技術の平均寿命は、1980年代後半に10年を下回り、その後も「短命化」が進み、

近年では研究開発費は設備投資額を上回る水準まで上昇している。

(d) 詳細

先行研究 のアンケート調査から、技術の寿命が短期化していることが示唆されたが、これに伴い 技術の陳腐化率が上昇した結果、企業は、技術水準の維持と競争力確保のために多大な研究開 発費を投入するようになったことがわかった。近年では、製造業における研究開発費が、設備投資 を上回るほどにまで拡大した。

研究開発費のうち、陳腐化分を賄うための維持更新に相当する部分を業績に関係なく支出しな ければならない部分を固定費と捉えると、陳腐化率の上昇に伴い、研究開発費の固定費化が進み、

損益分岐点の上昇圧力となっていることが推察できる。

また、研究開発費が企業の財務構造に与える影響を定量的に把握するため、製造業14業種の パネルデータ(1980年度~2002年度)を用いて分析した。この結果、研究開発費比率(研究開発 /売上高)と負債比率(負債/総資産)には負の相関があり、技術寿命の短期化に伴う研究開発費 は負債による資金調達を困難にさせる可能性があることがわかった。

(4) 研究開発の循環性、収益性の検討 設備投資との比較を中心に 蜂谷 義昭: 調査 No.81 日本政策投資銀行 (2005)

(a) 目的

本研究は、研究開発の循環性、収益性を審議するための定量的な計測手法を分析することを

3 (2) 「技術の寿命は縮まっているか?」

(12)

6 目的に実施された。

(b) 手法

研究開発で得られる技術知識ストックの推移と景気循環との相関について検証を行った。また、

技術知識循環の特徴を調査し、技術知識ストックの収益率を推計した。

(c) 結論

日本の技術知識ストックは、累積では生産量増加を上回るペースで蓄積が進んでいるが、技術 陳腐の加速により、結果として伸びは鈍化していることがわかった。技術知識ストックは、資本ストッ クと同様、経済成長率の鈍化に対応した動きをし、資本ストックが減少する景気循環では、技術知 識ストックも減少する傾向にあることがわかった。

技術知識循環は、15年と6年の周期の波が強く検出されたが、技術の陳腐化率が早まり「更新 投資」の周期が短くなっていることから、周期は短期化している可能性があると推測された。

また、マクロ生産関数から技術知識ストックの収益率を推計すると、90年代以降収益率は低下 傾向にあることがわかった。

(d) 詳細

日本の実質技術知識ストックを算出したところ、実施技術知識ストックは、累計で蓄積が進んだ が、技術の陳腐化の加速化に伴い、結果的には知識ストックの伸びは鈍化しているとの結果が得 られた。

また、技術知識ストックについて、景気循環に対応した循環的な動きが観察された。技術知識ス トックの循環構造は、「前年度純フロー4/前年末ストック比」が減少する傾向が続き、近年左方へ シフトしている。 これは、期待成長率の減少に伴い、純フローの減少が、知識ストックの減少よりも 上回っている状態であり、技術知識ストック循環が経済成長率の鈍化に対応した動きを示している ことがわかった。

技術知識循環は、15年と6年の周期の波が強く検出され、これは設備投資でみられる長期の周 期とほぼ同程度であった。また、対象期間を前半(197080年代半ば)・後半(1980年代後半以 降)に分けて周期性を調べると、前半は15年周期が、後半は6年周期が強いことがわかった。この 結果から、技術知識循環の周期は短期化している可能性が示唆され、この原因として技術の陳腐 化率が早まり、「更新投資」の周期が短くなっていることが推測された。

マクロ生産関数から技術知識ストックの収益率を推定すると、1990年代以降、技術知識収益率 は低下傾向にあることがわかった。技術知識コストを計測すると、資本コストとは対照的に一貫して 上昇傾向を示し、技術知識コストに対する収益環境は悪化していることがわかった。

4 当期に生み出される技術知識

(13)

7

(5) R&Dのスピルオーバー効果分析 ‐日本のハイテク産業における実証

冨田 秀昭: 経済経営研究 vol.26 (2) (2005) (a) 目的

本研究は、公共財的な技術知識が自社の生産性向上に寄与するとされるいわゆるスピルオー バー効果について、研究開発投資を活発に行っている日本のハイテク 5 産業(化学,一般機械,

電気機械,輸送用機械,精密機械)の349社を対象に検証を行うことを目的に実施された。

(b) 手法

個別企業の特許データを用いて各社間の技術距離を算出した。次に、別途作成した技術知識 ストックにより、スピルオーバープール(各社のスピルオーバー効果の源泉)を構築し、このスピルオ ーバープールが企業の生産性に及ぼす効果を推定した。

(c) 結論

1 に、公共財的な技術知識のスピルオーバー効果は、概ね有意な生産性向上効果があると する仮説は確認されたが、医薬分野では有意な効果は観察されなかった。

2 に、企業は技術距離の近い同一技術クラスター内の他企業から、新製品開発やコストダウ ン生産性向上のために真に有用な技術知識、情報を得ているという仮説を検証した。その結果、

自社の技術分野以外のプールを導入したケースでも、自社技術クラスターのプールによるスピル オーバー効果の推計結果と優位な差異がないという結果を得た。これは、産業間(技術間)スピル オーバー効果によるものと考えられた。

(d) 概要

技術距離とスピルオーバープールの作成

Jaffe(1986) 技術距離の概念を用いて、スピルオーバープールが定義される。これによると、

個々の企業に固有な技術ポジションは、研究開発費の分野別配分比率ベクトルによって表現され る。また、各企業間の技術距離は、技術ポジションを表すベクトルの内積を用いて表現され、企業 間の技術距離(2つのベクトルの角度)が類似するに従い、この値は1に近付くことになる。これに 基づいて分析を行った。

R&D資本ストックの推計

技術知識ストックを求めるにあたり、研究開発投資ラグ(懐妊期間)と技術知識の陳腐化率を次 のとおりに設定した。

(研究開発投資ラグ)

サンプル企業の知識ストック系列が安定するのに十分な期間の開発フローデータが確保で

(14)

8 きないため、一律1年の平均ラグを想定する。

(陳腐化率)

技術の平均的寿命(特許収入期間)の逆数とする。

陳腐化率を求める手法として、上記以外の手法として「特許の残存件数データにより年々の消 滅率を求め、陳腐化率とする手法(Bosworth1978)」の採用についても検討を行った。保有特許 の多い企業では、特許の更新の際の見直しコストが膨大となるために、特許料を支払っても保有し 続ける傾向にあることから、この手法では特許残存件数による陳腐化率の推計が、実態よりも過小 推計になる可能性がある。このため、前述の手法を用いて陳腐化率の推計を行った。データは 1985年に科学技術庁によって行われた「民間企業の研究活動に関する調査」(科学技術庁編「科 学技術白書 昭和60 年版」所収)によるデータを用いて推計を行った。

陳腐化率の推計結果

技術知識ストックの陳腐化率を業種別に見ると、精密機械工業(24.6%)、通信・電子・電気計測

工業(14.5%)の陳腐化率が他業種に比べ高い結果となった。

スピルオーバー効果の実証分析

スピルオーバー効果に関して、次の2つの仮説を設定し、その検証を行った。

(仮説1

ある企業の生産性上昇には、他社から得られる公共財的な技術知識、情報がスピルオー バーとしてプラスに寄与する

(仮説2

各企業にとって、新製品開発やコストダウン等を行い、生産性を高めるために真に有用な 技術知識、情報は技術居地が近い同一技術クラスター内の企業から得ることができる

具体的には、生産関数を設定し定量的に検証を行った。なお、仮説2の検証に当たっては、3 種類のスピルオーバープール(同一技術クラスター、他の技術クラスター、双方を合わせたクラスタ ー全体)を想定し、それぞれに設定した変数を用いて生産関数を推定した。

(6) R&Dの資本化について

川崎 泰史: New ESRI Working Paper Series No. 1 (2006) (a) 目的

本研究は、研究開発費(R&D)の資本化に係る国際的な議論の動向とアメリカの試算を紹介す るともに、日本に適用した場合に GDP にどの程度の影響があるかについて暫定的な試算を紹介 することを目的に実施された。

(15)

9 (b) 手法

本研究実施時点は、SNA(国民経済計算) で消費的支出(産業部門は中間消費、政府・非営 利は最終消費)として扱われている R&D を資本支出へと変更することの議論が活発化していた。

この趨勢を踏まえ、米国商務省経済分析局(BEA)が2005年に公式のプレスリリースとして公表し た「RD サテライト勘定(第一次試算)」について概説し、ストック系列作成についての仮定や

R&D資本化によるGDPへの影響などについて整理した。

また、総務省統計局が実施している「科学技術研究調査(SRD)」をベースとし、科学技術研究 調査(SRD)をSNAの体系に組み込む手法やR&Dストックの推計手法、GDPへの影響につい て検討を行い、日本への適用に関する調査、分析を行った。

(c) 概要

SNAに沿ったR&Dの計数の作成

当時、国際標準となっている「フラスカティ・マニュアル(FM)」を基に、R&DデータをSNAの推 計の出発点とすることで議論が進められた。FMSNAには部門分類や概念については、幾つか の相違があることから、FMベースのR&DデータをSNA体系と整合的なデータに組み替えていく ことが第一段階の課題となった。

SNAにおける資本ストックは、投資の長期時系列データから恒久棚卸法(PIM)を用いて推計 するのが一般的になる。PIMを適用するためには、FMから作成された名目値のR&D投資を実 質値に変換するとともに、懐妊期間や資本減耗(陳腐化)のパターンを設定する必要があった。

前述の手続きを経てR&Dを資本支出に変更することにより、民間部門では、支出面において 中間投入の扱いとなっている企業内研究開発が投資に振り替わるため、その分GDPが増加する こととなった。また、政府・非営利では支出面の影響は無いが、R&D資本の減耗分だけ求められ 生産額が増加し、この分だけ最終消費が増加してGDPが膨らむこととなった。

各国のR&Dサテライト勘定の主要な仮定

米国商務省経済分析局(BEA)は、企業内の R&D の生産額をコストの積み上げにより求めるが、

その際に資本コストには資本減耗分しか計上しないこととしていた。これに対し、他国では機会費 用として営業余剰も帰属計算で推計し計上していた。

また、各国におけるR&D投資のストックに係る想定値は、懐妊期間が02年、平均耐用年数が 5年~13.3年、資本減耗率が10%~25%と幅があった。GDPの水準に対するインパクトは、最も 小さいカナダで1.2%増、最も大きいイスラエルで3%増であった。

日本への適用について

日本の総務省統計局が実施している「科学技術研究調査(SRD)」は、概ねFMに沿った内容と なっていたことから、SRDを用いてR&Dの資本化を行った場合にマクロ的に与える影響の試算を

(16)

10

行った。具体的には、デフレータや資本減耗率を変化させた3つのシナリオを設定し計算した。こ の結果、GDPへの影響(2.93.0%)については、諸外国の計算事例の中では多い方に属するこ とがわかった。また、資本減耗率を変更したシナリオ2ではR&D資本ストックが他シナリオを大幅 に上回っており、政府・非営利の資本サービスを機会費用で計算するようになると資本ストック面の 相違がGDPへの影響を増幅することがわかった。

(7) 産業技術政策をめぐる現状と課題 企業の研究開発活動を中心に

産業構造審議会産業技術分科会第10回配布資料(経済産業省 産業技術環境局) (2006) (a) 目的

企業の研究開発活動の現状と環境変化とイノベーションをめぐる環境変化を整理することを目 的にとりまとめられた。既存の統計・先行研究の結果をもとに、企業の研究開発活動の変化を整理 するとともに、今後の支援の課題について整理が行われた。

(b) 概要

研究開発と営業利益との関係

本資料では、研究開発の効果が5年後に営業利益につながると仮定した場合、日本の製造業 の研究開発の生産性の推移を見ると、1980年代以降一貫して低下傾向にあり、2002年には研究 開発投資と営業利益の比率が11程度にまで低減したことを指摘した。

また、総売上高に対する営業利益、R&D投資の比率(2004年度)を産業別に見ると、電気機 械工業と自動車工業は、他と比較し営業利益率は低いものの、R&D 投資率は高い傾向にあった。

他方、鉄鋼業は、R&D投資率は低いものの、高収益であることがわかった。

R&Dと企業財務との関係

本資料では、製品ライフサイクルの短期化が陳腐化率を高め、研究開発固定費の増加が損益 分益点の上昇圧力となる可能性を指摘した。また、このことが、研究開発費の増加を招き、企業の 負債による資金調達を難しくさせる可能性があることが占めされた。

(8) 電気機器産業における特許の利用状況と企業パフォーマンスの関係性についての実証研究 西口 泰夫、松宮 毅: ITECWorking Paper 07-27 (2007)

(a) 目的

電気機器産業における研究開発成果の事業への貢献度を特許の活用度と見なし、登録特許の 消滅率と企業パフォーマンスの関係性について明らかにすること。

(17)

11 (b) 手法

東証に上場している企業のうち、電気機器の分類に属する企業で売上高上位10位までの企業 を対象に分析を行った。 具体的には、被説明変数として「過去5年間の営業利益率移動平均値」、

説明変数として最小二乗法推定を行った。

(c) 結論

1990年から1997年の期間における電気機器産業を代表する企業群の特許活用度と営業利益 率の関係性をパネルデータ分析した結果、登録された特許が 5 年以内で消滅する割合が高いほ ど、5年間営業利益率移動平均が低くなっていることが明らかとなった。

(d) 概要

国内を代表する電気機器メーカーの営業利益と特許の関係性を対象に行った。具体的には、

電気機器メーカーの「5 年間営業利益率移動平均」を被説明変数とする最小二乗法推定を行った。

また、「国内を代表する電気機器メーカー」として、東証上場している企業のうち、電気機器の分類 に属する企業で売上高上位10位までの企業を選定し分析対象とした。

最小二乗法推定を行った結果、登録特許消滅率は1%以下で有意となり、営業利益率に対して マイナスの影響を与えることが明らかとなった。

(9) NEDO研究開発プロジェクトの社会・経済等への効果の定量的把握手法に関する調査

NEDO「追跡調査・評価」分科会資料:独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、

株式会社 テクノリサーチ研究所) (2008) (a) 目的

本研究は、太陽光発電(PV)を例に、NEDOプロジェクトの経済的・社会的効果の定量的把握 手法について検討を行なうことを目的に実施された。

(b) 手法

、初めに技術知識ストックを算定し、次に知識ストックとPV価格との関連の推定を行い、最後に 消費者便益を算出した。

(c) 結論

費用便益分析の結果、NEDO太陽光発電プロジェクトの純便益は2570億円と推定された。

(18)

12 (d) 詳細

知識ストックの算定

技術知識ストックの推計のため、NEDO プロジェクト、民間研究開発ともに、陳腐化率は 10.3% タイムラグは2年と設定した。

知識ストックとPV価格との関連の推定

最小二乗法推定を用いて知識ストックと PV 価格の関係をモデル化した。具体的には、NEDO プロジェクトを実施した場合のPV 単価は、知識ストック及びPV生産量に各年の実績値を代入し て求めた。他方、NEDOプロジェクトを実施しなかった場合のPV単価は、TS(NEDO)1983年時 点から増加せず、かつPV生産量も増加しないと仮定した。

住宅用太陽光発電システムの発電単価の推定

推計したPV単価から、住宅用太陽光発電システムの発電単価を推定した。発電単価を推定す る理由は、設置単価よりも発電単価の方が実際の効用に近いと考えられたためである。具体的に は、次の式により推計を行った。

発電単価= 設備単価×年経費率/年間発電電力量 年経費率= r / (1-(1+r)-n) (r : 利子率、n=運転年数)

年間発電電力量(kWh) = 発電出力(kW×1kW当たり年間発電電力量

便益の算出

世帯当たりの発電電力量を目的変数、発電単価等を説明変数とした需要曲線を推定した。この 需要曲線に基づき消費者余剰を算出し、これを消費者便益として推計を行った。この結果、

NEDOプロジェクトの実施により2029年までに発生する消費者余剰は7,168億円と推計された。

また、この消費者余剰と、別途推計を行ったCO2排出量削減効果(182億円)を合わせた効果

全体(7,350億円)と、NEDOプロジェクトに係る費用(19832005年)を用いて費用便益分析を

行った5。この結果、2,700億円の費用に対し、5,270億円の便益が発生し、2,570億円の純便益 が発生する見通しであるとの結果が得られた。

5 基準年は、2005年。現在価値化するための割引率は4%と設定。

(19)

13

(10) 公的資金による研究開発プロジェクトの費用便益分析手法に関する研究:公的研究開発投

資による製品の価格低減効果についての検討

幸本 和明、吉田 准一、岸岡 三春:第23回研究・技術計画学会年次学術大会講演要旨集, (2008), pp. 714-717

目的

本研究は、公的研究開発投資による製品の価格低減効果を分析することを目的に実施された。

手法

NEDOが設立当初より継続してきた太陽光発電の研究開発プロジェクトを例に調査した。太陽 電池(PV)単価、及びシステム発電単価とNEDO及び民間企業の研究開発予算額との相関を分 析した。単価の算出においては、太陽電池(PV)の生産量、技術知識ストックの関係を統計モデル によって推計している。技術知識ストックの算出においては技術陳腐化率やタイムラグを考慮した。

結論

NEDOプロジェクトが実施されなかったと仮定した条件下(非実施仮説)での単価を算出し、

NEDOプロジェクトによりもたらされた価格低減効果の把握を試みた結果、NEDOプロジェクト非 実施仮説下における価格シミュレーション結果が実際の単価を上回ったことから、NEDOの研究 開発プロジェクトが価格低減に寄与したことが示唆された。

(d) 概要

分析手法

NEDO及び民間企業の研究開発費から、太陽電池(PV)単価及び太陽光発電システムの発電 単価を算出するモデルを構築した。

まず、このモデルにおける「技術知識ストック」は、「研究開発予算が一定のタイムラグをもって付 加価値を生み出すような技術知識として結実し、その後時間経過に伴いある割合で陳腐化するも の」とし、その量の推定を行った。次に、NEDOプロジェクトによる技術知識ストック、民間企業の研 究による技術知識ストック、PVの生産量の3つを説明変数とし、PV単価を目的変数とした重回帰 分析を行い、技術知識ストックとPV単価との相関を分析した。

以上により研究開発費から単価を算出するモデルが構築され、これを用いてNEDOプロジェク トの実施、非実施によって単価が受ける影響を分析することにより、プロジェクトによる価格低減効 果を測定した。

技術知識ストックの算出

技術知識ストックの算出に当たり、NEDO プロジェクトによる研究開発及び民間による研究開発 のいずれもについて、陳腐化率は10.3%、タイムラグは2年と設定した。

(20)

14

太陽光発電単価(PV単価)のシミュレーション

統計から得たPV生産量及び推定した技術知識ストックを用いて回帰分析を行った。

プロジェクトによる効果の推定

PV単価推定モデルを用い、83年以降のPV生産量が固定と仮定した上で、NEDOプロジェク トの実施、非実施によってPV単価が受ける影響を分析した。この結果、NEDOプロジェクト非実 施仮説下ではシミュレーション結果が実際の単価を上回って推移しており、プロジェクトがPV単価 の低減に寄与したことを示唆した。

(11) 公的資金による研究開発プロジェクトの費用便益分析手法に関する研究:公的研究開発投

資による経済的・社会的便益の分析

幸本 和明、吉田 准一、岸岡 三春, 23回研究・技術計画学会年次学術大会講演要旨集, (2008), pp. 718-721.

目的

NEDO が過去に実施した太陽光発電に関する研究開発プロジェクトの実施、非実施の発電単 価の変化からプロジェクトの経済的・社会的効果を算定する手法を検討する。また、プロジェクトの 研究開発費を費用、経済的・社会的効果を便益として費用便益分析を試みること。

手法

太陽光発電の発電単価と発電量の関係から需要曲線を推定する。次に、プロジェクトの実施の 有無それぞれについて、消費者余剰とCO2 削減効果を算定する。この両ケースの差をプロジェク トの社会的・経済的効果とし便益とした。

需要曲線は、発電電力量と発電単価から最小二乗法及び操作変数法により回帰式の係数を推 定した。

プロジェクトの効果の推定については、1983 年~2005年までの太陽光発電システム設置実績 2006 年~2010 年の同推計値を用いた。上で推定した需要曲線から消費者余剰を算定する関 数を導出し、実施・非実施について消費者余剰を算出し、その差をプロジェクトによる消費者余剰 とした。

結論

CO2 排出削減効果については各年の発電単価と需要曲線から各年の発電電力量を算定し、

CO2排出削減原単位を乗じることでCO2排出削減量を算出した。そして、これにCO2排出権取 引価格を乗じることで、CO2排出削減効果を算定し、実施・非実施ケースの差をプロジェクトによる CO2排出削減効果とした。

その結果、NPV2570億円となり投資額よりも経済的・社会的効果の方が大きくなることがわか

(21)

15 った。

概要

消費者余剰分析は次のように行われた。

1983から2010年までの全年について需要曲線に基づき、価格差と発電電力量から 消費者余剰を算定。

当該システムは耐用年数である20年間稼働し、継続的に設置年と同額の消費者余剰 を生みだすとする。

システムの当該設置年における消費者余剰は1983年から当該設置年までの消費者 余剰の和とした。

ある年における消費者余剰は異なった年に設置されたシステムが生み出す消費者余 剰の和とした。

基準年を 2005年と設定し、経済的・社会的効果のアディショナリティを便益として算定したところ、

この値は2570億円となり、消費者余剰およびCO2排出削減効果の方が研究開発投資額よりも大 きくなることがわかった。

しかしながら、便益には消費者余剰およびCO2排出削減効果を便益の対象として分析をしたが、

生産者余剰や石油代替効果等を今後便益として検討する必要がある。他産業への経済的・社会 的効果の波及についても検討する必要がある。

また、2011 年以降の将来の便益推定手法の検討も必要であり、技術の導入シナリオを設定し、

マクロ経済動向の見通しを加味し、消費者余剰等を推定する手法の開発や、性能向上に伴う製品 がもたらす消費者余剰の算定手法についても検討が必要である。

(12) 特許の価値と陳腐化率

中西 泰夫、山田 節夫:社会科學研究, (2010), vol.61(2), pp. 79-96 (a) 目的

本研究は、産業別の特許の価値を定量的に求めること。

(b) 手法

特許の陳腐化率と初期の価値を推定して得ることにより、各時点の特許の価値を定量的に求め た。このためには、特許の価値が特許の更新コストより大きいかどうかを分析する必要があることか ら、更新コストを的確に捉える手法として、更新確率、維持年金のデータを用いる ordered pofit

modelを利用した。

(22)

16 (c) 結論

推定した結果、全てのパラメータ(陳腐化率、初期の特許の価値、対数正規分布)について有意 な結果を得た。特に、化学産業と医薬品産業に関しては陳腐化率が高く、初期の価値も高い値で あった。

(13) 特許評価手法

大津山 秀樹: 平成20年度特許流通講座(実務編), (2008) (a) 目的

特許評価手法について考察すること。

(b) 手法

知的財産単独の価値は、「原資産としての技術」と「権利の範囲・強み」を掛け合わせることで求 めることができる。

知的財産評価手法として特許権の価値を算出する手法があり、算出に至るには4つの段階が あると考える。1 つ目は「特許の格付け」、2 つ目は「評価パラメータの設定」、3 つ目は「特許群価 値算出」、4つ目は「特許価値算出」となる。

(c) 概要

「特許の格付け」の指標として用いるのは以下の4つ。

特許評価指標(技術移転版)[特許庁]

特許被引用数

重要特許の判別指標[(独)経済産業研究所]:発明者数、被引用特許数、引用特許数、引用 論分数の4つを変数とする。

Patent Competency Index [SBIインテクストラ(株)]:技術の広さ・深さ、外からの注目度、

自社の注目度、権利状態と各ウェイトを考慮する。

「特許パラメータの設定」としては、「評価期間」、「格付けに基づく特許の寄与度」、「ロイヤリティ ー料率」、「割引率」がある。「特許群価値算出」の中の、業種別事業価値算出では各業種別に参 照する資料がある。技術分類別の評価指標としては、「実施料率第5版」「特許流通成約事例に基 づく特許j価値評価システムの検証及び評価に関する調査」を参照する。

産業分類別の評価指標としては「特許流通成約事例に基づく特許価値評価システムの検証及 び評価に関する調査」「LES Nouvelles December2002」を参照する。業種別特許群価値算出に ついてはDCF法、RFR法により特許群の価値を算出したものを用いる。

参照

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