新 聞 に 見 る 障 害 者 に 対 す る 社 会 の 意 識
藤
田
雅
子
Social
Attitudes
Toward
Disabled
Seen
in Newspapers
Masako
Fujita
Three major newspapers ; Asahi, Mainich and Yomiuri have been surveyed from Jan. to Jun. 1989. Total of 304 articles concerning physical and mental disabilities were sampled. The articles are classified to 1 : 210 articles on disabled persons and their families, and 2: 94 on social aspects about the disabilies.
It is observed that eighty five persents of articles habe been published in morning newspapers. Each newspaper published about one third of total number of articles. There is an obvious skewness in categories of disabilities. Number of articles were dominated by physical and visual disabilities. Articles on mental retarded are small. Chronic disease, psychiatric disease and severely multi-handicap are almost neglected in newspapers. Peaple are apt to imagine wheel chair and white cane.
From the viewpoit of promotion of HUMAN RIGHT, newspapers should write the articles on the disabled. It means that newspapers should express the idea of NORMALIZATION, that is to say the integration the disabled into our society. Although the tendency that efforts of the disabled are idealized, adimired and made beautiful is still common, the essential and practical articles become to appear little by little.
This time I tried to analyze these articles in connection with the disabled's demands for newspaper by themselves, and the newspaperman's opinion about these kind of articles. Sensationalism and sentimentalism are clear . Besides, about these two Ss' expression the disabled's selves feel unpleasant and the newspaperman criticizes by himself. This result encourages me, because my hypothesis is that social attitudes toward the disabled will be reflected in newspapers. So, real "normalization and integration" must be needed and promoted.
1研 究 の 背 景 障 害 者 福祉 の 発 展 は,法 規 や 制度 そ して行 政 サ ー ビス の 充 実 に よ って 明 らか に な る が, そ の土 壤 と して 一 般 社 会 の 意識 の正 常 化 が 不 可欠 であ る. しか し一 般 社 会 の 意 識 の正 常 化,あ る い は 社 会 の理 解 とい う表 現 で は 漠然 と して い て実 態 の把 握 が 困 難 で あ る.不 特 定 多数 の 人 々 を 視 点 に 据 え るな ら,マ ス コ ミの 存 在 と影 響力 を 射程 距 離 に入 れ な いわ け に は いか な い. マ ス コ ミす な わ ち マス ・コ ミュ ニケ ー シ ョ ンを 翻 訳 すれ ば,大 衆 伝 達 とか 大衆 通 信 とい う言 葉 に な る.大 衆 に対 す る伝 達,そ して大 衆 媒 体(マ ス ・メデ ィア)に よ る伝 達 とい う 点 に特 徴 が あ る. 1940年 代か らマス コ ミは マス ・メデ ィア の 開発 に伴 な って 普 及 し,新 聞,雑 誌,ラ ジオ, テ レ ビは 日常 の生 活 に浸 透 し,マ ス ・メデ ィ ア自体 の技 術 的 進 歩 に は 目を 見 張 らせ る もの が あ る.直 接 的 に経 験 で き ない 領 域 も一 層 高 度 な マ ス ・メデ ィア を媒 体 と して大 衆 に 伝 達 され て い る が,そ の 内容 は技 術 の進 歩 に 正 比 例 して充実 した のだろ うか とい う疑 問を投 げ 掛 け な いわ け に は いか な い. マ ス ・メデ ィア が送 り出 して い る障 害 者 像 は 大 衆 に影 響 を与 え るが,マ ス ・メデ ィアを 通 過 す る際 に 必 ず 人 の手 が加 わ り,何 らか の 加工 が施 され る とい う事 実 を忘れ ては な らな い. 大 衆 は加 工 され た 結 果 を受 け 取 って い る の で あ る.こ れ は 見 る角 度 を変 えれ ば,加 工 され た 障 害 者 像 そ れ 自体 が社 会 の障 害 者 に 対 す る 意識 を 反 映 して い る とい え る. こ こでは 新 聞 とい うマ ス ・メデ ィアに 表 わ され た障 害 者 像 及 び 障 害 者 観 を 考 察す る.10 年 来 の継 続 研 究 であ る. 皿 方 法 1.使 用 記 事 選 別 の 手 順 1989年1月 か ら6月 まで半 年 間 の朝 日新 聞 (本文 ではAの 記 号 を使 用),毎 日新 聞(M), 読 売 新 聞(Y)3紙 の 朝 夕 刊(地 方 版 は東 京 版)に 掲載 され た 障 害 者及 び 関連 記 事 を全 て 切 り抜 き,そ れ を従 来 の分 類 基 準 に 従 って集 計 し,傾 向 を分 析 し考 察 を 加 え る. 2.分 析 の 観 点 特 に 今 回 は,障 害 者 報 道 に関 す る マス コ ミ 報 道 の役 割 とい う点 か ら分 析 を試 み た い. 1978年 に ユ ネ ス コ総会 で採 沢 され た 「マ ス メデ ィア宣 言」 と呼 ぼ れ る 次 の よ うな 宣 言 が あ る.「 平 和 と国 際 理 解 の強 化,人 権 の促 進, な らび に人 種 差 別 主 義,ア パ ル トヘ イ トお よ び 戦争 の扇 動 に対 抗 す る うxで の,マ ス ・メ デ ィアの 貢献 に 関す る基 本 原 則 の宣 言 」 「宣言 」 は 強制 力 を伴 なわ ない と して も, マス ・メデ ィア は人 権 の促 進 に貢 献 す る方 向 で大 衆 に作 用 しな け れ ば な らな い は ず で あ る. した が って 新 聞 とい うマ ス ・メデ ィアが,人 権,障 害 者 の 人権 を 促 進 す る のに 貢 献す る記 事 を読 者 であ る大 衆 に 送 って い るか ど うか と い う点 か ら,改 め て 記 事 を 分 析 す る必 要 性 が あ る. 現 在 の 日本 に おい て障 害 者 の人 権 の 促 進 と は,ノ ー マ ライゼ ー シ ョ ン とイ ン テ グ レー シ ョソが最 大 の課 題 で あ る.す なわ ち障 害 の種 類や 程 度 を 問 わ ず,人 間 と して 通 常 の あ る い は通 常 に近 い 生 活 を 障 害 者 に保 障 し,社 会 的 な統 合 へ と導 く方 向 で あ る. 皿 結 果 と 考 察 1.1989年 上 半 期 の 新 聞 報 道 の 傾 向 ① 新 聞 記 事 の 全 体 的 傾 向 1989年1月 か ら6月 ま で の 半 年 間 に,朝 日, 毎 日,読 売 の3新 聞 の 朝 ・夕 刊 に 掲 載 さ れ た 記 事 の 総 数 は304件 で あ る.項 目別 ・新 聞 別 の 結 果 は 表1に 示 す と お りで あ る. 内 訳 は 朝 日111件(総 数 の36.5%),毎 日100 件(32.9%),読 売93件(30.6%)で あ る.い くぶ ん 件 数 に 差 が あ る も の の,3紙 が 全 体 の お お よ そ1/3を 分 け 合 う 結 果 に な って い るが, これ ま で の 傾 向 と同 じ で あ る.総 数 の う ち 夕 刊 は15.5%で,障 害 者 関 係 の 記 事 は 圧 倒 的 に 朝 刊 に 掲 載 され る こ と が 分 か る. 304件 は 半 年 間 の 数 で あ る の で,12月 ま で 一40一
表1項 目別 ・新 聞 別 分 類(1989年1月 ∼6月) 新 聞 朝 日 毎 日 読 売 項 目 朝 刊 夕 刊 朝 刊 夕 刊 朝 刊 夕 刊 計(%) 視 覚 障 害 150 162 121 46(21.9) 聴 覚 障 害 61 10 42 14(6.7) 運 動 障 害 246 175 176 75(35.7) 精 神 遅 滞 21 丶11 21 8(3.8) 自 閉 症 22 33 12 13(6.2) 精 神 障 害 00 30 00 3(1.4) そ の 他 ・共 通 122 101 72 34(.16.1) 家 族 81 32 30 17(8.1) 〔1〕 障 害 者 ssis 5414 4614 小 計 82 68 60 210 C%) (39.0) (32.4) <2s.$) 〈ioo.o%〉 教 育 110 30 50 19(20.2) 就 労 00 20 31 6(6.4) 人 材 50 80 60 19(20.2) サ ー ビス ・制 度 60 51 41 17(18.1) ボ ラ ン テ ィ ア 30 50 71 16(17.0) 意 見 ・ 意 識 31 71 50 17(18.1) 〔2〕 社 会 281 302 303 小 計 29 32 33 94 (%〉 (30.9) (34.0) (35.1) 〈ioo.o%〉 〔1〕 と 〔2〕 9714 8416 7617 合 計 111 100 93 304 (%〉 (36.5) (32.9) (30.9) (ioo.oo) の1年 間 に は 単 純 に 計 算 し て600件 を わ ず か に 上 回 る の で は な い か と 予 想 され る . 過 去10年 間 で 最 大 の 数 を 記 録 し た の が, 1981年 の2,126件 で あ った.こ の 年 は 国 際 障 害 者 年 で,障 害 者 が マ ス ・メ デ ィ ア で あ る新 聞 に よ っ て 大 量 に 加 工 さ れ 記 事 に さ れ て 登 場 し た 年 で,新 聞 は キ ャ ン ペ ー ソ を 組 ん で 大 変 な 熱 の 入 れ よ う で あ っ た.翌 年 ま で 余 韻 を 残 し, 1982年 は1,456件 で あ った.し か し1984年7月 か ら1985年6月 ま で の1年 間 に は615件 に ま で 減 少 し,現 在 と ほ ぼ 同 じ数 に な っ た. 国際 障 害者 年 が一 般 の人 々の 意 識 か ら遠 の き,同 時 に 福 祉 に 関 す る世 間 の 最 大 の 関 心 は,大 衆 と直 接 的 な 関わ りを もつ 高 齢 化 社 会 に 移 って い る.障 害者 に対 す る マス コ ミの 関 心 は 国際 障 害 者年 に 集 中 し一 過 性 の感 が あ っ た が,高 齢化 社会 そ して老 人 へ の 関心 は 数 年 に渡 って持 続 して い る.し ば ら くこ の傾 向 は 変 化 しな い で あ ろ うし,1980年 代 初 期 の よ う に 障害 者 関 係 の 記事 が 大h的 に取 り上 げ られ る時 代 は 再 び来 な い で あ ろ う. 記 事 が 少 な い だ け に,質 的 に充 実 し,ノ ー
マ ライ ゼ ー シ ョソ とイ ンテ グ レー シ ョソへ の 方 向づ け が望 まれ るわ け で あ る.結 論 を 先 に 述 べ るな ら,最 近 の記 事 の傾 向は1980年 代 初 期 と大 きな変 化 は な く,か}xっ て意 気 込 み に 欠 け,少 な い だ け に散 発 的 であ る. ② 項 目の 比 較 に よ る新 聞報 道 の傾 向 全 体 を,〔1〕 障 害 者 あ るい は障 害 者 の家 族 に 関 す る記 事 と,〔H〕 社 会 の側 に 焦 点 を 合 わ せ た 記 事 とに大 別 す る と,約7割 が 前者 に入 る. 〔1〕 の 障 害 者 に 焦 点 を合 わ せた 記 事 を概 観 す る と,障 害 の種 類 別 で は運 動障 害(肢 体 不 自由)関 係 の記 事 が 目立 ち75件 あ る.〔1〕 の 中 だ け で も35.7%を 占 め る が,〔1〕 と 〔H〕 を 合 計 した 全 体 に お い て も1/4を 占 め て い る.障 害 者 関 係 の 記 事 を 見 れ ば4件 に1 件 は 運 動 障 害 だ とい うこ とに な る. 運 動 障 害 の次 が視 覚 障 害,そ して 聴 覚 障 害 と続 くが,こ の傾 向 も例 年 と同 じで,車 椅 子 ・白 い杖 ・手 話 が障 害 の代 名 詞 であ る こ とに 変 わ りな い.三 つ の障 害 だ け で1989年 上 半 期 全 体 の44.4%に な り,半 数 に近 い. 次 に 自閉症 の13件 が 目につ く.こ の うち12 件 まで が,映 画 「レイ ソマ ソ」 に 関す る記 事 で,6件 が 映 画 評 や 紹 介,そ して残 り の7件 が 「レイ ン マ ソ」 との 関 連 で 自閉 症 者 を 扱 っ て い る.こ の映 画 の ヒ ッ トが な け れ ば,自 閉 症 が これ ほ ど新 聞 記事 と して 登 場 す る とは 考 え られ ず,特 異 な 現象 で あ る. 特異 とい う点 で は家 族 に 関す る記 事 が17件 あ るが,こ の うち6件 が 重度 の 視 覚 障 害 者 で あ る母 親 の道 案 内 の役 割 を して いた 幼 児 を 轢 き逃 げ した とい う事 件 を扱 った 記 事 が あ る. 東京 の 事件 で,地 方的 な ニ ュー ス で あ る. 従 来 の 傾 向 を 踏 襲 し なが ら,1989年 上半 期 を 特 徴 づ け る偶 発 性 を 加 味 して い る. 紙 上 に 滅 多 に登 場 しな いの は,相 変 わ らず 精 神 遅 滞 と精 神 障害 で あ る.実 際 は 精 神 遅 滞 者 の 人数 は全 障害 の 中 で圧 倒 的 に 多 い のに, 記事 は8件 の み で あ る.精 神 障 害 に 関 しては 毎 日新 聞 が3記 掲載 した だけ で,他 の2紙 は ま った く記 事 に しな い. 内部 障 害 は 「そ の他 ・共 通 」 で一 括 した 項 目に 入 れ た が 少 な く,障 害 とい う よ りも疾 病 と して の取 り扱 い であ る.重 症 心 身 障 害 な ど, 重 度 の障 害 が精 神 遅 滞 と重 複 した よ うな 障 害 に 関 す る記 事 は見 られ ない. 〔II〕 の社 会 に 焦点 を合 わ せ た 記 事 は,絶 対数 の少 な さが影 響 し,細 分 化 して特 徴 を把 握す るの が 難 し いが,就 労 に関 す る記 事 が極 端 に 少 ない(6件)の が 目を引 く.他 の 項 目 は平 均 的 に表 わ れ てい る.あ る一 定 期 間 を取 る と,数 の点 で は新 聞 に よ る偏 りが 見 られ な い の も例 年 と同 じで あ る. 国 際 障害 者 年 の 年 に は教 育 に 関 す る記 事 だ け で238件(1982年 は130件,1984∼1985年 の 1年 で66件)あ り,就 労 で さx176件(1982 年 は111件,1984∼1985年 の1年 で38件)あ った.こ の報 告 に使 用 した 記 事 は 半年 間 で あ るに して も隔 世 の観 が あ る.し か も的 確 に 切 り込 ん だ 記事 はわ ず か であ る. 例 えば 教 育 に 関 す る記 事 の 半分 以上 を 朝 日 新 聞 が 占め る.そ のほ と ん どが読 者 の投 稿 と い う形 式 を と り,国 際 障害 者 年 の時 と 同 じよ うに 統 合教 育 を 支 持 す る立 場 に あ るが,そ の た め の方 策 等 の紹 介 は10年 近 く経 過 して も皆 無 で あ る.(1982年 の資 料 に よ る と,朝 日新 聞 は9割 近 くが統 合 教 育 で残 りが 分 離 教 育, 読 売新 聞 は お お よそ半 々,毎 日新 聞 は 両 新 聞 の 中 間 で あ るが,統 合 教 育 に傾 い て い る.) 行政 側 に 課 題 が あ るの は確 か で あ る が,マ ス ・メデ ィア と して 各 新 聞 社 が 一定 の姿 勢 を貫 く と同 時 に,過 去 に 発 言 した 内 容 の 追 跡 記 事 を掲 載 す るな ど責 任 を とるべ きだ と考 え る. 新 聞 の種 類 を問 わ ず,お しな べ て 社 会 の制 度や サ ー ビス に 関す る記 事 は数 の点 で も,質 的 に も粗 末 であ る. 障 害 者や 障 害 者 問 題 に対 す る意 見(意 識) の数 は 少 な いが,社 会 の 側 面 を 暗示 し興 味 を 引 く内容 が含 まれ て い る.た だ し,iの17件 の うち4件 は 平 成 天 皇 ・皇 后 が 障害 者 に 理解 を 示 され て い る とい う内 容 で,昭 和 か ら平 成 へ の時 代 の推 移 を 示 す 記 事 で あ る. 42一
2.障 害 者 と 家族 の 記 事 の傾 向 ① 視 覚 障 害 に 関 す る記 事 の傾 向 46件 中 視 覚 障 害 者 自身 に 焦点 を合 わ せ た 記 事 は11件 で あ る.全 盲 で 高校 や大 学 の入 学 試 験 に合 格 した とい う記 事 は 毎年 繰 り返 され, 今 年 も2件 あ る.チ ャ レソジ精 神 も新 聞 を賜 わ し,日 本 アル プス 登 山(A)と ヒマ ラ ヤ の トレ ッキ ソグ(M)の 記 事 が2件 あ る.障 害 故 に 大 き く扱 わ れ る場 合 が あ るが,事 故 及 び 視 覚 障 害 者 を だ ま した とい う暗 い記 事 も2件 含 まれ て い る. 視 覚 障 害 者 が 生 活 領 域 を 拡 大 す る手 段 に 関 す る記 事 は35件 にな り,視 覚 障 害 関 係 の3/4 を 占 め,盲 導 犬9件,盲 人 の 点 字8件,弱 視 者 の 大 活 字3件,全 般 に また が る内 容15件 と な って い る. ② 聴 覚 障 害 に関 す る記 事 の傾 向 14件 だ け であ る.聴 覚 障 害 者 に 焦点 を 合 わ せ た も のが10件 で,聴 覚 障 害 児 の早 期教 育 に 取 り組 む 民 間 施 設 「母 と子 の 教 室 」3件,聴 覚 障 害 者 が登 場 す る テ レビ ドラマ が2件,催 し3件 等 とな って い る.他 の4件 は生 活 圏拡 大 の手 段 に関 す る記 事 であ る. ③ 運 動 障 害 に 関す る記 事 の傾 向 運 動 障 害 は 障害 別 に 見 る と圧 倒 的 に 多 く75 件 あ る.55件 は 障害 者 に焦 点 を 当 て,う ち13 件 は テ レ ビ ドラマや ドキ ュメ ン タ リー の紹 介 そ してそ の 間連 記 事 であ る.映 像 と新 聞 の関 係 につ い て は後 に考 察 を加 え る. ベ トナ ム の二 重 体 児 ベ トち ゃ ん と ドク ち ゃ ん は運 動 障 害 の シ ンボ ル的 存 在 で,3紙 と も 報 道 し,全 部 で6件 あ る.ほ とん どが写 真 に スペ ース を取 り,海 外 の話 題 で あ りな が ら継 続 してい る.見 出 しのみ を 記 して お く. 「ベ ト,ド ク ち ゃ ん こん な に元 気 ベ ト ナ ム生 まれ 邦 人写 真 家 が近 況 撮 影 土 産 のチ ョ コに 『あ りが と う』」(M夕 刊 ・1/14) 「ベ トち ゃ ん,ド クち ゃん ます ます 元 気 に」(A夕 刊 ・1/20) 「ドク ち ゃ ん用 車 いす 」(A都 内 ・2/7) 「こん な に 回複 した ヨ 術 後半 年 ベ ト,ド ク ち ゃん 」(Y夕 刊 ・4/2) 「ドクち ゃん に 特 製 歩行 器 ベ トナ ム に ミ シ ンを 贈 る市 民 団体 に 届け て と依 頼 車 イ ス 元 エ ン ジ ニア の 力作 」(M・6/4) 「ドクち ゃん歩 い た 日本 製 の 歩 行 器 で 歩 い た 」(A・6/28) 運 動障 害 者 の趣 味や 生 き がい,ス ポ ー ツそ して 冒 険 な ど生 活満 喫 タ イ プの記 事 が17件 あ る.視 覚障 害 の個 所 で も紹 介 した が,障 害 者 が 冒険 的 に海 外 遠 征 をす る場 合 は 紹 介 されや す い.健 常 者 で す ら で き な い の に 障 害 者 が 挑 戦 す る とい う 驚 嘆 は,読 者 を 引 き 付 け る に 足 る.記 事 の 占 め る 面 積 も広 く,大 き な 写 真 を 掲 載 す る. 「車 イ ス で5,000キ ロ カ ナ ダ横 断 北 海 道 の 障 害 者4人 カ ナ デ ィ ア ン ロ ッキ ー も 自力 で6月 か ら2か 月 か け 」(Y・2/2) 「カ ナ ダ 横 断 車 い す の 挑 戦 不 屈 の 闘 志 で4,400キ ロ 用 意 万 端,36段 変 速 車 ロ ッキ ー越 え に も 自 信 来 月 か ら北 海 道 の 宮 下 さん 」 (A・4/16) 朝 日新 聞 は,こ の 記 事 に 合 わ せ て 「障 害 車 の 競 技 多 様 化 の 傾 向 」 と い う ス ペ ー ス を 取 り,障 害 者 ス ポ ー ツ の 現 状 と 今 後 望 ま れ る 課 題 を 載 せ て い る.個 人 を 賞 賛 す るだ け で な く, 広 く ノ ー マ ラ イ ゼ ー シ ョ ン と イ ン テ グ レ ー シ ョ ンを 見 据 え た 良 質 の 記 事 で あ る. こ の 記 事 よ り 小 さ くな る が,「 障 害 越 え 参 加 を ハ ソ デ ィ キ ャ ッ プ テ ニ ス 全 国 大 会 来 月 有 明 の 森 」(Y都 内 ・4/29)と い う 記 事 が あ り,車 椅 子 の 人 が テ ニ ス ラ ケ ッ トを 握 る 写 真 が 掲 載 さ れ,「 車 イ ス で も 強 烈 な ス ト ロ ー ク が … … 」 とい う説 明 書 きが 見 られ る.「 車 イ ス ・バ ス ケ 友 情 の 招 待 秋 田 チ ー ム が 東 京 で 試 合 」(Y都 内 ・3/23) 「車 い す 冒 険 家 来 日 」(M・3/8) 「勝 利 者 『至 上 の 時 』 ボ ス ト ン ・マ ラ ソ ン の 車 い す 勝 利 者.ゴ ー ル の 瞬 間,ガ ッ ツ ボ ー ズ 」(A・5/7) 事 故 の 記 事 も3件 あ り,犠 牲 者 が 障 害 者 で あ る と 分 か る 見 出 し を つ け て い る. 「足 不 自 由 な 中2焼 死 深 夜 の 八 王 子 重 い … …姉,助 け 出 せ ず 」(M夕 刊 ・4/1)
「歩行 訓 練,実 って きた の に … …12歳 少女, 踏 切 死 」(M夕 刊 ・6/29) 「足 不 自 由12歳 少 女 踏 切 内 の 死 」(Y夕 干1・6/29) 運 動 障 害 の 記事75件 中20件 は生 活 圏 を拡 大 す るた め の 工 夫 に関 す る記 事 で あ る.町 の構 造 に 関 す る大 規 模 な もの か ら 日常 の お し ゃれ 着 の工 夫 まで 多 岐 に渡 り,ハ ソデ ィキ ャ ッ プ を 軽 減 す るた め の物 理 的 条 件 の整 備 に つ い て 社 会 の理 解 が 浸 透 しつつ あ る と推 測 で き る. 町 の構 造 に 関す る記 事 を 見 て み よ う. 「障 害 者 らに 親切 な地 下鉄 都 営12号 線 営 団7号 線 エ レベ ー タ ー各 駅 に設 置 へ 健 常 者 は エ ス カ レー タ ー利 用 」(A・1/25) この 記 事 に は都 営12号 線 と営 団7号 線 の マ ップが 掲 載 され て い る. 「幻 の地 下 道 復 活 車 イス の通 路 にJR 東 京 駅 レ トロな レンガ造 り 壁 を 修 理,一 般 開放,新 名 所 に」(Y夕 刊 ・3/15) 海 外 の状 況 を伝 え る記 事 もあ る.「 文 化 と ゆ と り」(A夕 刊 ・6/12窓) 当然 とは い え新 しい時 代 の動 きを 反 映 した 記事 もあ る.「 車 い す 傍 聴 席 設 置 福 岡地 裁 入 廷 拒 否 問 題 後 に」(M・1/11) 障 害者 が 自立 した 生 活 す る場 と して住 宅 は 大 きな 課 題 で あ る が,「 障 害 者 の 目 で 住 宅 を 考z..る ガ イ ドブ ッ ク刊 行 」(A・6/24)と い う見 出 しの ぞ ぽ に,「 車 い す 障 害 者 の 自立 と 住 ま い」 とい う本 の写 真 を添xて い る. 介 助 方 法 に 関 す る 情報 もあ る.「 少 しの 勇 気 と優 しさ と 障 害 者 自 らが介 助 方 法 の手 引 書 作 成 体 験 踏 まx気 配 り随 所 に 」(Y・2/ 16)末 尾 に 手 引 書 の値 段 と送 り先 を入 れ 読 者 の便 宜 を 図 って い る. 身 だ しなみ や お し ゃれ に 関す る 内容 も記事 に な って き て い る.「 身 障 者,高 齢 者 向 き の お しゃれ 着 施 設 を 手 伝 った主 婦 グル ー プ が 製作 販 売 」(M・1/25) ④ 精 神 遅 滞 ・自閉症 ・精 神 障 害 これ ら全 て を 合 計 して も半 年 で,わ ず か24 件 で あ る.し か も半 数 を 占 め る 自閉 症 は,ア メ リカ映 画 「レイ ンマ ン」 の ヒ ッ トに よ って 一 躍 注 目され た 障 害 で ,映 画評を含 めて 「レ イ ソ マ ソ」 が らみ の記 事 が12件 あ る.こ れ に つ いて は後 に改 めて 考 察 を 加 え る. 精 神 遅 滞 者 が 記 事 に登 場 す る の は まれ で あ る,8件 の うち で 大 き く扱 わ れ た 記 事 は, 「ハ ンデ ィ何 の!世 界 最 高 精 薄 者 の マ ラ ソ ン鈴 木 さん,17分 短 縮 」(A夕 刊 ・5/8)く ら い で あ る.同 じニ ュ ース を読 売 新 聞 は 「おあ しす 」 で 報 じて い る(5/11). この報 道 に 対 して,投 書欄 に 「精 神 薄 弱 と は 差 別 用 語 で は 」(M・5/24)が 掲 載 され, 「私 は 鈴 木 さん み た い な 精神 強靱 な人 を手 本 に して み た い もの」 とい う主張 が読 者 の 目に ふ れ る.「 精 神 薄 弱 」 と 「精 神 強靱 」 を 対 に 扱 った の は興 味 を 引 くが,精 神 遅 滞 関 係 の記 事 は 内容 よ りも,言 葉 や 形 式 な どが か ら回 り す る傾 向 が続 い て い る.投 書 の主 は 「いつ の 日に か この言 葉 が 無 くな る の を希 望 します.」 と結 ん で い る.読 者 に も発言 す る場 が提 供 さ れ,言 論 の 自 由が あ る程度 保 障 され,一 見 全 うな意 見 の よ うで あ る.し か し特 異 な例 を一 般 化 して し ま う とい う落 し穴 が あ る. 精 神 遅 滞 者 が全 て強 靱 な精 神 力 を も って い る とは 限 らず,重 度 にな れ ば な る ほ ど他 人 に 依 存 した 生 活 を しなけ れ ば な らな い.障 害 を 認 めた 上 で,ノ ー マ ライゼ ー シ ョソや イ ン テ グ レー シ ョン の論 議 を しな くて は な らな い. 精 神 遅 滞 者 全 て が鈴 木 さ んや 山 下 清 で な い し, マ ス ・メデ ィアは ヒー ローや ヒロ イ ン の脚 色 に 余念 が な い こ と も忘 れ て は な らな い. 精 神 遅 滞 に 関 して は本 の紹 介 や,養 護 学 校 入 学 を 拒 否 して 普 通 小 学校 に 通学 す る少 女 に 焦 点 を 据 え た 都 内 版 の 記 事 等 が 他 に あ る. 自閉 症 は 後 に 述べ るの で 省略 す る. 精 神 障 害 の記 事 は次 に紹 介 す る よ うに わ ず か3件 だ け で,全 て毎 日新 聞 の 「家 庭 欄 」 で 扱わ れ て い る.障 害 者 本 人 で は な く,精 神 障 害者 に 理 解 を示 す 人 に焦 点 を合 わ せ て い るが, セ ソセ ー シ ョナ ル な 犯罪 報 道 で精 神 障 害 を ク mズ ア ップす るの で は な く,こ の よ うに着 実 で 良 質 の記 事 の増 加 を 望み た い. 「手 作 りr福 祉 シ ョ ップ』 オ ー プ ソ 東 京 II
・練 馬 の千 川 通 りに 障 害 者 が店 員 で 働 け る 医 師や 地 域 の 人 た ちが支x」M・4/18) 「心 病 む 人 た ち の社 会 復 帰 を め ざ して rや どか りの 里 』活 動19年 理 事長 ・谷 中輝 雄 さん に 聞 く いつ で も泊 った り相 談 で きる 場 に 仲 間集 団 の 中 で 自立 を」(M・6/9) 「定 年後 の さわ や か 転 職r障 害 もつ ひ と』 と一 緒 に 働 く会 社 設 立 まず心 の病 経 験 した 人 と 清 掃 作業 実 習 に 取 り組 む 元NHKの 金 子 鮎 子 さん 」(M・6/30) 精 神 障 害 の サ ー ビスや ケア につ い ては 多 く の 問題 点 が潜 在 して い る.車 椅 子 や 白杖 の よ うに シ ンボ ル的 な もの は な く,ヒ ー ロ ーや ヒ ロイ ン も生 まれ な い分 野 だ か ら こそ 人 権 の 促 進 とい う観 点 か ら メス を入 れ て も らい た い. ⑤ そ の他 の障 害 ・共 通 す る障 害 34件 の うち狭 義 の障 害 の範 疇 に入 らず,疾 病 とか 病 気,疾 患 とい った 言 葉 で表 現 され る よ うな広 義 の 障 害 が19件 あ る.一 部 「身 体 障 害 者 福 祉 法 」 に規 定 す る 内部 障 害や 厚 生 省 指 定 の 難 病 と重 な るが,法 規 で は覆 い切 れ な い 他 の障 害 もあ る. 腎 臓 病,心 臓 病,ぜ んそ く,言 語 障 害,筋 ジス トロ フ ィー症,こ う門 ・ぼ うこ う障 害, ア ル コ ー ル中 毒,小 児 癌 等 の記 事 があ り,表 現 の仕 方 も様 々で あ る.輸 入 血 液 製 剤 に よ り エ イ ズ に 感染 した血 友 病 患 者 が 国 と製 薬 会 社 を 相 手 取 って 損 害 賠 償 を 起 こ した 記 事 は3紙 と も掲 載 した. 「こ う門,ぼ うこ う障 害者 『オ ス トメ イ ト』 ご存 知 で す か 悩 む 十 万 人 まだ低 い社 会 知 識 障 害者 と認 め られ た が 昇 進 に ひび いた ケ ー ス も」(A・4/15)の よ うに,新 し く法 的 に 身体 障害 の仲 間 入 りを した 障 害 に,社 会 の理 解 を 促す よ うな 記事 が あ る. 「デ ュ シ ェ ヌ型 筋 ジス に新 治 療 法 米 と加 筋 芽 細 胞 を病 変 部分 に 注射 」 ⊂Y・3/20) とい った ニ ュー ス をAP伝 と して取 り上 げ, 日本 の専 門 家 の 意 見 と して 「人 間 の 応 用 とな る と宿 題 が い ろ い ろ あ る.」 とい う コ メ ソ ト を 付け た 記事 もあ る. 「『難 病 に早 く指定 して!』 手 が 利 か な く な る ・セ キ髄 空 洞 症4,800人 の署 名 集 め請 願 へ 患 者 の会 」(Y・4/22)と い う呼 び 掛 け の記 事 もあ る. 「フ ラ ン ク永 井 さん 脳 障害 と闘 う」(Y 夕 刊 ・6/6・ ア ン グ ル)と い う仰hし い タイ トル を付 け,紙 面 の1/4ほ どを 占 め,「 フ ラ ン ク さ んの ケ ース か ら,最 新 の脳 神 経 医 学 が 目 指 す 完 全 回復 へ の一 つ の アプ ロー チ を紹 介 し よ う」 とい う試 み 的 な 記 事 も掲 載 され て い る. 元 気 だ った 頃 の写 真 とそれ とは対 照 的 に 現在 の 写 真 も2枚 載 って い る.(*1) 障 害 者一 般 の生 活 圏 拡大 は9件 で,現 代 の 町 の構 造 へ の配 慮 を促 す 記 事 であ る. 「最 少経費 で最 大 の福祉 が都 市経 営が 目的 で す 神 戸 市長 宮 崎辰 雄 さん」(A・4/28) 「障害 者 悩 ますr自 動 化 時 代 』」(A) 「障 害 者 と野 山歩 こ う 日本 自然保 護 協会 初 の ガ イ ドブ ッ ク」(Y・1/23) ⑥ 障 害 者 の家 族 に 関す る記事 の傾 向 全 部 で17件 あ るが,視 覚 障 害 の母 の道 先案 内 の 幼 児が 轢 き逃 げ され た 記 事 を除 外 す れ ば 11件 であ る.10件 ま で が障 害 児 を持 つ 親,1 件 だ け が き ょ うだ い か ら見 た 記 事 であ る. 「生 涯 にわ た って書 く 障 害 あ る息 子 の こ と 個 人 的 な体 験 大 江 健 三 郎 」(A・6/18・ 自作再 見) 「精 薄者 の側 に立 った福 祉 法 を 地 域 で生 活 で き る 制 度 的 保 護 を早 く」(A・4/28・ 論 壇) 「障 害 持 つ 娘 に 贈 る雪 ・歌J(A・1/15) 「娘 よ … … ま た歩 こ う」(A・2/27) 「車 いす 用 の トイ レの開放 に 大喜 び です 」 (A・4/19) 「障 害 者 の 姉 に優 しさ教 わ る」(A・2・3) 7件 が精 神 遅 滞 あ るい は精 神 遅 滞 を伴 な う 障 害 の子 の い る家 族 か らの発 言 で,意 思 を 自 ら伝 え られ な い障 害 児 ・者 の立 場 を如 実 に表 わ す 記 事 であ る.家 族 自身 に な る文 章 が 主 で, 記 事 数 は 少 数 で あ るが優 れ た 内容 であ る.偶 然 か,そ の ほ とん どが朝 日新 聞 の記 事 で あ る.
3.社 会 的 側 面 の 傾 向 ① 教 育 と 就 労 教 育 と就 労 は障 害 児 ・者 の 発達 と生 活 に と って重 要 で あ り,ノ ー マ ライゼ ー シ ョン の原 理 の展 開 と社 会 へ の イ ンテ グ レー シ ョ ンを表 現 しなけ れ ば な らな い. しか し新 聞 は こ の領域 に熱 心 で は な く,無 関 心 に近 い.内 容 が 〔1〕 の 「障害者 と家族 」 と重 複 して い て そ ち らに 入れ た記 事 もあ るが, そ れ に して も半 年 間 に3紙 で,教 育19件,就 労6件 とは 少 なす ぎ る,記 事 も散 発 的 で 個 々 につ いて も突 っ込 み が不 充 分 であ る. 社 会 に 目を 向 け る よ り,個 人,そ れ もナ ル シ シズ ム的 な 昨 今 の 風 潮 が新 聞 に反 映 して い る と解 釈 す べ きで あ ろ うか. いつ か の例 を拾 って み よ う. 少 数 で も,養 護 学校 反対 の 思想 が 大 き く取 りあ げ られ る 従 来 の傾 向 に変 化 な い.(*2) 「隔離 よ りも共 学 を 養 護 学 校 の義 務 化10 年 を経 て 」(M・1/20・ 提 言)に お い て,投 稿 者 の 高校 教 員 は 「養 護学 校 を な くす 思想, 共 に学 ぶ学 校 を 目指 す 運動 に よ って.は じめ て,障 害 者 問 題 は解 決 で きる.」 と言 う. 「障 害 児 も一 緒 に高 校 進学 を 単 独校 の制 度 的切 り離 し に反 対 」(A・4/3・ 論 壇) これ らに 対 す る反 対 意 見 も掲 載 され る が, 記 事 の 扱 い は ご く小 さい. 「障 害 児 教 育 に も っと理 解 を」(M・3/13) とい う投 書 で,「 障害 児に 接 した こ と の な い 子 は 差 別 の側 に立 つ.だ か ら障 害 児 問 題 の解 決 は,養 護 学 校 を な くす こ とだ と い う意 見 に は,驚 か され ま した.も っ と多 くの 人 が障 害 児教 育 に 理 解 を持 ち,発 展 させ る こ とが 大切 だ と思 い ま した.」 と い う意 見 が 述 べ られ て い る. 見 落 と しそ うな小 さい 記事 で あ る が,「 受 け 入 れ 側 の 見 通 し どこに」(A・5/24・ 声)に 具 体 的 か つ 現 実的 な 提 案 が あ る.「 受 け 入 れ た 学 校 側 は,そ の教 育 に どんな 見 通 しを持 っ て い るの で あ ろ うか.最 低 の 条 件 整 備 と して, 副 担 任 か 介 護 人 の 配置 を 当局 に実 現 させ,事 後 の対 策 をた て なけれ ぽ,ど の子 も不 幸 だ と 思 う.」 こ の朝 日の投 稿 内容(5/24)は,多 くの 先 進 国 で統 合 教 育 を推 進 す るに 当 って す で に実 施 して い る.毎 日新 聞 の投稿(3/13)の よ う に障 害 児 教 育 の充 実 は,仮 に 統 合教 育 が現 在 よ り進 ん で も,両 者 の連 携 を 大切 に し なけ れ ば な らな い.「 論 壇 」や 「提 言 」 で の 発 言者 の主 張 の よ うに隔 離 や 差 別 は解 消す べ き であ る な ら,統 合 教 育 の理 念 の 羅 列や 現状 批 判 に とど ま らず,そ の方 策 に関す る国 の 内 外 の 情 報 で紙 面 を飾 って ほ しい.(*3) 新 聞は 投 稿 とい う形 で,ピ ソポ ン形 式 のや りと りの 場 を読 者 に 提 供 す るだ け で は 不充 分 で あ る.統 合教 育 推 進 の た め に普 通 校 に副 担 任や 介 護 ス タ ッフ,障 害 児 専 門 教 員 の配 置 す る,身 体 障 害 者 に対 す る物 理 的 環 境 条 件 の整 備 す るな ど,障 害 児 の統 合 教 育 の実 践 例 を 紹 介す る記 事 を期 待 した い.い くら条 件 を 整 え て も統 合 教 育 が困 難 な児 童 の教 育 の 現 状 も客 観 的 な情 報 と して 読 者 に伝 えて ほ しい も ので あ る. 就 労 に 関 しては あ ま りに少 な く傾 向 を把 握 す る ど ころ で は な い.(*4)地 方 版 の地 元 が ら み の 記事 が3件,消 費税 導 入 との 関連 が2件, 福祉 工 場 の課 長 が 売上 金 を着 服 した とい う記 事 が1件 で あ る.障 害 者 の 職業 的 自立 は,経 済 保 障 の み な らず 生 きが い に と って重 要 課 題 であ る.地 道 な 報 道 を望 み た い. ② 障 害 者 の福 祉 ・教 育 ・医 療 に 携 わ る 「人 」 に 焦 点 を合 わ せ た 記 事 の 傾 向 各 新 聞 社 が 出す 福 祉 賞 に 登 場 す る 「人 」 に 関 す る活 動 紹 介 の記 事 常 に良 質 で あ る. 「長年 にわ た り社 会 福祉 活動 を実 践 し,福 祉 理 論 を構 築 した 社会 福祉 法 人 横須 賀 基 督 教 社 会 館 館 長 阿 部 志 郎 さん 救 済 の 場 を地 域 と結 ぶ 」(A・1/5) 「ろ うあ 者 の 不 便 を理 解 信 頼 築 い て 生 活 を共 に 津 市 新 芽 手 話 サ ー クル」(Y・1/28) 福 祉 や 医 療 の専 門 家 に 関す る記 事 も あ り, 「病 院 にほ しい 福祉 の 専 門家 」(M・3/15・ 社 説),「 ス ピ ー チ セ ラ ピス トが ほ しい 」(A・ 2/17・ 社 説)の 他,1989年 度 か ら導 入 され た 46一
社 会 福 祉 士(M・2/5)や 介 護 福 祉 士(Y・4 /27),他 に 「医 療 ソ シ ャ ル ワ ー カ ー の 指 針 を 作 成 厚 生 省 検 討 会 」(M・2/8)な ど は 読 者 に 現 状 を 伝 え る 手 堅 い 記 事 で 好 感 が も て る . 「手 作 りrお も ち ゃ 図 書 館 』 障 害 児 の た め に 夫 婦 で 生 き が い 設 計 」(Y・4/5)の よ う に 活 動 す る 人 間 に 焦 点 を 合 わ せ て も,以 前 の よ うに 極 端 に 美 化 せ ず,全 体 に 落 ち 着 い て き て い る の は 良 い 傾 向 で あ る. ③ サ ー ビ ス ・制 度 に 関 す る 記 事 の 傾 向 胎 児 診 断,防 災,障 害 年 金 や 消 費 税 扶 助, 地 域 の 福 祉 保 健 セ ン タ ー な ど,数 は17件 と 少 な い が 多 岐 に わ た っ て い る. こ の 中 で 質 的 に 優 れ 示 唆 に 富 ん で い る の が 「真 の 豊 か さ へ に 挑 戦 」(A・5/2∼5/8・ シ リ ー ズ5回)と そ の シ ン ポ ジ ウ ム報 告(A・5/ 16)で あ る.(*5)こ の 時 期 の 唯 一 の シ リ ー ズ 物 で あ る. 「人 権 の 視 点 で 福 祉 見 直 しを 」(M・2/8・ 社 説)も,歴 史 と 現 状 を 分 析 し た 良 い 記 事 で あ る.(*6) ④ ボ ラ ソ テ ィ ア 及 び 共 感 的 協 力 「障 害 児 と 楽 し く遊 ぶ 『ゆ び っ こ』 大 学 生 た ち の 地 域 に 根 づ く ボ ラ ン テ ィ ア 」(M・4 /17),「r奉 仕 』 の 気 分 はrV』 気 分 人 形 劇 全 部 手 作 り 手 話 で 歌 うr乾 杯 』」(Y夕 刊 ・ 3/24)と あ く ま で も,ボ ラ ン テ ィ ア 活 動 の 素 晴 ら し さ を 前 面 に 出 す 記 事 も あ る. ボ ラ ン テ ィ ア 活 動 の 実 際 を 紹 介 す る 反 面, ボ ラ ン テ ィ ア の あ り方 を 問 う内 容 も3件 あ り, い ず れ も的 を 射 て い る. 「ボ ラ ン テ ィ ア は 怒 って い る ぞ 」(M・4/13 ・社 説) 「ボ ラ ン テ ィ ア っ て な ん だ っ け 顔 つ き が 寂 しそ うだ った ホ ー ム の お 年 寄 り 東 京 都 内 の 私 立 中3年 生 男 子 」(A・4/19) 厂ボ ラ ン テ ィ ア は 主 体 性 第 一 で 節 度 ・配 慮 ほ しい 行 政 の 支 援 」(A・6/16・ 論 壇) 他 に 「『障 害 者 と ス キ ー 』 ゆ き ん こ ま つ り ボ ラ ン テ ィ ア 不 足 実 行 委 は ら は ら 」(Y2 /15)の よ う に,ボ ラ ン テ ィ ア を 当 て に した 活 動 に 一 定 数 が 集 らな い と い う内 容 も3件 あ り.例 年 の 傾 向 と一 致 して い る. ⑤ 新 聞 に 寄 せ られ た 意 見 や社 会 の 意 識 17件 あ る が,そ の うち4件 が 平成 天 皇 と皇 后 に関 す る記 事 で,「 広 く 国民 と解 れ 合 う き さ くな 天 皇 陛 下 」(M・5/24)に 養 護 学 校 で の写 真 が掲 載 され,「 子 供 達 と 目を 合 わ せ な が ら 『体 の 具 合 は ど うです か』 な ど とお 尋 ね にな る天 皇,皇 后両 陛 下 」 とい う説 明が あ る.統 合教 育 以 外 は教 育 と認 め ない よ うな過 激 な 内容 を 記 事 にす る同 じ新 聞 が,こ の よ う な 記 事 で は養 護 学 校 を前 面 に 出す とい う矛 盾 した 手 法 を使 う. 「平 成 天 皇 障 害 者 に深 い ご理 解 」(Y・ 1/14)と い う記 事 に も,「 身 障 者 ス ポ ー ツ大 会 で ハ ソ ドボ ー ル選 手 を励 ま され る両 陛 下 」 とい う写真 説 明 が あ る. 1989年 上半 期 は リクル ー ト事 件 や 竹 藪 に放 置 され た 多 額 の 金 額 な ど,庶 民 感 覚 か ら大幅 に逸 脱 した事 件 が 生 じた が,こ の よ うな事 件 を反 映 して 「福 祉 は 免 罪 符 か 」(M・5/15・ 論 説 ノー ト),rr黒 い金 』福 祉 に寄 付 な んて 」 (M・5/20)は 意 義 があ る扱 い で あ る. 17件 の う ちで 現代 の障 害 者 に対 す る社 会 の 意 識 を 如実 の表 現 す る投 稿 が2件 あ る. ひ とつ は 「身 障 者 を 父に もつ子」(M・6/25) で,投 稿 した主婦 はその父 子の光 景を 見 て,「 我 が家 の三 人の子 供 は健康 な両 親 の間に生 まれ た 幸 福 な ど考 えて み た こ とは な い だ ろ う.人 間 と して 優 しさや 思 い や りを 自然 に 身 に つ け て い るあ の少 年 と ど ち らが 幸 せ な の だ ろ う?」 と思 うい った 内 容 を書 い て い る. 聞違 って い な いか も しれ な い.し か し障害 の親 を も った 子 は 不 幸 で,身 障者 の親 を もつ 子 は優 しさや 思 い や りが 芽 生 え る と決 め つけ る の は ど うか.ま して ど ち らが幸 福 で あ るか とい った 比 較 は 一 人 よが りで あ る.善 意 を ち らつ か せ な が ら,傍 観 的 な 現代 の社 会 を実 に よ く表 現 して い る. も うひ とつ は 「偏 見 は な い か 弱者 の視 点 」 (A・1/25)と い う投 書 で,現 代 の マ ス ・メ デ ィアが 陥 りや す い 落 し穴 を的確 に指 摘 して い る.「 日本 の 『障害 者』 『福祉 』 関係 番組 は,
r悲 劇 』 の ヒ ロ イ ン やr努 力 し 克 服 す る 』 ヒ ー ロー 化 し た も の が 目立 つ .そ こか ら は 『障 害 者 』 を 特 別 し,真 に 社 会 の 構 成 員 と す る 人 権 意 識 の 薄 さ を 感 じ る.… … …r同 情 』 か ら 前 進 し,問 題 意 識 と理 解 を 深 め,『 障 害 』 を 持 つ 人 な ど 社 会 的 弱 者 の 存 在 を 身 近 に 感 じ ら れ るCMや 番 組 が,日 本 で も 必 要 と考 え さ せ られ た.」 後 者 の 投 書 の 主 旨 が 生 か さ れ る よ うに マ ス ・メ デ ィ ア が 活 用 され る な ら ば,障 害 者 の ノ ー マ ラ イ ゼ ー シ ョ ンや イ ソ テ グ レ ー シ ョ ン に 一 歩 近 付 く こ と に な る で あ ろ う . N今 日的 現 象 の 考 察 1.新 聞 と映 像 の連 動 現 象(そ の1) 現 実 性 の 稀 薄 と実 像 と虚 像 の混 在 新 聞 と映 像 との関 わ りは 見 過 ごせ な い.日 常 生 活 で 使 用 され る マス ・メデ ィ ア と して テ レビ があ る.ビ デ オ が普 及 しテ レビ番 組 も保 存 か つ 再 生 で き る時 代 で あ る.新 聞 は放 送 予 定 を新 聞 に掲 載 す る.テ レ ビ番 組 表 に よ って 読 者 は ニ ー ズ に 応 じて 番組 を選 択 す る. 新 聞 が推 薦 す る番 組 は取 り出 して 当 日あ る い は事 前 に説 明 を加xる.新 聞社 とテ レビ局 が タイ ア ップ して い る場 合 は,な お さ らで あ る.さ らに 新 聞 は読 者 か ら番組 の 感 想 を掲 載 す る場合 が あ る.つ ま り新 聞 は テ レビ とい う 別 の マス ・メ デ ィアの 仲 介 的 な 役 割 を果 た し てい る. 仲 介 す る際 に,障 害 者 に 関 して ノ ーマ ライ ゼ ー シ ョ ン とイ ソ テ グ レー シ ョ ソの視 点 が 明 確 で あ るか 否 か を批 判 的 に 見極 め な けれ ば な らな い.ヒ ー ローや ヒ ロイ ソを 登 場 させ る加 工 法 は,映 像 メデ ィ ア と新 聞 との連 動 に よっ て一 層 顕 著 に な る か らで あ る. 「3本 足 名 盲 導 犬 シ ー プ ・愛 の 物 語」 が あ り,丘 み つ子 の 写 真 が 飾 られ る(M夕 刊 ・5/ 24)「 叫 ん で も … … 聞 え ない!」 の紹 介 記 事 には 斉 藤 由貴 と工 藤 静 香 が手 話 を す る場 面 が 紙 上 を 彩 る(Y夕 刊 ・6/30).「 車 椅 子 か ら ウ イ ソク」 と の関 連 で,「 主 役 ひ た む き な 役 が好 き」(Y・5/4)と い う見 出 しで,黒 木 瞳 の 顔 が 掲載 され る. テ レビ ドラマ に も,新 聞 同様 に障 害 者 の シ ンボ ル であ る車 椅 子,白 い 杖,手 話 が 登 場 す るか ら,新 聞 は再 び これ ら シ ン ボル を 紹 介す る こ とに な る. 美 男美 女 の威 光 の効 果 で,盲 人 も,聾 者 も そ して車 椅 子 の人 も さ らに美 化 され,新 聞 が 文 字 に よ って 拍車 を掛け る.美 化 の フ ィル タ ーを何 枚 も通 る結果 ,読 者はテ レビや映 画に 登 場す る障 害 者 の姿 と,う るわ しき俳 優 の姿 とを オ ーバ ー ラ ップ させ て 見 て しま う危 険 性 す らあ る.そ こ に は現 実 性 の稀 薄化 現 象 が 存 在 す る. こ の時 期 に 切 り抜 いた 記 事304件 の 内 じつ に30件 が障 害 者 が登 場 す る テ レ ビ ドラ マ ・ ド キ ュ メ ン タ リー そ して 映画 の記 事 で,全 体 に 占 め る割 合 は10%近 くに な って い る. こ の期 間 を 通 して 精 神 遅 滞 は 全 部 で8件, 精 神 障 害 は3件 とい う数 学 と比 較す れ ぽ,映 像 を新 聞が 紹 介 す る記 事 は 驚 くべ き数 な ので あ る. 話 題 性 とい う点 で は,ド ラマや 映画 は 障 害 の理 解 に つ な が る記 事 の作 成 も可 能 で あ ろ う が,世 間 に 迎 合 しム ー ドに 流 され ず,ノ ーマ ライ ゼ ー シ ョソ及 び イ ソテ グ レー シ ョ ンの視 点 か ら見 て奥 行 の 深 い記 事 の登 場 を望 み た い と ころ で あ る. 運動 障害 者 を主 人 公 に した ドラマが2本 と ドキ ュ メ ン タ リー1本 が5月 中 に相 次 い で放 送 され,「 試 写 室 」(A・Y)と 「視 聴 室 」 (M)で 紹介 され た. (1)ド ラマ 「お ふ くろに脱 帽!」(フ ジ系) の掲 載 写 真 は3紙 と も 同一 で あ るが,紹 介 の 仕 方 は新 聞 に よる違 い が あ る. 「や す っぽ い感 傷 に陥 らず,生 命 の 感 動 を 誘 って い くの は,制 作 側 の理 解 の深 さ を示 す もの だ ろ う.」(A・5/5) 「生 き る喜 び に 焦 点 を 当 て 明 る くま とめ た 構 成 も成 功.き び しい 身 障 者 の現 実 を 考 え さ せ られ る作 品 だ.」(M・5/5) 「坂 上 は見 事 に役 に な り切 り,身 障 者 の言 うに言 わ れ ぬ 心 のつ ら さと,生 き る素 晴 ら し 一48一
さ を 熱 演 し た.家 族 で 見 て 欲 し い 作 品 で あ る.」(Y・5/5) こ の 番 組 に は 聴 覚 障 害 者 を 考 慮 して 字 幕 ス ー パ ー が 付 い た が,3紙 と も 当 日 の 紹 介 の 中 で ふ れ て い な い. 1ヵ 月 ほ ど 経 っ て,こ の 番 組 を 見 た 障 害 児 の 親 か ら,ド ラマ に は 感 動 し た が 現 実 の 厳 し さ と の 間 に ギ ャ ッ プ を 感 じ た と い う投 書 が 載 っ た.「 世 の 中,そ れ ほ ど 障 害 者 に 対 し 甘 く は な い は ず.私 自身 も障 害 児 を 持 つ 母 親 と し て,彼 の よ う に 将 来 自 立 し,親 が 少 な く と も 安 心 し て 老 い て 行 け る よ う に な っ た ら,と 思 う の で す が,言 葉 で 自 分 の 気 持 ち を 表 現 で き ず,知 恵 遅 れ と な れ ば,自 立 な ど 望 め そ う も あ り ま せ ん.略 弱 い 者 に 対 して も差 別 な く,も っ と理 解 を 示 し て 下 さ る よ う, 心 か ら願 う も の で す.」(Y・6/17) (2)ド ラ マ 「車 椅 子 か ら ウ イ ン ク 」(朝 日 系)の 紹 介 を 掲 載 した の は2紙 で 評 価 が 大 幅 に 異 な る. 「共 感 を 誘 う 自 立 へ の 道 」 とい う見 出 し で 「つ い 最 近 フ ジ 系 で 放 送 され た 『お ふ くろ に 脱 帽!』 な ど も含 め て,こ う し た ドラ マ は 障 害 者 の 自立 へ の 関 心 を 深 め る た め に 必 要 な の だ ろ う.」(A・5/16) 厂障 害 者 の 愛,喜 び と不 安 」 とい う見 出 し で 「頑 張 っ て 生 き る こ と の 素 晴 ら し さ と,そ. れ に も増 し て,女 性 が 男 性 に 甘 え て 生 き る こ と が,い か に す て き な こ とか を 教 え る 青 春 ド ラ マ に な っ た.」(Y・5/16) こ の ド ラ マ に 関 す る 感 想 で,「 私 も 障 害 者 同 志 で 結 婚 して い ま す が,r生 き 抜 く 』 と い う こ と は,健 常 者 よ り も壮 絶 な ま で の 闘 い と 苦 しみ が あ り ま す.ド ラ マ で もそ れ が よ く出 て い た.例 え ば,包 丁 を足 で 持 ち 悪 戦 苦 闘 す る 場 面 や 略 障 害 者 っ て 人 並 み に 暮 ら した い 夢 を 皆 も っ て い る の だ と 感 じ ま し た.」 と い う投 書 が あ る. 主 人 公 の モ デ ル た ち は 手 記 を 出 版 し,す で に 新 聞 等 の マ ス ・ メ デ ィ ア に よ っ て 紹 介 さ れ そ の ドラ マ 化 で あ る.手 記 よ り も,ド ラ マ, そ して ド ラ マ 自 体 よ り も 新 聞 評 と 形 を 変x .る に 従 って 現 実 性 が稀 薄 にな り,主 人 公 であ る 障 害 者 が 美 化 さ れ,ヒ ー ロ ーそ し て ヒ ロ イ ン に 変 身 して い っ て しま う.(*7) ドラマ の 視 聴者 が障 害者 で あ った り,障 害 者 の 家 族 で あれ ぽ,自 己 の体 験 との関 わ りに お い て 的 確 に批 判 もす る し(Y),共 感 もで き る(A),し か し障害 者 と接 す る機 会 を もた な い 多 くの視 聴 者 は ど うであ ろ うか.美 男美 女 演 ず る主 人公,新 聞 の文 字 に よ る修 飾 語 の重 ね 着,こ れ ら の手 順 に よ って 何枚 もの美 化 の フ ィル タ ーを 掛 け た 結 果 を マ ス ・メデ ィア に よ って 大 衆 は 受 け取 って い るの で あ る. 今 か ら足 掛 け10年 前 の 新 聞 記 事 が あ る. 「自立 した 重度 障害 者,ア パ ー トで が んば る 小 山内 さん,イ モの皮 む きに40分,最 低 の 介 助 で 自由 な生 活 」(A・1980年11月15日)と い う見 出 しが つ いた7段 の記 事 で 写真2枚 も 掲 載 され 大 き な取 り扱 い であ る. こ こで 紹介 され た 女 性 が さ らに 人生 を歩 み, 手 記 を 出 し,そ れ が 「車 椅子 か ら ウイ ン ク」 とい う ドラマ の 主 人 公 に な る. 当時 の 新 聞 に は 「重 度 身 障者 だ って,施 設 に押 し込 め られ 社 会 か ら隔離 され る よ り,自 分 の意 思 で 自由 な 生 活 を した い.必 要 な世 話 は こ ち らが頼 ん だ こ とだ け をや って ほ しい 」 とか,「 小 山 内 の 試 み に 共 鳴,最 近 新 た に2 人 が 加 わ り,同 じア パ ー トに住 み 始 め た.… 略 だ が,障 害 者 全 員 が こ う した 生 活 が送 れ る よ うにす る に は,国 や 自治体 の援 助 が不 可 決 だ,と 小 山 内 さ ん は 考 え る.」 と あ る. 国際 障 害 者 年 の前 年 の記事 で あ る こ とを考 えれ ば,じ つ に ノー マ ライ ゼ ー シ ョン とイ ン テ グ レー シ ョン の方 向 を見定 めた 記 事 で あ っ た とい え る.こ の10年 後 の ドラマ の新 聞 評 で も,朝 日新 聞 は 「共 感 を誘 う自立 の道 」 とあ り,年 月 の経 感 に もか か わ らず,主 題 を 見 失 わ な か った こ とに安 堵 す る. (3)ド キ ュメ ンタ リー 厂TIME21誕 生! 新 米 弁 護 士 と新 米 マ マの 車 椅 子 奮 戦 記 」(日 本 系)と い うテ レ ビの 紹 介 記事(5/22)が あ った が,取 り扱 い は 地 味 で あ る.特 に 読 売 新
聞 は 写 真す ら掲 載 せ ず,簡 単 な説 明 に と どめ て い る.ポ リオの 後 遺 症 の あ る夫 婦 の 日常 を 5年 間 に渡 って 取 材 した 記 録 で,専 門 的立 場 か らは実 に良 く制 作 され た と思 うが,新 聞 は 単 に概 略 を紹 介 す るだ け で あ る. マ ス コ ミの受 け 手 であ る大 衆 は 実 像 を知 り た い と望 む のか,あ る い はそ うでは な くて, 虚 像 や 非 日常 性 を重 視 す る のか.生 の情 報 を 得 た い と望 む の か,逆 に 入念 に役 工 され た 製 品 を欲 す るの か.現 実 性 の 稀薄 化 現 象 は実 像 と虚 像 の 混 在 化 現 象 に もつ な が りや す い. 本 文 で 「フ ラ ンク永 井 さ ん 」(Y夕 刊 ・6/ 6)の 記 事 にふ れ た が(*1)紹 介 内 容 と共 に写 真 の 肖像 権 に 関 して 本 人 の 承 諾 を得 て い るだ ろ うか,そ して 承 諾 が得 られ る よ うな状 態 だ ろ うか と い う疑 問 を 抱 く.(*8)ド ラ マ の 俳 優 で は な く,障 害 を抱 え る私 人 で あ る.記 事 の 作 りは誠 実 で あ る が,有 名 人 だ け に疑 問 の残 る記 事 であ る. 報 道 す る側 の 先 入感 や セ ソセ ー シ ョナ ルな 表 現 に よ って,報 道 され る側 の意 思 が伝 わ ら な い危 険 性 は な い だ ろ うか.重 い精 神 遅 滞 者 や 幼 い 障 害 幼 児 の場 合 は,本 人 の意 思 は ど う な るで あ ろ うか.ド ラ マの 紹 介 を頂 点 に して 報 道 に 加 工 が 避 け られ ない な ら,報 道 され る 側 の人 権 及 び 客観 的 科 学 的 情報 の提 供 の有 無 に つ い て疑 問 が 付 き ま と う. 2.新 聞 と映 像 の連 動 現 象(そ の2) 障 害 者 理 解 へ の 貢献 マ ス ・メデ ィアは 人権 の促 進 に貢 献 す る役 割 が あ る と最 初 に 記 した.障 害 者 に 対 して ノ ー マ ライゼ ー シ ョ ンと イ ソテ グ レー シ ョソを 促 進 す る役 割 が あ り,そ れ に は障 害 者 へ の 偏 見や 差 別 を除 去 し,誤 解 を正 す 使 命 も あ る. 障 害 に対 す る誤 解 の顕 著 な例 を ひ とつ 示 そ う. 「団塊 の 世 代 ほ ど攻 撃 で も破 壊 的 で もな い 新 人 類 は,登 校 拒 否,出 社 拒否,自 閉 症,転 職,ド ロ ップ ア ウ ト等hで,消 極 的 間 接的 に意 思 表 示 を してい る.」(中 野 収 著 「会 社 に 異 星人 がや って きた!」 講 談 社,1987年,35 ペ ージ)と い う文 章 があ る.修 飾 語 等 を取 り 去 り,骨 組 み だ け に して み る と 「新 人 類 は 自 閉 症 で 意 思 表 示 を して い る」 とな る. 著 者 が 自閉 症 を誤 解 して い るの は 明 らか で あ る が,自 閉症 につ い て知識 の な い 読 者 は 鵜 呑 み にす る 危険 性 があ る.自 閉 症 に つ い て の 誤 解 は枚 挙 に い と まが な い.他 の障 害 に つ い て も誤解 や 知 識 の 欠 如 が真 の 理 解 を妨 げ て い る場 合 が あ る. と ころ で例 年 な ら新 聞 の記 事 にな らな か っ た 自閉 症 が,映 画 「レイ ソマ ソ」 の ヒ ッ トに よ って 何 回 も紙 面 を飾 った.映 画 評 は別 に し て,機 を 逃 さず,世 間 に流 布 す る誤 解 を 解 く 役 割 を 的 確 に 演 じた 記 事 が4件 あ るが見 てみ よ う. (1)好 例 は 「映 画 『レイ ン マ ン』 の ヒ ッ ト, 自閉 症 理 解 の一 助 に,現 代 病 で は な い 障 害」 (Y・3/14・ 解 説 の ペ ー ジ)で あ る.(*9)そ の 中 で 「この 映画 はr自 閉 症 の 映 画 』 で は な い が,自 閉症 の こ とを本 当に よ く調 べ た 映 画 な の で あ る.」 と述 べ て い る.最 後 にrr自 閉 症 は 現 代 病 』 とい った誤 解や,rカ ジ ュア ル な 自閉 症 』 とかr自 閉 症社 会 』 とい った,言 葉 の誤 用,悪 用 が な くな って ほ しい と思 う.」 と結 論 づ け て い る. ② 自 閉症 児 の父 親 で あ る記 者 が 自 ら の体 験 を 記 事 に し,社 会 の理 解 を 訴 え る ひ と コマ も見 られ る.「 自 閉 症 児 を抱 え て,知 って ほ しい 本 当 の姿,誤 った 比 ゆ の 乱 用,世 間 の 誤 解 を増 幅 」(M・5/4・ 記者 の 目) 長 文 だ が,記 事 の構 成 は,高 い評 価 受 けた 「レイソマソ」,心 の病 とは全 く別 の障 害,い わ れ な き非 難 ・中傷 に悩 む親,と い う順 にな って い る.結 論 でrr自 閉 』 と い う比喩 の乱 用 は, 本 来 の 自 閉症 を社 会 的 に抹 殺 しかね な い し, 誤 った 自 閉症 の姿 を社 会 全体 に定着 させ るだ け だ ろ う.」 と書 い て い る. (3)読 者 か ら 「自閉 症 の真 の 姿 を名 優 の演 技 に見 た 」(A・4/9)と い う投稿 が あ る.「 自 閉症 の 息子 を持 つ親 と して思 わ ず 快 哉 を 叫 ん だ.今 まで のわが 国 のテ レビ ドラマに も,何 度 か 自閉症 児 が 登 場 す る こ とがあ った が,そ の ほ とん どがr自 閉』 と言 う言葉 の イ メ ージ を 50一
映 像 化 した だ け で,自 閉 症 の 真 の イ メ ー ジ を 伝 え る ど こ ろ か,か え っ て 誤 解 を 助 長 す る よ う な ケ ー ス が 多 く,そ の つ ど憤 慨 させ られ た も の だ.略 名 優 は,表 現 の 至 難 と 思 わ れ る よ うな 様 々 な 自閉 症 の 特 性 を,よ くぞ こ こ ま で と 思 う ほ ど,微 細 な 点 ま で 見 事 に 演 じて くれ た.」 とあ る. 結 論 で 「自 閉 症 児 ・者 た ち の 社 会 参 加 が 周 囲 の こ う した 温 か い 目 に 大 き く支xら れ る こ と を 思 う と,も う一 度 ダ ス テ ィ ン ・ホ フ マ ン の 名 演 技 に 拍 手 を 送 りた い 気 持 に な る.」 と 言 っ て い る. (4)他 に も 同 じ主 旨 で 書 か れ た 記 事(M夕 刊 ・6/27・ 憂 楽 帳)が あ る. しか し そ の 反 面,新 聞 が 内 包 す るい くつ か の 矛 盾 や 疑 問 も露 呈 して い る.「rレ イ ン マ ン』 を 見 て,心 の 障 害,子 を 信 じ,ゆ っ く り愛 情 を 」(M・5/18・ パ パ の 歳 児 記)と い う よ うに 誤 解 を 招 く記 事 も 掲 載 され て い る.筆 者 は 大 病 院 の 小 児 科 医 師 で あ る. 先 に 引 用 し た 本 の 著 者 は 大 学 の 教 員 で あ る. 専 門 家 と呼 ぼ れ る 人 々 の一 人 よ が りは 影 響 も 大 き い だけ に,使 命 感 と認 識 の 欠 如 を 感 じ る.こ の 「歳 児 記 」 は 「記 者 の 目」 「憂 楽 帳 」 と 同 じ 新 聞(M)で あ り,読 者 に 矛 盾 を 突 き つ け る 結 果 に な っ て い る. さ ら に 先 の 「記 者 の 目」 の 記 者 は,切hた る 思 い や 正 しい 情 報 を 伝 達 した 功 績 を カ ウ ン ト して も,公 の マ ス ・ メ デ ィ ア を 記 者 の 特 権 と し て 利 用 し た と い う 問 題 が あ る .こ の 記 者 と 同 じ よ うに 自 閉 症 児 が い る 親 へ の イ ン タ ビ ュ ー を 記 事 に し た の で あ れ ぽ 読 者 と し て は 納 得 で き る.こ れ ら マ イ ナ ス の 例 は 毎 日新 聞 で あ る が,他 の 新 聞 で も 起 こ る か も し れ な い. ノ ー マ ラ イ ゼ ー シ ョ ン と イ ン.テグ レ ー シ ョ ン の 方 向 を 目指 して,社 会 を 啓 蒙,教 育 し, 誤 解 を 解 く と い っ て も 容 易 で は な い.し か し 障 害 が 日 常 生 活 に な り切 っ た と き,こ れ ら の 矛 盾 は 縮 小 す る は ず で あ る. 3.報 道 され る障 害 者 と 報 道 す る 新 聞の マ ス コ ミ観 ① 障 害 者 と新 聞 記者 の マ ス コ ミ観 10年 来,新 聞 に 表 現 された 障 害 者 観 に つ い て 継 続 的 に 研 究 して き た.し か し単 な る一 方 的 な分 析 に と ど ま らず,報 道 され る障 害 者 そ して報 道 す る側 の新 聞社(新 聞記 者)が ど の よ うに新 聞報 道 を認 識 して い るか につ い て 総 合 的 に 考 察 す る 必 要 性 を感 じて い た.と は い え個 人研 究 では 自 ら壁 の あ る とい う事 実 も, 認 め な いわ け に は い か な か った. しか し 「障 害 者 とマ ス コ ミ」 とい うシ ソポ ジ ウ ムに 参 加 し,疑 問 へ の 回答 の一 端 を把 握 で きた の で報 告 す る.東 京 都 社 会 福 祉 協議 会 ・授 産 施 設 連 絡 会 に よ り,1989年8月 に 開 催 され,シ ンポ ジス トはNHK生 涯 教 育 部 チ ー フデ ィ レク タ ーの玉 谷市 太 郎 氏,読 売新 聞 社 科 学 部 次 長 の吉 川 正 義 氏,前 筑 波 大 学 付 属 桐 力丘 養 護 学 校 教 諭 の 山 県喬 氏 そ して 司会 を 兼 ね て 筆 者 の4名 で あ った(以 降 文 章 中 では 敬 称 を 略 し,名 字 のみ とす る).新 聞 報 道 に 関 して のみ,本 研究 と重 ね て み る. ② 障害 者報 道 に対 す る障 害者 の マス コ ミ観 山県 は,18歳 か ら54歳 まで の運 動 機 能 の障 害 者15名 につ いて 「マス コ ミに対 す る要 望 と 批 判 」 と い う自由 記述 方 式 の ア ソ ケ ー ト結 果 の報 告 が あ った.そ れ を一 覧 表 に ま とめ た も の が表2で あ る. 特 徴 的 な ケ ース を見 てみ る. No.1の 生 徒 は 脳 性麻 痺 であ るが 精 神 遅 滞 は 伴 なわ な い.に もか かわ らず,「 周 囲 か ら援 助 され なけ れ ば生 きてゆ け ない 弱 者 」 と書 か れ 新 聞 不 信 に 陥 った とい う. この生 徒 を取 材 す る に 当た って 親 の 承 諾 は 得 た とい うが,取 材 され る本 人 の 人 権 と意 思 を尊重 す る姿 勢 が 求 め られ る.こ れ に つ い て は本 文(本 文 で述 べ た新 聞 報 道 に 対 す る懸念 ・不 信 ・批 判 と合 致 す る個 所 は,(*)印 の番 号 で表 示 す る.以 下 同 じ)で 指 摘 し た点 に一 致 す る.(*1・*8) これ は 表3に ま とめ た ⑤ の理 解度 が低 い, ⑧ 報 道 が 不 適 切 で あ る とい った,報 道 す る側
か らの指 摘 に も合 致す る.記 者 の無 知 と先 入 観 に よる だ ろ う.障 害 者 との 現実 的接 触 の経 験 を もた な い 記者 も多 い に もか かわ らず,新 聞 社 として 障 害 者 に つ い て学 習す る機 会 はな い とい う. No.4の 会 社 員 は 行 動 派 の 男 性 で あ る とい う が,マ ス ・メデ ィアの手 にかか る と,日 々本 人 が感 じる無理 解 が的確 に報 道 され ない ギ ャ ップ に感 じる苟立 ち で あろ う.こ れ は表3の ③ セ ソ チ メ ン タル で あ る,そ して⑥ 問題 の掘 り下 げ が 足 りな い,と い った 批判 に重 な る. No.14の男 性 が 指 摘 の とお り ドラマ に な る と 原 作 の迫 力 が 落 ちて しまい,そ してNo.4の 人 が不 満 を抱 く よ うに,さ らに きれ い ご とに な って い く.(*7) 大衆 に受け入れて もらいやすい ドラマは,視 聴 者 の ニーズであ る娯 楽性が優 先す る とい う条件 が あ る し,仮 に ドキ ュ メ ソタ リーで も,不 特 定 多 数 の大 衆 に マ ス ・メデ ィア を媒 体 と して 伝 え るに は,限 界 の あ る こ と も認 め な くて は な らな い.こ の よ うに両 面 背 反 的 な宿 命 があ る に して も,新 聞 を含 め て マ ス コ ミの報 道 の仕 方 には 問 題 を残 して い る と思わ れ る. No.6の 女 性 は 先 天 性 骨 形 成 不 全症 で あ る. 通 勤 のた め を 考 えて 運 転 免 許 を 取 得 し,事 務 能 力 もあ り就 職 活 動 を して い るの に 就職 先 が な い.働 きた い 者 の意 志 や 能 力 を 汲 み 上げ て マ ス コ ミは報 道 して 欲 し い,と 言 って い る. 毎 年秋 に な る と身体 障 害 者 雇 用 促 進 法 の実 施 状 況 に 関す る報 告 が新 聞紙 上 を飾 る が,報 告 書 の伝 達 に と どま り,障 害 者 や 雇 用 主 が 抱 え る問題 の掘 り下げ に乏 し く,具 体 的 な問 題 が 明 らか に され て い な い.新 聞 に関 して は 就 労 に 関す る記 事 そ の もの が極 端 に少 な い.(*4) 表3の 「障 害 者 の取 材 分 野 」 か ら 「労 働 」 あ る い は 「経 済 」 が 欠 落 して い る の は問 題 で あ る.障 害者 に理 解 を示 す ベ テ ラ ン記 者 で さ え こ うで あ る か ら,一 ・般 的 に は 障 害 者 の就 労 に 対 す る理 解 は 低 い と推 測 で きる.こ のNo.6 の 願 い に もか か わ らず,就 労 関 係 の記 事 の少 な く,あ って も福祉 サ イ ドか らの 記事 に傾 き 労 働 や経 済 が 弱 い の は 当 然 で あ る と考 え られ る.し か も就 労 は セ ソセ ー シ ョナ ル な題 材 に は な ら ない し,セ ンチ メ ソ タル リズ ムを刺 激 す る もの で も ない. シ ソポ ジ ウム で も話 題 に な った が,社 会 の 理 解 を得 る た め に障 害 者 が 報 道 して ほ しい ニ ー ズ を マス コ ミ関係 機 関 に働 き掛 け る とい う 行 働 も求 め られ るだ ろ う. 障 害 者 は,家 に い て暗 い人(No.7),ひ っ そ りして い る,あ るい は辛 さに 耐xて 闘 って い る 人(No.11),重 い障 害 を乗 り越 えて(No. 12),か わ い そ うで 何 もで き な い人(No.8) とい った 報 道 をす る とい う4人 の意 見 があ る. 新 聞 には 社 会 の 障 害者 に 対す る 意識 が凝 縮 され て い る とい うの が 私 の仮 説 で あ る が,以 前 指 摘 した 事 実 と(人 間 科 学部 紀 要 第7号, 29ペ ー ジの 第2図 「頻 繁 に 使 用 され る 障 害者 を表 現 す る用 語 」,岩 崎 学 術 出 版 社 「心 身 障 害 人間学 」24ペ ージの3表)に 一致 す る.し か も,こ の よ うな表 現 に対 して障 害 者 自身 が 不 快 に 感 じ るの で あれ ば,問 題 であ る. これ まで の 研 究報 告 で も指 摘 し,今 回 も述 べ た が,困 難 を克 服 しチ ャ レン ジ精 神 旺 盛 な 障 害 者 が紙 面 を飾 る場 合 が多 い.車 椅 子 の 人 や 視 覚 障 害 者 が よ く登 場す るが,マ ス コ ミに 彩 りを 添xる 人 に 限 られ て い る. 障 害 者 は 困難 をす んな りと ク リアす る と思 わ れ る よ うな報 道 は 困 る(Na9)が あ る が, 健 常 者 が 納 得 す る よ うな形 で 成 功 しな い障 害 者 も多 い は ず で あ る.山 県 の ア ン ケー トに 回 答 した 障 害 者 は 自己 の見 解 を述 べ る能 力 があ るが,ど ん な報 道 の され 方 で あ って も,そ の 是 非 を判 断 で き ない 障 害者 も少 な くな い. 健常 者 の 論 理 で マ ス コ ミがつ くられ る とこ ろに 原 因 が あ るわ け で,Na12の 「な ぜ 報 道 す る側 に障 害 者 が い な い の だ ろ うか 」 とい う素 朴 な 疑 問 に つ な が る. どん な に 障 害 が 重 度 で あ っ て も,普 通 学 級 へ と強 調 す る 傾 向 が あ る とい うNo.13の批 判 は,私 もず っ と抱 ぎ続 け て きた.(*2°*3) 吉 川 は,今 や 教 育 を 取材 す る新 聞記 者 の 関 心 は 大 学 入 試 や学 校 の 荒 廃 に 向 い て い る(表 3-3)と い う指 摘 か ら,現 在 の 障 害 児 教育 52一
に 関す る記 事 は,養 護 学 校 義 務 化 で盛 り上 が った 昭 和54年 前 後 の 「障 害 児 を普通 学 級 へ 」 の流 れ に乗 って い るだ け だ と考 え られ る.統 合 教 育 へ の方 策 を掘 り下 げ な い うち に(表3 -1一 ⑥)関 心 は 他 に移って しま い,一 過 性 で 持 続 性 が 無 い(表3-1一 ①). テ レビが 視 聴 率 を競 うよ うに,新 聞 は販 売 の シ ェ ア との 戦 い で あ る.読 者 あ っ て の新 聞 であ るか ら読 者 が 好 ん で 読 む よ うな新 聞 に し なけ れ ば な らな い とい うジ レ ンマ も あ る. 障 害 者 関 係 の 記 事 自体 が 少 な くな っ て い る現 在,既 成 慨 念 を 破 り,現 実 を直 視 し方 向 性 のあ る記 事 が 望 まれ る.少 数 精鋭 主義 で チ ヤレ ンジ して も らい た い.シ ソ ポ ジ ウ ムで話 題 に な った が,障 害 者 や 障 害 者 と身 近 な 人 々 が記 者 を 育 て る くらい の心 意 気 が 必要 で,新 聞社 に細 や か な 連 絡 を す る 日常 の努 力 が 求 め られ て い る.報 道 され る側 が 受 身 の ま ま で は いけ ない. ③ 障 害 者 を報 道 す る新 聞 のマ ス コ ミ観 報 道 され る側 の障 害 者 か らの マ ス コ ミに対 す る意 見 の中 で,報 道 す る側 の 事 情 を重 ね て 紹 介 した の で,す で に新 聞 の側 の マ ス コ ミ観 は あ る程 度見 て い る こ とに な る. 明 らか に され た の は,障 害 者 を報 道 す る側 の 人間は,障 害者関 係 の専門 家 では ない し,こ れ を継 続 的 に取 材 して い るわ け で もな い.ま してや 障 害 者 自身 では ない とい う事実 であ る. そ の よ うな状 況 で つ くられ る記 事 が,新 聞 と い う大 衆 媒体 を通 して,大 衆 に計 り知 れ な い 影 響 を及 ぼ して い る の が現 実 で あ る. 障 害 者 の 側 か ら指摘 され た 問 題 点や 要 望 が 貴 重 で あ る こ とに は変 わ りない が,障 害者 問 題 に 関 して は新 聞 は社 会 の障 害 者 の意 識 を如 実 に 映 す鏡 で あ る とい う仮 説 は正 しい とい え るだ ろ う. 吉 川 が 指摘 す る,「 読 者 が マス コ ミに 抱 く 不 信 感 ・批 判 」 の9項 目(表3の1)は,本 文 の 各所 で指 摘 した点 に一 致 す る.し か し障 害 者 の ノ ーマ ライ ゼ ー シ ョ ン及 び イ ン テ グ レ ー シ ョンに 明 る い 記者 が いれ ば ,こ の方向に 向 け て 社会 を啓 蒙,教 育 し,そ して リー ドす る新 聞記 事 は紙 上 に表 わ れ,大 衆 の心 に 刻 ま れ るわ け で あ る.書 いた 記 者 あ るい は 論説 委 員 の名 前 が 記 され て い る記 事 には 良 い ものが 多 い.(*5・*6・*9) 読 者 の側 も新 聞 の 内容 を鵜 呑 み にす るだけ で な く,批 判 的 に見 る 目,重 要 な点 を抽 出す る判 断力 を形 成 しなけ れ ぽ な らな い. シ ンポ ジ ウ ム結 果 や 資料 か ら,新 聞報 道 一 般 につ いて 拡 大 解 釈 した り,障 害者 一 般 の要 望 で あ るか の よ うに決 め つ け る のは 差 し控 え なけ れ ば な ら ない.し か し障 害 者 と新 聞 報 道 に 関 して総 合 的 に 考xる ま た とな い機 会 で あ った の で,従 来 の 研 究 との関 連 か らふ れ てみ た. 表2運 動障害者のマ スコ ミに対する要望 と批判 No.性 別 年齢 職 業 要 望 と 批 判 1男 18 生 徒 入院 ・転校で取材 された.新 聞は援護のつ もりらしいが,周 囲か ら援助され なけれ ば生 き てゆけ ない知恵遅れの弱者 と書かれ不愉快だ った. 2男 19 公務員 人 間 は 本 来 自分 の こ と しか 考 え られ な い の で,そ こ か ら差 別 が 生 じる.し か し良 い機 会 に 恵 まれ れ ぽ 理 解 し合 え る. 3女 19 普通 の 人 な ら当 前 の こ とを 「一 杯 の かけ そぽ 」 の よ うに作 られ る.マ ス コ ミ との接 し方 次 第 で この よ うな 書 か ら方 は 避 け られ るか も しれ な い. 4男 r 20 会社員 車 椅 子 の 人 は 図 々 しい く らいで な い と電 車 に乗 れ な いが,駅 員 か ら迷惑 だ と 言わ れ る.き れ い ご とは い らな い か ら,こ の 現 実 を報 道 して ほ し い
Na性 別 年齢 職 業 要 望 と 批 判 5女 20 マス コ ミ関 係 者 は 軽 度 の 障 害者 の こ と も理 解 して ほ しい.そ れ に よ って 障 害 者 全 体 へ の 理 解 が 変 わ るか も しれ な い. 6女 20 「身体障害者雇用促 進法」は形だけで拒否的姿勢 が強い.働 きたいものの意志や能 力を汲 み上げてマス コ ミは報道 してほ しい. 7女 21 会社員 障害 者 は 家 に い て暗 い 人 とい う通 念 が,報 道や ドラ マ に反 映 して い る.明 るい 人 もい ま す とい いた い.自 分 が感 じる困 難 さが 表 現 され て い な い. 8男 21 学 生 障 害 者 で あ る 前 に 人 間 と して 生 きた い.障 害 者 は か わ いそ うで 何 もで きな い 人 とい う見 方 が あ るの で,当 り前 の こ とで も美 化 して報 道 され る. 9女 21 学 生 障 害者 は 困難 を す ん な り と ク リアす る と思 わ れ る よ うな報 道 は 困 る 。世 の 中 に は 障 害 老 が い るの が 当 り前 とい う理 解 の仕 方を して ほ しい. 10女 22 障 害者 自身 が メデ ィア で ものが 言Z.る と よ い し,ド ラ マ に も障 害 者 が 出演 した ら ど うだ ろ うか. 11女 27 障 害 者 は ひ っそ りして い る,辛 さ に 耐 え て闘 って い る とい った イ メー ジを つ く って い る. 自分 の よ うに 最 重 度 者 は この よ うな 報 道 とも無 縁 で あ る. 12女 33 公務員 確か に事実だけの報道では物足 りない.重 い障害を乗 り越えて とい う表現は好 きでない. なぜ報 道す る側に障害者がい ないのだろ うか. 13男 40 どんなに障害が重度 で も普通学級へ と強調す る傾向があ る.現 実の福祉 政策との関連を抜 きに して個hの ケースを取 り上げ るのは どん なものか. 14男 40 障 害者 の側 に マ ス メ デ ィア を利 用 す る くらい の 気 構 えが ほ しい.ド ラマ は製 作 者 に よ って 料 理 され て しま い,「 車 いす か らウ イ ソ ク 」 で は 迫 力 が 落 ち た.優 れ た 熱 心 な 新 聞記 者 に 取材 され た経 験 が あ る. 15男 54 マス コ ミは現実に追従す るのでな く,新 しい認識 と受 け手に緊張感を与え る取 り上 げ方が 大切で ある.障 害者に発言 させてほ しい. (東京都社会福祉協 議会 ・授産 施設 連絡 会シンポジウム 「障害者 とマス コミ」の 山県喬氏資料 よ り) 表3新 聞 記 者 の マ ス コ ミに 対 す る姿 勢 1.読 者 が マ ス コ ミに抱 く不 信 感 ・批 判 2.障 害 者 の取 材 分 野3.現 状 ① 憎過性 で継続性 がない. ① 福 祉 今 日的 な テ ー マ は ② セ ン セ ー シ ョナ ル で あ る. 「老人問題」で ある ③ セ ソ チ メ ン タル で あ る. ② 教 育 大学入試や 学園 の荒廃 に ④ プ ラ イ ベ ー トな 問題 に 立 ち入 り過 ぎ る. 目を向けてい る ⑤ 理解度 が低い. ③ 医 療 ⑥ 問題 の掘 り下げが足 りない. ⑦ 報道 して あげ る とい う態 度 が あ る. ④ 人権 と差別 ⑧ 報道が不正確であ る. ⑨ 言葉が不適切であ る. (資 料 の 出所 は表2と 同 じシ ンポ ジ ウム.読 売 新 聞 社 ・科 学 部 ・吉 川 正 義 氏 の 資料 よ り) 54一