人的資源の獲得と奨学金制度
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(2) 第8巻. 1.は. 第1・2号. じ. め. 近 年 の グ ロー バ ル化 に伴 い以 前 よ り生 産 要 素,と れ て き て い る。 本 来,国. に. りわ け労 働 者 の 国 際 間 の移 動 が注 目さ. 際経 済 学 で は 自由貿 易 の下 で財 の 自由 な移 動 は可 能 で あ る が,資. 本 や労 働 とい った生 産 要 素 の移 動 が不 可 能 で あ る か も し くは強 く制 限 さ れ る 限界 を 国境 と して表 現 して き た。 しか しな が ら,国 際 的 な経 済 環 境 の変 化 と と もに資 本 の 自由化 に始 ま り,労 働 者 の 国 際 間 の移 動 に 関 して も不 完 全 な が ら実 現 しつ つ あ る よ うに思 わ れ る。1950 年 か ら1970年 に か け て,と. りわ け オ ー ス トラ リア,西. ドイ ツ,フ ラ ンス そ して イ ギ リス で. は非 技 能 労 働 者 を 中心 と した広 範 囲 な労 働 不 足 に対 応 した移 民 政 策 が主 流 で あ った。 しか しな が ら近 年 で は,先 進 国 に よ る非 技 能 労 働 者 の受 け入 れ は ワー キ ング ホ リデ ー な どの一 時 的 な滞在 を許 可 す る ものが 中心 とな って い る。 そ の一 方 で,コ ン ピュ ー ター プ ロ グ ラマ ー や エ ン ジニ ア とい った技 能 労 働 者 の不 足 を解 消 す る た め に,先 進 国 は そ れ ら技 能 労 働 者 の 受 け入 れ を積 極 的 に促 進 して い る。 つ ま り,受 け入 れ る移 民 を そ れ 自身 の もつ技 能 水 準 に 応 じて選 別 す る政 策 が主 流 とな って い る。 こ う した先 進 国 に お け る技 能 労 働 者 の不 足 は, 先 進 国 で広 範 囲 に み られ る少 子 ・高 齢 化 も一 つ の要 因 と指 摘 さ れ て い る。 ま た技 能 労 働 者 の存 在 は,社 会 的 に は人 的資 本 と と らえ る こ とが で き る。 こ う した技 能 労 働 者 の増 加 に よ る人 的 資本 の蓄 積 が経 済 成 長 力 を高 め,ま た そ の 国 の先 端 産 業 の 国 際競 争 力 を強 化 す る こ とに な る。 従 って,先 進 国 が戦 略 的 に技 能 労 働 者 の受 け入 れ を促 進 さ せ る こ と も移 民 政 策 の変 化 の 主 要 な 要 因 で もあ る と考 え られ る。(Carbaugh(2007))こ. う した 人 的 資 本 と国. 際 的 な 労 働 の移 動 に 関 す る研 究 の先 駆 的 な もの と してBhagwati-Hamada(1974)が. あ. げ られ る。 非 技 能 労 働 者 と技 能 労 働 者 の二 つ の タ イ プ の労 働 者 を導 入 し,教 育 に よ って非 技 能 労 働 者 が技 能 労 働 者 へ と技 能 の レベ ル を上 げ る こ とが可 能 な モ デ ル で分 析 して い る。 彼 ら は,Bhagwati-Hamada(1982)に (1973)の. て 教 育 に よ る技 能 の 上 昇 に 関 してAtkinson. 教 育 モ デ ル を 用 いて よ り拡 張 し,二 国 間 の技 能 労 働 者 の移 動 に対 す る政 策 な ど. を分 析 して い る。 ま た,人 的資 本 で あ る技 能 労 働 者 の発 展 途 上 国 か ら先 進 国 へ の移 動 は, 送 り出 す側 の発 展 途 上 国 に と って希 少 な 資源 で あ る人 的 資本 の喪 失 で あ り深 刻 な経 済 問題 とな る。 こ う した頭 脳 流 出 を取 り上 げ た 先 駆 的 な も の と してKwok-Leland(1982)や Kats-Stark(1984,1987),ま. たMiyagiwa(1991)が. あ げ られ る。 前 者 は,企 業 が持 つ. 労 働 者 の技 能 に 関 す る情 報 が先 進 国 と発 展 途 上 国 との 間 で非 対 称 で あ る こ とが,技 能 労 働 者 の先 進 国 へ移 動 の要 因 と して い る。 一 方 後 者 は,技 能 労 働 者 の集 積 が技 能 の ス ピル オ ー -94(94)一.
(3) 人 的資源 の獲得 と奨学金制度(福 井) バ ー を通 じて生 産 に 関す る規 模 の経 済 性 を生 み 出 し,各 国 間 の技 能 労 働 者 の集 積 の規 模 の 差 異 に よ る 生 産 性 の 違 い が,技 Ionescu-Polgreen(2009)で. 能 労 働 者 の 国 際 移 動 を も た らす と して い る 。 ま た,. は 国 内 の移 動 が対 象 で は あ る が,高 等 教 育 へ の教 育 投 資 と高. 学 歴 者 の移 動 の 関係 を高 学 歴 者 の集 積 が生 み 出 す規 模 の経 済 性 を導 入 して分 析 して い る。 本 論 文 で は,Miyagiwa(1991)の す る。Miyagiwa(1991)に. 基 本 的 な 設 定 に従 い,先 進 国 と途 上 国 の 構造 を導 入. お け るモ デ ル は,人 口 に 関 して規 模 の大 き い国 に規 模 の小 さ. い 国 か ら人 的 資源 が流 入 す る とい う枠 組 み で あ る。 しか しな が ら,本 論 文 で導 入 す る発 展 途 上 国 で は技 能 労 働 者 を教 育 す る大 学 な どの機 関 が存 在 しな い。 従 って,発 展 途 上 国 の 国 民 が技 能 労 働 者 とな る た め に は,人 口 の規 模 の格 差 とは 関係 な く発 展 途 上 国 か ら先 進 国 の 大 学 へ 留 学 す る こ と で人 的 資 源 の流 出 が 生 じる と仮 定 して い る。 こ の仮 定 はMiyagiwa (1991)で. 用 い られ た 米 国 と台 湾 の よ うな 関 係 よ り,よ. り教 育 水 準 の格 差 の 大 き い先 進 国. と発 展 途 上 国,例 え ば ア フ リカ の諸 国 との 関係 を 明示 的 に分 析 す る た め で あ る。 ま た,先 進 国 間 に お け る発 展 途 上 国 の潜 在 的 な人 的資 源 の獲 得 競 争 も分 析 して い る。 先 進 国 に よ る 人 的 資源 の獲 得 競 争 に お い て用 い られ る手 段 と して,発 展 途 上 国 か らの留 学 生 に対 す る先 進 国 に よ る奨 学 金 制 度 が 用 い られ る。 こ の奨 学 金 制 度 はIonescu-Polgreen(2009)で. 導. 入 され た もの で あ り,そ の の特 徴 は よ く用 い られ る先 進 国 か らの給 付 方 式 は な く,完 全 貸 与 方 式 で あ る。 つ ま り,受 け取 った奨 学 金 の返 済 が必 要 とな る。 先 進 国 へ の発 展 途 上 国 の 留 学 生 が,こ の完 全 貸 与 方 式 に よ る奨 学 金 制 度 に よ り本 国 で あ る発 展 途 上 国 に帰 国す る可 能 性 が あ る こ とが示 さ れ て い る。 第2節. で はMiyagiwa(1991)に. 従 っ た基 本 的 な 設 定 を用 い,技 能 労 働 者 の 増 加 が も. た らす規 模 の経 済 が機 能 して い る経 済 を提 示 す る。 第3節. で は,第2節. で提 示 した経 済 が. 機 能 して い る先 進 国 と教 育 機 関 が存 在 しな い発 展 途 上 国 を導 入 し,発 展 途 上 国 か らの留 学 生 を受 け入 れ た場 合 の経 済 効 果 を 分析 して い る。 さ らに先 進 国間 の 人 材 獲得 競 争 に お いて, 非 対 称 に完 全 貸 与 方 式 の奨 学 金 制 度 を導 入 し,一 方 の先 進 国 へ の留 学 生 の集 中 に つ い て分 析 す る。 ま た最 後 に,先 進 国 の留 学 生 が卒 業 後 どの 国 で働 くか の選 択 に この奨 学 金 制 度 が 与 え る影 響 を分 析 す る。 第4節. で は結 果 を整 理 し,発 展 途 上 国 か ら流 出 した人 的資 源 の再. 流 入 に つ い て も言 及 して い る。. 一95(95)一.
(4) 第8巻. 2.基. 本 論 文 で は,Miyagiwa(1991)に. 第1・2号. 本 的 な設 定. 従 い 個 人 の 潜 在 能 力 の水 準 に 関 して 以 下 の よ う に仮. 定 す る。 個 人 の 潜 在 能 力 の 水 準 を α と表 し,そ て い る と す る 。 ま た,そ. れ は 区 間[0,1]に. お いて 連 続 して分 布 し. の 有 限 で か つ 正 で あ る 密 度 関 数 は ∫(α)は,. とす る。 個 人 は能 力 を潜 在 的 に持 ち合 わ せ て い る が,例 え ば大 学 の よ うな高 等 教 育 機 関 に お い て教 育 を受 け な け れ ば潜 在 能 力 を発 揮 で き ず非 技 能 労 働 者 とな る。 経 済 は単 一 の合 成 財 を労 働 だ け で生 産 し,非 技 能 労 働 者 は1単 位 の合 成 財 を生 産 す る。 そ の場 合,例. え ば大. 学 に進 学 しな い こ とを選 択 した個 人 が受 け取 る こ との で き る実 質 賃 金 ω。(α)は. とな る。 一 方,大 学 に進 学 す る こ とを選 択 した個 人 は,大 学 に進 学 して教 育 を受 け る と技 能 労 働 者 と して 評 価 され,自. らの 潜 在 能 力 の 水 準 に 応 じて技 能 労 働 者 と して の実 質 賃 金. ω、(α)を受 け取 る こ とが 可 能 とな る。 ま た個 人 は 自 らの潜 在 能 力 の 水 準 に 関 す る情 報 を 完 全 に把 握 して い る もの とす る。 潜 在 能 力 の水 準 αを 持 つ 技 能 労 働 者 の 実 質 賃 金 ω、(α) は,. と す る 。 こ の 時,以. 下 の こ と を 仮 定 し て お く。.
(5) 人 的資源 の獲得 と奨学金制度(福 井) た だ し,五(α)は 潜 在 能 力 の水 準 が α以 上 の能 力 を 持 つ個 人 の総 数 を示 し,. とす る。 式(2.2)は. 技 能 労 働 者 が この 経 済 の 中 で 増 加 す る こ とで 技 能 に 関 して 規 模 の経. 済 性 が生 じ,同 じ水 準 の潜 在 能 力 を持 つ個 人 で も大 学 へ の進 学 率 が高 け れ ば高 い ほ どよ り 高 い技 能 労 働者 の 実 質 賃 金 ω、(α)を受 け取 る こ とが で き る こ とを 意 味 して い る。 さ らに 式(2.3),(2.4)は. 技 能 労 働 者 の実 質 賃 金 関 数 ω、(α)が非 負 で か つ個 人 の 潜 在 能 力 水 準 α. に つ い て増 加 関数 で あ る た め の条 件 で あ る。 従 って,よ. り高 い水 準 の潜 在 能 力 を持 つ個 人. は よ り低 い水 準 の 他 の 個 人 よ り も受 け取 る こ との で き る実 質 賃 金 ω、(α)が高 くな る。 ま た,個 人 は 所L(α)]を. パ ラ メ ー タ ー と して 行 動 す る。 そ の 結 果,所 与 の 五(α)の もと で. 技 能 労 働 者 の実 質 賃 金 関数 は潜 在 能 力 水 準 αの 線 形 関 数 とな る。 大 学 に進 学 す る際,教 育 費 用c(>0)が. 必 要 とな り,こ の 費 用 は個 人 の潜 在 能 力 の水 準. に か か わ らず一 定 で あ る。 大 学 に進 学 した結 果,技 能 労 働 者 と して受 け取 る こ との で き る 実 質 賃 金 ω,(α)か ら教 育 費 用cを 差 し引 い た純 収 入 が,非 技 能 労 働 者 の 実 質 賃 金 ω。(α) を上 回 る の で あ れ ば個 人 は大 学 へ進 学 し,そ うで な け れ ば進 学 しな い こ とを選 択 す る。 つ ま り,合 理 的 な個 人 は 自 らの潜 在 能 力 の水 準 αが. を み た す 限 界 的 な潜 在 能 力 の水 準 α*以上 で あ れ ば大 学 に進 学 し技 能 労 働 者 とな り,そ れ 以 下 の水 準 で あ れ ば進 学 せ ず非 技 能 労 働 者 に な る こ とを選 択 す る。 この こ とは 図1で 示 さ. 図1 97(97)一.
(6) 第8巻. 第1・2号. れ る。 縦 軸 は個 人 の収 入 を, 横 軸 は 個 人 の 潜 在 能 力 の 水 準 を 表 し て い る 。 次 に,. 〃(0)-c>1. と仮 定 す る。 この 仮 定 は,こ. の集 団 の 中で 最 も高 い潜 在 能 力 の 水 準(α 一1)を. 持つ個人. は た とえ誰 も大 学 に進 学 しな くて も進 学 す る こ とを選 択 す る こ とを意 味す る。 ま た最 も潜 在 能 力 が 低 い個 人(α=0)の ω、(0)一 一c〈1と. 場 合 は,た. とえ 自分 以 外 の 全 員 が大 学 へ 進 学 した と して も. な り,大 学 へ進 学 しな い こ とを選 択 す る こ とは 明 らか で あ る。. 以 上 の こ とか ら,大 学 へ の進 学 率 に か か わ らず,最. も低 い水 準 の潜 在 能 力 を持 つ個 人 は. 大 学 へ進 学 せ ず,逆 に最 も高 い水 準 の潜 在 能 力 を持 つ個 人 は必 ず 大 学 へ進 学 す る こ とに な る。 従 って 潜 在 能 力 の 水 準 の 分 布 が 区間[0,1]で. 連 続 して 分 布 して い る こ と か ら中 間値. の定 理 よ り,大 学 へ の進 学 の 是 非 に 関 して 無 差 別 な能 力 水 準 〆 が 区 間[0,1]に 必 ず存 在 す る。 従 って,こ. おいて. う した経 済 の下 で は,技 能 労 働 者 と非 技 能 労 働 者 の2種 類 の タ. イ プ の労 働 者 が必 ず存 在 す る。. デ. 3.モ. ル. こ こで は,先 進 国 と発 展 途 上 国 を導 入 す る。 こ こで導 入 す る先 進 国 とは,第2節. で示 し. た経 済 が機 能 し,非 技 能 労 働 者 と技 能 労 働 者 が存 在 して い る 国 とす る。 一 方,発 展 途 上 国 で は大 学 とい った高 等 教 育 機 関 が存 在 しな い もの と し,発 展 途 上 国 の 国民 が 唯一 技 能 労 働 者 と して評 価 され る の は先 進 国 の大 学 で教 育 を受 け た場 合 に 限 られ る と仮 定 す る。 ま た, 先 進 国 で あ れ発 展 途 上 国 で あ れ,個 人 は 自 らの潜 在 能 力 の水 準 に 関す る情 報 を完 全 に把 握 して い る もの とす る。 先 進 国 と発 展 途 上 国 の個 人 の持 つ潜 在 能 力 の水 準 に 関す る密 度 関数 ∫(α)は 同一 で あ る と し,先 進 国,発. 展 途 上 国 を そ れ ぞ れ 上 付 き の大 文 字 瓦Sで. と,. と な る 。 た だ し,N,η. は そ れ ぞ れ 先 進 国,発. 展 途 上 国 の 人 口規 模 を 表 す 。. 表 わす.
(7) 人 的資源 の獲得 と奨学金制度(福 井) は じめ に,留 学 制 度 が な い た め に学 生 の 国 際 的 な移 動 が な い場 合 を考 え る。 非 技 能 労 働 者 及 び 技 能 労 働 者 が 自国 以 外 で仕 事 を 探 す に は,一 定 の 移 民 コス ト魏 が必 要 で あ る と仮 定 す る(1)。 発 展 途 上 国 の労 働 者 は 全 員 非 技 能 労 働 者 で あ り実 質 賃 金 嬬 を得 る。 こ の発 展 途 上 国 の非 技 能 労 働 者 の実 質 賃 金 は ωジー αで あ り,先 進 国 の非 技 能 労 働 者 の実 質 賃 金 ωが に 比 べ て低 い が,そ. の 差 は一 定 の 移 民 コ ス ト祝 を 上 回 る こ と は な い と仮 定 す る。 つ. ま り,. が 成 立 し て い る と仮 定 す る 。 こ の 仮 定 に よ っ て,発 で あ り,か. 殿. つ 先 進 国 へ 移 動 す る こ と も イ ン セ ン テ ィ ブ を 持 た な い こ と に な る(2)。従 っ て 発. 上 国 の 国 民所 得 は が 一 ・補'∫(・ 版. た式(2.1)に. 展 途 上 国 の労 働 者 は全 員 非 技 能 労 働 者. 一 ・舵. な る。 一 方. 先 進 国 で は第2節. で示 し. 従 って,限 界 的 な 潜 在 能 力 の水 準 ゴ 以 上 の潜 在 能 力 の 水 準 を 持 つ 個 人 は,. 大 学 に進 学 す る こ とを選 択 し技 能 労 働 者 とな る。 ま た,そ れ以 下 の水 準 の潜 在 能 力 を持 つ 個 人 は大 学 へ 進 学 せ ず,非. 技 能 労 働 者 とな る こ と を 選 択 す る。 こ の場 合,先. ω∬ 〉 ωが=1>z嬬=α>0で 展 途 上 国 で 得 られ る純 収 入(実. の仮 定 よ り. あ り,先 進 国 の どの タ イ プ の 労 働 者 にせ よ,明. らか に発. 質 賃 金 一移 民 コ ス ト)は 先 進 国 で あ る 自国 を 上 回 る こ とが. で き な い。 そ れ故,先 進 国 の労 働 者 が発 展 途 上 国 へ移 住 す る イ ンセ ンテ ィブ を もた な い こ とは 明 らか で あ る。 この場 合,先 進 国 の 国民 所 得 〃N(α)は. とな る。 す る と,国 民 所 得 の最 大 化 の一 階条 件 式 は. (1)こ こ で想 定 す る移 民 コ ス トは,実 質 的 な移 動 の コ ス トと い う よ り も,自 国以 外 の外 国 で仕 事 を 探 す 際 に生 じる文 化 ・生 活 習 慣 の差 異 に よ る 障壁 と考 え て い る。 (2)次 の よ う に考 え る こ と もで き る。 先 進 国 は何 らか の事 情 で非 技 能 労 働 者 の流 入 を好 まず,発 展 途 上 国 の非 技 能 労 働 者 が 国 内 に流 入 で き な い水 準 の移 民 税 を課 して い る。 一 方 で 国 内 の大 学 な ど の高 等 教 育 機 関へ 進 学 し,将 来 技 能 労 働 者 と な る人 材 につ い て は積 極 的 に 門戸 を 開 い て い る。 一99(99)一.
(8) 第8巻. 第1・2号. と な る 。 合 理 的 な 個 人 の 大 学 へ 進 学 す る 限 界 的 な 潜 在 能 力 の 水 準 α*に お い て は 玩 五(α*)]α*-o-1が 吻N/4α. 〈0と. 成 立 し て い る た め,明. な る 。 つ ま り,国. ら か に そ の 水 準 ゴ の 潜 在 の 能 力 で は,. 民 所 得 の 最 大 化 の 一 階 の条 件 式 を 満 た す 社 会 的 に最 適 な. 水 準 を α゜と す れ ば α*〉 α゜が 成 立 す る 。Miyagiwa(1991)が 結 果 は,技. 指 摘 し て い る よ う に,こ. 能 労 働 者 の 生 産 性 に 関 し て 規 模 の 経 済 性 が 発 揮 さ れ る た め,大. の. 学 へ の進 学 率 が. 低 く抑 え ら れ る 。 言 い 換 え れ ば 技 能 労 働 者 の 規 模 が 過 小 な 均 衡 に 落 ち 着 い て い る こ と で あ り,政. 府 に よ る政 策 的 な介 入 の余 地 が生 じて い る。. 3.1留. 学制度の導入. 先 進 国 が発 展 途 上 国 か らの留 学 生 を受 け入 れ る とす る。 発 展 途 上 国 の高 校 生 は,教 育 コ ス トoを 所 与 と して潜 在 能 力 の水 準 が あ る一 定 以 上 で あ れ ば,先 進 国 の大 学 な どの高 等 教 育 機 関 で教 育 を受 け る こ とに よ って技 能 労 働 者 と して働 く こ とが で き,自 国 に と どま る よ り もよ り高 い実 質 賃 金 を受 け取 る こ とが可 能 とな る。 従 って,発 展 途 上 国 の高 校 生 の 中 に は先 進 国 の大 学 へ留 学 す る イ ンセ ンテ ィブ を持 つ者 が存 在 す る。 一 方 で,先 進 国 に つ い て も先 に述 べ た よ うに個 人 の合 理 的 な 選択 で は社 会 的 に最 適 な水 準 は達 成 され て い な い た め, 留 学 生 を発 展 途 上 国 か ら受 け入 れ る イ ンセ ンテ ィブ が あ る。 留 学 生 の受 け入 れ に 関 して次 の こ とを仮 定 す る。 発 展 途 上 国 か ら先 進 国 へ留 学 す る 際 の 移 動 コス トは無 視 で き る ほ ど小 さ い もの とす る。 この仮 定 は,技 能 労 働 者 で あ れ非 技 能 労 働 者 で あ れ,労 働 者 と して 自国以 外 の他 国 で仕 事 を探 す場 合 に は仕 事 を探 す 際 に生 じる 困 難 な どが 障壁 とな り移 民 コス トが生 じる。 しか し先 進 国 の大 学 へ留 学 す る場 合 に は,個 人 が 自 ら費 用 を支 払 って先 進 国 の大 学 に入 学 す る こ とに な る の で,国 際 間 の移 動 に伴 う障壁 が無 視 で き る ほ ど小 さ い と い う こ とを意 味 して い る(3)。ま た,先 進 国 は受 け入 れ る留 学 生 の潜 在 能 力 の水 準 に 関 して,自 国 の高 校 生 が大 学 へ進 学 す る こ とを選 択 す る水 準 以 上 で あ る こ とを要 求 す る と仮 定 す る。 この仮 定 が な け れ ば,発 展 途 上 国 の非 技 能 労 働 者 の実 質 賃 金 が先 進 国 よ り も低 い た め に,大 学 へ進 学 す る 自国 の高 校 生 が持 つ潜 在 能 力 の水 準 よ り低 い水 準 の発 展 途 上 国 の高 校 生 が先 進 国 へ留 学 す る こ とに な る。 しか しな が ら,こ れ らの留 学 生 は,先 進 国 の大 学 を卒 業 後 留 学 先 の先 進 国 で技 能 労 働 者 と して働 く こ とが で き な い。 従 って,先 進 国 で非 技 能 労 働 者 と して働 くか,も. し くは本 国 で あ る発 展 途 上 国 に帰 国す る. (3)労 働 者 が 国 際 間 を移 動 す る 際 に考 慮 さ れ る移 民 コ ス トに 関す る解 釈 は こ こ で取 り上 げ た もの以 外 に も様 々な もの が あ る。 例 え ば,文 化 や生 活 様 式 の差 異 が生 活 に影 響 を与 え る負 担 な どが あ る。 しか し,お しな べ て労 働 者 の 国 際 間 の移 動 に比 べ て留 学 に よ る 国 際間 の移 動 は そ の障 壁 が 低 い よ う に思 わ れ る。 -100(100)一.
(9) 人 的資源 の獲得 と奨学金制度(福 井) こ とは 明 らか で あ る。 結 果 と して,受 け入 れ側 の先 進 国 に と って 国 内 の技 能 労 働 者 数 を増 大 さ せ な い の で,そ. う した留 学 生 を受 け入 れ る イ ンセ ンテ ィブ を先 進 国 は持 た な い。 以 上. の こ とか ら,発 展 途 上 国 の高 校 生 が先 進 国 の大 学 へ留 学 す る こ とを選 択 す る 際 の条 件 は, 技 能 労 働 者 と して の実 質 賃 金 か ら教 育 費 用 を差 し引 い た もの が先 進 国 の非 技 能 労 働 者 の実 質 賃 金 ω∬(-1)を. 上 回 る こ とに な り,先 進 国 の高 校 生 と同 じ条 件 とな る。. こ こで は,先 進 国 に よ る発 展 途 上 国 の潜 在 的 な人 的資 源 の獲 得 競 争 を考 慮 す る た め,以 下 で は さ らに も う一 つ の 同様 な先 進 国 を導 入 す る。 は じめ に先 進 国 と発 展 途 上 国 の 間 に留 学 制 度 が導 入 され た場 合 を分 析 す る。 そ して,一 方 の先 進 国 の み が発 展 途 上 国 か らの留 学 生 を獲 得 す る手 段 と して奨 学 金 制 度 を導 入 す る。 ま た大 学 を卒 業 した留 学 生 は,先 進 国 で 技 能 労 働 者 と して受 け取 る所 得 を全 て本 国 で あ る発 展 途 上 国 へ と送 金 す る と仮 定 す る。 以 下 で は,第1国,第2国. を先 進 国,第3国. を発 展 途 上 国 と し,そ れ ぞ れ下 付 き の数 字. で表 す。 ま た簡 単 化 の た め に,各 国 の個 人 の潜 在 能 力 の水 準 に 関 す る分 布 お よ び技 能 労 働 者 の集 積 に よ る規 模 の経 済 性 の効 果 は各 国 で 同一 の もの とす る。 発 展 途 上 国 の高 校 生 が先 進 国 に留 学 す る 際 に は,ど ち らの先 進 国 で も 自由 に選 ぶ こ とが で き,そ の 国 で教 育 を受 け る た め の コス トは等 しい もの とす る。 第 一 段 階 と して,発 展 途 上 国 の高 校 生 は,先 進 国 の大 学 へ留 学 せず 自国 に と どま り非 技 能 労 働 者 に な る か,技 能 労 働 者 に な る た め に どの先 進 国 に留 学 す る か選 択 す る こ とに な る。 先 に仮 定 した よ うに,先 進 国 と発 展 途 上 国 の 非 技 能 労 働 者 の 実 質 賃 金 の格 差 よ り移 民 コス ト魏 の ほ うが よ り大 き く,発 展 途 上 国 で あ る第3国. の非 技 能 労 働 者 は先 進 国 へ移 住 で き な い。 従 って,発 展 途 上. 国 の非 技 能 労 働 者 は全 員 自国 に と どま る。 次 に第 二 段 階 と して,発 展 途 上 国 の高 校 生 が も し先 進 国 の大 学 を卒 業 して技 能 労 働 者 に な れ ば,ど の 国 で仕 事 を探 す か を選 択 す る こ とに な る。 留 学 先 の先 進 国 で 就 職 す る場 合 に は仕 事 を 探 す 移 民 コス ト㎜ は必 要 と しな い。 し か し,他 の先 進 国 で仕 事 を 探 す 際 に は移 民 コス ト辮 が必 要 に な る もの と仮 定 す る(4)。対 して,自. らの本 国 で あ る発 展 途 上 国 に帰 国 して仕 事 を 探 す 際 に は,移 民 コ ス ト 鯛 は必 要. な い もの と仮 定 す る(5)。以 上 の 仮 定 の 下 で,各. 国 の高 校 生 が大 学 に進 学 を した第 一 段 階 の. 均 衡 に お け る各 国 の大 学 へ 進 学 す る 限 界 的 な 潜 在 能 力 の水 準 を(α1,α2,α3)と. す る と以. 下 の各 式 が成 立 す る。(但 し,∫-1,2). (4)留 学 生 も国外 の 出身 で あ る が,留 学 先 の大 学 で教 育 を受 け る こ と で そ の 国 の 出身 者 と無 差 別 に な る と考 え る。 (5)留 学 生 は そ の本 国 で あ る発 展 途 上 国 で は文 化 ・生 活 習 慣 の差 異 が な い た め移 民 コ ス トが 生 じな い と考 え る。 -101(101)一.
(10) 第8巻. 第1・2号. 上 式 で 示 され て い る よ うに,各 先 進 国 で は潜 在 的能 力 の 水 準 が 毎 以 上 で あ る高 校 生 は大 学 に進 学 し,発 展 途 上 国 で は そ の 能 力 の水 準 が 姦 以 上 で あれ ば先 進 国 に留 学 す る。 ま た 仮 定 に よ り,発 展 途 上 国 の高 校 生 に と って各 先 進 国 へ の留 学 の選 択 は無 差 別 で あ る。 そ れ 故,各 先 進 国 の留 学 生 の受 け入 れ数 は 同水 準 とな る こ とは 明 らか で あ る。 次 に第 二 段 階 と して,留 学 生 が大 学 を卒 業 後 ど こで働 くか とい う こ とを考 え て み る。 まず,先 進 国 の大 学 を卒 業 して技 能 労 働 者 とな る留 学 生 の選 択 に 関 して分 析 す る。 留 学 生 の選 択 肢 は,留 学 先 に と どま る か,他 の先 進 国 に移 住 す る か,も. し くは本 国 で あ る発 展 途 上 国 に帰 国す る か の. 3種 類 で あ る。 は じめ に他 の先 進 国 へ の移 動 に つ い て分 析 す る。 先 進 国 の第1国. と第2国. で は,個 人 の潜 在 能 力 の分 布 及 び技 能 労 働 者 の規 模 の経 済 性 は等 し く,技 能 労 働 者 が将 来 受 け取 る で あ ろ う実 質 賃 金 が等 し くな る こ とは 明 らか で あ る。 従 って,留 学 生 が大 学 を卒 業 した 後,一 定 の 移 民 コ ス ト祝 を 負 担 して ま で 他 の 先 進 国 に 移 動 す る イ ンセ ン テ ィ ブ は な く,技 能 労 働 者 とな る留 学 生 が先 進 国 間 を移 動 す る こ とは な い。 この こ とは,そ れ ぞ れ の先 進 国 出身 の卒 業 生 に対 して も同 じ こ とが言 え る。 な お,現 時点 で技 能 労 働 者 が存 在 し な い発 展 途 上 国 で は,た. とえ全 員 が帰 国 した と して も技 能 労 働 者 の集 積 の点 か ら して,先. 進 国 で得 られ た で あ ろ う実 質 賃 金 を上 回 る こ とは な く,留 学 生 が帰 国す る イ ンセ ンテ ィブ もな い 。 さ らに,発 展 途 上 国 で 仕 事 を探 す の に 一 定 の 移 民 コス ト㎜ が 必 要 な 先 進 国 出身 者 が発 展 途 上 国 へ移 動 す る イ ンセ ンテ ィブ もな い こ とは 明 らか で あ る。 以 上 の こ とか ら, この ケ ー ス で は す べ て の学 生 が教 育 を受 け た 国 で技 能 労 働 者 と して働 き,非 技 能 労 働 者 は 生 ま れ た本 国 で働 く。 従 って労 働 者 の 国 際 間 の移 動 は全 く生 じな い。 次 に先 進 国 が留 学 生 を受 け入 れ た効 果 を調 べ る。 例 え ば第1国. の ケ ー ス を取 り上 げ る。. 先 進 国 で は第 一 段 階 で 既 に留 学 生 が 流 入 して お り,明 らか に 五1(α1)〈 五1(餅,茜)が 立 し,ガ>0で. 成. あ る の で,. (3.5). ぬ[五1(αP]<ん[五1(町,茜)]. 一102(102)一.
(11) 人 的資源 の獲得 と奨学金制度(福 井) とな る。 留 学 制 度 が な い場 合 に お け る第 一 国 の 大 学 へ 進 学 を 選 択 す る条 件 式 は式(2.1) で あ り第 一 国 の ケ ー ス で表 す と. ぬ[五1(αP]α1-o-1. とな る。 留 学 制 度 が あ る場 合 の 大 学 へ の進 学 を 選 択 す る条 件 式 は式(3.1)で. あ るの で,. 以 下 の 関係 が成 立 す る。. 上 の 式(3.5),(3.6)と. 〃>0よ. り,. とな る の は 明 らか で あ る。 この不 等 式 は大 学 へ の進 学 の 限界 的 な潜 在 能 力 の水 準 が留 学 生 を受 け入 れ た場 合 に は,大 学 進 学 の 限界 的 な水 準 が以 前 よ り低 い水 準 に な る こ とを示 して い る。 つ ま り,教 育 コス トが変 化 して い な い に もか か わ らず,他. 国 か らの留 学 生 の流 入 が. 先 進 国 の高 校 生 の進 学 の選 択 に影 響 を与 え,留 学 生 の流 入 前 に は大 学 へ進 学 で き な か った 水 準 で も進 学 を選 択 して い る こ とに な る。Ionescu-Polgreen(2009)で. は この点 に 関 して. 分 析 さ れ て い な い。 留 学 制 度 が 導 入 され た 結 果,式(3.2)よ. り発 展 途 上 国 の高 校 生 の う ち潜 在 能 力 の水 準. α3が 碗 よ り高 い 学 生 は先 進 国 へ 留 学 を選 択 す る。 そ の結 果 先 進 国 に お いて,将 来 国 内 の 技 能 労 働 者 が留 学 生 の受 け入 れ に よ って増 加 す る こ とが予 想 さ れ る。 この将 来 の先 進 国 内 の 技 能 労 働 者 の 予 想 さ れ る 増 加 は,属>0で. あ る こ とか ら も わ か る よ う に,先 進 国 の技. 能 労 働者 の 集 積 に よ る規 模 の経 済 性 を 高 め る。 図2で は線 分Z瓦. は傾 き が 砺 で あ る直 線. な の で 点gを 起 点 と して反 時 計 回 りに 回転 して い くこ とに な る。 そ の結 果,留 学 生 を受 け 入 れ て い な け れ ば,大 学 に進 学 しな い こ とを選 択 して い た潜 在 能 力 水 準 が よ り低 い先 進 国 の高 校 生 も この場 合 に は大 学 に進 学 す る こ とに な る。 つ ま り,将 来 の技 能 労 働 者 の増 加 に よ る規 模 の経 済性 の上 昇 に よ り,式(3.1)を. 満 た す 町 よ り高 い潜 在 能 力 を持 つ 高 校 生 が. 一103(103)一.
(12) 図2. 大 学 に進 学 す る こ と に な る 。 そ の 結 果,留. 学 生 の 流 入 に よ り先 進 国 の 高 校 生 の α∈. [∼*α1,α1]の 層 が新 た に大 学 へ の進 学 を選 択 し将 来 技 能 労 働 者 とな る。 留 学 生 を受 け入 れ た先 進 国 の経 済 効 果 は,留 学 生 が そ の 国 に卒 業 後 も と どま り技 能 労 働 者 と して働 く こ とに よ る規 模 の経 済 性 の上 昇 と以 前 で は進 学 しな か った先 進 国 の高 校 生 が 新 た に進 学 す る こ とに よ る将 来 の技 能 労 働 者 の増 加 とい う二 つ の側 面 を持 つ。 先 に示 した 先 進 国 の 国 民 所 得 〃Nか らわ か る よ うに,技 能 労 働 者 の集 積 に よ る規 模 の 経 済 性 の上 昇 は 技 能 労 働 者 の実 質 賃 金 の上 昇 を意 味 し,そ の技 能 労 働 者 数 の増 加 と共 に受 け入 れ側 の先 進 国 の 国民 所 得 の増 大 を もた らす。 一 方,留 学 生 を送 り出 す側 の発 展 途 上 国 は先 進 国 に と ど ま る 自国 出 身 の 技 能 労 働 者 か らの送 金 に よ り明 らか に国 民 所 得 が 増 大 す る(6)。最 後 に,も し第1国. と第2国. で人 口 の規 模 に格 差 が生 じれ ば結 果 は違 って くる。 例 え ば第1国. が第2国. よ り も人 口規 模 が大 き い と しよ う。 この とき,留 学 制 度 が な い状 態 で も第1国. の. ほ うが技 能 労 働 者 の集 積 に よ る規 模 の経 済 性 が大 き く,技 能 労 働 者 の実 質 賃 金 が第2国. よ. り も上 回 る こ とは これ ま で の議 論 で も明 らか で あ る。 従 って,発 展 途 上 国 で あ る第3国. の. 高 校 生 は よ り高 い実 質 賃 金 を求 め て第1国. に集 中 す る。 ま た,第2国. 流 入 は移 民 コス トの大 き さ との 関係 で,完 全 流 入,一 部 流 入,全. のほ う. か らの技 能 労 働 者 の. く流 入 が生 じな い の3つ. の ケ ー ス に分 か れ る(7>。. (6)こ こ で は,留 学 先 の先 進 国 に卒 業 後 もと ど ま る発 展 途 上 国 出身 の技 能 労 働 者 は所 得 をす べ て本 国 に送 金 す る と仮 定 して い る。 逆 に,送 金 が不 十 分 な ケ ー ス で は発 展 途 上 国 か らの人 的資 源 の先 進 国へ の移 転 とい う形 で発 展 途 上 国 は経 済 厚 生 を悪 化 させ る可 能 性 が あ る。 (7)Miyagiwa(1991)で も枠 組 み は 違 うが 人 口の 規 模 の違 い に よ る技 能 労 働 者 の 流 入 が 分 析 され て い る。 一104(104)一.
(13) 人 的資源 の獲得 と奨学金制度(福 井) 3.2奨. 学金制度の導入. 以 下 で は,先 進 国 間 に よ る潜 在 能 力 水 準 の高 い発 展 途 上 国 の人 的資 源 の獲 得 競 争 を分 析 す る。 先 進 国 は他 の先 進 国 との差 別 化 を 図 る た め に,自 国 へ の留 学 を サ ポ ー トす る一 環 と して奨 学 金 制 度 を導 入 す る。 こ こで は,発 展 途 上 国 か ら先 進 国 へ の留 学 生 の流 入 に焦 点 を あ て る た め,こ の奨 学 金 制 度 は先 進 国 内 の高 校 生 に は適 用 さ れず,発 展 途 上 国 か らの留 学 生 に の み適 用 さ れ る とす る。 奨 学 金 制 度 は次 の よ うな もの と仮 定 す る。 まず,奨 学 金 制 度 の対 象 とな る発 展 途 上 国 の高 校 生 を 限定 す る。 奨 学 金 制 度 の対 象 とな る の は,奨 学 金 制 度 が な い 場 合 で も先 進 国 へ の留 学 を選 択 す る水 準 の 潜 在 能 力 を持 つ 高 校 生 に 限定 す る(8)。ま た発 展 途 上 国 の高 校 生 に 関 して,借 そ れ故,第 一 段 階 で第3国. り入 れ な どの資 金 調 達 の手 段 を持 た な い と仮 定 す る。. で あ る発 展 途 上 国 の高 校 生 は先 進 国 の大 学 に留 学 す る 際 に奨 学. 金 制 度 を利 用 す る事 が最 適 な選 択 とな る。 そ の結 果,奨 学 金 の対 象 とな る発 展 途 上 国 の高 校 生 は 全 員 こ の 奨 学 金 制 度 を 利 用 す る。 次 に,こ (2009)で. の 奨 学 金 制 度 はInoscu-Polgreen. 導 入 され た もの で あ り,発 展 途 上 国 か らの 留 学 生 に対 す る給 付 で はな く貸 与 と. す る。 つ ま り,奨 学 金 を貸 与 さ れ た留 学 生 は大 学 を卒 業 後 自 ら返 還 しな くて は な らな い。 ま た奨 学 金 の返 還 に 関 して,他 の先 進 国 へ移 住 した り,本 国 へ帰 国 した り した大 学 の卒 業 生 を留 学 先 の政 府 が追 跡 し,捕 捉 す る こ とは 困難 だ とす る。 従 って奨 学 金 の返 還 とな る対 象 は,先 進 国 に と どま る発 展 途 上 国 出身 の技 能 労 働 者 に 限定 さ れ る。 な お,自 国 か ら出 国 す る留 学 生 の奨 学 金 の未 返 還 に対 す る財 政 か らの補 て ん な どの影 響 を排 除す る た め,発 展 途 上 国 か らの留 学 生 に貸 与 さ れ た奨 学 金 の総 額 を 自国 内 に と どま り技 能 労 働 者 と して働 く 留 学 生 に割 り当 て る こ とに す る。 最 後 に簡 単 化 の た め貸 与 さ れ る奨 学 金 の額 は留 学 生 の潜 在 能 力 の 水 準 にか か わ らず 一 定 の額 とす る(9)。 第 一 国 の政 府 か ら貸 与 され る一 定 の額 の奨 学 金 をs>0と. お く。 潜 在 能 力 の 水 準 に か か わ らず 一 律 に貸 与 さ れ る奨 学 金 の 額 をsと. し,. 一 人 あ た りの奨 学 金 の返 還 額 を'と す る と,. (1十7)S五3一. (3.7). μ 五3. とな る。ρ は留 学 先 の 先 進 国 に大 学 卒 業 後 も技 能 労 働 者 と して と ど ま る比 率 と し,γ は利 (8)こ の 仮 定 は,3.1節 の留 学 生 の 受 け入 れ 水 準 を 制 限 した の と 同 じ理 由 に よ る。 ま た 実 際 にオ ー ス トラ リア や カ ナ ダ の よ う に,国 外 か らの移 民 や留 学 生 を積 極 的 に受 け入 れ て い る 国 で も,近 年 受 け入 れ基 準 の最 低 レベ ル を厳 格 化 して い る。 (9)Miyagiwa(1991)で も教育 コス トに対 す る補 助 金 を考 慮 して い る が,補 助 金 の 対 象 は国 内 の 学 生 で あ り,自 国外 に対 す る もの で は な い。 ま た,学 生 に対 す る補 助 金 は社 会 的 な給 付 と し,そ の負 担 は非 技 能 労 働 者 を含 め た全 国民 が対 象 と な っ て い る。 一105(105)一.
(14) 第8巻. 第1・2号. 子 率 とす る。 以 下 で は,奨 学 金 制 度 の導 入 は第1国. の み とす る。 従 って,借. 手 段 を持 た な い発 展 途 上 国 の高 校 生 と って,自 して奨 学 金 制 度 の あ る第1国. り入 れ な どの資 金 調 達 の. らの潜 在 能 力 の水 準 に か か わ らず 留 学 先 と. の大 学 へ の留 学 を選 択 す る こ とに な る。. 発 展 途 上 国 の高 校 生 は,第 一 段 階 に お い て第1国. に留 学 す る か しな い か を選 択 す る。 そ. して,第 二 段 階 に お い て大 学 を卒 業 後 技 能 労 働 者 とな り,先 進 国 で技 能 労 働 者 と して働 き 奨 学 金 を返 済 す る か,も. し くは本 国 で あ る発 展 途 上 国 で技 能 労 働 者 と して働 き奨 学 金 の返. 済 を 免 除 さ れ る か を選 択 す る こ と に な る。 大 学 へ 進 学 す る限 界 的 な 潜 在 能 力 の 水 準 を (∼ ノ ∼!α1,α3)と す る と以 下 の 関 係 が 成 立 す る。. この と き,先 進 国 は潜 在 能 力 の水 準 が 町 ノ以 上 で あ る 自国 の 高 校 生 が 進 学 し,潜 在 能 力 の 水 準 が 茜 ノ以 上 で あ る発 展 途 上 国 の 留 学 生 を受 け入 れ る こ と に な る。 奨 学 金 制 度 の導 入 に よ って,第2国. に留 学 して いた 発 展 途 上 国 の 勾 以 上 の水 準 を持 つ 高 校 生 を さ らに受. け入 れ る こ とに な る。 明 らか に,留 学 生 の新 た な流 入 に よ り将 来 予 想 さ れ る技 能 労 働 者 の 集 積 が進 み,技 能 労 働 者 の実 質 賃 金 が上 昇 す る こ とで,新 た に よ り低 い潜 在 能 力 の水 準 を 持 つ第1国 及 び第3国. の高 校 生 が第1国. の大 学 へ進 学 す る。 従 って,. とな る。 第 二 段 階 に お い て,大 学 を卒 業 した留 学 生 が全 員 先 進 国 で技 能 労 働 者 と して働 く こ とを 選 択 した な らば,貸 与 さ れ た奨 学 金 の額 と同額 の額 を返 済 す る こ とに な る。 第1国 国 に分 か れ て留 学 して い た 時 よ り,奨 学 金 制 度 に よ り第1国 が規 模 の 経 済 性 の効 果 が よ り大 き く発 揮 され,所. と第2. に集 中 して留 学 して い た ほ う. 五1(α1,α3)]〈 所Ll(町',列. ノ)]と な. る。 従 って,全 て の能 力 水 準 に お い て技 能 労 働 者 の実 質 賃 金 は以 前 と比 べ て上 昇 す る。 そ の結 果,第1国. で は,技 能 労 働 者 の実 質 賃 金 の上 昇 に加 え て,技 能 労 働 者 数 の増 加 に よ り 一106(106)一.
(15) 人 的資源 の獲得 と奨学金制度(福 井) 国 民 所 得 は3.1節 の場 合 よ り も増 加 す る。 発 展 途 上 国 で あ る第3国. は,先 進 国 で 技 能 労 働. 者 と して働 く留 学 生 が そ の所 得 を全 て送 金 す る と仮 定 して い る の で,第1国. と同 じ く国民. 所 得 を増 加 させ る こ とに な る。 しか しな が ら,留 学 生 の 中 に は奨 学 金 の返 済 を逃 れ て本 国 で あ る発 展 途 上 国 に帰 国す る こ とを選 択 す る イ ンセ ンテ ィブ を持 つ可 能 性 が あ る。 奨 学 金 制 度 に よ り貸 与 さ れ る奨 学 金 の額 は対 象 とな る留 学 生 の潜 在能 力 の水 準 に か か わ らず一 定 の額 のsで あ り,そ の返 済 額 も一 律 に 同 じ 孟で あ る。 一 方 で,技 能 労 働 者 と して 受 け取 る実 質 賃 金 ん[五1(町 ノ,勾')]α3 は 自己 の持 つ潜 在 能 力 の水 準 に応 じて異 な る。 そ れ故,よ. り低 い水 準 の潜 在 能 力 を持 つ個. 人 は,実 質 賃 金 か ら教 育 コス トや奨 学 金 の返 済 額 を差 し引 い た純 収 入 に 占 め る奨 学 金 の返 済 額 の 負担 が よ り大 き くな る。 結 果 と して,潜 在 能 力 水 準 の よ り高 い留 学 生 に比 べ て よ り 低 い水 準 の留 学 生 は,本 国 に帰 国 して奨 学 金 の返 済 を 回避 す る事 を選 択 す る イ ンセ ンテ ィ ブ が よ り大 き くな る。 以 下 で は,留 学 生 が 全 員帰 国 して奨 学 金 制 度 が破 たん す る極 端 な ケ ー ス を 除 い た0<ρ. ≦1に つ い て分 析 す る。 奨 学 金 制 度 が 破 た ん す る ケ ー ス に つ い て は後. に述 べ る こ とに す る。 ま た,先 進 国 で あ る第1国 労 働 者 の移 動 に焦 点 を あ て る た め に,第2国. と発 展 途 上 国 で あ る第3国. との 間 の技 能. と他 の二 つ の 国 との技 能 労 働 者 の移 民 コス ト. は禁 止 的 な水 準 で あ る と仮 定 す る。 は じめ に,留 学 生 が奨 学 金 の返 済 を 回避 す る こ とを考 慮 した場 合 に お け る先 進 国 に つ い て分 析 す る。 も し一 部 の留 学 生 が発 展 途 上 国 に帰 国 す る な らば,予 想 さ れ て い た技 能 労 働 者 の集 積 が 減 少 し,先 進 国 お け る技能 労 働 者 の実 質 賃金 に影 響 を与 え る。新 しい均 衡 で は,. が成 立 しな けれ ば な らな い。 た だ し,α1*は 留 学 生 の 帰 国 を 考 慮 に入 れ た 場 合 に先 進 国 出 身 者 が 自国 で 技 能 労 働 者 と して 働 く潜 在 能 力 の 限 界 的 な水 準 を表 す 。ρ 一1以 外 で は, αγ は式(3.8)の. 潜 在 能 力 の 水 準 町 ノよ り大 き くな る こ と に な る。 つ ま り,一 部 にせ よ先. 進 国 で働 くはず で あ った留 学 生 が 帰 国 す る こ とで 国 内 に集 積 す る技 能 労 働者 数 が減 少 す る。 これ に よ り,技 能 労 働 者 の 集 積 に よ る規 模 の 経 済 性 を 表 す 〃 を 引 き 下 げ る こ とで 技 能 労 働 者 と して働 く こ とを選 択 す る 限界 的 な潜 在 能 力 の水 準 が上 昇 す る。 図3の ケ ー ス で は, 収 入 曲 線ZNは し,新. 留 学 生 の 流 出 割 合 が 増 加 す る に従 って 点Zを. 起 点 と して 時 計 回 り に 回転. しい 均 衡 で は α∈[α1*,1]の 層 が 技 能 労 働 者 と して 先 進 国 内 で 働 く こ とを 選 択 し. て い る。 この と き,α ∈[∼!示*α1,α1)の 層 は 新 しい均 衡 の 技 能 労 働 者 の 実 質 賃 金 の 下 で は 一107(107)一.
(16) 図3. 大 学 へ進 学 せ ず,非 技 能 労 働 者 と して働 く こ とに な る(lo>。 と ころ で留 学 生 の行 動 の と ころ で詳 し く示 す が,先 進 国 と発 展 途 上 国 の人 口 の規 模 の格 差 に 関係 な く,少 な く と も留 学 生 の半 分 よ り大 き な割 合 が第1国 る 。 ち な み に,最. も留 学 生 が 第1国. に と どま る均 衡 が実 現 す. に と ど ま る割 合 が 低 い ρ 一1/2で. さえ,町. 〉 町**. 媒 〉 茜 ノよ り,. とな り,第1国. 出身 の技 能 労 働 者 と第1国. に と どま る発 展 途 上 国 出身 の技 能 労 働 者 の合 計. は3.1節 の 均 衡 よ り も大 き くな る。 従 って,留 学 生 が 先 進 国 で技 能 労 働 者 と して 働 き,奨 学 金 を返 済 す る事 を 選 択 す る割 合 ρが1/2以 上 で あ れ ば奨 学 金 制 度 が な い3.1節 の場 合 よ り も第1国. の 国民 所 得 は増 大 す る。 つ ま り第1国. は,第2国. か ら発 展 途 上 国 の留 学 生 の進 学. を奨 学 金 制 度 に よ って 引 き寄 せ る こ とで よ り国民 所 得 を増 大 さ せ る こ とが で き る。 留 学 生 が全 員 帰 国 す る ケ ー ス で は,明. らか に奨 学 金 制 度 を維 持 す る こ とは で き な い。 そ れ故,第. 1国 は 発 展 途 上 国 の 高 校 生 に対 して 奨 学 金 制 度 を 提 供 す る こ とを 断 念 し,3.1節 の 状 態 に 落 ち着 くの で 国民 所 得 は変 化 しな い。 以 上 の こ とか ら,先 進 国 と発 展 途 上 国 の人 口 の規 模 の格 差 や規 模 の経 済 性 の効 果 の大 き さ に 関係 な く第1国 第1国. に留 学 生 の半 分 よ り大 き な割 合 が. に と どま る均 衡 が 実 現 し,3.1節 の 均 衡 よ り も よ り多 くの 発 展 途 上 国 出 身 の 技 能 労. 働 者 が第1国. に定 着 す る こ とで第1国. の 国民 所 得 は増 加 す る。 人 口 の規 模 の格 差,技 能 労. (10)移 民 コ ス ト飛 が 十 分 に大 き く,発 展 途 上 国へ 移 動 す る こ と は な い と仮 定 して い る。 -108(108)一.
(17) 人 的資源 の獲得 と奨学金制度(福 井) 働 者 の規 模 の経 済 性 の効 果 の大 き さ に よ って は第1国 の場 合 も均 衡 と して あ り うる が,こ. に留 学 生 が と どま る割 合 が半 分 以 下. の 時 に は3.1節 の 奨 学 金 制 度 が な い場 合 よ り も第1国. の 国民 所 得 を減 少 さ せ る可 能 性 が あ る。 最 後 に,留 学 生 の本 国 へ の帰 国 が第1国 影 響 を示 す。 第1国. に与 え る. の 国民 所 得 は,. と な り,. とな る。 潜 在 能 力 水 準 α3の 上 昇 とは,第1国 出 を意 味 す る。 右 辺 第1項. か らの留 学 生 の 帰 国 に よ る技 能 労 働 者 の流. は,留 学 生 の流 出 が規 模 の経 済 性 に影 響 を及 ぼ し,結 果 と して. 技 能 労 働 者 の実 質 賃 金 を低 下 の方 向 に変 化 さ せ る こ とが第1国 与 え る影 響 を示 して い る。 第2項. と第3項. 出身 の技 能 労 働 者 の所 得 に. は,留 学 生 の流 出 に よ って予 想 さ れ る技 能 労 働. 者 の実 質 賃 金 の 引 き下 げ に よ って,先 進 国 出身 者 が大 学 へ の進 学 か ら進 学 せず 国 内 の非 技 能 労 働 者 とな る こ とへ選 択 を変 更 す る こ とが 国民 所 得 に与 え る影 響 を示 して い る。 第4項 は,大 学 へ の進 学 を 断念 す る こ とに よ る教 育 コス ト減 少 の効 果 で あ る。 ち な み に,こ の最 後 の3つ の 項 目の合 計 は 先 進 国 の高 校 生 が 〃α1-c-1に. 基 づ いて 大 学 へ の進 学 を選 択 す. る場 合 は 常 にゼ ロ とな る 吻ざ 。 そ の結 果,<0と な り,留 学 生 の本 国 で あ る発 展 途 上 国d α3 へ の 帰 国 は常 に先 進 国 の 国民 所 得 に負 の影 響 を与 え る。 次 に,留 学 生 が直 面 す る 問題 に つ い て分 析 す る。 上 の分 析 と同様 に,留 学 生 の帰 国 を考 慮 した と きに 先 進 国 の 高 校 生 が 大 学 に進 学 す る限界 的 な 潜 在 能 力 の 水 準 を α1*とお く。 こ の とき,留 学 生 が先 進 国 に と どま って奨 学 金 を返 還 す る場 合 の収 入 は. ω1(ρ)一. ん[五1(α1*)+ρ. 五 、(茜 ノ)]・ 、一 ・+・. 一109(109)一.
(18) 第8巻. 第1・2号. で あ り,本 国 で あ る発 展 途 上 国 に帰 国 して奨 学 金 の返 済 を 回避 す れ ば. と な る(ll)。 上 の 二 つ の 式 よ り,媛(ρ)一'〈. ωξ(1一 ρ)で あ れ ば 本 国 で あ る 発 展 途 上 国 に. 帰 国 し,そ う で な け れ ば 先 進 国 で 奨 学 金 を 返 済 し な が ら 技 能 労 働 者 と し て 働 く こ と を 選 択 す る 。 図4の. よ う な ケ ー ス で は,潜. 在 能 力 の 水 準 が α ∈[α1*,1]で. あ る層 は そ の ま ま先. 図4. 進 国 に と ど ま り,α ∈[∼. ノ**α3,α3)の 層 は 自国 で あ る 発 展 途 上 国 に帰 国 す る こ とを 選 択 す. る 。 ど の 割 合 ρ で 留 学 生 が 先 進 国 に と ど ま る か は,技 済 性 の 効 果 の大 き さ ガ. 能 労 働 者 の集 積 に対 す る規 模 の経. と 各 国 の 国 の 規 模 の 大 き さ(1V,η)に. 依 存 す る 。 例 え ば,先. 進 国. 出 身 の 技 能 労 働 者 を 無 視 す る 。 こ の と き,. で あ れ ば 留 学 生 は 先 進 国 に と ど ま り さ も な け れ ば 発 展 途 上 国 に 帰 国 す る。 明 らか に ρ<1/2で り,ど. は ガ>0で. あ る の で,ん[ρ 五3]α3〈 ん[(1一 ρ)五3]α3と な る 。 す る と'>0よ. ん な 潜 在 能 力 の 水 準 で も発 展 途 上 国 で 働 く こ と の ほ う が よ り高 い 実 質 賃 金 を 得 る 。. 言 い 換 え れ ば,潜. 在 能 力 の 水 準 い か ん に か か わ ら ず,明. ら か に 先 進 国 で 働 い て も奨 学 金 の. 返 済 額 の 分 だ け 帰 国 す る 場 合 よ り も よ り多 く収 入 を 得 る こ と が で き な い 。 そ の 結 果,先. 進. (ll)発 展 途 上 国 の 非 技 能 労 働 者 の 実 質 賃 金 嬬 一 α は十 分 に小 さ く,発 展 途 上 国 に帰 国 した 留 学 生 は本 国 で技 能 労 働 者 と して働 くこ とが可 能 で あ る と仮 定 す る。 -110(110)一.
(19) 人 的資源 の獲得 と奨学金制度(福 井) 国 に 留 学 した 全 員 が帰 国 す る事 を選 択 す る こ とに な る。 従 って この ケ ー スで は,ρ ≦1/2 で は 全 員 帰 国 し,も し くは1≧. ρ>1/2に. お い て先 進 国 に一 部 も し くは 全 員 が と ど ま り. 奨 学 金 を返 済 す る事 が均 衡 とな る。 技 術 労 働 者 の規 模 の経 済 性 は集 積 して い る人 数 に依 存 す る ので,よ. り多 くの 数 の 技能 労 働 者 が 集 積 して い る ほ うが実 質 賃 金 ω、が高 くな る。従 っ. て,少 な くと も奨 学 金 の 返 済 額'だ け の差 が生 じ るた め に は少 な くと も半 分 以 上 の留 学 生 が先 進 国 に滞 在 す る必 要 が あ る。 しか し,実 際 に は先 進 国 に は先 進 国 出身 の技 能 労 働 者 が さ ら に存 在 して お りρ 〈1/2で る第1国. も均 衡 と して 成 立 す る 可 能 性 が あ る。 ま た,先 進 国 で あ. と発 展 途 上 国 で あ る第2国. の人 口規 模 に格 差 が あ り,先 進 国 の人 口 が発 展 途 上 国. よ り大 き け れ ば大 き い ほ ど,先 進 国 の技 能 労 働 者 の 中 に 占 め る留 学 生 出身 者 の割 合 が低 下 し,ρ 〈1/2で. も留 学 生 が 全 員 帰 国 しな い均 衡 と して成 立 す る可 能 性 が あ る。 逆 に,発 展. 途 上 国 の ほ うが先 進 国 に比 べ て人 口 が多 い ケ ー ス で は留 学 生 が全 員 帰 国 して しま う こ とが ρ ≧1/2で. も均 衡 とな る可 能 性 が 強 ま る。 この よ うに,先 進 国 出 身 の 技 能 労 働 者 の存 在 が. 留 学 生 の先 進 国 に と どま る割 合 を押 し下 げ る。 しか し,少 な く と も留 学 生 が半 分 よ り大 き な割 合 で先 進 国 に と どま る均 衡 が,人 口 の規 模 の格 差 とは 関係 な く実 現 す る こ とに な る。 しか しな が ら,奨 学 金 制 度 が な い3.1節 の 場 合 と比 べ て 第3国 うか は 明 確 で は な い 。 なぜ な らば,第1国 発 展 途 上 国 で あ る第3国. の 国 民 所 得 が増 加 す る か ど. か らの 送 金 額 は3.1節 よ り も増 加 す る一 方 で,. で の 技 能 労 働 者 の実 質 賃 金 は3.1節 の 第2国 の 実 質 賃 金 を 下 回 る. か らで あ る。 これ は規 模 の経 済 性 の効 果 の大 き さ に依 存 す る。 最 後 に,留 学 生 が第3国. で. あ る発 展 途 上 国 へ帰 国 す る こ とが第3国. に与 え る影 響 を示 す。 発 展 途 上 国 で あ る第3国. の. 国民 所 得 は,留 学 生 が全 員 帰 国 しな い場 合 が最 も高 くな る。 これ は先 進 国 で あ る第1国. で. も同様 で あ る。 留 学 生 が帰 国 す る割 合 が高 ま る ほ ど国民 所 得 は減 少 す る。 奨 学 金 制 度 が完 全 貸 与 方 式 で あ る た め,留 学 生 全 体 が返 済 を放 棄 す る場 合 を 除 け ば,発 展 途 上 国全 体 で は 常 に貸 与 され た奨 学 金 を全 額 返 済 して い る こ とに な る。 従 って,限 界 的 に帰 国 した留 学 生 が先 進 国 で失 った実 質 賃 金 の ほ うが発 展 途 上 国 で得 る こ との で き る実 質 賃 金 よ り も奨 学 金 の返 済 額 だ け高 い た め,そ の分 国全 体 で は損 失 とな る。 帰 国す る留 学 生 の割 合 が高 ま る ほ どそ の実 質 賃 金 の差 が縮 ま りま る が,留 学 生 全 員 が先 進 国 に と どま る場 合 を上 回 る こ とは な い。 第3国. の 国民 所 得 は. 一111(111)一.
(20) 第8巻. 第1・2号. と な り,. とな る(⑳ 。 右 辺 第1項 帰 国 す る事 で第1国. は,先 進 国 で と ど ま って い た 限界 的 な水 準 の 潜 在 能 力 を もつ もの が 出身 の高 校 生 が進 学 を 断念 す る事 を加 え た第1国. 賃 金 の減 少 の影 響 を示 し,第 二 項 と第 四項 は帰 国者 の第1国. と第3国. の技 能 労 働 者 の実 質 で の技 能 労 働 者 と し. て の実 質 賃 金 を表 して お り帰 国 の選 択 の 限界 的 な水 準 の留 学 生 で は そ の差 は奨 学 金 の返 済 額 で あ る'に 等 し くな る。 最 後 に,第 三 項 は 帰 国 す る事 に よ って 発 展 途 上 国 で あ る第3国 で新 た に技 能 労 働 者 労 働 者 の集 積 が増 え る規 模 の経 済 性 の効 果 が示 さ れ て い る。 ま た上 の 式 を変 形 す る と,. とな る。 人 口 の規 模 の格 差 や規 模 の経 済 性 の効 果 の大 き さ とは 関係 な く留 学 生 が全 員 帰 国 しな い こ とが 均 衡 と して 実 現 す る場 合 に は,ゲ. ノ>0で. あ れ ば第2項. は負 で あ り,ま た第. 吻3〈0と 3. なり. ,留 学3項 も奨 学 金 の 返 済 額 で. 生 の本 国 へ の 帰 国 は常 に発 展 途 上 国 の 国民 所 得 に負 の影 響 を与 え る。 以 上 の こ とを整 理 す る と,次 の よ うに な る。 自 ら技 能 を身 に つ け る大 学 等 の教 育 機 関 を. 働. 注 意 しな け れ ば い け な い の は,奨 学 金 制 度 が破 た ん しな い よ うな ケ ー ス に お い て,発 展 途 上 国 全 体 で み れ ば奨 学 金 の総 額 は必 ず 返 済 さ れ て い る こ と で あ る。 従 っ て,奨 学 金 を考 慮 に入 れ る必 要 は な い。 ま た,発 展 途 上 国 の高 校 生 が留 学 す る 限界 的 な潜 在 能 力 の水 準 は,仮 定 に よ り奨 学 金 の対 象 者 が 限定 さ れ て い る の で変 化 しな い。 -112(112)一.
(21) 人 的資源 の獲得 と奨学金制度(福 井) 持 た な い発 展 途 上 国 は,潜 在 的 な能 力 の あ る 自国民 を先 進 国 へ留 学 生 と して送 りだ し教 育 を受 け さ せ る こ とで,自 国民 の一 部 を非 技 能 労 働 者 か らよ り高 い実 質 賃 金 を得 る技 能 労 働 者 へ と転 換 す る こ とに成 功 す る。 一 方,先 進 国 に は発 展 途 上 国 か ら留 学 生 を受 け入 れ る こ とで次 の二 つ の経 済 的効 果 が生 じる。 一・ つ は,留 学 生 を受 け入 れ る こ とで将 来 国 内 の技 能 労 働 者 が増 え る こ とが,技 能 労 働 者 の集 積 に よ る規 模 の経 済 性 を発 揮 さ せ よ り同 じ潜 在 能 力 を持 つ もの で もよ り高 い技 能 労 働 者 の実 質 賃 金 を実 現 す る。 二 つ 目は,技 能 労 働 者 の増 加 に よ る規 模 の経 済 性 の効 果 が,以 前 で は技 能 労 働 者 に な りえ な か った水 準 の潜 在 能 力 を 持 つ もの で も大 学 へ進 学 し,技 能 労 働 者 とな る こ とが可 能 とな る。 これ らの効 果 は,技 能 労 働 者 の集 積 が技 能 に 関 す る ス ピル オ ー バ ー を実 現 さ せ,生 産 に 関 して規 模 の経 済 性 を発 揮 させ て い る か らで あ る。 次 に,他 の先 進 国 に分 散 さ れ る発 展 途 上 国 の留 学 生 を 自国 に集 中 さ せ る た め に,奨 学 金 制 度 を導 入 して い る。 この奨 学 金 制 度 の特 徴 は,奨 学 金 の額 が一 律 で あ る こ とで あ る。 ま た,先 進 国 の財 政 負担 の影 響 を排 除 す る た め に給 付 方 式 で は な く完 全 な貸 与 方 式 で あ る。 この特 徴 に よ って奨 学 金 を受 け取 る留 学 生 の 中 に は,そ の返 済 を放 棄 す る イ ンセ ンテ ィブ を持 つ場 合 が生 じる。 留 学 生 の持 つ潜 在 力 の水 準 が個 人 個 人 で異 な り,そ の能 力 の水 準 に 応 じて技 能 労 働 者 と して の実 質 賃 金 を受 け取 る の に対 して,返 済 す べ き奨 学 金 の額 は一 律 に等 しい か らで あ る。 つ ま り,潜 在 能 力 の水 準 が低 け れ ば低 い ほ ど奨 学 金 の返 済 の負 担 が 大 き くな り,奨 学金 の返 済 を 回避 す るた め に本 国 で あ る発 展 途 上 国 に帰 国す るイ ンセ ンテ ィ ブ を もつ。 少 な く と も留 学 生 が半 分 よ り大 き な割 合 で先 進 国 に と どま る均 衡 が,人 口 の規 模 の格 差 とは 関係 な く実 現 し,帰 国 した留 学 生 の分 も含 め て奨 学 金 を返 済 す る。 も し くは 全 員 帰 国 を選 択 す る こ とが予 想 さ れ,奨 学 金 制 度 の提 供 自体 が な くな り元 の状 態 に戻 る こ とに な る。 い ず れ の場 合 に せ よ,先 進 国 で あ る第1国. の 国民 所 得 は留 学 生 が半 分 以 上 と どま る な ら. ば奨 学 金 制 度 が な い場 合 よ り も減 少 す る こ とは な い。 しか しな が ら,同 じ条 件 の下 で半 分 以 上 の留 学 生 が第1国. で技 能 労 働 者 と して働 い た場 合 で も,第3国. で あ る発 展 途 上 国 の 国. 民 所 得 は奨 学 金 制 度 が な い場 合 よ り も減 少 す る可 能 性 が生 じる。 つ ま り,第1国. に と どま. る留 学 生 は奨 学 金 制 度 が な い場 合 よ り もよ り高 い実 質 賃 金 を受 け取 る が,一 方 で帰 国 した 技 能 労 働 者 の人 数 は3.1節 の 第2国. よ り も少 な く発 展 途 上 国 内 で 働 く技 能 労 働 者 の 実 質 賃. 金 は よ り低 くな る か らで あ る。. 一113(113)一.
(22) 第8巻. 4.お. 本 論 文 で は,Miyagiwa(1991)の. 第1・2号. わ. り. に. 設 定 に従 い技 能 労 働 者 の増 加 が 技 能 に関 す る ス ピル. オ ー バ ー を生 じ させ,結 果 と して規 模 の経 済 性 を発 揮 さ せ る経 済 の下 で,先 進 国 が発 展 途 上 国 か ら留 学 生 の受 け入 れ る場 合 に つ い て分 析 して い る。 主 な結 論 は,以 下 の とお りで あ る。 第 一 に大 学 等 の教 育 機 関 を持 た な い発 展 途 上 国 は もち ろ ん の こ と,先 進 国 の側 に も留 学 生 を受 け入 れ る経 済 的 な イ ンセ ンテ ィブ が存 在 す る。 留 学 生 の受 け入 れ に よ る技 能 労 働 者 の増 加 に よ って技 能 労 働 者 が受 け取 る実 質 賃 金 が上 昇 す る こ とに加 え て,そ の実 質 賃 金 の上 昇 が受 け入 れ側 の先 進 国 で以 前 で は非 技 能 労 働 者 を選 択 して い た潜 在 能 力 の水 準 で も 新 た に技 能 労 働 者 を選 択 す る こ とを可 能 に す る。 そ の結 果,先 進 国 は 国民 所 得 を増 加 さ せ る こ とが可 能 とな る。 第 二 に,先 進 国 間 に分 散 して留 学 す る発 展 途 上 国 の留 学 生 を 自国 に 集 中 さ せ る た め の手 段 と して,奨 学 金 制 度 を導 入 して い る。 この奨 学 金 制 度 は,先 進 国 の 財 政 的 な支 援 の な い完 全 貸 与 方 式 で あ る。 この奨 学 金 制 度 は,貸 与 さ れ た留 学 生 の 内潜 在 能 力 の水 準 が低 け れ ば低 い ほ ど一 律 の奨 学 金 の返 済 額 の 負担 が大 き い こ とか ら,そ の返 済 を 回避 して本 国 で あ る発 展 途 上 国 に帰 国す る イ ンセ ンテ ィブ を与 え て しま う。 留 学 生 が半 分 よ り大 きな 割 合 で先 進 国 に と ど まれ る均 衡 が,人 口の規 模 の格 差 とは 関係 な く実 現 す る。 この場 合 受 け入 れ側 の先 進 国 の 国民 所 得 は奨 学 金 制 度 が な い場 合 よ り も増 加 す る こ とが示 され る。 一 方 で,発 展 途 上 国 は 同 じ条 件 の下 で は奨 学 金 制 度 が な い場 合 を下 回 る可 能 性 が 生 じる。 発 展 途 上 国 に帰 国 した留 学 生 に よ る技 能 労 働 者 の集 積 は奨 学 金 制 度 が な い場 合 の 先 進 国 よ り も低 くな り,技 能 労 働 者 が受 け取 る実 質 賃 金 が低 い た め で あ る。 少 な く と も, 両 国 は留 学 制 度 が な い場 合 よ り も国民 所 得 を増 加 さ せ る。 以 上 の よ うに,完 全 貸 与 方 式 の奨 学 金 が導 入 さ れ た場 合,特. に留 学 生 を送 り出す 側 の発. 展 途 上 国 の経 済 的 な損 失 が 問題 とな る。 しか しな が ら,本 論 文 で は先 進 国 に と どま った留 学 生 は現 地 で得 た所 得 の全 て本 国 に送 金 す る と仮 定 して い る が,も. し この仮 定 を緩 め る と. 別 の解 釈 も可 能 に な る。 極 端 に い え ば ま った く送 金 しな い ケ ー ス を考 え よ う。 この とき, 留 学 生 が留 学 先 の現 地 に と どま る こ とは一 種 の人 的 資源 の先 進 国 へ の流 出 とい う現 象 を表 し,こ の人 的 資源 を本 国 へ 呼 び戻 す こ とが 問題 とな る。 例 え ば,こ. こで用 い た完 全 貸 与 方. 式 の奨 学 金 制 度 を発 展 途 上 国側 が提 供 す れ ば,技 能 を先 進 国 で獲 得 した技 能 労 働 者 を一 部 本 国 に 呼 び戻 す こ とが可 能 とな る か も しれ な い。 詳 細 は今 後 の課 題 と した い。 ま た,他 の 拡 張 の方 向 と して は,人 的資 源 の 国 際移 動 を もた らす情 報 の非 対 称 性 が あ る場 合 の奨 学 金 一114(114)一.
(23) 人 的資源 の獲得 と奨学金制度(福 井) 制 度 の導 入 もあ げ られ る。 ま た,制 度 設 計 と して の奨 学 金 制 度 の精 密 化 も今 後 の課 題 で あ る。. 参. 考. 文. 献. Atkinson, A (1973) "How Progressive Should Income Tax Be ?" In Michael Parkin (ed.), Essays in Modern Economics. London: Longman: 90-109. Bhagwati, J and K, Hamada (1974) " The Brain Drain, International (2) Integration of Market for Professionals and Unemployment. " Journal of Development Economics, 1: 19-24. Bhagwati, J and K, Hamada (1982) " Tax Policy in the presence of (3) Emigration." Journal of Public economics, 18 : 291-317. Carbaugh (2007) "Is International Trade a Substitute for Migration ? " (4) Global Economy Journal, 7 : 1-13. C5] Ionescu and A. Polgreen (2009) "A Theory of Brain Drain and Public Funding for Higher Education in the United States. " American Economic Review, 99 : 517-521. Katz, E. and 0. Stark (1984) "Migration and Asymmetric Information: (6] Comment", American Economic Review, 74 : 533-534. (7) Katz, E. and 0. Stark (1986) "Labor Mobility under Asymmetric Information with Moving and Signaling Cost." Economic Letters, 21 : 89-94. Kwok, V. and H. Leland (1982) "An economic Model of the Brain Drain", (8) American Economic Review, 72 : 1-100. CC Kwok, V. and H. Leland (1982) "Migration and Asymmetric Information: Reply", American Economic Review, 74 : 535. 110] Miyagiwa, K (1991) "Scale Economies in Education and the Brain Drain Problem", International Economic Review, 32 : 743-759. (1].
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