ペスタロッチ幼児教育思想における「生きる力」への基本理念
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(2) 活の乏しさ」「関係性の崩れ」「社会性の乏しさ」. ペスタロッチは「全人教育」理念の源流をな. をどう回復すべきかを解決するにあたって重要. す思想家であり,子どもの素質や能力を調和的. な示唆を与えてくれる。. に発達させる必要性を説いた。当時の言葉・知. 『シュタンツ便り』は,ペスタロッチが実際. 識偏重の教育や職業陶冶に特化した教育を批判. にシュタンツで教育を行った記録である。その. して,「自然の道」にしたがって人間の善なる性. 際,子どもの悲陰な状況から道徳心を育むこと. 質を伸ばしてゆく「基礎陶冶」を重視した。こ. の重要性を感じ,道徳教育に力を注いたのであ. こでは精神・心情・身体の調和を保ってゆくこ. る。ペスタロッチの道徳的教育についての考え. とが重要になる。そして,こうした調和的な発. 方と方法は,基本的に次の三つである。. 達を促す場は家庭を原型とした生活圏であり,. 1.家庭生活で愛と信頼を基礎にして道徳己・を. 学校もまた,家庭のありようにならったもので. 身につける。2.正しレ判断に導きになるよう. なけれぱならないと考えられた。. な身近な直観や経験によって感膚に働かせるこ. この調和的発達に欠かせないのが,人間のも. と,この働きが自己抑制の精神を育み,正義や. つ諸力を統合する能力としての「一般カ」であ. 善なる態度を身につける。3.道徳的な見方や. る。これを中心にしてあらゆる能力の活動が相. 考ネ方を訓練し,正しさを見分ける三とができ. 互に結合すると考えられるのである。この能力. る。. は,現代で言う「生きるカ」の核心的な部分に. r幼児教育の書簡』は子どもをどのように教. あるといえよう。それを育むための方法として,. 育すればよいか。その基礎教育について書かれ. ペスタロッチはギメトーデ(Methode)」を構想し. ていた。ペスタロッチは自立できない幼児には. たのである。それは,知識を言葉より感覚器官. 母親の助けが必要だという。ペスタロッチは母. を通して教えていくr自然の法則」に沿った方. 親に,幼児を利他心の精神をもった人間に育て. 法を中心とするr直観教授」を中心としたアプ. る牟め3つのことを重視させた。1=規則正し. ローチである。そしてまた,人間の本源的な感. く幼児の世話をすること。2.同じ習慣を身に. 情としての心情の陶冶を精神陶冶との調和のも. つけさせるヒと。3.わが子の要求を意のまま. とで発達させ,道徳性と自立性を育んでいくこ. にかなえないこと。. ともまた,メトーデの重要な」部であった。. こうした青みが子どものうちに情愛を発現さ. 今や教育学上の古典となっているペスタロ. せていくのである。母親の情愛は子どもが自立. ッチの著作を現代的な視点か読み直すこと. するための土台,「生きるカ」.を育むための土台. は実り多い作業であった。ここから得た知見. と同義な視点で捉えられていた。. を生きる力を育む現代的な営みへと繋げて. 第3章は,ペスタロッチの教育思想を構成す. いくことが,私たちに課せられたテーマであ. る基鞭理の観点から,r生きる力」を育成する. ると言えよう。ペスタロッチから学んだ基本. ための示唆を得た。ペスタロッチは,r生活が陶. 理念を保育実践に活かしながら,教育実践学. 冶する」ことを重視した彼にとって生活とは. の構築に参画していきたい。. 内的基盤を育てる場であった。日常経験を通し. て,子どものもつさまざまな能力は正しく発達. 主任指導教員 名須川 知子 教授. し,r直観」が磨かれていく。. 指導教員 佐藤 哲也准教授. 一21一.
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