焼酎蒸留粕の牧場での利用方法
著者
紙屋 茂
雑誌名
鹿児島大学農学部農場技術調査報告書
巻
6
ページ
20-21
URL
http://hdl.handle.net/10232/10066
焼 酎 蒸 留 粕 の 牧 場 で の 利 用 方 法 紙 屋 茂 は じ め に 焼 酎粕 は,海 洋投 棄 を主体 に処 分 され て きた。 とこ ろが,こ れ ら産 業 廃 棄 物 に よ る環 境 負荷 の増 大 が 社 会 的 問 題 に な る 中 で,そ の処 分 法 は地 場 産 業 に とっ て重 要 な課 題 と な って い る。 一 方,焼 酎蒸 留 粕 を飼 料 資 源 と して み る と栄養 価 は高 く,粗 飼 料,濃 厚 飼 料 の 給 与 量 節 減 を通 じて低 コス ト小 牛生 産 に貢 献 す る可 能性 が 山 高い Q そ こ で,入 来 牧 場 で は 焼 酎 蒸 留 粕 の 資 源 利 用 法 開 発 の 一 環 と して,放 牧 繁 殖 牛 へ の 給 与 試 験 を こ の3年 間 行 っ て き た 。 こ こ で は 焼 酎 蒸 留 粕 給 与 試 験 を 通 じて 得 られ た 飼 料 化 の 技 術 的 可 能 性 と 問 題 点 の 概 要 を 報 告 す る と と も に 飼 料 以 外 へ の 多 面 的 利 用 に つ い て も報 告 した い 。 飼 料 へ の 利 用 と 問 題 点 お よ び そ の 他 の 利 用 法 焼 酎 蒸 留 粕 は,繁 殖 牛 雌 牛130頭 に1995年9月 上 旬 か ら5月 上 旬 ま で 給 与 し た 。9月 上 旬 か ら12月 中 旬 ま で は 甘 藷 蒸 留 粕 で あ り,12月 中 旬 か ら5月 上 旬 ま で は 麦 蒸 留 粕 を使 用 し た 。 蒸 留 粕 は 焼 酎 工 場 よ り無 償 で 供 給 さ れ,タ ン ク ロー リ ー 車 で 搬 入 した(第1図)。 給 与 場 所 は3カ 所 と し 自 然 流 下 式 の 簡 易 飼 槽(U字 型 側 溝)で 給 与 し た(第2図)。 焼 酎 粕 の 吸 飲 採 食 は 冬 期 が 中 心 で あ り,気 温 上 昇 に よ る 牧 草 再 生 に と も な い 吸 飲 量 は 低 下 し た 。 甘 藷 蒸 留 粕 の 嗜 好 性 は 麦 蒸 留 粕 に 比 べ て 高 く,1頭1日 当 た り平 均 給 与 量 は50∼60リ ッ トル で,そ の 間 の 粗 飼 料(ロ ー ル サ イ レ ー ジ)給 与 は 殆 ど 必 要 な か っ た 。 一 方,麦 蒸 留 粕 の 平 均 吸 飲 量 は25∼30リ ッ トル で 粗 飼 料 給 与 量 は 半 減 した 。 こ の よ う に,い ず れ の 原 料 粕 で も飼 養 コ ス ト低 減 の 可 能 性 は 明 ら か で 省 力 管 理 と な っ た 。 ま た, 蒸 留 粕 給 与 に よ る 繁 殖 牛 の 授 精 に 障 害 は 認 め ら れ ず,む し ろ 小 牛 の 生 体 重 は 大 き く な る 傾 向 に あ っ た 。 た だ 青 草(イ タ リ ア ン ラ イ グ ラ ス)お よ び 蒸 留 粕 と も に 栄 養 価 が 高 く(第1表),冬 期 放 牧 と 蒸 留 粕 給 与 と の 併 用 で は,牛 が 過 肥 に な る 可 能 性 が 認 識 さ れ た 。 ま た1ヶ 所 で 給 与 す る た め 給 与 場 の ぬ か る み が ひ ど く,下 流 域 に お け る 水 質 汚 染 の 可 能 性 も 指 摘 さ れ た が,沈 砂 地 を 設 置 す る こ と で 回 避 で き る こ と が 明 ら か に な っ た (第3,4図)。 一 方,焼 酎 蒸 留 粕 の 飼 料 以 外 へ の 利 用 と し て,鶏 糞 や 堆 肥 に 蒸 留 粕 を 混 入 す る こ と で 有 機 質 の 発 酵 が 促 進 さ れ 悪 臭 対 策 に 効 果 が あ っ た(第5図)。 今 後,地 域 資 源 の 活 用 法 と し て 焼 酎 蒸 留 粕 の 有 効 利 用 に つ い て さ ら に 多 面 的 に検 討 を 進 め た い 。
第1図 タ ン ク ロ ー リー に よ る蒸 留 粕 の 搬 入 第2図 蒸 留 粕 の 給与 第1表 蒸 留 粕 の 栄 養価 飼 料 名 水 分 DM 1) DCP 2) TDN 3) (%) (%) (%) (%) 甘 しょ焼 酎 95.8 4.2 0.5 2.4 蒸 留 粕 (12.6) 4) (57.0) 麦 焼 酎 1.5 4.7 92.7 7.3 蒸 留 粕 (20.4) (64.4) イ タ リ ア ン 2.6 17.7 70.8 29.2 サ イ レ ー ジ (8.9) (60.0) 1)乾 物,2)可 消 化 粗 蛋 自質,3)可 消 化 養 分 総 量, 4)()内 は乾 物 中の 栄 養 価 第3図 給 与 地 の ぬ か り状 況 第4図 沈砂池 第5図 鶏糞の発 酵状況