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飲料用自動販売機のエネルギー消費量と二酸化炭素排出量及びその対策に関する評価

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Vol. 19 No. 3 (1998) 279

研究論文

飲料用自動販売機のエネルギー消費量と二酸化炭素排出量

及びその対策に関する評価

Life Cycle Energy Usage and CO2 Emissions by Beverage Vending Machines, and Evaluation of Their Reform Measures

乙 間 末 広 *

•森

保文**

Suehiro Otoma Yasuhumi Mori

(原稿受付1997年7月2日,受理日12月16日)

Abstract

We performed a case study on beverage vending machines, considered to be one kind of energy -intensive appliance, and analyzed present life cycle energy usage. For calculating the energy needed for processing and assembling the parts and products involved in composite products like vending machines, we introduced parameters showing the proportions of energy used in process -ing and assembly in relation to energy for producing materials, and proposed a method for estimation through approximation. We further used case studies to examine this method's applicability, and determined the energy consumption entailed by the processes of producing and using vending machines.

In addition, we used estimates based on experimental observations and a model to investigate in detail the present energy consumption of vending machines, and to identify ways of conserving energy and investigate their energy-saving efficacy when used. An energy savings of about 50% per machine seems possible. We also estimated the potential for reducing CO, emissions by increasing the use of energy-saving vending machines.

1

.

はじめに わが国においては,第一次石油ショック以降産業 部門からのCむ排出量は技術革新により横這いあるい は減少傾向にあるが,民生部門からの排出量はその後 も着実に伸びている. この分野における有効かつ早急 な対策の実施がなければ,今後もこの傾向は拡大的に 継続するものと予想され,民生分野における対策技術 の開発および普及が急務である. 本研究では,エネルギー多消費型の民生製品で,電 カの総使用量が大型原子力発電所1基に相当すると言 われている飲料用自動販売機を対象にケーススタデー を実施する.その過程で,自動販売機のような複合製 品の組立・加工エネルギーを簡便に推算する手法を提 案するとともに,自動販売機の現状のエネルギー消費 塁を試験運転とモデル計算による推定から詳細に検討 を加え,省ェネルギー策の抽出とその採用による省エ ネルギー効果を検討する.また,省エネルギー自動販 *国立環境研究所社会環境システム部資源管理研究室室長 * *

主任研究員 〒305-0053茨城県つくば市小野川16-2 売機の普及に伴うCO2排出量の低減ポテンシャルにつ いても推定する.

2

.

自 動 販 売 機 の 現 況 1995年現在,飲料用自動販売機(清涼飲料,乳飲料, コーヒー,酒・ビール)は年間約34万台出荷され,合 計で約254万台普及!)しており,国民50人に1台の割 合である.平均消費電力をある飲料販売会社の調査値 の平均値である8.2kWh/日/台 (342Wに相当)と すると,年間総消費電力量は7.6XlO'kWh/年とな り,これは日本の消費電力量の1.07%に相当する. こ れに伴うCO2排出量は0.897Mt-C/年(0.118kg-C/ kWh)であり,日本全体の

co

,排出量はほぼ320Mt

-c

/年であるから,これは0.28%を占める. また, 自 動販売機の一台当たりの使用時最大電力を中程度のサ イズである500Wと仮定すると,コンプレッサーが一?/’

斉に稼動すると思われる真夏の自動販売機全体の

y

.

:

.

J

-ク電力は1.27百万kWに達し,これは大型原子月発電 所1基に相当する.

9/

/ ノ‘ 1996年第12 回エネルギーシステム•経 一部発表 'ク / • - -81-,'

/

(2)

280 図-1 自動販売機のライフサイクル

E

E

図-2 自動販売機の組立・製造までのフロー 自動販売機のライフサイクルの概略は図-1のようで ある. 本研究では,中でもエネルギー消費にとって重 要と思われる組立・製造段階と使用段階について検討 した.前者におけるエネルギー消費については,主に 部品の詳細な積み上げから求め,後者については,多 様な条件下での試験運転により観測したなお,ここ での組立・製造段階には素材製造をも含んでいる. 通常の自動販売機は700近い部品からできており, その多くは下請け工場で生産されている.それらを大 別すると,素材を加工しただけの部品(単純部品)と 部品自体が複数の部品から構成されている部品 (複合 部品) から構成されるその概要を図-2に示す.自動 販売機の場合,複合部品には, コンプレッサ,蒸発機, モーター,基板類,電球類が該当する.

3

.

組 立 ・ 製 造 段 階 3.1素材製造のためのエネルギー消費量と

co

,排出量 自動販売機の素材構成については,実際に製品を分 解して, 素材別の重量を測定することで把握した.素 材の分類は,既存の研究において,製造に係るエネル ギー消費原単位(エネルギー集約度),

co

,排出原単 位 (Cふ集約度)が把握されているレベルとした. コ ンプレッサ, モータ等,複数の部品から構成されてい る部品(複合部品)については,部品単位とし,部品 全体の重鼠として把握 し た 既存の研究2 5)から収集した鉄鋼,樹脂材料等の製 造原単位の中から,その前提条件を考慮したうえで, 遠材製造に伴うエネルギー消費原単位, C応排出原単 ヽ 位を捕出・整理し,素材重凪を掛けることによって,

素材製垣翅寺に必要となるエネルギー消費且とC応 排 出 品を箕出した、 なお,原単位が不明な素材や材料構成 が不明な部品につ、叉:ま,計算上,類似と思われる素 材のデータあるいはそ入組み合わせを適用した.図-3 -82 -‘ヽ エネルギー ・資源 図-3 金属類の素材別エネルギー消費量 50,000 "nooo "oaxl 比:ヽ/お 図-4樹脂類・その他の素材別エネルギー消費旦 rc/台 図-5金属類の素材別二酸化炭素排出凪 図-6 樹脂類•その他の素材別二酸化炭素排出品

(3)

Vol. 19 No.3 (1998) 6に結果を図示する.なお,塗装鋼製造時の塗装に ついては素材生産過程に含み,後述の塗装加工エネル ギーには成形後の塗装のみを考慮している. エネルギー消費量では,溶融メッキ鋼,塗装鋼,—硬 質ウレタンフォーム,基板類, PMMA,形鋼, PC, ABS等の順,

c

o

,排出量では,溶融メッキ鋼,塗装 鋼,基板類,硬質ウレタンフォーム,銅製品,形鋼, 線材, PC等の順となっている.鉄鋼関連が大きな割 合を占めるのは,使用重量が多いためである.一方, ここでは示していないが,基板類の重量は全体の約 0.45%であるが,エネルギー消費量では3.58%,CO, 排出量では5.63%にもなり,基板類がエネルギー集約 型の部品であることがわかる. 3.2加工・組立のためのエネルギー消費量とCO2排出 量 自動販売機のような複合製品には大小数多くの部品 が使われており,積み上げによって厳密に実施する場 合はこれらの部品を一つずつ漏れなく追跡しなければ ならない.部品に係わるエネルギー消費量は部品を構 成する素材の生産に必要なエネルギーと部品を組立て 加工(ここでは輸送等を含む)するのに必要なエネル ギーの和として推計できる前者の素材生産に必要な エネルギーは,前節で記述したように,最終製品の素 材構成重量と既存原単位データから比較的容易に計算 できるが,後者の組立・加工エネルギーについては個々 に調査する方法が一般に採用されている.複合製品を 対象とする場合,この調査を多数必要とするうえ,納 入業者など他の事業体の生産方法を詳細に調べる必要 があり,現実的にはほぽ不可能に近い.そこで,複合 製品の部品をも含めた組立・加工エネルギーを製品の 281 素材構成重量から推定する下記のような実用的な方 法6)を考案し適用した. 自動販売機のような複合製品を構成する部品のうち, あるものはそれ自体が複合製品であり,複数の加工・ 糾立工程を経て製造されている.部品・中間部品の生 産に伴うエネルギー消費量又はCむ排出量は以下の三 つに分けることができる.(1)製品に含まれる素材 を生産するのに要した量(2)製品に含まれず,廃 棄物となった素材を生産するのに要した量. (3) 部 品の加工・組立のために要した量ここでは,製品に 含まれる素材重量をベースに解析する方法を提案し, 適用しようとしていることから,(1) に対する (2) +(3) の比率を「加工・組立比」と定義する. 複合製品を構成する部品iの素材の製造に伴うエネ ルギー消費量又はCO2排出量をMiとすると,複合製 品の製造に伴うエネルギー消費量又はCむ 排 出 量Pは 次式により表せる. P

L{M; x(l+PARn)x(l+PAR;,)x…….x(l+PAR血)} i=l ただし, PARijはi部品のj加工・組立工程の加工・組 立比であり,工程数mは部品iによって異なる. 加工・組立比の算定にあたっては,代表的な工程に ついて,下請け部品工場およびメーカの組立工場の協 力を得て,用役量や廃棄物量に関するデータを収集し, 推定した.表1はそれらをまとめたものである.塗装 工程を除いて,調査した範囲の加工・組立比はほぼ同 じ値 (0.00.1)となった自動販売機のような多く の部品を有する製品について,関連する全ての加工・ 組立比を求めることは不可能であることから,本研究 では,塗装工程を除く部品の加工・組立工程における 表1 調査工場におけるエネルギー消費量の内訳(素材製造エネルギーも含む) 34

塗装 (A社) 板金 (B社) 26.2 I 2.6 I 0.2 I - I 0.1 樹脂成形 (C社) ···•··· 122.1

0.5

0.4

I - I

o

.

o

9.2 I 0.0 I 0.0 I - I 0.0 配線類 (D社) ···•···•···•···•··· 46.2 I 5.1

0.1 I 0.1 I 0.1 9.3 I 0.2 I 0.0 I 0.0 I 0.1 製品組立 (E社) 64.2(組立) 5.4

I

0.6 3.2 0.4

I

0.1 注)輸送については, トラックに10t積載して100km輸送すると仮定し,燃料をガソリン,燃費 を5km/lとして計算した.

-83-/

(4)

282 表2 製品組立製造ステージにおけるエネルギー消費 量と Cむ排出量 ・ エネルギー消費量

c

o

,排出量 Meal/台 kg-C/台 備 考 単純部品 -

素 材

---•---•---2,226.580

I

-...1.6.6...2.3.0...

....3 6........ 加 工 222.658

I

16.623

0.1

素 材

249.018

I

23.240

-4, 6 ---・---・ 複合部品

f

/JOI

I

52_294

I

4.880

0.21

塗 装 --

素 材

---・ ・ー 0_024・ -

I

-・ 0.001・・

307_524 I 17.530 表1,塗装 製 品 組 立 10_153

I

3.654 表I,製鴇眩 合 計 3,128.261

I

232_157 素 材 2,475.622

I

189.470 ・--- -前

T

'11.

I

652.639

I

42_687 加工・組立比を一定値

K

であると仮定し,次式により 複合製品の製造に伴うエネルギー消費量又はCO2排出 量Pを算出した.

P

M

;x(l+Kr]

1

の結果から,

K

の値としては,塗装と製品組立に ついては表にある値をそのまま使用し,他については ほぼ同じ値であることから0.1を採用した. さらに,単純部品については素材から1回の加工工 程を,複合部品については部品によって多様であるが, ここでは簡単に素材から2回の加工・組立工程を経る ものと仮定した.その結果を表2に示す. 自動販売機 のオーバオールな加工・組立比は,エネルギ_消費量 については0.26で, CO2排出量については0.23となっ た.なお,筆者らがごみ焼却場で実施した同様の調 査”では加工・組立比の平均的な値は0.5であった. 加工・組立比は業種によって異なると考えられる.今 後,業種毎の加工・組立比が明らかになりデータベー ス化されるなら,ここでの手法はさらに適用し易くな り,各種の推算が一段と容易になることが期待される.

4

.

使用段階 自動販売機の使用(供用)時のエネルギー消費は電 カのみであり,耐用期間や冷凍機などの使用部品の仕 表3 評価対象とした自動販売機の仕様 設 置 場 所 屋内 総合定格消費電力 603W 周 囲 温 度 24℃ 圧縮機定格入力 361W 庫 内 温 度 5℃

I

運転率 40% 庫 内 構 成

c

-

c

-

c

凝縮器側ファンモータ 39W 電 源IOOV, 50Hz 蒸発器側ファンモータ 53W 総合定格電流 8.2A 蛍光灯29WX3, 42WX 1 129W 平均消費電力 340W DC電源(コインメカ等) 21W エネルギー・資振 ‘` 様からエネルギー消費の概要は推測できる.本研究で 評価対象とした自動販売機は平成7年時点で最も普及 していた機種の

1

つで,表

3

のような仕様を持つ

3

冷 却庫室タイプであり,平均消費電力及び圧縮機の運転 率は実績値である. 業界の統計では自動販売機の平均耐用年数は

7

年強 であるが,都市部では3 5年で新規の機種に交換さ れている.ここでは耐用年数を7.5年として,平均消 費電力から,自動販売機の使用ステージにおける消費 電力量を求めると, 消費電力量 =平均消費電力X24時間/日X365日/年

x

耐用年数

=342W X 24 h / day X 365day / year X 7.5year =22.5XlO'kWh となる.電源構成,発電効率を考慮し, lkWhあた りの平均一次エネルギー使用量 (2.25Mcal/kWh),

co

,排出原単位 (0.118kg-C/kWh)を消費電力量に 乗じて,製品使用段階におけるエネルギー消費量およ ぴCむ排出量を求めると,それぞれ50.6XlがMealお よび2.65X lO'kg-Cとなる.

5

.

組立・製造段階と使用段階の比較 素材製造,製品組立製造,製品使用の各段階におけ るエネルギー消費量, Cむ排出量を表4に整理する. 自動販売機の場合,製品の耐用年数が7.5年と長いた め,全消費量,全排出量に占める割合は,製品使用段 階において高い. 表4 各段階におけるエネルギー消費量, CO,排出量 の比較 単位 素材麟 襲品備

t

襲悟 製品使用 合 計 エネルギー Meal 2,476 653 50,556 53,685 消 費 量 (%) (4.6) (1.2) (94.2) (100.0)

c

o

,排出量 kg-C (168.69) (14.35) (29,26.501) (21,080.830) 素材製造を含む組立・製造段階と使用段階とのエネ ルギー消費量の比はほぼ1: 16であり.

co

.排出量で はほぼ1: 11.5である.使用時の省エネルギー対策の 重要性がうかがわれる.ちなみに,自動販売機の価格 と7.5年間の電気料金の比はほぼ1: 1.01.2である.

6

.

自動販売機の省エネルギー対策とその効果 6.1使用時のエネルギーの内訳 前章の検討から,自動販売機に関する C釦排出量の -84-~ \

(5)

Vol. 19 No. 3 (1998) 表5 自動販売機使用時の電力消費の内訳 コンプレッサによる排熱 因

I

内 部

I I

モータ 伝 熱 気 密

電力消費の割合~

I

22%

I

27% 要 付属機器 36% 表6 自動販売機の省ェネルギー対策と推定効果 分 野 対 策 推定効果 ◎ コンプレッサ停止時には内部モータ 内 部 モ ー タ も停止する 9% 〇 現在の内部モータを庫外に設置する 15% 伝 熱 ◎ 断熱材を現場発泡にする 5% △ 断熱に真空パネルを使用する 15% ◎ 内箱を一体成形にする 3% 気 密 0 前面および取出口を気密度の高い設 18% 計にする 照 明 等 ◎ 過剰照明をなくす 8% 0 前面のデザイン,索材を工夫する 3% そ の 他 ◎ 高性能コンプレッサを使用する 13% (注)対策の実施し易さ ◎>0>△ 削減には,使用時の省エネルギー対策が効果的である ことがわかった.そこで,対策を検討するため,エネ ルギー消費の内訳を各種条件下での試験(計測)運転 と自動販売機の設計仕様から推定した. 自動販売機の使用時には,大きく分けて,冷却目的 のためのコンプレッサ,および照明・コインメカ等の 付属機器に電力が消費される.さらに,コンプレッサ は,内部モータからの発熱,および伝熱と気密漏れに よる侵入熱の排除のために作動する.以下の方法によっ て,電力消費量をこれらの要因別に推定した. (1)内部モータ:モータの実作動時間の計測 (2)伝熱:使用断熱材等の物性から計算 (3)気密:ビニールシート等による気密確保時の計 測 (4)付属機器:機器の仕様から計算 推定結果は表5の通りである.付属機器の電力消費 が最も多く,その大半が照明によるものである.また, コンプレッサ稼働の要因である熱源に卓越したものは なく,省エネルギーにはそれぞれの対策を組み合わせ て実施する必要がある. これらの結果と自動販売機製 造メーカの技術者へのヒャリングをもとに,取りうる 対策とその推定効果を表6に示す.ただし,推定効果 は厳密な計算によるものではなく,表5を基に技術者 と相談のうえ推測したもので,現状機種のエネルギー 283 消費量に対する割合で示してある. 6.2省エネルギー機導入のシナリオと普及効果 現在の技術レベルと大幅なコストの増加を招かない ことを前提として,表7のような省ェネルギー対策を 導入した2通りの機種をここでは想定した.ただし, 高性能コンプレッサの使用効果は他の対策の効果と重 複するため,前節の値よりも低く設定した.また,表 中の省エネ効果は現状機種のエネルギー消費量に対す る割合を示す. 省エネルギー機導入のシナリオとしては,新機種投 入の初年度より年出荷台数の34万台すべてにケース1 の機種が導入され,さらに4年目よりケース2の機種 に切り替わるとした.図—7 が計算した結果である. 自動販売機が完全にケース2の機種に置換されるの は,計算上では, 10年後であるが,耐用年数に分布が あることを考慮するともう少し遅れることになろう. この結果によると, 3年後には飲料用自動販売機全体 表7 想定した省ェネルギー型飲料用自動販売機 ケ ー ス 1 導 入 す る 対 策 省エネ効果 ・通常時のモータ停止 9% ・断熱材の現場発泡 5% ・内箱の一体成形 3% ・過剰照明の排除 8% ・高性能コンプレッサの使用 8% A ロ 33% ケ ー ス 2 導 入 す る 対 策 省ェネ効果 ・モータの庫外設置 15% ・断熱材の現場発泡 5% ・内箱の一体成形 3% •前面及び取出口の気密設計 15% ・過剰照明の排除 8% •高性能コンプレッサの使用 8% A ロ 54% 100 80 6040 ︵ ま ︶ 幽 丑 蕊

8

20

0 2 4 6 8 10 12 経過年(年) 図-7 省ェネルギー機種の普及に伴うCむ排出量削減 効果

(6)

-85-2

8

4

で約20%の省エネルギーが達成され,ほぼ新機種に置 換されているであろう10年後には54%の省エネルギー が見込める. これによって,日本全体の

c

o

,排出量の

0

.

1

5

%に相当する

0

.

4

8

M

t

-

C

/年の削減が期待できる. コンプレッサの高性能化などに伴い,製造時のエネ ルギー消費が若干増大することも予想されるが.すで に説明したように,自動販売機の場合,使用時のエネ ルギー消費が圧倒的であり,省エネルギー対策の効果 を損なうものとはならない.

7

.

省 エ ネ ル ギ ー 機 器 導 入 へ の 課 題 ここで提案している省エネルギー策の導入に関して, 技術的な課題はそれぼど大きなものではない.むしろ. 経済的な側面が重要な課題といえる. 自動販売機の価格に対する使用時の電気料金の比は, 加工・製造段階に対する使用段階のエネルギー消費量 比ほど,大きくはない. しかし,なお電気料金の占め る割合は大きく,製造段階での省エネルギー策への投 資は.全体として十分見合うものと思われる.すなわ ち,自動販売機の場合は. トータルコストの削減がそ のまま省ェネルギー,

c

o

,排出量削減につながる事例 である.にもかかわらず,比較的容易な策も講じられ ていないのが現状である. 自動販売機の維持管理会社(飲料の販売会社でもあ る)は製造業者に発注,購入し,設置場所提供者に謝 礼を支払って飲料を販売しているただし,通常は設 置場所提供者が使用時の電気料金を支払っている.す なわち,自動販売機の購入価格と使用時の維持費を支 払う主体が異なり,両者をトータルで最適化するメカ ニズムが今のところ存在していない.製造業者が販売 価格の上昇を伴う対策を導入した場合,購入者である 維持管理会社の直接の利益を損ない,その成果は製造 業者にとって顧客でない設置場所提供者が受けること になる. この問題は維持管理会社と設置場所提供者の 間で工夫すれば容易に解決することであり,今後,省 エネルギー策が積極的に導入されることを期待したい.

8

.

まとめ

エネルギー多消費型の複合製品である自動販売機に ついて,製造段階および使用段階のエネルギー消費量 の解析を実施した.製造段階の解析では,加工・組立 比の導入を提案し,適用した.従来,加工・組立に要 するエネルギー消費量および

CO2

排出量は無視される か,素材エネルギーあるいは

c

o

,の総量に一定の比を エネルギー・資源 かけて算出するなど,十分考慮されてこなかったが, ここでの提案は,比較的簡便でかつ製品の特性をより 反映した推定が可能である. 使用段階については試験運転と設計仕様から電力消 費量とその要因別内訳を推定した.その結果,製造段 階に比べて,使用段階の電力消費量を低減することが 特に重要であると確認された.要因別では,照明等の 付属機器が最も多く電力を消費しているが,消費量の 大半を占めるような卓越した要因はなく,決定的な1 つの対策はない. しかし,個々の要因に対する対策を 組み合わせることによって

5

0

%以上の省ェネルギーが 可能と推定された. 最後に,自動販売機の省エネルギー対策の導入とそ の効果について検討した.現在,飲料用自動販売機の 稼働に伴う

c

o

,の排出量は日本全体の0.28%と推定で きるが,省エネルギー機の普及により,その内の

0

.

1

5

%は低減の可能性がある.また,省エネルギー機の導 入はトータルコストを削減する方向とも一致しており, 経済的な観点からも推進されるべきもので,そのため の課題にも言及した. 謝辞 本研究は,サンデン株式会社自販機開発部の全面的 な協力なしには実施し得なかったものであり,ここに 記してお礼申し上げます. また,本研究は,環境庁地球環境研究総合推進費に より実施された研究の成果である. 参 考 文 献 l)サンデン株式会社自販機事業部:' 97年度自動販売機プレ ゼンテーション資料 (1996). 2)新エネルギー・産業技術総合開発機構:曲産業礫境管理 協会「エネルギー使用合理化手法国際調査」 (1995). 3)曲化学経済研究所:基礎素材のエネルギー解析調査報告 書 (1993). 4)曲未踏科学技術協会:「環境負担性評価システム構築の ための基礎調査研究」調査報告書別冊 (1995). 5)鋤国土開発技術研究センター:省資源・省エネルギー型 国土建設技術の開発(建築委員会)報告書 (1994). 6)森保文,乙間末広.中條寛:製品組立および加工に関わ るエネルギー消費量/

c

o

,排出量の簡易算定法,第 12回 エネルギーシステム・経済コンファレンス講演論文集 (1996), 297-302. 7)森保文.乙間末広.近藤美則.鮫島良二,森本林:ごみ 発電によるエネルギー回収およびC伍排出量の削減効果 の推定.ェネルギー・資源,第15巻(1994), 73-80.

参照

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