ると える. 3.緩和的外科処置の検討 平田 恵美,千木良直子 ( 立藤岡 合病院 西3階病棟) 石崎 政利 (同 外科) 古池きよみ (同 緩和ケア認定看護師) 【はじめに】 消化器癌の終末期には, 消化管閉塞や黄疸 等が出現し, 全身状態を急速に悪化させ, QOL を著しく 低下させることが多い. このような患者に対して, 食事 摂取を可能にすることと在宅生活を送れるようにするこ とは QOL 向上に重要である. 今回, 切除不能な進行・再 発癌の患者に対し,症状緩和・QOL の改善を目的とした 緩和的外科処置を行った症例について, その有用性につ いて検討したので報告する. 【目 的】 症状緩和・QOL の改善を目的とした緩和的外科処置についてその有用性 を検討する. 【対 象】 対象は H20年 1月∼H21年 12 月までの切除不能な進行・再発癌による症状緩和を目的 とした緩和的外科処置を施行した 42症例を対象とした. 原発部位は胃癌 11例, 大腸癌 3例, 十二指腸・膵癌・乳 頭部癌 8例,肝臓・胆管・胆囊癌 18例,婦人科 1例,泌尿 器科 1例であった. 術式は人工肛門造設術 6例, バイパ ス術 9 例, 腸ろう造設術 2例, 消化管 (胆管) ステント・ チューブ留置 25例であった. 【結 果】 経口摂取不良 症例が, 処置により摂取量増加したのは 35症例であり, 在宅へ移行できたのは 34症例であった. 【まとめ】 緩 和的外科処置は, 癌末期における消化管閉塞症状や黄疸 の改善, QOL の改善に有効であったと えられた. 一方 で高度の癌性腹膜炎症状や全身状態の悪い症例では合併 症や QOL を損なうリスクもあり処置の適応には十 に 配慮がされるべきであると思われた. 4.がん性疼痛に対するCTガイド下神経根ブロックの 一例 高橋 利文,猿木 信裕 (群馬県立がんセンター 麻酔科) 佐藤 浩二 (同 呼吸器内科) 膵臓がんに対する腹腔神経叢ブロック, サドルブロッ クなどのくも膜下フェノールブロックを除くと, がん性 疼痛に対する神経破壊薬を 用する神経ブロックの役割 は非常に限定されている. 今回, CT ガイド下に高濃度テ トカインを 用した神経根ブロックの症例を経験したの で報告する. 症例は肺がんの 65歳男性. 左肺がんに対し て胸腔鏡下に左上葉切除術実施したが, 1年後に胸壁と 胸椎に再発. 胸部痛にオキシコンチン 60mg まで増量し たが, 嘔気強いため, デュロテップパッチに変 . その後 も疼痛増強し, 鎮痛薬を増量したが, 眠気が強く現れる ようになった. 疼痛コントロール目的に骨転移部に放射 線照射 40Gyを実施したが, 鎮痛効果は不十 であった ため, 神経ブロック目的に麻酔科紹介された. 胸部の再 発部位は, 前胸部の胸壁と第 11胸椎にあった. 最大の痛 みである左前胸部痛の原因は, 左神経根部を巻き込んだ 第 11胸椎の骨転移部と えられた. CT で神経根部はほ とんど腫瘍で占められ, 骨破壊を伴っていたため, 通常 の X 線透視による神経根ブロックは適応外であった. そ のため,CT ガイド下に神経根ブロック (高濃度テトカイ ン) を実施した. ブロック後は, 第 11肋間神経に う痛 みは半減し, 退院することが可能となった. デュロテッ プパッチの投与量も半減できた. がん性疼痛に対する神 経ブロックの適応を狭めている要因の一つとして, ブ ロックを実施する側の技量, マンパワーの問題もある. CT ガイド (透視) 下に高濃度テトカイン, 高周波熱凝固 等を活用することで, 副作用なく, より安全, 短時間にブ ロックが実施可能となってきている. 5.病棟リンクナースに対する緩和ケア教育の取り組み 春山 幸子, 湯澤 美咲, 福島 久美 土屋 道代, 清水 政子, 田中 俊行 (前橋赤十字病院 かんわ支援チーム) 【はじめに】 当院では, かんわ支援チーム (以下, チー ム) が設置される前より「緩和ケア係り (以下, リンク ナース)」が看護部統括のもと各病棟に 2― 4人ほど設置 されている. リンクナースの目的のひとつに, 病棟内で 緩和医療が必要な患者を抽出し, 主治医とチームの《橋 渡し》を行うことである.そのため,リンクナースへの教 育は必要不可欠と える. リンクナースを対象とした緩 和ケア教育として勉強会を行ったのでその報告をする. 【対象と方法】 平成 19 年度のリンクナース 35名を対象 とし, がん性疼痛看護を中心とした緩和ケアについての 勉強を行った. 2回に け, 4時間ずつ講義を行った. リ ンクナースを「普段がん患者と多く接している病棟」の グループ (A グループ ; 30名) と, 普段がん患者とあま り接する機会の少ない病棟」のグループ (Bグループ ; 15名)の 2グループに け,別々に講義日を設定した.講 師は主に認定看護師 (春山) が行い,内容によってはリン クナース自身も講義を担当した. 講義前後のテストを受 けた 32名の結果を t-testで 検 討 し た. 【結 果】 第 1 回目の講義前のテストの結果は, A グループが 60.3±1.8 点, Bグループが 44.6±2.9 点, 講義後が, A グループで 63.8±1.7点, Bグループで 56.9±2.6点であり, 両グルー プとも講義後は講義前にくらべ点数が上がり, 特に Bグ ループにおいては,講義後は有意に (p=0.002)上昇した. 2回目の講義について, 講義前が, A グループで 65.0± 3.4点, Bグループで 51.9±3.6点, 講義後 A グループが 第 21回群馬緩和医療研究会 78
81.9±1.7点, Bグループが 76.9±2.0点であり, 両グルー プとも講義後の点数は講義前にくらべて有意に (p< 0.001) 上昇した. また, A グループのテスト結果は Bグ ループに比べ, 有意に良好であったが, 2回目の講義後の テストでは両グループ間で有意差はなかった. 【まとめ と今後の課題】 勉強会を行なうことで確実に知識がつ いている結果となった. 現状の問題として, リンクナー スや講師の勉強会への参加時間の確保, リンクナースが 代すること, 継続した勉強会の開催が必要なことなど が えられる. 今後は, この現状の問題を解決しながら, 教育したことを病棟で生かしているかどうかも検討して いきたい. 6.当院における緩和ケア教育を える 内田 幸枝,島野 玲子,河内 ルミ 杉山千佳子,萩原 伸子,菅山留美子 神谷 輝彦,中村 敏之 (館林厚生病院 緩和ケアチーム) 【目 的】 当院は, 急性期病院で緩和ケア病棟がなく, 一般病棟で治療から見取りまで行っている地域の中核病 院である. 今回, 緩和ケアに対する意識や質の向上を図 るために, 地域で活動している緩和ケア認定看護師によ る研修会を企画した. 研修会終了後, 緩和ケアに対する 意識と知識調査を実施し, 今後の緩和ケア教育のあり方 を検討した. 【方 法】 参加者に,職種,所属施設,参加 動機, 緩和ケアの悩み, 学びたいことについてアンケー ト調査を行った (緩和ケアの悩み, 学びたいことについ ては複数回答可とした). 【結 果】 アンケート回収率 は 92%であった.職種は,看護師 80名,医師 3名,薬剤師 3名,コメディカル 15名で,年齢別では 20歳代 28名,30 歳代 29 名, 40歳代 21名, 50歳代 20名と年齢差はほと んどなかった. 所属施設は, 病院 (当院) 91名, 医院 3名, 訪問看護ステーション 3名, 診療所 1名と当院スタッフ が大部 を占めていた. 参加動機については, 緩和医療 に関心あり 83名, 他者に勧められて 13名, 講師に関心 あり 11名, 緩和ケア認定看護師に興味あり 8名であっ た. 緩和ケアの悩みについては, 精神的苦痛の緩和, 痛み 以外の苦痛の緩和, 痛みの緩和の順で回答が多かった. 学びたいことは, コミュニケーションスキル, 家族ケア, 不安・鬱などの評価マネジメントをあげている人が多く 見られた. 【 察】 今回の結果から, 経験の有無に関 わらず緩和ケアの悩みと学びたいことが相関しているこ とがわかった. その背景には, マニュアルどおりにいか ない」, 指導的立場の人がいない」「情報を共有する場が ない」などさまざまな要因があるのではないかと える. 今後は, 地域の中核病院として緩和ケアの質の向上を図 るため, 症例検討会や合同カンファレンスなどを通し, 医療者間のコミュニケーションの場を提供していきた い. 7. がん医療に携わる医師のためのコミュニケーショ ン技術研修会」の個別開催の試み 田中 俊行,小保方 馨 (前橋赤十字病院 かんわ支援チーム) 大 章 (群馬県立がんセンター) 小林 剛(独立行政法人 国立病院機構 西群馬病院) 間島 竹彦 (群馬大医・附属病院・精神科神経科) 【はじめに】 がん対策推進基本計画の取り組むべき施策 に, がん医療における告知等の際には, がん患者に対す る特段の配慮が必要であることから, 医師のコミュニ ケーション技術の向上に努めること」とある. その条文 に基づき, 厚生労働省委託事業として, 医療研修推進財 団主催, 日本サイコオンコロジー学会 (JPOS) 協力のも と, 2008年度から「がん医療に携わる医師のためのコ ミュニケーション技術研修会 (CST)」を開始した. 現在, 全国で年に 5回程度開催され, 県内の医師も受講されて いる. 内容は, 悪い知らせ (bad news) (難治がん, 再発や 転移,抗がん治療の中止)を伝えるための技術 (SHARE) を ったコミュニケーション研修で, 主に外来診療風景 を仮想の場としたロールプレイを 2日間で合計 8回 (一 人 2回ずつプレイする. 他のプレイは観察者役) 行い技 術の習得を目指すものである. しかし, ファシリテー ター (進行役)の育成に時間がかかること,少人数制での グループ研修であるため, 受講の機会が少ないことが問 題点としてあげられているようである. 【目 的】 群 馬での個別 開 催 を お こ なった の で, 結 果 を 報 告 す る. 【方 法】 全国開催と同じスケジュールで, 土・日曜日 の 2日間開催とした. 病院内ではなく市内のホテルでお こなわれ, 受講生も軽装での参加とした. 4人の受講生と 2人のファシリテーターを 1グループとした. 模擬患者 (SP)は「つくば SP会」に協力していただいた.また,終 了後, 1) 充実した研修会で満足するものであったか, 2) 今後, 職場の医師に参加を勧めるか, 3) ファシリ テーターは面識のある人でいいか, などのアンケート調 査をした. 全国開催に参加した群馬の医師にも同様なア ンケート調査をし, 比較検討する予定である. 【結 果】 当日の研究会で CST 個別開催の報告とアンケート結果 を発表する. 【まとめ】 今回のアンケートの結果をも とに運営上の問題点を提示し, その解決策を 察するこ とで, 今後, 群馬県全体での開催に役立てていきたい. 79