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JAIST Repository: 競争的資金制度における中間機関の機能

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Academic year: 2021

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全文

(1)

Japan Advanced Institute of Science and Technology

JAIST Repository

https://dspace.jaist.ac.jp/

Title

競争的資金制度における中間機関の機能

Author(s)

吉澤, 剛; 西村, 由希子; 田原, 敬一郎; 安藤, 二香

Citation

年次学術大会講演要旨集, 25: 476-477

Issue Date

2010-10-09

Type

Conference Paper

Text version

publisher

URL

http://hdl.handle.net/10119/9341

Rights

本著作物は研究・技術計画学会の許可のもとに掲載す

るものです。This material is posted here with

permission of the Japan Society for Science

Policy and Research Management.

(2)

2C15

競争的資金制度における中間機関の機能

○吉澤剛、西村由希子(東京大学)、田原敬一郎(未来工学研究所)、安藤二香(科学技術振興機構)

1.

背景

今後 10 年間程度を見通した 5 年間の科学技術政策 を具体化するものとして現在策定が進められている 第 4 期科学技術基本計画に向けた科学技術基本政策 策定の基本方針(案)では「課題の解決に向けた科 学・技術への国民の期待は高く、国としても取組を 強化していくことが急務となっている」ことが認識 されており、また、大学の知的財産マネジメント機 関では市場や地域振興など限られた対象を超えて知 財を公共的価値の創出に向けようとする事例が多い ことが明らかになっている(西村 2008)。さらに、 最近ではソーシャルビジネスに関わる社会起業家・ NPO の活躍も目覚ましい。このように学術的・実践 的知識を社会的・公共的価値の創出に結びつける動 きは、近年ますます盛んになっている。その活動の 一環として「社会問題を解決し、社会を円滑に運営 するための技術」(堀井 2004)であるテクノロジー アセスメントなどの社会技術の発展も期待されてい る。ところが、大学の知財が公共的価値を創出して いる事例は限られている(西村 2009)、科学技術・ イノベーション政策に社会科学的な知識が体系的に 役立てられることがない(吉澤・田原 2008)など、 現状では知識を社会に反映させる仕組みが随所で十 分でないことも明らかとなっている。加えて問題と なるのは、社会的・公共的価値を認識して事業主体 の有する知識にフィードバックするための体制がほ とんど整っていないことである。たとえば安全・安 心な社会とは何かについて人々や社会が顕在的・潜 在的に何を求めているかを適切に把握しなければ、 大学や公的研究機関で開発しているプライバシーや セキュリティなどに関する科学技術や法・社会制度 に関する知識が役に立たなくなるおそれがある。反 対に、ソーシャルビジネスに携わる社会起業家や NPO は自らの事業を社会的・公共的価値の創出に結 びつける活動を自律的に展開している。ところがこ うした組織では、これまでの経験や勘に基づく判断 が多く、暗黙的な知識が明示化・普遍化されない事 例が多いという。さらに日本では、社会起業家や NPO のみならず、大学や公的研究機関をはじめとす る知識基盤組織では知識の属人性が高く、高い資質 や能力を持った個人に頼ることが多いため、活動範 囲を拡大したり、活動を持続しようとしたときに困 難が生じる。長期にわたる問題の解決や社会構造・ 制度の変化を促すことも難しい。

2.

中間 機関 と は

知識と社会的・公共的価値を結びつける活動を事 業主体が単独で行うことはしばしば難しく、資金配 分機関、知財マネジメント機関、社会起業家・NPO 支援団体等の中間機関による介入が期待される。こ こで中間機関とは、特定の事業の支援を行う組織で あり、事業のスポンサーおよび事業の実施主体から 独立した組織を指すものとし、本研究では特に知識 と社会的・公共的価値を結びつける活動を行う事業 主体を支援する機関を扱う。結びつけるとは知識か ら社会的・公共的価値の創出を行うことと、社会的・ 公共的価値の把握から知識を生産することの両方を 指す。民間企業を支援する中間機関(金融機関や企 業支援センターなど)の機能は概ね経済的価値に基 づいて定められるが、社会的・公共的価値は人によ って大きく異なり、それを測る市場などの確固たる 場がないため、知識と社会的・公共的価値を結ぶ中 間機関に求められる業務や機能は非常に複雑である ことが想定される。そのため、こうした中間機関の 実態はこれまでにあまり把握されていない。NPO と 寄付者・ボランティアなどの資源提供者との間を仲 介し、両者の協働が進むようにコーディネートする 機能を有する「インターメディアリ」については一 部の研究(田中 2005, Howells 2006, Yusuf 2008)が ある。しかし、資金配分機関や知財マネジメント機 関についての調査研究では知識と社会的・公共的価 値を結びつける事業主体のみに注目しているわけで はなく、学術的価値や市場原理を規範とする組織と は大きく異なった機関の実態やあり方についての学 術的な分析や議論に乏しい。

3.

競争 的資 金 制度 にお ける 中 間機 関

上記のような問題意識を踏まえ、本研究では、国 の競争的資金制度を事例に、社会的課題の解決に向 けた研究に対して、中間機関の果たす機能について 見る。ただし、中間機関はそれ自体で成り立つもの ではなく、あくまでも研究プロジェクトを実施する 機関(研究機関)ないし研究の開始・継続・中止・ 終了の決定を行う機関(意思決定機関)が果たす役 割を補完・支援・代替するためにある。そこで、研 究ではそれぞれの競争的資金制度において研究機関 と意思決定機関の担いうる役割を概観した後、その

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(3)

分担のあり方について、いくつかの類型化を試みる。 そして、類型に合わせて中間機関の現在果たしてい る機能と、果たしうる機能について議論する。競争 的資金制度は平成 22 年度現在、委託費、補助金、運 営費交付金等含めて、1 府 7 省で 39 制度ある。 現在のところ、研究機関、意思決定機関、中間機 関に関わらず担いうる機能を以下のように整理して いる。 • 社会的課題の調査分析 • 研究の与える社会的影響(ベネフィット・リス ク)の予見・分析 • 研究予算の策定 • 研究の戦略策定(プログラムの設計・見直し) • 研究資源(資金・人材・時間)の管理・配分 • 研究のマネジメント • 研究にかかる事務(経理・庶務) • 研究についての社会とのコミュニケーション (広報・アウトリーチ) • 研究主体のネットワーク(人材交流・機関連携) の促進 • 研究主体の学習(相互学習・社会的学習)の促 進 • 研究人材の育成 • 研究支援人材の育成 • 研究の評価(総括的・形成的) • 研究活動継続のための計画 この機能についても何らかの軸によって整理分類す る必要があるかもしれないが、その議論は本発表に 委ねたい。

謝辞

本研究は科研費基盤 C「知識と社会的・公共的価 値をつなぐ中間機関の機能」(22530395)として実施 されているものである。

参考 文献

Howells, J. (2006) “Intermediation and the role of intermediaries in innovation”, Research Policy 35: 715-728.

Yusuf, S. (2008) “Intermediating knowledge exchange between universities and businesses”, Research Policy 37: 1167-1174. 田中弥生(2005)『NPO と社会をつなぐ—NPO を変える 評価とインターメディアリ』東京大学出版会。 堀井秀之(2004)『問題解決のための「社会技術」—分野 を超えた知の協働』中央公論新社。 吉澤剛・田原敬一郎(2008)「政策研究は科学技術政策の 役に立っているのか―科学技術基本計画における知識 利用に着目して」『研究・技術計画学会第 23 回年次学術 大会講演要旨集』、220-223 頁所収。

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参照

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