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世界史 A 世界史 B 12 問 近代から現代は2 問 現代は12 問 うち第二次世界大戦後史は7 問であった 昨年度と比べて現代史の出題数が増え 特に第二次世界大戦後史の出題数が大幅に増えた 逆に前近代史の出題は前年よりも減った 分野別では 政治史の知識 理解を問う設問が27 問 文化史が4 問

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Academic year: 2021

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○ 全国歴史教育研究協議会

(代表者 仙 田 直 人  会員数 約16, 200名) TEL 0422-46-4181 今年度の大学入試センター試験(以下「センター試験」という。)について、高等学校において 授業を行う立場から、1の「はじめに」では本試験「世界史A」と「世界史B」の全般的な概略に ついて、2の「試験問題の程度・設問数・配点・形式等」では問題の内容・程度・設問数・配点・ 形式などの科目別の意見や要望について、3の「まとめ」では全体的な要望について述べる。 1 は じ め に 今年度もセンター試験の分析を終えてみて、これまでと同じく問題の内容やレベルともに教科書 に準拠しており、日常の授業で対応できる内容になっており、センター試験として極めて妥当であ ると考える。ただ、出題形式に関しては、例年と同じく、設問文だけで答えが導き出せる「基礎的 な知識及び技能」に偏った出題がいまだに改善されておらず、極めて残念でならない。 「思考力・判断力・表現その他の能力」を問う出題は、それ自体では難しいかもしれないが、高 等学校学習指導要領(以下「学習指導要領」という。)の地理歴史科の目標は、「我が国及び世界の 形成の歴史的過程と生活・文化の地域的特色についての理解と認識を深め、国際社会に主体的に生 きる民主的、平和的な国家・社会の一員として必要な自覚と資質を養う。」とあり、「世界史A」の 目標は、「近現代史を中心とする世界の歴史を、我が国の歴史と関連付けながら理解させ、人類の 課題を多角的に考察させることによって、歴史的思考力を培い、国際社会に主体的に生きる日本人 としての自覚と資質を養う。」とある。また、「世界史B」は、「世界の歴史の大きな枠組みと流れ を、我が国の歴史と関連付けながら理解させ、文化の多様性と現代世界の特質を広い視野から考察 させることによって、歴史的思考力を培い、国際社会に主体的に生きる日本人としての自覚と資質 を養う。」とある。 「世界史A」「世界史B」に共通する「歴史的思考力を培い」をどのように育み、どのように見て いくかの視点が欠けているのではないか、と思わざるを得ない。と言えば言い過ぎだろうか。た だ、センター試験において歴史的思考力を発揮しないと正答に至らない問題はどれかと問われれ ば、明確にこれとは言えない現状があるのではないだろうか。 この出題形式の良否は、高等学校の授業に直結する重要な問題であると考えている。リード文を 熟読することでしか解けない出題が今後、増えていくことによって、知識・理解だけでなく、資料 活用能力を見る設問も増加し、単なる暗記物に終わらない高校世界史の本格的な授業が、高校の現 場で実現できることを期待している私たちからは、センター試験が大学入試問題の一方の頂点に立 つべく、更なる御検討をお願いする。 以下、今回のセンター試験「世界史A」と「世界史B」の試験問題について、限られた紙面の中 ではあるが、今後の御検討の一助になることを期待して、本協議会の意見と評価を記す。 2 試験問題の程度・設問数・配点・形式等 ⑴ 「世界史A」について 昨年度と同様、「世界史B」との共通問題はなく、大問3題、小問33題であった。 時代別の出題は、正答の選択肢から判断すると前近代は6問、前近代から近代は1問、近代は

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世界史A、世界史B 12問、近代から現代は2問、現代は12問、うち第二次世界大戦後史は7問であった。昨年度と 比べて現代史の出題数が増え、特に第二次世界大戦後史の出題数が大幅に増えた。逆に前近代史 の出題は前年よりも減った。 分野別では、政治史の知識・理解を問う設問が27問、文化史が4問、社会・経済史が2問で、 政治史が大きな割合を占めている。 地域別では欧米地域が16問、非欧米地域が17問で、諸地域からバランス良く出題されており 良い。 問題形式では、正しい文を選ぶ設問が9問、誤った文を選ぶ設問が4問、選択肢の文の一部に 波線部がある問題が1問、語句選択が4問、二つの文の正誤の組合せが6問、年代整序が1問、 表中の空欄に年代をいれる問題が2問、地図と地名・語句を組み合わせる問題が2問であった。 また地図は2点、グラフなどの統計・資料は1点使用されたが、図版は使用されなかった。 第1問 世界史上のマイノリティについて Aはクルド人についてのリード文。問1、問2、問3はいずれも前近代に関わる問題で、例 えば問3の選択肢で問われているスンナ派とシーア派のように、「世界史A」の教科書には記 載されていないものもある。問4の1 スリランカの民族紛争や 2 コソヴォ紛争、 3 ルワンダの 民族紛争などは現代の課題として扱っている教科書もあるが事例として取り上げられる程度で ありやや細かい。 Bは東欧のユダヤ人についてのリード文。問6のドレフュス事件はやや細かい。問7のTV Aは用語としてはやや細かいが、年代から正答は導けるので問題はない。問8はグラフを使っ た統計・資料問題だが、世界恐慌とベルリン・オリンピックの年を知らなければ解答できず、 単なる知識・理解を問う内容にとどまっている。できればグラフなどの資料を活用し歴史的思 考力を問う工夫が欲しい。 Cはグアテマラの先住民についてのリード文。問10はビートルズについて、問11は国際連 合についての設問と20世紀後半の戦後史についての出題となっている。問題の難易度・バラ ンスなどは特に問題ない。 第2問 世界史上の人間と動物との関わりについて Aはヨーロッパの象徴としての動物についてのリード文。問1の1 イギリスの金本位制停止、 3 ハンザ同盟、 4 価格革命の事項は記載されていない教科書もありやや細かい。問4はイギリ ス国教会の成立した時期を問う設問。年代について問う問題を苦手としている受験者は多く、 しかも教科書頻度が低く難しい。 Bはクロテンの毛皮についてのリード文。問6は信仰上の崇敬や禁忌の対象とされた動物に ついて、例えばインド大反乱に絡めて触れることもあるが、前近代に関する内容を直接問うの はいかがなものか。問8は地図を使用した問題。康熙帝の時代の台湾領有について正誤を問う のはやや難しいが、朝鮮が清の領土でないことが分かれば問題はない。 Cはインドの騎馬軍の普及についてのリード文。問9は前近代に関する問題だが、文aのモ ンゴル帝国は諸地域世界の交流で、文bの万里の長城は東アジア世界の記述で扱われており問 題はない。問10は前近代に関わる問題で、選択肢のデリー=スルタン朝、クシャーナ朝、マ ラーター王国はいずれも細かい。第2問のリード文はいずれも様々な角度から世界史上の動物 と人間の関係について述べており、興味・関心を高める良い内容であった。 第3問 世界史上の社会運動や民衆運動について Aはアラブの春についてのリード文。シリア内戦やISなど混迷を深める中東情勢の端緒と

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かい。問3は標準的な地図問題である。 Bは19世紀半ば以降のイギリスの労働運動についてのリード文。いずれの設問も標準的な 内容となっており良い。 Cは太平天国の乱についてのリード文。問10は正答が容易に導けるので問題はないが、1 で科挙の廃止について時期を問うのはやや細かい。問11は朝鮮半島の対日義兵闘争が起きた 時期を問う問題だが、1937年「皇国臣民ノ誓詞」を基準にして判別させるのは難しい。基準 となる事件をもう少し吟味して、歴史的思考力と問う内容となれば良かった。 最後に全体を通してだが、今年は時代別・分野別・地域別の内容に関して、いずれもバランス良 く出題されていた。時代別の出題に関しては、昨年度と比べて現代史の出題数が増え、特に第二次 世界大戦後史の出題数が大幅に増えた。生徒の生年から考えても20世紀後半の歴史を学ぶ意義は 大きく妥当だろう。 「世界史A」では2単位と少ない授業時数の中で、どうしても文化史や社会・経済史に割く時間 が減り、政治史中心の内容となってしまう。今年の分野別の出題では、政治史に関する問題が27 問で、一見すると政治史偏重とも取れるが、教科書記述の分量や高校の授業内容の現状を考えるな らば、実は実態に配慮されたものと言える。 一方で、昨年度よりも減ったとはいえ、今年も前近代に関わる出題頻度は高く、教科書本文には ほとんど記載されていない事項を正答とする問題もあった。何度もお願いしていることであるが、 「世界史A」を作問される先生には学習指導要領を熟読の上、各社の「世界史A」の教科書を精査 した上で作問に当たっていただきたい。世界史の指導に携わる者にとって分かって当然の基本問題 に思える内容でも、実は「世界史A」の教科書記述では触れられていないものも多い。「世界史の 受験者なら知っていて当然」という固定観念にとらわれず、受験者の実情を理解して不利にならな いように配慮してほしい。 「世界史A」での受験者は「世界史A」専用の参考書などがほぼない中で、教科書のみで学習す る場合が多いと考えられる。一方、「世界史A」の教科書は、「世界史B」に比べて各社の特色が色 濃く出ており、記述内容は様々であり、取り上げられている事項も異なる。その上、単位数の少な い「世界史A」の作問は大変困難であることは承知しているが、是非とも「世界史A」で受験する 生徒の立場に立った問題をお願いしたい。 ⑵ 「世界史B」について 今年度も、例年どおり大問が4問、学習指導要領を反映して大問ごとにテーマ設定がなされて いる。各大問とも3問からなる三つの中問に分かれ配点が25点、計36問で100点。今年も「世 界史A」との共通問題はなかった。 出題を時代別に見ると、正答となる選択肢から判断するに、古代に関わるものが4問、中世に 関わるものが3問、近世に関わるものが9問、近代に関わるものが6問、現代に関わるものが7 問、古代と中世に関わるものが1問、古代と近代に関わるものが1問、古代と現代に関わるもの が1問、中世と近世に関するものが2問、近世と近代に関わるものが1題、近代と現代に関する ものが1題であった。 地域別にみると、東アジア(日本を含む。)に関わるものが4問、東南アジアに関わるものが

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世界史A、世界史B 2問、南アジアに関わるものが2問、西アジアに関わるものが2問、アフリカに関わるものが1 問、ヨーロッパに関わるものが13問、北アメリカに関わるものが1問、オセアニアに関わるも のが2問、東アジアとヨーロッパに関わるものが2問、東アジアと北アメリカに関わるものが2 問、東南アジアとヨーロッパに関わるものが1問、南アジアとヨーロッパに関わるものが1問、 西アジアとアフリカに関わるものが1問、西アジアとヨーロッパに関わるものが1問、中央アジ アとヨーロッパに関わるものが1問であった。 出題形式で見ると、空欄補充の語句の組合せを問うものが4問、年代整序が2問、年表で時期 を選ぶものが2問、文の正誤文を選ぶものが19問(うち誤文を選ぶものが6問)、2文の正誤の 組合せを問うものが7問、位置と地名を選ぶ地図問題が2問であった。 時代と地域の出題配分は、高等学校の「世界史B」の授業での配分におおむね合致しており妥 当である。また、出題形式では、昨年度見られた単純な空欄補充や語句を選ぶ問題がなくなり正 誤文を選択するものが増えたが、いずれも正誤の判断が容易な問題であり、生徒の思考力を問う という意味において妥当と思われる。 第1問 世界史上の帝国とその支配 Aではローマ帝国に関する文章から出題されている。問1は2世紀の出来事を選ぶ正文選択 問題。生徒の同時代史的な理解力が問われる問題で良い。問2はパルティアに関する誤文選択 問題。誤りが明確であり判別は容易。問3はブリテン島に関する正文選択問題。これも判別は 容易であろう。 Bではハプスブルク家とウィーンに関する文章から出題されている。問4はハプスブルク家 の君主に関する正文選択問題。選択肢の各文はいずれも事実としては正しいが、同家の君主が 一人しかいないので判別は容易。問5は旅行に関わる書物に関する正文選択問題。妥当な問題 であるが、『ロビンソン=クルーソー』や『ガリバー旅行記』は今や必ずしも周知なものでは なく、判断に迷う受験者もいただろう。問6は冷戦に関する標準的な誤文選択問題。 Cではオーストラリアに関連する文章から出題されている。問7はオーストラリア連邦が成 立した時期を問う年表問題。区切りとなる出来事と間隔が適切で、生徒の時系列的な理解を問 うもので良い。問8は公用語に関する二つの文の正誤の組合せを問うもの。bの、ムガル帝国 の公用語がペルシア語であることは2012年にも出題されているが、やや細かい知識を問うも ので、正誤の組合せで問うのは生徒にとっては厳しいかもしれない。問9は植民地に関する正 文選択問題。誤りが明確であり判断は容易。 第2問 世界市場の港町 Aでは泉州に関連する文章から出題されている。問題には関係ないが、蒲寿庚は教科書に記 載がなく唐突感がある。問1は交易に関する誤文選択問題。アラム人が陸上交易で活躍したこ とは定番ともいえる事項であり、判別は容易。問2は広州の位置を問う地図問題。正解するに は、清が1757年に貿易港を限定→広州→位置というプロセスが必要であり、時間と空間の把 握が要求される良問。問3はインド洋交易に関する二つの文の正誤の組合せを問うもの。a・ bともに事実としては正しい文で、「インド洋交易」の定義を理解していないとbを「正」と 判断する可能性があり、問題文の読みこなしが問われる問題である。 Bではリスボンに関する文章から出題されている。問4はポルトガルに関する正文選択問 題。判断は容易。問5はゴアの位置を問う地図問題。ここでも単純に地名から位置を引き出す のではなく、ポルトガルの拠点→ゴア→位置というプロセスが要求される点が良い。問6はイ タリアに関する誤文選択問題で、容易に判別できる。 Cではイズミルに関する文章から出題されている。問7は繊維の原料や製品に関する正文選

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を問う年表問題。これも区切りの時期が適切である。 第3問 世界史上の軍隊 Aでは傭兵に関する文章から出題されている。問1はリード文中の2語の空欄補充の組合せ を問う基本的な問題。問2はフランス軍に関する正文選択問題。問3は税制に関する正文選択 問題。ともに容易に判断できる。 Bでは火器に関する文章から出題されている。サルフの戦いの図が示されているが、問題に は用いられないのが惜しい。問1はリード文中の2語の空欄補充の組合せを問う基本的な問題。 問5は都市に関する誤文選択問題。判別は容易。問6は遊牧国家に関する年代整序問題。基本 的な問題だが、時系列的な理解力が問われ、bとcの順番に迷う受験者は多かっただろう。 Cでは第一次世界大戦に関連する文章から出題されている。捕虜収容所の詳細な配置図が示 されているが、問題には用いられないのが惜しい。問7は第一次世界大戦に関する二つの文の 正誤の組合せを問うもの。bのように内容が正しく時期で正誤を問う点が良い(「真珠湾攻撃」 を「ドイツの無制限潜水艦作戦」の誤りと判断することもできるが)。問8はオーストリア= ハンガリー帝国の領域に含まれた国に関する正文選択問題で、判別は容易。問9は捕虜に関す る文章の2語の空欄補充の組合せを問う基本的なもの。解答は容易だが、高校での世界史の授 業で捕虜の処遇を説明する場面はあまりないと思われるので考慮していただきたい。 第4問 世界史上の遊戯 Aではチェスに関連する文章から出題されている。問1は戦車に関する二つの文の正誤の組 合せを問うもので、判別は容易。問2は女王に関する正文選択問題。基本的な内容で判別は容 易。問3は近代オリンピックの開催地に関する正文選択問題。これも判別は容易。 Bではじゃんけんに関連する文章から出題されている。問4は中国起源の制度・文物に関す る誤文選択問題。基本的内容で判別は容易。問5は競技の場に関する二つの文の正誤の組合せ を問う基本的な問題。問6は合衆国と日本・中国関係に関する年代整序問題。三つの事項の年 代が離れており、容易に解答可能。 Cは囲碁に関連する文章から出題されている。囲碁から宇宙論に展開する興味深い文章であ る。問7は宇宙を論じた思想・人物関する二つの文の正誤の組合せを問うもの。aの、宋学の 本質を問うような問題が良い。問8は貞享暦に関する文中の2語の空欄補充の組合せを問う問 題。基本的な内容だが、「中国の  の時代に,」が「  によって作られた授時暦」にかかる と考えれば正解は2 となるが、「日本の実情に合うようにしたものである。」にかかると考えれ ば正解は4 となる。出題者がどちらを正解と想定して作問したかは問わないが、せめて「中国 の  の時代に,」の句読点をなくすか、「中国の  の時代に  によって作られた受時暦 を,日本の実情に合わせて改訂して貞享暦が作られた。」などとすれば、解答が二つとなるこ とは避けられたのではないか。リード文の「宣明暦」の誤字の件と合わせて、文章チェックを 徹底してほしい。問9は長安に関する正文選択問題。選択肢の文は全て事実としては正しいの で、リード文をきちんと読むことが必要である。 例年指摘しているように、入試問題に求められているのは、落とすための問題ではなく、受験者 の高等学校における学習活動や成果が評価されるような問題であり、本稿におけるセンター試験問 題の評価もかかる視点によるものである。今年度も、昨年度同様に問題の配分が学習指導要領や教

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世界史A、世界史B 科書の記述量、そして何よりも高校現場における「世界史B」の授業における時間配分に充分配慮 された出題であり、また、出題の形式・内容についても、全体的に奇をてらうことなく言わば「定 番」とされる問題が出題されていて、受験者に対し親切で、まさに「入試問題のスタンダード」と 言える作題である。それゆえ高校で学んだことをきちんと理解している受験者にとっては解きやす く、勉強していない者は正答できないという良問が揃っている点が高く評価できる。次年度以降 も、同様な作題をしていただくことを切に願うものである。 例年どおりリード文がよく練られており、受験者の歴史への興味を喚起するように工夫されてい て好ましい。しかしながら、そのリード文や使用された図版等が必ずしも問題に直結せず、リード 文中の語や図版等が単なる参考・興味付けになってしまっていて、リード文中の空欄補充や文中の 語句について直接的に問う問題以外では、リード文を読まずとも解けてしまう点が残念である。言 語能力を重視する新学習指導要領に合わせ、リード文をきちんと読み解かないと解答できないよう な作問を期待したい。 配点に関しては、例年どおり3点の問題が28問、2点の問題が8問であった。例年この8問の 形式・難易度が一定ではなく、3点の問題との軽重が明確でない。 今年度の「世界史B」の平均は 65. 64 点で昨年に比べ 2. 74 点下がった。標準偏差が 19. 75 から 22. 67へと大きくなったことと考えあわせれば、単純な空欄補充問題がなくなった分だけ学力下位 者の得点が下がり平均点を押し下げた一方で、学力上位層の得点は昨年度と変わらなかったと推察 される。おそらく出題に際して60点前後の平均点を想定されていると思われるので、出題者の意 図よりはやや高めの結果であろう。高等学校における学習活動や成果を反映しやすい良問であるこ とが、高い平均点をもたらした要因であると評価できる。出題者の方々に深く敬意を表したい。平 均点の変動は受験者にとっては死活問題である。かつて平成19年度から20年度にかけて平均点が 9点近く急落した徹を踏むことがないように、次年度以降も御配慮いただきたい。一方、他科目、 特に「日本史B」「地理B」の平均点との差が最大で7. 05点となり、昨年度に比べて差が大きく なった。各科目の受験者集団が必ずしも同じ学力であるとは言えないものの、今後も、大学入試セ ンターにおいては、教科の平均点がばらつかないように、最大限の御配慮を願いたい。 今年度の「世界史B」受験者は84, 114人で、昨年の85, 943人から1, 829人減少した。平成24年 度から4年連続で減少したことになる。 3 ま 今年度のセンター試験も、例年どおり、高等学校現場での教育活動を踏まえた上で作問されてお り、取り上げられたテーマが世界史の学習において示唆に富むものであることは率直に評価してい る。今後、高等学校での授業に利用したいとも考える。 しかしながら、やはり例年と同様、知識・理解を問う設問が多い。このことは、問題の作成に当 たって、極めて多種多様の制約があるということを承知しており、意欲的に新たな問題分野を開拓 することが困難な状況であるということは理解した上で、あえて苦言を呈している。センター試験 が入学試験のスタンダードとして、全国の高校生には世界史学習上の極めて重要な基準になってい る現実で、私たち高等学校世界史教員には、授業の内容・方法等を考える上で、極めて重要な参考 資料として受け止めているからである。これからのセンター試験が、私たちの教育活動の指針とし て、今後さらにより良きものなることを願って止まないからである。 また、「世界史A」については、今年も相変わらず、科目の性格・特性にやや配慮に欠く出題が 見られた。「世界史A」は、教科書によって記述内容に大きな開きがあるのみならず、生徒が頼る べき参考書や問題集がほぼない状況が現実である。教科書でしか勉強することができない受験者へ

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「運・不運」によって受験の結果が左右されずに受験者の学力が評価される状況を、どうにかして 作り出してほしい。今回も、関係者の方々の多大な努力に敬意を表するとともに、次年度以降も平 均点のばらつきがないようにお願いしたい。

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