1 身近なところで見つけた数理 数学講究1 第 19 回ノート

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2015年6月25日(木)

1 身近なところで見つけた数理

1.1 タタミセットで敷き詰める

算数科の図形領域で 敷き詰め を積極的に活用するようになっている。生 活の場でもいろいろなところで敷き詰めを目にするが、身近なものだと畳の 敷き詰めである。

準備

畳のモデルとして、縦と横の比が2:1の合同な長方形のカード8枚と長 方形の短いほうを1辺とする正方形のカード2枚を用意する。つまり正方形 のカード2辺を辺の部分で合わせると、長方形のカードと合同になる。これ ら10枚のカードを合わせてタタミセットといい、長方形のカードを1畳の カード、正方形のカードを半畳のカードということにする。

1.2 畳を敷いてみよう

まず、1畳のカード6枚を用いて合同でない長方形をつくってみよう

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1×12

2×6

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1 2 3

4 5

6 7

3×4の敷き詰め方に次の条件を与える

「4つの角が1ヶ所に集まって十字をつくらない」

この条件を満たすのは⃝、3 ⃝、5 ⃝である。床の前の畳は長手方向を床と平行7 に敷き、床がない場合は、長手方向と出入り口が平行になるように敷くので

⃝と5 ⃝は除かれる。7

よって、6畳の和室の畳の敷き方は3である。

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1.3 タタミセットでつくれる正方形

1畳のカード7枚と半畳のカード2枚を敷き詰める。このとき、半畳のカー ド2枚がちょうど対角線の両端の位置にくるような正方形をつくることがで きるだろうか。

さまざまな敷き詰め方があるが、ここでは以下のように考える。

まず上の図のようにチェスの盤のように白と黒で交互に塗り分けていく。

すると、1畳のカードはどの場所に敷き詰めても

このように敷き詰めていくことになる。しかし、正方形の左上と右下の両 端に半畳のカードを敷いたとすると盤上には

6コ

8コ

が残る。残りの盤上に

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上の白い半畳の部分が2枚でき敷き詰められなくなってしまう。よって1 畳のカード7枚と半畳のカード2枚を敷き詰めたとき、半畳のカード2枚が ちょうど対角線の両端の位置にくるような正方形はつくることができない。

2 エッシャーを目指して

人物紹介:マウリッツ・コルネリス・エッシャー(Maurits Cornelis Escher, 1898年6月17日 - 1972年3月27日)はウッドカット、リトグラフ、メゾ ティントなどの版画製作でよく知られたオランダの画家(版画家)である。建 築不可能な構造物や、無限を有限のなかに閉じ込めたもの、平面を次々と変 化するパターンで埋め尽くしたもの、など非常に独創的な作品を作り上げた。

エッシャーの代表作品「滝」

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合同変換

⃝平行移動、1 ⃝回転移動、2 ⃝鏡映(線対称移動)はいずれも任意の2点間3 の距離を変えない変換(移動)である。つまりfが123のいずれかと き、平面上の任意の2点P,Qをfで移動して得られる点f(P)とf(Q)の間の 距離はつねに移動前のPとQの間の距離に等しくなっている。このような性 質を持つ変換を合同変換という。

上のような左右に限りなく広がった、白と黒の長方形がつくる帯状のパター ンがある。白の長方形が白の長方形に、黒の長方形が黒の長方形に重なるよ うに、帯状のパターンを全体としてそれ自身に移す合同変換を考える。この ような合同変換を単に 帯状のパターンの変換 ということにする。

q

l

平行移動:明らか

回転移動:黒い長方形の縦の辺を含む直線qと、直線lの交点を中心とす る180 °回転。

鏡映:上下の位置関係にある黒の長方形と白の長方形の共通な対称軸を鏡 軸とする鏡映

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