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新しい高度清澄濁水処理システム

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Academic year: 2022

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(1)

特殊膜濾過による

新しい高度清澄濁水処理システム

澁谷啓司

1

・岡村和夫

2

・宮沢和夫

3

 

1正会員  清水建設株式会社  土木技術本部技術第一部(〒105-8007 東京都港区芝浦一丁目2-3) 

      2清水建設株式会社  技術研究所社会基盤センター(〒135-8530 東京都江東区越中島三丁目4-17) 

3清水建設株式会社  土木技術本部技術開発部(〒105-8007 東京都港区芝浦一丁目2-3)

  膜式濁水処理システムは,建設工事において発生する濁水を適切に処理して排水する設備である.特殊 な芯材を濾布で包み込んだ板状の膜濾過ユニットを,複数濾過槽内に垂直に懸垂し,ユニットの内外に水 頭差をつけ,濾布の表面で浮遊物質(SS)を捕捉する膜式濁水処理方法である.膜濾過のため,有機性高 分子凝集剤を必要とせず,また垂直濾布面の通過速度を遅くすることで,捕捉した濁質を膜の表面に強固 に付着させず,付着濁質自身でも濾過効果を促進するようにしている.それにより,従来の凝集沈殿処理 と砂濾過処理を組合せた処理方法に代わり,単独で,高濃度濁水(SS1,000〜3,000 mg/L)をSS10 mg/L 以下まで直接清澄濾過ができる. 

キーワード : 濁水,SS,処理,濾過膜,凝集剤,透過流速 

1.はじめに

  昨今の環境保全への強い要望から,トンネル,ダ ム,造成などに代表される土木工事において排水す る濁水は,高度な処理が求められてきている.従来,

濁水処理は一般的に凝集沈殿処理方法が採用されて おり,無機・有機の高分子凝集剤を使用して微細な 浮遊物質(SS)を除去しているが,SS濃度を 25〜40 mg/Lまでに処理するのが限界であった.ま た,さらに濁度を下げる必要がある場合は,凝集沈 殿処理方法に濾過処理方法を併用して濁水処理が行 なわれている. 

  最近では,自然環境の面から河川放流において,

都道府県の定める基準以上の濁水処理が求められて きている.今回、従来の濾過処理法の性能に近い新 しい膜式濁水処理システムにより環境保全への高度 な処理が比較的小型な装置で可能になったので,そ の実証試験と実機稼動の報告をする.

2.システムの概要 

  水の中の濁り成分(濁質)を除去するためには,

主として“凝集沈澱処理”と“濾過処理”の方法が ある. 

 

凝集沈澱処理は凝集剤を使用して水中の濁質をフ ロック化し,沈澱槽にて濁質の沈殿除去をおこなう.

したがって,沈殿装置が比較的大型になり,微細な フロックは沈殿せず,濁りの成分として処理水中に 残存する.一方、砂などを使用した濾過処理法は,

コンパクトで良好な処理水を得ることが可能である が,砂の表面で濁質を捕捉するために逆洗浄作業を 頻繁におこなう必要が生じ,濁質の多い工事用排水 や産業排水の処理などには前処理が必要であって不 向きである. 

  今回実用化した膜式濁水処理システムは,特殊な 芯材を用いた膜濾過ユニットを垂直に三次元的に構 成させるとともに,膜面を通過する流速を非常に遅 くする(約 0.14 cm/min)ことで水頭差を 20〜30cm におさえ,高濃度濁水 SS 1,000〜3,000mg/Lの処 理を可能にしている.また,膜面流速を遅く維持す ることで,膜面に捕捉する濁質を強固に付着させず 洗浄を容易にするとともに,付着した濁質自身が濾 過効果を促進することで良好な処理水が得られる.

さらに逆洗浄頻度も砂濾過方式に比べ大幅に減少さ せることが可能で現場での取扱いが容易なシステム である.図-1 に本システムのフローを,図-2 に膜 濾過原理を示す. 

   

(2)

写真ー 1  試験装置  写真-2  試験装置 

3.実証試験の概要 

実証試験はダム工事現場での排水濁水を用いてお こなった.写真-1,写真-2に試験装置を示す. 

図-1  システムフロー 

200-300mm 

図-2  膜濾過の処理原理 

(1) 試験装置の仕様

・処理水量      16m3/hr

・濾過槽        17.7m3

(W3.92m×L1.909m×H3.314m) 

  ・有効処理面積  191.52m2   

(3.36m2枚(両面)×19枚×3ユニット)

(3)

                                                                 

(2) 試験装置の仕様

・処理水量      16m3/hr

・濾過槽        17.7m3

(W3.92m×L1.909m×H3.314m) 

  ・有効処理面積  191.52m2   

(3.36m2枚(両面)×19枚×3ユニット)

(3) 試験結果 

  各条件下での SS 除去の処理状況を図ー 3に示す. 

濁水の通水量は 16m3/hr,膜の処理能力を想定

(2m3/m2/day)して運転を行い,無機凝集剤(PAC)

を注入した.原水のSS濃度は試験期間中 1,000〜

1,500 mg/Lであったものが,処理後のSS濃度はい ずれも 10 mg/L以下にまで除去された.  

               

図ー 3  処理状況 

 

濾過槽水位上昇(mm)

0 50 100 150 200 250 300 350 400

0 5 10

濾過処理状況は連続通水をおこなっていると,濾 布面には濁質による薄いケーキ層が形成され,この ケーキ層にて濁質が捕捉されるため,処理水は SS をほとんど含まない処理水(写真ー 3)になった. 

また,凝集剤は有機性高分子剤をいっさい使用せ ず PAC のみを使用した.PAC による濁質のフロック 化が完全である場合には処理水 SS 濃度も低下し,

外見上では水道水と同程度まで濁質が除去された. 

図-4に運転時の水位状況をを示す. 

試験の結果,連続運転行った場合,膜の洗浄頻度 はSS濃度が1,000〜1,500 mg/Lのとき,1日1回程度 で運転でき,高分子凝集剤は使用しなくても処理が 可能であった.

15

図ー 4  濾過槽水位の推移 

20 25 30

時間(hr)

水位(mm)

濾過槽 水位 (mm)

(4)

写真ー 3  濁水と処理水 

写真ー 4  中規模試験 

写真ー 5  濁水と処理水 

写真ー 6  洗浄前と洗浄後 

4.濾過膜の選定 

室内実験で膜の耐久性や濾過状況を確認しながら 膜の選定を行った。選定された数種の膜を使って,

工場施設内で中規模の連続運転を実施,逆洗浄効果 などの試験を行った.写真-4に試験装置を示す. 

 

  試験装置仕様 

・処理水量      0.4m3/hr

・濾過槽        0.57m3

(W0.9m×L0.4m×H1.6m) 

  ・有効処理面積  4.9㎡   

(0.98㎡枚(両面)×5枚) 

  原水は人為的につくった.SS濃度は試験期間中 2,000〜2,300 mg/Lのものが,約50時間の間,膜の 処理能力の条件を同じにして(2m3/㎡/day)運転を 行い処理水のSS濃度は10 mg/L以下を維持すること が可能であった.水位の上昇も安定した状況を維持 した.図-5に運転時の水位,図-6に処理状況を示す. 

写真-5に濁水と処理水を示す. 

洗浄方法については,手洗浄による方法が有効で あるが,空気洗浄と逆洗浄を併用することで膜面に 付着した濁質は除去され,その後の連続運転も通水 可能であった.写真-6に洗浄状況を示す.

                                                                                             

0 500 1000 1500 2000 2500

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50

経過時間(hr)

SS 濃度 g(m/L)

原水SS mg/L 処理SS mg/L

図ー 5  濾過槽水位の推移 

図ー 6  処理状況  実証試験における膜ろ過性能

0 100 200 300

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50

経過時間(hr)

Δ水位 mm )

(5)

5.実施事例   

総合評価落札方式での入札で濁水処理システムの VE提案が採用されて受注した工事2件を紹介する. 

 

(1) シールド工事 

・工事名称:用水路シールドトンネル建設工事 

・工  期:平成 16 年1月〜平成 19 年3月 

・工事内容:施工延長      L=2941.771m  トンネル内径  φ3200mm 

泥土圧シールド工法(F-NAVI 工法) 

シールド機外径   φ3650mm 

・濁水処理条件  排水濁度 30 度以下  pH     6.5〜8.5 

・処理原水 SS    1500mg/L 

・処理能力       15m3/hr 

・濾過槽寸法    W1.93m×L6.49m×H3.5m 

写真ー 7  処理装置 

写真ー 9  処理装置  写真ー 8  現場設置状況と装置   写真-7に処理装置,図-7に処理状況を示す. 

                                                         

(2) トンネル工事 

・工事名称:道路トンネル建設工事 

・工  期:平成 16 年1月〜平成 19 年3月 

・工事内容:総延長        880.0m  トンネル延長  637.0m  NATM工法 

・濁水処理条件  排水 SS   12mg/L 以下  pH     6.0〜8.0 

・処理原水 SS    3000mg/L 

・処理能力       30m3/hr 

・濾過槽寸法    W2.3m×L10.23m×H4.55m  写真-8に設置状況と処理装置,写真-9に膜の設置 状況と膜ユニット示す. 

                                                                   

放流槽

0 5 10 15 20 25 30

H16.11.1 H16.12.1 H17.1.1 H17.2.1 H17.3.1 H17.4.1 H17.5.1 経過日時

濁度

放流槽

図ー 7  処理状況 

(6)

                                                               

6.本システムの特徴   

本システムは,従来の濁水処理技術と比べて以下 の特徴がある. 

 

①処理水の SS をおよそ 10 mg/L 以下まで大幅に 清澄濾過できる. 

②有機性高分子凝集剤を使用しないので,環境に 対する安全性が向上する. 

③高濃度濁水(SS1000〜3000 mg/L)の直接処理 が可能でコンパクトな装置である. 

④逆洗浄回数が少なく(1 回/日程度),稼働効 率が良い. 

   

                     

濁 度

0 2 4 6 8 1 0 1 2

6/1 7/1 8/1 9/1 10/1 11/1 12/1

濁 度

図ー 8  処理状況 

                           

SS濃度 (mg/L)

0 800 1,600 2,400 3,200 4,000 4,800 5,600 6,400 7,200 8,000

1024 1026 1028 1030 11月1日 11月3日 11月5日 11月7日 11月9日 1111 1113

             

7.おわりに 

   

本システムは工事用濁水処理向けに開発・実証し てきた.高濃度 SS を含む水処理として,処理水の 清澄性を持続できることと逆洗浄頻度が少ないこと は,同等の処理性能を有する従来の凝集沈殿処理と 砂濾過処理を併用した方法ではなしえなかったもの である. 

現場においては期待された能力を十分に発揮して おり,1台は現在稼働中である。まだ,改善すると ころあるが,今後,より広範囲な利用用途への展開 も検討していきたい. 

  なお,本システムは清水建設㈱と㈱睦商事が共同 開発したものである. 

1115 1117 1119 1121 1123 1125 1127 1129 12月1日 12月3日

原水

0 12 24 36 48 60 72 84 96 108 120

処理

図ー 9  処理状況 

原水槽 処理水 処理水許容値

*現地では濁度計を使用して連続計測を実施.SS 濃度と濁度計の 数値の相関をとった結果,値の小さい範囲では同等である. 

(7)

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