選択行動モデル
2016.05.24
1. 選択行動とは
• ○○を購入するかどうか
• 労働市場に参加するか
• 結婚をするかしないか
• 資金を貸すか否か
• 質的選択(複数の選択肢からのチョイス)
2. 線形確率モデル
yi=α+βxi+εi (i= 1,2,· · · , n) yi=
{ 0 (選択しない) Pr(yi= 0) =ω 1 (選択する) Pr(yi= 1) = 1−ω
• データによっては、yi<0やy1>1の値をとる。
• 攪乱項の期待値をゼロと仮定(不偏推定量の条件)
E(εi) = (−α−βxi)(1−ω) + (1−α−βxi)ω= 0 =⇒ω= 1−α−βxi Var(εi) = (−α−βxi)2ω+ (1−α−βxi)2(1−ω) = (α+βxi)(1−α−βxi) 不均一分散<非効率な分散>
– 加重最小二乗法 – wi = ˆyi(1−yˆi)
– wyii =α·w1i +βwxii +wεii =⇒均一分散モデルに変換 (α+βxi)(1−α−βxi)>0となる条件が必要
• 攪乱項は正規分布には従わない
• 線形確率確率モデルを最小二乗法で推計するのは問題 3. 二値選択行動モデル(Logit modelとProbit model)
二値選択行動の確率モデル
y∗i =α+βxi+εi (i= 1,2,· · ·, n) 潜在変数(観測不能) { yi∗<0 =⇒yi= 0
yi∗=0 =⇒yi= 1 (yiは選択行動の結果観察されるデータ) εiの確率分布は?
• Pr(yi= 0) = Pr(α+βxi+εi<0) = Pr(εi<−α−βxi)
• Pr(yi= 1) = Pr(α+βxi+εi=0) = Pr(εi=−α−βxi) = 1−Pr(εi<−α−βxi)
• εiの確率分布(分布関数)の特定化 F(α+βx) =∫α+βx
−∞ f(ε)dε=∫α+βx
−∞ eε
(1+eε)2dε= 1+eeα+βxα+βx ロジット(Logit)モデル F(α+βx) =∫α+βx
−∞ f(ε)dε=∫α+βx
−∞ √1
2πσe−2σε22dε プロビット(Probit)モデル
• 対称な確率分布の場合、F(−x) = 1−F(x)が成り立つ。
• 推計された係数の意味
– ロジットモデルの場合:1+eeα+βxα+βx =Pとおくと、log1−PP =a+βxなので β =∂x∂ ln1−PP = ∂P∂xP +1−P∂P∂x =P(1−P)1 ∂P∂x =⇒ ∂P∂x =P(1−P)β
– プロビットモデルの場合:∂x∂P
i =β·f(α+βxi) 但し、f(·)は標準正規分布の確率密度関数 1
4. 二値選択行動モデルの推計方法:最尤法
• 尤度関数(likelihood function)
Pr(Y1=y1, Y2=y2,· · ·, Yn=yn|x1, x2,· · ·, xn)
= ∏
yi=0{1−F(α+βxi)} × ∏
yi=1F(α+βxi)
=L(α, β;x1,· · ·, xn, y1,· · ·, yn)
•
{ ∂L(α,β)
∂α = 0
∂L(α,β)
∂β = 0 となるα、βを求める。最尤推定量(ML estimator)
• 最尤推計量の性質 一致推定量 漸近正規性
効率的な分散(分散最小) 5. 計算方法
Excelでも推計は可能だが、メンドウ! 例えば、gretlなど、汎用計量経済分析ソフトだと、カンタン。複
雑なモデルは、確率選択モデルの得意なソフト(NLOGITなど)を使うと良い。また、独創的なモデルを開 発したら、gaussなどプログラミング言語を使ってコーディングを行う。と言うと難しそうだが、gaussに は最尤法のサブルーチンがあるので、それほど難しい訳ではない。但し、尤度関数の定義、条件付き確率 に関する知識は必須。この分野のスタンダードな解説書は、Kenneth Train, Discrete Choice Models with Simulation, Cambridge UP。
6. 発展:Tobitモデル
• 銀行の融資額データ:融資対象(yi = 1)となった場合の融資額はわかるが、融資されなかった場合 (yi= 0)の融資額はゼロである。
• 賃金調査のデータ:失業していると観測値はゼロだが、就業していると賃金水準が分かる。
• このようなデータを対象に分析すると、推計値にバイアスが生ずる。
• バイアスを回避するモデル:TobinのProbitモデル(Tobitモデル) y∗i =α+βxi+εi εi˜N(0, σ2)
yi =
{ 0 if yi∗<0 α+βxi if yi∗≥0
• Tobitモデルの推計方法
yi∗≥0という条件の下で数値データが観察されているので、yi∗≥0という条件付き尤度関数を特定化 して最尤法を適用すれば良い。
• 正規分布の確率密度関数をf、分布関数をFとすると、尤度関数は L= ∑
yi>0
1
σf(yi−α−βxi
σ )× ∏
yi=0F(−α+βxi
σ )
2
gretl
による選択行動モデルの推計法1.
データセットobs LS age kids
1 1 39 2
2 1 27 0
3 0 34 2
4 0 35 2
5 0 45 2
6 0 39 1
7 0 35 3
8 1 35 1
9 0 23 2
10 0 31 2
11 1 28 0
12 0 32 2
13 1 39 2
14 0 45 3
15 1 43 1
16 0 43 2
17 1 27 1
18 0 29 2
19 1 33 0
20 0 46 3
出所:伴ほか『エコノメトリックス』有斐閣
2. gretl
での推計「モデル」→「制限従属変数」→「ロジットモデル」「プロビットモデル」
モデル
y
𝑖∗= 𝛼 + 𝛽𝑎𝑔𝑒
𝑖+ 𝛾𝑘𝑖𝑑𝑠
𝑖+ 𝜖
𝑖𝑦
𝑖∗< 0
であればy
𝑖= 0
、y
𝑖∗≥ 0
であればy
𝑖= 1
3.
ロジット・モデルの場合・二項ロジットモデルを選択
4.
プロビットモデルの場合・二項プロビットモデルを選択
おまけ 系列相関がある場合の対処法
モデル→時系列→AR(1)(自己回帰モデル)とすると、以下のウインドウが現れるので被説明変数、説明変 数を入力し、CO 法、PW 法、HL 法のどれかを選び、
計算を行う。、