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水槽実験用風車型流速計に就いて

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Academic year: 2022

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

水槽実験用風車型流速計に就いて

粟谷, 陽一

http://hdl.handle.net/2324/4743367

出版情報:應用力學研究所所報. 12, pp.33-38, 1958. Research Institute for Applied Mechanics, Kyushu University

バージョン:

権利関係:

(2)

九 州 大 学 應 用 力 学 研 究 所 々 報 第12号 昭和33 33 

水 槽 実 験 用 風 車 型 流 速 計 に 就 い て

粟 谷 陽

水槽或は水路等に於ける諸種の実験に於いて,平均流速を手軽に測定するには風車型の 流 速計が最も便利であろう.但し廻転数を数える為に風車に歯車の減速装置をつけたり,

或は電気接点をつけたりすると,それ等を凱作させる為に僅か乍ら廻転力が必要になるの で,風車の直径を可成り大きくしないと低速で廻転しなかつたり,或は低速の特性が不安 定になつたりする事を免れない

風車の廻転部分と固定部分とに適当な電極を設け,水を電気抵抗休として動作させれば 回転に伴つて電極間の電気抵抗が変化するので,それを利用して廻転数を数える方式にす る事に依り,小型であり乍ら低速でも可成り安定した特性を有する流速計を作る事が出来 た.これまでに試作したものに就いてその概要を述べる.

1.  流速計の構造 構造の一例を第1 医に示す.廻転部分は重量を軽減し平衡 を取り易くする為にacryl系の樹脂で軸 を作り,之に数枚の翼, 2本の白金線電 極及びpivot軸針をつける.流 速計支持 棒の先に取付けられた支持台には軸承の 他に,廻転部分の白金線電極に相対する 位置に2本の白金線電極をつけ,支持棒 上端の端子に被覆導線で接続する.なお 4本の白金線電極と, pivot軸尖端及び 軸承の小部分を除く金厩の露出部分は総 てラッカーを塗り水と電気的に絶緑して ある.

①支持捧 (真鍮)②ビニール被覆導線 ③支持台

(樹脂)④軸承支持捧 (真鍮)⑤固定電極支持捧

(真鍮)⑥軸承調節螺子 (真鍮)⑦軸承 (真鍮)

⑧風車軸 (樹脂)⑨pivot軸 (鋼線製)⑩梃 (薄 セルロイド板)⑪廻転電極固定用真鍮薄板リソグ

⑫固定電極 ⑬廻転電極 (共に白金線0.3mm 1

白金線電極は互に接近するのみで接触はしないから,電気的な装置は流速計の廻転には 殆んど影響を及ぼさない.低速でも流速計が安定な廻転をする為には,軸承の摩擦を出来 るだけ少くする事と,水中に於ける浮力を考慮した廻転部分の静的な平衡を注意して取る 事が必要である.

廻転電極及び固定電極の各2本の白金線を取付ける角度としては(i)180'及び(ii)180'  以 外 (O'及び 180'に近い角度は電気的動作を考えた場合不適当で, 90'120'見当が適当)

(3)

34 

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写 真 2

記録により廻転方向の弁別がnJ

写 真 4 廻 転 部 分

12

写 裏 1

写 真 3

流速方向測定用,各々廻転方向の 弁別が可能

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(4)

水槽実験用風車型流速計に就いて 35 

の2通りの方法が考え られる.

2 .  

計 測 回 路 前 節 に述べた様な流速計が 水中で廻転するとき,

(i)及び (ii)の場合に 就いて端子間抵抗Rは 夫々第 2図(i)及び(ii)

の様に変化する.そこ で可聴周波の発振器を 廻転数の計測回路とし て用い,その回路の中

の一つの電気抵抗素子 R← ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ と し て 流 速 計 を 接 続

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(i) 

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し,その端子聞の抵抗 値Rが或る一定の値 Roより小さい時には発

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(ii) 2

振し,凡より小さい時には発振し,凡より大きい時には発振しない様にしてやれば,流 速計の廻転に伴つて断続的に発振する事になる. そこで此の発振回路に受話器を接続して 発振音を数えれば,流速計の廻転数を知る事が出来る.

発振回路に就いて特に要求される点は, a)過渡現象の時間を短くして高速の回転に対 しても回路の動作を追随せしめるために,流速計の抵抗値の比較的小さな変化によつて,

発振を励起する feedbackの量がなるべく大きく変る事, b)誤動作を防ぐために所謂飛 びつき発振の現象が起きない様にする事, c)種々の流速計に適合させたり,白金線電箆 表面の汚染,水質の変化等に応じて動作させる為に,回路を調節する事に依り凡の値を成 可く広範囲に,且つ微細に調盤し得る事が必要である.更に a)と同じ目的で,発振周波 数を出来るだけ高く取る事が望ましい. 廻転数が早い場合には発振音を耳で数える事が出 来ないか以後に述べる計数のための装醤が別に必要となり,此の場合には発振周波数が 可聴周波越えても支障えない.

之等の事を主眼として試作した回路のうちで,第3図のものが好成績を得る事が出来た.

之はWienbridgeを変形した一種のCR発振器である.流速計が回転して抵抗 Rの値が 減少すると,回路の possitivefeed backを強める働き (Reが大きい時特に著しい)と negative feed backを弱める働き(凡が小さい時特に著しい)とが同時に生ずる事にな

(5)

36  12

12AU7 

ht o. 6

C: 100  500pF 

流兎計

3 図 第 4

り,広範囲なReの値 (RavVRIで調盤する.VRIIはその微細調節)に対し常に a)の 条件が非常に好都合に満足される.

流速計の電極の構造が前節 (i)の場合は発振音は1廻転について2回出る事となる.之 は高速の場合発振音を数え難く, 又前記の条件 a)が一層強く要求される事となる.一方 (ii)の場合は回路に動作させるために取り得る Reの値が狭く, Roが一寸大きすぎると一 廻転に3回発振音を出す事となり,その為の誤りを生ずる恐れがある.耳で聞いて廻転教 を数える場合にほ, 1廻転に3回発振音が出る場合には3つの音に癖があるので容易に判 別する事が出来るが,後に述べる計数装置を用いる場合には誤動作を気付かぬ可能性が強 ぃ.そこで,計算装置をつける場合には (i),耳で数える場合には (ii)が適している様で ある.

流速計を同時に 2個以上動作させたい場合には,別の流速計の電柩相互間の干渉を充分 避けなければならない.そのためには第 3 図のコンデンサ ~c の容量を変えて発振周波数 を充分 (2倍桓度或はそれ以上)離してやる事と,電源(アース線及び "B,,電源)が共 通の場合には一つの流速計の一対の電柩に逆位相の電位を生じる様にして影響が遠方に及 ばない様にしてやれば良い.第3図の回路の一部分を第4図の様に変えてやれば一応此の 目的が逹せられる様である.

3.  補足的な諸回路 以上抵抗値の僅かな変化を電気的発振に変えて流速計の廻転を pick‑upする方法を述べたが,実際に流速を測定する場合には次の様な回路を補足してや れば便利な事が多い.

(6)

水槽実験用風車型流速計に就いて 37 

(1)  比較的に短い時間で流速を精密に測定する場合,流速の変動の模様を測定する場 合,及び流速計の検定をする場合等にほ,発振回路の出力を増巾盤流し,更にtrigger回 路を通してオッシログラフ又はマグネットペンにtimemark其他必要な信号と同時に記 録する.

(2)  流速計の廻転が早く,発振音を耳で数えるのが不可能な場合及び平均流速を求め るため長時間計数を続ける場合は,度数計を用いるのが便利である.此の場合には (1)の trigger回路の真空管の陽梱より容量結合して負の impulseを取り,二進法回路を数段 働かせ最後の二進法回路の真空管の陽極回路に度数計を入れる.測定し得る回転数の限度 は前節 (a)の過渡現象で定まり, 之までに試作したものに就いては信号の数が毎秒 60‑

100程度が限度の様である.

(3)  測定中に其の場で概略の流速を知りたい場合には, (1)のtrigger回路の出力を 直読の周波数計に入れればよい.但し積分回路固有の時定数を持つ事と,低速の場合に流 速計の回転に伴つて指針が律動する事は避けられず,目安を得る租度に過ぎない.

4 .  

流速計の特性例流速計の検定は深さ 50cm,幅50cm,長さ10m,有効測定長さ 5 mの水槽に於て,台車に流速計を取りつけて走らせて測定した.測定方法は前節(1)の 方法でペン書きオッシログラフを用い, timemarkと台車走行距離の markを同時に記 録せしめて,之より台車の速さと流速計の廻転数を算出した.二三の結果を第 5,6図 に 示す. (a)は写真1のもの, (b)は写真2のものである.流速と廻転数との関係は殆んど 直線的であるが,流速計の軸と流れの向きとのなす角と廻転数との関係は余弦曲線と可成 り相違している.従つて流れの方向と流速計の軸の方向とが一致していない場合や,流速

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1吏用―--~ 使 用

'57/I/9  II/27 IV/~IV/5 VII/1 

休止. J使恥

'58/v/13  VI/lB 

第 7  図

の方向に変動のある場合には注意を要する. 又第 7図は長い期間の使用状況と特性の変化 の模様であり,その期間中に廻転数が最大約6%の変化を生じている. 頻繁に使用してい る時は軸承が磨かれて滑らかになり,よく廻る様になるのに反し,使用せずに放饂した時 ほ銹を生じるかf由が硬化する等の原因で廻りにくくなつている事が推察される.安定な特 性を得る為には更に精度の高い工作が必要なものの様である.

(昭和331023日受理)

参照

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Institute of Health Science, Kyushu University.

Research Institute for Applied Mechanics, Kyushu

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出版情報:九州大学応用力学研究所所報. Research Institute for Applied Mechanics, Kyushu

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