アルミニウムのベーマイト処理の特許と論文の紹介
安 清一
1)、 丸田正敏
2)、 佐藤敏彦
3)1) ANODA 2) キザイ株式会社 3) 元芝浦工大教授 1.はしがき
日本特許庁の特許データベースと欧州特許庁 の Worldwide 特許データベース、科学技術振 興機構が運営している科学技術文献データベー スの J-GLOBAL で表記の情報検索を行った結 果を報告する。なお、データベースを多用して いる本稿を機会に、各種データベースの活用法 を学んで頂ければ幸いである。
2.「ベーマイト法」の定義
多くのアルマイト技術者に馴染みのある「ベ ーマイト」や「ベーマイト法」は JIS 金属表面 処理用語に定められている用語の一つで、前者 の用語は「一水和アルミニウム酸化物。約 80
℃以上の温度で陽極酸化皮膜を水和封孔処理し たときに生成する。対応英語:boehmite、規 格番号:JIS H 0201 706」で、後者は「高温 の超純水中でアルミニウムの表面に皮膜を生成 させる方法。これに少量のアンモニア水などを 添加して処理する場合もある。対応英語:
boehmite process、規格番号:JIS H 0201 502」と定義されている。
3.2010年のベーマイト処理の日本特許調査 での驚き
ベーマイト」と「2010 年」をキーワードと して日本特許検索を行ったところ、76 件の特 許が検出された。ベーマイトの応用分野は多岐 である。一例を紹介すると、特開 2010-120813
の名称は「ベーマイトの用途」で、【課題】は
「ベーマイトの特性を利用し、ベーマイトの有 用な用途を提供することを課題とする」で、
【解決手段】は「本発明は、ベーマイトからな る被充填物に充填される補強材、難燃剤、光輝 材、耐火材、増粘剤、滑材、塗工用内填材、イ ンク受理材、熱伝導用・制動材用・線膨張制御 用・ガスバリア用の各フィラーに関する。本発 明は、ベーマイトからなる触媒担体、電気伝導 フィラー母材、耐火物又は耐熱材料、高純度ア ルミナ用・易焼結性アルミナ用、セラミックス 用・湿度センサー用・分離膜用・フィルター用、
エレクトロニクス素子用・蛍光材料用の各原料、
吸油材又は吸水材、指紋採取粉、発色性向上材 に関する」である。
「アルミニウム」、「ベーマイト」、「皮膜また は処理」、「2010 年」の組み合わせキーワード で検索したところ、16 件の特許が検出された。
しかし、有毒ガス分解触媒用担体及びその製造 方法、アルミナゾル及びその製造方法、選択的 水素化触媒及びその調製方法などのベーマイト の活用方法に関する特許が大半で、前節の「ベ ーマイト法」の定義に合致する特許は特開 2010-018890(名称:耐食性に優れた表面処理 アルミニウム材料およびその製造方法)だけで あった。この特許は、無孔質のバリヤー型陽極 酸化皮膜を高温水処理して、耐食性を向上させ る方法である。
4.2009年以前のベーマイト処理の日本特許 特許公開日の制限を行わないで、2009 年以 前の日本特許の検索を行った。「ベーマイト」
の一語のみをキーワードとした検索では 1,393 件の特許が検出された。「アルミニウム」、「ベ ーマイト」、「皮膜または処理」の組み合わせキ ーワードで検索したところ、287 件の特許が検 出された。
いずれの検索の場合も JIS 用語の「ベーマイ ト法」の定義以外の特許が多かった。これらの 特許の内容の一部分を引用すると、★前記無機 微粒子は、シリカ、アルミナまたはベーマイト である請求項1~4のいずれかに記載の電池用 セパレータ。★該サブミクロン顔料が擬ベーマ イトである請求項3記載のインクジェット記録 媒体。★【課題】保存安定性が高く、繊維状も しくは針状ベーマイト粒子が溶液に分散したア ルミナゾル及びその製法を提供する。★このよ うな酸化用銀触媒1においては、前記アルミナ の前駆体は、ベーマイトであることが望ましい。
★前記陽極酸化膜は、その表面細孔を拡大化処 理した後、ベーマイト処理し次いで、焼成によ り形成されたアルミナであることを特徴とする 請求項 10 に記載の改質装置。★前記遮光層が ベーマイトを焼成処理することにより生成した アルミナから成る、請求項1または2に記載の パターン基板。★、燃料電池のDSS運転用の CO変成触媒であって、Cu-Al-Ox系触 媒の少なくとも一部にベーマイト相11が形成 されているので、・・・・などである。
● 特開平 10―140372(名称:アルミニウム系 基地における耐食性皮膜及びその製造方法)の 要約は「使用環境がアルカリ性であっても耐食 性が良好であり、しかも設備やコストの面で有 利なアルミニウム系基地における耐食性皮膜及 びその製造方法を提供すること」で、【解決手 段】は「アルミニウム系基地1に、ベーマイト 化したベーマイト皮膜及び無機質皮膜がこの順
で積層されている。無機質皮膜は、ジルコニウ ム(Zr)、シリコン(Si)、カルシウム(C a)のうち少なくとも1種を含む金属アルコキ シドのゾル溶液をベーマイト皮膜に接触させ、
ゾル溶液をゲル化して形成される」である。そ して、図1が添付されている。
● 特開 2000―064092(名称:アルミニウム基 合金部材とその陽極酸化方法及び用途)の【解 決手段】は「Si7.5 ~ 18 重量%を含有するアル ミニウム合金部材表面に内層に多孔質の酸化皮 膜とその表面に緻密な酸化皮膜を有する部材と、
部材表面をベーマイト処理した後、陽極酸化処 理を施す処理方法とその用途」である。
● 特開 2001-348680(名称:高耐食性アルミダ イカスト材とそのベーマイト処理法及び用途)
の【課題】は「本発明の目的は、低空孔率で緻 密な密着性の高い高耐食性ベーマイト処理皮膜 を得ることができ、同時にアルミダイカスト材 表面に耐食性に劣る過飽和SiやAl-Si共 晶組織を低減させた層を形成させることができ、
より高い耐食性を有するアルミダイカスト材と その製造法及び各種用途を提供することにあ る」で、【解決手段】は「本発明は、アルミダ イカスト材の表面に、外表面より、Alの水和 酸化物層と、酸化アルミニウムを主体とし空孔 率 30 体積%以下の酸化皮膜及び基体金属の硬 化層が順に形成されていることを特徴とする高 耐食性アルミダイカスト材にあり、更に、ブラ スト等の機械研削処理によるチル層の除去、そ
図1 皮膜構造の模式図
● 特開 2008―038184(名称:アルミニウム系 基材の表面処理方法及び耐食構造)の【解決手 段】は「アルミニウムを主成分とする基材の表 面を脱脂する脱脂工程と、基材の表面に熱水処 理により酸化皮膜を形成する酸化皮膜形成工程 と、前記酸化皮膜の上層に、金属塩を用いて化 成処理を行う化成工程と、を有することを特徴 とするアルミニウム系基材の表面処理方法」で ある。
● 特開 2009―123980(名称:電気回路用アル ミニウムベース放熱基板及びその製造方法)の
【解決手段】は「陽極酸化処理を用いて絶縁膜 であるアルマイト皮膜を形成したアルミニウム 基板の表面に、気相成長法によりAl層と金属 シード層を形成した後、水和処理によりAl層 とアルマイト皮膜の一部をベーマイト層に変化 させ、アルマイト皮膜と金属シード層との間に ベーマイト層を形成する。その後、電気めっき 法により金属シード層上に所望の厚さの導電性 金属層を形成して、電気回路用放熱基板を得 る」である。
● 特開 2009―235527(名称:アルミニウム合 金部材の製造方法及びアルミニウム合金部材)
の【課題】は「耐アルコール性が高く、安価な アルミニウム合金部材の製造方法、及びアルミ ニウム合金部材を提供する」で、【解決手段】
は「アルミニウム合金の表面にベーマイト処理 を行い、ベーマイト層を形成した後、バリア型 の後の高温水中で処理するその表面処理法にあ
り、特に全自動洗濯機とそのフランジ、免疫分 析計及び血液分析計の試薬保持容器に用いられ る」である。
● 特開 2006―263625(名称:アルミニウム系 材料上への機能性皮膜の製造方法及び該機能性 皮膜を有するアルミニウム系材料)の【課題】
は「 アルミニウム系材料に、高い耐食性をも たらすとともに、環境にやさしく、優れた過酸 化水素分解作用や一酸化炭素、塩素、亜硫酸な どの有害ガス除去作用を有する機能性皮膜を提 供すること、及び該機能性皮膜を有するアルミ ニウム系材料を提供することを課題とする」で、
【解決手段】は「アルミニウム系材料上にベー マイト皮膜又は水酸化アルミニウム皮膜を形成 し、該皮膜表面に酸化触媒能を有する金属酸化 物を固定化させることにより機能性皮膜を製造 する方法、及び該機能性皮膜を有するアルミニ ウム系材料とする」である。なお、本特許の発 明者は藤野隆由である
● 特開 2007―330878(名称:複合光触媒粒子 及びその製造方法並びに複合光触媒皮膜及びそ の製造方法)の【課題】は「高い光触媒能を発 揮できる複合光触媒皮膜を安価に且つ大量に得 ることができる製造方法を提供すること」で、
【解決手段】は「アルミニウム部材を水熱加圧 処理して、アルミニウム部材表面にベーマイト 皮膜を形成する、ベーマイト皮膜形成工程と、
アナタース型の二酸化チタンの粒子を過マンガ ン酸カリウム溶液に懸濁させ、この懸濁溶液に 上記ベーマイト皮膜を浸漬し、これらを水熱加 圧処理する処理工程とを有することを特徴とし ている。」である。なお、本特許の発明者も藤 野隆由である。
図2 製造方法の経過を示す模式図
アルマイト処理を行い、アルミニウム合金とベ ーマイト層との間にバリア型アルマイト層を形 成する」である。
5.ベーマイト処理の外国特許
欧州特許庁の Worldwide 特許データベース に「boehmite」を単独キーワードとして入力 すると、特許件数は 1,881 件である。中国の大 学による特許が非常に多くなっている。日本と の人口比率からも、この傾向は今後、更に多く なるであろう。
「aluminum, boehmite, film,」 や「aluminum, boehmite, process」、「aluminum, boehmite, treatment」の組み合わせキーワードで検索す ると、特許の件数はそれぞれ、129 件、140 件、
135 件である。これらの百数十件の特許も90
%以上がアルミナ粒子の製法、高温触媒、静電 コンデンサー、鉱物処理、廃水処理に関する特 許で、日本特許が多い。JIS 用語の「ベーマイ ト法」に相当する外国特許は数件であった。こ の数件の特許を紹介する。
● FR 2930023(A1)(2009-10-16)EDTA を 含む水溶液でアルミニウムのベーマイト処理を する。英文の特許名称は「Surface treatment method for motor vehicle's charge air cooler, involves carrying out hydrothermal treatment on components and brazing points to cover components and points with boehmite film and protect components and points from corrosion
」の長文である。
● US 2002033208(A1)(2002-03-21) アルミ ニウム上にベーマイト皮膜を形成した後に6価 金属イオンと3価金属イオンを含む水溶液で化 成処理すると、クロメートによる化成処理の代 替ができる。
● US 2005227000(A1)(2005-10-13) ベーマ イト粒子を含む表面コーティング剤で、ベーマ イト粒子のアスペクト比は少なくとも3:1の
異方性形状である。
● KR 20080067853(A)(2008-07-22) プリン ト基板のクラックによる電気絶縁性の低下を避 ける目的で、基板上にベーマイト皮膜を化成す る。その後、化成皮膜を除去して、陽極酸化処 理を行い、酸化皮膜の封孔処理を行う。なお、
本特許は安 清一の発明である。
6.ベーマイト処理の日本語論文
科学技術振興機構(JST)が運営している文 献デーダーベースの一つである「J-GLOBAL」
に「ベーマイト皮膜」をキーワードとして入力 した時の同ホームページの部分拡大図を図3に 示す。同図の右側に 30 件前後の文献リストが 表示される。なお、図3左側の「絞り込み検 索」の表は「J-GLOBAL」によって、自動生成 される。この表より「ベーマイト皮膜」のキー ワードで検出された論文数が最も多いのは宇都 宮大学の佐藤栄一元教授で9件である事が示さ れている。ベーマイト処理に関する「藤野隆 由」の論文が4件、「J-GLOBAL」に収録され ている事がわかる。
検索条件で検出された論文の幾つかを「昇 順」で紹介する。最初の論文は1975年に発 表された、阿部隆と内山利光による「最近のベ ーマイト皮膜に関する研究とその応用(I)処 理技術と皮膜の耐食性」である。この論文の題 名をクリックすると「J-GLOBAL」の次のペー ジが開かれて、近畿アルミニウム表面処理研究 会会誌、55 号、1頁~ 15 頁に掲載されている 事がわかる。
ここで、JDreamII をクリックすると、以下 の論文抄録を読める。前島らの「ベーマイト処 理を行った後 , 多孔性陽極酸化皮膜を生成さ せ・・・・」の研究手法は、その後のベーマイ ト皮膜による国内外特許でも多く採用されてい る。「ベーマイト皮膜化成してから陽極酸化す ると、良い電解コンデンサができる」、「アルミ ニウム鋳物やアルミ・ダイキャストはベーマイ ト処理してから、陽極酸化すると良いアルマイ トができる」などの事例である。
30 数件の論文から、主観的に選んだ論文を 紹介させて頂く。
「ベーマイト皮膜及び加熱酸化皮膜を前処理 とした多孔性陽極酸化皮膜の生成について」の 論文名称と著者名の下に、1行の論文内容の紹 介 文 と、「 詳 し い 内 容 を 知 り た い 時 は
「JDreamII」のデータベース(有料)を参照し て下さい」との案内文が書いてある。JSTに よる文章を太字で示す。
「ベーマイト処理および加熱酸化処理を行っ た 後, 多 孔 性 陽 極 酸 化 皮 膜 を 生 成 さ・・・・・・・
上 記 抄 録( 要 約 ) の 続 き を 見 る に は → JDreamII 、
【全文情報】 原文複写申込 」
図3 「J-GLOBAL」を部分拡大表示した画面
和 文 標 題 :ベーマイト皮膜及び加熱酸化皮膜を前処理とした多孔性陽極酸化皮膜の生成について 著 者 名 :前嶋正受,石さわ和夫,猿渡光一(藤倉電線)
資 料 名 :アルミニウム研究会誌 JST 資料番号:F0591A ISSN:0285-5224 巻号ページ(発行年月日):No.8,Page133-134(1989)写図表参:写図 3
抄 録 :ベーマイト処理および加熱酸化処理を行った後,多孔性陽極酸化皮膜を生成させ,その 耐曲げ亀裂性を調べた。加熱酸化前処理では前処理なしの時と同様に亀裂を発生し,ベ ーマイト前処理の時は連続的亀裂はほとんど発生せず,加熱酸化とベーマイト処理を組 み合わせた時は不連続な細い亀裂が見られた。その原因についても考察
和 文 標 題 :ベーマイト皮膜への無機物または有機物の析出 著 者 名 :神長京子,柴田潤二,佐藤敏彦(芝浦工大)
資 料 名 :アルミニウム研究会誌 JST 資料番号:F0591A ISSN:0285-5224 巻号ページ(発行年月日):No.7,Page126-127(1994)写図表参:写図 2
抄 録 :Al を沸騰水処理してベーマイト皮膜を形成した。これにナフテン酸コバルトを塗布す ると加熱温度で青紫 - 褐色 - 紫に変化する。ナフテン酸鉄を塗布して加熱すると赤褐色 になる。また皮膜を木材煙中に放置すると赤と緑の玉虫色に着色された。オレイン酸 Na 液に浸漬,陽極電解処理を行うと表面は疎水性になる。着色皮膜のアルカリ耐食試 験も行った
和 文 標 題 :ベーマイト皮膜の表面処理
著 者 名 :神長京子,柴田潤二,佐藤敏彦(芝浦工大)
資 料 名 :近畿アルミニウム表面処理研究会会誌 JST 資料番号:S0460A ISSN:0285-6689 巻号ページ(発行年月日):No.170,Page1-3(1994.11)写図表参:写図 2,表 1
抄 録 :ベーマイト皮膜を二次表面処理し耐食性の向上や着色を検討した。I)液体有機物を塗 布し加熱処理 : シリコンオイルの場合は耐食性向上が認められた。II)各種化学蒸気処 理 : 耐食性向上し,木材燃焼の煙による場合は着色された。III)オレイン酸ナトリウム 水溶液による処理 : 耐食性は向上したが同浴中のアノード電解では向上しなかった。
IV)銅析出ピンホール試験による耐食性 :II 処理のエチレンシリケートやシリコンオイ ルでは良好だった
表2と表3も図3の文献リストで紹介されている論文のJSTによる抄録である。
表1 前嶋正受らの論文についてのJSTによる抄録
表2 佐藤敏彦らの論文についてのJSTによる抄録(1)
表3 佐藤敏彦らの論文についてのJSTによる抄録(2)
表4は「J-GLOBAL」 の論文リストの一つ を拡大表示したものである。この表に書いてあ る JDreamII をクリックすると、表1などと同 様にJST抄録を読める(表5)。更に、表4 に書いてある「J-STAGE」をクリックすると、
この論文が掲載されている学会誌の表紙の一部 分と論文の題名が現れる(図4)。ここで、こ
藤野らは「水熱法によるアルミニウム上への 酸化触媒能を有するMnO2‐ベーマイト複合 皮膜の作製」の論文も軽金属学会誌に投稿して、
の論文のPDFファイルをクリックすると、図 5に示す原文の全文が現れる。原論文には詳細 な報告と多くの写真や図による解説があるので、
JST抄録による予備知識を深く理解できる。
更に幸いな事には、この原論文をパソコンでプ リント・アウト出来るので、論文をコピーして、
職場の同僚と輪講する事も出来る。
「J-GLOBAL」のデーターベースにも収録されて いるので、この論文のJST抄録(表6)やJ
-STAGEによる原論文を読むことができる。
和 文 標 題 :水熱法を利用したアルミニウム板上への複合 TiO2- ベーマイト皮膜の作製 著 者 名 :藤野隆由,下門正貴,野口駿雄(近畿大 理工)
資 料 名 :軽金属 巻号ページ(発行年月日):Vol.52, No.10, Page442-447(2002.10.30)
記 事 区 分 :原著論文(a1)
抄 録 :アルミニウム板上に水熱法により作製した結晶質ベーマイト皮膜中にアナターゼ型 TiO2 粉体を分散させ,ベーマイト皮膜とは異なる機能を付加することを試みた。水熱 処理により TiO2- ベーマイト複合膜が得られ,それは密着性 , 硬度 , 耐食性 , 光触媒活 性に優れていた。特に光触媒活性は他の結晶質ベーマイト膜やゾル - ゲル薄膜より高か った。硝酸アルミニウムを添加し,結晶質ベーマイト膜の厚さを 3 倍に増加させるこ とができた。XRD により複合膜中に TiO2 と AlO(OH)の存在を確認した。膜表面 には球状と繊維状の組織が観察された。水熱法はアルミニウム板の機能の改善に有効で あることを示した。
表4 論文リストの一つを拡大表示
表5 藤野らの論文についてのJST抄録(1)
和 文 標 題 :水熱法によるアルミニウム上への酸化触媒能を有する MnO2- ベーマイト複合皮膜の作製 著 者 名 :藤野隆由,山口真一(近畿大 理工),山口真一(近畿大 大学院)
資 料 名 :軽金属 JST 資料番号:F0772A ISSN:0451-5994 CODEN:KEIKA6 巻号ページ(発行年月日):Vol.56,No.2,Page117-120(2006.02.28)
抄 録 :高い酸化触媒能をもつ複合皮膜の作製を試みた。純アルミニウム板上に水熱加圧処理に よりベーマイト皮膜を成膜した後(一次処理),過マンガン酸カリウム水溶液中で再び 水熱加圧処理を行い(二次処理)複合皮膜を作製した。一次処理では水中に硝酸アルミ ニウムを添加することで,球状形表面の厚いベーマイト皮膜が作製できた。二次処理に よりベーマイト上にナノオーダの MnO2 微粒子が固定化されていることが確認された。
本法により作製した MnO2- ベーマイト複合皮膜は硝酸マンガンにより作製した皮膜に 比べ高い過酸化水素分解触媒能が確認できた。皮膜の成膜過程と化学反応について検討 した。
7.ベーマイト処理の英語論文
「J-GLOBAL」 の キ ー ワ ー ド 欄 に 英 単 語 の
「boehmite film」を入力すると、一部の日本語 文献も含まれているが、20 数件の外国語論文 がリスト・アップされている。これらの論文の 幾つかはJST抄録を読むことができるが、「J
- STAGE」による原論文を読む機能は1件も
付加されていなかった。事例として、「UV/
熱二重硬化下でオルガノシランによって改質し たベーマイトのナノ粒子に基づく硬い被覆層
(Hard coating films based on organosilane- modified boehmite nanoparticles under UV/
thermal dual curing)」の英文論文についての JST抄録を表7に示す。
表6 藤野らの論文についてのJST抄録(2)
図4 「J-STAGE」に加入している学会誌 図5 PDFファイルの原論文
和 文 標 題 :UV/ 熱二重硬化下でオルガノシランによって改質したベーマイトのナノ粒子に基づく硬 い被覆層
英 文 標 題 :Hard coating films based on organosilane-modified boehmite nanoparticles under UV/thermal dual curing
著 者 名 :JEON Seong Je, LEE Jai Joon, KIM Woong, CHANG Tae Sun, KOO Sang Man(Hybrid Nanoparticle Lab., Dep. of Chemical Engineering, Coll. of Engineering, Hanyang Univ., Seoul 133-791, KOR)
資 料 名 :Thin Solid Films JST 資料番号:B0899A ISSN:0040-6090 巻号ページ(発行年月日):Vol.516,No.12,Page3904-3909(2008.04.30)
抄 録 :UV/ 熱二重硬化のために硬い被覆ゾルと膜を作製した。被覆ゾルは , オルガノシラン
(例えば,メタクリルオキシ - プロピルトリメトキシシラン,ビニルトリエトキシシラ ンおよび 3- グリシドオキシ - プロピルトリメトキシシラン)で改質されたベーマイト ナノ粒子,フォーミュレート開始剤,および添加剤としての有機または無機橋かけ剤か らなっている。この被覆によって , 鉛筆硬度 8H および可視領域の透過率 90% 以上の 硬い被覆膜をポリメタクリル酸メチル基板上に作った。さらに,この被覆溶液は UV/
熱二重硬化によって 100℃の温度において 35 分で速やかに硬化可能である。添加物 と開始剤が生じる膜の硬度および透過率に及ぼす効果を述べる。
8.ベーマイト処理の中国語論文の抄録 科学技術振興機構(JST)は「JSTChina」
と呼ばれている中国文献データベースを運営し ている。JDream Ⅱの場合と同じの日本語キー ワード入力で中国語論文の書誌情報や抄録を読 める。検索キーワードを「ベーマイト」を入力 した時、論文の件数は 62 件であった。「ベーマ イト」と「皮膜または処理」の組み合わせキー ワードの時は 22 件の論文が検出された。幾つ かの文献を紹介するが、論文題名は太字で示し、
論文の要点は通常のフォントで書いた。
● 6 種の陽極酸化アルミクロムフリー封孔膜の 特性比較
ベーマイトゾル法による封孔膜の性能が最も良好
●ベーマイトゾルによる Al 合金への陽極酸化 膜の封孔処理
膜は,30min 間 pH 値を 4.5-5.5 維持したゾルで 浸漬した条件下で優れた性質を示し,その後 6h,80℃で乾燥した。
●金属基質への擬似ベーマイトコーティングの 調製
小サイズで狭い粒度分布の安定したコロイドを 得た。メタル基質のコーティングにそれを有効 に利用することができた。AlOOH コロイドの 含有量の他に , 金属基質の前処理もまたコーテ ィング量に重要な影響を及ぼした。
9.むすび
本稿も共著者との個別の討論を佐藤敏彦がま とめた。
表7 JEON Seong Jeらの論文についてのJST抄録