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鉄筋コンクリート構造物を長寿命化させるためには,

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Academic year: 2021

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Ⅴ− 26 第39回土木学会関東支部技術研究発表会

簡易な真空吸水試験を用いた劣化予測手法高度化の検討 簡易な真空吸水試験を用いた劣化予測手法高度化の検討 簡易な真空吸水試験を用いた劣化予測手法高度化の検討 簡易な真空吸水試験を用いた劣化予測手法高度化の検討

芝浦工業大学 学生会員 ○井ノ口 公寛 芝浦工業大学 正会員 伊代田 岳史

1. はじめに

鉄筋コンクリート構造物を長寿命化させるためには,

十分な耐久性を確保し,適切に維持管理を行う必要が ある。現在,コンクリート標準示方書で提案されてい る中性化や塩害の劣化予測式は,コンクリートは深さ 方向に一様であると考えられており,材料要因である セメント種類と水セメント比のみしか考慮されていな い。しかし,コンクリートの表層部は材料要因のみな らず施工要因である養生方法や養生期間などの影響も 大きく受けると考えられる。今後,既設構造物を劣化 予測し維持管理するには,コンクリートの深さ方向を 考慮することが重要であると考えられる。

そこで,本研究では材料要因(水セメント比,セメ ント種類)や施工要因(養生期間,養生方法)を変動 させた試験体を用い,真空吸水試験,促進中性化試験 を実施し,吸水性と耐久性の関係を明確にした上で,

簡易に深さ方向の品質を評価できる真空吸水試験を用 いて,劣化予測手法の確立を目的とした。

2. 試験概要

2.1 試験体概要

試験体のセメント種類は,普通ポルトランドセメン ト[N]と高炉スラグ微粉末が 50%置換された高炉セ メント B 種[BB]を用いたコンクリートとし, W/C=45,

55, 65% で試験を実施した。養生条件は表 -1 に示すよ うに行った。なお W/C=45,65%については D-1 の養生 方法のみで試験を実施した。試験に使用した試験体は,

真空吸水試験では全断面から均一に乾燥の影響を受け る 100 × 100 × 50mm , 促 進 中 性 化 試 験 で は 100×100×400mm とした。それぞれの試験は材齢 28 日 経過後に実施した。

2.2 真空吸水試験概要

試験の前処理として,試験体を試験材齢時に 40℃の 乾燥炉で 5 日間乾燥させ,内部水分を逸散させた。試 験体側面からの水の浸入を防ぐため,側面にアルミテ

ープでシールした。次に,バットに試験体を 2cm 浸漬 させるように水を張りデシケーターに設置し,デシケ ーター内を真空ポンプで 3 時間吸引して真空状態とし た後,試験体を割裂し,水の吸い上げられた領域と試 験前後の重量変化を確認した。また,全断面積に対す る吸水面積割合を画像解析で算出し,真空吸水面積率 と定義した。

2.3 促進中性化試験

試験は JIS A 1153:2003 に基づき,温度 20℃, 湿度 60%,

CO

2

濃度 5.0%とした。劣化促進期間(1,2,3,4 週)

において 40mm 間隔で割裂し,断面にフェノールフタ レイン溶液を噴霧した。中性化深さの測定は 6 点の平 均値で算出した。

表 -1 養生条件

図 -1 真空吸水試験結果

図 -2 促進中性化試験結果

養生方法 1 5 7

D-1 S-5 S-28 S-7

C-5 C-7 W-28

乾燥(D:20℃,60%) 28

試 験 実 W:水中 施

封緘(S:型枠存置) C:湿布

0.00 0.20 0.40 0.60 0.80 1.00

D-1 S-5 S-7 S-28 C-5 C-7 W-28

真 空 吸 水 面 積 率

N BB

0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0

D-1 S-5 S-7 S-28 C-5 C-7 W-28

中 性 化 速 度 係 数 (m m /√ 週 )

N BB

キーワード 養生 表層と内部 真空吸水試験 劣化進行予測

連絡先 〒135-8548 東京都江東区豊洲 3-7-5 芝浦工業大学 TEL 03-5859-8356 E-mail m510008@shibaura-it.ac.jp

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Ⅴ− 26 第39回土木学会関東支部技術研究発表会

3. 試験結果

3.1 真空吸水試験結果

真空吸水試験結果を図 -1 に示す。セメント種類によ らず,養生期間が長くなるほど,吸水面積率は低下す る傾向を示した。 BB の場合, D-1 のようにすぐ乾燥を 伴う養生方法では,顕著に吸水面積率が大きくなって いた。また, C-5 以降では, N よりも BB の吸水面積率 が低い傾向を示していた。

3.2 促進中性化試験結果

促進中性化試験の結果を図 -2 に示す。N の場合,養 生期間が長くなるほど,中性化速度係数は低下する傾 向を示していた。一方,BB の場合,D-1 では顕著に中 性化速度係数が大きくなっていたが,その他の養生方 法では大きな差はみられなかった。

3.3 真空吸水面積率と中性化速度係数の関係

真空吸水面積率と中性化速度係数の関係を図 -3 に示 す。セメント種類によらず,真空吸水面積率が増加す るとともに中性化速度係数も大きくなっており,高い 相関性を示していた。また,BB は吸水面積率が 0.55 以上になると N と同様の傾きとなる傾向を示していた。

4. 劣化予測手法の高度化とその検証

本研究での劣化予測手法の概念図を図 -4 に示す。示 方書のように中性化速度係数を深さ方向に一定とする のではなく,深さ位置ごとに中性化速度係数を与える。

中性化深さが d₁まで進行すると,中性化速度係数が a

₁から a₂に切り替わるようにし,深さごとに繰り返し

計算し,劣化予測を行った。

そこで,採取したコア試験体で劣化予測手法の検証 を行った。図 -5 にコア試験体の真空吸水面積率ならび に,図 -3 の関係式から中性化速度係数を算出した結果 を示す。また図 -6 に劣化予測を行った結果を示す。真 空吸水試験から劣化予測を行ったものは,材齢初期に 中性化が大きく進行しており,示方書よりも早く中性 化が進行している。図中の点は試験体が材齢 395 日の

時に 4.13mm 中性化が進行したときの結果となってい

るが,示方書よりも正確に予測ができており,真空吸 水試験から劣化予測することができる可能性があると 考えられる。

5. 結論

1) 真空吸水面積率と中性化速度係数は高い相関性が あることが確認できた。

図 -3 真空吸水面積率と中性化速度係数の関係

図 -4 劣化予測手法の概念図

図 -5 深さ方向の吸水面積率と中性化速度係数の関係

図 -6 示方書と真空吸水試験による劣化予測式の関係

2) 真空吸水試験より劣化予測を高度化できる可能性 があることが示唆された。

参考文献

檀康弘ほか:高炉スラグ微粉末を混入したコンクリー トの養生条件と耐久性の関係,土木学論文集

E,Vol.65,No.4,pp.431-441,2009

y = 11.168x - 1.1006 R² = 0.9387 0.0

2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0 14.0

0.00 0.20 0.40 0.60 0.80 1.00

中 性 化 速 度 係 数 (m m /√ 週 )

真空吸水面積率 N

BB

深さ位置ごとに空隙構造が異なる

⇒中性化速度係数(a)は深さ位置 ごとに異なる

コンクリート標準示方書 コンクリート標準示方書 コンクリート標準示方書 コンクリート標準示方書

コンクリートは深さ方向に一様

⇒中性化速度係数(a)一定

表層 内部 鉄筋

真空吸水試験 真空吸水試験 真空吸水試験 真空吸水試験 コンクリート標準示方書

コンクリート標準示方書 コンクリート標準示方書 コンクリート標準示方書

表層 内部 鉄筋

a a ₁ a ₂ a ₃ a ₄ a ₅

d₁ d₂ d₃ d₄(mm)

0.0 1.0 2.0 3.0

0 5 10 15 20 25

中 性 化 速 度 係 数 (m m /√ 週 )

表層からの深さ(mm)

0 0.1 0.2 0.3 0.4

0 5 10 15 20 25

真空吸水面積率(%)

表層からの深さ(mm)

0 5 10 15 20

0 20 40 60 80 100

中 性 化 深 さ (m m )

材齢(年) 示方書からの劣化予測式 真空吸水試験からの劣化予測式

N,W/C=55%

封緘養生 7 日

表層 内部

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