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qPCRを用いた定量における バリデーションの考え方
小原栄1、成冨洋一2、橋本義孝3、花田雄志4、増本真理2、渡辺恭子5
1株式会社新日本科学,2アステラス製薬株式会社,3小野薬品工業株式会社,
4アスビオファーマ株式会社,5第一三共株式会社 第
9
回JBF
シンポジウム株式会社新日本科学 内山朝子
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DG2017-33 「qPCR for Bioanalysis」
LC-MS
LBA Luminex
FCS qPCR
Bioanalysisのツールとし ての使用が増えたが、バ リデーションに関するガ イドライン等が存在しな い
まずは、ツールとしてのqPCRの特徴、
目標 現実 バリデーションの中身を検討するには,
実験方法,数値の取り扱い等に関する
「共通認識」が不足している
バリデーションに関する Discussion Paperの作成
欧米と親和性の高いものを
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氏名 所属
内山 朝子 株式会社新日本科学 小原 栄 株式会社新日本科学 成富 洋一 アステラス製薬株式会社 橋本 義孝 小野薬品工業株式会社 花田 雄志 アスビオファーマ株式会社 増本 真理 アステラス製薬株式会社 渡辺 恭子 第一三共株式会社
中村 隆広
(アドバイザー)
株式会社新日本科学
構成メンバー
(50音順)
DG2017-33 「qPCR for Bioanalysis」
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はじめに
用語の使用について
qPCR: quantitative polymerase chain reaction = 定量PCR
=real-time PCR = リアルタイムPCR
Real-time PCR をrtPCR と記載しない
RT-PCR (Reverse Transcription)-PCRと混同する場合がある。
DNAを検出するアッセイ→qPCR
RNAを検出するアッセイ→RT-qPCR
統一するhttp://bioanalysisforum.jp/
PCRの基本メカニズム
Denature 95 ℃
Annealing/
Extension 60 ℃
Primer
増幅前の標的DNA
95 ℃前後の高い温度で DNAの二本鎖を解離
温度を下げることでプライ マーが結合し,60 ℃前後で 酵素反応により相補鎖が伸長
標的DNAが2倍となる
1サイクル
Nサイクル繰り返すことで,
qPCRでは,これらのDNAが 蛍光として検出される
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RT-qPCRの基本メカニズム
発現定量、RNAウイルス定量を行う場合は,
標的がRNAとなる
逆転写のStepが必要
mRNA AAAAAAA
TTTTTTT オリゴdTプライマー,
ランダムプライマーなど
mRNA
逆転写酵素により,cDNAが合成される mRNA
cDNA
RNase HによりRNAが分解され,一本鎖cDNAが残る
cDNA
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蛍光検出ー加水分解Probe
R Q
蛍光共鳴エネルギー転移現象(FRET)
5’ レポーター 3’
クエンチャー レポーター励起光
①通常は,FRETによってレポーターの蛍光は吸収されている.
3’
3’
5’
R Q
5’
Forward Primer
Reverse Primer Probe
3’
3’
5’
Q
5’
Forward
Primer
R
Probe②伸長反応によりプローブが加水分解されることで蛍光を発する.
プローブには特異的塩基配列を用いるので、標的に対する特異性が高い
http://bioanalysisforum.jp/ 5’
3’
3’
5’
5’
Forward Primer
Reverse Primer
5’
S
S
S S
S
S
S
S
S S S S
S S S
SYBR GreenがDNAにインターカレートして蛍光を発する
蛍光検出ーSYBR Green
dsDNAを非特異的に検出するため、標的であることを確認するために 融解曲線解析も必要
非特異反応
非特異反応 特異反応
特異反応
増幅曲線 融解曲線
uorescence
uorescence
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データ解析方法
サイクル数40
1 20
(Log表示・片対数) 検
出量
Threshold
指数関数的増幅領域
に設定する 指数関数的
増幅領域 プラトー状態
dNTPやPCR Primerの枯渇等によ り引き起こされる
Cq値
増幅曲線がThreshold Lineと交差す る時のサイクル数
理論的には元のサンプル量に2倍の差がある場合,
1サイクル違いで増幅曲線が得られる.
増幅曲線(Amplification Plot)
サイクルごとの蛍光シグナルをプロットしたもの
Cq: quantification cycle Ct: threshold cycle 機器メーカーによって 異なる呼称
用語
http://bioanalysisforum.jp/ PCR効率(PCR Efficiency)
検量線(Standard Curve)
検量線試料のコピー数や相対値に対するCq値をプロットして作成
Cq値
コピー数(Log表示),相対値
理論的には元のサンプル量に2倍の差がある 場合,1サイクル違いで増幅曲線が得られる.
E (PCR Efficiency)= 10 (-1/slop) –1 検量線の傾きから,PCR効率を算出できる.
※理論通りに増幅している場合,
PCR効率=100 %
検量線の傾き(Slop)≒ -3.32
データ解析方法
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Application of qPCR
DGで取り扱うもの製剤の種類 試験の種類 検出するもの PCR or RT-PCR マトリックス
遺伝子治療製剤 (ウイルスベクター、
プラズミド等)
特性試験
(濃度測定) なし
体内分布
vDNA or vRNA or DNA
ベクターそのもの PCR or RT-PCR ベクター次第
ホスト組織 排出試験
(排出確認) 尿、糞、血液等
排出試験
(感染性確認) vmRNA(ウイルス由
来RNA) RT-PCR 細胞
遺伝子
発現測定 mRNA
(ホスト由来) RT-PCR ホスト組織
核酸製剤 遺伝子
発現測定 mRNA
(ホスト由来) RT-PCR ホスト組織
細胞製剤
特性試験
(未分化iPS検出) mRNA
(未分化iPS由来) RT-PCR 細胞製剤
体内分布 DNA(細胞製剤由来) PCR ホスト組織
ワクチン評価 感染実験
(感染防御試験の vDNA or vRNA
(ウイルスそのもの) PCR or RT-PCR
(ウイルス次第) ホスト組織
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本日の内容
1. qPCR, RT-qPCR 共通の留意点 2. RT-qPCR の留意点
3. 試験実施方法
4. 細胞の定量について
5. 実験施設
6. その他注意事項消耗品
7. バリデーションに関するディスカッション
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①対象動物に被験物質 投与
②組織採取 ③細かく破砕後,
溶解、核酸抽出
④濃度測定
⑤qPCR測定
copies/rxnを算出 cDNA合成
(RT step)
qPCR DNA
測定RT-qPCR RNA
測定一般的な実験の流れ
qPCR step 1反応中に同等量の
核酸を添加
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1. qPCR , RT-qPCR 共通の留意点
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組織採取(Step ②)
留意点
組織中に存在するターゲット遺伝子によるクロスコンタミネーションを 防ぐため、組織採取の順番、解剖器具の洗浄に最新の注意を払う。
例:水や
DNA away
による器具の洗浄等*DNA away の使用過多、サンプルへの混入は逆効果
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核酸抽出(Step③)
組織の一部を採取し抽出
分布に差がないことの確認が必要
組織
切り出し
粉砕
ホモジェナイズ キットを用いた抽出
例:
10~25mg
組織全量
溶解
溶解 一部
A.
B.
C.
全組織を溶解し、その一部から抽出 Pro: 組織内分布に偏りが有っても可 Con: 標的の濃度が薄くなる。経費高。
全組織を粉砕し、その一部から抽出 Pro: 組織内分布に偏りが有っても可 経費低。
DNA/RNA 溶出液
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組織からの核酸抽出の効率は5~100%
(サンプルによって異なり、一定しない)
⇒通常の方法では組織内のターゲット核酸濃度を正確に算出することはできない。
通常、PCRが定量として保証できるのは 抽出後の核酸溶液に含まれる核酸の量のみ
核酸抽出効率不均一
組織
切り出し
粉砕
ホモジェナイズ キットを用いた抽出 DNA/RNA 溶出液
キット抽出
DNA溶出液
キット:シリカを用いたカラム法、マグネットビーズ法、フェノール/クロロホルム法等、多数存在。
核酸抽出(Step③)
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問題解決可能か?
例:Internal Standard(IS)の使用
既知量のIS
DNA溶出液
キット DNA抽出
ISの抽出率から 組織内の標的濃度を 算出
IS: ホスト、analyteの遺伝子配列をクロスしない核酸 (ヒト、使用動物以外の遺伝子核酸)
抽出効率算出の可能化により、組織内の標的濃度が算出可 注意点: 実績報告例が限られている。バックグランドデータが少ない
DNA検出の時のみ
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核酸濃度測定(Step④)- 方法
OD260の吸光度値から算出 Pro: 簡便Con: DNA vs. RNAの識別不可 タンパク質のコンタミが影響
Pro: サンプル中に存在する analyte以外の物質に影響 を受けない
DNAもしくはRNA特異的に 蛍光で検出注:通常は
1
反応に添加する核酸量を一定とすることで抽出効率のバラつきを補正 するため、正確な濃度測定が必要。例: Nanodrop Nanovue
その他吸光度計
吸光度法 蛍光法
PicoGreen RiboGreen Qubit
例:
Con: 使用がまだ一般化されていない
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核酸濃度測定(Step④)- 核酸の質の保証
Q: どこまで求めるべき?
濃度以外に考えられる方法
OD260/280:1.8~2.0 OD230/260:2.0~2.2
注:質が悪いと、反応の阻害、核酸の断片化による反応可能な鋳型DNA配列の
減少等の可能性が考えられる。 RIN (RNA Integrity Number) DIN (DNA Integrity Number)
電気泳動像から核酸の分解度を自動的に 一つの数値として表示(10点満点)
吸光度クロマトグラム アガロースゲル 電気泳動(RNA)
吸光度
230,280nmで吸光する不純物の混入割合を示す
28S
18S
RIN
DIN
Intact RNA:
RIN10
Partially degraded RNA:RIN5
Strongly degraded RNA:RIN3
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核酸安定性(After Step④)
Q: 核酸の安定性はどこまで必要?どうやって実施?
1.抽出されたDNAの安定性評価は可能
→経時的にqPCR測定することで、安定性保証が可能 2.組織内核酸安定性?
この状態で保存することは考えうることだ が、
組織内にターゲットが存在する状態を作る
組織切片に核酸、
もしくはウイルス/細胞 を添加して凍結保存?
抽出効率でもばらつくことを考 慮しても難しい?
難点① 難点②
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qPCR測定(Step⑤)- 標準物質
qPCRの標準物質は、絶対定量の場合コピー数が既知でなくてはならないとい う概念がある。
標準物質の種類
Pros Cons
プラズミド ・安定性が高い。
・大量製造が容易(初期クローニングは
必要)。 ・Analyteとの同等性
合成核酸 ・配列決定が自由(変異配列に対応可)
・クローニングの必要無し。 ・Analyteとの同等性
ゲノム核酸 ・Analyteとの同等性
・安定性が低い
・必要量が準備できない可能性大
・製造に時間がかかる
・ロット間差大
・コピー数計算の信頼性に問題
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qPCR測定(Step⑤)- 標準物質
プラズミドを用いた際の留意点
環状 直鎖状
制限酵素 処理
サイズの大きな環状プラズミドは検量線の直 線性が上手く出ないと言われることもある。
制限酵素処理で直鎖状にして使用 その場合の留意点:
酵素処理後、DNA精製をし直すか⇒サンプルロスの可能性 精製無し⇒Buffer, 酵素がOD値やPCR効率に与える影響
標準物質の質の保証
濃度、OD260/280、DIN、HPLC:どこまで必要か。
安定性:試験の前後で標準物質のCq値に変動が無いことを担保できれば良い?
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qPCR測定(Step⑤)- マトリックス 1
qPCRにおけるマトリックス効果
1. 抽出されたDNAに含まれるPCR反応阻害物質の影響
2. 高濃度核酸がマトリックスに存在することによるprimer/probe, dNTP等の散乱等
1. によるデータへの
影響が最も大きい マトリックス効果はマトリックス濃度由来ではなく、
DNA抽出の質とマトリックスの希釈倍率次第
Q:どうやってマトリックス効果のバリデーションをする?
・必要?
・もしくは試験時に各サンプルを確認することでバリデーションは必要なし?
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qPCR 測定( Step ⑤) - マトリックス 2
検量線へのマトリックスの添加の必要性
マトリックスDNAの有無により検量線データに影響が無いことを示すこと ができれば、マトリックスDNAの添加の必要は無い?
Q:検量線のマトリックスにはどのDNAを使う?
マトリックスにすべき核酸
抽出された核酸は、由来組織次第で質が違うことが考えられる Ex. 皮膚-PCR阻害物質であるメラニンの混入が多い 糞便―PCR阻害物質が多い
多臓器を測定する場合、検量線のマトリックスにはどの組織 由来DNAが最適か。
Mix vs. 代表組織、動物の系統は揃える?
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マトリックス効果(阻害効果)の例1
例1)各組織由来gDNAに105 copies/reactionの 陽性コントロールを加えた場合
1
Threshold
サイクル数 検出
量
105 copies/rxn 陽性コントロール 組織A由来
gDNA 組織B由来
gDNA 組織C由来
gDNA
組織D由来 gDNA
Cq undetermined
通常は陽性コントロールと同じところでCq値が観
例2)gDNAを希釈することで 阻害効果が改善される場合
添加gDNA量が1 µg/rxnの場合、Cq値がND。
添加gDNA量 1 μg/rxn
1 20 40
Threshold
サイクル数 検出
量
105 copies/rxn 陽性コ ントロール
添加gDNA量 100 ng/rxn
Cq undetermined 添加gDNA量
10 ng/rxn
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マトリックス効果(阻害効果)の例2
STD: マトリックス無 QC:マトリックス有 Cq値3(約10倍)近い「ずれ」が
生じている
STD7 STD 6 STD
5 STD
4 STD3
QC7 QC6 QC 5 QC
4
QC3
STD5 STD4 STD 3
QC5 QC4 QC3
Cycle Cycle
Fluorescence
マトリックス効果有判定 マトックス効果無判定
Threshold Threshold
蛍光量に違いは見られるが、
Cq値に差が無い
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qPCR測定(Step⑤)- Threshold
Q: Thresholdを設定するべきか?
Thresholdを設定すべきかどうかは、どのガイドラインや手引書にも記載が 無い(指数関数的に増幅し、直線でプ ロットされていればどこでもよい)。
Auto解析を用い、設定しない場合が 多いよう。
Thresholdをマニュアルで動かせば、Cq値を変動させることができ、基 準への適合不可を変えることができる。
同一プレート内サンプル間でのCq値の比較や、同一プレート内にある 検量線を用いてコピー数換算をする場合には、Auto機能でも問題ない。①
②
③
①~③のどれも可
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qPCR測定(Step⑤)-Cq値 vs. コピー数換算値
Q: バリデーションの適合基準はCq値か、コピー数換算値か?
qPCRでは、ピペット操作等で発生する許容可能なCq値変動が1.5 であることから、適合基準ではCq値を用いて,Cq値変動が1.5以 内であれば重要な違いではないとされることが多い。
Cq値でもコピー数換算値でも良いが、Thresholdを固定しない場 合は別プレート間でCq値の比較ができない。Thresholdを固定すれば、別プレート間でもCq値の比較はできる
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2. RT-qPCR の留意点
http://bioanalysisforum.jp/
定量方法
分類 名称 検量線の
必要性 特徴
Application
絶対定量 ○
コピー数既知の標準物質 で作成した検量線を用い て定量
微生物、遺伝 子組換え食物 の定量
相対定量
Pfaffl
法 ○希釈率などの相対値で検 量線を作成。そこから得 られる
PCR
増幅効率を用 いて比較定量遺伝子の発現 解析
ΔΔCq
法 ☓基準とするサンプルとの サイクル数の比較で相対 的な濃度差を算出
遺伝子の発現 解析
http://bioanalysisforum.jp/ 既知のコピー数が含まれるサンプルを使用して検量線を作成する.
検量線に測定サンプルのCq値を当てはめてサンプル中のコピー数を算出する.
Threshold
検出 量
108 107 105 104
Copies/reaction
Cq値
増幅曲線(Amplification Plot) 検量線(Standard Curve)
106
濃度未知のサンプル
絶対定量
主に、DNA定量に使われる。
RTを含まないqPCRの部分を絶対定量する
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相対定量(ΔΔCq法)
調べたい遺伝子(ターゲット遺伝子)の量をコントロール遺伝子の量で補正し,
サンプルごとに比較することで相対的に定量する.
ΔΔCq 法
サンプル 標的遺伝子 のCq値
(A)
内在性コント ロールのCq値
(B)
ΔCq値
(A-B) ΔΔCq値
(各サンプルのΔCq値)
(No.1の- ΔCq値)
2-ΔΔCq 乗数項に
代入
No.1を基準とした 標的遺伝子の発現
比較
(内在性コント ロールで補正)
No.1 20 16 20-16
=4 =0 4-4 2 -(0)
=1 1
No.2 23 17 23-17
=6 =-2 4-6 2 -(-2)
=4 4
理論的に1サイクルで2倍の差(nサイクルで2nの差)ということを利用し,相対的に定量する.
2
-ΔΔCq例)サンプルNo.1を基準に相対定量
実際,PCR効率が100 %ということはないため,ΔΔCq法を用いると結果にずれが生じることが多い
相対定量の場合も,検量線を作成し増幅効率を加味して評価したほうがよい.
検量線は用いない
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相対定量(Pfaffl法)
Nサイクル ⇒ 標的DNA 2n 倍に
(1 + 100 %)=2 増幅効率が90 %の時
増幅効率が100 %の時=増幅効率が1の時
(1 + 増幅効率)=(1 + 90 %)= 1.9 ⇒ 標的DNA 1.9 n 倍に
10サイクル実施した場合
増幅効率100 %の時 ⇒ 標的DNAは 1024 倍に 増幅効率90 %の時 ⇒ 標的DNAは 613 倍に
増幅効率の差が
評価に与える影響が大きい
Pfaffl法
(1+PCR効率)「Cq(基準サンプル)- Cq(各サンプル)]
(1+PCR効率)[Cq(基準サンプル)- Cq(各サンプル)]
増幅効率の考え方
標的遺伝子と内在性コントロールそれぞれのPCR効率を加味して相対比を算出する.
標的遺伝子
内在性コントロール
増幅効率は系に依存しており,標 的によって効率は変わってくる
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標準物質
mRNA cDNA RT
PCR
利点 欠点
プラズミド
・安定性が高い。
・大量製造が容易
(初期クローニングは必要)。
・コピー数既知
・Analyteとの同等性
合成核酸 ・配列決定が自由(変異配列に対応可)
・クローニングの必要無し。
・コピー数既知
・Analyteとの同等性
cDNA ・Analyteとの同等性 ・コピー数未知
RTの効率は一定でない。
標準物質はRNAでなく、DNA
http://bioanalysisforum.jp/
内在性コントロール遺伝子
目的:ターゲット遺伝子の発現量を補正する
内在性コントロール遺伝子の発現量は、採取したRNAの品質や逆転写反応 の効率を反映する。
従来はGAPDHやβ-アクチンが用いられてきたが、これらの発現量は変動 しているとの報告が多数。内在性コントロール遺伝子の設定を誤れば、ターゲット遺伝子の発現量を 過大/過小評価する可能性が考えられる。
1.標的となる細胞や組織での発現量は適切か 2.刺激に対する発現の安定性を検討
注意点:
内在性コントロール遺伝子は2~3種類おき、その平均を用いて補正する。
Accurate normalization of real-time quantitative RT-PCR data by geometric averaging of multiple internal control genes:
論文レベルで 検索/検討
参考資料:
http://bioanalysisforum.jp/
3. 試験実施方法
(FDA Gene Therapy Guidanceより)
http://bioanalysisforum.jp/ 前臨床におけるqPCRを用いた体内分布試験の実施方法について、
FDAより発行された”Guidance for industry: Gene therapy clinical trials
-Observing subjects for delayed adverse effect”には、以下3つの記載がある。
1.定量下限
定量下限は50 vector/μg gDNAであり、
この限界が95%の信頼性で検出できること。
Q: 1反応に実際に1μg gDNAを添加するのか
• 通常はPCR1反応中のtotal DNA量は~200ng
• 多量のDNAで反応が上手くいかない可能性
• 小さな臓器からは十分量のDNAが抽出できない可能性
• 多量のgDNA添加でPCR阻害物質の量も増える
1μg入れる 必要は無い しかし…
50 vector ---1μg gDNA 5 vector ---100ng gDNA 0.5 vector ---10ng gDNA
• 95%の確立で検出するのは ほぼ不可能
• 95%で検出できる理論的限界値は 3Copy*(ポワソン分布の原理)
http://bioanalysisforum.jp/
2.スパイクサンプル(Internal Control, IC)の使用 1組織に対し,少なくとも3重で試料を用意し,
1試料に既知量の標準物質をスパイクする
105copy 標準物質
PCR
2.3x102
copy 2.3x102 copy
1.0x105 copy
例:
2.3x102
copy 2.3x102 copy
1.0x103 copy
Q: なぜここまで必要?
結果が陰性、もしくは期待値よりも低 かった際に、PCR阻害物質の影響ではな いことを確認しなくてはならない。
サンプルによってPCR阻害物質の混入量 が違うことが予想されるため、サンプル 毎に保証しなくてはならない。
*ICの使用は他のPCRバリデーションに関する文献 にも記載されている
Ref: Checklist for optimization and validation of real- time PCR assays. Raymaekers et al., 2009. J. Clin Lab anal.
23:145-151.
OK
NG
NGの場合、サンプルを希釈して再測定
http://bioanalysisforum.jp/
3.各サンプルのn数
組織全体の大きさと実際に使用するサンプルの大きさを考慮して,
各組織でのn数が適切な理由を述べる
安全性試験の一環である体内分布試験の場合,組織における被験物質の
「無いことの証明」が必要である.
Q: 「無い」というために必要な n数は?
組織の一部を採材する場合
全組織を使用する場合
1反応中に標的核酸が含まれる 確率をケースバイケースで 考える?
http://bioanalysisforum.jp/
4. 細胞の定量について
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細胞加工製品を検出する場合の標的遺伝子
シングルコピー遺伝子 1細胞中に2コピー存在する遺伝子
マルチコピー遺伝子
1細胞中に複数コピー存在する遺伝子 細胞製剤で標的となる遺伝子
1細胞中には…
感度が 高い
マルチコピー遺伝子を用いる
細胞製剤の体内分布をみる場合
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最も研究されている標的配列
細胞製剤をPCRで検出する場合の標的遺伝子として最も研究されている
霊長類に特異的な反復配列
長さ:約300塩基
ヒト遺伝子に存在するSINE(short interspersed element) の中で、
最もコピー数が多いといわれている(約106コピー)
遺伝子へのAlu配列挿入は、個人によって異なる
PCRの標的がヒト細胞に大量に存在する遺伝子であるため,
コンタミネーションの除去が難しい
Alu配列
感度は高いが…
試薬や消耗品由来のヒトDNAのコンタミネーションを完全に除去することはできない
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マルチコピー遺伝子を標的とした場合の考慮点
PCRの結果から得られるのは…
合成核酸が標準物質の場合… コピー数/reaction
細胞由来のgDNAが標準物質の場合… DNA量/reaction
評価したいのは
細胞数
①シングルコピー遺伝子の測定結果より 細胞あたりのコピー数を算出
細胞数への換算方法
細胞由来のgDNA
シングルコピー
遺伝子標的qPCR マルチコピー 遺伝子標的qPCR
コピー数を算出 コピー数を算出 シングルコピー遺伝子
は1細胞中2コピー
②細胞あたりの理論ゲノムDNA量から換算
細胞由来のgDNA
pg濃度での検量線を作成し
,濃度を算出 核酸の平均分子量から,理論的な
1細胞あたりのゲノム量は6.6pg
濃度を6.6 pgで割ることにより細胞数へ換算
細胞数への 換算が必要
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5. 実験施設
http://bioanalysisforum.jp/
PCR施設
PCRキャビネット
master-mix area
核酸以外の試薬(プライマー,バッファー等)を取り扱う.pre-PCR area
サンプルやコントロールなどを取り扱う.PCR amplification
PCR装置を設置し,PCR増幅を行う.Post-PCR area
増幅したPCR産物を取り扱う電気泳動等を実施する.Clean
Dirty European Pharmacopoeia 2.6.21より引用
操作ごとにエリアを区分し,移動を一方向にする
PCRキャビネットの利用もコンタミネーション防止には効果的
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6. その他留意点
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消耗品
チップは必ずフィルター付き。
PCR grade = DNase-, RNase-free, 微生物DNA-free (特に大腸 菌)の意味。その他のDNAは保証していない。
「Human DNA-free」グレードの消耗品も存在するが、これも 100%-freeという意味ではない。
チューブや核酸は核酸低吸着性のものを選ぶ。
ボルテックスのかけすぎによる、核酸のプラスチックへの吸着に注意 する。
DNAaway の使用はDNA除去に有用だが、多用によるサンプルへの コンタミに注意機器
コンタミ防止のためにPCRチャンバーを使用する。http://bioanalysisforum.jp/
7. バリデーションに関する
ディスカッション
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バリデーション項目と適合基準 (DG内の意見、要議論)
項目 適合基準
真度及び精度 現状を考慮すると
50%
程度検量線
r2 ≧ 0.98,
増幅効率が85
~110%
特異性 試薬コントロールと動物
gDNA
の両方で増幅が認められ ない、あるいは動物gDNA
で増幅が認められてもCq
値の差
<1.5
、または定量下限との乖離の差で妥当と判断することもありうる
マトリックス効果 動物
gDNA
原液vs. H
2O or buffer
にQC
サンプルをスパイ クし、その間でCq
値差が<1.5
、検量線slope
が-3.6
~- 3.1
。阻害が認められる場合、・DNA
抽出法の再検 討、・希釈の適用・定性的な判断に用いる定量下限 真度及び精度のクライテリアを満たす最低濃度 検出限界
95%
信頼性で検出できる濃度安定性
Cq
値変動が<1.5
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