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HSP70 Confers Protection against Indomethacin-induced Lesions of The Small Intestine Teita Asano

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(1)

熊本大学学術リポジトリ

Kumamoto University Repository System

Title NSAIDs起因性小腸潰瘍に対するHSP70の保護効果

Author(s) 浅野, 帝太 Citation

Issue date 2011‑03‑25

Type Thesis or Dissertation

URL http://hdl.handle.net/2298/22107 Right

(2)

   

NSAIDs 起因性小腸潰瘍に対する HSP70 の保護効果 

      2011 

 

浅野  帝太   

 

HSP70 Confers Protection against

Indomethacin-induced Lesions of The Small Intestine

Teita Asano

(3)

HSP70 CONFERS PROTECTION AGAINST INDOMETHACIN-INDUCED LESIONS OF THE SMALL INTESTINE

TEITA ASANO

Summary

 

In line with improvements in diagnostic procedures to detect intestinal lesions, it has become clear that non-steroidal anti-inflammatory drugs (NSAIDs) such as indomethacin induce lesions not only in the stomach but also in the small intestine.

However, clinical protocols for the treatment of NSAID-induced lesions of the small

intestine have not been established. It is known that heat shock proteins (HSPs),

particularly HSP70, confer protection against various stressors and more recently the

anti-inflammatory activity of HSP70 was revealed. In this study, we examined the effect

of expression of HSP70 on indomethacin-induced lesions of the small intestine. The

extent of indomethacin-induced lesions on the small intestine was reduced in transgenic

mice expressing HSP70 compared to controls. Oral administration of indomethacin

increased the expression of HSP70 in the small intestine. Administration of

indimethacin also induced mucosal cell apoptosis and expression of pro-inflammatory

cytokines in the small intestines of control mice, with both these response suppressed in

the transgenic mice. Geranylgeranylacetone (GGA), a clinically used anti-ulcer drugs,

increased expression of HSP70 in the small intestine and suppressed

indomethacin-induced lesions of the small intestines in wild-type mice. These results

suggest that indomethacin-induced increase in HSP70 expression reduces the extent of

lesions to small intestine by suppressing mucosal cell apoptosis and inflammatory

responses. The HSP-inducing activity of GGA appears to contribute to the drug’s

protective effect against the lesions. Based on these results, we proposed that

non-toxic HSP70-inducers, such as GGA, would be therapeutically beneficial for

treating NSAID-induced lesions of the small intestine.

(4)

略語

第 1 章  序論

第 2 章  Indomethacin 起因性小腸潰瘍に対する HSP70 の効果   第 1 節  緒言

  第 2 節  HSP70 過剰発現マウスでの Indomethacin 起因性小腸潰瘍の作        製と HSP70 発現

    第 1 項  HSP70 過剰発現マウスでの Indomethacin 起因性小腸潰瘍の          作製

    第 2 項 小腸での HSP70 発現

  第 3 節  小腸での HSP70 発現細胞種の同定   第 4 節  考察 

第 3 章  小腸粘膜 PGE2量、及び小腸粘膜細胞死に対する HSP70 の効果    第 1 節  緒言

  5       7     10   10        12       12   12   16   22     24   24 

(5)

  第 3 節  HSP70 過剰発現マウスでの小腸粘膜における細胞死 (アポト        ーシス) 

  第 4 節  HSP70 過剰発現マウスでの小腸粘膜における Fas/FasL の発        現 

  第 5 節  考察   

第 4 章  炎症関連因子の発現に対する HSP70 の効果    第 1 節  緒言 

  第 2 節  HSP70 過剰発現マウスでの炎症関連因子の発現変化 

  第 3 節  HSP70 過剰発現マウス由来マクロファージにおける LPS 依存        の炎症性関連因子の発現 

  第 4 節  考察   

第 5 章  Indomethacin 起因性小腸潰瘍に対する GGA の効果    第 1 節  緒言 

  第 2 節  Indomethacin 起因性小腸潰瘍に対する GGA の効果と HSP70 発        現 

    第 1 項  Indomethacin 起因性小腸潰瘍に対する GGA の効果      第 2 項  GGA による小腸での HSP70 発現誘導 

  第 3 節  GGA による HSP70 発現細胞種の同定 

  第 4 節  GGA による小腸潰瘍抑制効果に対する Quercetin の効果 

     27       28   31     33   33   35       37   39     41   41       42   42   42   45   51 

(6)

第 6 章  小腸粘膜 PGE2量、及び小腸粘膜細胞死に対する GGA の効果    第 1 節  緒言 

  第 2 節  GGA による小腸粘膜 PGE2量の変化    第 3 節  小腸粘膜細胞死に対する GGA の効果    第 4 節  考察 

 

第 7 章  総括と展望   

第 8 章  実験材料と方法    第1節  試薬及び機器類      第1項  試薬 

    第 2 項  動物      

    第 3 項  使用機器及び器具    第 2 節  実験方法 

    第 1 項  Indomethacin 起因性小腸潰瘍の作製      第 2 項  MPO 活性 

    第 3 項  組織学的、組織免疫化学的解析 

 55   55   56   57   58      59      64   64   64   65   65   67   67   67   68 

(7)

    第 7 項  Real-time RT-PCR 法      第 8 項  統計学的解析 

  謝辞   

参考文献   

                           

 71   72        74        75    

(8)

CHOP  COX  DAPI  DSS  dmPGE2  ELISA  ER  FasL  FBS  GAPDH  GGA 

H2-blocker  H&E 

HSP  IBD  IL 

C/EBP homologous transcription factor  Cyclooxygenase 

4’,6-diamidino-2-phenylindole dihydrochloride  dextran sulfate sodium 

16, 16-dimethyl PGE2 

enzyme-linked immunosorbent assay  endoplasmic reticulum 

Fas ligand 

fetal bovine serum 

glyceraldehyde-3-phosphate  geranylgeranylacetone 

histamine 2-receptor antagonist  hematoxylin and eosin 

heat shock protein 

inflammatory bowel disease  interleukin 

(9)

MIP  MCP  MPO  NF-κB  NO  NSAID  PUMA  PG  PPI  PCR  RT  ROS  S.E.M. 

TdT  TNF  TUNEL  TNBS         

macrophage inflammatory protein  monocyte chemoattractant protein  myeloperoxidase 

nuclear factor kappa B  nitric oxide 

non-steroidal anti-inflammatory drug  p53 up-regulated modulator of apoptosis  prostaglandin  

proton pump inhibitor  polymerase chain reaction  reverse transcriptase  reactive oxygen species  standard error of the mean 

terminal deoxynucleotidyl transferase  tumor necrosis factor 

TdT-mediated biotinylated UTP nick end labeling  trinitrobenzene sulfonic acid 

       

(10)

  非ステロイド系抗炎症薬(non-steroidal anti-inflammatory drugs: NSAIDs)

は、疼痛性疾患、発熱性疾患、リウマチ性疾患などに対して解熱、鎮痛、抗炎 症薬として世界中で広く用いられている[1]。NSAIDs の主な作用機序はシクロオ キシゲナーゼ(cyclooxygenase ; COX)の阻害である[2]。COX は、強力な炎症 誘導性物質であるプロスタグランジン(prostaglandin;PG)の産生に不可欠な 酵素である。NSAIDs は、COX を阻害することで PG の産生を抑制し、抗炎症作用 を示す。 

  一方、NSAIDs の副作用である NSAIDs 潰瘍 (主に胃潰瘍)が臨床現場で大きな 問題となっている[3, 4]。例えば、アメリカでの NSAIDs 潰瘍による死亡者数は、

年間 16500 人にものぼることが報告されている[4]。NSAIDs 潰瘍の中でも、特に 胃潰瘍がこれまで注目されてきた。なぜなら、小腸潰瘍は無症状であり、加え て診断が困難であったからだ。しかし、近年、カプセル内視鏡やダブルバルー ン内視鏡などの小腸診断技術の開発により NSAIDs が胃だけでなく小腸にも潰瘍 を引き起こすことが明らかとなった[5, 6]。そして、最近相次いで報告された 論文から NSAIDs 服用者の 50-70%が小腸に潰瘍を引き起こしていることが分かっ た[7, 8]。さらに、ある報告によると胃潰瘍と同程度の割合で小腸潰瘍が発症

(11)

死が誘導され、防御因子である PGE2の産生が低下することが重要である。従っ て、胃潰瘍に関しては攻撃因子を減弱させる酸分泌抑制薬 (プロトンポンプ阻 害薬 (proton pump inhibitor; PPI)や H2-blocker など)、或は防御因子を増加 させることが治療に有効である。一方で、NSAIDs 起因性小腸潰瘍の発症要因は、

まだ十分に理解されておらず、NSAIDs 起因性小腸潰瘍の治療法は確立されてい ない。 

  しかし、最近の研究から NSAIDs 起因性小腸潰瘍においても、胃潰瘍の場合と 共通した攻撃因子と防御因子が発症に関与することが示唆されている。例えば、

NSAID による直接細胞傷害作用は、胃潰瘍の場合と同様に NSAIDs 起因性小腸潰 瘍の発症にも関与すると考えられている[11, 12]。そして、NSAID の腸肝循環は この作用を促進する[13, 14]。また、好中球の浸潤のような炎症反応も NSAIDs 起因性小腸潰瘍の発症を促進する[15, 16]。さらに、腸内細菌の浸潤、胆汁酸、

及び inducible nitric oxide synthase (iNOS)による nitric oxide (NO)産生 も NSAIDs 起因性小腸潰瘍の形成を促進する[13, 17-20]。しかし、胃酸分泌は NSAIDs 起因性小腸潰瘍の形成にあまり重要ではない。従って、NSAIDs 起因性小 腸潰瘍に対して酸分泌抑制薬は、胃潰瘍ほど効果的ではない[21, 22]。一方で、

小腸粘膜における PG の産生低下は、NSAIDs 起因性小腸潰瘍形成の主要因の1つ であることが示唆されている[23, 24]。実際に、PG 製剤が臨床、及び動物実験 において NSAIDs 起因性小腸潰瘍に対して治療効果を示すことが報告されている [25, 26]。 

    Heat shock proteins (HSPs)は、様々なストレスによって誘導され、それ

(12)

ン (Geranylgeranylacetone; GGA)は毒性のない HSP 誘導剤として知られている [31, 32]。さらに、細胞保護効果に加えて、最近 HSP70 が抗炎症作用を示すこ とが示唆されている[33-35]。従って、HSP70 は胃だけでなく小腸においても保 護的に働き、NSAIDs 起因性小腸潰瘍に対して抑制効果を示すことが考えられる。

これまでの多くの試験管内の結果がこの考えを支持しているが、現在、これを 直接的に示す証拠はない[36-38]。 

  そこで私は、本博士論文研究において NSAIDs 起因性小腸潰瘍に対する HSP70 の抑制効果を調べるために、NSAIDs 起因性小腸潰瘍の動物モデルを用いて HSP70 過剰発現マウスの効果を検討した。具体的には、HSP70 過剰発現マウスを用いて indomethacin 起因性小腸潰瘍の発症に対する HSP70 の効果を解析した。また、

本博士論文研究において HSP70 の作用機構、及び HSP 誘導剤である GGA の効果 についても解析を行ったので、述べさせていただく。 

(13)

第 2 章  Indomethacin 起因性小腸潰瘍に対する HSP70 の効果  

第 1 節  緒言   

  序論でも述べたように NSAIDs 起因性小腸潰瘍の発症については十分に理解さ れていない。しかし、最近の研究から小腸粘膜における細胞死誘導が NSAIDs 起 因性小腸潰瘍の発症に重要であることが分かってきた。例えば、NSAID が小腸粘 膜に対して直接作用し細胞死を誘導すること、この細胞死誘導は NSAID の腸肝 循環により促進されることが示唆されている[11-13]。また、胆汁酸や NSAID の 胆汁酸塩も小腸粘膜における細胞死を誘導すると考えられている[14]。さらに、

腸内細菌などによる炎症反応の亢進、及びそれに伴う活性酸素種 (reactive  oxygen species; ROS)の産生がこの細胞死を促進すると考えられている[16, 18,  19, 39]。従って、小腸粘膜での細胞死誘導を抑制することは NSAIDs 起因性小 腸潰瘍の発症を抑制する上で大変重要であると考えられる。 

  小腸粘膜における細胞死誘導に加えて、過剰な炎症反応もまた NSAIDs 起因性 小腸潰瘍の発症に重要である。これまでの多くの研究から NSAIDs 起因性小腸潰 瘍の発症時に炎症反応が亢進していることが報告されている[16, 25, 40]。以 上のように、細胞死抑制作用、及び抗炎症作用を持つ因子は NSAIDs 起因性小腸 潰瘍の発症を抑制する可能性が期待できる。今回、私はこのような因子の候補 として、HSP70 に注目した。 

  HSP70 は様々な疾患に対して保護的に働くことが知られている。当研究室では、

(14)

活性化を抑制することにより炎症反応を抑制することが示されている[33, 34]。

実際、当研究室では HSP70 過剰発現マウスを用いた研究から、HSP70 が炎症反応 の 抑 制 、 及 び 細 胞 接 着 分 子 の 発 現 抑 制 な ど を 介 し て 炎 症 性 腸 疾 患  (inflammatory bowel disease; IBD)の発症を抑制することを見出している[43]。

このように、HSP70 は細胞死抑制作用、及び抗炎症作用を介して種々の消化器疾 患 (胃や大腸)に対して保護作用を示すことがわかっている。一方で、小腸にお ける HSP70 の機能についてはよくわかっていない。これまでに、ラット小腸上 皮細胞を用いた研究から HSP70 が ROS による細胞死を抑制することが示されて いるが、個体レベルで HSP70 がどのような役割を果たしているのか不明である [36-38]。このように、HSP70 は NSAIDs 起因性小腸潰瘍に対して保護的に働くこ とが示唆されているが、これまでに遺伝学的な解析は行われていない。 

  本章では、HSP70 過剰発現マウスを用いて、indomethacin 起因性小腸潰瘍の 発症に対する HSP70 の効果について解析を行ったことについて述べる。また、

indomethacin 起因性小腸潰瘍を誘発した時の HSP70 の発現変化に関して検討し た結果についても述べる。 

  尚、本章の内容は参考文献[44]で既に発表している。 

(15)

第 2 節  HSP70 過剰発現マウスでの Indomethacin 起因性小腸潰瘍の作製と HSP70                            発現 

 

第 1 項  HSP70 過剰発現マウスでの Indomethacin 起因性小腸潰瘍の作製   

  私は、HSP70 過剰発現マウス、及びその野生型マウス (C57/BL6)に、非絶食条 件下で、代表的な NSAID である indomethacin (10、30 mg/kg)を経口投与し、こ の時の小腸潰瘍の大きさを比較した。小腸潰瘍の大きさは、各潰瘍面積の合計 を潰瘍係数 (Lesion index)として評価した。その結果、野生型マウスでは indomethacin 投与によって濃度依存的に小腸潰瘍が形成された。一方、HSP70 過剰発現マウスではその潰瘍形成が有意に抑制されていた (Fig.1A)。また、白 血球浸潤の指標としてよく用いられる myeloperoxidase [45]活性に関しても、

野生型マウスでは indomethacin 投与により MPO 活性が上昇したが、HSP70 過剰 発現マウスではこの上昇が顕著に抑制されていた (Fig.1B)。さらに、小腸組織 切 片 を 作 製 し 、 組 織 学 的 解 析 を 行 っ た 。 そ の 結 果 、 野 生 型 マ ウ ス で は indomethacin 投与により、crypt loss、上皮の脱落、白血球の浸潤がみられた が、HSP70 過剰発現マウスではこれらの反応が顕著に抑制されていた (Fig.1E)。

これらの結果は、HSP70 過剰発現マウスでは野生型マウスに比べて indomethacin 起因性小腸潰瘍が起こりにくいことを示している。 

 

第 2 項  小腸での HSP70 発現 

(16)

indomethacin 依存に小腸で HSP70 が誘導されていた。一方、HSP70 過剰発現マ ウスでは野生型マウスに比べて、indomethacin 投与の有無に関わらず HSP70 を より強く発現していた  (Fig.1, C and D)。また、組織免疫化学的解析からも イムノブロット法の結果と同様の結果が得られた。HSP70 は小腸において、上皮 細 胞 、 及 び 粘 膜 固 有 層 に 存 在 す る 細 胞 で 発 現 し て い る こ と が 分 か っ た   (Fig.1E)。以上の結果から HSP70 過剰発現マウスで indomethacin 小腸潰瘍が起 こりにくい原因は、このマウスでは HSP70 を強く発現しているためではないか と考えられる。 

 

(17)

   

 

(18)

(n=3-6) was determined. C, protein extract was prepared and analyzed by immunoblotting with an antibody against HSP70 or actin. D, the band intensity of HSP70 was determined by densitometric scanning, normalized with respect to actin (n=6-12). E, sections of small intestinal tissues were prepared and subjected to H & E staining and immunohistochemical analysis with an antibody against HSP70. A, B, D, values are mean ± S.E.M. **P<0.01, *P<0.05, n.s., not significant.

(19)

第 3 節  小腸での HSP70 発現細胞種の同定   

  HSP70 過剰発現マウス、及びその野生型マウスにおいて、indomethacin 起因 性小腸潰瘍発症時に、どの細胞が HSP70 を発現しているのかについて組織免疫 染色法を用いて調べた。検討した細胞種は、上皮細胞、マクロファージ、内皮 細胞、CD4 陽性 T リンパ球、及び好中球で、E-cadherin、CD11b、CD31、CD4、及 び MPO をそれぞれの細胞マーカーとして用いた。その結果、マクロファージ、

CD4 陽性 T リンパ球、及び内皮細胞が HSP70 と強く共染色されることがわかった  (Fig.2, A, B and E)。また、上皮細胞は HSP70 と弱く共染色されることがわか った (Fig.2C)。これらは、特に HSP70 過剰発現マウスで顕著にみられた。しか し、好中球は HSP70 と共染色されなかった (Fig.2D)。以上の結果から、HSP70 過剰発現マウスでは、マクロファージ、CD4 陽性 T リンパ球、及び内皮細胞が強 く、上皮細胞が弱く HSP70 を発現することで、indomethacin 起因性小腸潰瘍の 発症を抑制している可能性が考えられる。 

 

(20)
(21)

   

(22)
(23)

   

(24)

Fig.2. Identification of the cells expression of HSP70 in indomethacin-treated mice. Wild-type mice (WT, C57/BL6) and transgenic mice expressing HSP70 (HSP70 Tg) were orally administered 30 mg/kg of indomethacin (IND) and the small intestine was removed after 24 h. Sections of small intestinal tissue were prepared and subjected to immunohistochemical analysis with an antibody against HSP70 (red) and CD11b (A), CD4 (B), E-cadherin (C), CD31 (D) or MPO (E) (green). Magnified (2 times) images were shown in the bottom panel. Merge images depict HSP70 and CD11b, CD4, CD31, E-cadherin, or MPO co-expression (yellow) in cells.

   

(25)

第 4 節  考察   

  本章において、私は HSP70 過剰発現マウスでは、野生型マウスに比べて indomethacin 起因性小腸潰瘍が起こりにくいことを見出した。また、野生型マ ウスに indomethacin を経口投与することにより小腸粘膜において HSP70 が誘導 され、HSP70 過剰発現マウスでは indomethacin 投与の有無に関わらず、HSP70 をより強く発現していた。このことから、HSP70 が indomethacin 起因性小腸潰 瘍に対し抑制的に働いていることが考えられる。この結果は、HSP70 が NSAIDs 起因性小腸潰瘍に対して抑制的に働くことを直接示す初めての結果である。さ らに、どの細胞が HSP70 を発現しているのかについて調べた所、マクロファー ジ、内皮細胞、及び CD4 陽性 T 細胞で強く、上皮細胞で弱く HSP70 を発現して いることが分かった。このことから、おそらくマクロファージでは、HSP70 は炎 症生サイトカインやケモカインの産生抑制に働き、内皮細胞では細胞接着分子 の発現抑制に働き、上皮細胞では NSAID などによる細胞死の抑制に働いている のではないかと考えられる。実際、これまでにマクロファージにおいて HSP70 が炎症反応を抑制すること、内皮細胞において細胞接着分子の発現を抑制する こと、及び上皮細胞において ROS による細胞死を抑制することがそれぞれ分か っている[36-38, 43]。また、indomethacin 投与後の小腸での CD11b 陽性細胞数、

及び MPO 陽性細胞数が、野生型マウスに比べて HSP70 過剰発現マウスで大きく 減少していることから炎症性細胞の浸潤が減弱していることが分かる。さらに、

野生型マウスに比べて HSP70 過剰発現マウスでは小腸上皮細胞の脱落が減弱し

(26)

た、CD4 陽性 T 細胞では、HSP70 はどのような役割を果たしているのか不明であ る。これまでに CD4 陽性 T 細胞における HSP70 の役割についての報告はない。 

  本章では、HSP70 過剰発現マウスでは、野生型マウスに比べて indomethacin 起因性小腸潰瘍が起こりにくいことを見出した。また、HSP70 発現細胞種を同定 し、indomethacin 起因性小腸潰瘍に対しても HSP70 は抗炎症作用、及び細胞死 抑制作用を介して、抑制効果を発揮しているのではないかと推察した。そこで、

3、4 章では HSP70 の indomethacin 起因性小腸潰瘍に対する保護作用を解析した 結果について述べる。 

(27)

第 3 章  小腸粘膜 PGE2量、及び小腸粘膜細胞死に対する HSP70 の効果   

第 1 節  緒言   

  第 2 章 に お い て 、 HSF70 過 剰 発 現 マ ウ ス を 用 い た 解 析 か ら 、 HSP70 が indomethacin 起因性小腸潰瘍の発症を抑制していることを示唆した。本章では、

HSP70 がどのような機構で indomethacin 起因性小腸潰瘍を抑制しているかにつ いて検討したことについて述べる。具体的には、小腸粘膜での細胞死誘導、及 び小腸粘膜 PGE2量の変化について述べる。 

  序論でも述べたように、indomethacin 起因性小腸潰瘍の発症において小腸粘 膜での細胞死誘導は重要な役割を果たしていると考えられている。例えば、種々 の NSAID が小腸上皮細胞に直接作用しミトコンドリア障害を引き起こすことで 細胞死を誘導すること、この細胞死誘導は NSAID の腸肝循環により促進される ことが示唆されている[11-13]。また、最近 indomethacin などの NSAID が Fas/Fas  ligand (FasL)の相互作用を活性化し、アポトーシスを誘導することが報告され ている[46]。NSAID の直接的な細胞死誘導作用に加えて、胆汁酸や NSAID の胆汁 酸塩も小腸粘膜における細胞死を誘導すると考えられている[14]。さらに、腸 内細菌などによる炎症反応の亢進、及びそれに伴う ROS の産生がこの細胞死を 促進すると考えられている[16, 18, 19, 39]。以上のように、NSAID、胆汁酸、

腸内細菌 (炎症反応)、及び ROS などによって引き起こされる小腸粘膜における 細胞死は、NSAIDs 起因性小腸潰瘍の発症に重要であると考えられる。 

(28)

によるネクローシスを抑制すること、及びアポトーシスシグナルに関わる Apoptosome complex の形成阻害、caspase-3 の活性化抑制などによってアポト ーシスを抑制することが知られている[29, 30]。このように HSP70 は様々なス トレスによる細胞死誘導を抑制することが知られている。従って、NSAIDs 起因 性小腸潰瘍においても HSP70 が細胞死を抑制していることが予想される。 

  小腸粘膜における PGs、特に PGE2は防御因子として重要な役割を果たしてい る 。 こ れ ま で に ラ ッ ト に 16,  16-dimethyl  PGE(dmPGE2) 投 与 す る こ と で indomethacin 起因性小腸潰瘍が抑制されること、及びこの抑制効果は PG 受容体 である EP3、及び EP4 受容体を介していることが示唆されている[23, 47]。また、

PG 製剤である misoprostol が NSAIDs 起因性小腸潰瘍に対して抑制効果を示すこ とが報告されている[25, 26]。このように NSAIDs 起因性小腸潰瘍の発症におい て、PG は防御因子として重要な役割を果たしていることが考えられる。また、

HSP70 と PG の関係についてはよく分かっていない。 

  そこで本章では、HSP70 が NSAIDs 起因性小腸潰瘍を抑制するメカニズムとし て、細胞死誘導、及び小腸粘膜 PGE2量について調べた結果を述べる。さらに、

細胞死 (アポトーシス)誘導については、NSAID により活性化される誘導経路の 1つである Fas/FasL 相互作用を検討したので述べる。 

(29)

第 2 節  HSP70 過剰発現マウスでの小腸粘膜 PGE2量の変化   

  私は HSP70 過剰発現マウス、及びその野生型マウスを用いて、indomethacin 小腸潰瘍発症時における、小腸粘膜 PGE2 量を enzyme-linked immunosorbent  assay (ELISA)法により比較した。その結果、indomethacin 投与の有無に関わら ず、HSP70 過剰発現マウス、及び野生型マウスの両者に有意な差はみられなかっ た(Fig.3A)。以上の結果から HSP70 過剰発現マウスで indomethacin 起因性小腸 潰瘍の発症が抑制されているのは、小腸粘膜 PGE2量の増加ではないことが考え られる。 

(30)

  私は、HSP70 過剰発現マウス、及びその野生型マウスに indomethacin を経口 投 与 し 、 小 腸 粘 膜 に お け る 細 胞 死 誘 導 を terminal  deoxynucleotidyl  transferase(TdT)-mediated dUTP-biotin end labelling (TUNEL)法により調べ た。その結果、野生型マウスでは、indomethacin 依存に小腸粘膜において細胞 死誘導が見られたが、HSP70 過剰発現マウスではこの細胞死誘導が顕著に抑制さ れていた (Fig. 3B)。以上の結果から、HSP70 は小腸粘膜での細胞死誘導を抑制 することにより indomethacin 起因性小腸潰瘍の発症を抑制していることが考え られる。 

(31)

第 4 節  HSP70 過剰発現マウス小腸粘膜における Fas/FasL の発現   

  私は HSP70 過剰発現マウス、及びその野生型マウスを用いて、indomethacin 小腸潰瘍発症時における、小腸での Fas、及び FasL の発現を組織免疫染色法に より比較した。その結果、野生型マウスでは indomethacin を投与することによ り Fas、及び FasL の発現が増加した。増加した FasL の発現は、野生型マウスに 比べて HSP70 過剰発現マウスで、顕著に抑制されていた (Fig.3, C and D)。以 上の結果から HSP70 過剰発現マウスでは野生型マウスに比べて、FasL の発現が 抑制されていることから、Fas/FasL の相互作用が減弱している可能性が考えら れる。従って、indomethacin 起因性小腸潰瘍の発症が抑制されているのは、

Fas/FasL 相互作用による細胞死 (アポトーシス)が抑制されていることが考え られる。 

(32)

   

   

(33)

 

Fig.3. Indomethacin-induced decrease in PGE2 level, mucosal cell apoptosis, and expression of Fas/FasL in small intestine. Wild-type (WT, C57/BL6) and transgenic mice expressing HSP70 (HSP70 Tg) were orally administered 30 mg/kg indomethacin (IND) and the small intestine was removed after 24 h. A, the small intestine PGE2 level was determined by ELISA. Values are mean ± S.E.M. (n = 6). n.s., not significant. B, sections of small intestine tissue were prepared and subjected to TUNEL assay and DAPI staining. C and D, sections of small intestine tissue were prepared and subjected to

immunohistochemical analysis with an against FasL (C) or Fas (D).

(34)

  NSAIDs 起因性小腸潰瘍の発症において、細胞死誘導、及び小腸粘膜 PGE2は重 要な役割を果たしている。本章において私は、HSP70 過剰発現マウスでは野生型 マウスに比べて、小腸粘膜での indomethacin 依存の細胞死 (アポトーシス)が 顕著に抑制されていることを見出した。また、NSAIDs 起因性小腸潰瘍の発症時 に、Fas、及び FasL の発現が増加していることから Fas/FasL 相互作用が活性化 していることを示唆した。さらに、HSP70 過剰発現マウスでは野生型マウスに比 べて、FasL の発現が減少していることから、Fas/FasL 相互作用が減弱している ことを示唆した。一方で、小腸粘膜 PGE2量については HSP70 過剰発現マウス、

及び野生型マウスの両者の間で indomethacin 投与の有無に関わらず、大きな差 は見られなかった。これらのことから HSP70 は小腸粘膜 PGE2量の低下を抑制す るのではなく、小腸粘膜における細胞死を抑制することにより indomethacin 起 因性小腸潰瘍の発症を抑制していることが考えられる。 

  NSAID が細胞死 (アポトーシス)を誘導するメカニズムについて、当研究室で はこれまでに以下のような経路を考えている。NSAID による細胞質膜の透過性の 亢進が、カルシウム流入を促進し、細胞内カルシウム量を増加させる。そして 次に、小胞体ストレス応答が誘導される[48]。小胞体ストレス応答では、アポ トーシス誘導転写因子である C/EBP homologous transcription factor (CHOP) 

(35)

導を抑制している可能性を当研究室では最近見出した。なぜなら、試験管内に おいて HSP70 の発現を抑制した時に、NSAID 依存の CHOP や PUMA の活性化ではな く、Bax の活性化と移行が促進されたからである[41]。この考えを支持するもの として、熱ショック、或は NO 依存の Bax の移行と活性化に対して HSP70 が抑制 効果を示すこと、そして HSP70 と Bax が物理的に相互作用することが報告され ている[51, 52]。従って、HSP70 が小腸粘膜での NSAID 依存のアポトーシス誘導 を抑制するのは、NSAID による Bax の移行と活性化を抑制する結果ではないかと 推測している。 

 また、HSP70 が NSAID 依存のアポトーシスに関与する、或はこれを抑制する別 のメカニズムの存在が考えられる。例えば、Fas/FasL 相互作用は indomethacin がアポトーシスを誘導する重要なメカニズムの1つである[46]。本章の結果か ら、Indomethacin 投与により FasL の発現が増加し、この増加は HSP70 過剰発現 マウスでは抑制されていた。この結果から NSAIDs 起因性小腸潰瘍の発症に Fas/FasL 相互作用が関与していること、そして小腸での HSP70 発現がこの相互 作用を抑制していることを示唆している。 

 

(36)

第 1 節  緒言 

  第 3 章において、HSP70 が小腸粘膜における細胞死誘導を抑制すること、及び 小腸粘膜 PGE2量に影響を与えないことを見出した。本章では、HSP70 が NSAIDs 起因性小腸潰瘍を抑制する機構に関して、炎症反応について検討したことを述 べる。 

  前にも述べた通り、NSAIDs 起因性小腸潰瘍の発症には炎症性サイトカインや ケモカインによる炎症性細胞の活性化と浸潤が重要な役割を果たしている。例 えば、抗 interleukin (IL)-8 抗体 (マウスでは macrophage inflammatory  protein (MIP-2)抗体) により indomethacin 投与により増加した白血球の活性 化、及び浸潤が抑制されること、また抗 tumor necrosis factor (TNF)-α抗体、

及び抗 monocyte chemoattractant protein (MCP)-1 抗体が indomethacin 起因 性小腸潰瘍を抑制することが報告されている[16, 25, 53]。このように、NSAIDs 起因性小腸潰瘍の発症において炎症性サイトカインやケモカインは重要な役割 を果たしていることが考えられる。 

  一方、最近 HSP70 が NF-κB の活性化を抑制することにより抗炎症作用を発揮 することが報告されている[33-35]。 

(37)

べるためにin vitroでの解析を行ったのでその結果についても述べる。 

  尚、本章の内容は参考文献[44]で既に発表している。 

(38)

  私は HSP70 過剰発現マウス、及び野生型マウスに indomethacin を経口投与し、

小腸粘膜における炎症関連因子の発現を real-time reverse transcriptase  (RT)-polymerase chain reaction (PCR)法により調べた。調べた因子は、代表 的な炎症性サイトカインである IL-1β、IL-6、TNF-α、ケモカインである MIP-2、

MCP-1 である。 その結果、野生型マウスでは indomethacin 依存に IL-1β、IL-6、

MIP-2、MCP-1 の増加が見られ、この増加は HSP70 過剰発現マウスでは有意に抑 制されていた。(Fig.4)。一方、TNF-α に関してはそのような抑制は見られなか った (Fig.4)。 

  以上の結果から、野生型マウスでは indomethacin 依存に小腸で炎症性サイト カイン、及びケモカインの発現が増加するが、HSP70 過剰発現マウスではこの増 加が抑制されていることが分かった。このことから、HSP70 が小腸における炎症 反応を抑制することで、indomethacin 起因性小腸潰瘍の発症を抑制している可 能性が考えられる。 

(39)

 

Fig.4. Indomethacin-induced mRNA expression of various genes in the small intestine. Indomethacin (IND) (30 mg/kg) was orally administered to wild-type (WT, C57/BL6) and transgenic expressing HSP70 (HSP70 Tg), and the small intestine was removed after 24 h. Total RNA was extracted and subjected to real-time RT-PCR with use of a specific primer for each gene. Values normalized to the gapdh gene are expressed relative to the control sample and given as the mean ± S.E.M. (n=3-9), *, P<0.05; n.s., not significant.

(40)

 

  Fig.4 の結果から、HSP70 は、小腸における過剰な炎症性サイトカイン、及び ケモカインの発現を抑制していることが考えられた。このことをin vitroで解 析するために、私は HSP70 過剰発現マウス由来の腹腔マクロファージを用いて、

lipopolysaccharide (LPS)依存の炎症関連因子の発現に対する HSP70 の効果を real-time RT-PCR 法により検討した。調べた因子は、先程と同様に IL-1β、IL-6、

TNF-α、MIP-2、及び MCP-1 である。その結果、野生型マウスから採取したマク ロファージでは、LPS 依存にこれら全ての因子の増加が見られた(Fig.6)。一方、

HSP70 過剰発現マウス由来マクロファージでは、野生型マウス由来マクロファー ジに比べて IL-1β、IL-6 の増加が抑制されていた。(Fig.6)。 

    以上の結果は、HSP70 が IL-1β、IL-6 の発現を抑制することにより炎症反応 を抑制していることを示唆している。

 

(41)

 

Fig.5. LPS-stimulated mRNA expression of pro-inflammatory cytokines and chemokines in peritoneal macrophages. Peritoneal macrophages were prepared from transgenic mice expressing HSP70 (HSP70 Tg) and wild-type mice (WT) and incubated with 10 ng/ml LPS for 6 h. Relative mRNA expression of each gene was monitored and expressed as described in the legend of Fig. 4. Values shown

(42)

  NSAIDs 起因性小腸潰瘍の発症において、炎症反応の亢進が重要であることは、

前にも述べた通りである。本章において私は、野生型マウスでは indomethacin 投与により炎症性サイトカイン (IL-1β、IL-6、TNF-α)、及びケモカイン (MIP-2、

MCP-1)の発現が増加していること、一方、HSP70 過剰発現マウスでは、これらの うち IL-1β、IL-6、MIP-2 の発現が抑制されていることを見出した。このことか ら、HSP70 は炎症反応を抑制することにより indomethacin 起因性小腸潰瘍の発 症を抑制していることが考えられる。しかしながら、HSP70 が直接これらの因子 を抑制しているのかについては分からなかった。そこで、in vitro での解析を 行った。その結果、HSP70 過剰発現マウスから採取したマクロファージでは、野 生型マウス由来マクロファージに比べて LPS 依存の IL-1β、IL-6 の発現が抑制 されていた。このことから、HSP70 は IL-1β、IL-6 の発現を直接抑制することに より indomethacin 起因性小腸潰瘍の発症を抑制している可能性が考えられる。

in vitro での解析において、HSP70 の LPS に対する抗炎症作用はあまり顕著で はなかった。一方で、Fig. 2 の結果から、HSP70 過剰発現マウスでは野生型マ ウスに比べて炎症性細胞 (マクロファージ、好中球) の浸潤が顕著に抑制され ていた。このことから、HSP70 は炎症性サイトカインやケモカインの産生を抑制 するだけでなく、炎症性細胞の遊走などに対しても抑制的に働いている可能性

(43)

で組織傷害が抑制されることが報告されている[16, 40, 54]。そして、当研究 室では HSP70 がこのような因子に対して抑制効果を示すことを見出している。 

  以上のことから、HSP70 が炎症反応を抑制 (IL-1β、IL-6)することにより indomethacin 起因性小腸潰瘍の発症を抑制していると考えている。 

(44)

第 1 節  緒言   

GGA は、現在日本で用いられている抗潰瘍薬であり、毒性のない HSP 誘導剤と して知られている[31, 32]。当研究室では、これまでに GGA が HSP70 を誘導す ることによりエタノールや indomethacin 依存の胃潰瘍を抑制することを見出し ている[41, 42]。また、GGA が IBD の動物モデルである dextran sulfate sodium  (DSS)腸炎や trinitrobenzene sufonic acid (TNBS)腸炎の発症を抑制すること が報告されている[55, 56]。このように GGA は様々な消化器疾患に対して抑制 効果を示すことが知られている。 

  本章では、GGA の indomethacin 起因性小腸潰瘍に対する抑制効果ついて解析 を行ったことについて述べる。また、GGA を前投与した時の HSP70 の発現、及び GGA によって誘導された HSP70 がどの細胞で発現しているのか、さらに GGA によ る抑制効果が HSP70 誘導を介しているかに関して検討した結果についても述べ る。 

  尚、本章の内容は参考文献[44]で既に発表している。 

(45)

第 2 節  Indomethacin 起因性小腸潰瘍に対する GGA の効果と HSP70 発現   

第 1 項  Indomethacin 起因性小腸潰瘍に対する GGA の効果   

  私は、野生型マウス (ICR)に、非絶食条件下で GGA (0, 50, 100 mg/kg)を経 口投与し、さらに 2 時間後に indomethacin (20 mg/kg)を経口投与し、形成され た小腸潰瘍の大きさを比較した。その結果、indomethacin 投与によって小腸潰 瘍が形成され、この潰瘍形成が GGA の用量依存的に有意に抑制されることが分 かった(Fig.6A)。また、MPO 活性に関しても、indomethacin 投与により MPO 活 性が上昇したが、この上昇は GGA を前投与することで顕著に抑制されていた  (Fig.6B)。さらに、小腸組織切片を作製し、組織学的解析を行った。その結果、

indomethacin 投与により、crypt loss、上皮の脱落、白血球の浸潤がみられた が、GGA を前投与することでこのような反応が軽減された(Fig.6, C and D)。以 上の結果から、GGA は indomethacin 起因性小腸潰瘍を抑制することが考えられ る。 

 

第 2 項  GGA による小腸での HSP70 発現誘導   

次に、私はイムノブロット法を用いて、小腸における HSP70 発現を調べた。そ の結果、indomethacin 依存に小腸で HSP70 が誘導され、この誘導は GGA を前投 与することでさらに顕著になることが分かった。また、indomethacin 非投与群

(46)

導された HSP70 が indomethacin 起因性小腸潰瘍を抑制している可能性が考えら れる。 

 

 

 

(47)

 

 

   

Fig.6. Effect of GGA on expression of HSP70 and production of lesions in the small intestine.

The indicated doses (A) or 100 mg/kg of GGA (B-F) (10ml/kg as an emulsion with 5% gum arabic) were orally administered to wild-type mice (ICR). 20 mg/kg of indomethacin (IND) was orally administered to the mice (A-G). The small intestine was removed 24 h (A, B, and G) or 4 h (C and E) after the administration of 20 mg/kg of indomethacin. Analyses were performed as described in the legend of Fig.

1 (A-C, E, and F) or under Material and Methods (D). A, B, D, and F, values are mean ± S.E.M. [n=3-9 (A), 3-6 (B), 10-16 (D), 5-9 (F)]. **P<0.01, *P<0.05, n.s., not significant.t

(48)

  GGA がどの細胞で HSP70 を誘導するのかについて組織免疫染色法を用いて調べ た。検討した細胞種は、先程と同様に、上皮細胞、マクロファージ、内皮細胞、

CD4 陽性 T リンパ球、及び好中球で行った。その結果、マクロファージ、CD4 陽 性 T リンパ球、及び内皮細胞が HSP70 と強く共染色されることがわかった  (Fig.7, A, B and E)。また、上皮細胞は HSP70 と弱く共染色されることがわか った (Fig.7C)。しかし、好中球では HSP70 との共染色がみられなかった  (Fig.7D)。以上の結果から、GGA は、マクロファージ、CD4 陽性 T リンパ球、及 び内皮細胞が強く、上皮細胞が弱く HSP70 を誘導することで、indomethacin 起 因性小腸潰瘍の発症を抑制している可能性が考えられる。 

 

(49)

   

(50)
(51)

   

(52)
(53)

   

Fig.7. Identification of the cells expression of HSP70 in indomethacin- and/or GGA-treated mice.

Wild-type mice (ICR) were orally administered 100 mg/kg of GGA. Two hours later the mice ware orally administered 20 mg/kg of indomethacin (IND) and the small intestine was removed after 4 h. Sections of small intestinal tissue were prepared and subjected to immunohistochemical analysis with an antibody against HSP70 (red) and CD11b (A), CD4 (B), E-cadherin (C), CD31 (D) or MPO (E) (green). Magnified (2 times) images were shown in the bottom panel. Merge images depict HSP70 and CD11b, CD4, CD31, E-cadherin, or MPO co-expression (yellow) in cells.

     

(54)

  次に、私は GGA による小腸潰瘍抑制効果が HSP70 誘導を介しているかどうか 調べるために HSP70 阻害剤である Quercetin を用いて調べた。Quercetin は、

HSP70 阻害剤として知られている[57]。仮に、GGA が HSP70 誘導を介して小腸潰 瘍を抑制しているのであれば、Quercetin を前投与することで GGA による小腸潰 瘍抑制効果が見られなくなることが予想される。そこで、私は Quercetin を前 投与し、さらに GGA を経口投与し、indomethacin 起因性小腸潰瘍の形成を調べ た。その結果、GGA を前投与することで小腸潰瘍の形成が抑制されるが、この抑 制効果は Quercetin をさらに前投与することでほとんど見られなくなった (Fig.8)。以上の結果から、GGA は HSP70 誘導を介して小腸潰瘍を抑制している ことが示唆された。 

 

Fig.8. Effect of Quercetin on suppression of indomethacin-induced lesions in the small intestine by

(55)

第 5 節  Indomethacin 起因性小腸潰瘍に対する GGA 後投与の効果   

  さらに、私は Indomethacin 小腸潰瘍に対する GGA 後投与の効果について調べ た。Indomethacin を経口投与し、2 時間後に GGA を経口投与し、小腸潰瘍の大 きさを調べた。その結果、GGA を前投与することで小腸潰瘍の形成が抑制される が、この抑制効果は GGA を後投与した場合では、ほとんど見られなくなること が分かった(Fig.9)。以上の結果から、GGA により予め HSP70 を誘導しておくこ とが小腸潰瘍の抑制に重要であることが考えられる。 

 

Fig.9. Effect of post-administration of GGA on indomethacin-induced lesions in the small intestine.

GGA (100 mg/kg) was orally administered 2 h before (Pre) or after (Post) the administration of indomethacin (20 mg/kg) to the mice. Twenty-four hours after the administration of indomethacin, the small intestine was removed and was scored for hemorrhagic damage (n=4-9). Values are mean ± S.E.M.

*P<0.05, n.s., not significant.t

(56)

  本章において私は、GGA が indomethacin 起因性小腸潰瘍に対して抑制効果を 示すことを見出した。また、GGA を前投与することにより小腸で HSP70 が誘導さ れること、この HSP70 誘導はマクロファージ、内皮細胞、及び CD4 陽性 T 細胞 で強く、上皮細胞で弱いことを見出した。さらに、HSP70 阻害剤である Quercertin の前処理により GGA の潰瘍抑制効果が見られなくなることから、GGA が HSP70 誘 導を介して indomethacin 起因性小腸潰瘍を抑制していることを示唆した。これ らのことから、GGA は小腸において HSP70 を誘導することにより NSAIDs 起因性 小腸潰瘍を抑制することが考えられる。 

  GGA を後投与した場合では、GGA は indomethacin 起因性小腸潰瘍に対して抑 制効果を示さなかった。この結果から、HSP70 を予め誘導しておくことが潰瘍抑 制効果に重要であることが考えられる。実際に、マウスの系統、及び用いた indomethacin の用量に違いはあるが、HSP70 過剰発現マウスを用いた場合と比 較して GGA 投与の場合では、HSP70 誘導が弱いにも関わらず、潰瘍抑制効果がよ り顕著であった。このことからもやはり、HSP70 による小腸潰瘍抑制には HSP70 の誘導量ではなく、前もって誘導することが重要であると考えられる。 

  また、本研究において、Quercetin 単独投与により indomethacin 起因性小腸 潰瘍の悪化が見られなかった。このことから、Quercetin は GGA による HSP70 誘

(57)

るために、今後 Quercetin 投与後の HSP70 誘導について調べる必要がある。 

  さらに、HSP70 過剰発現マウスを用いた場合と GGA を投与した場合で、HSP70 を発現する細胞種が同じであったことから、両者の HSP70 による潰瘍抑制効果 も同じものであると推測される。 

  従って、6 章では GGA が indomethacin 起因性小腸潰瘍を抑制するメカニズム について解析したが、特に細胞死誘導、及び小腸粘膜 PGE2量について解析した 結果について述べる。 

(58)

第 1 節  緒言   

  第 5 章では、GGA が HSP70 を誘導することにより NSAIDs 起因性小腸潰瘍の発 症を抑制することを示唆した。本章では、GGA がどのような機構で小腸潰瘍を抑 制しているかについて検討したことを述べる。 

  第 3 章でも述べたように、NSAIDs 起因性小腸潰瘍の発症において、小腸粘膜 での細胞死誘導、及び小腸粘膜 PGE2は重要な役割を果たしていると考えられて いる。また、第 2 章、及び第 5 章の結果から GGA による小腸潰瘍抑制効果は HSP70 誘導を介していること、及び HSP70 過剰発現マウスでの HSP70 発現と GGA によ る HSP70 発現が同じ細胞腫であることから、おそらく GGA による小腸潰瘍抑制 のメカニズムは同じ効果によるものであることが予想される。従って、本章で は、GGA による小腸潰瘍抑制の機構として、小腸粘膜での細胞死誘導、及び小腸 粘膜 PGE2量について解析した結果について述べる。 

  尚、本章の内容は参考文献[44]で既に発表している。

(59)

第 2 節  GGA による小腸粘膜 PGE2量の変化   

  私は GGA が小腸粘膜 PGE2量を増加させるかどうかについて ELISA 法により調 べた。その結果、indomethacin 非投与群では、GGA を前投与することにより小 腸粘膜 PGE2量が増加した。一方、indomethacin 投与群では GGA によるそのよう な効果は見られなかった(Fig.10A)。以上の結果から GGA は indomethacin 起因 性小腸潰瘍発症時には小腸粘膜 PGE2量に影響を与えないことが考えられる。 

(60)

  次に、GGA が小腸粘膜における細胞死を抑制するかについて TUNEL 法を用いて 調べた。その結果、indomethacin 依存に小腸粘膜において細胞死誘導が見られ たが、これは GGA を前投与することで顕著に抑制されていた (Fig. 10B)。以上 の 結 果 か ら 、 GGA は 小 腸 粘 膜 に お け る 細 胞 死 誘 導 を 抑 制 す る こ と に よ り indomethacin 起因性小腸潰瘍の発症を抑制していることが考えられる。 

 

 

Fig.10. Effect of GGA on indomethacin-dependent decrease in PGE level and mucosal cell

(61)

第4節  考察 

  NSAIDs 起因性小腸潰瘍の発症において、小腸粘膜での細胞死誘導、及び小腸 粘膜 PGE2は重要な役割を果たしている。本章において私は、GGA が indomethacin 依存の小腸粘膜での細胞死誘導を顕著に抑制していること、一方で、GGA が indomethacin 投与により低下した小腸粘膜 PGE2量を回復させないことを見出し た。また、本研究では炎症性サイトカインやケモカインの発現に対する GGA の 効果について検討を行わなかったが、GGA が indomethacin 投与により増加した MPO 活性を顕著に抑制していることから、GGA は炎症反応に対しても抑制効果を 示していると考えられる。このことから、GGA が indomethacin 起因性小腸潰瘍 を抑制したのは、GGA が HSP70 を誘導し、誘導された HSP70 が小腸粘膜での細胞 死誘導、及び炎症反応を抑制しているためであると考えられる。 

  しかし、興味深いことに indomethacin 非投与群において、GGA が小腸粘膜 PGE2 量を有意に増加している。このことから、GGA 前投与により予め小腸 PGE2量を 増加することで小腸潰瘍を抑制している可能性も考えられる。また、GGA は HSP70 誘導以外の作用を持つことが知られている。例えば、粘液産生促進作用、血流 量増加作用、及び HSP25 誘導作用などである[32, 60, 61]。  Indomethacin 起 因性小腸潰瘍の発症において、粘液産生は防御因子として働くことが示唆され ており、一方で HSP25 は小腸上皮細胞の細胞死を抑制することが示唆されてい る[35]。従って、GGA の HSP70 誘導以外の作用が Indomethacin 起因性小腸潰瘍 の抑制に寄与している可能性がある。しかし、Quercetin を用いた実験結果を考

(62)

  HSP70 過剰発現マウスを用いたこれまでの多くの研究から、HSP70 誘導が様々 な疾患 (炎症性腸疾患、低酸素虚血脳障害、及び球脊髄性筋萎縮症など)の発症 に対して保護的に働くことが示されてきた[43, 62, 63]。本博士論文研究にお いて、私は HSP70 過剰発現マウスでは NSAIDs 起因性小腸潰瘍が起こりにくいこ とを示し、HSP70 が NSAIDs 起因性小腸潰瘍の発症に対しても保護的に働く初め ての証拠を示した。また、HSP70 が NSAID による小腸傷害に対して直接的な防御 因子 (つまり、細胞死抑制作用を示すことで)として働くだけでなく、NSAIDs 起 因性小腸潰瘍に影響を与えると考えられる因子 (例えば炎症関連因子など)に 対しても保護的に働く可能性があること示唆した (Fig. 12)。 

  HSP70 過剰発現マウスにおいて、indomethacin 依存の小腸粘膜 PGE2量の低下 ではなく、小腸粘膜での細胞死誘導が抑制されていたことから、HSP70 は小腸粘 膜 PGE2量に影響を与えるのではなく、細胞死誘導を抑制することにより NSAIDs 起因性小腸潰瘍の発症を抑制しているようである。従って、本研究の結果は NSAIDs 起因性小腸潰瘍の発症に NSAID 依存の細胞死誘導が関与していることも 支持している。当研究室では、これまでに ibuprofen や nabumetone のような NSAID が indomethacin と比べて細胞死誘導が弱いことを見出している[64, 65]。

さらに、これまでに私は ibuprofen、及び nabumetone が indomethacin よりも

(63)

流入を促進し、細胞内カルシウム量を増加させ、そして次に、小胞体ストレス 応答が誘導される[48]。小胞体ストレス応答では、アポトーシス誘導転写因子 である CHOP が誘導される。当研究室では、これまでに NSAID によるアポトーシ ス誘導に CHOP が不可欠であることを報告している[49]。CHOP は、PUMA を誘導 し、Bax を活性化させる。当研究室では PUMA や Bax が NSAID によるミトコンド リア障害、及び caspase やアポトーシスの活性化に重要な役割を果たしている ことを示している。このような様々なステップの中で、HSP70 は Bax の活性化と 移行をターゲットとすることで NSAID 依存のアポトーシス誘導を抑制している 可能性を当研究室では最近見出した[50]。なぜなら、試験管内において HSP70 の発現を抑制した時に、NSAID 依存の CHOP や PUMA の活性化ではなく、Bax の活 性化と移行が促進されたからである[41]。この考えを支持するものとして、熱 ショック、或は NO 依存の Bax の移行と活性化に対して HSP70 が抑制効果を示す こと、そして HSP70 と Bax が物理的に相互作用することが報告されている[51,  52]。従って、HSP70 が小腸粘膜での NSAID 依存のアポトーシス誘導を抑制する のは、NSAID による Bax の移行と活性化を抑制する結果ではないかと考えられる。

また、HSP70 が NSAID 依存のアポトーシスに関与する、或はこれを抑制する別の メカニズムの存在が考えられる。例えば、Fas/Fas ligand (FasL)相互作用は indomethacin がアポトーシスを誘導する重要なメカニズムの1つである[46]。

私は組織免疫染色法により小腸における Fas、及び FasL の発現を調べた。その 結果、Indomethacin 投与により FasL の発現が増加し、この増加は HSP70 過剰発 現マウスでは抑制されていた。この結果から NSAIDs 起因性小腸潰瘍の発症に

(64)

導の抑制に寄与している可能性が考えられる。 

  HSP70 は細胞保護作用だけでなく、抗炎症作用を持つことがこれまでに報告さ れている。例えば、予め熱ショックを加えることにより HSP70 を誘導した時に、

誘導された HSP70 が炎症反応依存に活性化した NF-κB (その結果、様々な炎症性 サイトカインを誘導する)を抑制することが示されている[66]。最近、当研究室 では HSP70 過剰発現マウスから採取したマクロファージでは、野生型マウス由 来マクロファージに比べて、LPS 依存の炎症性サイトカイン産生が抑制されてい ることを見出した[43]。先程も述べたように、NSAIDs 起因性小腸潰瘍の発症に おいて、炎症反応は重要な役割を果たしている。私は、好中球浸潤の指標であ る MPO 活性が indomehacin 依存に増加し、この増加が HSP70 過剰発現マウスで は抑制されていることを見出した。さらに、私は indomethacin 依存に小腸にお ける炎症性サイトカインやケモカイン (IL-1β、IL-6、及び MIP-2)の mRNA 発現 が増加し、この増加が HSP70 過剰発現マウスでは抑制されていることを見出し た。このことから、おそらく HSP70 は NF-κB の活性化を抑制することでこれら の遺伝子発現を抑制していると考えている。そして、この効果が NSAIDs 起因性 小腸潰瘍の発症の抑制に寄与していると考えている。 

  GGA は、臨床で用いられている抗潰瘍薬であり、毒性のない HSP 誘導剤として

(65)

ても細胞を耐性化することを示している[67]。さらに、本研究において、私は GGA を前投与することにより小腸で HSP70 を誘導するだけでなく、GGA が NSAIDs 起因性小腸潰瘍の発症を抑制することを見出した。これらの結果は、臨床にお いて GGA が HSP 誘導活性により NSAIDs 起因性小腸潰瘍に対して有効な治療薬と なりうることを強く示唆している[68]。実際に、最近臨床においても GGA が NSAIDs 起因性小腸潰瘍に対して抑制効果を示すことが報告された[69]。しかし、

GGA は HSP 誘導作用以外に様々な保護作用をもつことが知られている。例えば、

血流量増加作用、粘液分泌促進作用、及び直接的な細胞保護作用などがある[60,  61]。GGA のこれらの作用もまた、NSAIDs 起因性小腸潰瘍に対する GGA 依存の保 護効果に寄与していることが考えられる。 

  長い間、GGA のような胃粘膜保護薬が胃潰瘍治療薬として用いられてきた。し かし、胃潰瘍治療には、このような胃粘膜保護薬よりも新しく開発された酸分 泌抑制薬 (PPI や H2-blocker など)が有効であると考えられている。一方で、こ れら酸分泌抑制薬は NSAIDs 起因性小腸潰瘍に対しては有効ではないと考えられ ている。また、この疾患を治療するために新規化合物が開発されたとしても、

臨床試験を通過しなければならないことに加えて、予期せぬ副作用を持つ可能 性がある。従って、本研究結果に基づき、私は臨床においても NSAIDs 起因性小 腸潰瘍治療薬として、すでに安全性が確立した GGA の効果を多くの研究により 証明するべきだと考える。 

   

(66)

was removed after 24 h. The small intestine was scored for hemorrhagic damage (n = 3). Values are mean

± S.E.M. **P<0.01. 

 

Fig. 12. Protective effects of HSP70 on NSAIDs-induced lesions of the small intestine. NSAIDs

(67)

第 6 章  実験材料と方法   

第1節  試薬及び機器類   

第1項  試薬   

本研究に際し,使用した主な試薬を以下に記した。 

Paraformaldehyde;  peroxidase  standard;  fetal  bovine  serum  (FBS),  o-dianisidine; hexadecyl trimethyl ammonium bromide (HTAB), Sigma (St. 

Louis, MO) 

Indomethacin; Quercetin, Nacalai Tesque (Kyoto, Japan)  GGA, Eisai Company Ltd (Tokyo, Japan)  

Proteose peptone, Becton Dickinson (San Jose, CA)  LPS, List Biological Laboratories, Inc (Campbell, CA) 

ELISA kits for PGE2, Cayman Chemical Company (Ann Arbor, MI) 

Optimal cutting temperature (O.C.T.) compound, Sakura Finetek Japan (Tokyo,  Japan) 

Mayer’s  hematoxylin;  1%  eosin  alcohol  solution;  Malinol,  MUTO  Pure  Chemicals (Tokyo, Japan) 

terminal nucleotidyl transferase (TdTase), TOYOBO (Osaka, Japan)   the Envision kit, Dako Co. (Carpinteria, CA) 

(68)

4’,6-diamidino-2-phenylindole  (DAPI),  Dojindo  Laboratories  (Kumamoto,  Japan) 

the RNeasy kit, Qiagen (Valencia, CA) 

the  first-strand  cDNA  synthesis  kit,  GE  Healthcare  (Little  Chalfont,  Buckinghamshire, UK)  

iQ SYBR Green Supermix, Bio-Rad (Hercules, CA). 

 

第 2 項  動物   

1  野生型マウス (ICR) 

  九動株式会社より購入した。 

2  HSP70 過剰発現マウス、及びその野生型マウス(C57/BL6) 

Ioannina University・Drs. C.E.Angelidis and G.N.Pagoulatos より供与して 頂いた。 

HSP70 過剰発現マウスの実験には Homozygote を使用した。 

動物実験は、倫理面に十分配慮し、National institutes Health (NIH)が定めるGuide for the Care and Use of Laboratory Animals、及び熊本大学が定める動物実験等に関

(69)

 

アガロースゲル電気泳動装置 (Mupid-2, ADVANCE)  デンシトメーター (AE-6900M, ATTO) 

SDS-PAGE 電気泳動装置 (BIO CRAFT) 

Transfer box (Mighty Small Transfor, Amersham Bioscience)  遠心分離機 (Centrifuge 5415 R, Eppendorf) 

ABI PRISM 7700 Sequence Detection Software [70] 

PCR Thermal Cycler (Takara)  Olympus IX70 or BX51 (Olympus) 

LAS-3000 mini, BAS Imaging Plate Scanner (BAS-2000)(FUJIFILM)  FLUO Ster-L (BMG)  

Milestone RHS-1 microwave (milestone) 

(70)

第 1 項  Indomethacin 起因性小腸潰瘍の作製と潰瘍係数 (Lesion index)の測定   

Indomethacin 起因性小腸潰瘍は、非絶食条件下で indomethacin (10 ml/kg) を マ ウ ス に 、 経 口 投 与 す る こ と に よ り 作 製 し た 。 Indomethacin は 1% 

methylcellulose を用いて懸濁液として調製した。Indomethacin 非投与群には、

1% methylcellulose を経口投与した。24 時間後、マウスをエーテルで屠殺し、

小腸を摘出した。小腸は Treiz 靭帯から回腸末端までとし、摘出後ホルマリン 固定を施した。また、潰瘍部を明確にするために、摘出 30 分前に 1% Evans blue  (150 µl/mouse)を静脈内投与した。 

  どのマウスが処理されているかを知らない実験者が潰瘍係数の測定を行った。

潰瘍係数の評価は、小腸(空腸、回腸)に存在する全ての出血性の損傷面積を 測定し、それを合計したものを用いた。尚、本測定法は過去の文献[71]を参考 にしている。 

 

第 2 項  MPO 活性   

  Indomethacin 投与から 24 時間後、マウスをエーテルで屠殺し、小腸を摘出し

(71)

離 (15000 rpm、 10 min、 4℃)を行い、上清をアッセイに用いた。Bradford 法 により上清のタンパク質濃度を測定した。MPO 活性測定は、10 mM K2PO4 buffer   (0.5 mM o-dianisidine、 0.00005% (w/v)過酸化水素、30 µg タンパク質 (サ ンプル)を含む)中で測定した。反応曲線の傾きから MPO 活性を算出した。尚、

本測定法は過去の文献を参考にしている[72]。 

 

第 3 項  組織学的、組織免疫化学的解析   

  Indomethacin 投与から 4 時間後、マウスをエーテルで屠殺し、小腸を摘出し た。摘出した小腸を 4% paraformaldehyde/PBS で 24 時間固定し、その後、

Milestone RHS-1 microwave (milestone)を用いてパラフィン包埋を行った。4 µm の厚さでパラフィン切片を作製し、組織学的解析 (hematoxylin and eosin (H&E)  染色)、及び組織免疫染色法を行った。H&E 染色は、以下の方法で行った。まず、

Mayer’s Hematoxylin で染色した後、1% eosin 溶液で染色した。染色後、Malinol で封入し、顕微鏡 (Olympus IX70 or BX51)を用いて組織学的解析を行った。ど のマウスが処理されているかを知らない実験者が組織傷害 (histological  score) の測定を行った。以下のように、4 段階に分けてスコア化した(Table  1)。 尚、本測定法は過去の文献[73]を参考にしている。 

  また、Fig. 1 C、2(C and E)、6C、及び 7(C and E)については以下の方法で 組 織 免 疫 化 学 的 解 析 を 行 っ た 。 ま ず 、 抗 原 賦 活 化 を 行 う た め に 、 切 片 を Proteinase K で処理した (2 µg/ml、20 min、37℃)。次に、2.5% Goat Serum

(72)

µg/ml) で 2 時間処理し、VECTASHIELD を用いて封入した。切片は、顕微鏡  (Olympus IX70 or BX51)を用いて撮影を行った。 

 

 

さらに、Fig. 2 (A-D)、及び 7 (A-D) については以下の方法で組織免疫化学的 解析を行った。Indomethacin 投与から 4 時間後、マウスをエーテルで屠殺し、

小腸を摘出した。摘出した小腸を、O.C.T compound に包埋し、10 µm の厚さで 凍結切片を作製した。抗原賦活化を行うために、切片を Proteinase K で処理し た (2 µg/ml、20 min、37℃)。次に、2.5% Goat Serum でブロッキング後 (室温、

10 min) 、1 次抗体処理 (against HSP70、CD11b、CD4、及び CD31)を行った 

(73)

いて封入した。切片は、顕微鏡 (Olympus IX70 or BX51)を用いて撮影を行った。

本研究で用いた抗体を以下に示す (Table. 2)。 

   

第 4 項  TUNEL 法   

  indomethacin 投与から 24 時間後、マウスをエーテルで屠殺し、小腸を摘出し た。出血性潰瘍部位を含む小腸組織を 4% paraformaldehyde で 24 時間固定した。

その後、パラフィン包埋し、厚さ 4 µm の切片を作製した。切片を Proteinase K  (20 µg/ml、15 min、37℃)でインキュベーション後、TdTase と Biotin 14-ATP でインキュベーションした(1 h、37℃)。最後に、切片を Alexa Fluor 488  conjugated with streptavidin (1:500 dilution)と DAPI (5 µg/ml)でインキュ

Fig.  12.  Protective  effects  of  HSP70  on  NSAIDs-induced  lesions  of  the  small  intestine

参照

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