平成 29 年度 甲斐市地域防災計画改定案の概要
Ⅰ はじめに
市町村の地域防災計画は、災害対策基本法の規定に基づき市町村の防災会議が策定する ものであり、県、市町村その他の防災関係機関がその全機能を有効に発揮し、また、相互 に協力して災害対策を実施することにより、住民の生命・身体・財産を災害から守ること を目的としています。Ⅱ 見直しの方針
本市の地域防災計画は、平成 27 年度に「土砂災害防止対策の推進に関する法律」の改定 や気象予報・警報の基準と火山の降灰予報の変更、特別警報の基準の変更、西八幡地区の 防災公園の位置づけなどを反映した計画の見直しを行いました。 近年では、平成 27 年に茨城・栃木、平成 28 年岩手・北海道において台風による大規模 水害が発生しました。また、平成 28 年に熊本地震が発生するなど、大規模な災害が相次い でいます。 それらの災害に伴い、水防法の改正や避難基準や避難行動、避難所運営の見直しなど、 各種対策が進められています。 さらに、今年の 11 月から東海地震の予知情報が廃止されました。これにより、当面、南 海トラフにおける巨大地震への事前対策は休止状態となりました。 これらの状況を踏まえ、甲斐市として対応できる改訂を行い、市民の生命財産の被害を 最小限にする対策の基礎とします。 また、法制度の改正や気象警報・注意報、特別警報等の基準変更が行われているほか、 県地域防災計画が改正されたため、今年度はこれらの変更を中心とした改正を行うものと します。Ⅲ 主な改定内容
1 市の防災施策の反映
2 国、県による制度・基準等の改正
(1)平成 27 年度末 など (2)平成 28 年度以降 など ○ 水防法改正(要配慮者支援施設の避難計画作成、避難訓練等の義務化) ○ 洪水警報・注意報の基準の考え方の見直し (雨量ではなく、洪水発生のリスク評価による発表) ○ 避難に関する情報の名称変更 「避難準備情報」→「避難準備・高齢者等避難開始」 「避難指示」→「避難指示(緊急)」 ○ 熊本地震を教訓とした避難所運営、避難者支援等の見直し ○ 県の防災拠点の強化(消防防災航空基地の機能強化、防災活動拠点の設定)を記述。 ○ 災害廃棄物処理対策の見直し ○ 東海地震の予知情報の廃止(平成 29 年 11 月) ○ 原子力対策について、「原子力災害対策指針」に合わせた記述の変更。 ○ 特別警報、警報・注意報の基準の変更 ○ 火山情報の種類・内容等の変更 ○ 情報提供手段として「Lアラート(災害情報共有システム)」を活用 ○ 災害救助法の運用基準の変更。 ○ 地震対策として、南海トラフ地震や首都直下地震に対しての対策を進める旨の記述 を追加。 ○ 甲府地方気象台からの地震に関する伝達事項の変更 ○ 東海地震に関する各情報の内容の変更。 ○ 防災関連の不定期な訓練を位置づけ (平成 29 年度は指定避難所宿泊訓練を実施済み) ○ 避難行動要支援者名簿の作成・更新の業務の状況を反映し、実態に合った内容 に記述を整理 ○ 消防団の敷島第4分団を敷島第3分団に統合 ○ 「避難勧告等の判断・伝達マニュアル」(平成 28 年 12 月改訂) ○ 応援協定等を7件締結3 各章項目の変更概要
各章項目ごとの主な変更概要については、以下のとおりとなります。 (1)総則編 第3章 防災の基本理念及び 施策の概要 新旧対照表 1 ページ ○国、県との連携について、積極的な情報の収集・伝達・ 共有体制の強化、各機関の連携による災害対応の推進 を明確化。 (2)一般災害編 第1章 一般災害編の概要 第1節 防災関係機関の処 理 す べ き 事 務 又 は 業 務の大綱 新旧対照表 2 ページ ○「関東農政局(甲府地域センター)」を「関東農政局(山 梨支局)」に名称変更し、業務内容を変更。 ○不動産関係団体を追加し、民間賃貸住宅の確保等、業 務内容を記述。 第2節 甲斐市の概況 新旧対照表 2~4 ページ ○平成 27 年国勢調査の結果を基に、人口、世帯数、産業 構造等の表、記述を修正。 ○平成 29 年度市統計書を基に、市の標高、面積の記述を 修正。 ○災害記録について、過去の文献等からの災害記録の収 集について、記述を追加。 第2章 災害予防計画 第1節 防災組織の充実 新旧対照表 5 ページ ○自主防災組織の災害時の活動に「避難所の運営」を追 加。 ○市が行う指導について、現在の記述を「地域コミュニ ティの防災体制の充実」「女性の積極的な参画」「自主 防災組織が未整備な地域の組織化の推進」「地区防災計 画作成の支援」の4項目に整理。 第2節 防災知識の普及・教 育に関する計画 新旧対照表 5~6 ページ ○一般市民に対する広報について、水害時のシミュレー ションや早期の立ち退きが必要な地域を示しながらの 啓発の実施について、記述を作成。 ○啓発の内容に「過去の市内の中小河川・農業用水路等 の浸水被害」を追加。 第3節 防災訓練に関する 計画 新旧対照表 6~7 ページ ○機関別防災訓練の例について、自主防災組織で2項目、 社会福祉協議会、事業所、医療機関、保育所・幼保連 携型認定こども園で1項目、学校等で3項目を追加。 ○その他の訓練として、必要に応じて臨時・不定期に開 催する訓練の位置づけを追加。 第6節 風水害等災害予防 ○水防法改正に基づく「中小河川の浸水想定区域の指定」○土砂災害警戒情報について、危険度等をメッシュ単位 でインターネットで公開するため、市は必要な情報を 把握する旨、記述を作成。 第9節 原子力災害予防対 策計画 新旧対照表 9~10 ページ ○用語の定義、浜岡原子力発電所の現状の記述方法を変 更。 第12節 情報通信システ ム整備計画 新旧対照表 10 ページ ○通信施設の整備として、県との協力により情報収集・ 共有化のシステム構築推進について、記述を追加。 第13節 要配慮者対策の 推進 新旧対照表 10~14 ページ ○制度改正時に作成した記述について、時間が経過し、 制度の運用が進んできたため、現在の運用状況にあっ た記述に変更。 第3章 災害応急対策計画 第3節 県消防防災ヘリコ プター出動要請計画 新旧対照表 14 ページ 第7節 被害状況等報告計 画 新旧対照表 21 ページ ○県の「総務部防災危機管理課」が「防災局防災危機管 理課」に組織変更。 第4節 応援協力要請計画 新旧対照表 14 ページ ○応援受入体制について、「受援計画の作成」について記 述を作成。 第6節 予報及び警報等の 伝達計画 新旧対照表 14~21 ページ ○大雨警報・注意報、大雪警報・注意報の発表基準を最 新の基準に変更。 ○大雨特別警報の発表基準の3時間降水量の値の取扱い を追加。 ○火山の噴火警報・火山情報等の基準や内容等を最新の 基準に変更。 第8節 災害広報計画 新旧対照表 21~22 ページ ○市民への広報の手段として「SNS」「Lアラート(災 害情報共有システム)」を追加。また、(株)日本ネッ トワークサービスとの協定により、「テレビ放送」に 「(CATVを含む)」を追加。 第11節 消防計画 新旧対照表 22 ページ ○消防団のうち、敷島第4分団を敷島第3分団に統合。 第12節 原子力災害応急 対策計画 新旧対照表 22~25 ページ ○県計画の改訂(原子力災害対策指針の反映)に合わせ て記述を変更。
第13節 緊急輸送対策計 画 新旧対照表 25~26 ページ ○緊急輸送路確保の基本方針として「緊急輸送道路の確 保」「緊急輸送道路確保にあたっての留意点」「広域的 な交通規制の実施」「放置車両等路上の障害物の撤去」 について記述を作成。 ○市管理道路における緊急時の放置車両等の撤去措置に 関する対応について、記述を追加。 第14節 交通対策計画 新旧対照表 26~27 ページ ○緊急車両の有料道路における取扱いについて、県道路 公社、中日本高速道路に分けて記述を作成。 第15節 災害救助法によ る救助 新旧対照表 27~29 ページ ○主管大臣を「厚生労働大臣」から「内閣総理大臣」、主 管省庁を「厚生労働省」から「内閣府」に変更。 ○災害救助法が適用された際の基準金額を変更。 第16節 避難計画 新旧対照表 29~34 ページ ○市が作成した「避難勧告等の判断・伝達マニュアル」 の活用について、記述を追加。 ○「避難準備情報」を「避難準備・高齢者等避難開始」、 「避難指示」を「避難指示(緊急)」に変更。 ○県水防計画にならい、「はん濫」を「氾濫」に変更。 ○避難所の整備、指定、避難所の運営(避難所外の避難 者支援を含む)等について、記述を変更。 第17節 医療・助産計画 新旧対照表 35 ページ ○避難者のストレスケアのための専門チームの派遣要請 について、記述を追加。 第18節 防疫計画 新旧対照表 35 ページ ○被災動物等の救護対策について、項目を整理して5項 目に集約。 第20節 生活必需物資供 給計画 新旧対照表 35 ページ ○基本的な考え方として「備蓄物資・資機材の供給に関 する相互協力」「時間の経過によるニーズの変化への対 応」「要配慮者や男女のニーズの違いへの対応」につい て記述を作成。 第23節 廃棄物処理計画 新旧対照表 35~41 ページ ○廃棄物処理の方針、市の役割、対象とする廃棄物の種 類、処理量の推計等について、記述を大幅に変更。 第24節 応急仮設住宅の 建 設 及 び 被 災 住 宅 の 応急修理計画 新旧対照表 41~42 ページ ○応急仮設住宅は建設だけではなく、民間賃貸住宅の借 り上げによる対応も行うため、「応急仮設住宅を設置し て供与」を「応急仮設住宅を供給」に変更。 ○応急仮設住宅の建設について、県が(一社)プレハブ 建築協会及び(一社)全国木造建設事務協会と協定を 締結しており、関連する記述を追加。 第29節 電気通信事業施 設応急対策計画 新旧対照表 42 ページ ○NTT、NTTの対応から、「災害予防」「対策要員の 確保」「対策要員の広域応援」の3項目を削除。 ○NTTドコモの取り組みとして「避難所での充電サー
第32節 民生安定事業計 画 新旧対照表 42~44 ページ 別添資料 ○国の「被災者生活再建支援制度」、県の「山梨県・市町 村被災者生活再建支援事業」の記述を整理。 ○中小企業金融対策、農業災害関係金融対策について、 最新の内容に変更。 ○罹災証明の支援について、協定に基づく山梨県司法書 士会、山梨県行政書士会への支援の要請を追加。 第 33 節 災害ボランティア 支援対策計画 新旧対照表 44 ページ ○市、県等の公共機関とNPO、ボランティア団体等の 連携の取れた支援活動の展開について、記述を追加。 第4章 水防計画 第6節 通信連絡 新旧対照表 44 ページ ○県の「総務部防災危機管理課」が「防災局防災危機管 理課」に組織変更。 第8節 塩川洪水予報 新旧対照表 44~45 ページ ○県水防計画にならい、「はん濫」を「氾濫」に変更 第9節 国土交通大臣の行 う水防警報及び水位情報 新旧対照表 45~46 ページ 第10節 山梨県知事が行 う水防警報 新旧対照表 46~47 ページ ○国土交通大臣、県知事による塩川の水防警報の区間を 変更。 ○県知事による荒川、塩川の基準水位を変更、「氾濫危険 水位」を追加。 (3)地震編 第1章 地震編の概要 第1節 防災関係機関の処 理 す べ き 事 務 又 は 業 務の大綱 新旧対照表 49 ページ ○「関東農政局(甲府地域センター)」を「関東農政局(山 梨支局)」に名称変更し、業務内容を変更。 ○日本放送協会の業務内容の表現を変更。 ○不動産関係団体を追加し、民間賃貸住宅の確保等、業 務内容を記述。 第3節 想定地震 新旧対照表 49~50 ページ ○「山梨県東海地震被害想定調査報告書」における記述 が明確になるよう、平成 24 年8月 29 日の被害想定に 関する記述を削除。(関連する記述は第5節に移動。) 第5節 南海トラフ地震及 び首都直下地震対策 新規 新旧対照表 50 ページ ○山梨県で被害が想定される南海トラフ地震、首都直下 型地震の対策の基本的な考え方を記述。 ○甲斐市は、「南海トラフ地震防災対策推進地域」に指定 されている。なお、「首都直下地震緊急対策区域」には 指定されていないものの隣接する甲府市が同区域に指 定されていることから、一定の取り組みを行うことを 記述。 第2章 災害予防計画 第4節 消防計画 新旧対照表 50 ページ ○消防施設の整備に関する事業の種類を「施設整備事業 (起債事業)等」に変更。
第5節 生活関連施設の安 全対策推進計画 新旧対照表 50 ページ ○基本方針として「ライフライン施設の耐震性の確保、 代替性の確保」を中心とした内容を記述。 第9節 防災意識の高揚及 び 自 主 防 災 組 織 活 動 の推進 新旧対照表 50~51 ページ ○基本方針として「防災教育の徹底」「住民への自主防災 思想の普及」「要配慮者支援体制の整備」「男女のニー ズの違いへの配慮」「自主防災組織の育成強化」を中心 とした内容を記述。 ○市が行う指導について、現在の記述を「地域コミュニ ティの防災体制の充実」「女性の積極的な参画」「自主 防災組織の育成強化」「地区防災計画作成の支援」の4 項目に再編。 第12節 要配慮者対策の 推進 新旧対照表 51~52 ページ ○地震に関する防災教育に「地域への理解、家庭や地域 との連携」を追加。 第3章 災害応急対策計画 第6節 地震災害情報等の 収集伝達 新旧対照表 52~54 ページ ○甲府地方気象台が発表する地震・震度に関する情報に ついて県計画、気象庁が公表している最新の記述に合 わせて変更。 第7節 被害状況等報告計 画 新旧対照表 54 ページ ○ライフライン被災状況の収集先の一つである「(社)山 梨県エルピーガス協会」を「(一社)山梨県エルピーガ ス協会」に変更。 第8節 災害広報計画 新旧対照表 54 ページ ○SNS、Lアラートによる情報発信、Lアラートの運 用に関する記述を追加。 第21節 応急仮設住宅の 建 設 及 び 被 災 住 宅 の 応急修理計画 新旧対照表 54 ページ ○応急危険度判定の前文を追加。 第25節 生活関係施設の 応急対策計画 新旧対照表 55 ページ ○復旧体制、応急措置体制に「NTTドコモ山梨支店長」 を追加。 第4章 東海地震に関する事前対策計画 ※東海地震の予知が廃止となったため、本章の取扱いに ついては、国、県の動向を見極めて、次回改訂時に対 応します。 (4)資料編 ○ 平成 27 年度の改定時において、応援協定書が 56 件、190 ページ分を占め、膨大と