(
102
) 印度學佛 敏學 研究 第62
巻 第2
号 平成26
年3
月イ
ン
ド
後期
仏
教密教
に
お
け
る
『
金剛甘
露
タ
ン
ト
ラ
』
の
位置
と
性格
関連 諸文 献
の分
析
と三
註釈
の解
釈
を
め
ぐ
っ て一大 観
慈
聖
1
.序 論
本稿
で は,先行
研究
が皆
無の 『金 剛 甘 露タ ン トラ』 VOjramrta
−tantra (D :No .4351P
:No .74
, 以 下 vAT と略称 ) 1) につ い て 考 察 する .考 察
の 主た る資料
と し て は,ヴィ マ ラバ ドラ
作 『
金 剛 甘露
難i語釈
』 (D :No .1649
!P:No .2521
)2) ,ヴ ィ マ ラ バ ドラ作
『
金 剛甘露
タン トラ複註
』(D
;No
.1650
/P
:No
.2522
)3) ,バ ゴ ー作 『金 剛 甘露 大 タン トラ王複 註』 (
D
:N
・.1651
!P
:No
.2523
) 4) の 三註釈
に加
え,筆者
に よっ てVAT
本文
との類似 並行句
が確 認
さ れ た,『
秘密集会
タ ン トラ』
( =GST
) ,『
マ ハ ー マ ー ヤ ー ・タン トラ』(=MMT
), さ ら に はVAT
を直
接引 用す
るGST
に対す
る チ ャ ン ドラ キ ール テ ィの 註釈 『
灯 作
明』 (≡PU
),MMT
に対す
る ラ トナ ー カ ラ シ ャ ー ン テ ィの 註 釈『
有 功 徳 』 (謐 Gu)を用い る . した が っ て ,本稿
はvAr
そ のも
の の 解 明の み な らず,GST
, さ らにはMMT
とい っ た他の 仏教タ ン トラの解
明を も同 時 に意 図 する もの で ある.VAT
は小 品で 本 文の大 部 分が韻 文 (偈 頌 )で 綴ら れて お り5),全
ll
章
で構 成
さ れ てい る.VAT
に お い て , 世尊
金剛甘露
は 三面
六臂
と さ れる.明妃 はマ ーマ キ ー .VAT
は世尊
と 明妃マ ーマ キ ー との 対 話で あり
, 世 尊 が終 始一貫 して 一 人 称で語 る という
叙述形式
上 の特 徴が ある . こ の よう
な点
か ら,VAT
はその 叙 述 形式
上, サ ン ヴ ァ ラ系密
教文献
やMMT
な どの仏教
タ ン トラ と同様に,筆
者の提 唱 する 「論 的な仏 教 タン トラ」
ω に属 する .2
.GST
と
の関 係
筆 者の調査 に よれ ば ,『金剛 甘 露 タン トラ』 に基づ い て灌 頂 された修法者
(= 金 剛 阿 闍梨)の功徳
を説 く
VAT
ag
11
章第
21
偈
〜第
22
偈
(D ;27a3
−41P
:28a5
■6
) は ,GST
第17
章の 記 述 ([Matsunaga ]p.105
) と 類似 並 行 す る , こ の 両 記 述 は『
幻
化網
タ ン トラ 』 吻 〜顎1
α一tantra (D
:N
・.466
/P
:N
・.102
!大正:N
・.890
, 以 下 MJT と略称 )第
1
章
の 記述 との 関係
か らも重 要で ある 7) . 一方
, 三註釈
もGST
を 比 較 的に多
く引 用 し8), ま たGST
関連 の 文献
に言 及 して い る 9) .VAT
の 主 尊は世 尊 金 剛 甘 露である けれども,と
は
多
くの場 合 世 尊 を 「阿 闕」 と解 釈 して い る10). なお, 阿 闕はGST
の 主尊
で ある . また,GST
の各 章
題に は 「 一 切 如 来の身体 と語と心〔
その もの〕
で あ り秘 中の秘 であ る『
秘 密集会』
」 という
イン ド後期 仏教密 教に お け る 『金剛 甘 露 タン トラ』の位 置 と性 格 (大 観) (
103
) 表現が確 認 さ れるけ れ ども,VAT
の各章
題 に も「
一切如 来の身体
と語と心 を 金 剛 とす
る金剛甘露という大楽者
の『
金 剛甘 露 大 タン トラ』」 とい う表 現 が確 認 され ,「
身体
と語 と心の成 就の ため に」 という
記 述 も頻 繁に確 認さ れる. この よ う な事 実か ら,VAT
もGST
と同 様に身体 と語と心の 三 部体 系
を基 本 と して い る こ とが 指 摘で きる.ス ヴァ ーハ ーの 効 力 を説 くvAr
第3
章 第20
偈 ab 句 (D
:20a4
!P
:20b5
−6
)がGST
第14
章 に対 する註 釈PU
([Chakravarti
]p
.149
) に 引 用 さ れ て い る こ と か ら,VAT
の 成 立 は少 な くと もpu
の著 者で ある秘 密 集 会聖 者 流の チ ャ ン ド ラ キ ール テ ィ以前 と なる. 以 上 ,VAT
は 主 と してGST
の体 系に基づ い て い る と結論
で きる.筆 者
の研究
に よ れ ば,MMT
もwr
と同様
に基 本 的にGST
の体系
に 基 づ い て お り ([大 観2009c
]), 母 タン トラ と さ れ るVAT
とMMT
の両 者が 父 タ ン トラ で あるGST
の大 き な影 響 下にある こと は注 意 される.3
.SYT
と
の関係
次に,VAT
の 母 タ ン トラ と して の 側 面が考 察
さ れ なけ れ ば な ら ない .に は最 初 期の 母タ ン トラ と さ れる 『サマ ー ヨ ー ガ ・タ ン トラ
』
(−SYT
)ll)が秘 密 集 会 系の 文 献の 次に比 較 的に多 く引 用さ れ て い る.例 えば,VAT
第
1
章 第7
偈 c 句 に対 す る (D :23a2
−3
!P:25b8
−26al
) に はSYUT
第9
章 第182
偈 (D :N・.
366
,Ka ,176a71P
:N・.8
, Ka ,190b7
)が,
VAr
第ll
章 第18
偈 e句
に 対 する(D :
53a3
−4
!P:61al
−2
)}こはSYUT
第9
章 第2
偈 (D :N・.366
, Ka ,167b6
!P:N・.8
,・Ka ,181b8
)が それぞれ引 用 されてい る 12). この事
実はVAT
の 普 及 者 ガ ン ビ ー ラ ヴ ァ ジュ ラがSYT
に精 通 して い た という
ターラ ナー タ の報 告 とも無 関 係で は ない (注4
参照).4
.MMT
と
の関係
次に,MMT
との 関係 性 につ い て 考 察 する. なお,MMT
もGST
の体 系の み な らず,SYT
の体 系に も基づ い て い る ([大観2009c
])、 ラ ト ナー カ ラシ ャ ー ン テ ィ はMMT
第1
章 第21
偈 に対 する註釈Gu
(匚MMT &Gu
]p
.18
,pp
.109
−lll
)に お い てVAT
第7
章 第12
偈〜第14
偈 (D :23b7
−24a21P
:24b6
−8
)を 引 用 してい る.MMT
第1
章 第
21
偈は 「ビ ン ドゥ ・ヨ ー ガ」 を説
き,VAT
ig
7
章
第14
偈 ab 句はMMT
第1
章 第19
偈 ab 句 ([MMT
&Gu
]p
.14
,p
.100
) と類似 並 行 す る こ とか ら, 「甘露の 瞑 想 」を 説 くVAT
eg
7
章 第12
偈 〜 第14
偈 がGu
に 引 用 さ れ た もの と思わ れ る. こ の よ うに, 微 細 瑜 伽 と して紹 介 さ れ るVAC
「所 説の 厂甘 露の 瞑想 」 とMMT
所 説の 「ビン ドゥ ・ヨ ー ガ」は共 通の体 系 を有して お り,非
常
に密接
な関係
にある . ま た, 「五 甘 露の 成 就 」 を説 くVAT
第11
章 第
4
偈 〜第
15
偈
(D
:26b1
−7
/P;27b1
−28al
)は「
五甘 露の享
受 」を説 くMMT
第3
章 第1
偈〜第
6
偈 ([MMT
&Gu
]pp .144
−147
)13),MMT
第3
章 第16
偈 cd句 〜第3ka
偈 ([MMT
&Gu
] 一962
一(
104
)イン ド後期仏教 密教における 「金剛甘露 タン トラ』の位 置と性 格 (大
観)
pp
.155 −157) など と内
容 的に近似性
を示す
. こ の「
五 甘 露の享
受 」 を 中心 に説 くMMT
第3
章は, 「五甘 露の成
就」
という
同 内容
の章
題 を も つVAT
第11
章の 記 述と 関係 して い る. なお,VAT
ca
11
章とMMT
第3
章
に説か れ る 五 甘 露に 関す
る記 述 は,GST
第6
章第
21
偈 〜第
23
偈
([Mats
aga ]p .19
) ,第
15
章 第
38
偈
([Matsunaga ]p
.74
),第
16
章 第24
偈 〜 第25
偈 ([Matsunaga
]p .88
) ,第
16
章 第35
偈 〜第39
偈 ([Matsunaga ]pp .88
−89
), 第17
章 第9
偈〜 第11
偈 ([Matsunaga
]p ,97
) な ど を前 提 としてお り, この 点で もVAT
とMMT
はGST
の影響
下にある .5
.唯識
・如 来 蔵思 想
と
の関係
次に ,VAT
の 思 想 的な側 面につ い て考
察 す る .vAT 第
2
章 第12
偈d
句 (D :18b4
/P:19a3
)に は 「一切 は た だ識の み で ある」 と説
か れ ており
, こ こ に唯 識 思 想が明確
に確
認 される. また,VAr
第2
章 第12
偈 c句 (D
:18b31P
:19a3
)に見られ る 「かの唯一 な る もの」
は ま さに法 身
を髣
髴 と させ ,如 来 蔵 思 想 に相 通ずる ものが ある.一方, 『サン プ タ ・タ ン トラ』 第1
章 の 記 述 と類 似並行 す
るMMT
第
1
章 第
19
偈
cd句
は内容
的に唯 識 思想
と関係
して お り,MMT
第1
章
第4
偈 ab句
([MMT
&Gu
]p.4
, p.81
) とMMT
第
1
章 第
6
偈 ab句
([MMT &Gu ]p .6
,p
.85
)に見 られる 「一切 を満たす 女 性 」 も まさに法 身に等 し い 存 在 である .筆
者 がMMT
やVAT
を新た に 「論 的 な仏 教 タ ン トラ」 と評 す る根
拠 も両者
が 明確
に唯 識 思 想 を説
き, 同時
に如 来蔵 思 想 を予想す
る記述 を有
して い る とい うまさ にこ の 点にある.6
.結 論
以 上,VAT
の 実 践 体 系 はMMT
と同 様に主 と してGST
の 体 系 にその 大 部 分が基づ い てお り, 特に微 細 瑜 伽 に 関して はMMT
の そ れ と共 通 して い る 点,VAT
が理 論 的にMMT
と同様 に瑜 伽 行 派の唯 識 思 想, さ らに は瑜 伽 行 派 を基 盤 と して成
立 し た如 来 蔵 思 想 に基づ い て い る点を指 摘 す るこ と がで きる .そし て ,VAT
の成立 は, 下 限をVAT
を引 用 するチ ャ ン ドラキ ール テ ィ (10
世紀 頃) と ラ トナー カ ラシ ャ ー ン テ ィ (11
世 紀 頃)の 活 躍 期か ら11
世 紀 頃に, 上 限をGST
とMMT
の間, あるい はMMT
と同 時 期の9
〜10
世紀 頃と推定
する こ と がで きる .GST
の影 響 は 『時 輪 タ ン トラ』 に至 るまで ほ ぼすべ て のイ ン ド後 期 仏 教 密 教 文 献に多 か れ少 なか れ広 く看 取 さ れ, 少 な くとも11
世紀 の イ ン ドで は絶 大 なる権 威 を与 え られて い た 14>. イン ド後 期 仏 教 密 教に おけるGST
の重
要性
を考慮
すれ ば,GST
やMMT
と類 似 並 行 す る記 述がVAT
に存 在 し,VAT
もMMT
と同 様 にGST
の体系
に基づ い てい る こ と が判 明 した という
事 実は,VAT
の イン ド後 期 仏教密
教史
上におけ
る重 要 性 を示す
もの として看
過で きない .イン ド後期仏 教密教における 『金剛 甘露タ ン トラ』の位 置と性 格 (大 観 ) (
105
)1
)VAT
は般若 ・母 タ ン トラ,金剛日部族の金 剛甘 露 系に属 する唯一の タ ン ト ラであ り, 梵本は1
本だ け存 在 するが ([梵 仏研IV
]p
.321
参照),校 訂 出版は まだなさ れて い ない . 本 考察は筆者が校 訂 し た チベ ッ ト語訳テキス トに よる.チベ ッ ト語訳 者は ギ チ ョ ・ダ ウ ェ ウーセ ル (11
世 紀 )で ,漢 訳は確 認さ れてい ない .2
) の梵 本は1
本だ け存 在 する が (匚梵 仏 研IV
] p.322
参照), 校 訂 出版は ま だ な され て い ない .本 考察は筆者が校 言∫し た チベ ッ ト語訳テ キス トによ る。現存の チベ ッ ト語 訳は リン チェ ン ・ドゥ プ に よ る改 訂版で, 漢訳は確認さ れ てい ない .3
) の 梵 本と 漢 訳 は ま だ 見つ かっ て い ない .本考 察は筆者 が 校 訂 し た チベ ッ ト語 訳 テ キス ト による.チベ ッ ト語 訳 者 はス ム リテ ィ ジュ ニ ャーナ キール テ ィ (11
世紀 前半 ). は を 増 広 して作成 さ れ た 複 註 (tika
)で あ り, 両 註釈は ほ ぼ 同様の本 文解 釈を 展 開 し, 同文の箇所も多い.4
) の 梵 本 と漢訳はまだ見つ かっ てい ない . 本 考 察は筆 者が校 訂し た チベ ッ ト語 訳テ キス トに よ る.チベ ッ ト語 訳者は ターラパ ーラ とチ ン ・ヨ ンテ ンワル で, 現存の チベ ッ ト語訳は シーラ グヒヤ ヴァ ジュ ラ とロ ク キャ ・シェ ーラ プツ ェ ク (1042
−1136
)に よ る 改 訂 版.ロ ク キ ャ ・シ ェ ーラ プツ ェ クは チ ャ ク ラサン ヴァ ラの 相承者で ある く[桜 井1996
]pp .601
−602
参照).四 門衛に関する の記 述は ア バ ヤ ーカラ グプ タ作 『完成 せ るヨ ーガ の環 』の記 述と一致 する ([Lee ]p27 (fbotnote
626
) 参 照 ).ターラ ナー タ に よれば,VAT
の 「請 来者 」は 『サマ ーヨーガ ・タ ン トラ』に精 通し た ガ ンビーラ ヴァ ジュ ラ であ り,これに アム リ タ グ ヒヤが続 くが, の著者バ ゴ ーはこ の アム リ タ グ ヒヤの弟 子 であ り, と の著 者 ヴ ィマ ラ バ ドラに タン トラを 教 え た 人物 とさ れ る([寺本 婉 雅 訳 「ター ラナータ印 度 佛 教 史』 (国 書 刊 行 会 ,
1974
年)]pp
.309
−312
,p
.383
).5
)チ ベ ッ ト語 訳が概ね1
パ ーダ7
シ ラ ブル で翻 訳してい る こ と, 引 用が確 認 さ れ た pu とGu の梵 文か ら, VAT の韻律は一般 的 なシュ ロ ーカ調で ある こ とが わ かる.6
)サン ヴァ ラ系 密教 文 献やMMT
な ども世尊 と明妃 の対 話で あ り, 何れ も世尊が終始 一貫 して一人 称 で語 る とい う叙 述 形 式 上の特徴 が あ る.筆者 はこ の ような 叙 述ス タ イ ル の 仏 教 タン トラ を 「論的 な 仏 教 タン トラ」 と呼ぶ (匚大観2009c
コ).7
)MJT 第1
章の 記 述 (D ;95a5
−6
!P:60b2
−3
/大 正 Vol.18
;p ,560
,上段22
−27
行 目)と第
10
章の 記 述 (D
:133a1
−2
!P
:101a6
−71
大正Vo1
.18
:p.582
,中 段21
−23
行 目) も参 照.
MJT
第1
章の記 述はPU
に引用され てい る ([大 観2006
]pp .116
−113
(pp .53
−56
)).8
)GST
の経名の みの 言及と して,VAT
第7
章に対する (D
:13a7
/P
:14b7
−8
)と (D
:46bl1P
:52a8
−52b1
) ,VAT
e91
章に対する (D
:56blfP
:64b7
)の記 述 が挙 げら れる. 一方,VAT
第1
章に対 する (D
:3b6rP
:4a5
−6
)と (D
:21b34
!P
:24a7
−8
)に ;よGST
第
7
章 第27
偈 ([Matsunaga
]p.22
)が ,VAr
第1
章に対 する (D
:19b4M
:22a5
−6
)に は
GST
第18
章 第40
偈 ab 句 ([Mats
aga ]p .l
l6
)が, VATaS
3
章に対 する (D :9a3
/P:10a4
)と (D :33a7
−33bl1P
:37a6
)には GST 第18
章第33
偈ab 句 ([Mats aga ]p
.115
)が,VAT 第1
章と第2
章に対する (D :58a4
−5
,72b6
−71P
:66b7
−8
,
83b8
)には GST 第
17
章の 記 述 ([Matsunaga ] p.109
)が そ れ ぞ れ 引 用 さ れ てい る.(
106
) イン ド後期 仏教密 教における 『金剛甘露タン トラ』の位置と性格 (大 観)9
)vAr
第1
章に対 する (D
:20b7
−21al
/P
:23b2
−3
)に は, 『秘 密 集 会の カー リ カー』の 中の
1
偈 (同定不能 )が 引 用 され ,VAr
第3
章 と第7
章 に対 する (D :33a5
−
6
,46b4
? (D に はbya
ba
des
sems can _phyin
cilog
pa
’i
(P
:52b6
−53b3
に相 当)を欠 くため に, D にお ける当該の 引用 箇所は確 認 不能)
1P
:37a3
−4
,53bl
−2
)に は , ヴィ タパ ー ダ作 『秘 密 集会 成就 法利 験生宝蔵 』の中の1
偈 (D
:No
.1874
,Pi
,22b4
!P
:N
。.2737
,Thi
,
26a4
)が引用 さ れ てい る. また,VAr
第6
章に対 する (D
:39b41P
:44a7
−
8
)に は,
gSah
ba
’dus
pα ’i sgrub thabs zlaba
とい う文 献 も引用さ れてい る.lo
) と で は, 「世 尊= 阿 闕」とい う解 釈 が至る とこ ろで な されて い る.例 えば , VAT
第
1
章に対 する の記述 (D :lb4
,
2b5
,2b6
,3a5
!P:2a3
,3a3
,3a5
,3b4
−5
),VAT
第3
章に対 する の記 述 (
D
:9b1
〆P
:10b3
),
VAT
第5
章に対 する の 記 述 (D
:lla5
/P
:12b3
),VAT 第
1
章に対 する の 記述 (D :18a2
,18b4
,19al
,19b6
,19b6
−7
,24bl1P
:20a8
,
21a3
−4
,
21b1
,22m8
,22bl
,27b1
), VAT 第3
章 に 対 す る の 記 述 (D :34a3
/P:38a1
), VAr 第5
章に対 する の記述 (D :
38a2
−3
/P:42b2
)な どを挙 げる こ とが で きる.11
)SYT
の梵 本 と漢訳は伝 存せず, 『サマ ーヨ ーガ ・続タン トラ』 (D
:No
.366
!P ;No
.8
=
SYUT
)と 「サマ ー ヨーガ ・続々 タ ン トラ』 (D :No .3671P
:No .9
=SYUUT )が チベ ット大蔵経 中に確認さ れ るのみで , 根本タ ン トラ は伝承さ れて い ない .
12
>た だ し, SYUT 第9
章第2
偈の引用 につ い て は,出 典 が 明 か さ れ てい ない .な お,
SYUT
第9
章第2
偈は SYUT 第1
章第1
偈 (D :151b1
−21P
:164a6
−7
), SYUT 第5
章第
9
偈 (D
:155b7
−156alrP
:169a3
−4
),SYUUT
第18
章 第2
偈 (D :No .367
, Ka ,193bl1P
:No
.9
,Ka
,209a4
), さ らには 『サ ンプ タ・タン トラ』 第1
章第3
節の中の1
偈 ([Skorupski
]p
.233
)とも一致し, VAT 第11
章 第18
偈e 句に対する (D :17a3
−41P
二19a7
−8
)にも引 用 さ れて いる.