海外原子力ニュース
2013年10月号
一般社団法人
日本原子力産業協会
海外原子力ニュース ―― 2013年10月
米 国 CB&I社が中国原発建設で投資公司と合弁 ... 1 規制委が10日から一部閉鎖、原子力施設での緊急時には職員を呼び戻し ... 1 英 国 ABWR設計審査、2017年末に完了へ ... 2 マグノックス社ウィルファ1号機の操業延長申請 ... 2 政府がヒンクリー計画の買い取り価格で合意、25年ぶりの新設計画が具体化 ... 3 ベルギー 原研が未臨界炉のインフラ技術設計を発注 ... 4 スイス ミューレベルク原発を前倒し閉鎖 ... 4 ロシア TVEL社、田湾3・4用燃料供給を受注 ... 5 カナダ ダーリントン原発増設計画が頓挫 ... 5 韓 国 欧州の2国と原子力協定 ... 6 新古里3・4号機の運開1年遅れ ... 6 インド ロシア製クダンクラム発電所が送電網に接続 ... 7 ベラルーシ 原子炉導入計画、安全局が建設許可発給 ... 7 ヨルダン 原子炉導入計画のメーカー選定、ロシア製PWRを2基建設へ ... 7 米国・ベトナム 両国が原子力協定調印、ベトナム市場は500億ドル規模に ... 8 英国・中国 両国が原子力協力覚書 ... 9 カナダ・EU 包括的経済貿易協定で原則合意 ... 9 バングラデシュ・ロシア バングラデシュの原子力導入計画 ロシアと設計契約に調印 ... 10 国 際 ITER計画で大規模契約、仏独企業に建屋設備発注 ... 11米 国 CB&I社が中国原発建設で投資公司と合弁 米国のエンジニアリング・建設企業であるシカゴ・ブリッジ&アイアン(CB&I)社は 10月1日、中国電力投資集団公司(CPI)の発電エンジニアリング子会社と共同で中国 に原子力発電所を建設するため、合弁事業体を創設すると発表した。中国が中長期的な原子 力発電開発計画で2020年までに新たに約30基の原子炉新設を検討していることから、 次世代原子炉の建設市場における優位な立場を強化していくため、積極的に参加していく考 え。 CB&I社は今年2月、エンジニアリング企業最大手のショー・グループを合併吸収。シ ョーはウェスチングハウス(WH)社と組んで米国で数十年ぶりの新設計画となったボーグ ル増設計画やV・Cサマー建設計画でエンジニアリング・資材調達・建設(EPC)契約を 獲得していることから、CB&I社は世界でも最大規模のエンジニアリング会社となった。 一方CPIは、中国の大手電力会社であるとともに、同国で原子力発電所の所有・運転を 許された3つの電力会社の一つ。現在、山東省・海陽におけるWH社製AP1000の建設 計画にも出資している。CB&I社は中国では同計画のほかに、浙江省・三門のAP100 0建設計画にもエンジニアリングや資機材調達、起動、情報管理システム、プロジェクト管 理サービスを提供している。 CPIとの今後の協力については、CPIが中国で計画・投資する新規原子力発電所のエ ンジニアリングや資機材調達のほかに、建設管理、起動、プロジェクト管理および技術支援 サービスなどをカバーする計画だ。 規制委が10日から一部閉鎖、原子力施設での緊急時には職員を呼び戻し 米国では今月1日から2014会計年度(14年9月まで)が始まったが、議会両院が暫 定予算案で合意できなかったことから、米原子力規制委員会(NRC)もその他の連邦機関 と同様、10月10日から一部の業務を停止せざるを得ない状況となった。ただし、原子力 関連施設等で発生した緊急事態が追加のNRC職員による対応が必要となった場合は、特定 のスタッフを自宅待機から解いて直ちに対応に当たらせる計画で、NRCとしては原子力施 設における安全・セキュリティ業務に支障のない点を強調している。 1日から9日まで概ね平常通りの業務継続を可能にしていた前年度の繰越予算が底をつき、 NRCは緊急性の薄い原子炉許認可や認可更新手続き、緊急時対応演習、設計認証、規則や ガイダンスの策定業務が実行不能になったと9日付けのブログで発表。その週以降に予定し ていたすべての公聴会を延期もしくはキャンセル扱いとしたほか、原子炉許認可手続きにお ける使用済み燃料の環境影響評価で必要な規則となる「廃棄物保証」の改定審議も延期して いる。 同様に停止した業務として、核物質や廃棄物に関する通常の検査や許認可などを挙げたほ か、ウェブサイトでの情報の更新を特定。一方、ユッカマウンテンでの最終処分場建設認可 関連活動は放射性廃棄物基金からの予算充当であるため、例外的に継続されているとした。 9月末に予め公表していた閉鎖時の対応計画どおり、NRCは職員3900名のうち、本 部の管理職など約300名を緊急時対応に必要な自宅待機からの除外職員として温存。この うち約半数が原子力発電所や燃料施設の常駐検査官で、残りはこれら施設で緊急時の初期対 応に当たる要員。また、A・マクファーレン委員長以下、四名の委員達、および検査総監な
ど大統領が任命した職員も自宅待機要員から除外されている。 NRCは独立の立場を有する連邦機関であり、運営予算の90%は原子力許可取得者や許 可申請者が許認可手続きの際、NRCに支払う手数料。しかし、これをNRCが直接手にす ることはできず、徴収した手数料は一旦、財務省に振り込まれ、議会がNRC予算として承 認して初めてNRCに割当られる。2013会計年度でのNRCの予算権限額は原子炉安全 プログラムにおける7億5千万ドルを含めて合計9億8560万ドル。このうち90%の8 億6400万ドルが手数料収入で回収されている。 英 国 ABWR設計審査、2017年末に完了へ 英国の原子力規制局(ONR)と環境庁(EA)は10月9日、包括的設計審査(GDA) における昨年12月から今年8月までの経過報告書を公表し、日立GEニュークリア・エナ ジー(HGNE)社のABWR設計審査が本格審査の開始から4年後の2017年末には完 了する見通しであることを明らかにした。 英国政府が進める原子炉新設計画では、採用設計の認証制度であるGDAを受けることが 不可欠で、これまでに仏アレバ社の欧州加圧水型炉(EPR)のみが設計容認確認書(DA C)を取得。ウェスチングハウス(WH)社製AP1000では11年に暫定DACが発給 されたものの、同社は英国で採用顧客を確実に確保できるまで審査を進めない方針であるた め、作業は中断している。 HGNE社のABWRはウィルファとオールドベリー両原発サイトに建設される予定で、 今年4月からONRとEAがGDA審査を開始。第一段階としてHGNE社が安全性や環 境・セキュリティ関係の文書を提出したほか、詳細な技術情報交換のため、ONRらがHG NE社の製造工場や国外で完成間近のABWR建設サイトを視察した。こうした準備作業の 順調な進展を受けて、HGNE社はこの10月から12月にかけて技術文書を提出予定。O NRらも審査の準備段階を終えて、来年初頭から第二段階である本格的な評価作業が開始可 能になるとしている。 ONRによると、これまでに完了したEPRとAP1000の技術課題審査などから様々 な教訓が得られており、HGNE社が英国の規制要件を満たしたABWR設計の包括文書を 揃える上で助けになった。これにより評価プロセスの効率性も上がり、EPRで4年半かか ったGDAの本格審査が、ABWRでは4年で済む可能性が高いと説明している。 マグノックス社ウィルファ1号機の操業延長申請 英国でウィルファ原子力発電所を操業するマグノックス社は10月9日、世界で唯一の旧 型ガス冷却(マグノックス)炉である1号機(56・5万kW)の操業を15か月延長する 申請書を原子力規制局(ONR)に提出した。 この申請は、10年毎にONRへの提出が義務付けられている定期安全審査報告書(PS R)に盛り込まれたもの。マグノックス社は昨年4月に2号機を永久閉鎖したが、その理由 はマグノックス合金で被覆した専用燃料がすでに製造されておらず、2号機で部分的に使用 した燃料を1号機に流用し、同炉で出来るだけ長期の運転を実現するためだった。 この手続きは「原子炉間の照射化燃料交換(IRX)」と呼ばれ、同型のオールドベリー原
発ですでに実績がある。これにより、ウィルファ1号機の運転は認可期限の2014年9月 末まで保証されたが、今回の申請が承認されれば15年12月末まで営業運転を継続するこ とが可能になる。 政府がヒンクリー計画の買い取り価格で合意、25年ぶりの新設計画が具体化 英国政府は10月21日、サマセット州でヒンクリーポイントC(HPC)原子力発電所 の建設計画を進める仏電力(EDF)グループと、同計画の投資契約に関する主要項目で商 業合意に達したと発表した。同発電所の発電電力を政府が買い取る際の行使価格が決定した もの。今後、この投資契約を欧州委員会(EC)が国家補助規則に照らし合わせて承認し、 同計画に新たに加わった中国の2社を含めて建設・運営会社の株主が最終的な投資判断を下 せば、同国で25年ぶりのサイト許可を得た原子炉新設計画が2023年の運開を目指して 具体的に動き出すことになる。 <行使価格は92・5ポンド/1千kWh> この合意内容は同日、エネルギー気候変動省(DECC)のE・ディビー大臣が議会下院 に詳細を説明した。政府は昨年11月、原子力などのエネルギー開発プロジェクトで不確定 要素を減じ、多くの投資家を惹き付けるため、低炭素電源からの電力を固定価格で差金決済 (CfDs)する制度を電力市場改革法案に盛り込んでおり、HPCは同制度の下で建設さ れる最初の原発となる。 仏アレバ社製の欧州加圧水型炉(EPR)を2基建設する同計画では、1千kWhあたり 92・5ポンド(約1万5千円)を固定価格として決定。市場の卸売価格がこれを下回った 場合は政府がEDFに差額を支払う一方、逆の場合はEDFが差額を支払う。ただし、ED Fの建設・運営会社がサイズウェルCサイトでのEPR新設計画を確定すれば、同設計を初 めて建設する際にかかる経費を両計画で共有できるため、HPCの行使価格は89・5ポン ドに引き下げられるとしている。 CfDs制度による支払期間は35年で、HPC原発の運転寿命として設定された60年 間の6割に相当。これは多くの再生可能エネルギーに提案されるCfDs適用期間と同程度 になると説明した。行使価格の約2ポンド相当が廃止措置に伴う浄化経費として積み立てら れるが、最も低価格な大規模再生可能エネルギーである風力発電など、その他の低炭素電源 や、HPCと同じく2020年代に起動する新規のガス火力と比較してもHPCには競争力 があると政府は強調している。 また、財務省は今年6月、政府の信用保証制度である「UKギャランティ」にHPC計画 を予備認定。同制度は民間投資家からの資金調達が困難なインフラ・プロジェクトに信用保 証を提供するもので、同計画の総工費160億ポンドのうち65%を保証する件についてE DF社と財務省が協議を継続中となっている。 <中国が3~4割出資> 今回の合意については事業者のEDFエナジー社も同日、概要を公表。EDFグループが 同建設計画に45~50%、アレバ社が10%を出資するのに加えて、17日の英中両政府 の原子力協力覚書締結(別稿参照)に伴い、中国核工業集団公司(CNNC)と中国広核集 団有限公司(CGN)が合わせて30~40%を負担することになったと明言した。また、 その他の関心企業についても、15%までの出資比率を念頭に協議中だとしている。
ベルギー 原研が未臨界炉のインフラ技術設計を発注 長寿命放射性核種の破砕研究を実施しているベルギー原子力研究センター(SCK・CE N)は10月11日、世界でも初の加速器駆動・未臨界炉となる「MYRRHA」に関し、 設備インフラの技術設計を仏アレバ社の率いる企業連合に発注したと発表した。 MYRRHAは高経年化したベルギーの研究炉「BR2」のリプレースという位置付けで、 熱出力は5~10万kW。600MeVの陽子加速器を使って核分裂反応を維持し、冷却材 として液体の鉛ビスマス合金を使用する。ウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料 の装荷が可能で、未臨界という特性上、核分裂反応のコントロールが容易な多機能研究炉と して、2024年から25年にかけて本格運転に入る予定だ。高レベル放射性廃棄物に含ま れるマイナーアクチニドなど半減期の長い核種の変換に有効であり、スイスや日本でも同様 の加速器駆動システム(ADS)の開発研究が進められている。 原子炉本体の設計はすでにSCK・CENの専門チームが実施中であることから、今回の 契約は原子炉と粒子加速器を除くすべてのインフラ要素の技術設計に関するもの。過去2年 ほどの選定期間を経て、原子炉と加速器の建屋や冷却系、および計装制御(I&C)系の設 計作業をアレバTA社、イタリアのアンサルド社、およびスペインのエンジニアリング企業 集合体であるEAに委ねることになった。 契約総額は2400万ユーロで、具体的な作業項目は原子炉の投資・運転コストの見積や 性能目標の確証、運転認可手続きの準備、詳細なプロジェクト日程の確定など。同企業連合 のリーダーであるアレバ社が技術調整、設計全体の管理、機器の設置や安全性、計装制御に ついて調査を担当するため、契約額の半分以上を取得することになる。 スイス ミューレベルク原発を前倒し閉鎖 スイスのBKW社は10月30日、同社の操業するミューレベルク原子力発電所(KKM) (BWR、39万kW)を予定より3年前倒しの2019年で閉鎖する方針を発表した。長 期運転に伴う事業リスクを軽減するために下した判断だと説明しており、今後は水力や風力 などの設備拡大や新たな革新的技術によるエネルギーの生産・サービスに投資していくとの 考えを示した。 KKMは1972年に運開していることから、連邦政府が福一事故後に決定した「国内五 基の既存炉は運開後50年で順次閉鎖」という政策どおりに行けば22年まで運転が可能だ った。しかし、周辺の反対派住民がKKMの炉心シュラウドにヒビがあるとして提訴。法的 な争いが最高裁まで及ぶなど、同炉の運転期間は二転三転した。 こうした背景からBKW社は同炉を長期間運転することに関して規制上の側面のみならず、 技術的、経済的、政治的な面から熟慮。運転を続ければこれらの側面における不確定要素が 経済リスクを増大させる可能性がある一方、閉鎖を早めることにより財政資源を新たな代替 設備や革新的エネルギー技術に投入できるとし、6年後の閉鎖を決めたとしている。 閉鎖までの期間、BKW社はKKMの設備改善計画を実施する考えで、運転・維持関連で 投入する金額は約2億スイスフラン。このうち約1500万フランを冷却水の供給や燃料貯
蔵プールの冷却システム対策といった臨時の設備改善に投入する予定で、スイス連邦原子力 安全検査局(ENSI)も同計画について審査することになる。 ロシア TVEL社、田湾3・4用燃料供給を受注 ロシアの原子力総合企業ロスアトム社の10月21日の発表によると、傘下の原子燃料製 造企業であるTVEL社が、中国で建設中の100万kW級ロシア型PWR(VVER)と なる田湾原子力発電所Ⅱ期工事(3、4号機)向けに核燃料を供給する長期契約を獲得した。 契約総額は10億ドルで、中国核工業集団公司(CNNC)傘下の国際貿易企業・中国原 子能工業有限公司(CNEIC)、および田湾原発を運転する江蘇核電有限公司(JNPC) と締結したもの。3、4号機用の初装荷燃料に加えて、3号機の6回分の取替燃料、および 2007年から稼働している1、2号機(各VVER、106万kW)を含めた全4基用の 燃料製造付属品を2025年まで供給することになる。 対象燃料は100万kW級VVERで18か月間の運転サイクルを保証するという最新の 改造燃料集合体「TVS-2M」だ。11年から1号機に装荷していた試験バッチ六体を今 年9月に試験した結果、中国国家核安全局(NNSA)が同燃料の使用を許可。これを受け て、1、2号機は来年にも18か月運転サイクル仕様に改造されるほか、建設中の3、4号 機については初装荷燃料から同燃料が使用されることになったとしている。 TVS-2M燃料はすでにロシア国内のバラコボとロストフ両原発の全基で装荷実績があ る。 カナダ ダーリントン原発増設計画が頓挫 カナダ原子力協会は10月15日、オンタリオ州政府が州内のダーリントン原発サイトに おける原子炉2基の増設計画を保留すると発表した件について、産業界としての失望はとも かく、同サイト既存の4基とブルース原子力発電所の6基における改修を支援するという州 政府の計画を良いニュースとして受け止めたいとの考えを表明した。 カナダ原子力安全委員会は昨年8月、ダーリントン原発サイトで2018年以降に2基・ 約200万kWを運開させるというオンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)社の 増設計画に対し、同国で四半世紀ぶりというサイト準備許可(SPL)を発給。ウェスチン グハウス社とSNCラバリン社がOPG社との合意に基づき、それぞれ詳細な建設プランを 今年6月に提出したばかりだった。 現地の報道によると、オンタリオ州のK・ウィン首相は10日、「州内では電力需要を賄う 新たな発電設備を必要としない」と明言。同州のエネルギー大臣も「将来的に再考する可能 性はあるが、現時点で原子炉新設への投資は不必要だ」と述べる一方、2016年からダー リントン1~4号機の改修に取りかかるとの政府計画を明らかにしたと伝えられている。
韓 国 欧州の2国と原子力協定 韓国は10月18日にハンガリーと、23日にはフィンランドと相次いで平和利用分野に おける二国間の原子力協力協定を締結した。 2009年末にアラブ首長国連邦(UAE)から韓国の最新原子炉設計である改良型加圧 水型炉(APR1400)を4基建設する契約を受注して以降、同国政府は原子力を代表的 な輸出産業に育成していく政策を11年に確認。新たな原子炉の建設計画が浮上しているハ ンガリーとフィンランドにも積極的に売り込み活動を展開していく考えだ。 ハンガリーとの協力協定は同国のJ・マルトニ外相と韓国の尹炳世外相がソウルで調印。 ハンガリーの原子力市場に韓国が参入するための法的、制度的な枠組が設定されており、原 子力安全や先進技術の共同研究、および情報と人材の交換などで協力していく。 ハンガリーではロシア製の50万kW級PWR4基から成るパクシュ原子力発電所が唯一 稼働中で、同国の規制当局は昨年12月、1号機の運転認可を32年まで20年間延長する ことを承認。同原発を所有する国営MVM社は同サイトに2基を増設するため、出力や資金 の調達方法を再検討すると伝えられている。 一方フィンランドとは、同国のJ・カタイネン首相と韓国の鄭首相がヘルシンキで協力協 定に調印した。同国ではテオリスーデン・ボイマ社(TVO)がオルキルオト原子力発電所 4号機の建設計画で国際入札手続きを進めており、候補メーカー5社のうち韓国水力原子力 (KHNP)の率いる韓国原子力産業チームが出力145万kWのAPR1400を提案中。 韓国原発の安全性と技術力を立証するとともに、欧州の原子力市場に進出する足がかりを築 くことを狙っている。 新古里3・4号機の運開1年遅れ 韓国産業通商部(MOTIE)は10月18日、同国の最新設計「APR1400」とし て建設中の新古里原子力発電所3、4号機(各140万kW、PWR)の完成時期が、制御 ケーブルの交換作業により1年遅れになるとの見通しを明らかにした。 両炉は今年9月と来年9月にそれぞれ完成予定だったが、事故時に原子炉冷却などの安全 系の動作信号を送信する重要部品である制御ケーブルで安全評価結果が偽造されていたこと が5月末に発覚した。6月以降に再検査の手続きを進めたところ、韓国籍のJS電線社が製 造したケーブルは燃焼試験や冷却材喪失時の性能確認試験で基準値をクリア出来なかったと 見られている。 MOTIEによると、同社製ケーブルが再試験に合格出来なかった場合に備えて、すでに 米国籍の電線会社を手配済みであり、11月までに性能試験を終えた後、12月にも製造開 始が可能。事業者の韓国水力原子力(KHNP)もケーブル交換作業、建設工事全体を1年 以内に完了できるとの見方を示している。 こうした状況から、来年の夏の電力需給についてもMOTIEは火力発電所の運転寿命延 長や完成の前倒しなどで予備電力を確保する計画。信頼性の高い予備力が保証されると強調 した。 なお、JS電線社については民事および刑事上の責任を追及するため、厳正な法的措置を とる方針だとしている。
インド ロシア製クダンクラム発電所が送電網に接続 インドの原子力発電公社(NPCIL)は10月22日、ロシアから導入したPWRのク ダンクラム原子力発電所1号機が初めて送電網に接続されたと発表した。 技術経済調査のために2005年から運転を停止しているラジャスタン1号機(加圧重水 炉、10万kW)を除くと、同炉はインドの稼働中原子炉としては20基目。これまでは最 大でも50万kW級の国産・加圧重水炉(PHWR)が中心だった同国で、100万kWク ラスの軽水炉が稼働するのは初めてのことになる。 同炉は1988年にロシアと結んだ原子力平和利用分野の包括的な政府間協定に基づいて 02年に着工されており、今年7月に初臨界を達成。福島事故後に激化した地元の反対運動 により約2年遅れの併入となったが、今後は出力を現在の16万kWから50万kW、75 万kWと徐々に上げていき、定格出力を達成する計画だ。 すべての段階で様々な試験を実施し、技術的なパラメーターを確証する予定で、段階ごと に原子力規制委員会が次に進む許可を出すことになる。 ベラルーシ 原子炉導入計画、安全局が建設許可発給 ベラルーシ緊急事態省の原子力・放射線安全局(GOSATOMNADZOR)が原子力 委員会(AEC)に対し、10月14日付けで同国初の原子力発電所の建設許可を発給して いたことが明らかになった。これにより、フロドナ州オストロベツで出力120万kWのロ シア型PWR(VVER)を2基建設する同計画は、年内にも1号機の最初のコンクリート 打設に向けて正式に動き出した。 AECによると、安全局が建設を許可する判断を下したのは9月13日のこと。1986 年のチェルノブイリ事故では最も甚大な被害を被った同国だが、エネルギー資源が乏しいと いう事情のため、同国政府は福島事故直後の11年3月15日に初の原発建設でロシアと二 国間協力合意文書に署名していた。 昨年7月にロシアのアトムストロイエクスポルト社が請け負った一括ターンキー契約の総 額は100億ドルで、1、2号機はそれぞれ18年と20年に完成予定となっている。 ヨルダン 原子炉導入計画のメーカー選定、ロシア製PWRを2基建設へ ヨルダン国営のペトラ通信は10月28日、同国政府が初の原子力発電所建設の発注先と してロシアの原子力総合企業ロスアトム社を選定したことを伝えた。2020年代に国内電 力需要の12%までを賄うため、100万kW級のロシア型PWR(VVER)を2基建設。 三菱重工業と仏アレバ社の合弁事業であるATMEA社も最終候補に残っていたが、100 億ドルと言われる建設費の49%出資を約束したロシアの操業・資金調達提案が最終的な決 め手になったとみられている。
建設サイトは首都アンマンから東に85kmの砂漠地帯に位置するザルカ地区のアムラを 予定。ロスアトム社傘下のアトムストロイエクスポルト(ASE)社が原子力技術を提供す るほか、ルスアトム・オーバーシーズ社が戦略パートナーとして完成原発の操業を担当する が、建設に際しては原子炉の冷却に必要な水資源の確保をヨルダン側に要請している。 現地の報道によると、ヨルダン政府の担当大臣3名と原子力委員会のK・トゥカン委員長 が同日に記者会見を行っており、2023年の初号機完成を目指してヨルダンとロシアの両 政府はほどなく100億ドルの建設プロジェクトで協定を締結する段取り。最初の2年間で サイトの詳細な調査や送電網等のインフラ整備を行い、次の段階で両国は建設契約を結び、 建設工事を開始する。ヨルダンとロシアの建設出資比率は51対49だが、最終的な資金調 達オプションは今後の交渉により、トルコのアックユ計画と同じく、「建設・所有・運転(B OO)」方式になると見られている。 ヨルダンは中東地域に位置しながら天然資源に乏しく、エネルギーの97%を輸入。原子 力をエネルギー・ミックスの一部に加えることで国内経済の成長に役立てるとともに海水の 淡水化にも活用する方針だ。 発電炉の建設に先立ち、熱出力0・5万kWの韓国製・研究訓練用原子炉をヨルダン科学 技術大学内に建設するため、原子力規制委員会は8月に建設許可を発給。韓国原研と大宇建 設が建設費の1億3千万ドルのうち7千万ドルを低金利融資することで合意に達していた。 米国・ベトナム 両国が原子力協定調印、ベトナム市場は500億ドル規模に 米国務省(DOS)は10月10日、ベトナムと二国間の原子力平和利用協力協定(12 3協定)に調印したと発表した。両国間で原子力技術や核物質および関連機器の移転を可能 とする法的枠組となるもの。米大統領と議会の承認をもって、ベトナムが2030年までに 計画する1千万kWの原子力発電設備建設に米国企業が参加していく機会が開かれる。 同協定への調印は、オバマ大統領に代わって東アジアサミットに参加するためブルネイを 訪れていたDOSのJ・ケリー長官とベトナムのミン外相が同国の首都バンダルスリブガワ ンで行った。ケリー国務長官は調印直後の会見で「東アジアにおける原子力市場としてベト ナムは中国に次いで大きい」と強調。現在100億ドル規模のベトナム原子力市場が、20 30年には500億ドルまで拡大する可能性があると指摘した。 ベトナムはさしあたり2020年以降の初号機完成を目標に、南部ニン・トアン省の第一 サイト(フォック・ディン)にロシア型PWR(VVER)を2基建設することで09年に ロシアと正式な契約を締結。第二サイト(ビン・ハイ)に建設する2基については10年に 日本政府と正式合意し、13年1月に訪越した安部首相が同国への原発輸出を再確認してい る。 米国とは07年に米エネルギー省(DOE)とベトナム科学技術省(MOST)が原子力 平和利用における情報交換・協力取り極めに調印。ベトナムは1982年に核不拡散条約(N PT)に加盟したほか、90年に国際原子力機関(IAEA)との包括的保障措置協定が発 効、07年には同追加議定書に署名するなど、米国の123協定の要件をクリアする態勢が 整ったと見られている。
英国・中国 両国が原子力協力覚書 英国財務省のG・オズボーン大臣は10月17日、民生用原子力分野における協力で了解 覚書を中国政府と締結したと発表した。英政府が進める次世代の原子力発電所新設計画に対 する中国企業の資本参加を許可する方針を示したもので、将来的に同国が新設原発の大株主 となる可能性にも言及している。 英国の新設計画では日本の日立製作所がホライズン社を買収。東芝によるニュージェン社 株購入への動きも伝えられる一方、中国が高度に機微な原子力部門に参入することについて は一部の英国議員から情報セキュリティの点で制限が必要との声も上がっていた。しかし、 原子炉の新設では資金調達が重要ファクターの一つであり、投資に関心を持つ国には広く門 戸を開いていくことになったと見られている。 今回の覚書締結は、英中両国の経済・財務協議の一環として結ばれており、オズボーン大 臣の5日間の訪中における最重要項目。英国財務省のデイトン商務相と中国国家能源局の許 永盛・副局長が北京で調印したのを受け、オズボーン大臣が訪中最終日に視察に訪れた広東 省の台山原子力発電所建設サイトで公表した。 同サイトでは現在、中国広核集団有限公司(CGN)が仏電力(EDF)の協力を得て世 界初の仏アレバ社製・欧州加圧水型炉(EPR)を2基建設中。今年2月にヒンクリーポイ ントC建設計画から英国籍のセントリカ社が撤退した際は、CGNが資本参加する可能性に 関して協議を行ったという。CGNはまた、ホライズン社の購入についても関心を示したと 伝えられていた。 覚書は原子力関係の投資や技術、建設および専門的知見における協力の戦略的枠組を設定 する内容で、英国の原子炉新設計画に対する中国企業の投資支援のみならず、英国のロール スロイス社や核物質管理専門のインターナショナル・ニュークリア・サービス(INS)社、 エンジニアリング企業であるモット・マクドナルド社等が中国の大規模な新設計画に参入す ることも保証。この関連で、英原子力デコミッショニング機構(NDA)の子会社であるI NS社は同じ週に中国核電工程有限公司(CNPE)と協力覚書を交わしており、放射性廃 棄物管理における英国の経験を共有するとともに、10月下旬から英国で中国人技術者の初 期研修活動を開始することを明らかにした。 英国エネルギー省のディビー大臣は、英国の厳しい原子力安全・セキュリティ基準を満た している限りは、いかなる国からのどのような投資も歓迎するとの見解を表明している。 カナダ・EU 包括的経済貿易協定で原則合意 欧州連合(EU)とカナダは10月18日、双方の経済成長と雇用創出の促進に役立つ「包 括的経済貿易協定(CETA)」の主要項目で原則合意に達した。EUにとって主要八か国(G 8)参加国との自由貿易協定締結は初めてであり、北米市場への進出基盤が得られるとする 一方、カナダ連邦政府のS・ハーパー首相も「かつて無い大規模な協定であり、カナダにと っては歴史的勝利」と形容。特に、世界でも有数のウラン鉱開発地域であるカナダ中西部の サスカチュワン州政府は、ウラン採掘事業に対するEUからの投資に道が拓かれるとして歓
迎している。 サスカチュワン州のB・ウォール首相は同日、声明文を発表した。連邦政府がとり決めた CETAにより同州からEU市場への農産品輸出が可能になるとしたほか、ウラン採掘部門 を含めてEUの投資に対するカナダ側の規制が緩和されることになると指摘。こうした変化 はウラン採掘プロジェクトへの投資を一層魅力的なものとし、ウラン鉱山が集中する同州北 部地域の自治体や住民に一層の経済的機会と恩恵をもたらすと強調している。 同首相は具体的に、今後15年間の経済効果として25億カナダドルの投資と1200名 分の雇用創出を予測。2020年までに国際貿易輸出額を倍増させるという同州の成長計画 の実現に向けて、CETAは大いに役立つとしている。 EUとカナダ間のCETA交渉は2009年に開始。今後、技術的な論点部分で合意に達 した後、欧州理事会と欧州議会の承認をもって最終的な合意となる。 バングラデシュ・ロシア バングラデシュの原子力導入計画 ロシアと設計契約に調印 バングラデシュの原子力導入計画を請け負っているロシアの原子力総合企業ロスアトム社 は10月4日、両国が原子炉建設のための技術契約に調印したと発表した。今後2年間で1 00万kW級のロシア型PWR(VVER)2基の基本設計を行うとともに、来年初頭から バングラデシュの首都ダッカから160km離れたルプールで準備作業を開始する見通し。 15年に本格着工した後、5年後の完成を予定している。 今回の契約はロスアトム社のS・キリエンコ総裁とバングラデシュのS・ハシナ首相が見 守るなか、ロスアトム社傘下のエンジニアリング企業であるNIAEP―ASE社総裁とバ ングラデシュ原子力委員会の委員長が建設サイトで調印。その後、発電所の礎石を据える式 典が行われた。 両国は2011年2月の事前合意に基づき、同年11月にロシアのアトムストロイエクス ポルト(ASE)社を主契約者に選定。今年1月に環境影響調査やエンジニアリング作業な ど、関連文書の作成準備を目的とする準備作業にロシアが5億ドルを融資することで政府間 協定を結んだのに続き、今年6月には同作業の実施契約を締結した。 今回、作業の開始が決まった基本設計は許認可手続きの基盤となるもので15年10月に 完了予定だが、今年11月には優先工事事項や設置作業に関する実施契約も調印されること になっている。 採用設計はAES-2006モデルを改良した第三世代プラスの原子炉。NIAEP社が 実施するエンジニアリング調査の結果やガンジス河畔のサイト条件に応じて最終決定すると している。 なお、ダッカでは1日に原子力情報センターがオープン。昨年6月にロスアトム社とバン グラデシュ科学技術省が結んだ覚書に基づき建設されていた。基礎的な原子力情報の流布と 原子力に対する肯定的な印象の醸成に役立てるのが目的だ。
国 際 ITER計画で大規模契約、仏独企業に建屋設備発注 国際熱核融合実験炉(ITER)計画を推進する欧州連合(EU)の担当組織「フュージ ョン・フォー・エナジー(F4E)」は10月29日、トカマク複合施設の建屋設備について 仏独の企業連合と総額5億3千万ユーロ(約700億円)の契約を締結したと発表した。仏 国・南部カダラッシュのITER建設サイトでは現在、免震ピットの補強作業中。2020 年の運転開始を目指して、年内にもトカマク複合施設の土台となる同ピットでコンクリート 打設が行われる見通しだ。 ITER計画には日本とEU、ロシア、米、韓、中、印の7極が参加しており、2005 年に建設サイトをカダラッシュに決定。42ヘクタールの敷地内に39の関連建屋を建設予 定で、トカマク型実験炉の格納建屋と診断棟、およびトリチウム棟の三建屋等で構成される トカマク複合施設の総容積は9万7200立方メートルに達する。 今回の契約はF4Eの発注額としては最大規模。仏国の大手ガス企業GDFスエズ社の子 会社として暖房・換気・空調(HVAC)、電気工学機器、産業インフラ建設をそれぞれ担当 する3社、およびドイツに本拠地を置く建設エンジニアリング企業であるM+Wグループが 受注した。 今後6年の間に、トカマク複合施設の3建屋を含む13建屋について、空調管理や電気機 器システム等の設備の設計・建築およびメンテナンスを行う。また、計装制御系や流体ネッ トワーク、最新型火災探知・防止システムの供給も含まれるとしている。作業は1年間のエ ンジニアリング段階を経て来年9月に開始予定。その後、5年間の建設作業に入ることにな る。 F4Eは今回の契約について、「新たな事業機会を生むノウハウの獲得と共有に向けて、前 代未聞の好機が欧州企業に与えられたという点で非常に重要だ」と評価した。同計画で本体 サイトの誘致を逸した日本は、カダラッシュでの活動を補完・支援する「幅広いアプローチ (BA)」活動の一環として、茨城県那珂町でサテライト・トカマク装置の建設等を推進。本 体機器の一部も含めて2千億円相当の調達が配分されており、すでに三菱重工がトロイダル 磁場コイル三基の製作を受注済みだ。 以 上