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髙野, 彬

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Academic year: 2021

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

分析型電子顕微鏡用ポリキャピラリーX線集光レン ズに関する研究

髙野, 彬

https://doi.org/10.15017/1807017

出版情報:Kyushu University, 2016, 博士(工学), 課程博士 バージョン:

権利関係:Fulltext available.

(2)

(様式2)

氏 名 : 高 野 彬

論 文 名 :分析型電子顕微鏡用ポリキャピラリーX線集光レンズに関する研究 区 分

論 文 内 容 の 要 旨

分析型走査透過型電子顕微鏡(

STEM

)では、サブナノメートルスケールの高い空間分解能での 直接観察が可能であり、同時に、電子ビームが照射された極微領域から放射される特性X線をエネ ノレギ一分散型

X

線分光法(

EDS

)で観測することにより、元素組成が分析できる。一般的な

X

線検 出器として使用される、半導体検出器(

SSD

)のエネノレギー分解能(半値全幅で

1 20eV

程度)で 元素組成分析の精度が制限されるため、近年、優れたエネノレギ一分解能を有する X線検出器である 超伝導相転移端温度計(

TES

)を利用したマイクロカロリメータ(

TES

検出器)が注目されている。

過去に開発された

TES

検出器を搭載した透過型電子顕微鏡では、半値全隔で

7 . 6 eV

という

SS D

比べてー桁以上優れたエネルギ一分解能が達成されたが、言十数率が

1 00

カウント毎秒(cps)程度 と低いため実用的ではなく高計数率化が要求されていた。現在、

5000

cpsより高い計数率で、半値 全幅で

10 eV

より優れたエネノレギー分解能を実現するために、

STEM

に搭載する

TES

検出器

EDS

システムの開発が進められている。この

EDS

システムでは、

TES

検出器を鏡筒の外に取り付ける ため、ポリキャピラリー

X

線集光レンズを使用して、試料から放射される

X

線を

T ES

検出器へと 集光するしかし、専用のポリキャピラリーX線集光レンズを製作するための設計手法は確立され ておらず、ポリキャピラリー

X

線集光レンズの

X

線伝送特性を高精度で再現するシミュレーション モデ、ルの構築が必要とされた。

本研究では、ポリキャピラリーX線集光レンズの設計手法を確立するために、始めに、ポリキャ ピラリー

X

線集光レンズの

X

線伝送特性の測定法を開発し、測定結果を再現するシミュレーション モデ〉レを構築した。次に、構築したシミュレーションモデルを用いて設計した、ポリキャピラリー X線集光レンズのX線伝送特性を測定し、設計手法の有効性を示した。

以下に本論文の構成を示す。

1寧では、本研究の背景と目的について述べた。

2章では、ポリキャピラリーX線集光レンズの X線集光原理及び X線集光特性について述べた。

3章では、本研究で開発したポリキャピラリーX線集光レンズのX線伝送特性測定法について 述べた。

X

線検出器に

SS D

を使用して、ポリキャピラリー

X

線集光レンズを取り付けたときと取り 外したときそれぞれの場合で測定したエネノレギースベクトルを比較することで、ポリキャピラリー

X

線集光レンズの利得をエネルギーの関数として評価した。また、

SSD

を入射

X

線に対して垂直な 方向に動かしながら測定したエネノレギースペクトノレを解析し、出射側焦点に伝送されるX線の空間 分布から焦点サイズを求めた。ポリキャピラリーX線集光レンズの利得測定値はエネルギーが

2 . 0

keV

4 . 5keV

X

線に対して

500

倍以上であり、集光サイズ、測定値はエネノレギーが

5k eV

以下

X

線に対して強度分布の半値全幅で

0 . 2 5 m m

であった。これらの測定値は、ポリキャピラリー

X

線集光レンズの設計仕様値を満足しており、開発した測定法の有効性を示した。

(3)

4章では、 X線伝送特性の測定結果を再現するシミュレーションモデ、ノレの構築とポリキャピラ リーX線集光レンズの設計について述べた。シミュレーションモデルで、は、与えられた形状のポリ キャピラリー内面で繰り返される X線の反射と吸収それぞれの過程を計算する。計算に必要なキャ ピラリー壁面の強度減弱パラメータ及び個々のキャピラリーの穴径は、 X線伝送特性の測定結果を 再現するように調整した。構築したシミュレーションモデノレを用いて、

64

ピクセル

TES

検出器の 検出面積に適応した集光サイズを条件としてエネルギーが

1 .

5

ke

V及 び

8 . 0k

eV

X

線に対して、

出射側焦点、における強度利得が、それぞれ

600

及 び

150

となるポリキャピラリーX線集光レンズを 設計した。設計に基づいて製作したポリキャピラリ←X線集光レンズの利得と集光サイズが設計値 と良く一致することを本研究で開発した測定法による X線伝送特性測定で確認し、構築したシミュ ションモデルを使用した設計手法の有効性を示した。

5

章では、

ST E M

に搭載した

TES

検出器

EDS

システムに、第

4

章で述べたポキャピラリー X線集光レンズを組み込んで、実施した動作試験について述べた。動作試験では、製作したポリキャ ピラリーX線集光レンズを使用することで、計数率が目標値の

2

倍となる

11500cp

sを達成した。

また、

200

c

p

sの計数率では、

S i k α

線(

1 . 7

4ke

V

)に対するエネルギー分解能が半値全幅で

8.48e

であったが、

5000cp

sを超える計数率では、エネノレギ一分解能が著しく劣化することを動作実験に より示し、

TE S

検出器の構造と配置に関する改善点を明確にした。

6章では、本論文のまとめと今後の課題、展望について述べた。

参照

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