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(1)

新 堂 他: 一 人 ひ と りを 大 切 にす る保 育 を 目指 して 一あ る子 ど もの 姿 を通して 一 21

一人 ひ と りを大切 にす る保 育 を 目指 して

一あ る子 ど もの姿 を通 して 一

*新 堂 満 千子

、*加 藤 望 、*小 泉 江 美 、*竹 村( 崎 山) 峰 世 、*植 田 登 世 子 、 *橋 本 眞 規 子

、*長 井 幸 恵 、*・**藤 原 剛 、***高 田 利 武

Educ at i onf or c us i ongont het ot al per s onal i t yof eac hi ndi vi dual c hi l d

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Tos hi t akeTAKATA

要 旨

奈 良 大 学 附属 幼 稚 園 は 「一 人 ひ と りを大 切 にす る保 育 」 を あ ざ して い る。 この 報 告 で は、 母 親 の過 保護 ・過 干 渉 を受 け て 育 ち 、 自己 中 心 の 世 界 に浸り、 他 児 に は 無 関心 なM男 と、 遊 び に入 れ ず た だ ウ

ロ ウ ロ して い るだ けのY男 とい う二 人 の 子 ど もの姿 を通して、 一 年 間 の 保 育 の 過 程 にお い て実 践し、 経 験した こ とに っ い て 考 察 した 。鷲 に、 こ の二 人 の個 性 は どの よ うな もの で 、 友 達 との 関 わ りが ど の よ うに変 化して い った か 、 そ の 中 で 教 師 は どの よ うに関 わ り援 助して い った か を 中 心 に して、 一 年 間 の姿 を振り返りっ っ 考 察 した 。 日々 の 保 育 の 実 践 の 中 で、 教 師 は 子 ど も と と も に生 活 をし、 一 人 ひ と りの子 ど もの あ りの まま の 姿 を 受 け止 め、 子 ど も と と もに共 感し、 信 頼 関 係 を 作 る こ と が最も大 切 で あ る こ とが感じ られ た 。 また 、 一 人 ひ と りの 子 ど もの よ り良 い成 長 の た め にそ の 子 に合 っ た き あ細 や か な教 育 的配 慮 ・援 助 が 必 要 で あ るが 、 その た め に は一 人 ひ と りの 発 達 が 著しく異 な る幼 児 期 の特 性 を十 分 に踏 ま え た 上 で 、 一 人 ひ と りの 子 ど もの特 性 を見 極 あ 、 洞 察 し、 理 解 す る こ とが重 要 で あ り、 教 師 が心 の ゆ と りを 持 って 臨 む こ とが 必 要 で あ っ た。 同 時 に 、子ど もに 大 きな 影 響 を 与 え る保 護 者と 信 頼 関 係 を築き、 共通 理 解 の 上 に立 って 子 ど もの育 ち を支 え 合 って い く こ と も非 常 に大 切 で あ る と考 え られ る。

1. は じ め に

幼稚 園 の集 団 生 活 の 中 で 、 一 人 ひ と りの幼 児 が 「そ の 子ら しさ」 を発 揮しな が ら、 友 達との 関 係 を 発展させ育って ゆく中 で 、 様 々 な問 題 が起こ ってくる。 自 己中 心 的 で 友 達との 関係 を 作 れ な い子 、 友 達との 遊 び にな か なか 入って行 け な い子 、 子 ど も同 士 の 自 己主 張 の ぶ っ か り合 い

(2)

な ど、 そ の姿 は様 々で あ る が、 そ の姿 に は一 人 ひ と りの 子 ど も の思 いや 関 心 が 映し出 され て い る ので は な い だ ろ うか。

そ の よ うに様 々 な姿 を見 せ る幼 児 の 中 で、 教 師 は幼 児 の 思 いを ど の よ うに受 け とめ、どの よ うに配 慮 、 援 助して ゆ け ば よ い の で あ ろ う。 幼 児 は、 い っ も側 で 自分 を暖 かく見 守って 自分 の 思 い を受 け入 れ て くれ る教 師 が い る、 そ して 自分 を 守 ってくれ る教 師 が い る とい う安 心 感 の も とで こ そ、 自分 を発 揮 で き るの で はな い だ ろ うか 。 教 師 は、 子 ど もの言 動 や心 の動きを 暖 かく 受 け と め る こ とを通して、 そ の子 の特 性 を 見 極 あ ながら集 団 生 活 が 出来 る よ う援 助して ゆくこ

と が大 切 で あ る。

こ こで は、 母 親 が過 保 護 ・過 干 渉 で、自分 中 心 の世 界 で 遊 び他 児 に は無 関 心 なM男 と、 遊 び に入 れず た だ ウ ロウ ロ した り眺 め て い るだ けのY男 と い う二 人 の子 ど もの姿 を通して、この 二 人 の個 性 は ど の よ うな もの で、 友 達 との 関 わ りが ど の よ うに変 化して い った か、 そ の 中 で 教 師

は ど の よ うに関 わ り援 助して い った か に つ いて 、 一 年 間 の姿 を振り返って考 察 す る。

H. 実 践

M男 とY男 に っ い て の そ の 実 態 と実 践 の 結 果 を それ ぞ れ ケ ー ス にっ い て個 別 に述 べ る。 実 践 の記 録 は園 児 の発 達 の段 階 に 応じて1ヶ 月 から数 ヵ月 毎 に分 け、 そ の特 徴 を表 す タ イトル を付 け て表 に示した。本文 で はそ の 期 間 中 に認 められ た特 徴 的 な事 項 を数 項 目 に ま とめ て 述 べ た。 A. M男 の ケ ー ス

〈 実 態>

1. 年 齢3年 保 育5才 児 ク ラ ス人 数 男15名 女14名 計29名

2. 学 級 集 団全 体 の実 態

・進 級 組2ク ラス の 混 合 ク ラ スで あ る 。

・男 児 女 児と隔 た りなく大 勢 で 仲 良く遊 ぶ こ とが 出来 る 。 ・お し ゃべ りが多く話 を 聞くと き も ウ ロ ウ ロ した り

、 騒 い だ りす る園 児 が多い ので 、 話 を 聞 く こ との 楽 し さ、 大 切 さを 知 っても ら うた あ、 指 人 形 やパ ネ ル シ ア タ ー な ど を使 い話 を す る こ とが 多 い 。

・M男 の言 動 や反 応 に対して 他 の 園 児 は少し戸 惑って い る 。 3. 個 の実 態

・父 母 本 人 の3人 家 族 ・3才 児 の 頃 のM男

・体 格 が よ く

、 入 園 時 の 身 長109. 2c m、 体 重29. Okg ・就 園 前 は 同年 齢 の 子 ど も と遊 ん だ 経 験 は乏し く

、 母 親 と二 人 の時 間 が ほ とん ど で あ った。

・語 彙 は豊 富 で あ るが 幼 児 音 で あ る。

(3)

新 堂 他: 一 人 ひ と りを 大切 に す る保 育 を 目指して 一 あ る子 ど もの姿 を通して 一 23

・何もか も初 め て の 経 験 で 楽し くて 仕 方 が な い よ うで あ り、 好 奇 心 旺 盛 で 、興 味

関心 の ま ま動き、 友 達 と関 わって の遊 び を好 む。

・友 達 に手 を 出した り泣 か せ た りす る こ とは な く、 む しろ他 児 に され るが ま まで

あ る。

・子ど ものトラ ブル で母 親 同 志 の問 題 が 起こる。

・遊 び にM男 独 自の イ メ ー ジが あ り「お ば け の世 界 」 「か ん お け ご っ こ」 等 、 一

人 で の遊 び が 目立 っ よ う に な る。

・他 児 に対 して 優 しい気 持 ち を持 って いて 、 泣 い て い る友 達 を見る と テ ィ ッシ ュ ペ ー パ0で 涙 を 拭 い た り慰 め た り して い る。

・4才 児 の 頃 のM男

・母 親 が育 友 会 の役 員 に な り幼 稚 園 に 出向 い て くる 日が 多くな る 。 ・友 達とのトラ ブル が 多くな る

。 押した り友 達 の物 を取った りす るが これ はM男 に と って は遊 び の 延長 で も あ るの だ が 、 他 児 に は理 解 出来 な い。

・感 性 が豊 か で

、 自分 の 気 持 ちを 素 直 に表 現 す る。

・自分 の気 持 ち を押さえ 切 れ な い時 が あ り、 突 発 的 に叫 ん だ りお ば けの 世 界 に逃

避しよ う とす る姿 が見られ る。 〈 実 践 〉

表 一1. 母 親 の保 護 と 自分 中心 の世 界: 朝 の 身 支 度 ・製 作 の様 子( 4∼5月)

親 と の 関 わ り

M男 の 姿 周 りの幼児の姿 教師の援助 反省 ・ 省察

親 とM男 親 と 教 師

・登園時の身の回 りの

玄関で 親 と別 れ一人 玄関でM男 が来 るの 毎 日M男 と一 緒 に2 「M君 は自分でで きま まず母 親 との話 し合 整理 は全部母親 まか で保育 室 にや って く を待 ち「一 緒 に行 こ 階の保 育 室 までっ い す よ 、み てい てあげ いが必要 だ。M男 の

せ で ある。 る 。 う」と声を か け る。 て来 てM男 の世話 を て 下 さ い ね。」とお 願 様子を 伝 えな が ら親

す る。 い する。 と教師 が 同 じ気 持 ち

でM男 と関 わ って い か なけれ ばなちない。

・一 人 で や ろう とする

身の回 りの整 理 は 自 M男の持 ち物 は いっ 教 師 の 依 頼 に 対し

が色々な事に興味を 分です る ことが で き も母親 が持 ちM男 の 「今日は ちょ っ と. . 」

持っので時間がかかっ る 。 後を追い か け て いる。 な ど理 由をっ け て は

てしまう。 保育 室に入 って来 る。

・教師や友達の言葉が

身の回 りの整 理 がで 「M君、先 に着替 え し「早く しな さ い。」 「ど け に 「う る さい。」 き ると好 きな活動 で て から ゆっく り 遊ん う して そ んな に遅 い

「分 か っ て る。」 と 言 遊ぶ だら ど うかな。」と声 の。」と言い な がら教

い な がらそ の ま ま の を かけ る。 師 が見 て い ない所 で

状 態で遊ん で い る 。 手 伝っ て いる 。

・ス モック の 着替え が

M男が泣 い てい る事 M男が着 替 えや す い 袖 ぐりの補正 を お願 スモッ グの 袖ぐり が小 ス ムー ズにで きず怒っ を 教 師 に 言 い にく る。 ようにスモ ッ クを 持 っ い す る。 さすぎ る よう だ 。も

て 泣 い て い る。 た りボタ ンか けを手 う少 し大 き く補 正 し

伝ったり する。 ても ら う必 要が あ る。

・一人 で保育室 に来 て

「M男、一 緒に保育室 M男 が保育室 に入 って 「私 や友達 が2階まで 母親が 保育 室 まで来

身 の回りの整理 もで に 行 こうよ。」と誘っ いくか心配そ うに見て 一緒 に行 き ます ので る一 番 の 理由は 、他 き る よ う に な っ て き て い る幼児もいる。 お り、友達との一寸と し 大 丈夫 です よ。 ご安 のク ラ スの子供から

たが時間がかかる。 た トラ ブルが あると走 っ 心 下さ い。」と声 を か

" デブ" と 言わ れな

てきて相手の友達に厳 け る。 いよ う守り たい から

(4)

・粘土 や空 き箱を使 っ

自分の好 きな遊 びを 教師 には 自分 の好 き

て蛇 やお化 け等 を作 して いる。 な こと( お 化 けや魔

る。友達 とは全 く関 法な ど) に つ いて話

わろ う としな い。 をしに 来る ので 、関

心 を示 し魔法 等 にっ

い て 話 を する。

・母 の日のプ レ ゼ ント

製作 を嫌 が り、 暴 れ 色々お母 さん の話 を

お 母さ んにプレゼン

作 りをす る。気 に入 て い るM男 をジ ーと しな がら、一緒に 作 トし よう と いう気持

らない こ とが あっ た 見 ている る 。

ちが生 じてい な いの

り、 思 い 通り に いか

では。

な いと、 教 師 に 八 っ

もう一 度M男 に話 し 当た りす るよ うに話

て みよ う と思う。

しか け てく る。

「あ 一嫌だ。どう し

床に座 るの が しん ど てこんなの作 るん橘 」

い ようだ 。

・母 親 が 保 育 室 まで 入 って 来 る こ とが多 い が

、 そ れ は" M男 を守る" と い う気 持 ちからの よ うで あ る。しかし、 トラ ブル が 生じた時 に" M男 が 自分 で解 決 で き る" よ う に して いか な け れ ば ならな い。 そ の た め に は母 親 の気 持 ち を受 け とめ る と と もに協 力 して も ら う必 要 が

あ る。 ・

・友 達とは全く関 わ りを持と う とせ ず

、 「お化 け」 や 「魔 法」 な ど 自分 の 好き な世 界に閉 じ こ も って一 人 で遊 ん で い るよ うだ。 そ の 閉 ざ され た世 界 を母 親 が守って い る面 が あ るの で は な い だ ろ うか。

・まず 母 親 と教 師 の信 頼 関 係 を作る こ とが必 要 だ

。 話' ( M男 の 様 子 を詳し く伝 え る) を す る 機 会 を 多く持 ち、 母 親と教 師 が 同 じ気 持 ち でM男 と関 わ って いか な けれ ば な らな い。

表 一2. 友 達 へ の 関 心 の 芽 生 え: プ チトマト植 え・内科 検 診( 5月)

親 と の 関 わ り

M男 の 姿 周 りの幼児 の姿 教 師の 援助 反省 ・ 省察

親 とM男 親 と 教 師

・" 植物" " 人 の から

絵本棚の図 鑑 を、 見 植物 や人 の か らだに

だ" の図鑑 に興味 を やすい よ うに整理 し つ いて興 味 を持 って

持 ち、発見 した事 な て おく。 い る ようだ 。色々 な

どを友達や先生 に伝

教材 を用意 しよ う と

える。

思う。

「M君、よく知っ てい 「先 生だけじ ゃ なく 、 母親は いつ もM男 の M男 が" 植 物n" 人 る な あ」 「難しそ う な お友達 に も教 えて あ 興味を示 す事 に協 力 の から だ" に 興味 を 本 や なあ、す ごい なあ。」 げ た ら? み んなび っ 的 で あ る 。 持って いる 事や 、そ

と感 心し ている。 く り す る と思うよ。」 れを通 して友 達 との

と声 をか けM男 と一

関わ りが増 えて きて

緒 に友達 の所 に行 く。 い る 事 を 伝 える。

・友達や 先 生とプ チト

プチトマトにっいて 、

マトの 苗 を 植 える。 みんな で話 し合 いを

する。

プ チトマトに つ い て 教 師 の 質 問 に 対し M男がみんなの前で発 M男が人前 で恥 ず か M男は人 前 で恥 ずか みん なの前 で発表 す r M君に聞 いて みよ う。」 表 で き る場 を 作っ て 、 しがらず発 表 で きる しが らず に発 表 で き

る 。 と言 っ てM男 の所 に 「M君は先 生より よく

事 を話 し誉 め る。 るので みん なの前 で

行く。 知って いる ね。これ か 発 表す る場 を作 って

らはM君 に聞いてみよ

み よ う と 思う。

うね。」「恥ず かしがら みん なの前 で発 表 しM男 は 自分 の話 しを

ずに発表できるなんて た事が きっか けで友 み ん な に聞 いてもら っ

M君 す ご いね 。」とみん だ ちとの関 わ りが で て 嬉しそう だ 。

な に伝え る。

(5)

新 堂 他: 一 人 ひ と りを大 切 に す る保 育 を 目指して 一 あ る子 ど もの姿 を通して 一 25

・内科検診 を受 けたの M男 の発表 を聞 い た 発表だ けで な く" 質 今 度は友 達 と会話 が

を機会 に、人 のから り質 問したり する。 問 コ ー ナ ー" を 作る。 で き るよう に" 質 問

だ につ いて発表 した コ ー ナー" を 作っ て

り、友達 の質問 に張 み よう

り切って 答え る。

・M男 は人 前 で恥 ず か しが らず に発 表 で き る ので 、 友 達 の前 で発 表 す る場 を た くさん作 った。

特 に" 植 物" " 人 の か らだ" に つ いて 興 味 が あ りよ く知って い た の で張り切って 発 表して い た。

・友 達 や先 生 が 自分 の話しを楽しそ う に聞 いてくれ た こと や、 み ん な が 自分と同じこ と に興

味 を持って い る とい う こ とを 知 り嬉しか っ た の だ ろ う、 積 極 的 に友 達 に話しか け る よ うに な って きて い る。

・" 質 問 コー ナ ー" を 作った こ とで 、 友 達 と会 話 をす る、 友 達 の話 を 聞 くとい う機 会 も増 え、'

自 由遊 び の時も友 達との会 話 が 目立 っ よ う に な って きて い る。 た だ、 今 は 自分 の 興 味 の あ る こ とだ け で しか会 話 に な らな い の で 、 どん な こ と に も興 味 を持 ち友 達 の話しを 聞 い た り 会 話 が で き るよ うに な って ほ しい 。

表 一3. 自 分 中心 の世 界 自由遊 び" み ん な 悪 魔 だ" ( 6月)

親 と の 関 わ り

M男 の 姿 周 りの幼児の姿 教師の援助 反省 ・ 省察

親 とM男 親 と 教 師

・自分の使 いたい道具

聞 いた 事 もな いよ う M男 の話 を よ く聞 き 遊 びな ど色 々な場 面

を友達が使 って いる な言葉 ばか りで 返事 受け と め ながらも、 を通 しな が ら集団 生

と 「お 前は悪 魔 だ 。」 に困っている。 集団生 活 にお いて の 活で の基 本的 な事 が

「いっ か地 獄 に突 き 様々 なル ー ルに つい 身に つい ていく と い

落と して やる。 」な て話を する。 いのだが最 近 トラブ

どと言 いなが ら泣 い ルが 多い ように 思う。

て 暴 れる。

自分の使 って いる遊 何回言 って も貸 して 「意地悪す る子 はみん M男の 様子 を話 しな M男 に対 し少 し口や

具は絶対貸そ うとし くれな い しM男 がす な敵よ。」 「○○君 が ら、 家で の遊 びや かまし く なり すぎ て

ないで「全部僕の物 ぐ怒るので 、M男 と と遊 ん だら ダ メ 。」 言葉使 い につ いて聞 い る の では ない だろ

だ」 と言 って友達を 遊んで いて も長続 き な どとM男 に言 い聞 い て みる。 うか 。M男 に 今 一番

叩いた り、遊具を投 しな かっ たり、関 わ か せ て いる 。 分 かっ て 欲し い 事,

げ たりする。 ろ う と し ない。 大切 な事 は何だろ う。

教師に他 の子 供 や親

の 悪 口 を 言う。

教師に対 して も 「う 教師 の立場 か らで は 思 わず 自分 の 気持 ち

る さい 奴だ 。家に 火 なく一人の 人 間とし を スト レ ートに ぶつ

をっけて丸 ごと燃や て自分 の気持ちを言っ けたが、M男 に何 か

して やる。」 「鎖を た。 「何で そん なご 変化 があ った よ うに

っけて海 に沈めてや とを言 うの? M男 思う。

る。」と 言っ て 話を にそん な こ とを言 わ M男 は感性 豊 か な子

聞こ う と しな い 。 れて悲しいわ 。」 なので、 教 師 の気 持

ち は通じたと 思う。

自分 の言葉 で 相手 が

泣 き叫んで いた声が 悲 しい気持 ちに な る

小さ くなり、 教 師 の こ と を、少 し分 かっ

顔 をジーっ と見 つ あ た よ う だ。

(6)

教師 と落 ち着 いて 話 M男の様 子 や言葉 遣

" 悪 魔" と 言わ れた " 悪 魔" " 地 獄" と

家庭訪 問の時 も、" お化 げ

をしていく う ちに 少 いの変化 に気づ く。 らどん な に悲 しい気 い う事 に 関して は

" 魔 女" " 呪い" などに興

しずっ相 手 の気持 ち 持 ちにな るのか 相手 「ビ デ オ の影 響でし ょ 味 をもって遊んで いた。

にな って物事 を考 え の気持 ち にな って考 う」 とあ ま り真 剣 に M男は" 悪 魔" M地獄" と

る よ うに なる。 える よ う 声 をかけ 、 考 えてい ない様 子 で い う言葉をどこで知り

M男 の手 を握 りな が あ る。 ど うい う気持ちで 使 っ

ら一 緒に考え る。 て いるのだろ う。

・他 児 に比 べM男 は集 団 生 活 で の基 本 的 な こ とが ほ とん ど身 につ いて い な い

。 そ の こと ば か り気 に な り 口や か ま し くな りす ぎた よ うに思う。M男 自身 の 状 態 を み て 、M男 の気 持 ち や 思 い を受 け止 め、 温 かく関 わ って い く こ と も忘 れ て はな らな い。M男 に は、 自分 の言 葉 や 行 為 が 他 の人 を どん な気 持 ち に さ せ るか分 か って い な か った の で は な いだ ろ うか。 ・" 悪 魔i " " 地 獄" と い う言 葉 は

、自分 中心 の世 界 で は使 って 遊 ん で い たが 、 徐 々 に教 師 や 友 達 との 関 わりの 中 で相 手 を攻 撃 す る言 葉と して 使 う よ う に な って き た。

・M男 に と って は集 団 生 活 で の様 々 な ル ー ル を教 え て いくこ と は、 まず 相 手 の気 持 ち に な っ

て 物 事 を 考 え る と い う こと か ら一一緒 に考 え 伝 え て い か な けれ ば な らな い。 教 師 の気 持 ち を 率 直 に述 べ た こ と が そ の き っか け に な った の だ ろ うか。

表一4. 友 達 の 気 持ち の 理 解: キ ャ ン プ( 7月)

親 と の 関 わ り

M男 の 姿 周 りの幼児 の姿 教 師の援助 反 省 ・ 省察

親 とM男 親 と 教 師

・キャ ンプ の 話 を 聞く

先生や友 達 とキ ャン キャ ン プに 行くこ と

プ の 話 を する。 を とて も楽 しみに し

てい る よ うだ 。

・キャ ンプ 場 入り口 に

トー テ ム ポ ー ル( みん

あるトー テ ム ポ ー ル な の こと を 守っ てく

に興味を持っ。 れ る山 の神様) に つい

てM男 と話 をす る。

・夜 中 、トイレの た め トイレ に 行っ た 後も M男 の気 のすむ ま で 母親が心配 し、 指 定 よ く寝 て い るので起

起 こされて機嫌 が悪 静 か に 寝 て いる。 話を聞く。 の時間 に必ず 起 こ し こす のをた めらっ た

くな り泣 き叫び暴 れ てトイレに 行か せて が、万一 失 敗 した時

る。 「こ んな っま ん ほしいと、事前に 教 の母親 の反 応 を考 え

な い ホ テ ル 燃 やして 師 に 頼 ん で い た。 て 起こ し た 。寝てい

やる。」と繰り返す。 る所を起 こされ て機

嫌 が 悪いの だろ う。

教師 と一 緒にお茶を みん な もM男 と同 じ 本当 は家 や母 親 が恋

飲みに行 き二 人だけ 気持 ちで ある とい う し くなった の だろ う。

で 話しを する 。「本 事や泣 きた くて も我 ゆっ くり話を 聞い て

当は早 くお うちに帰 慢 して い る事 を 伝 え み よう。

りた い ん だ 。」と 話 る 。 みんな もM男 と同 じ

し教 師の話 しに も少 気持ち と い う事 を伝

しず っ納得 す る。 え て 行きた い 。

ト ー テムポールに M男 と一緒にトーテ

「早 くお 日様 が昇 っ ム ポール にお 願い す

て明日になりますよ る 。

う に。」と お 願いし

(7)

新 堂 他: 一 人 ひ と りを大 切 に す る保育 を 目指して 一あ る子 ど もの 姿 を通して 一 27

・朝 食をし っ かり 食 二 日間 よ く頑張 った M男の頑 張 りを誉 め キ ャンプで の様子 を M男な りに二 日間 よ

ベ バ スの 中 でもぐ っ 事を誉め る。 る 。 母親に伝 え たか った く頑張 って い た し我

すり眠って、元 気よ が 、 さっ さと 帰っ て 慢 もして いた のだ ろ

くバ ス を 降り る。 しまった の で、頑張っ う。 母 親がすぐ 帰っ

たM男 を誉 めて も ら てし ま っ たのは、M

「もうす ぐお母 さん うよ う電話 で お願 い 男の トラブル を予期

に 会 える。」と元 気に した。「キャ ンプ は 楽 して、 それ を教 師 か

園 ま で 歩く。 しか っ た。」 とM男 が ら聞き たく な かっ た

言ってい ると いう 母 ようだ 。

親の言葉 があった。

・身 の 回 り の こ と は 出来 な い が そ れ な りに色 々 な 活 動 を 積 極 的 に行 い

、 キ ャ ンプ生 活 を楽し ん で い た よ うだ。 集 団 生 活 の 中 で の友 達との 関 わ りへ のM男 の 自信 に つ な が って い く こ と を 願 う。

・み ん な も 自分 と同じ気 持 ち と い う こ とを知り安 心も し

、また 、M男 な り に 自分も頑 張らな けれ ば と思 っ た よ うで 我 慢 を して い た よ うだ◎ 自分 の思って い る こ とを 全 部 話 せ た こ とで 気 持 ち も落 ち着 き、 教 師 の話も素 直 に聞き入 れ受 け とめ て くれ た。まずM男 の 気 分 を落 ち

着 か せ る こ とが 大 切 で あ る。

・夜 中 に泣 き暴 れ た こ と は事 前 の母 親 の依 頼 を意 識した こ とが きっか けの一 っ であ った 。 キ ャ ン プが終 わ って 迎 え に来 た母 親 達 は二 日間 の様 子 を教 師 に 聞 い て か ら帰って 行 っ たが 、M

男 の母 親はサッサ と帰 って 行 っ た。M男 の さ ま ざ ま な面 に、 母 親 が 直接 間接に大 き く影 響 して い るの で は な いだ ろ うか 。

表 一5. 自 分 中 心 の世 界 へ の 退 却 と反 省: 運 動 会 の練 習( 9∼10月)

親 と の 関 わ り

M男 の 姿 周 りの幼児の姿 教師の援助 反省 ・ 省察

親 とM男 親 と 教 師

・組体操の練習をす る

汗 をかきながら頑張っ 練 習態 度 にっ いて は 体型 の事 が理 由で で

瓜 すぐに 「疲れた。」 て練 習して い る。 厳し く注意す る。 きないの は仕 方 ない

「めんど く さ い。」と ので言 葉 が けに気 を

言 って寝転んだ りッ 「M君も い っしょ にし 頑張 って 参加 して い っけ た い と思う。

バ を 吐いたりする。 よ う。」「M君 も ちゃ る 時 は「今 のポー ズ

んとして よ。」と 口 々 格好よ かっ たよ 。」

に声をかけてい る。 「よくが ん ば っ た ね。」

教師に対 して も 「や と誉め た。 「できなくてもいいか 「今 日は○○がで きて 母親 の「で きな くて

かま しい 。」と言っ ら頑張 った らそ れで ん て ね 。すごい なあ。」 も い い か ら. . 」 と い

て舌打ちをす る。 い い の よ 。」とM男 に な どとで きた事 を具 う言 葉に は 、どう せ

話して いる。 体的に誉 め て も らう でき な いと いう思い よ うに お 願 い する。 も あ り、M男 は" し

な く て もい い" と思っ

て いるの か も しれ な

い。やる前から こう

言われ るとや る気 も

なく な る だ ろ う。

・「どう して 同じ事 ば

次か らっ ぎへ と新 し どう して繰 り返 し練

かりす る ん だ。」 「ど い型が出来 上 が り、 習す るの かM男 と話 繰 り返 しの練習 に対

うせ僕は何 もで きな 楽 しみ なが ら取 り組 す。教師 「M君 は お しては、単調に なら

い ん だ。」と言って 参 ん で いる。 化 けの事 をよ く知 っ ない よ う に 、意欲を

加しな い。 M男が参 加 しな い と てい るでしょ う。ど う 持続 させ るよ う工夫

ピ ラミ ッドが 出 来な して? 」 し な ければ と思う。

(8)

M男 「それ は何回 も 興味 や関心 のあ るこ

同 じテ レビを観 た り とを通 じて話 を聞 か

本を読 んだ り してい せ、 自分 で納 得で き

るか らいっ の間 にか る よう気 づ か せ た い 。

覚え る事 が で きるん だ。」教師「運動会の 練習 も同 じだ と思 う

な。」

M男 「そ うか何回 も 練習 して覚 えて みん な に教 えて あげ た り

発 表したりす るのか。」

とM男な りに納 得 し

・教 師の話 を素 直に聞 てい る。 で きな い事 もあ るが

く事 ができ 「何 回 も 成功 した喜 び とや り

練習 するか ら覚 える 遂げた満 足感 や充 実

事が で きる の か 。」 感をよ り多 く味 あわ

と納得 し、 友達 に教 せ て いきたい。

え て あ げ て い る。

・時 々「疲れた 。」と M男が納 得 し理解 し

言 うがM男な りに積

て くれた事 や、 積 極

極的に練習に参加す 的に練習 に参 加 して

る ように な って きた。

いる事 を 伝 える。

・体 型 の こ と を気 に か けM男 へ の言 葉 が け に気 を っ けて い たっ も りだ が 、 み ん な と同 じよ う

に参 加 させ た い とい う願 い が 強 くな りM男 に対し厳し くな りす ぎて い た よ うに思う。 ・目先 の行 事 に と らわ れ、 教 師 自身 の心 の ゆ と りの な さで ひ と りひ と りを大 切 に した援 助 が

で きて い な か った と反 省し、M男 との 関 わ り方 につ いて 考 え な おす 。M男 の興 味 や 関 心 の あ る事 柄 を通じて、自分 以 外 の 人 の 考 え 方 を 納 得 で き た ので は な い だ ろ うか。

・徐 々 に友 達と関 わ れ る よ う にな って きた が 、 まだ まだ 自分 中 心 の世 界 に後 戻りす る こ と も

多 い よ うだ。 母 親との 関 係 に注 意しな がら、 他 者 の気 持 ち を理 解 で き るよ うに な る こ とを 目指した い。

表一6. 友 達と の 主 体的 関 わり: キ ン ダ ー フ ェ ス ティバル の 準 備( 11∼12月)

親 と の 関 わ り

M男 の 姿 周 りの幼児の姿 教師 の 援助 反省 ・ 省察

親 とM男 親 と 教 師

・ キンダーフェスティ

母親が あ まり好 ま し 教師 にも、 関 わ らせ バ ルの合奏 の練習 に

く思っ て ない 子とは な い よう にし て 欲し

は、あ ま り興 味 がな 遊んで 欲 し くない よ いと数名の名があがっ

く参 加し よ う としな うで「K君 と遊 んで た。 も う少 し様 子 を

いo い い け ど、F君とY君 見 ても らうよ うお願

と は遊 ん では ダ メ。」 いする。

と話してい る。

・劇 の練習 には興味 を 1学 期 から 「やり た

持 ち張 り切 って参加 い」と言って い た役 だっ

して い る。 た ので、とても張り切 っ

て い る の だ ろう。

・同 じ役 のK男が長期

「M君 、 一人 や の に す 友達 と一 緒 にM男 の 友達に誉 め られ 少 し

欠席 の為、M男 が一 こい なあ。」「上 手に 事を認め誉め る。 ずっ自信 や積 極性 も

人で セリフ を言っ た セリフ いうなあ」 「格 みられてき てい る の

り しなければな らな 好い い なあ。」とM男 で 、も っと友達同 士

か っ た。 「僕 が頑 張っ の事を 誉 ある。 で 認 め 合っ たり でき

て覚 えてK君に教 え る よう、教師は 見ま

て あ げ る ん だ。」 もり子供 達 の声 を大

(9)

新 堂 他: 一 人 ひ と りを大 切 に す る保 育 を 目指して 一 あ る子ど もの姿 を通して 一

29

・友達 や先 生 に誉 あ

「M君 上手 や か ら僕 「みん なM君 の事 を M男 はY男 やF男 と 劇 の練 習 の様子 や 友 F男に話 そ うと して

ても ら い 、嬉し そ 拍 手す る わ。」 と のF よく見 てくれて るね。」 も遊 びたい が、 母親 達 との関係 を話 す。 口を押 さえ て止 め た

う に し て い る。 男の発言で、 みん な 「拍 手 して くれてや にダメ と言 わ れて い 特 にM男 とF男の 様 り してい る 。母親の

がM男に拍手をする。さしい ね 。」とM男 に るので な かな か遊 ぶ 子 も詳 しく話 す。 言 葉を思 い出 して い

も友達 のよ い所 を伝 こ とがで き な い。 るの だろ う と思う。

える。

・ キン ダ ーフェ スティ 最後 まで やり遂 げた

バ ル 当日は一人で 事の満 足感 や充 実 感

す るこ とに なっ た はM男に と って大 き

が、 最 後 まで堂 々 な 自信 に っな が る と

と 発 表 す る。 思う。

・M男 の好 き な活 動とい う こ と もあ り、 劇 の 練 習 に は張り切って参 加し積 極 的 に取り組 ん で

い た。 友 達 や教 師 に誉 め られ た り認 められ たり した こ とで 自信 に もっ な が った よ うだ 。 ・母 親 がM男 の友 達 関係 を制 約して い る面もみられ る が、 劇 の練 習 を通して仲 間 意 識も芽 生

てきた よ うで あ る。 そ の後 の 自由遊びで 友 達 と主 体 的 に 関 わ る姿 が よ くみ られ た。

表 一7. 友 達 の理 解と交 流 に 向 け て: 折 紙 製 作 で のトラ ブル( 2月)

親 と の 関 わ り

反省 ・ 省察

M男 の 姿 周 りの幼児 の姿 教師 の 援助

親 とM男 親 と 教 師'

・友達 と遊ぶ事 が楽 し M男が登 園 して く る 友達 と楽 し く遊 ぶM 2学 期後 半か ら友 達 頑張 り過 ぎて ス トレ

くて積極的 に関 わろ の を 待 ち 一 緒 に 遊 ぶ 。男の姿を見 まもる。 と積極的 に関 わ るよ

ス がた まっ てい ない

う と す る。 うに なっ てき ている

だろ う か。

事や、最 近 のM男 の 様子を話す。 教師の話 を聞 きM男

,

の成長ぶ りに喜ぶ。

・折 紙製作中U男 とぶ 突然M男 が 大声 で叫 しばら く様 子 を見 て 最近 のM男 の様子 か

っ かり顔 を 打ってし んだの で みん な驚 い いたが、M男 がU男 ら想 像もっかな い 、

まう。 「謝っ ても 許 てシ ー ン と な る。 を 叩こう とし た ので ど うした の だ ろう。

して やるも ん か 、一 止あ に入る。

生 恨 ん で やる。」

教師や友達の言葉が U男 は ずっと謝っ て 「痛か っ た ね。こん な ま ず は「痛い 」とい

けにも耳を貸そ うと い る。 に赤くなって. . 」 と う気持 ちを受 け止 め

しない。 他児 は 「M君痛そう。」声 をかけ、M男 の顔 不 安を取 り除 き、 気

「U君が謝っ て る から をなで なが ら気持 ち 持 ちを落 ち着か せ よ

許 してあ げ た らいい が お さ まるの を 待 っ 。 う 。

の に。」と声 をか け る。

「痛か っ た ね」と教 M男が話 を して くれ M男の 気持 ち がお さ

師に顔をなでてもらっ るまで何 も聞か ずM ま るまで好 きに させ

た瞬 間 「そ うなんだ 男の手 を握 りなが ら て あげ た い と思う。

痛 くて我慢できなかっ そ ばに い た。

た ん だ。」と言っ て

泣 き 出 す。

泣きなが ら教師の話

" 二人 だ けの秘 密 の

母 親 が 時 々M男 に 話 の中に 「僕 が全 部

を聞いていたが教師 場所" に 行 きM男 の 「全 部悪 い のはM君 よ。」 悪い ん だ、そ れ で い い

の手を強 く握 り返 し 話 を聞 いたり話 合 う。 「謝った からい い でし じ ゃな い か。」と言っ

な がら話し始 める。 よ。」「何もできないの ているが どう してだ

ね 。」 「なさけ ないわ。」 ろう。

など言ってい る。

保育室 に戻 りU男と U男 「M君ごめん ね。」 上手 に言 え た事 を誉 母親 に折紙 製作 の 時 本当は 分か って い る

話 を する。 他児 は仲 直 りす る二 め仲直 りが で きた事 の様子 を話 し家 で の の だろ う。で もど うや っ

「U君さ っ き は本当 人を見て い る。 を 喜 ぶ 。 様子 を聞 くが特 に変 て伝え れ ばい いの か

に ご あん ね 。」 わった 事はな いよう わ から な い の だ ろ う。

で ある。 これ から もM男 と一

(10)

・4月 の頃 に比 べ れ ば、 随 分と友 達 の気 持 ち を思 い や り関 わ りを 持 て る よ うにな って来 た が、

そ の 中 でM男 は無 理 を して い る部 分 が あ った の で は な いだ ろ うか 。

・" 僕 が全 部 悪 い、 謝 れ ば そ れ で い い" と い う言 葉 を 聞 い た時 、 気 がっ か な い うち に教 師 や

周 りの者 が そ うい う考 え を させ て い た ので は な い だ ろ うか。 接し方 に つ い て考 え 直 さな け れ ば ならな い◎a

・教 師 の話 を 受 け入 れ て も ら うた め に は、 子 ど もの気 持 ち が安 定して い な けれ ば な らな い。

不 安 や 心 配 事 を 一 つ ず っ 取り除く こ とが大 切 で あ る。 教 師 自身 の心 の ゆ とりが必 要 で ある。

表 一8. 友 達 との 心 の 交 流: 卒 園 式( 3月)

親 と の 関 わ り

M男 の 姿 周 りの幼児の姿 教師の援助

親 とM男 親 と 教 師

・玩具 の貸 し借 りなど M男の最近の友達関係

でトラ ブ ル が生じて や遊びについて話 した

も、 自分 で解決 でき り、一 年間 を 振り返り

る ように な っ て き て M男の成長 したところ

い る◎ な ど にっい て 話し、母

親 と一 緒 に喜 ぶ 。

・卒 園式の練習をする とて も行儀 よく頑張っ

て いる事を認 め練 習 が終わ って か ら も何

回も誉め た。

卒園が近づ くにっれ M男 に誘っ てもら っ 卒園が近 づ き少 し寂

て友達 との会話や遊 て 喜 ん でいる子や 、 しそうだ 。言 葉がけ

び が 増え 、" 友達と M男 よ り先 に誘 お う にも気 を っけ た い。

一 緒に する" という と玄関 までM男 を迎 ことを強 く望 み楽 し え に行く子も い る。 む 。

給 食 時に「××君 、

一 緒に食べよう。」

降 園時 に「××君 、

一 緒に行こう。」

教 師に「お友達 と会 M男 と一 緒 に どうす M男 は い つの 間に 、

えな くなるのが寂 し ればいい か考 え 「う こんな に上手 に 自分

いのだがど うすれば まく言 え な くて も思っ の気持 ちを伝 え る事

い い の だろう。」と てい る事 を そ のま ま が でき るよ うに なっ

聞 き に 来る。 お話 してみ た らど う た の だ ろう。

か な 。」と声 をか ける。

・卒 園 式 の日、自分 の M男の言 葉 に照 れて 上手 に言 えた事 を誉 M男 と友達 の写 真 を この 一 年 間 でM男 は、

思 ってい る事を友達 いる子 や卒 園 して も あみん な も喜 んで い 撮っ た り 、話し し た

" 友 達を大 切に す る 。"

み ん なに話 す 。 遊ぶ約 束を して い る た事 や 、言いた かっ りして いる が 、母 親 とい う事 を知 る事 が

「一 緒に遊 ん でくれ 子も い る。 た事が言 え た事 を、 が好ましく思ってい できた の だろ う。

て ありがと う! と っ M男 と一 緒に喜ぶ。 な い子には 、自 分は

て も楽 しか ったよ! ! 」 もちろんM男 に も近

づ け さ せ な い。

・M男 が この一 年 間 で こん な に 友 達 と仲 良くな れ た こ と、 友 達 を大 切 に思 え るよ うに な った

こ と、 ま た 自分 の気 持 ち を相 手 に上 手 に伝 え、られ る よ うに な った こ とが とて も嬉しい 。 ・行 事 や 日々 の生 活 を通じて い ろん な壁 にぶ っ かりな が らM男 は 自分 な りの方 法 で 問 題 を 解

(11)

新 堂 他: 一 人 ひ と りを大 切 に す る保 育 を 目指 して 一あ る子 ど もの 姿 を 通して 一 31

〈 考 察> 1. 1学 期

教 室 ま で や って来 る母 親 に、 い ろ い ろ世 話 をしても らって い るM男 。 全く自分 か らや ろ う と す る気 持 ち が な く、して も ら うの が 当 た り前 に な ってしま って い る。 お ば け・魔 法 な ど 自分 の好きな世 界 で一 人 で遊 ん で お り、 友 達 からM男 に関 わ ろ うと しても、 自分 の興 味 の あ る こ と以 外 は拒 否して しま うの で、 回 りの 子 ど も達 は戸 惑 い を示して い た。 拒 否 の仕 方は全 く無 視 か、 『悪 魔 』 『地 獄 』 『火 を付 け る』 な ど の言 葉 で 表現し暴 れ る。M男 に は 自 分 の 言 葉 や 行 為 が他 人 に どん な気 持 ち に させ るの か わ か って い な い の だ ろ う。 まずM男 の気 持 ち や 思 いを 受 け止 め た うえ で、 い ろ い ろな 場 面 を 捉 え て 、 相 手 に も思 い が あ る こ と又 相 手 の 気 持 ち に気 づ くよ うに取り組 ん だ。 な か な か 理 解 出 来 な いが 、 教 師 の素 直 な気 持 ち をM男 に 伝 え た こ と で、 少し気 づ い てくれ た よ う に思 った 。M男 が 色 々 な こ とを知って い る こ と、 又 友 達 の前 で 発 表 す るの が好きで あ る こ とを 捉 え 、 質 問 コ ー ナ0を 作って友 達との関 わ り合う場 面 を 多く 作 った。自分 の 話 を 楽し く聞 いてくれ る友 達 が い る、 ま た、 同 じ こ とに興 味 を も って い る友 達 もい る とい う こ とが わ か り、 会 話も目立 っ よ うに な って来 た。M男 は過 保 護 過 干 渉 の母 親 の 影 響 が お お い に反 映して い る よ うな ので 、 母 親 の気 持 ち を受 け止 め な が ら協 力 を お願 い し、 また 機 会 が あ る ご と にM男 の 様 子 を伝 え 、 理 解して も らえ るよ うに した。

2. 2学 期

運 動 会 とい う大 きな 行 事 が あ り、 教 師 は皆と同 じよ うに参 加させ た い との思いが 強く、M男 に厳し くな り過 ぎた よ うで あ る。 行 事 の前 に は教 師 は 目先 の こ とば か り気 になり、 教 師 自身 の 心 の ゆ と りの な さで 一 人 ひ と りを大 切 に す る援 助 が 出来 な か った と反 省して い る。母 親 は、 『出来 な くて もい い か ら、 頑 張った ら い いの よ』 とM男 に話して い る が 『ど う せ 出 来 な い ん だ から』 との 気 持 ちが あ り、 それ がM男 に影 響して い るよ う に思 わ れ る。M男 の様 子 を伝 え ほめ ても ら うよ うにお 願 い を した。 キ ンダ ー フ ェ ス テ ィバ ルに おい て は一 学期 か らや りたか っ た役 に な り、 欠 席 の友 達 の分 ま で張り切って練 習し、 当 日 も発 表 す る こ とが 出 来 た。この行 事 を 通して 教 師 や 友 達 に ほ め られ、 認 め られ た こ とで 自信 が っ き仲 間 意 識も見られ るよ う に な った。 ま た友 達 と 自分 から関 わ って い る姿 が 見られ る よ う に な って 来 た。

3. 1年 間 を 通じて

(12)

保 護 、 過 干 渉 がM男 の友 達 へ の関 心 や関 わ りを妨 げ て い る面 が あ る。 機 会 が あ る ごと にM男 の姿 を伝 えM男 の成 長 を共 に喜 ん だ。 母 親との信 頼 関 係 を 作 り理 解して い た だ け る よ うに心 掛 け たが 、M男 と は心 のっ な が りは 出来 た よ うに思 わ れ るが 、しかし、 母 親 は ど こまで 理 解

(13)

)

新 堂 他: 一一人 ひ と りを 大切 に す る保 育 を 目指して 一 あ る子ど もの姿 を通して 一 33

B. Y男 の ケ ー ス 〈 実 態 〉

i

3.

年 齢2年 保 育4才 児 ク ラ ス人 数 男16名 女12名 計28名

学 級 集 団全 体 の実 態

・3才 児 か らの進 級 児18名 新 入 園 児10名 ・元 気 が あ り活 発 で に ぎや か な ク ラ スで あ る。

・絵 本 の好きな子 が多く、 読 ん で ほ しい と の希 望 が多 い の で時 間 が あ れ ば 絵 本 の読 み

聞 か せ を して い る。

・新 入 園 児 は、 集 団 生 活 に戸 惑 い を 見 せ て い る が、 進 級 児 が よ く世 話 を して い る。

個 の実 態

・父 母 姉( 年 長 児) 本 人 の4人 家 族 ・入 園 当初 、母 親 と離 れ る と き に大 泣きを す る。

・家 庭 で は近 所 の友 達と、 夕 方まで 外 で 戦 い ご っ こをす る ほ ど活 発さが 見られ る よ う

で あ る が、幼 稚 園 で は友 達 の遊 び を見 な が ら、部 屋 を ウ ロウ ロ し遊 ば ず に過 ご して る。 ・身 の回りの こ とは、 ほ とん ど 自分 で 出来 な い。

〈 実 践>

1. 表一9一 人 で の 遊 び: 園 で の生 活 の様 子( 5月)

Y男 の 姿 周 り の 幼 児 の 姿 教 師 の 援 助 反 省 ・ 省 察

・友 達 が パソ コ ンで 遊 ん でいる姿 パソコンを 使って 遊 ん で いる 子、 Y男の様子を見 まもる。

を 見 な がら、 部 屋 をう ろう ろし 積 み木 を使 って遊んでい る子 、ブ 遊ばずに過 ごす。 ロック を 使っ て 遊んで いる 子な

ど さ ま ざ ま で ある。

"

ブロックや積み木に は興味 を 示 Y男が遊び た くな るよ うに積 み Y男が遊 びた いの で はと思 い、

さ ず 、 首 を 横 にふ って離 れ て行っ 木 やブ ロ ッ クを 渡 す 。 遊具 を与 える。

てしまう。

や はり、 首 を 横 に ふって 離れて パソ コ ン遊 び に 誘って みる。 Y男が遊 び たい の は別 の遊 具 な

しまう。 の だ ろうか。

部屋を うろ うろ し、遊ば ずに過

しば らくY男 の様子を見ま も る。 Y男は今、何 が した いの か も う

こす 。 一 度 見まもるこ とに する。

・ トラ ッ クのミニ カ ー を 見 っけ 、

「あ のト ラ ッ ク、僕 が 先 に 使っ て 今 日だけY男 に貸 して くれ るよ せっか くY男が遊 びに興 味 を持 それで一人で遊び始め る。 た の にY君 が 取った 。」とA男 が うA男 に頼み、 その ま まY男 が ち始 めたので そ の まま続 け させ

教師 に伝え にく る。 使う こ とに なる。 て あ げ た い。

他の場所へ歩いて行 き、 しば ら B男 が使って 遊 ん で いる。 く しても との ところ に 戻っ てく

るが 、トラ ッ クのミニ カー が 見

当 たらな い 。

B男をじ っ と見 て いる。 Y男に気 づいた女の子が「それ、 Y男 と他の子 供 た ちの様子 を 見 貸 してほ しいの だが言 え ず に見

さ っ きY君 が 使って た から、貸し まも る。 て い る の だ ろうか 。

あ げ たら? か わ い そうや ん 。 」

と声を掛け る。

何 も言わず受け取 り、遊 び始 め B男 が「い い よ 」と 言っ て 、Y ㌔

こ れ がき っかけに なり 、自 分の

る 。 男にト ラ ッ クを 貸して あ げ た 。 遊び場を見 つ ける ことが 出来 れ

ば 、 ま た 、 友達との 会 話のきっ

(14)

・この頃か ら泣 か ず に 登 園 す る よ うに な る。自分 が安 心 で き る場 所 を 見 っ け る こ と が で き、

よ うやく園生 活も落 ち 着 いてきた よ う。 身 支 度はま だ、自分 で 出 来 な い ことが多 い のだ が、. や って み よ う とす る意 欲 が持 て るよ う、 進 め て い きた い。

・家 庭 訪 問 の際 、 園 で の様 子と は全く違うY男 の 活 発 な 姿 を 見 た り、、近 所 の年 長 の男 児とよ

く遊 ん で い る と い う母 親 の話 を 聞 い て 、 早く園 で も友 達 と も関 わ って 遊 べ る よ うに な る よ う援 助しよ うと した が、 少し焦 った き らいが あ った と反 省 す る。

・まだ 園 で は1人 で よ うや く遊 べ る よ う に な っ た段 階 の よ うで あ る。Y男 が 自発 的 に友 達 と

遊 び た い と思う時 を見 定 め て い こ う と考 え る。

2. 表 一10友 達 との 受 動 的 な 関 わり: 戦 い ご っ こ( 6月)

Y男 の 姿 周 り の 幼 児 の 姿 教 師 の 援 助 反 省 ・ 省 察

・友 達の様 子を見な がら、トラッ それぞれ の遊 び を楽 しむ。Y男 Y男も一人 遊 びが満 喫 出来 るよ

ク のミニ カ ー だ け で なく、粘土 に対 してあまり関心 がない。 う い ろんな遊 具を 出して お く。 やパソ コンを使っ て遊ぶ。

・ しばら く して、 友 達の戦いごっ

数名 の男児 が戦 い ごっ こを して Y男の様子 を見 まもる。 友達 の戦 い ごっ こに興 味 を示 し

こ をじっ と見る。 遊 ぶ 。 て いるが、 自分 か ら仲 間 に入 れ

ても ら う こ と は 出 来 な い よう だ 。

首 を 横 に 振って 、 離 れ て 行く。 「Y君、遊 ぼう。」 Y男 も仲 間 に入れ て も らえ るよ これが友達 と関わ って遊 ぶ き っ

「一緒 にしよう。」 う男児たちに声 をか け、 男 児 た か け に な れ ばと、期待する。Y ち の方から誘っ ても らう よう に 男 に自分か ら声 をか け るよ う促

す る。 すよ りも、友 達 か ら誘 わ れ る方

が ス ム ー ズに 遊びに加わ れる の

で はと考 える。

少 し離れた場所か ら、友達 の戦 再 び、戦 い ごっ こを して 遊 び始

い ご っ この 様 子を見 てい る。 める。

貸しても ら っ た ブ ロ ッ ク を 持っ

「一 緒にしよ う。」「この武器 、使っ しばら く時 間を あけ 、もう一度 Y男に もう少 し遊 びを傍 観 す る たまま、男児 たちの様子 を見 て てもいい で。」と言っ て ブロッ ク 男児たちにY男 に声 をか けて も 時 間 を あ た えて から、もう一度

い る。 で作 った武 器 をY男 に貸 してあ ら う よ う にする。 誘っても らおう と考え る。

げる。

・友 達と戦い ご っ こ をして遊 ぶ 。 Y男 と一 緒に戦いごっこをして Y男 た ちの遊ぶ様子 を見 ま もる。 ようや くY男が 友達 と遊 ぶ姿 を

遊 ぶ 。 見 て 嬉し く思う。

「う ん、わ か っ た。」 「バ バ ーン」 「Y君は○○ する役な 。」「向こ Y男は命令 され たり、倒 され た り

な ど と言い ながら嬉しそうにボ ー う か らしか 出 てきたらあ か んで。」 す る役が多 く、言 われるま まに遊

ズ を と っ たり して い る。 「ピ ー っ てしたら倒 れ や んな あ か ん でいるが、初 めて自発 的 な言葉

んで。」 が出てき て、と て も 楽しい よ うだ。

時には友達 と絡み合 った り、 蹴 Y男 とも絡 み 合っ たり、蹴っ た だれか一人 を集 中 して攻 撃 した 意地悪 を して い る様子 は どの子

られ たり しな がら遊 ぶ 。 り蹴られ たり して 一 緒 に 遊 ぶ 。 り け が をした りしな い よう に、気 にも見 られず、Y男 も遊 びを満 を付 けなが ら見 ま もる。 様子 を 喫して い る よ う だ っ た の で 、バ ー

見 ℃時々 「強 いね」 とY男 に声 ドな動 きが多 いが、 あま り注意

を か け る。 せ ず見ま も る こ と に する。

少 し離れた ところに立 って 見 て 「Y君は ま だ 小さい から、強くし 一 人外 され たY男の様 子 を見 ま 外 されて もY男 はあ ま り気 に し

い る が 、 そこでも ポーズ を 取っ たらすぐ泣くかも しれ へ ん で 。」 もる。 て い る様 子もなく、むし ろ、離

たり して いる。 「ちょ っ とそっ ちの 方 で みと き 。」 れた場 所に いて も一緒 に遊 ん で

Y男以外の子 は絡 み 合 って遊 び いる気分を味わ い、 楽 しんで い

(15)

新 堂 他: 一 人 ひ と りを 大 切 に す る保 育 を 目指して 一 あ る子 ど もの姿 を通して 一 35

・全くの一 人 遊 び か ら徐 々 に友 達 を 意 識し始 め た よ うだ。Y男 が大 好きな戦 い ご っ こ に興 味

を しめ した の で、 教 師 は この チ ャ ンス に何 とか 少しでもY男 が遊 び に参 加 出来る よ う に援 助した い と思 い、 男 児 た ち に声 を か け るが 、Y男 は乗って こな か った。この と きのY男 に

は、 遊 び に参 加 す る こ と よ り も、 遊 びを 傍 観 す る こ との方 が必 要 だ った よ うで あ る。 ・Y男 は興 味 を も った 活 動 で も 「充 電 期 間 」 を 過 ぎ な い と動 か な い よ うだ。Y男 が最も熟し

た気 持 ち に な って い るか 、 い ま何 を 欲して い るの か を見 極 め、 そ れ に対して援 助して い く こ とが必 要 で あ る と考 え させ られ た 。

・遊 び に して も

、 身 支 度 に して も、 製 作 に して も、 「Y君 はま だ 小 さい から、手 伝 って あ げ る わ。」 「Y君 は ま だ小 さ い か ら、 は さ み もあ ん ま り上 手 に 使 わ れ へ ん ね ん な あ。」と い う 友 達 の言 葉 が、 教 師 に は少し気にな り始 め た 。 親 切 に した り、 気 に か け て くれ た りす る こ とは嬉しい の だ が、" Y男 は小 さい子" と い う見 方 が 間 違って い る の で は …と疑 問 に思、う よ うに な った。 身 支 度 を手 伝って も らう こ と も、 友 達 と の関 わ りの糸 口 に な れ ば と思って い た の だ が、 か え って" Y男 は小さい 子" と い う イ メ ー ジ を与 え て しま った の か も しれ な い。Y男 の よ さ を認 め、" Y男 が 出来る よ う にな っ た こ と" を 強 調して関 わ る こ と に よ っ て 、Y男 の成 長 は勿 論 、ク ラス の子ど も達 のY男 へ の見 方 に も心 をか け て取り組 ん で い き

た い。

3. 表 一11友 達 へ の一 方 的 な 関 わ り: K男 へ の 関心( 6月)

Y男 の 姿 周 り の 幼 児 の 姿 教 師 の 援 助 反 省 ・ 省 察

・K男の そ ば へ 座り、ブ ロッ ク で

l

K男 は一 人でブ ロッ ク 遊び を 楽

遊 ぶ 。 しむ 。

・ブ ロ ッ クで 作った 拳 銃 を 使っ て Y男にはあ ま り興 味 がな いよ う Y男とK男の様 子を見ま もる Y男から興味 を 示 し、 言葉 で は

K男 と遊ぼ うとす るが、K男 は で 一 人ブ ロ ッ クで 遊 び 続 ける。 な い が、自 分から 誘っ ている姿

乗ってこな い 。 に嬉し く思う。

しばら く し て 、ブロ ック遊びを K男 は 訳 が 分 からず 、 「や めて 。」

や め たK男 を 見 つけ 、戦いご っ と言いY男か ら離れ る。

こをしよう と突 か かって いく。

それで もY男 はK男と遊 びた く K男は教師に 「Y君 が た たい て Y男 に は、突 然かかっ て 行く と Y男とK男が仲良 くし、お互 い に

て か かって いく。 くる。」と助け を求め てく る。 K男が嫌 がる ので、 一言 声 を か 良 い影響 を与 えあ え る といい の

け る よ う促す。 だ が。

K男には、Y男 は意地悪 を した

の で は なく、K男 と 遊びた かっ

た だ け で あ る こ と を 伝 え る。

しば らくの間はK男と離れ て い 一人 で遊びた い のにY男 がく っ K男が 困っ て い る の で、「K君 は Y男の気持 ちも分 かるが、K男 が

る が、ま た すぐにK男 の 側へ 行 つ い てくる の で 困 っ て いる。 ブ ロ ッ ク で遊び た い ん だ っ て 。」 嫌 な気分 を味 わわないよ う、ま た

き 、抱き っ い たり しよう とする。 「戦い はしたくない んだっ て 。」 Y男の事 を誤解 し、嫌 いに な らな とK男の気持 ちをY男に伝 え る。 い よ う、あ え てY男 に 注 意 す る。

・Y男 に と っ て

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見られ る。

・Y男 に と ってK男 は、 集 団 生 活 をする うえ で の良 い お手 本 で も あ り

、 友 達 と関 わ って 遊 ぶ き っか けでもあ る。 ま た、K男 に と ってY男 は、 今は少し迷 惑 な 存 在 で は あ るが 、 これ を き っか け に、 少しず っ 自 己主 張も出来 、" イ ヤ" と 言 え る よ う に なれ ば と思 う。Y男 はK 男 の 気 持 ち に は無 頓 着 で あ る とは い え、Y男 が主 体 的 に友 達 に関 わ って い こ う とす る の は よ いが 、K男 が 嫌 な思、い を しな い よ う、 時 に はY男 に も注意 をしながら二 人 の様 子 を見 ま も って い き た い。

4. 表 一12友 達 との 関 わりの停 滞: 朝 の身 支 度と園庭 遊 び( 9月)

Y男 の 姿 周 り の 幼 児 の 姿 教 師 の 援 助 反 省 ・ 省 察

・カ バンをも った ま ま で 、 着替え

身仕度を済ませ、自分の席に座っ Y男の身仕度 を 促 し、 先 に出席

もま だ 済 ま せ て い な い 。 て い る。 を と り始め る。

ま だ 、 裏 返しのスモッ ク を 片 手 園 庭 へ 出 て 行く。 園庭 で遊 ぶ ことを子 供 た ちに伝

にタオ ル を 掛 け に 行く。 え る。

何も答 え ず 、タオ ル を 掛け る。 「Y君、着替 え出来た? 」

「い い 。自分 で 出 来る。」と 言っ 「み ん な、 外へ遊び に 行ったよ。 1学 期 には一 度 も聞 いた こ との

て 、 着 替 え 始 める。 ス モック の お 着替え 、手 伝おう な いY男 からの 言 葉 だったの で 、

か? 」 びっ く り した が 、 嬉しかった 。

スモ ックの着替え に5分程か か 手伝 わず、励 ま しな が ら側 で見

り、よ うやく終 える。 て い る。

無表情で担任の顔を見て、 担 任 「自分で 出 来 てよ かっ たね 。」と 教師 は嬉し くて 、 誉 め た のだ が 、

と一 緒 に 外 へ 出る。 誉め て、頭 をな でる。Y男 と手 Y男の無表情 に少 し戸惑 う。玄 関

を っ な い で 玄 関 ま で 行く。 に行く間、た いした 会 話は な かっ

た が、Y男の 表情も明る く見 えた。

・靴 は履 き変えたが ガラス戸 の所

そ れ ぞ れ 、 好きな 遊びを 見っけ、

に立ったま ま遊 ぼう としな い。 遊 ん で いる。

何も答 え ず 、 誘 いに も乗っ てこ 「Y君は 、何 をして 遊ぶ? 」 と 声

な い 。 を か ける。

何かを見なが ら、 しば ら く窓 ガ 必 要以 上に声 を掛 ける ことを せ Y男は、友 だち が遊 んで い るの

ラ スの 所 で 過ごす 。 ず様子 を見 ることにす る。 を傍観 しなが ら何 を しよ うか と

考えてい る様 子 な ので、 それ を

砂 場 で 一 人 で 遊 び始 め る。ス コ ッ 見 極 めるた め 、少し時 間 を あ け る。

プを 使って 、 小さ な山を っ くり、

穴 を 掘ってい る。

隣の子 の真似を しなが ら、 穴 を Y男の側で遊 ん で いる グル ープ

掘る。 に参加 して遊ぶ。

「い ら な い」と言い 、黙々と 山 隣 のグル ー プ で 遊びな がら、「お 隣の子 と同 じ遊 びが 出来 る よ う

を 作り、 穴を掘る。 碗 や ザ ルも使って いい よ。」と 、 にと思 い 、遊 具 を 差し出して み る。

遊具を側に置 く。

他の子が砂場で、川作 りを始 め 数人の子供 た ちが砂 場 で川 を作 しば らくの間、Y男 の様 子を 見 Y男 はき っ と 一 緒に遊び たい の

たの をじっ と見 てい る。 り水を一生懸命運ん でいる。 守る。 だ ろう と考 える。 し

何 も言わず、 また山を作 り、 穴 「Y君も一 緒に する? 」 とY男 少 し時間を置 いた後 、 川 を作 っ そ ろ そ ろY男 に、他 の子 供 た ち と一

を 掘ってい る。 を 誘う。 ていた子供た ち に、Y男 も仲 間 緒に遊ぶ機会 を作 って もよいので

に 入 れ てくれる よ う な声を 掛け 、 は と考 え た が、まだ、Y男 に は 一 緒

誘っても ら う。

(17)

新 堂 他: 一 人 ひ と りを 大 切 にす る保 育 を 目指して 一あ る子 ど もの 姿 を 通して 一

37

・1学 期 に は一 人 で 着 替 え た こ とが ほ とん ど な か ったY男 が

、 初 め て 「自分 で す る」 と言っ て くれ た。 い っ も手 伝6て くれ て いた 友 達 が 、 今日は先 に行って しま った こ と も き っか け とな った の か も しれ な い が 、Y男 の意 欲 を み る こ とが 出 来 、と ても嬉 しか っ た 。ま た、

" 一人 で も出来 る ん だ" と い

ったY男 の 自信も感じ られ た。き っ と夏 休 み 中 に家 庭 でも練 習してくだ さ って い た の だ ろ う と思う。

・Y男 は

、 いっもの よ うに他 の子 ど もた ち の遊 び を 傍 観した後 、 一一人 で 砂 遊 び を始 め た が、 隣 の子 ど も た ちが 気 に な る よ うで真 似 を しな が ら遊 ん で い る。 友 達 と関 わ る よ い機 会と思 い、遊 具 を 差し出 したが 拒 否 され 、 隣 の友 達 に誘って も らうが これ も拒 否 され た。この と き、Y男 に と って は、 まだ 、 傍 観 が 重 要 だ った の か も しれ な い 。 また 、教 師 も ・Y男の遊 び" よ り も、Y男 の" 友 達 と の関 わ り" の 方 を重 視し過ぎて い た た め、Y男 の 思、い を理 解 出来 な か った の か も しれ な い。 教 師 の 思 いが 強 す ぎた よ うで、も う少しゆ っ く り接して ゆ くべ きで あ った。

5. 表 一13主 体 的 な 関 わ りで の葛 藤: K男 との トラ ブ ル( 10∼12月)

Y男 の 姿

周 り の 幼 児 の 姿 教 師 の 援 助 反 省 ・ 省 察

・Y男 が水筒をぶっけたか ら噛 ん

自分 は何 もして 居 ない のに、Y Y男の母親か ら、数 日前にK男 が 一 緒に遊ん で いたと きに 、K男

だ、と答 える。 男 が背 中を噛んできたと言 う。 Y男に背中査噛まれた と聞 き、教 が持 って いた水筒 がY男に当たっ

師は こ のこ と に ついて 全く 知ら てしま っ た らしい。

なかったので、子 供たちに も事情 を聴 いた。 友達 を 噛ん で はい け

な い こ と を話し、 注 意した。

Y男 の母親に も連絡する。K男の母 Y男とK男にお 互 いの わだ か ま 親に も再度連絡 し、今回の事情をY りが残 らない よ う、 二人 の様 子 男の母親に も連絡 したことを伝え、に 気 を っ け て 、 し ばら く 様 子を また、Y男はK男が 好きで一 緒 に遊 みる こと に する。

びたいのだがうまく表現 出来な い

事 が あ る こ と も伝 え る。

・一 方 的 にK男 を た たきながら追

Y男 が 「Y君が た た い てく る。」 K男がY男 に直接 自分 の気 持 ち K男が自分の 気持 ちを相手 に伝

い か け ま わ す 。 と訴え て 来る。 を表現す るよ う促す。 え る よ い チ ャンス だと考 える。

「僕 は遊 びた くないのにた たい て

「K君はY君 に何 も してい な いの? 」

くる ね ん。」 「K君はY君 に どう して欲しい の? 」

「………」 「Y君た たくな。」 「い や だ っ たらい や やって自 分で K男が自分 の気 持 ち を伝 えや す

言っ て お い で。先 生 がこ こ で 見て い よ う に力づ け た。

い て あ げ る から。」

「………」 「Y君、K君が何か言っ て た? 」 K男の気持 ちが よ く分 か るよ う

「う ん。」 「た た か な い で っ て言っ て なかっ Y男に話 し、Y男 も少 し分 か っ

た? 」 た よ うだ 。

「う う ん。」 「Y君、た た か れ る の好き? 」

「う うん 。」 「K君も た た か れ る の い や だっ て

Y君がK君 をたたいた ら、K君は Y君の こと嫌 いに な るか も しれ

へ んよ。そ れ でも い い の? 」

「うん 。」 「K君と一 緒に 遊びた かっ たら、

も うた たくのはやめ と こ う な。」

・相変わ らずK男に近寄 って行 っ

K男がY男 に対 して や り返 す と K男に もY男 に も叩 いた りす る お 互 い 楽しそう に してい る ので 、 て 、K男 に「あっ ち いっ て 。」 いう形で 、Y男 を 追い かけ たり こ と に つ い ては 、時々 注 意も す 今は しば らく様子を見て いる。

と言われた り、叩かれた りす る す る ように な る 。 る 。

こ と も多 い。

K男の反応がY男には嬉 し くて

(18)

・K男 は、Y男 が主 体 的 に 関 わ りを も と うと した最 初 の友 達 で あ った が、このトラ ブル でK

男 がY男 の こ とを嫌 い にならな いだ ろ うか と不 安 で あ った。も し水 筒 が 当 た った と き にK 男 が先に謝って いれ ば 、 ま た、も し水 筒 が 当 た った と きにY男 が言 葉 で表 現 して いれ ば、

噛 む こ と も噛 まれ る こ と もなかったかも しれ な い。 ま た、 噛 む こ とは い けな いが 、 水 筒 が 当 た った と き のY男 の痛 さ も理 解した い。 嫌 な こ とを" イ ヤ" と は っ き り言うこ と の大 切 さ を二 人 に分 かって ほ しい。Y男 に もK男 に も、 お互 い は成長 す るの に必 要 な存 在 だ と思

うので 、 今 後も一 緒 に遊 ん で ほ しい。

・K男が 今 ま で と違 い、Y男 に対して も言い返した り、 や り返した りす る よ うに な った。 始

め はY男 もび っ く り して い た が、 戦 い ご っ こ の大 好 き なY男 は、 か か ってくるK男 と遊 ん で い るっ も りで楽しん で い る。K男 も今 まで と は違 って 、 少し楽しん で い る よ うに もみ え

る。 お互 い に相 手 の主 張 や 気 持 ちが 分 かりだ した の だ ろ うか。

・二 人 は互 い に必 要 な 存 在 で あ る こ と を、 保 護 者 の方 に も理 解して い た だ く必 要 が あ る。 だ

が 、 水 筒 の トラ ブル の時 、K男 の母 親 に は あ ま り理 解して も らえ ず、Y男 と は あ ま り遊 ば せ たくな い と言 わ れ る。 嫌 な こ と が あ って も、K男 は言 い返した り出来 な い こ とが 心 配 の よう。 そ の後 、K男 の変 化 につ い て話 す と、 い じめ られ て はい ない とい うこ とと、" イ ヤ"

と言 え る よ うに な った と い う こ とに安 心 を 示して下さ り、今 まで程Y男 を意 識 されな くな っ た。 一 方 、Y男 の母 親 は あ ま り反 応 が な か った の が 少 し気 が か りで あ る。

6. 表 一14主 体 的 関 わりの深 ま り: 朝 の 身 支 度 の様 子 ・作 品 展 製 作( 1・2月)

Y男 の 姿 周 り の 幼 児 の 姿 教 師 の 援 助 反 省 ・ 省 察

・少 し遅 めに登園 したが、 急 ぐ様

朝の会があ るた め、 登 園 した子 Y男 や 残っている子供た ちに 、

子 もなく友達 の様子 を見 なが ら か ら自分で着替 え を済 ませ 、 園 声を掛 け、急 い で着替 え る よ う

自分 で着替 える。 庭 へ 出 て 行く。 にする。

友達 と会話 したり、友達 を観 察 マ ラ ソ ン練 習の時 間も迫ってい せっかく 自分 で 出 来る よ うに な っ

していたりするので着替 え が な るのでY男 の着替 えを手 伝お う てきたのだか ら、 他 の子 と同 じ

か な か す す ま な い。 かと思っ たが、も う 少し我 慢し ように 頑 張ってほ し い。

て、 声を掛け るだけ にする。

「S( 呼び捨て) 、待 っ て。」と 答 S男 が「Y君、一 緒に行こう。」と

え、少 し急いで着替えを始める。声を掛け る。

「う うん 、いらな い 。」 「Y君、先生 は先 に外 へ行 くけ ど きっとS君の手前 、 自分で す る

着替 えを手伝 お うか? 」と聞 く。 と言 って くれ るだ ろ うと予想 す

る 。

「うん 。」

「じゃあ、着替 えが 出来 た ら降 り

てきて ね。」

「S君、よ ろし くね。」

・Y男 はS男 を 含 めた5人 の グルー 共同製作を す るため の グル ープ グループに入 れ ない子 が いな い

プ に入る。 を 作る。 か確認す る。

家を作 るための材料を探す。 Y男 た ちの製 作 の様子 を見 まも Y男は、 友達 に言 わ れた よ うに

「この 箱 をこ うやって 使っ たら え る 動 く事 が多いが、製作に十分 参加

んとっに な る よ。」 し、楽しそうに 活 動して いるよう

「う ん、い い よ。」と言っ て 、セ 「Y君、セ ロ テ ー プ取って 来て 。」 に 見 え る 。

参照

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