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自動車産業政策及びその影響に関する研究

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Academic year: 2021

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博士(公共経営)学位論文  概要書 

 

自動車産業政策及びその影響に関する研究

―日韓の経験と中国への応用―

 

A Research on the Auto Industrial Policy and Its Effects -the Application to China from the Experience of

Japan and Korea-

 

   

早稲田大学大学院  公共経営研究科 

 

白  鳳翔 

Bai, Fengxiang

   

(2)

自動車産業は、規模が巨大で関連する分野が幅広い産業であり、国民経済のみならず、

輸出及び海外生産を通じて他国の経済にも大きな影響を与えている。第二次世界大戦後 から自動車産業の後発国においては、欧米諸工業国の自動車産業にマッチアップできた 国はいまだに少ない。その中で、最も成功した事例は、現在のところ1960年代以降の 日本と1980年代以降の韓国が挙げられる。また、最近国内自動車市場が拡大するとと もに、自動車輸出も拡大しつつある中国自動車産業が世界から脚光を浴びている。

日中韓3国の政府は、それぞれの自動車産業に対して大体同じように体系的な保護育 成政策を採ってきた。しかし、3国における政治、経済、文化等の環境が異なったため、

3国の政府が採ってきた自動車産業政策には、違いがあると言える。そして、政策の違 いによる影響によって3国の自動車産業が築き上げた競争力は、異なった形態を生み出 したのであろう。そのため、日韓の自動車産業政策において、日韓を手本としてきた中 国の自動車産業政策に関する影響の差異を解明するのは、もちろん中国に対しても他の 自動車産業の後発国に対しても大きな意味があると言えるだろう。

ところが、産業保護育成政策の理論研究は数多くあるが、幼稚産業の競争力育成に対 する産業政策の影響に関する議論は少ない。その中で、産業の競争力育成に対する輸出 振興策の影響を評価した研究があるが、輸入代替政策と比べて輸出振興策の影響に関す る具体的な分析が足りない。そのため、後発国が競争力のある産業を育成するには、輸 出振興策の影響について具体的に考察・分析する必要があると考えられる。また、自動 車産業政策に関する国際間の比較研究は少ない。その中でも、両国間の比較研究では、

いずれも輸入代替から輸出振興への産業政策転換については分析されずに、その政策転 換による影響を無視した点が指摘できる。他には、自動車産業政策に関する3国間の比 較研究はあまり存在していないことが指摘できる。

市場において競争力を直接的に発揮することができるのは自動車企業・同部品企業で あり、産業育成政策の役割は間接的なものだと想定できる。その産業を構成する内外企 業の活動に着目する必要がある。そのため、自動車産業政策を分析するには、産業政策 と企業の活動という両面における3国間の立体的な国際比較は、新たな研究手法を生み 出すと同時に、より厳密な研究成果をもたらすことができればと考えている。

以上の内容を踏まえて、本論文には、以下のような目的がある。第一に、日中韓3国 の自動車産業政策にはどのような違いがあるか。また、その違いは3国それぞれの自動 車企業が築き上げてきた競争力と自動車産業発展に対してどのような影響を与えてい たか。第二に、日韓の自動車産業政策の経験がいかに中国に応用されてきたか。また、

自動車産業政策の影響を明らかにした上で、まだ育成段階である中国自動車産業がこれ からどのように応用できるか、また何を選択することが相応しいか、について解明する。

そこで、以上の目的を解明するには、「自動車の輸出振興策を早くとるほど、自動車産 業の競争力(技術力・生産性)は早く向上する」という仮説を立てた。

以上の仮説を検証し、目的を解明するために、本論文においては、藤本隆宏(1994

(3)

の産業政策を企業の競争力発現プロセスと連動するものとして理解する、という分析枠 組みを参照し、保護と育成の二つの方面に分けた上で、自動車産業政策と自動車企業の 活動という分析枠組みを通じて日中韓3国の自動車産業育成政策を体系的に比較、分析 することにする。そして、本研究の研究方法では、文献研究及び実証研究の二つの研究 方法を使う。

本論文においては、以上の分析枠組みと分析方法を通じて日中韓3国の自動車産業政 策の影響を比較分析した上で、以下の結論を導き出した。自動車産業を育成するために、

様々な政策を連動して実施する必要がある。そして、競争力の向上という視点から見る と、自動車産業の育成政策の中では、最も有効な手段は輸出振興策である。すなわち、

競争力の向上の面においては、輸出振興策はただ輸出を拡大するという直接効果のみな らず、他の保護育成政策に対してもプラス効果があり、特に、海外からの市場メカニズ ム導入、自動車の開発能力の向上と競争的な産業組織の形成に貢献できるからである。

したがって、本論文の仮説、「自動車の輸出振興策を早くとるほど、自動車産業の競争 力(技術力・生産性)は早く向上する」は立証された。

最後に、本論文の結論に基づき、中国の自動車産業の現状を日本と韓国の経験に照ら した上で、中国政府は自動車産業の競争力構築を促進するに当たって、輸出振興策を優 先して維持すべきであると提言した。

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