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芦北郡大野盆地の地質について

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Academic year: 2021

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芦北郡大野盆地の地質について

芦 北 町 立 計 石 小 学 校 塩 永 博 英

ち作っているC l は じ め に

この調査中、田村教授には再三にわたる野 私は、昭和47年度科学派遣生として、昭外調査をはじめ、野外に室内に終始懇篤てい 和47年4月1日より9月30日まで、熊本ねいな指導をたまわり、また、渡辺教官にも 大学教育学部地学教室に在室中.芦北郡大野何かと御指導いただいた。

地域の地質を調査したoその中の一つ、大野

I 地 質 概 要 盆地の地質について報告するo

大野盆地は芦北町佐敷より佐敷川を約10 1 層 序

k"さかのぼった場所にある。東西約1ル"、南大野盆地の層序は基盤の神瀬層群を除き下 北約2.5k脚の細長い小盆地で、その中央を大位より凝灰角喋岩、安山岩、溶結凝灰岩、喋 関山に発する佐敷川が流れているo 層の順に重なると思われるoしかし、化石等

この地域の東方には、鏡山の安山岩及び凝は産出し戒いので、時代は、はっきりしないo 灰角喋岩が神瀬層群(勘米良、古川、1952)

2 凝 灰 角 牒 岩 をおおい.南および西は、大関山、虎石山と

連なり、肥薩火山区の北限を占め、北は神瀬佐敷川本村橋より上流の川沿いに露出し、

層群の厚いチャートの層が走り、盆地をかたまた、虎石山をおおっている輝石安山岩の下

−8−

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地 質 図 . 断 面 図 柱 状 区

Ikm

300m 200

100

1:鼻めぐり,2:開拓,3:本村橋,4:虎石山,5:中園下,6:中園,7:松生 a:粘板岩,b:チャート,c'凝灰角喋岩,d:輝石安山岩ie'溶結凝灰岩,f:喋層

に続いているo

露頭では、基地の火山灰が多い場所と割にID火砕流推積物

少ない場所もあり、角喋の粗密、大小の程度この地域には、松本唯一(1933)により、

は場所により差異が認められるが、地域的なかって阿蘇泥溶岩と呼ばれた火砕流堆積物が 特徴は見られないoただ、佐敷川沿いのもの広く分布している。すなわち、佐敷川中園付 は当然のことながら、水の作用を受けたと思近では柱状節理をなして露出し、また、大野 われる部分は円喋化を示しているoまた、凝開拓では安山岩に似た岩相で川底より約60 灰角喋岩の中に砂岩の層がくさび状にはさま〜70腕の高さに達しており、かなり広い範

っている露頭がみられるo 囲に分布している。しかし、地域によって岩 これは、凝灰角喋岩が一部水成であることを相が異なるので、岩相の上から三つの地域の

示 し て い る o 溶結凝灰岩について述べてみたい。

こ の 凝 灰 角 喋 岩 は 火 山 岩 類 中 最 も 古 い も の l 中 園 付 近 の 溶 結 凝 灰 岩

と 思 わ れ る 。 佐 敷 川 の 川 沿 い に よ く 発 達 し 、 産 状 は 柱 状 節理をしているものが目立つo色は茶褐色で 肉眼で長石が判別できる。また、極めて固く

− 9 −

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溶結しており、肉眼では葉理がはっきりしな

V,o

薄片の顕微鏡写真(写真)によると、全体 として水平な平行構造がよく見られるが、岩 片や結晶の近くでは、ガラス片がそれを取り 巻いて流れる流線のように屈曲しているo

また、この付近では谷すじを埋めて堆積し たとみえ、その後川の侵食により西岸は垂直

に崖を作っている○

2 開 拓 付 近 の 溶 結 凝 灰 岩

開拓部落に広く分布しているが、岩相は風 化した安山岩に似ている。風化がすすんでい るので、肉眼では火砕岩らしい破片構造は見 あたらない。しかし、薄片の顕微鏡観察では、

火山灰が垂直方向に圧縮されていることがわ か る o

なお、この岩石のこの地域での分布は標高

約170瓶に達しているo

3本村橋より中園下流付近の溶結凝灰岩 この盆地の中心付近に広く見られる溶結凝 灰岩は、また、上記のものと異なり、全体が 灰白色で異質岩片をふくんでいる。本岩では

白色の軽石が馬平化しているのが認められるo 産状は主に川すじに沿い、低い所に露出して

い る o

薄片の顕微鏡観察では上記の溶結凝灰岩と 同様に葉理をはっきりと見ることができるo 上述のように東西約1k脚、南北約2.5k脚の ごく狭い地域に岩相の異なる溶結凝灰岩を三 種も見ることは一種のおどろきであるoそれ かといって、これらの溶結凝灰岩は堆積した 時代が違い、また、異なる火山活動の所産か

と即断することは許されない。

すなわち、松本唯一(1933)によれば、

「風化した場合、識別の要訣は蓋し口にすべ からず、況んや筆にすべからず、ただただ、

野外に於ける経験以外何者もないo」と述べ ている○

従って、この地域の溶結凝灰岩は、阿蘇、

姶良、加久藤のいずれの火砕流に属するか興

味の深いところであるoただ、上記の松本の ように岩相だけでは判断できないが、渡辺、

小野(1969)によると、Aso−4火砕流に は角閃石を多いというが、この地域のものに

はそれが認められない。

このことだけから言えば、Aso−4火砕流 とは言いがたく、位置的にも、岩相の上から も人吉盆地に分布する加久藤火砕流に近似し ているが、はっきりしたことは今後の研究に

まちたいo

なお、この地域の北に隣接する市野瀬採石 場付近から大野中学校北側にかけてシラスが 点在し、一部は小さい台地を作っている。こ れも火砕流の一つである。

Ⅳ 喋 層

(1)溶結凝灰岩の上に喋層があり、最厚15

〜20加あるo喋層中の喋は、本村橋付近より 上流は、ほとんど安山岩であるが、鼻めぐり 付近ではチャートが多くふくまれる。また

喋層中の喋は円喋が多く、水の作用を受けた と,思われる。

中 園 付 近 に も 牒 層 が あ り 、 そ の 磯 は 角 牒 が 多く、水の作用を受けたとは考えられず、む しろ、崩壊堆稿物と思われる。

(2)盆地の北側には、佐敷川沿いに厚さ約

300〜350〃におよぶ固いチャートの層がN

50Eの走向で分布し、この盆地を北流する

佐敷川の流れをさえぎるように露出している。

このことは、かって、この盆地が湖であった ことを思わせるoこれは、喋層の分布及び喋 が円喋であること、また、成層状態のよいこ

となどからも考えられる。

湖の規模は最大巾約600腕、たて約,000 加、最深部約40〜50腕程度のものと思わ れるO湖の基底部と考えられる固い砂岩が見 られるが、その露頭部分には化石を認めるこ

とはできない。

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